JP3884497B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部相互間にわたるトロイド状トレッド部とからなり、これら各部を補強するラジアルカーカスと、該カーカスの外周でトレッド部を強化するベルトとを備え、トレッド部の踏面側に多数本の方向性をもつ傾斜溝を配列したパターンを有する、偏平率60%以下で回転方向指定の空気入りラジアルタイヤに関し、特に、轍などの傾斜面をもつ路面を走行する際の直進安定性を主とする操縦安定性を向上させた空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に高性能タイヤと呼ばれる空気入りラジアルタイヤ、特に乗用車用空気入りラジアルタイヤは、車両の高出力化、高性能化に伴い、車両の旋回時にタイヤに作用する大きな横力に対抗し得るだけの高い横剛性を備えていること、そして高速走行時における操縦安定性や駆動、制動性能に優れていることが必要である。これらの諸性能を有利に発揮し得るタイヤとして、現在、偏平率(偏平比の呼び)が小さく、従って踏面の接地幅が広いタイヤが主流を占める傾向にある。この傾向はトラック、バス用ラジアルタイヤでも同様である。
【0003】
またタイヤの操縦安定性の良否を評価するとき、乾燥(ドライ)路面での操縦安定性はもとより、相当の水深を含む濡れた(ウエット)路面における操縦安定性がより一層重要であり、後者の性能を向上させるためタイヤは踏面側のトレッドゴムに排水性を高める目的で多数本の方向性をもつ傾斜溝を配列したパターンを有するのが一般であり、このトレッドパターンの一例を踏面の幅方向弧の長さTWについての展開図として図8に示す。
【0004】
図8に示す傾斜溝10−3、10−4、10−5は、タイヤ赤道面Eを挟む踏面両側で接地面への踏込み側から、接地面から離れる蹴出し側に向けて末広がりの「ハ」の字状傾斜配列になり、タイヤの転動方向(車両進行方向)から接地面に楔状に入り込む水を直状溝13、14と連係して効率良く排水する。この種のトレッドパターンを有するタイヤは当然ながら回転方向(図の矢印X方向)指定の表示を備える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし回転方向指定の空気入りラジアルタイヤは、平坦なドライ及びウエット走行路面では優れた操縦安定性を発揮する反面、轍などにより一部傾斜面が形成された路面を高速走行するとき、ドライ及びウエット状態のいかんを問わず、この傾斜面にタイヤ踏面の一部分でも触れると、車両は突然横向きに振られる挙動を示す点で操縦安定性が全ての走行条件下で常に優れているとはいえない側面を有する。この挙動は運転者の意図外で大きな横力がタイヤから不意に発生することによることが知られている。
【0006】
この現象は一般にワンダリングと呼ばれ、偏平率が小さいタイヤほどワンダリング現象は顕著にあらわれ、特に偏平率が60%以下の偏平タイヤでは、乗用車用、トラック・バス用を問わず、時に走行に危険を伴うほど直進安定性が著しく損なわれる。この危険な現象に対し今日まで各種の改善手段が講じられてはきたものの十分とはいえず、よって偏平タイヤのワンダリング現象の十分な抑制が目下の急務とされている。
【0007】
従ってこの発明の目的は、ウエット及びドライ両路面での高速走行に優れた操縦安定性を発揮する回転方向指定のタイヤとして、また偏平率が60%以下のタイヤにつき、ワンダリング現象の発生を十分に抑制して直進安定性を向上させ、全ての走行条件下で優れた操縦安定性を発揮できる、乗用車用からトラック・バス用にわたる空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明による空気入りラジアルタイヤは、冒頭に記載したタイヤにおいて、最大内圧を充てんした上記タイヤを内圧に対応する荷重にて平板に垂直に押し当てて得られる最大接地幅(CW)の0.3〜0.1倍の範囲内の長さに相当する踏面幅方向円弧長さで、各最大接地幅端から踏面内側に向かう間の踏面に区分した端部領域内に少なくとも傾斜溝が存在して踏面端縁に開口し、
