JP3884107B2 - 成膜方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気圧または融点の異なる2種以上の元素からなるターゲットをレーザ光の照射により蒸発させ、所望の基板表面に前記ターゲット材料を成膜する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ターゲットにレーザ光を照射して蒸発物質を基板表面に成膜して超電導膜または誘電体膜などの薄膜を形成する試みがなされている。このレーザ蒸着法は、高品質の薄膜を高速度で基板表面に形成できるという特徴を有する。前記レーザ蒸着法は、広い面積の基板に均一な薄膜を形成することが困難であるという課題があったが、レーザ光をターゲット上に線状(矩形状)に集光するか、またはミラーでレーザ光を走査しながらターゲット上に照射することにより帯状の蒸発エリアとし、前記ターゲットと対向する基板表面に蒸発物質を蒸着することにより解決することができた。
【0003】
一方、酸化物超電導体のような蒸気圧または融点の異なる2種以上の元素からなる多元化合物薄膜を前記レーザ蒸着法により成膜する場合には、1つの多元化合物焼結体からなるターゲットを用いて光学系や装置構造を簡素化することが行われている。多元化合物焼結体からなるターゲットを用いて成膜する場合、基板に成膜される膜組成とターゲット組成を等しくするためにはレーザ光の照射面での照射エネルギー密度、いわゆる『フルエンス』が前記多元化合物を全て蒸発させるしきい値以上にすることが必要がある。つまり、例えば前記ターゲットに対して斜めの方向から入射されるレーザ光のようなターゲットの照射面でフルエンスに分布を持つレーザ光を用いると、前記しきい値以上のフルエンス領域が照射された多元化合物焼結体からなるターゲット部分では、基板に成膜される膜組成は前記ターゲット組成を反映したものになる。しかしながら、前記しきい値未満のフルエンス領域が照射されたターゲット部分では、蒸気圧が高いか、または融点の低い元素が蒸発し、その部分に蒸気圧が低いか、融点の高い元素が残留する。通常、長時間成膜する場合にはターゲット全体を有効に利用するためにターゲットを一定速度で移動させながらレーザ光を照射することが行われている。その結果、前記蒸気圧が低いか、融点の高い元素が残留したターゲット部分にレーザ光(特にしきい値以上のフルエンス領域)が再度照射されると、成膜された膜の組成が多元化合物のターゲット組成からずれる。
【0004】
このようなことから、しきい値以上のフルエンスを持つ均一なレーザ光をターゲットに照射することがターゲット組成に等しい組成を有する膜を得る点で重要であると考え、レーザ光路中に前記しきい値未満のフルエンス領域をカットするアパーチャーを配置する工夫がなされている。しかしながら、アパーチャーでレーザ光をカットすると、ターゲットでの照射面積が減少するため、レーザ光の有効な活用が困難になる。これは、大面積の基板への成膜の点から好ましくない。
【0005】
なお、前記多元化合物焼結体からなるターゲットにフルエンスに分布を持つレーザ光の照射するに際し、一度レーザ光が照射された領域に再度レーザ光が照射されないように前記ターゲットを移動させれば、ターゲット組成と等しい組成の膜を基板に成膜することが可能になるが、ターゲットの利用効率が極端に低下するため、現実的な手法ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ターゲットの利用効率を低下させず、かつアパーチャを用いることなく、所期目的の組成を有する薄膜を長時間安定して形成することが可能な成膜方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る成膜方法は、基板と対向配置された蒸気圧または融点の異なる2種以上の元素からなるターゲットを移動させながら、レーザ光を照射してアブレーションを行い、その蒸発物質を前記基板に付着させて成膜する方法において、
矩形状の照射面で前記ターゲットの全ての元素をターゲットとほぼ同じ組成で蒸発させるしきい値以上のフルエンスを持つ第1領域と前記しきい値未満のフルエンスを持つ第2領域とを有するレーザ光を用い、このレーザ光を前記ターゲットに照射してアブレーションを行った後、前記ターゲットを移動させ、前記レーザ光を前記ターゲットにしきい値以上のフルエンスを持つ前記第1領域が直前の照射面のうちの第2領域が照射された領域に一定の面積で重なるように照射する工程を繰り返すことを特徴とするものである。
【0008】
前記成膜方法において、前記第2領域は前記レーザ光照射面の10〜66%占めることが好ましい。
前記成膜方法において、前記基板と対向する前記ターゲットの表面に、前記レーザ光の透過と蒸発物質の通過を兼ねる開口部を有するマスクを近接して配置することが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる成膜装置および成膜方法を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係わる成膜装置を示す概略図、図2は図1のターゲット付近を示す拡大断面図である。
