JP3882574B2 - 食器洗浄機 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、電気分解によって得られる生成水を洗浄水として利用する食器洗浄機に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3に従来技術を示す。図3は食器洗浄機の概略を示す構成図である。図3において、1は給水経路で水道水を食器洗浄機本体2へ導水し、給水弁3によって導水の開閉が行われる。導水された水は、洗浄タンク4内部の貯水部5に貯水され、貯水部5に連通した水位センサ6によって所定の水位まで貯まる。貯水された水は、貯水部5に設けられたヒータ7で加熱されると共に、循環ポンプ8で加圧され、洗浄ノズル9から食器かご10内の食器に向けて噴出される。これにより食器の洗浄が行われる。洗浄が終わると排水ポンプ11によって洗浄タンク4内の水が排出される。ここで12は食器かご10を出し入れする前ドア、13は食器に付着していた残菜をこし取るフィルタである。
【0003】
一般に、洗浄タンク4内には食器洗浄器専用の洗剤が投入され、これによって洗浄力が高められる。また、特許第3183118号に記載されたような、電気分解によって得られたアルカリ水を洗浄タンク4内で使用することで洗浄力を高めるやり方も提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら前記従来の構成では、特殊な洗剤を使用するため、その入手が面倒なことや、洗剤を含む洗浄後の水が汚水として排水されることで、環境に対して十分な配慮がされているとは言い難い。また、特許第3183118号に提案されているやり方では、上記従来の課題が改善されてはいるものの、アルカリ水を洗浄に使用するため、同時に生成される酸性水が直接排水されることで流し台などステンレス等金属製のものが腐食されてしまったり、また高濃度のアルカリ水を生成するために大量の電力が必要である、長い生成時間を必要とする、電解効率が低いので電解槽が大型になる、構成が複雑である、といった課題を有している。
【0005】
本発明は上記の課題を解決した使い勝手の良い食器洗浄機を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記従来の課題を解決するために、本発明の食器洗浄機は、極性が異なる二つの電極を有する電解槽と、前記電解槽に水道水を導入する給水路と、前記電解槽内の水を食器を洗浄する洗浄タンクへ注水する注水路とを備え、前記電解槽は、電気分解を行う電解室と、前記電解室と隔壁で区分された電気分解を行わない無電解室とを有し、前記電解室と無電解室は前記隔壁の上方で連通し、前記注水路は前記無電解室に開口し、前記給水路は、前記電解室に水道水を導入する第1の給水路と、前記無電解室に水道水を導入する第2の給水路を設け、前記電解室で生成された生成水を水道水により希釈して前記洗浄タンクへ供給する構成としたものである。これにより、簡単な構成で希釈した電解水を洗浄水に使えるので、効率よく電解が行え、小さな電解槽で済むようになる。
【0007】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の発明は、極性が異なる二つの電極を有する電解槽と、前記電解槽に水道水を導入する給水路と、前記電解槽内の水を食器を洗浄する洗浄タンクへ注水する注水路とを備え、前記電解槽は、電気分解を行う電解室と、前記電解室と隔壁で区分された電気分解を行わない無電解室とを有し、前記電解室と無電解室は前記隔壁の上方で連通し、前記注水路は前記無電解室に開口し、前記給水路は、前記電解室に水道水を導入する第1の給水路と、前記無電解室に水道水を導入する第2の給水路を設け、前記電解室で生成された生成水を水道水により希釈して前記洗浄タンクへ供給する構成としたことにより、電解槽を小型にでき、食器洗浄機全体をコンパクトにすることができるようになる。また、効率よく電気分解が行え、短時間かつ小さな電力量で済むようになる。また、極めて簡単な構成で水道水に電解室側の水を混入させずに洗浄タンク内に給水することができ、いつでも生成水を利用しない洗浄ができるようになる。
【0008】
請求項2記載の発明は、特に請求項1に記載した構成において、電解室内に水溶性の電離性無機物質を投入する投入口を設けたことにより、電解槽および水路とも簡単な構成にもかかわらず電解効率を高められ、短時間と小さな電力量による電気分解で高い洗浄力を得ることができるようになる。