上記端部領域内の傾斜溝は、タイヤが指定回転方向に負荷転動するとき、最大接地幅端位置の溝部分が先に接地領域に踏込み、残余の溝部分は踏面内側に向うにつれ順次接地領域に踏込む向きの傾斜配列になり、かつ
傾斜溝の両溝縁のうち先に接地する溝縁の踏面円周に対する傾斜角度は30〜80°の範囲内にあることを特徴とする。
【0009】
さらに、この発明による空気入りラジアルタイヤは、上記傾斜溝の幅中央を連ねる線に直交する踏面の垂直平面による傾斜溝断面にあらわれる該溝両壁面の踏面に対する傾き角度につき、タイヤの上記同様負荷転動の下で、先に接地する溝縁側の傾き角度(β)と、後に接地する溝縁側の傾き角度(α)とが、α<βの関係を有することを特徴とする
【0010】
これに代え又はこれに加え、この発明による空気入りラジアルタイヤは、タイヤ赤道面を挟む両側の踏面上に、タイヤ赤道面からの幅方向円弧長さで最大接地幅(CW)の0.15〜0.4倍の範囲で区分する領域内に位置し、かつ踏面円周に沿って互いに隣合う上記傾斜溝の相互間にわたって延びる傾斜細溝を有し、該細溝は、タイヤの上記同様負荷転動の下で、踏面最外側部分が先に接地領域に踏込み、残余の溝部分は踏面内側に向うにつれ順次接地領域に踏込む向きの傾斜配列になり、傾斜細溝を通る踏面円周と、該円周が通る溝縁の接線とがなす角度は10〜45°の範囲内にあることを特徴とする
【0011】
次に、上記傾斜細溝の幅中央を連ねる線に直交する踏面の垂直平面による傾斜細溝の断面にあらわれる該溝両壁面の踏面に対する傾き角度につき、細溝の最外側部分での踏面外側壁面の傾き角度(γ)及び踏面内側壁面の傾き角度(δ)がγ<δの関係を満たし、かつ細溝が最外側部分より最内側に向うにつれ傾き角度(γ)が漸増し、傾き角度(δ)は漸減する傾斜細溝とすることが望ましい。
【0012】
そして好適には互いに隣り合う傾斜溝により区画される1個の最外側陸部の最外側端縁からタイヤ赤道面までの距離の踏面円周に沿う配分を、タイヤの前記同様負荷転動の下で、最初に接地する最外側端縁からの距離を最大とし、それ以降に接地する最外側端縁からの距離を漸減させる。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明を実施例に基づき以下詳細に説明する。
図1は実施例における空気入りラジアルタイヤ(以下タイヤという)の左半断面の一部を示す線図であり、図2は図1に示すタイヤの二つの実施例パターンを合せ示す左半踏面展開図であり、そして図3は図2の展開図に示すA−A線に沿う溝の断面図である。なお図2に示す例での右半踏面はタイヤ赤道面Eに関して左半踏面と対称である。
【0014】
図1において、タイヤは図示を省略した一対のビード部と、一対のサイドウォール部1(片側のみ示す)と、両サイドウォール部1相互間にわたるトロイド状トレッド部2とからなり、ラジアルカーカス3はこれら各部を補強し、ベルト4はトレッド部2を強化する。カーカス3はラジアル配列の有機繊維コ─ド、例えばポリエステルコードの1プライ以上(図示例は2プライ)からなり、ベルト4は2層以上(図示例は2層)のスチールコード交差層と、該層の外周に配置した有機繊維コ─ド、例えばナイロンコードの螺旋巻回層(図示省略)とで構成する。
【0015】
図2に示す踏面2tの展開図は、図1から明らかなように、実際はタイヤ赤道面Eから踏面2tの端縁に向かって末つぼまり状を呈するところを、踏面全幅にわたり同じ円周長さとして簡略図解したものである。図2において、踏面端縁TEは図1に示す曲率半径RZ の円弧で形成されるラウンドショルダ上の踏面端TEと同じ位置にあり、この位置は、図示のように踏面2t端部の円弧の延長線と、バットレスBU の輪郭線の延長線との交点から曲率半径RZ の中心に下ろした線分上に存在するものとする。踏面全幅TWは両側踏面端TE相互間の弧の長さである。