【0010】
架台1の支持板2には、上下に天板3および底板4を有する円筒状の真空容器5が気密に固定されている。メインバルブ6が連結された第1排気管7は、前記真空容器5の左側壁に取り付けられている。前記メインバルブ6には、ターボポンプ8およびロータリポンプ9が順次連結されている。レーザ光導入管10は、前記真空容器5の右側壁に傾斜して連結され、かつ透過窓11は前記導入管10の先端に取り付けられている。上板12を有する有底円筒状のボックス13は、前記真空容器5の天板3にその底部が前記真空容器5内まで延出するように吊下されている。ハロゲンランプ14は、前記ボックス13内の底部付近に配置され、このランプ14両端のリードは前記ボックス13の上板12に取り付けられた一対の端子15a、15bにそれぞれ接続されている。図示しないロータリーポンプは、前記ボックス13の上板12に第2排気管(図示せず)を通して連結され、前記ボックス13内を所定の真空度にすることにより前記ハロゲンランプ14からの輻射エネルギーの増大化を図っている。
【0011】
蒸気圧または融点の異なる2種以上の元素からなる例えば円板状のターゲット16は、前記支持板2および底板4を貫通して前記真空容器5内の中心付近に延出された回転軸17上に支持・固定されている。前記回転軸17は、前記支持板2下面に取り付けられた図示しない第1モータにより回動される。図2の(A)、(B)に示すように後述するレーザ光の透過と蒸発物質の通過を兼ねる開口部18を有するマスク19は、前記ターゲットの上面に近接して配置されている。円板状のシャッタ20は、前記支持板2および底板4を貫通して前記真空容器5内に延出された回転軸21上に前記ターゲット16の上方に位置するように支持・固定されている。前記回転軸21は、前記支持板2下面に取り付けられた図示しない第2モータにより回動される。基板ホルダ22は、前記シャッタ20と前記ボックス13との間の前記真空容器5内に配置されている。
【0012】
レーザ光発振器23は、前記真空容器5の外部に配置されている。前記レーザ光発振器23から発振されたレーザ光24の前記透過窓11に至る光路には、前記レーザ光発振器23側からミラー25および例えばシリンドリカルレンズからなる集光レンズ26が順次配置されている。
【0013】
次に、前述した成膜装置を用いて本発明に係わる成膜方法を説明する。
まず、真空容器5内に配置された基板ホルダ22の凹部に所望の基板27を支持・固定する。ターボポンプ8およびロータリポンプ9を駆動して前記真空容器5内のガスをメインバルブ6および第1排気管7を通して排気し、前記真空容器5内を所望の真空度にする。また、図示しないロータリーポンプを駆動してボックス13内のガスを第2排気管(図示せず)を通して排気し、前記ボックス13内を前記真空容器5と同程度の真空度にした後、端子15a、15bを通してハロゲンランプ14に通電して発熱させることにより前記ハロゲンランプ14の下方に配置された前記基板27を所望の温度に加熱する。図示しない第2モータを駆動して回転軸21を回動することによって、前記回転軸21に支持されたシャッタ20をターゲット16の直上に位置させる。
【0014】
このような成膜の準備が完了した後、レーザ光発振器23を駆動することによりパルスレーザ光24が発振される。レーザ光24は、図3の(A)、(B)に示すようにミラー25で反射され、集光レンズ26で所定の焦点距離で集光される。集光された線状(矩形状)のレーザ光24は、前記真空容器5の透過窓11およびマスク19の開口部18を通過して蒸気圧または融点の異なる2種以上の元素からなる円板状のターゲット16に対して所定の浅い仰角(Θ)にて照射される。
【0015】
前記レーザ光24の前記ターゲット16への照射において、図4に示すようにそのレーザ光24の焦点を前記ターゲット16表面に合致させると、レーザ光照射面31ではフルエンス分布を示し、前記ターゲット16の全ての元素を蒸発させるしきい値以上のフルエンスを持つ幅Waの第1領域32aとこの第1領域32aの両側に位置し、前記しきい値未満のフルエンスを持つ幅Wbの第2領域32bとが形成される。ここで、Wa>Wbとする。
【0016】
1回目のパルスレーザ光24のターゲット16への照射において、図5に示すようにレーザ光照射面311 のうち、しきい値以上のフルエンスを持つ第1領域32a1 が照射されたターゲット16部分から蒸発された成分の組成は前記ターゲット16の組成を反映したものになり、第1領域32a1 の照射部におけるターゲット16の組成も変化しない。一方、前記照射面311 のうち、しきい値未満のフルエンスを持つ第2領域32b1 が照射されたターゲット16部分からは蒸気圧が高い(もしくは融点の低い)元素が蒸発され易く、前記第2領域32b1 の照射面に蒸気圧が低い(もしくは融点の高い)成分が残留する。ただし、しきい値未満のフルエンスを持つ第2領域32b1 で蒸発された成分は、しきい値以上のフルエンスを持つ第1領域32a1 で蒸発された成分より運動エネルギーが小さく、散乱され易いために、前記基板27への到達確率が極めて低い。その結果、蒸着組成はしきい値以上のフルエンスを持つ第1領域32a1 で蒸発された成分組成、つまりターゲット組成になる。換言すれば、基板27に蒸着され成分組成は前記レーザ光照射面のうち、しきい値以上のフルエンスを持つ第1領域32a1 からの蒸発物質でほぼ一義的に決められる。
