JP3881977B2 - 2次元検出器を備えたx線回折装置とそのブランク強度の削除方法 - Google Patents

2次元検出器を備えたx線回折装置とそのブランク強度の削除方法 Download PDF

Info

Publication number
JP3881977B2
JP3881977B2 JP2003357646A JP2003357646A JP3881977B2 JP 3881977 B2 JP3881977 B2 JP 3881977B2 JP 2003357646 A JP2003357646 A JP 2003357646A JP 2003357646 A JP2003357646 A JP 2003357646A JP 3881977 B2 JP3881977 B2 JP 3881977B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
intensity
ray
data
dimensional
dimensional detector
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003357646A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005121514A (ja
Inventor
明秀 土性
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Rigaku Corp
Original Assignee
Rigaku Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Rigaku Corp filed Critical Rigaku Corp
Priority to JP2003357646A priority Critical patent/JP3881977B2/ja
Publication of JP2005121514A publication Critical patent/JP2005121514A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3881977B2 publication Critical patent/JP3881977B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Description

本発明は、X線回折装置などのX線装置において、その2次元検出器により得られるX線像から、ブランク強度を削除して規格化されたX線強度データを自動的に得ることができる2次元検出器を備えたX線回折装置と、そのブランク強度の削除方法に関する。
X線装置においては、試料の希望測定点にX線を照射して得られるX線を平面領域内で、すなわち、2次元的に受光してその平面領域内の各点においてX線を検出できる構造のものが、例えば、以下の特許文献1により、既に知られている。
すなわち、上述のX線装置では、輝尽性蛍光体と呼ばれる平面状のX線検出手段を利用して、X線をエネルギとして蓄積し、その後、レーザ光などの輝尽励起光によりそのエネルギを外部へ光として放出し、これを走査駆動装置や光電変換器などを含んで構成される読取り装置により読み取り、その光強度に対応した電気信号に変換することにより出力するものである。
特開平05−149896号公報(図5)
ところで、上述したようなX線装置では、試料により回折されたX線が2次元的に平面領域内で得られることから、通常、平行走査によって読み取ったデータから同一の回折角(2θ)での強度分布を得るため、コンピュータによって演算処理し、所謂、2θ変換と呼ばれる変換を行なうことにより、所望の強度データを得ることが行なわれていた。
一般に、回折されたX線が2次元的に検出される従来の2次元検出器では、その平面領域内における位置は、そのそれぞれの各測定点において、試料からの距離や角度が異なっており、そのため、2次元検出器において検出したエネルギ潜像を同一の回折角(2θ)の情報として読み取るために、平行走査によって読み取ったデータをコンピュータによって演算処理する必要がある。すなわち、2次元データは、回折角(2θ)が等価な2次元位置を積算することにより、1次元の2θデータに変換することが出来る。
また、空気による散乱などによるバックグラウンドノイズに対しては、通常、受光面全体で検出されたX線強度を受光面におけるピクセル数で割って得られる、ブランク(Blank)と呼ばれる補正が行なわれている。
一方、2次元検出器には、電気的に持ち上げている一定レベルのベース強度、自然計測等を原因とする、いわゆる、ブランク強度が存在している。そのため、このブランク強度を削除しないと、正確なX線回折データを得ることができない。
そこで、従来においては、このブランク強度を削除するため、X線が照射されていない部分での強度(整数)を人為的に読み取ってブランク強度とし、上記2次元検出器の各ピクセルには、この人為的に読み取ったブランク強度が存在するものと仮定して、この整数を一様に引き算することが行なわれていた。