【0016】
図2において、符号CWは踏面2tの最大接地幅であり、この最大接地幅CWは、最大内圧を充てんしたタイヤをこの内圧に対応する荷重にて平板に押し当てたとき得られる幅である。ここに最大内圧とこの内圧に対応する荷重とは、
JATMA YEAR BOOK(1994年)に記載された当該タイヤの空気圧−負荷能力対応表に基づく。この最大接地幅CWは踏面2tの展開幅TW(円弧長さ)より狭い。最大接地幅端位置を直線L1 で示す。
【0017】
ここに最大接地幅CWの0.3〜0.1倍の範囲内の長さに相当する踏面2t幅方向円弧長さで、各最大接地幅端から踏面2t内側に向かう間の踏面2tに端部領域Pを区分するものとし、図2ではこの区分線を直線L2 で示す。そして少なくとも直線L1 、L2 で囲まれる端部領域P内に多数本の傾斜溝10を配列する。この傾斜溝10は踏面2tの端縁に開口する。
【0018】
図2に示すパターンの指定回転方向は矢印Xの向きであり、この矢印Xの向きにタイヤが負荷転動して図示のパターンが接地面に踏込むとき、直線L1 が通る傾斜溝10部分が先に接地領域に踏込み、残余の溝10部分は踏面2t内側に向かうにつれ順次接地領域に踏込む向きに傾斜溝10を傾斜配列するものとする。換言すれば図2に示す左半パターンにおいて、傾斜溝10は端部領域P内にて右下がりの配列になるということである。これとは逆に、図示しない右半パターンでは右上がり配列になる。
【0019】
また傾斜溝10の両溝縁のうち先に接地する溝縁の踏面2tの円周に対する傾斜角度は30〜80°の範囲内にあることが必要であり、望ましくは40〜60°である。
【0020】
なお図2に示すパターンは、傾斜溝10が端部領域Pにて延びた後、この溝10に連なって引き続き該領域P内側からタイヤ赤道面Eに至る間に傾斜の向きを反転させた右上がりの傾斜溝10−1、10−2が延び、これら溝が延びる途中に踏面2tの円周に沿って直状溝11が延びる溝配列構成を有する。もとより傾斜溝10−1、10−2は直状溝11に連通する。排水性には両側端部領域Pが挟む踏面2t領域の溝配列状態が強く係わるので図示の回転方向Xが適正であり、接地面への踏込み側から接地面と離れる蹴出し側に向かって末広がり状に傾斜する傾斜溝10−1、10−2と、直状溝11と、踏面端縁TEに開口している傾斜溝10との連係動作で優れた排水性を確保することができる。
【0021】
ここで、轍などの傾斜面をタイヤが転動しているとき、タイヤに作用する横向き力につき、上記転動状態を断面として示す図6と、この転動状態にあるタイヤ踏面の接地状態を示す図7とに基づき以下説明する。
【0022】
傾斜面転動中のタイヤは図6に示すように、図の山側(右側)では踏面が路面Sに強く押し付けられる一方、図の谷側(左側)の踏面は路面Sから浮き気味になり、その結果踏面の接地形状は図7に示すように図の右側ほど接地長さが長くなる(ただしラウンドショルダでは図示のように接地幅端に丸みが付く)。これは右側サイドウォール部の大きな撓曲変形に伴い図6に示す曲げ力TfがバットレスBuに作用し、この曲げ力Tfによりトレッド部端には曲げモーメントMbが作用するからである。
【0023】
この曲げモーメントMbはトレッド部端に近いほど大きな値を示し、よってトレッド部端に近い踏面部分ほど大きく変形する。この変形は路面Sに対する剪断変形であり、この剪断変形の反力として踏面には路面Sに沿う力Fci(i=1、2 、3 ・・・n 、接地長さ方向の部分)が作用する。結局路面Sに沿うトータルの横向き力としてΣFci=Fcがタイヤに作用する。これはあたかも二輪自動車のコーナリングの際にタイヤにキャンバーを付したときの状態に相応し、横力向き力Fcはキャンバースラストと同義である。
【0024】