【0017】
次いで、ターゲット16を回転し、前記ターゲット16を1回目の照射面311 の第1、第2の領域32a1 、32b1 の配列方向に前記第2領域32b1 の幅Wbに相当する距離移動させた後、図6に示すように2回目のパルスレーザ光をそのレーザ光照射面312 のうち、しきい値以上のフルエンスを持つ前記第1領域32a2 が前記1回目のパルスレーザ光の照射工程における照射面311 のうち、第2領域32b1 (図6の右側の第2領域)が照射された蒸気圧が高い(もしくは融点の低い)元素を蒸発した領域、つまり蒸気圧が低い(もしくは融点の高い)成分が残留した領域に一定の面積で重なるように照射すると、前記第2領域32a2 が照射されたターゲット16部分から蒸発された成分の組成は前記第1領域32b1 の残留した蒸気圧が低い(もしくは融点の高い)元素とターゲットの組成成分とからなる。つまり、前記第2領域32a2 からのターゲットの蒸発成分の組成は、この領域32a2 に占める1回目のレーザ光照射面の第2領域32b1 の面積Sr とターゲット組成を有する領域の面積Sの面積比(Sr /S)で決められる。この時、2回目のレーザ光照射面のうち、しきい値未満のフルエンスを持つ第2領域32b2 (図6の右側の第2領域)が照射されたターゲット面では前述したように蒸気圧が低い(もしくは融点の高い)成分が残留する。
【0018】
この後、ターゲット16をさらに回転し、前記ターゲット16を第1、第2の領域の配列方向に2回目の照射面312 の第2領域32b2 の幅に相当する距離移動させた後、3回目のレーザ光をその第1領域が2回目のレーザ光照射における第2領域32b2 に同じ面積で重なるようにターゲットに照射する工程を逐次繰り返すことによって、前記面積比で決定される成分組成、つまりターゲット組成に比べて蒸気圧が低い(もしくは融点の高い)元素が多く含まれる組成を有する均一な膜を前記基板27に成膜することが可能になる。
【0019】
なお、基板27への成膜に際しては蒸発状態が安定した時点で、前記第2モータ(図示せず)を駆動して回転軸21を回転することによって、前記回転軸21に支持されたシャッタ20を開放し、前述した操作を行って前記ターゲット16からの蒸発物質を前記マスク19の開口部18を通して前記基板27の下面に付着して成膜を行う。
【0020】
前記ターゲット16としては、例えばY−Ba−Cu系、Bi−Sr−Ca−Cu系、Tl−Ba−Ca=Cu系、Hg−Ba−Ca−Cu系、Nd−Ba−Cu系などの酸化物超電導体形成ターゲット;BaTiO3、PbTiO3、LiNbO3などの誘電体形成ターゲット;WSiNX などの配線形成ターゲット;GaAs、GaAlPなど化合物半導体形成ターゲット等を用いることができる。
【0021】
特に、Y−Ba−Cu系ターゲットにおいて、Baリッチ、Cuリッチのターゲットでは過剰なBa、Cuがその中に微細に存在している組織を有することが好ましい。ただし、ターゲットを作製するための焼結時の温度が高いとBaCuの酸化物が塊状に析出する。100μm以上の粒径のBaCu酸化物が混在したターゲットを用いると、成膜中に組成変動が生じる恐れがある。このため、大きなBaCu酸化物がターゲット中に析出しないように焼成温度を1000℃以下、より好ましくは900℃以下、さらに好ましくは800℃以下で行うことが望ましい。このような低温焼結により得たターゲットは密度が85%以下になる。
【0022】
前記ターゲット16の形状は円板状に限らず、例えば矩形板状のものを用いてもよい。また、八角柱状または図7に示す円柱状のターゲット28を用い、シリンドリカルレンズ等によりラインフォーカスしたレーザ光29の照射面から帯状に蒸発させて前記ターゲット16の上方に位置する基板27に所定の組成の膜を成膜してもよい。このようなターゲット28およびラインレーザ光29を用いることによって、大面積の基板に効率よく成膜することが可能になる。なお、図7に示す成膜において、ラインレーザ光の幅が円柱状のターゲット28の長さLより大きくなると、レーザ光がターゲットの側面(円形面)に回り込んで、その側面からも蒸発が起こって膜組成がずれる要因になる。このような問題を避けるためには、図8の(A)、(B)、図9の(A)、(B)に示すように側面を凹状に窪ませることが好ましい。また、図7に示す円柱状のターゲット28にレーザ光を照射する場合には、照射面が曲面であるため、照射端の焦点ずれが大きくなる恐れがある。このため、レーザ光照射面の短辺Wはターゲット28円周の20%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下にすることが望ましい。
