JP3883355B2 - 機関砲の装填装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、機関砲の装填装置に関し、特に、カムドラムの無端カム溝に連動して各ランマ及び鎖栓を往復動させることにより、簡単な構造で信頼性の高い装填装置を得るための新規な改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、用いられていたこの種の機関砲の装填装置としては、図9及び図10で示される構成が採用されていた。すなわち、図9において符号1で示されるものは砲身2の尾筒3側に設けられこの砲身2の長手方向と直交する第2往復移動方向Aに沿って往復移動自在な鎖栓であり、この鎖栓1の一端に形成されたカムフォロワ1aはカムドラム4の無端カム溝5に係合している。
前記カムドラム4の一端に形成されたギヤ6はモータ7により回転される回転軸8の第1ベベルギヤ9と噛合することにより回転駆動され、この回転軸8の回転は第1スパーギヤ10、第2ベベルギヤ11及び第2スパーギヤ12を介してランマ13を駆動するためのラック14に噛合され、このランマ13の前進によって鎖栓1内に弾薬15を装填することができるように構成されている。
【0003】
次に、動作について述べる。まず、図10に示されるように、鎖栓1に1個の薬室が設けられている状態において、モータ7の作動により鎖栓1内に弾薬15がランマ13によって装填されると、カムドラム4の回転により鎖栓1が閉鎖行程に入り、閉鎖されると弾発射となる。この弾発射が完了すると鎖栓1が解放行程に入り、薬莢が排出される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の機関砲の装填装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。すなわち、カムドラムとランマの同期駆動を多くのベベルギヤ、スパーギヤ及びラック等によって行うため、機構が複雑となり、高速(例えば、300発〜500発/分)射撃を行う場合の信頼性の確保が困難であった。
【0005】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、カムドラムの無端カム溝に連動して各ランマ及び鎖栓を往復動させることにより、簡単な構造で信頼性の高い装填装置を得るようにした機関砲の装填装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による機関砲の装填装置は、砲身を有する尾筒の鎖栓室の後方に回転自在に配置されたカムドラムと、前記カムドラムの外周にその長手方向にわたり形成され輪状をなす無端カム溝と、前記無端カム溝の両端に形成されカムリードの作用のない一対の停止リード部と、前記尾筒の両側の溝に摺動自在に保持されると共に前記カムドラムの両側でかつ前記長手方向の両端位置に位置し一対のローラを介して前記無端カム溝に係合して第1往復移動方向に往復移動する一対の第1、第2ランマと、前記カムドラムの上方に位置し前記無端カム溝にローラにより係合して前記第1往復移動方向に往復移動し長手カム溝を有すると共に、前記尾筒の長溝内に摺動自在に設けられたカム板と、前記カム板の上方に設けられ前記長手カム溝にローラにより係合すると共に前記第1往復移動方向と直交する第2往復移動方向に往復移動自在な鎖栓と、前記鎖栓に設けられ互いに離間する少なくとも一対の第1、第2薬室とを備え、前記無端カム溝のカムの割付けは所定角度毎に前記各ランマ及びカム板が停止、前進、停止及び後退を繰返すように構成され、前記カムドラムを回転させることにより、前記無端カム溝を介して前記第1、第2ランマを前記第1往復移動方向に沿って互いに異なる位置となるように移動させると共に前記カム板を前記第1往復移動方向に沿って往復移動させ、前記長手カム溝を介して前記鎖栓を前記カム板と連動して前記第1往復移動方向と直交する方向の第2往復移動方向に沿って往復移動させ、前記カム板及び各ランマは前記各停止リード部では前記第1往復移動方向には移動することなく停止し、前記各ランマの動作と連動して前記鎖栓を作動させることにより前記鎖栓の各薬室内へ弾薬を交互に装填するようにした構成である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明による機関砲の装填装置の好適な実施の形態について説明する。なお、従来例と同一又は同等部分には同一符号を付して説明する。
図1及び図2において符号2で示されるものは尾筒3に設けられた砲身であり、この尾筒3の後端側に設けられた鎖栓室20内には鎖栓1が作動自在に設けられている。