【0009】
請求項3記載の発明は、特に請求項2に記載した構成において、投入口を洗浄タンク内に設けたことにより、食器洗浄機の設置に際して投入口の向きを配慮する必要が無く、設置の自由度が高いので使い勝手を良くすることができる。
【0010】
請求項4記載の発明は、特に請求項1から3に記載した構成において、洗浄タンク内に貯水される水の水位を検知する水位センサを設け、前記洗浄タンク内に貯水される水の水位が、電解槽に設けられた注水路の開口部下端位置より下方になるよう設定したことにより、洗浄タンク内の水が電解槽内部へ逆流しないようにすることで電解効率の低下を防止し、高い洗浄力が維持できるようにするものである。
【0011】
請求項5記載の発明は、特に請求項1に記載した構成において、投入口を電解室または電解室近傍に設けると共に、無電解室へ水道水を給水する給水制御手段を設け、前記電解室内の水に電離性無機物質を投入した後、電気分解する前に前記給水制御手段により無電 解室へ水道水を給水するようにしたことにより、電解槽からの出口がひとつであるにもかかわらず、極めて簡単な構成で水道水に電離性無機物質を混入させずに洗浄タンク内に水道水を給水することができ、洗浄開始前に電離性無機物質を投入しても生成水を利用しない洗浄ができるようになる。
【0012】
請求項6記載の発明は、特に請求項1に記載した構成において、電気分解した後に電解室へ水道水を給水する給水制御手段を設けたことにより、簡単な構成で生成水を効率よく洗浄タンク内へ給水できるようになる。
【0013】
請求項7記載の発明は、特に請求項1〜6に記載した構成において、第1の給水路または第2の給水路に給水量を調整する流量調整手段を設けたことにより、給水過剰による電解槽からの水漏れや無電解室側から電解室側へ水が混入するのを防止し、信頼性の確保と高い洗浄力が維持できるようにするものである。
【0014】
【実施例】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1について、図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施例1の食器洗浄機を示す横断面図、図2は図1に示した電解槽の断面図である。
【0015】
図1において、1は水道水を食器洗浄機本体2へ導く給水経路、22、23は水道水の止水あるいは給水を行う給水弁、4は食器かご10を設置して食器を洗う洗浄タンク、5は給水された水を貯める貯水部、6は貯水部5に連通した水位センサ、7は貯水部の水を加熱するヒータ、8は貯水された水を加圧するポンプ、9は食器に向けて水を噴出する洗浄ノズル、11は食器洗浄後の汚水を外部へ排水するための排水ポンプ、12は食器かご10を出し入れするための前ドア、13はフィルタである。
【0016】
図2において、14は電解槽で、内部に極性が異なる二つの電極即ち陽極15と陰極16を有する。この陽極15と陰極16との外側には隔壁17が設けられ電解槽14を電解室18と無電解室19に区切っている。電解室18および無電解室19にはそれぞれ第1の給水路20、第2の給水路21が独立して接続されており、給水弁22または給水弁23により給水の開閉が行われるようになっている。24は逆止弁で電解槽14で生成された生成水が水道側へ逆流するのを防止する。25は無電解室19に設けられた注水路、26は電解室18と無電解室19とを隔壁17上方で連通させる連通部であり、注水路25の開口部27は連通部26より下方に設けられている。28は水溶性の電離性無機物質を投入するための投入口で、電解室18の上方に設けられている。
【0017】
29は電流制御手段で電解槽14内の二つの電極15、16に電圧を印可し電極間に電流を流す。30は通水性を持ったガス吸着剤で連通部26内に設けられ、さらにガス吸着剤30の上部には電解槽14の内部と外部を貫通する通気口が設けられている。また給水制御手段について特に説明はしないが、給水弁の開閉を電気分解や食器の洗浄工程と関連づけて動作させるもので、給水弁などの駆動部を含む電気回路からなっている。
【0018】