【0023】
前記ターゲット16上のレーザ光照射面におけるしきい値未満のフルエンスを持つ第2領域の占有率(面積率)は、基本的にレーザ光照射面でのターゲットの組成比を変化させる範囲内で選択すればよく、特に限定されないが、10〜66%にすることが好ましい。前記第2領域の面積率を10%未満にすると第2領域、蒸気圧が低い(もしくは融点の高い)元素が残留する領域、が少なくなって膜の組成制御を困難になる恐れがある。一方、前記第2領域の面積率が66%を越えるとしきい値未満のフルエンスを持つ第2領域1/2よりしきい値以上のフルエンスを持つ第1領域の面積が小さくなるため、膜の組成制御が困難になって再現性が低下する恐れがある。より好ましい第2領域の占有率(面積率)は、20〜66%、さらに好ましい面積率は20〜60%である。前述した図4に示すレーザ光の照射において、前記第2領域32bの面積率はレーザ光の入射角Θにより変化させることが可能である。例えば、f(=L)が500mmの集光レンズを用いた場合、Θ=40゜で前記第2領域の面積率は15%、Θ=30゜で前記第2領域の面積率は30%、Θ=15゜で前記第2領域の面積率は45%になる。f(=L)が300mmの集光レンズを用いた場合、Θ=40゜で前記第2領域の面積率は10%、Θ=30゜で前記第2領域の面積率は20%、Θ=15゜で前記第2領域の面積率は30%になる。f(=L)が200mmの集光レンズを用いた場合、Θ=40゜で前記第2領域の面積率は5%、Θ=30゜で前記第2領域の面積率は10%、Θ=15゜で前記第2領域の面積率は15%になる。
【0024】
前記レーザ光照射面のピークフルエンスEpは、1J/cm2 以上にすることが好ましい。前記第1領域および前記第2領域を区画するしきい値フルエンスEsは、ピークフルエンスEpの80%以下、より好ましくは10〜80%、さらに好ましくは30〜80%にすることが望ましい。
【0025】
特に、前記しきい値未満のフルエンスを持つ第2領域の照射面に占める上限およびピークフルエンスの下限は、ターゲットの表面組成を変化させるための前記第2領域から蒸発する成分による膜組成への影響が小さくなるように決定することが必要である。
【0026】
また、ターゲットとして123組成のYBCOターゲットを用いてYリッチ組成の膜を成膜する場合にはレーザ光の照射面においてピークフルエンスの10〜60%のしきい値未満のフルエンスを持つ第2領域の占有率(面積率)を10〜66%にすることが好ましい。すなわち、1.2J/cm2 のピークフルエンスを持ち、照射面においてピークフルエンスから所定比率低減させたフルエンスを持つ領域の面積率を変化させたレーザ光を123組成のYBCOターゲットに照射した時の膜とターゲットのY組成の差を下記表1に示す。
【0027】
【表1】
Figure 0003884107
【0028】
前記表1から明らかなように、123組成のYBCOターゲットを用いて磁場中での臨界電流密度(Jc)が高いYリッチ組成の膜を成膜する場合には、照射エネルギーが0.1〜1.0J/cm2 の領域(前述した第2領域に相当)が照射面中に10〜66%占めることが好ましい。前記領域の占有面積が70%を越えるとYリッチYBCO膜の組成の再現性が低下する。
【0029】
前記集光されたレーザ光24のターゲット16上の照射面は、図10に示すようにレーザ光24の入射方向に沿う辺aに対して直角な方向の辺bが長い矩形状にすることが大面積の基板への成膜の点で好ましい。前記辺aの長さが前記片bの長さより長くすると、照射面31でのレーザ光の焦点ずれが大きくなる恐れがある。特に、前記照射面は前記辺bが前記辺aの長さの1.5倍以上、より好ましくは5倍以上、さらに好ましくは20倍以上にすることが望ましい。生産性を高める観点から、前記照射面は前記辺bが前記辺aの長さの100倍以上することが好ましい。なお、前記b/aの比(倍率)の上限は制限がないが、以下の理由から2000倍にすることが好ましい。レーザ光の光路に位置するミラーの寿命を考慮すると、レンズで集光する前のレーザ光のフルエンスは0.2J/cm2 以下であることが好ましい。例えばYBCOからなるターゲットの蒸発が起こるフルエンスのしきい値はその5倍であるため、照射面の面積は照射前のレーザ光の面積の1/5以下にすることが必要である。使用されるレーザ光の出力面積は約2〜10cm2 であるのでターゲット16上の照射面積は0.2〜2cm2 になる。量産性を考慮すると、前記照射面31の辺aの長さは0.01cm以上必要であるが、0.01cmの時には辺bは4〜20cmまで広げることが可能である。したがって、b/aの上限は2000倍になる。
【0030】
前記集光されたレーザ光24は、ターゲット16に対して40゜以下の浅い仰角で入射させることが好ましい。このような浅い入射角度でのレーザ光の照射によりターゲット16からの蒸発物質が前記透過窓11に到達してレーザ光の透過率が低下するのを防止することが可能になる。