【0008】
前記尾筒3の鎖栓室20の後方には、モータ7によって連続回転可能なカムドラム4が配設されており、このカムドラム4の外周には図6及び図7で示されるようにその長手方向にわたり輪状をなすように形成された無端カム溝5が形成され、この無端カム溝5の軸方向における両側でかつ前記長手方向の両端位置には第1、第2ランマ21、22のローラ21a、22aがこの無端カム溝5に係合していると共に、このカムドラム4の上方に位置するカム板23の下面に設けられたローラ23aがこの無端カム溝5に係合している。なお、この各ランマ21、22は前記尾筒3の両側の一対の溝e、e'に摺動自在に保持され、前記カム板23は前記尾筒の長溝d内に摺動自在に設けられている。
さらに、この各ランマ21、22は、後述の第1往復移動方向Aに沿って互いに異なる位置となるように移動される構成である。
従って、前記カムドラム4の回転により、この無端カム溝5に係合する各ローラ21a、22a、23aによって、各ランマ21、22及びカム板23を矢印Aで示すように砲身2の軸方向と同一の第1往復移動方向Aに沿って往復移動するように構成されている。なお、この無端カム溝5の両端には、図5で示されるようにカムリードの作用のない停止リード部5a、5bが形成されている。
【0009】
前記カム板23には、図4で示されるように、所定のカムリードB、Cを有する長手カム溝24が有底又は貫通状にて形成され、この長手カム溝24には前記鎖栓1の下面に形成されたローラ1aが摺動自在に係合している。
前記ローラ1aが前記長手カム溝24によって移動することにより前記鎖栓1は前記第1往復移動方向Aとは直交する方向である第2往復移動方向Eに沿って往復移動するように構成され、この鎖栓1には第1、第2薬室25、26が互いに離間した状態で形成されている。
前記各薬室25、26間の中心間距離Dは前記カムリードCと同一に構成されている。
【0010】
前記カムドラム4の無端カム溝5のカムの割付けは、図7で示されるように構成されており、90゜毎に停止、前進、停止及び後進を繰返すことができるように構成されている。尚、このカムの割付けは、90°に限らず、後述のように、他の所定角度とすることができる。
【0011】
次に動作について説明する。なお、図8のタイムシーケンスは、カムドラム4の回転による各ランマ21、22、鎖栓1の動作を示している。
図1〜3はカムドラム4の回転によって、カム板23は最も後方(図では左)へ移動している状態を示している。
すなわち、鎖栓1は、長手カム溝24によって、第2往復移動方向Eにおいて左へ移動し、第2薬室26は、砲身2と同一軸にある。また、第1薬室25は、第1ランマ21の前方線上にあり、第1ランマ21は後方に、第2ランマ2は前方にある(図8の0°の状態)。
図7及び図8で示されるように、カムドラム4がさらに90゜(図8の0°〜90°の間)回転する間は、板カム23は後方で停止している。従って、鎖栓1は左へ移動した位置に固定されている。その間、第1ランマ21は前進し、その前方に送り込まれている弾薬15を第1薬室25に押し込む。一方、第2ランマ22は後退する。
続いてさらに90゜(図8の90°〜180°)カムドラム4が回転する間、カム板23はカムリードBの距離前進し、この間に鎖栓1をカムリードCだけ右へ移動させる。その間、第1ランマ21は、前方で、第2ランマ22は後方でそれぞれ固定されている。
続いてカムドラム4が90゜(図8の180°〜270°)回転する間、カム板23は前進した位置で停止している。このため、鎖栓1は、右へ移動した位置に固定されている。この間、第1ランマ21は後退し、第2ランマ22は前進し、弾薬15を第2薬室26へ装填する。従って、各ランマ21、22による弾薬15の各薬室25、26への装填は交互に行なわれる。
さらにカムドラム4が90゜(図8の270°〜360°)回転すると、鎖栓1は左へ移動する。この間、第2ランマ22は前方で、第1ランマ21は後方でそれぞれ固定されている。従って、実際には、弾薬15は薬室25又は26に装填されると、直ちに発射されるので、カムドラム4の1回転で2発の弾薬15を発射することになる。
以上によってカムドラム4は1回転したことになり、それぞれの各薬室25、26に装填されたことになる。
なお、以上の説明は、薬室25、26を2個有する鎖栓1の場合であるが、1個の薬室の場合でも同様の作動ができる。
また、単純な鎖栓についても同様の作動が可能である。
【0012】
【発明の効果】