一方タイヤの負荷荷重により、トレッド部には傾斜角度ηをもつ路面Sからの垂直力Frが作用しているので、結局タイヤから発生する回転軸心方向の横力Fyは、Fy=Fc・cos η+Fr・sin ηとなる。この横力Fyにより運転者の意図とは無関係に車両が傾斜面Sを急速に駆け登る挙動を示す。横力Fyに係わるファクタのうち寄与率が最も高く、しかも制御可能なファクタは横向き力Fcである。
【0025】
さらに横向き力Fcに対する寄与率が高いトレッド部の部分は踏面端部領域のトレッドゴム陸部形状であり、言い換えれば陸部を区画する溝の配列形態である。ここに踏面2tの最大接地幅CWを示す踏面幅端位置から0.3×CW〜0.1×CWの範囲内にある端部領域Pに先に述べた傾斜溝10を設け、これら傾斜溝10により区画されるトレッドゴム陸部はその接地面内にて、残余の陸部に比しより大きく圧縮変形する。
【0026】
そのとき端部領域Pにおける各陸部は、全体としてタイヤ転動方向Xpに対し鈍角を形成しているため、単純な圧縮変形挙動に止まらず接地表面に対し転動方向Xpとほぼ反対方向に向う変形挙動、すなわち剪断変形挙動を呈する。言い換えれば接地端縁に近い陸部ほど、転動方向Xpと反対方向により大きな剪断変形が生じる。その結果この剪断変形の向きと反対向きの反力が接地陸部に生起し、結局接地踏面端部には反力全体を足し合せた反力FXS(図7参照)が作用することになる。
【0027】
上記反力FXSは、図7に示すようにタイヤ赤道面E上に存在するタイヤ荷重の作用点Oの回りに矢印の向きの回転モーメントMXSを生じさせる。この回転モーメントMXSはタイヤの転動方向Xp(車両進行方向、接地踏面では回転方向と反対方向)に対し作用点Oの回りにタイヤを角度αXSだけ矢印の左側に向けるように働く。結局角度αXSはタイヤを図で左側に向かわせるスリップアングルに相応するので、回転モーメントMXSは横力Fcを減殺することになり、車両の傾斜面Sの駆け登りを抑制することが可能となり、その結果ワンダリング現象を大幅に改善することができる。
【0028】
また上述した傾斜溝10の幅中央を連ねる線(図示省略)に直交する踏面2tの垂直平面による断面を、図2でA−A線に沿う断面図として図3に示す。図3において、傾斜溝10の両壁面の踏面2tに対する傾き角度α、βのうち、指定回転方向(図2の矢印Xが示す回転方向)にタイヤが負荷転動したとき、先に接地する溝縁側の傾き角度βが、後から接地する溝縁側の傾き角度αより大きくするのが好適である。なぜならα<βとすることにより、回転方向X側(踏込み側)の陸部の剛性がより低下する一方、転動方向Xp側陸部の剛性はより増加するので、前述の変形成分をより大きくし、反力FXSと回転モーメントMXSとの増大に寄与するからである。
【0029】
また、上述した実施例の発展例として、互いに隣り合う傾斜溝10相互間にわたって延びる傾斜細溝12を設ける。これら傾斜細溝12は、図2に示すように、タイヤ赤道面Eを挟む両側(図では片側のみ示す)の踏面2t上に、タイヤ赤道面Eからの幅方向円弧長さで最大接地幅CWの0.15〜0.4倍の範囲で区分する、図では直線L3 と直線L4 との間で囲む、端部領域Pから中央領域に至る間の遷移領域Q内に位置させる。
【0030】
これら傾斜細溝12は、先に述べた指定回転方向へのタイヤの負荷転動下で、好適には踏面2tの最外側部分が先に接地領域に踏込み、残余の溝12部分は踏面2t内側に向かうにつれ順次接地領域に踏込む向きの傾斜配列とする。そして傾斜細溝12を通る踏面2tの円周と、この円周が通る溝縁の接線とがなす角度φは10〜45°の範囲内であり、望ましくは20〜40°の範囲内である。傾斜細溝12の両端は傾斜溝10に連通させ、溝12の深さは溝10の70〜100%の範囲内に収めるのが好ましい。
【0031】
上記傾斜細溝12を設けることで、互いに隣り合う傾斜溝10の間で区画される陸部はブロック化するため、端部領域Pの陸部は前述の剪断変形成分をより一層増し易くなり、その結果より大きな反力FXSとより大きな回転モーメントMXSとが得やすくなる。
【0032】