【0031】
前記レーザ光の照射において、集光レンズとレーザ光照射面の中心との距離Lを集光レンズの焦点距離fに対しL=f±αf;αは係数、となるように集光レンズ26またはターゲット16の位置を変化させることによって、前述した第1、第2の領域の形状を制御することが可能である。例えば、図11に示すようにL=f−αfとなるように集光レンズ26またはターゲット16の位置を変化させることによって、レーザ光の照射面31において入射方向の奥側にしきい値以上のフルエンスを持つ第1領域32aが、入射方向の手前側にしきい値未満のフルエンスを持つ第2領域32bが、それぞれ形成される。図12に示すようにL=f+αfとなるように集光レンズ26またはターゲット16の位置を変化させることによって、レーザ光の照射面31において入射方向の手前側にしきい値以上のフルエンスを持つ第1領域32aが、入射方向の奥側にしきい値未満のフルエンスを持つ第2領域32bが、それぞれ形成される。このような図11、図12のように集光レンズ26とレーザ光照射面の中心との距離Lをずらした場合、前記第2領域32bの面積率はレンズの焦点距離f、フォーカスずれαおよび入射角Θにより変化させることが可能である。例えば、f=300mmの集光レンズを用い、α=5%ずらした場合、Θ=40゜で前記第2領域の面積率は20%、Θ=30゜で前記第2領域の面積率は30%、Θ=15゜で前記第2領域の面積率は40%になる。f=200mmの集光レンズを用い、α=5%ずらした場合、Θ=40゜で前記第2領域の面積率は30%、Θ=30゜で前記第2領域の面積率は40%、Θ=15゜で前記第2領域の面積率は50%になる。
【0032】
また、前記レーザ光の照射において集光レンズを傾斜させることにより、前述した第1、第2の領域の形状を制御することが可能である。例えば、図13に示すようにレーザ光24の入射方向に対して直角方向と集光レンズ26の中心面となす角度φをマイナス側に変化させることによって、レーザ光の照射面31において入射方向の奥側にしきい値以上のフルエンスを持つ第1領域32aが、入射方向の手前側にしきい値未満のフルエンスを持つ第2領域32bが、それぞれ形成される。図14に示すようにレーザ光24の入射方向に対して直角方向と集光レンズ26の中心面となす角度φをプラス側に変化させることによって、レーザ光の照射面31において入射方向の手前側にしきい値以上のフルエンスを持つ第1領域32aが、入射方向の奥側にしきい値未満のフルエンスを持つ第2領域32bが、それぞれ形成される。このような図13、図14において、前記第2領域32bの面積率は集光レンズ26の傾斜角度φにより変化させることが可能である。例えば、f=500mmの集光レンズを用い、入射角Θ=40゜とした場合、φ=0゜で前記第2領域の面積率は15%、φ=15゜で前記第2領域の面積率は20%、φ=30゜で前記第2領域の面積率は25%、φ=45゜で前記第2領域の面積率は30%になる。同じ焦点距離の集光レンズを用い、入射角Θ=30゜とした場合、φ=0゜で前記第2領域の面積率は30%、φ=15゜で前記第2領域の面積率は35%、φ=30゜で前記第2領域の面積率は40%、φ=45゜で前記第2領域の面積率は45%になる。f=30mmの集光レンズを用い、入射角Θ=40゜とした場合、φ=0゜で前記第2領域の面積率は10%、φ=15゜で前記第2領域の面積率は15%、φ=30゜で前記第2領域の面積率は20%、φ=45゜で前記第2領域の面積率は25%になる。同じ焦点距離の集光レンズを用い、入射角Θ=30゜とした場合、φ=0゜で前記第2領域の面積率は20%、φ=15゜で前記第2領域の面積率は25%、φ=30゜で前記第2領域の面積率は30%、φ=45゜で前記第2領域の面積率は35%になる。
【0033】
前記レーザ光24をターゲット16に照射する際、前述した図2に示すよう前記ターゲット16上面に所定の開口部18を有するマスク19を近接して配置することによって、ターゲット16からの蒸発物質が再付着して基板に成膜される膜組成が変動するのを防止することが可能になる。このようなターゲット16とマスク19との位置関係において、それらの距離dを小さくする程、前記マスク19に開口部18の寸法を小さくすることができる、つまり前記マスク19による遮蔽効果を高めることができる。前記距離dは、1cm以下、より好ましくは5mm以下、さらに好ましくは1mm以下にすることが望ましい。前記マスク19の厚さtを薄くする程、前記マスク19に開口部18の寸法を小さくすることができる、つまり前記マスク19による遮蔽効果を高めることができる。前記厚さtは、1mm以下にすることが好ましい。前記マスク19は、ターゲット物質の蒸発によるプラズマのエネルギーにより蒸発しない高融点の材料から形成されることが好ましい。このようなマスク材料としては、例えばSUS、もしくはハステロイ、タンタル、タングステン、チタン、TiNをコーティングSUS等の金属または窒化珪素、アルミナ、窒化ホウ素などのセラミック等を用いることができる。
【0034】