しかしながら、実際、このブランク強度には揺らぎが存在しており、そのため、上述のように一義的にこのブランク強度を決定した場合には、最終的に得られるデータには、このブランク強度の揺らぎが加算されてしまい、そのため、得られるデータの揺らぎが大きくなってしまう。そして、この揺らぎが大きくなると、得られるデータ上の小さい回折線がこの揺らぎに埋没してしまい、検出が困難になってしまうという問題点があった。また、上述したように、ブランク強度には揺らぎがあることから、一義的にブランク強度を決定することが出来ないことから、その自動的な処理(自動化)が難しいという問題点があった。更には、特に、回折線の強度が弱い場合においては、上記のように人為的に読み取って引算するブランク強度が整数の場合には、その補正が粗過ぎることとなり、高精度の分析が出来ないという問題点も指摘されていた。
そこで、本発明では、上述した従来技術における問題点を解消し、すなわち、上記のように、従来では人手による入力によって行なわれていたブランク強度の読み取りを自動的に行なうことが可能で、かつ、より高精度の分析を可能にする2次元検出器を備えたX線回折装置とそのブランク強度の削除方法を提供することを目的とする。
かかる上記の目的を達成するため、本発明によれば、まず、X線源から放射されたX線をコリメータによって試料に照射し、その試料で回折するX線の強度を2次元検出器によって検出し、前記2次元検出器によって検出したX線の強度を演算手段によって2θ変換することにより所定の形式のデータとして表示する2次元検出器を備えたX線回折装置であって、前記演算手段は、前記2次元検出器によって検出して得られた回折X線強度の2次元データを2θ変換し、前記2次元検出器の全ピクセルに同一の強度を埋め込んだ2次元のダミーデータを用意してこれを2θ変換し、ブランクで前記2次元検出器によって検出して得られた回折X線強度の2次元データのトータル強度と前記2次元のダミーデータのトータル強度とを比較して強度比を算出し、前記算出した強度比により前記2θ変換して得られたダミーデータを補正し、前記2θ変換して得られた検出データと前記補正されたダミーデータとの差分により前記表示する所定の形式のデータを算出する2次元検出器を備えたX線回折装置が提供される。
また、本発明によれば、やはり上記の目的を達成するため、X線源から放射されたX線をコリメータによって試料に照射し、その試料で回折されるX線の強度を2次元検出器によって検出し、前記2次元検出器によって検出したX線の強度を2θ変換により所定の形式のデータとして表示するための2次元検出器において、ブランク強度を削除するための方法であって、前記2次元検出器によって検出して得られた回折X線強度の2次元データを2θ変換し、前記2次元検出器の全ピクセルに同一の強度を埋め込んだ2次元のダミーデータを用意してこれを2θ変換し、ブランクで前記2次元検出器によって検出して得られた回折X線強度の2次元データのトータル強度と前記2次元のダミーデータのトータル強度とを比較して強度比を算出し、前記算出した強度比により前記2θ変換して得られたダミーデータを補正し、前記2θ変換して得られた検出データと前記補正されたダミーデータとの差分により前記表示する所定の形式のデータを算出する2次元検出器におけるブランク強度の削除方法が提供される。
以上からも明らかなように、本発明によれば、従来では人手による入力によって行なわれていたブランク強度の削除を自動的に行なうことが可能で、かつ、より高精度の分析を可能にする2次元検出器を備えたX線回折装置とそのブランク強度の削除方法を提供することが可能となるという優れた効果を発揮する。
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、添付の図6は、本発明になる2次元検出器のX線強度補償方法を実施するX線回折装置である、X線測定装置の一実施形態を示している。
この図6に示すX線測定装置1は、内蔵するX線焦点FからX線を放射するX線発生装置5と、そのX線焦点Fから放射されるX線から断面径の小さい平行X線ビームを取り出すX線照射野調整手段としてのコリメータ2と、測定対象である試料SをX線焦点F及びコリメータ2の中心を通るX線光軸X0上に支持する試料支持装置3とを有する。
試料Sの周囲には、X線検出手段としての、具体的には2次元X線検出手段としての円筒状の輝尽性蛍光体4が配設される。この輝尽性蛍光体4は試料Sの表面に水平な方向から垂直な方向までを広く覆うように配置されている。この場合、垂直方向の範囲は輝尽性蛍光体4の軸線方向(図6の上下方向)の長さを長くすればする程広くなる。また、試料Sの表面を観察できる位置に試料撮影手段としてのCCD(Charge Coupled Device)カメラ10が設けられる。
なお、この図6では、上記の各X線光学要素を模式的に示しており、それらの相対的な大きさは実際のものとは異なっていることもある。また、実際のX線光学系においては、上記の各X線光学要素以外にスリット、モノクロメータ等といったその他のX線光学要素が必要に応じて用いられることがあるが、本実施形態ではそれらの付帯的な要素の図示は省略してある。
