JP3882015B2 - 半径増加型曲線カテーテル - Google Patents

Description

発明の背景
本発明は一般に心臓血管系に挿入されるカテーテルに関する。より詳細には、左冠状動脈内においてより精密にして、かつより容易に位置決めをするための末端部を有する改良されたガイドカテーテルに関する。
カテーテルは、損傷又は病気による動脈の異常狭窄を起こす狭窄病変によって少なくとも部分的に遮断された冠状動脈の内腔を拡張するために、血管形成のような医療行為を実施中に進行されることが多い。かかる技術においては、血管形成カテーテルは通常大動脈に導入された後予め配置されたガイドカテーテルの中を通して冠状動脈に導かれる。ガイドカテーテルを冠状動脈に配置するには、同カテーテルの基端部を操作して同カテーテルの末端部が大動脈から分岐する冠状動脈の開口部へと進められる。粥腫切除用カテーテルのような他の治療用カテーテルもまたガイドカテーテルの中を進行され得る。
左冠状動脈の処置に使用される一般的ガイドカテーテルは、左冠状動脈への挿入を容易にするために特別な形状をした末端部を有するジャドキンズ（Ｊｕｄｋｉｎｓ）カテーテルと称されることが多い。ジャドキンズカテーテルは基部から末端部方向にかけて長い第１直線部と、１８０度湾曲した部分と、第１直線部と並行する短い第２直線部と、湾曲部と、第２直線部と直交する先端部とよりなる。ジャドキンズカテーテルは心臓血管系に挿入された時比較的大きな角度を形成する。
ジャドキンズカテーテルの改良点は直線部と、末端方向においてそれに続く湾曲部と、更に末端方向においてそれに続く第２直線部と、更に末端方向においてそれに続く第２湾曲部と、更に末端方向においてそれに続く先端部とを含む。この直線部は左冠状動脈の開口部に対向する上行大動脈壁に寄り掛かるように配置されて、カテーテルを支持する。この改良された設計により、選択された動脈の内腔内での良好な同軸的配置が可能になる。
直線部と湾曲部又は半径が異なる複数の湾曲部分との間に多くの遷移部を有するガイドカテーテルの中を進行される血管形成カテーテル又はその他の治療用カテーテルは、各遷移部への進行に際し或る程度の抵抗に遭遇する。更に詳しくは、治療用カテーテルがガイドカテーテル内の遷移点又は屈曲部に出会うと、脈管内カテーテルにガイドカテーテルの通路を取らせようとするガイドカテーテルによる力が生じる。しかし、ガイドカテーテルに脈管内カテーテルの通路を取らせようとする脈管内カテーテルによる対向する力がある。上行大動脈の領域において、ガイドカテーテルの遷移部内を進行する治療用カテーテルは湾曲したガイドカテーテルを真直ぐにし、ガイドカテーテルの先端部を左冠状動脈の開口部から外させようとする。先端部が開口部から位置をずらされると、ガイドカテーテルの先端部を再び開口部に整合させるには時間が掛かる。
発明の概要
本発明はカテーテルの先端部が左冠状動脈の開口部内に位置される時、曲率半径がほぼ一定となるガイドカテーテルに関する。半径が一定である曲線は大きな屈曲や遷移点を有しない。このように形状が改良されたことにより、進行する治療用カテーテルによる対抗する力がガイドカテーテルを真直ぐにし、所望の位置からガイドカテーテルを引き抜く働きをする所で、治療用カテーテルの進行に対するガイドカテーテルの抵抗を減少させる。このように、脈管内カテーテルがより容易に進行することは、ガイドカテーテルの先端部を左冠状動脈の開口部から外させようとする力が少ないことを意味する。
好ましい実施の態様では、本発明によるガイドカテーテルは基端部と、末端方向に延伸する直線部と、湾曲部とよりなるカテーテルである。湾曲部は第２湾曲領域と主湾曲領域と、末端部とを有しており、主湾曲部と第２湾曲部とは生体外では異なる半径を有するが、末端部が開口部に挿入されると単一の連続した曲線を形成する。結果的に、治療用カテーテルを曲率半径に複数の遷移点を備えるガイドカテーテルの中を進行させるよりもこのガイドカテーテルの中を進行させる方が力はより少なくてすむ。
ガイドカテーテルは冠状動脈内を進行させることが出来るような柔軟性と可撓性とを十分に備え、基端部の操作により長手方向におけるねじれ力を伝えるに足るだけの固さを有するポリマーのような材料より作られる。このような材料と製作方法は公知の技術である。
【図面の簡単な説明】
本発明の更なる目的と、特徴と、利点と、上述の概要とは、図面を参照にした本発明による現在の好ましい実施の態様についての詳細な記載により深く理解される。
図１はカテーテルの先端部が左冠状動脈の開口部に位置した公知技術のカテーテルを有する心臓血管系の断面図である。
図２は生体外における本発明によるカテーテルの実施の態様の側面図である。
図３はカテーテルの先端部が左冠状動脈の開口部内に配置された本発明によるカテーテルの実施の態様を有する心臓血管系の断面図である。
従来技術の説明
図１に関し、参照符号４０が公知技術のカテーテルを示す。カテーテル４０は直線部４２と末端部とを備える細長い管状部材の形状をしており、同末端部は第２湾曲部４４と、遷移部４８と、主湾曲部４６と、先端部５０とよりなっている。
第２湾曲部４２と主湾曲部４６とは、第２曲率半径が主曲率半径より大きく、そのために、ガイドカテーテルの湾曲した形状の中を通って進行する部材に対して抵抗が増す明らかな遷移部４８をもたらすような曲率半径を生体内において有する。
発明を実施するための好適な形態
本発明に従うガイドカテーテルは図２，３の参照符号２２に示される。本発明のガイドカテーテル２２は脈管内カテーテルの進行に対する抵抗という前記欠点と、その結果として生じるガイドカテーテルの先端部の位置を外れるという傾向を克服するような形状をしている。
図２はカテーテルの生体外における構造を示す。ガイドカテーテル２２は基端部２４と先端部３４とを備える。直線部２６が基端部２４から延伸しており、同直線部２６は極めて長く、動脈の挿入点から大動脈弓１１２に至る。本発明の実施の一態様では、ガイドカテーテル２２は鼠蹊部近接の大腿動脈に挿入され、直線部２６の長さが約３６インチ（９１．４４センチメートル）である。次いで、この直線部２６から湾曲部２８が延伸し、同湾曲部２８は第２湾曲部３０に始まって主湾曲部３２に引き継がれている。第２湾曲部３０は曲率半径Ｓｒを、主湾曲部分は曲率半径Ｐｒをそれぞれ有している。
本発明の実施の一態様では、第２湾曲部３０は１１５度の角度を示す、０．６インチ（１．５２センチメートル）の曲率半径を有し、主湾曲部３２は６０度の角度を示す、０．９インチ（２．２９センチメートル）の曲率半径を有する。本発明の他の実施の態様は、生体外のＰｒ／Ｓｒ比が１．３〜２．０の範囲にあるようなＰｒ／Ｓｒとを有している。本発明のこれらの要素は他の値の取り得ると解釈される。
先端部３４は主湾曲部３２に続いている。本発明の実施の一態様では、先端部３４は主湾曲部３２から接線方向において延伸している。本発明のその他の実施の態様においては、主湾曲部３２と先端部３４との間に屈曲部（図示せず）がある。
図３は生体内における本発明の配置を示す。カテーテル２２は通常鼠蹊部に近接した大腿動脈にカテーテル２２を挿入することによって大動脈１０２中に挿入される。カテーテル２２は、先端部３４が左冠状動脈１１４の開口部１１０内に同軸的に配置される状態で、大動脈弓１１２に配置される。生体外において直線状態にある直線部分２６は生体内では少々湾曲され、大動脈弓１１２に亘って延伸している。生体内における第２湾曲部３０の曲率半径は生体外における曲率半径よりも大きい。この生体内における増加した第２湾曲部３０の半径は主湾曲部３２の半径とほぼ同一になる。主湾曲部３２と第２湾曲部３０とはほぼ同一の曲率半径を有するため、両者３０，３２はほぼ一定の半径を有する曲線を形成する。
前述の一定した半径を有する曲線は大動脈に配置されるが、左冠状動脈１１４の開口部１１０に対向する上行大動脈１０６の内壁に寄り掛かるように配置されることが好ましい。この一定した半径を有する曲線のために、カテーテルの湾曲部２８の中を通って進行する脈管内カテーテルは、先端部が左冠状動脈の開口部から外される傾向にある遷移点で抵抗に出会うことがないので、実質的には遷移点に出会うことがないことになる。
本発明の範囲から逸脱することなしに上記した実施の態様に種々の変更がなされ得る。例えば、本発明で特定した長さ及び角度は本発明の範囲内で変更され得る。更に、上記に記載及び図示した曲率半径に代えて、本発明のカテーテルは変更可能である。例えば、異なる寸法や外形を持つ患者のために、半径及び角度は、図３に示す生体内における一定の曲線を持つガイドカテーテルを達成するために変更可能である。