本発明による機関砲の装填装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。すなわち、1個のカムドラムでランマ、鎖栓及び薬室を作動するので、従来のような複雑な伝達機構、作動機構が不必要であり、簡単な構造によって、信頼性を上げることができる。
また、作動は、機械的なカム伝達のみでギヤを用いないので、鎖栓とランマの作動の同期が確実に行われ高速装填及び射撃が可能となる。
また、カムドラム、ランマ及び鎖栓によって駆動しているため、従来のギヤ構成と比較すると、部品数を著しく低減でき、大幅な小型化及びコストダウンを達成することができる。また、前述の形態では、カム割付は90°毎にしているが、必ずしも90°に限定されるものではなく、最も都合の良い角度配分、例えば、停止80°、装填及び後退は110°とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による機関砲の装填装置を示す断面図である。
【図2】 図1のA−A断面図である。
【図3】 図1のB−B断面図である。
【図4】 図1の鎖栓及びカム板を示す拡大斜視図である。
【図5】 図1のカムドラムの拡大斜視図である。
【図6】 図1の要部の拡大斜視図である。
【図7】 カムドラムの割り付けを示す説明図である。
【図8】 本発明の動作を説明するシーケンス図である。
【図9】 従来の機関砲の装填装置を示す構成図である。
【図10】 図9の鎖栓の行程図である。
【符号の説明】
1 鎖栓
1a ローラ
2 砲身
3 尾筒
4 カムドラム
5 無端カム溝
5a、5b 停止リード部
A 第1往復移動方向
E 第2往復移動方向
d 長溝
15 弾薬
20 鎖栓室
21 第1ランマ
21a、22a ローラ
22 第2ランマ
23 カム板
23a ローラ
24 長手カム溝
25 第1薬室
26 第2薬室
Claims (1)
- 砲身(2)を有する尾筒(3)の鎖栓室(20)の後方に回転自在に配置されたカムドラム(4)と、前記カムドラム (4) の外周にその長手方向にわたり形成され輪状をなす無端カム溝 (5) と、前記無端カム溝 (5) の両端に形成されカムリードの作用のない一対の停止リード部 (5a 、 5b) と、前記尾筒 (3) の両側の溝 (e 、 e') に摺動自在に保持されると共に前記カムドラム(4)の両側でかつ前記長手方向の両端位置に位置し一対のローラ (21a,22a) を介して前記無端カム溝(5)に係合して第1往復移動方向(A)に往復移動する一対の第1、第2ランマ(21、22)と、前記カムドラム (4) の上方に位置し前記無端カム溝(5)にローラ (23a) により係合して前記第1往復移動方向(A)に往復移動し長手カム溝(24)を有すると共に、前記尾筒 (3) の長溝 (d) 内に摺動自在に設けられたカム板(23)と、前記カム板(23)の上方に設けられ前記長手カム溝(24)にローラ (1a) により係合すると共に前記第1往復移動方向(A)と直交する第2往復移動方向(E)に往復移動自在な鎖栓(1)と、前記鎖栓(1)に設けられ互いに離間する少なくとも一対の第1、第2薬室(25、26)とを備え、前記無端カム溝 (5) のカムの割付けは所定角度毎に前記各ランマ (21 、 22) 及びカム板 (23) が停止、前進、停止及び後退を繰返すように構成され、前記カムドラム(4)を回転させることにより、前記無端カム溝 (5) を介して前記第1、第2ランマ (21 、 22) を前記第1往復移動方向 (A) に沿って互いに異なる位置となるように移動させると共に前記カム板 (23) を前記第1往復移動方向 (A) に沿って往復移動させ、前記長手カム溝 (24) を介して前記鎖栓 (1) を前記カム板 (23) と連動して前記第1往復移動方向 (A) と直交する方向の第2往復移動方向 (E) に沿って往復移動させ、前記カム板 (23) 及び各ランマ (21 、 22) は前記各停止リード部 (5a 、 5b) では前記第1往復移動方向 (A) には移動することなく停止し、前記各ランマ(21、22)の動作と連動して前記鎖栓(1)を作動させることにより前記鎖栓(1)の各薬室(25、26)内へ弾薬(15)を交互に装填するように構成したことを特徴とする機関砲の装填装置。
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- 2000-02-24 JP JP2000047733A patent/JP3883355B2/ja not_active Expired - Lifetime
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