X線焦点Fは、周知のように、発熱して熱電子を放出するフィラメント(図示せず)とそれに対向して配置されるターゲット(図示せず)とを含んだX線発生構造において、ターゲットにおける電子照射面として形成される。そして、そのX線焦点Fから、例えばポイント状のX線が取り出される。フィラメントやターゲットを有するX線発生装置5の動作は、図8において、例えばCPU(Central Processing Unit)を含んで構成される制御装置12によって制御される。
再び、図6において、コリメータ2は、X線焦点Fから放射されたX線が所定範囲のX線照射野で試料Sを照射するようにそのX線を調整するX線照射野調整手段として作用する。本実施形態のコリメータ2は、X線取込み側に径の大きなピンホールを有し、X線取出し側に径の小さいピンホールを有するダブルピンホールコリメータによって構成されており、それら一対のピンホールによって試料SにおけるX線照射野を規定する。コリメータ2の試料S側のピンホールは、例えば直径1mm以下に形成され、試料SにおけるX線照射野はそのピンホールとほぼ同じ大きさの面積に形成される。
試料支持装置3は、試料Sを支持する試料台6と、その試料台6を支持する試料平行移動手段としてのXYステージ7と、X線光軸X0上に載っているX線照射点を通るφ軸線を中心としてXYステージ7を回転させるφ回転駆動装置8と、φ回転駆動装置8を支持するω回転台9と、X線照射点を通るω軸線を中心としてω回転台9を回転させるω回転駆動装置11とを有する。試料Sの試料台6への取り付け方法としては、接着その他の任意の方法を採用できる。
XYステージ7にはX駆動装置14及びY駆動装置16が付設され、それらの駆動装置14,16を個々に作動することによりXYステージ7がφ軸線に直交する面内で平行移動できるようになっている。X駆動装置14及びY駆動装置16は、例えば、パルスモータ、サーボモータ等といった回転角度すなわち動作量を細かく制御可能な動力機器を含んで構成される。
ω軸線は、例えば垂直軸線として設定され、このω軸線とφ軸線とはX線照射点において互いに交差し、ω軸線とφ軸線との交差角度γは、例えばγ=45°に設定する。軸交差角度をγ=45°に設定すれば、ω軸線を中心とする円筒状に配置された輝尽性蛍光体4の広い範囲に向かって、試料Sからの回折X線等を照射することが可能となる。つまり、測定可能な回折角度範囲を広く設定できる。
φ回転駆動装置8及びω回転駆動装置11の動作は、図8において、制御装置12によって制御される。この制御装置12の入力端子にはキーボード、マウス型入力器、その他の操作入力装置13が接続され、この操作入力装置13を操作することにより、ω回転駆動装置11及びφ回転駆動装置8の動作を制御できる。
φ回転駆動装置8は、例えば、回転角度が制御可能なモータを用いて構成でき、その場合にはモータの出力軸にXYステージ7が直接に又はギヤその他の伝達機構を介して連結される。ω回転駆動装置11は、例えば、モータを動力源としてウォームとウォームホイールから成る伝達機構を介してω回転台9へ動力を伝達する構造によって構成できる。
ω回転駆動装置11によってω回転台9を適宜の角度回転させると、試料Sがω軸線を中心として回転するので、試料Sへ入射するX線の入射角度を調節することができる。また、φ回転駆動装置8によってXYステージ7及び試料台6を回転させると、試料Sがφ軸線を中心として回転、すなわち面内回転させることができる。例えば、試料SのX線照射野の中に含まれる結晶数が少なくて回折X線を発生させる確率が低い場合には、この面内回転によって確実に回折X線を発生させることができる。
次に、図6の輝尽性蛍光体4は、X線を平面領域内で、すなわち2次元的に受光してその平面領域内の各点においてX線を検出できる構造のX線検出手段であり、より具体的には、エネルギ蓄積型の放射線検出器であって、輝尽性蛍光物質、例えばBaFBr:Er2+の徽結晶を可撓性フィルム、平板状フィルム、その他の部材の表面に塗布等によって成膜したものである。この輝尽性蛍光体4は、X線等をエネルギの形で蓄積することができ、さらにレーザ光等といった輝尽励起光の照射によりそのエネルギを外部へ光として放出できる性質を有する物質である。
つまり、輝尽性蛍光体にX線等を照射すると、その照射された部分に対応する輝尽性蛍光体4の内部にエネルギが潜像として蓄積され、さらにその輝尽性蛍光体にレーザ光等といった輝尽励起光を照射すると、上記潜像エネルギが光となって外部へ放射される。この放出された光を光電管等によって検出することにより、潜像の形成に寄与したX線の回折角度及び強度を測定できる。この輝尽性蛍光体は従来のX線フィルムに対して10〜60倍の感度を有し、さらに105〜106に及ぶ広いダイナミックレンジを有する。
なお、図6において輝尽性蛍光体4によって検出された測定データは、例えば図7に示すような読取り装置17によって読み取ることができる。ここに示す読取り装置17は、輝尽性蛍光体4を平面状に支持する支持台18と、輝尽励起光としてのレーザ光を放出するレーザ光源19と、レーザ光源19から放出されるレーザ光を反射する光反射部材21aと、支持台18に対向して配設されていて光反射部材21aからの光を受け取る走査光学系22と、そして光反射部材21bからの光を受け取るレーザ光検出器23とを有する。レーザ光検出器23は、例えば光電変換器を含んで構成される。