また傾斜細溝12の幅中央を連ねる線(図示省略)に直交する踏面2tの垂直平面による傾斜細溝12の断面にあらわれる両壁面の踏面2tに対する傾き角度について、細溝12の最外側部分での踏面2t外側壁面の傾き角度γ、同様内側壁面の傾き角度δがγ<δの関係を満たし、かつ細溝12が最外側部分より最内側に向うにつれ傾き角度γが漸増し、傾き角度δは漸減する。このありさまを図4(a)、(b)を例として以下説明する。
【0033】
図4(a)、(b)は細溝12の図2に示すB−B線及びC−C線に沿う断面図である。すなち図4(a)には傾斜細溝12の最外側部分寄りの断面を示し、踏面2t外側壁面の傾き角度γbと、踏面2t内側壁面の傾き角度δbとが、γb<δbの関係を満たす。一方、傾斜細溝12の最内側部分寄り断面を示す図4(b)から明らかなように、踏面2t外側壁面の傾き角度γcと、踏面2t内側壁面の傾き角度δcとは、上記傾き角度γb、δbに関し、γb<γc、δb>δcの関係をもつ。図4(b)に示す例は角度γb、δbの漸増、漸減の度合いが著しい場合であり、この度合いは調整を可とし、例えば添字b、cを省いて、角度γは90°を含む鋭角の範囲内で漸増させ、角度δは90°を含む鈍角の範囲内で漸減させることもできる。
【0034】
これらを纏めれば傾斜細溝12は、最外側溝部分から最内側溝部分に至る間に、傾き角度γを漸増させると共に傾き角度δを漸減させる、いわば捩じり溝の形態をとる。このような捩じり細溝12を設けることで、単なるブロック効果を超えた反力FXSと回転モーメントMXSの増大効果が得られる。
【0035】
図5に別の実施例パターンを示す。図5は踏面2tの最大接地幅CW内の踏面展開図を図2と同様に示すものであり、このパターンの図2に示したパターンとの大きな相違点は、タイヤ赤道面Eを挟む両側踏面2tに、その円周に沿う2本の直状溝13、14を設けた点と、特に、互いに隣り合う2本の傾斜溝10で区画する1個の最外側陸部の最外側端縁からタイヤ赤道面Eまでの距離の踏面2t円周に沿う配分を変化させた点にある。
【0036】
後者については、先に述べたタイヤの負荷転動の下で、最初に接地する最外側陸部の最外側端縁からの上記距離を最大として、この距離が最大接地幅CWに相当し、それ以降に接地する最外側端縁からの距離を漸減させるものである。言い換えれば1個の最外側陸部の最外側端縁位置を、矢印Xの回転方向とは反対方向に向かって踏面2t内側に滑らかに狭めることである。この狭める手段の一例として、図5に示すY−Y線及びZ−Z線に沿う断面輪郭を図1に前者を破線で、後者を実線で示すように、ラウンドショルダの曲率半径RZ 、RY をRZ <RY とし、これらに相当する踏面幅CWZ 、CWY をCWZ >CWY とするのが適当である。
【0037】
このように踏面幅を1個の最外側陸部について、最初に接地する側から順次狭めることは、やはり先に述べた反力FXSと回転モーメントMXSとを共に増大させ、もって横力Fcの減殺をより一層有効ならしめることに多大に寄与させることができる。
【0038】
【実施例】
乗用車用空気入りラジアルタイヤで、サイズが235/45R17であり、そのカーカス3は2プライの1500D/2のポリエステルコードプライからなり、ベルト4は2層の1×5構造のスチールコード交差層と、1層の1260D/2のナイロンコードの広幅螺旋巻回層と、その両側端部外側をそれぞれ覆う1層の同様狭幅螺旋巻回層とからなる。スチールコード交差層は、その内側層の幅が225mm、外側層の幅が215mmであり、スチールコードはタイヤ赤道面Eに対し22°の傾斜配列とした。広幅螺旋巻回層の幅は230mm、狭幅螺旋巻回層の幅は48mmとした。
【0039】