ただし、照射面で前述した第1、第2の領域を有するレーザ光を用いることによって、マスクを使用せずに蒸発物質のターゲットへの再付着を防止することが可能になる。すなわち、レーザ光の照射後にターゲットを移動させ、レーザ光の照射面の周囲に生成された再付着領域にしきい値未満のフルエンスを持つ第2領域が位置するようにレーザ光を照射することによって、基板に到達しないエネルギーで再付着物質を蒸発させることが可能になる。このような再付着物質の蒸発を行うにはレーザ光の照射面に前記第2領域が10%以上占めるようにすることが好ましい。
【0035】
前記2回目以降のレーザ光の照射に際しては、そのレーザ光のしきい値以上のフルエンスを持つ第1領域が1回目のレーザ照射における第2領域の50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、最も好ましくは100%の比率で重なるようにすることが好ましい。前記比率を小さくすると、2回目以降のレーザ光の照射時にしきい値未満の第2領域が互いに重なって膜の組成制御性が複雑になる恐れがある。
【0036】
前記ターゲットの移動は、前述したようにレーザ光照射面に存在される第1、第2の領域の配列方向とすることが必要である。また、前記ターゲットの移動はしきい値未満のフルエンスを持つ第2領域がターゲット上に連続的に分布するように行うことが好ましい。
【0037】
以上説明した本発明によれば、ターゲットの照射面でその全ての元素を蒸発させるしきい値以上のフルエンスを持つ第1領域と前記しきい値未満のフルエンスを持つ第2領域とを有するレーザ光を用い、このレーザ光を前記ターゲットに照射してスパッタリングを行った後、前記ターゲットを移動させ、前記レーザ光を前記ターゲットにしきい値以上のフルエンスを持つ前記第1領域が前記工程における照射面のうち蒸気圧が高いか、または融点の低い元素を蒸発した領域に重なるように照射する工程を繰り返すことによって、レーザ光照射面のうちのしきい値以上のフルエンスを持つ第1領域内においてその前工程で蒸気圧が低い(もしくは融点の高い)元素が残留した領域の面積率で決定される成分組成、つまりターゲット組成に比べて蒸気圧が低い(もしくは融点の高い)元素が多く含まれる組成を有する均一な膜を基板に成膜することが可能になる。その結果、ターゲットの利用効率を低下させず、かつアパーチャを用いることなく、所期目的の組成を有する薄膜を長時間安定して形成することができる。
【0038】
具体的には、レーザ光をYBCOターゲットに照射してYBCO膜を成膜する場合には、ターゲット組成とレーザ光照射面の第2領域の面積率とを制御することにより123組成のYBCO膜を成膜することが可能になる。
【0039】
すなわち、前述した図4に示すようにレーザ光照射面において使用するターゲットの全ての元素を蒸発させるしきい値以上のフルエンスを持つ第1領域32aの両側に前記しきい値未満のフルエンスを持つ第2領域32bがそれぞれ配置され、前記第2領域の面積率が40%のパルスレーザ光を酸素含有雰囲気中、Y:Ba:Cuの組成比が0.9:2.02:3.08であるBaリッチ、Cuリッチのターゲットに前述した図5、図6に示す手順に従って順次照射すると、前述したように1回目の第2領域に対応する照射でターゲットにYリッチ領域が生成されるためにY:Ba:Cuの組成比が1:2:3のYBCO膜を基板に成膜することが可能になる。また、前記第2領域の面積率が20%のパルスレーザ光を酸素含有雰囲気中、Y:Ba:Cuの組成比が0.95:2.00:3.05であるCuリッチのターゲットに前述した図5、図6に示す手順に従って順次照射すると、前述したように1回目の第2領域に対応する照射でターゲットにYリッチ領域が生成されるためにY:Ba:Cuの組成比が1:2:3のYBCO膜を基板に成膜することが可能になる。さらに、前記第2領域の面積率が60%のパルスレーザ光を酸素含有雰囲気中、Y:Ba:Cuの組成比が0.85:2.05:3.10であるBaリッチ、Cuリッチのターゲットに前述した図5、図6に示す手順に従って順次照射すると、前述したように1回目の第2領域に対応する照射でターゲットにYリッチ領域が生成されるためにY:Ba:Cuの組成比が1:2:3のBCO膜を基板に成膜することが可能になる。
【0040】
さらに、イオン半径の異なる元素で構成されるターゲットを用いた場合、成膜圧力を制御することによって膜組成を調節することが可能である。YBCOのターゲットを用いた場合には、成膜圧力を10-1Torrにすると粒子の平均自由行程は1mm以下になる。ターゲット−基板間の距離を、例えば3〜10cmにすると蒸発粒子は散乱しながら基板に達する。Baのイオン半径は、Y、Cuに比べて大きいために散乱されやすく、酸素圧を変化させるとBa蒸発量が大きく変化する。すなわち、酸素圧を下げるとBaイオンの散乱確率が下がるため、Baが基板に達する確率が上昇し、酸素圧を上げるとBaが基板に達する確率が下がる。
【0041】
また、YBCOのターゲットから蒸発したCuが基板から反射する確率は酸素圧に依存する。すなわち、酸素圧を下げるとCuの散乱によるエネルギーロスが小さくなり、基板からの反射率が上がる。一方、酸素圧を上げるとCuの反射確率が下がる。Baの基板到達確率の酸素依存性と合わせて考慮すると、酸素圧を下げた場合には膜のBa量が増加してCu量が減少する。また、酸素圧を上げると、膜のBa量が減少して、Cu量が増加する。したがって、Cuリッチのターゲットを用いて酸素圧を下げることにより123組成の膜を成膜することが可能になる。一方、123組成のターゲットを用いて酸素圧を上げるとY、Cuリッチの膜を成膜することが可能になる。このようなYBCOのターゲットを用いた場合には、CuおよびCu酸化物が基板に到達し、ここで反射してターゲットに再付着確率が高くなるため、前述した図2に示すマスク19をターゲット16に近接して配置することが好ましい。
【0042】
【実施例】
以下、本発明の実施例を前述した図1の成膜装置を用いて詳細に説明する。
(実施例1)
まず、真空容器5内に配置された基板ホルダ22にSrTiO3 の単結晶からなる円板状の基板27を支持・固定した。つづいて、ターボポンプ8およびロータリポンプ9を駆動して前記真空容器5内のガスをメインバルブ6および第1排気管7を通して排気し、前記真空容器5内を0.1〜1Torrの真空度にした。図示しないロータリーポンプを駆動してボックス13内のガスを第2排気管(図示せず)を通して排気し、前記ボックス13内を前記真空容器5と同程度の真空度にした後、端子15a、15bを通してハロゲンランプ14に通電して発熱させることにより前記ハロゲンランプ14の下方に配置された前記基板27を700℃の温度に加熱した。さらに、図示しない第2モータを駆動して回転軸21を回動することによって、前記回転軸21に支持されたシャッタ20をターゲット16の直上に位置させた。
【0043】
このような成膜の準備が完了した後、レーザ光発振器23を駆動することにより発振周期が10msecのパルスレーザ光24を発振させた。レーザ光24は、前述した図3の(A)、(B)に示すようにミラー25で反射され、焦点距離が300mmの集光レンズ26で集光された。集光された線状(矩形状)のレーザ光24を、前記真空容器5の透過窓11およびマスク19の開口部18を通過してY、BaおよびCuが下記表2に示す組成を有する5種のYBaCuO6+x (0.5≦x≦0.9)の焼結体からなる直径80mm、厚さ10mmの円板状ターゲット16表面に30゜の浅い仰角(Θ)にて照射した。この時、前記ターゲット16表面に照射されたレーザ光の照射面31は前述した図3に示すように1.5×3mmの寸法を持つ矩形状をなし、かつ前記ターゲットの全ての元素を蒸発させるしきい値以上のフルエンスを持つ第1領域32aの両側にしきい値未満のフルエンスを持つ帯状の第2領域32bがそれぞれ0.5%の面積率で存在する形態をなす。蒸発状態が安定した時点で、図示しない第2モータの駆動、回転軸21の回転により前記回転軸21に支持されたシャッタ20を開放した。
【0044】
次いで、前述した図5に示すように1回目のパルスレーザ光24のターゲット16への照射の後、ターゲット16を回転し、前記ターゲット16を1回目の照射面311 の第1、第2の領域32a1 、32b1 の配列方向に前記第2領域32b1 の幅Wbに相当する距離移動させ、さらに図6に示すように2回目のパルスレーザ光をそのレーザ光照射面312 のうち、しきい値以上のフルエンスを持つ前記第1領域32a2 が前記1回目のパルスレーザ光の照射工程における照射面311 のうち、図6の右側の第2領域32b1 に重なるように照射した。この後、ターゲット16をさらに回転し、前記ターゲット16を第1、第2の領域の配列方向に2回目の照射面312 の第2領域32b2 1 の幅に相当する距離移動させた後、3回目のレーザ光を照射する工程を逐次繰り返した。このようなレーザ光のYBCOターゲット16への照射により前記ターゲット16からの蒸発物質をマスク19の開口部18を通して前記基板27の下面に付着し、約200nmの厚さのYBCO膜を成膜した。
【0045】
また、レーザ光のターゲット表面への入射角(Θ;仰角)を変化させ、ターゲット上の照射面においてしきい値以上のフルエンスを持つ第1領域32aの両側にしきい値未満のフルエンスを持つ帯状の第2領域32bがそれぞれ20%の面積率で存在する形態をなす状態、および同第2領域32bが第1領域32aの両側にそれぞれ33%の面積率で存在する形態のレーザ光を用いた以外、前述したのと同様な手順により5種のターゲットにレーザ光を照射して基板表面にYBCO膜を成膜した。
【0046】
得られたYBCO膜の組成をICP(Inductively Coupled argon Plasma spectrometer)により測定した。この測定法は、励起により原子の発光を観察することにより組成分析が行われる。また、前記各薄膜の臨界電流密度(Jc )を測定した。その結果を下記表2に併記する。なお、第2領域の面積率は第1領域の両側のもを合算した数値で示した。