走査光学系22は走査駆動装置24によって駆動されて輝尽性蛍光体4の表面をX−Yの直交2方向すなわち平面方向へ走査する。走査駆動装置24は任意の平行移動機構を用いて構成できる。レーザ光検出器23は、光を受け取ってその光強度に対応した信号を出力する。そして、レーザ光検出器23の出力端子にはX線強度演算回路26が接続される。
上記図6において測定を終了した輝尽性蛍光体4を図7の支持台18に装着し、走査光学系22をX−Y平面内で走査移動させながらレーザ光を照射して読み取りを行えば、輝尽性蛍光体4に蓄積されたX線潜像に関する輝尽性蛍光体4の平面内での座標位置及びその増像形成に寄与したX線の強度を測定することができる。なお、輝尽性蛍光体4は平面状に限られず円筒状に支持することもでき、その場合には走査光学系22をその円筒状の中心軸線を中心として主走査回転させ且つ軸方向に副走査直線移動させることにより輝尽性蛍光体4の表面の全面を走査できる。
図8は、図6に示すX線測定装置1及び図7に示す読取り装置17から成るX線装置に用いられる電気制御系の一実施形態を機能ブロック図として示している。ここに示す制御系は、CCDカメラ10から出力されるビデオ信号を受け取ってそのビデオ信号に対応した映像をディスプレイ31の画面31aに表示する映像制御部32と、カメラ10及び入力装置13からの出力信号に基づいて、XYステージ7、X線発生装置5及び読取り装置17等の動作を制御する制御装置12とを有する。
制御装置12は、例えば、CPUを含むプロセッサによって構成され、この制御装置12には情報記憶媒体33が接続される。この情報記憶媒体33は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等といった半導体メモリや、ハードディスク、CD−ROM等といった外部記憶機器等によって構成される。
この制御装置12は次の機能実現手投、すなわち、ポインタ座標演算部34、座標角度差δ演算部36、座標変換演算部37、試料平行移動演算部38、画素ピクセルーXY移動相関演算部39及びX線測定演算部41を有する。
ポインタ座標演算部34は、試料Sに関する希望測定点が入力装置13、例えばマウス型入力器を通して指示されたとき、その指示データを座標データとして映橡制御部32へ伝送し、これにより、ディスプレイ31の画面31aに希望測定点Pをポインタによって指示できる。なお、撮影画面31aには観察の目安と成る直交カーソルが表示され、これらのカーソルの交差点○が基準位置となる。ポインタ座標演算部34は、また、読み取った測定点座標(Xn,Yn)を記憶媒体3の所定記憶場所に記憶する。
座標角度差δ演算部36は、後述する演算手法により、撮影画面31a上の座標軸とXYステージ7上の座標軸との問の角度差δを求める。XYステージ7は一般に試料支持装置3に対して着脱可能になっているのが普通であるので、撮影画面31a上の座標軸とXYステージ7上の座標軸との間には角度差δが生じるのが一般的であると考えられる。なお、撮影画面31aの基準原点(X0,Y0)は、予め、図1においてコリメータ2から出たX線が試料Sを照射する点、すなわちX線照射点と一致するように設定されている。
座標変換演算部37は、撮影画面31aの座標上における座標値をXYステージ7の座標上における座標値に変換する。このための具体的な手法としては種々考えられるが、本実施形態では、撮影画面31a上の座標軸とXYステージ7上の座標との間の座標軸の角度差δ分だけ、図1においてXYステージ7をφ軸線まわりに回転させることにより、図3において撮影画面31aの座標軸線とXYステージ7の座標軸線とを互いに一致又は平行になるように設定する。このように両座標軸線を一致又は平行にすれば、撮影画面31a上の測定点Pの座標値はXYステージ7上の座標値と同等に扱うことができる。
試料平行移動演算部38は、座標値として(Xi,Yi)の入力があったときにXYステージ7をX方向へX=−Xiだけ平行移動させ、Y方向へY=−Yiだけ平行移動させるための演算を行う。また、画素ピクセル−XY移動相関演算部39は、撮影画面31aにおける単位当たりの座標寸法とXYステージ7の単位当たりの移動量とを同じにする演算を行う。これにより、撮影画面31aにおける単位寸法とXYステージ7における単位移動量とを同じにすることができる。
X線測定演算部41は、情報記憶媒体33に記憶きれたプログラムに従って、図6に示すX線測定装置1及び図7に示す読取り装置17を動作させるための演算を行う。これにより、試料Sに対してX線測定、本実施形態の場合はX線回折測定が行われる。
続いて、上記にその構成を示したX線測定装置において実施される2次元検出器におけるブランク強度の削除方法について、以下に図1〜図5を参照しながら説明する。なお、ここで、2次元検出器とは、例えば、上記図6に一例として示した、輝尽性蛍光体4であり、すなわち、回折X線を2次元的に受光してその平面領域内の各点においてX線を検出できる構造のX線検出手段である。また、この2次元検出器におけるブランク強度の削除方法は、上記2次元検出器である輝尽性蛍光体4から図7に示す読取り装置17によって読み取った後、光電変換等によって電気的な信号に変換され、その後、図8に示した、CPUを含むプロセッサによって構成された制御装置12、特に、そのX線測定演算部41において、所定の処理が行なわれる。