上記を共通として、実施例1〜5のタイヤと比較例のタイヤとを準備した。適用したトレッドパターンは、実施例1、2が図2のうち傾斜細溝12を除いたパターン、実施例3、4が図2に従うパターン、実施例5が図5に従うパターンであり、比較例タイヤは図8に従うパターンである。各タイヤの踏面2tの展開幅TWは240mmであった。これらのタイヤをJATMAが定めるとろに従い、内圧2.4kgf/cm2 、荷重650kgf の条件で平板に押し当てて得られた最大接地幅CW(CWZ )は196mm、実施例5の接地幅CWY は188mmであった。各例タイヤの傾斜溝10、10−5の配列ピッチ数は63とした。傾斜溝10(10−5)、傾斜細溝12に係わる諸元を表1に示す。なお表1に記載した溝壁角度δb、γb、δc、γcは傾斜溝10に最も近い位置での角度を示した。
【0040】
【表1】
Figure 0003884497
【0041】
実施例1〜5及び比較例のタイヤを供試タイヤとして、これらをそれぞれ2500ccのFRタイプ国産乗用車の4輪に装着し、テストドライバを含む2名乗員により、まず深い轍が形成されたテスト路面を80〜100km/hの速度で走行し、テストドライバが直進安定性をフィーリングにより評価した。評価は比較例を100とする指数にてあらわし、値は大なるほどよいとした。結果を表1の下段に示す。
【0042】
次に水深2mmのウエット路面を上記同様条件にて走行し、ウエット操縦安定性を、併せてドライ操縦安定性をそれぞれフィーリングにより評価したところ、各タイヤ相互間にさほどの優位差は認められなかったので表1への記載を省略した。
【0043】
各実施例のタイヤはいずれも比較例タイヤと同等の優れたウエット、ドライ両操安性を示す一方で、表1から、直進安定性に関しては比較例タイヤ対比格段に優れた性能を発揮していることがわかり、これら実施例の直進安定性レベルは市場の要求を十分に満たすレベルであることを別途確かめている。
【0044】
【発明の効果】
この発明によれば、ウエット及びドライ両路面での高速走行に優れた操縦安定性を発揮する回転方向指定の偏平率が60%以下のラジアルタイヤ特有の不利な性能とされていたワンダリング現象を、上記の優れた操縦安定性を保持した上で市場の要望を十分満たす程度まで改善して、轍路面などの傾斜面の高速走行における直進安定性を顕著に向上させた空気入りラジアルタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるタイヤの線図的一部左半断面図である。
【図2】この発明による実施例タイヤの左半トレッドパターン展開図である。
【図3】図2に示す傾斜溝のA−A線に沿う断面図である。
【図4】図2に示す傾斜細溝のB−B線及びC−C線に沿う断面図である。
【図5】この発明による他の実施例タイヤのトレッドパターン展開図である。
【図6】傾斜面を走行するタイヤに作用する力の説明図である。
【図7】図6に示すタイヤ踏面の接地状態と踏面に作用する力及び回転モーメントとの説明図である。
【図8】従来例タイヤのトレッドパターン展開図である。
【符号の説明】
1 サイドウォール部
2 トレッド部
2t 踏面
3 ラジアルカーカス
4 ベルト
10 端部領域の傾斜溝
10−1、10−2、10−3、10−4 両端部領域が挟む領域の傾斜溝
11、13、14 直状溝
12 端部領域の傾斜細溝
CW 最大接地幅
TW 踏面の幅方向弧の長さ
TE 踏面端縁
P 端部領域
Q 遷移領域
X 回転方向
Xp 転動方向

Claims (5)

  1. 一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部相互間にわたるトロイド状トレッド部とからなり、これら各部を補強するラジアルカーカスと、該カーカスの外周でトレッド部を強化するベルトとを備え、トレッド部の踏面側に多数本の方向性をもつ傾斜溝を配列したパターンを有する、偏平率60%以下で回転方向指定の空気入りラジアルタイヤにおいて、最大内圧を充てんした上記タイヤを内圧に対応する荷重にて平板に垂直に押し当てて得られる最大接地幅(CW)の0.3〜0.1倍の範囲内の長さに相当する踏面幅方向円弧長さで、各最大接地幅端から踏面内側に向かう間の踏面に区分した端部領域内