以下、動作について説明する。給水経路1は食器洗浄機本体2内部で第1の給水路20と第2の給水路21に分岐している。ここで給水弁23を閉じたまま給水弁22を開くと電解室18内に水道水が給水される。この給水された水は電解室18からオーバーフローし連通部26内をガス吸着剤30をぬらしながら通過し、無電解室16に入る。この時、通気口31から電解槽14の外部へ水が溢れ出ないように、給水量は予め給水弁22に内蔵された流量調整弁などによって流量調整されている。
【0019】
無電解室16に入った水はオーバーフローし、次に注水路25を通って洗浄タンク4内に入り、貯水部5に貯水され、水位センサ6によって所定の水位になると給水弁22は閉じられ給水は停止する。このとき貯水部5の水位は開口部27下端位置より下方になるよう設定されているので、貯水部5内の水が電解槽14内部へ逆流することはない。また水道水は、電解室18並びに無電解室16をオーバーフローすることで電解槽14内部を通過していくので、電解槽14内部の水位は水位センサなどの検知手段を用いずとも、いつも一定に保たれる。電解室18の水位が変動すると電解効率まで変動してしまうことがわかっており、水位を一定に維持することで高い電解効率を維持するよう作用する。
【0020】
この状態で貯水部5の水を排水ポンプ11によって一旦排水し、洗浄タンク4内部の水を空にする。もちろん、排水する前に食器をセットし、生成水を用いずに水道水による洗浄を行っても良い。次に投入口28から食塩など溶解性の高い電離性無機物質を投入する。このとき、電解室18は添加物が溶解した水、無電解室19は何も添加されていない水道水が貯水されていることになる。一般に電気分解を行うには予め電気伝導度の高い溶液を貯水しておく必要があるが、電解槽が密閉容器型になっていることが多く、このため電解槽への溶液注入装置が必要になったり、溶液保存容器が必要になったり、水路が複雑になったりして非常に構成が複雑となりがちである。
【0021】
しかし本実施例では、電解槽14そのものがオーバーフローによる給水路を利用した大気開放型の容器になっており、投入口28を設けても内部の水が溢れることがない。従って投入口28を設けることができ、非常に簡単な構成で電気伝導度の高い溶液を作ることができる。投入できるものは、もちろん食塩のような固形物でなく液体であってもよい。
【0022】
また、この状態で電気分解せずに給水弁22を閉じたまま給水弁23を開いて無電解室19に給水を行うと、注水路25からオーバーフローし、洗浄タンク4へ生の水道水が給水される。この時、無電解室19から電解室18へ水が逆流しないように、給水量は予め給水弁23に内蔵された流量調整弁などによって流量調整されている。これは、電解室18へ電離性無機物質を投入した後でも生の水道水を洗浄タンク4へ給水できるよう作用する。本実施例では電解槽14内に水が満たされていないのは食器洗浄機設置後の初回運転時のみであり、2回目以降では運転前からすでに電解槽14内部に水が満たされた状態となっている。
【0023】
従って、運転前に投入口から電離性無機物質を投入しても、洗浄タンク4内へ生の水道水が給水可能となり、生成水を使わない洗浄が行えるようになる。これにより、電気分解前に洗浄タンク4内部へ給水することで、電気分解中の時間を有効に使い、生の水道水を使用して食器を予備洗浄することができる。この予備洗浄は食器の汚れを予め軽く落としておき、生成水を使用する時に生成水の効果を水だけで落ちない汚れに対して有効に使えるようにも作用する。また、電気分解中にも洗浄タンク4内へ水道水の供給を行うことができる。
【0024】
ここで特に前記投入口を洗浄タンク内側に設けることで、食器洗浄機の外観がすっきりする、設置場所の制約が減る、投入口の周囲に電離性無機物質が付着しても食器洗浄時に洗浄されるといった効果がある。
【0025】
前述したように電解室18に添加物が溶解した水、無電解室19に何も添加されていない水道水が貯水されている状態で電極間に電圧を印可する。このとき陽極15並びに陰極16の極性を必ずしも固定する必要はなく、一定の時間間隔で極性を入れ替えながら電気分解を行ってもよい。極性を入れ替えながら電気分解を行う方が一般には電極表面にスケールなどが付着しにくく、電極寿命を長くすることができる。この電気分解により、次亜塩素酸イオンなどの強酸イオンを含む中性水が生成される。また、この時発生する塩素ガスなどの酸性ガスはガス吸着材30によって吸着される。これにより、酸性ガスが電解槽14の外部へ漏れるのを防止できる。
【0026】