図1は、2次元検出器におけるブランク強度の削除方法の処理の流れを示している。まず、上記X線測定装置によって、サンプル(試料)Sにより得られた回折X線を上記2次元検出器である輝尽性蛍光体4から読み取ってサンプルの測定を行なう(ステップS11)。この測定の結果として得られたX線強度の測定画面の一例を、図2(a)に示す。その後、平行走査によって読み取られたデータから同一の回折角(2θ)での強度分布を得るための変換である2θ変換が、上記制御装置12のX線測定演算部41において行なわれ(ステップS12)。この2θ変換の結果得られたX線強度データIを示すグラフの一例を、図2(b)に示す。なお、このグラフでは、その横軸に2θを、そして、その縦軸にはX線強度(カウント値)が示されている。
次に、上記X線測定装置によって、ブランク強度を削除するため、ダミー(Dummy)を用意する(ステップS21)。なお、このダミーは、上記2次元検出器の全てのピクセルに同じ値が入っているデータを作成する(即ち、ブランク測定のような実際の測定は不用である)ことにより得られる。これにより得られたX線強度の測定画面の一例を、図3(a)に示す。そして、上記と同様に2θ変換を行ない(ステップS22)、その結果、図3(b)に示すように、同一の回折角(2θ)についての強度分布のプロファイルのデータが得られる。なお、このダミーデータを2θ変換して得られたデータは、図からも明らかなように、データの揺らぎ(即ち、ギザギザ)がなく、すなわち、滑らかな理想的な形状を有している。しかしながら、この得られたデータは、図の縦方向の倍率(即ち、強度)は不明であり、そのため、以下に述べるバックグラウンドの検出により得られる強度を利用することにより、その強度を決定する。
すなわち、空気による散乱などによるバックグラウンドノイズに対しては、上記X線測定装置により、通常ブランク(Blank)と呼ばれる測定が行なわれる(ステップS31)。これにより得られたX線強度の測定画面の一例を図4に示す。なお、このブランク測定は、実際の装置において、測定条件を同じにして試料がない状態で測定を行なうことにより実行される。そして、以下の数式(数1)により示すように、受光面全体(全ピクセル)で検出されたX線強度を、上記ダミーデータとブランクデータとで比較して係数nを求める(ステップS32)。
ΣI/(X×Y)=n (数1)
ここで、上記の式における(ΣI)は、上記ダミーデータにおけるトータル強度を、そして、(X×Y)は、ブランク測定により得られたデータのトータル強度を示している。なお、上記の各処理は、何れを先に行ってもよく、あるいは、予め測定しておくことも可能である。
その後、上記の各処理により求められたサンプル測定データのX線強度I、ダミーデータのX線強度データI’、そして係数nにより、以下に示す数式(数2)によってバックグラウンドとの差分を求め、もって、X線強度分布を得る(ステップS40)。
I−I’×n (数2)
なお、上記によって得られた補正されたX線強度データの一例を図5に示す。即ち、上記の方法によれば、上記(数1)で得られた係数nにより、上記2θ変換されたダミーデータ(図3(b)を参照)を、上記ブランク測定により得られたバックグラウンドに対して、特に、その縦方向の倍率(即ち、強度)において、最適に適合させ、もって、最適なバックグラウンド差分を得ることが可能となる。
以上のように、本実施の形態によれば、1データ当り(各2θ)に数値を整数入力するなどの人手による作業を行なう必要がなく、ブランク強度の削除を、その強度の調整をも含めて、自動的に行なうことが可能となる。また、その際、従来のブランク測定では、バックグラウンドの強度は分かるが、しかしながら、これを試料での回折により得られたデータから直接引算した場合にはデータの揺らぎが増加してしまい、検出が困難になってしまうという問題点を生じるが、これに対して、上記の方法によれば、ブランク測定で得られるデータとその強度と適合した滑らかなダミーデータを得ることが出来ることから、このダミーデータを試料の回折により得られたデータから直接引算しても、揺らぎが増加することはなく、その後の検出の精度を低下することはなく、2次元検出器を備えたX線回折装置による高精度な検出・分析を可能とする。
本発明の2次元検出器におけるブランク強度の削除方法における処理の流れを示すフロー図である。 上記ブランク強度の削除方法における、サンプル測定により得られたX線強度の測定画面及びそれを2θ変換して得られるデータの一例を示す図である。 上記ブランク強度の削除方法における、ダミーにより得られるX線強度の測定画面及びそれを2θ変換して得られるデータの一例を示す図である。 上記ブランク強度の削除方法における、ブランク測定により得られたX線強度の測定画面一例を示す図である。 上記ブランク強度の削除方法における、X線強度補償後の測定データの一例を示す図である。 上記ブランク強度の削除方法を実施するX線回折装置の一実施形態を示す図である。 上記X線回折装置における2次元検出器である輝尽性蛍光体とその読取り装置の一例を示す図である。 上記X線測定装置や読取り装置から成るX線装置に用いられる電気制御系の一実施形態を機能ブロック図である。
符号の説明
1 X線測定装置
3 試料支持装置
4 2次元X線検出手段(輝尽性蛍光体)
5 X線発生装置
2 コリメータ
17 読取り装置
S 試料
12 制御装置
41 X線測定演算部