Claims (4)

1. 左冠状動脈の開口部に到達させるべく大動脈の中を通して挿入されるためのカテーテルにおいて、前記大動脈は前記開口部に相対向する内壁を有し、前記カテーテルは、
   基端部と、前記基端部から末端方向に延伸する直線部と、前記直線部から末端方向に延伸する湾曲部とを含む細長い管状部材からなり、
   前記湾曲部は、前記直線部分から末端方向に延伸する第２湾曲部分と、前記第２湾曲部が曲率半径Ｓｒを有していることと、前記第２湾曲部から末端方向に延伸する主湾曲部分と、前記主湾曲部が曲率半径Ｐｒを有していることと、を含み、
   前記カテーテルの末端部が左冠状動脈の開口部内に位置している時は、前記湾曲部は大動脈の前記相対向する内壁に係合しており、かつ前記Ｐｒは前記Ｓｒとほぼ等しく、
   前記カテーテルが生体外にある場合、前記Ｐｒは前記Ｓｒとは異なるカテーテル。
2. 前記カテーテルが生体外にある場合、前記Ｐｒは前記Ｓｒよりも大きい請求項１に記載のカテーテル。
3. 前記主湾曲部及び第２湾曲部は比率Ｐｒ／Ｓｒを有し、かつ前記生体外におけるＰｒ／Ｓｒ比が１．３〜１．８の範囲にあることとからなる請求項１または２に記載のカテーテル。
4. 前記主湾曲部及び前記第２湾曲部は比率Ｐｒ／Ｓｒを有し、かつ前記生体内におけるＰｒ／Ｓｒ比が１．０に近接していることとからなる請求項１乃至３のいずれか一項に記載のカテーテル。

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