【0047】
【表2】
Figure 0003884107
【0048】
前記表2から明らかなようにターゲット組成を1:2:3とした場合、レーザ光照射面に占めるしきい値未満の第2領域の面積率が小さい(第2領域の面積率1%)レーザ光をターゲットに照射すると、YBCO膜の組成は1:2:3に近くなるが、ややYリッチなるためJc は〜1×106 程度に止まる。
【0049】
これに対し、前記レーザ光照射面に占める第2領域の面積率が大きい(第2領域の面積率40%、66%)レーザ光をターゲットに照射すると、成膜されたYBCO膜は粒界にY23 が存在する組織になるため、磁場がない場合のJc は105 オーダになるが、前述したように5Tの磁場中でもJc の低下が小さくなる。
【0050】
また、ターゲット組成を0.90:2.02:3.08のようにBa、Cuリッチにした場合、レーザ光照射面に占める第2領域の面積率が大きくすると、成膜されたYBCO膜の組成を1:2:3に近似する。その結果、ゼロ磁場のJc は5×106 A/cm2 まで向上する。
【0051】
ターゲット組成とYBCOの化学量論組成比である1:2:3との差は、大きくし過ぎると、大きな異相がターゲット中に存在し易くなるため、Baを2にした時、Yを0.85〜1、より好ましくは0.9〜0.99、Cuを2.95〜3.30、より好ましくは3.00〜3.15のターゲットを用いることが望ましい。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によればターゲットの利用効率を低下させず、かつアパーチャを用いることなく、所期目的の組成を有する超電導体、誘電体等からなる薄膜を長時間安定して形成することが可能な成膜方法提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる成膜方法に用いられる装置を示す断面図。
【図2】ターゲットに近接して配置されるマスクを示す図。
【図3】図1の成膜装置におけるレーザ光をターゲットに照射する過程を示す図。
【図4】レーザ光のターゲットへの照射時における照射面のフルエンス分布を示す図。
【図5】レーザ光をターゲットに照射してターゲット材料を蒸発させる工程を示す図。
【図6】レーザ光をターゲットに照射してターゲット材料を蒸発させる工程を示す図。
【図7】円柱状のターゲットを用いて成膜する状態を示す斜視図。
【図8】円柱状のターゲットの別の形態を示す図。
【図9】円柱状のターゲットの別の形態を示す図。
【図10】レーザ光照射面の形状を説明するための平面図。
【図11】レーザ光のターゲットへの照射角度を変えた時の照射面のフルエンス分布を示す図。
【図12】レーザ光のターゲットへの照射角度を変えた時の照射面のフルエンス分布を示す図。
【図13】レーザ光のターゲットへの照射に際し、集光レンズの角度を変えた時の照射面のフルエンス分布を示す図。
【図14】レーザ光のターゲットへの照射に際し、集光レンズの角度を変えた時の照射面のフルエンス分布を示す図。
【符号の説明】
5…真空容器、
11…透過窓、
10…ハロゲンランプ、
16…ターゲット、
19…マスク、
20…シャッタ、
22…基板ホルダ、
23…レーザ光発振器、
24、29…レーザ光、
26…集光レンズ系、
27…基板、
31…レーザ光照射面、
32a、32a1 、32a2 …第1領域、
32b、32b1 、32b2 …第2領域。

Claims (4)

  1. 基板と対向配置された蒸気圧または融点の異なる2種以上の元素からなるターゲットを移動させながら、レーザ光を照射してアブレーションを行い、その蒸発物質を前記基板に付着させて成膜する方法において、
    矩形状の照射面で前記ターゲットの全ての元素をターゲットとほぼ同じ組成で蒸発させるしきい値以上のフルエンスを持つ第1領域と前記しきい値未満のフルエンスを持つ第2領域とを有するレーザ光を用い、このレーザ光を前記ターゲットに照射してアブレーションを行った後、前記ターゲットを移動させ、前記レーザ光を前記ターゲットにしきい値以上のフルエンスを持つ前記第1領域が直前の照射面のうちの第2領域が照射された領域に一定の面積で重なるように照射する工程を繰り返すことを特徴とする成膜方法。
  2. 前記第2領域は、前記レーザ光照射面の10〜66%を占めることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
  3. 前記レーザ光の透過および蒸発物質の通過を兼ねる開口部と前記ターゲット表面に蒸発物質が再付着するのを防ぐ遮蔽部とを有するマスクは、前記基板と対向する前記ターゲットの表面に近接して配置されることを特徴とする請求項1または2記載の成膜方法。
  4. 前記アブレーションは、酸素含有雰囲気でなされることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
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