Claims (2)

  1. X線源から放射されたX線をコリメータによって試料に照射し、その試料で回折するX線の強度を2次元検出器によって検出し、前記2次元検出器によって検出したX線の強度を演算手段によって2θ変換することにより所定の形式のデータとして表示する2次元検出器を備えたX線回折装置であって、前記演算手段は、前記2次元検出器によって検出して得られた回折X線強度の2次元データを2θ変換し、前記2次元検出器の全ピクセルに同一の強度を埋め込んだ2次元のダミーデータを用意してこれを2θ変換し、ブランクで前記2次元検出器によって検出して得られた回折X線強度の2次元データのトータル強度と前記2次元のダミーデータのトータル強度とを比較して強度比を算出し、前記算出した強度比により前記2θ変換して得られたダミーデータを補正し、前記2θ変換して得られた検出データと前記補正されたダミーデータとの差分により前記表示する所定の形式のデータを算出することを特徴とする2次元検出器を備えたX線回折装置。
  2. X線源から放射されたX線をコリメータによって試料に照射し、その試料で回折されるX線の強度を2次元検出器によって検出し、前記2次元検出器によって検出したX線の強度を2θ変換により所定の形式のデータとして表示するための2次元検出器において、ブランク強度を削除するための方法であって、前記2次元検出器によって検出して得られた回折X線強度の2次元データを2θ変換し、前記2次元検出器の全ピクセルに同一の強度を埋め込んだ2次元のダミーデータを用意してこれを2θ変換し、ブランクで前記2次元検出器によって検出して得られた回折X線強度の2次元データのトータル強度と前記2次元のダミーデータのトータル強度とを比較して強度比を算出し、前記算出した強度比により前記2θ変換して得られたダミーデータを補正し、前記2θ変換して得られた検出データと前記補正されたダミーデータとの差分により前記表示する所定の形式のデータを算出することを特徴とする2次元検出器におけるブランク強度の削除方法。
JP2003357646A 2003-10-17 2003-10-17 2次元検出器を備えたx線回折装置とそのブランク強度の削除方法 Expired - Fee Related JP3881977B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003357646A JP3881977B2 (ja) 2003-10-17 2003-10-17 2次元検出器を備えたx線回折装置とそのブランク強度の削除方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003357646A JP3881977B2 (ja) 2003-10-17 2003-10-17 2次元検出器を備えたx線回折装置とそのブランク強度の削除方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005121514A JP2005121514A (ja) 2005-05-12
JP3881977B2 true JP3881977B2 (ja) 2007-02-14