次に、電気分解が終了すると、給水弁23を閉じたまま給水弁22が開かれる。これにより電解室18には水道水が給水され、無電解室19へ一旦オーバーフローした後、注水路25からオーバーフローする。注水路25から洗浄タンク4へ給水された水は、水位センサ6によって水位検知され、所定水位になったところで給水弁22が閉じられ給水は停止する。これは電解室18内の生成水を希釈しながら洗浄タンクへ給水するよう作用する。
【0027】
これにより少量の水を電気分解するだけで済むので、電解槽14を小型にすることができる。また、少量の水を電気分解する方が水の電気伝導度を上げるために必要となる食塩などの電離性無機物質の量を少なくすることができる上、電解室18での水の対流に無駄がなく、全ての水が電極から近い距離になるので、電解効率を高くすることができる。もちろん、本実施例以外の構成であっても、希釈した生成水を食器洗浄機内部で使う構成のもので有れば上記のような効果が得られることはいうまでもない。本実施例の構成であれば非常に簡単な構成で生成水の希釈が行えるよう作用する。また、この希釈量を適宜設定することで、電解室18内部の生成水を全て排出し水道水に置き換えることができる。
【0028】
電解槽から電解室の希釈した生成水を洗浄タンクへ給水した後、食器洗浄を開始する。一般に食器に付着した汚れは次亜塩素酸イオンなどの強酸イオンを含む水によって洗浄することができる。
【0029】
食器洗浄が終了すると使用された希釈生成水は、排水ポンプ11により食器洗浄機本体2外部へ排水される。この排水は少量の次亜塩素酸イオン等強酸イオンを含む中性水なので流し台に使用されるステンレスやその他の金属を腐食することはない。
【0030】
なお、ここでは洗浄性能についてのみ述べたが、次亜塩素酸イオンなどの強酸イオンは一般に殺菌作用や漂白作用を有しており、本発明による生成水でこのような作用も期待できる。
【0031】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、少量の強酸イオンを含む中性水が簡単な構成で得られ、排水に洗剤が含まれないので、特殊な洗剤を必要とせず、排水に関して環境に十分な配慮を行い、使い勝手の良い食器洗浄機が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1における食器洗浄機の断面図
【図2】 同食器洗浄機の電解槽の詳細断面図
【図3】 従来の食器洗浄機の構成図
【符号の説明】
4 洗浄タンク
6 水位センサ
14 電解槽
17 隔壁
18 電解室
19 無電解室
20 第1の給水路
21 第2の給水路
25 注水路
26 連通部
27 開口部
28 投入口
Claims (7)
- 極性が異なる二つの電極を有する電解槽と、前記電解槽に水道水を導入する給水路と、前記電解槽内の水を食器を洗浄する洗浄タンクへ注水する注水路とを備え、前記電解槽は、電気分解を行う電解室と、前記電解室と隔壁で区分された電気分解を行わない無電解室とを有し、前記電解室と無電解室は前記隔壁の上方で連通し、前記注水路は前記無電解室に開口し、前記給水路は、前記電解室に水道水を導入する第1の給水路と、前記無電解室に水道水を導入する第2の給水路を設け、前記電解室で生成された生成水を水道水により希釈して前記洗浄タンクへ供給する構成とした食器洗浄機。
- 電解室内に水溶性の電離性無機物質を投入する投入口を設けた請求項1記載の食器洗浄機。
- 投入口を洗浄タンク内に設けた請求項2記載の食器洗浄機。
- 洗浄タンク内に貯水される水の水位を検知する水位センサを設け、前記洗浄タンク内に貯水される水の水位が、電解槽に設けられた注水路の開口部下端位置より下方になるよう設定した請求項1〜3のいずれか1項に記載の食器洗浄機。
- 投入口を電解室または電解室近傍に設けると共に、無電解室へ水道水を給水する給水制御手段を設け、前記電解室内の水に電離性無機物質を投入した後、電気分解する前に前記給水制御手段により無電解室へ水道水を給水するようにした請求項1記載の食器洗浄機。
- 電気分解した後に電解室へ水道水を給水する給水制御手段を設けた請求項1記載の食器洗浄機。
- 第1の給水路または第2の給水路に給水量を調整する流量調整手段を設けた請求項1〜6のいずれか1項に記載の食器洗浄機。
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