に少なくとも上記傾斜溝が存在して踏面端縁に開口し、上記端部領域内の傾斜溝は、タイヤが指定回転方向に負荷転動するとき、最大接地幅端位置の溝部分が先に接地領域に踏込み、残余の溝部分は踏面内側に向うにつれ順次接地領域に踏込む向きの傾斜配列になり、かつ傾斜溝の両溝縁のうち先に接地する溝縁の踏面円周に対する傾斜角度は30〜80°の範囲内にあり、上記傾斜溝の幅中央を連ねる線に直交する踏面の垂直平面による傾斜溝断面にあらわれる該溝両壁面の踏面に対する傾き角度につき、タイヤの上記同様負荷転動の下で、先に接地する溝縁側の傾き角度(β)と、後に接地する溝縁側の傾き角度(α)とが、α<βの関係を有することを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 一対のビード部及び一対のサイドウォール部と、両サイドウォール部相互間にわたるトロイド状トレッド部とからなり、これら各部を補強するラジアルカーカスと、該カーカスの外周でトレッド部を強化するベルトとを備え、トレッド部の踏面側に多数本の方向性をもつ傾斜溝を配列したパターンを有する、偏平率60%以下で回転方向指定の空気入りラジアルタイヤにおいて、最大内圧を充てんした上記タイヤを内圧に対応する荷重にて平板に垂直に押し当てて得られる最大接地幅(CW)の0.3〜0.1倍の範囲内の長さに相当する踏面幅方向円弧長さで、各最大接地幅端から踏面内側に向かう間の踏面に区分した端部領域内に少なくとも上記傾斜溝が存在して踏面端縁に開口し、上記端部領域内の傾斜溝は、タイヤが指定回転方向に負荷転動するとき、最大接地幅端位置の溝部分が先に接地領域に踏込み、残余の溝部分は踏面内側に向うにつれ順次接地領域に踏込む向きの傾斜配列になり、かつ傾斜溝の両溝縁のうち先に接地する溝縁の踏面円周に対する傾斜角度は30〜80°の範囲内にあり、タイヤ赤道面を挟む両側の踏面上に、タイヤ赤道面からの幅方向円弧長さで最大接地幅(CW)の0.15〜0.4倍の範囲で区分する領域内に位置し、かつ踏面円周に沿って互いに隣合う上記傾斜溝の相互間にわたって延びる傾斜細溝を有し、該細溝は、タイヤの上記同様負荷転動の下で、踏面最外側部分が先に接地領域に踏込み、残余の溝部分は踏面内側に向うにつれ順次接地領域に踏込む向きの傾斜配列になり、傾斜細溝を通る踏面円周と、該円周が通る溝縁の接線とがなす角度は10〜45°の範囲内にあることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  3. タイヤ赤道面を挟む両側の踏面上に、タイヤ赤道面からの幅方向円弧長さで最大接地幅(CW)の0.15〜0.4倍の範囲で区分する領域内に位置し、かつ踏面円周に沿って互いに隣合う上記傾斜溝の相互間にわたって延びる傾斜細溝を有し、該細溝は、タイヤの上記同様負荷転動の下で、踏面最外側部分が先に接地領域に踏込み、残余の溝部分は踏面内側に向うにつれ順次接地領域に踏込む向きの傾斜配列になり、傾斜細溝を通る踏面円周と、該円周が通る溝縁の接線とがなす角度は10〜45°の範囲内にある請求項1に記載したタイヤ。
  4. 上記傾斜細溝の幅中央を連ねる線に直交する踏面の垂直平面による傾斜細溝の断面にあらわれる該溝両壁面の踏面に対する傾き角度につき、細溝の最外側部分での踏面外側壁面の傾き角度(γ)及び踏面内側壁面の傾き角度(δ)がγ<δの関係を満たし、かつ細溝が最外側部分より最内側に向うにつれ傾き角度(γ)が漸増し、傾き角度(δ)は漸減する請求項2又は3に記載したタイヤ。
  5. 互いに隣り合う傾斜溝により区画される1個の最外側陸部の最外側端縁からタイヤ赤道面までの距離の踏面円周に沿う配分を、タイヤの前記同様負荷転動の下で、最初に接地する最外側端縁からの距離を最大とし、それ以降に接地する最外側端縁からの距離を漸減させる請求項1〜4のいずれか一項に記載したタイヤ。
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