Family

ID=34614476

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003357646A Expired - Fee Related JP3881977B2 (ja) 2003-10-17 2003-10-17 2次元検出器を備えたx線回折装置とそのブランク強度の削除方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3881977B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005121514A (ja) 2005-05-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2702449B1 (en) System and method for correction of geometric distortion of multi-camera flat panel x-ray detectors
JP5486620B2 (ja) 骨塩定量分析方法および骨塩定量分析システム、並びに記録媒体
KR100738943B1 (ko) 방사선 촬영장치 및 방사선 촬영방법
US20050078790A1 (en) X-ray crystal orientation measuring method and X-ray crystal orientation measuring apparatus
US7184516B2 (en) Digital phase contrast X-ray radiographing system
US7286631B2 (en) Method and apparatus for tomosynthesis image quality control
EP2702450B1 (en) System and method for correction of vignetting effect in multi-camera flat panel x-ray detectors
EP1903499A2 (en) Radiological image capturing system and radiological image capturing method
JP2005091142A (ja) X線分析装置
JP2011141148A (ja) X線トポグラフィ装置
CN104665852A (zh) 一种医学图像的投影方法、装置和系统
EP2372636A1 (en) Shading correction device, method and program
CN104656120A (zh) 校正信息生成方法以及校正信息生成装置
JP3881977B2 (ja) 2次元検出器を備えたx線回折装置とそのブランク強度の削除方法
JP7287957B2 (ja) 放射線検出装置、コンピュータプログラム及び位置決め方法
JP2009047440A (ja) 非破壊検査装置及び非破壊検査方法
JP2003294848A (ja) 放射線校正装置
CN110793985A (zh) X射线透射检查装置和x射线透射检查方法
JP4563701B2 (ja) X線結晶方位測定装置及びx線結晶方位測定方法
JP3765530B2 (ja) X線測定方法及びx線装置
JP3699519B2 (ja) 画像処理装置
JP4357923B2 (ja) X線検査装置、x線検査方法およびx線検査装置の制御プログラム
JPWO2007049348A1 (ja) 放射線撮像装置および放射線検出信号処理方法
JP2001245140A (ja) 画像処理方法および画像処理装置
JP3626965B2 (ja) X線装置及びx線測定方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061004

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061017

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061113

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091117

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101117

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111117

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121117

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121117

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131117

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees