JP3881426B2 - 液晶表示素子とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、液晶分子の配向方向が液晶セル全体としてランダムな方向に配列したマルチドメイン構造を有する液晶表示素子とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常の液晶表示素子は、液晶分子自体が入射光の偏光方向や散乱を制御する。液晶層に入射する光の偏光方向を揃えるために偏光板が用いられる。偏光板を用いると、入射光のうちのある偏光成分のみが選択されるために、自然光が入射する場合、表示に利用できる最大光強度は入射光のたかだか約半分になる。
【0003】
偏光板を用いない明るい表示装置として、ネマティック液晶、カイラルネマティック液晶あるいはコレステリック液晶などの散乱特性を用いた、いわゆる光散乱型液晶表示装置や、ネマティック液晶、カイラルネマティック液晶あるいはコレステリック液晶などに二色性色素を混入したゲストホスト型液晶表示装置などが知られている。前者の液晶表示装置においては、液晶層を挟持する二枚の基板の両方の界面の液晶分子の配向方向が対向する基板どうしで互いに一定の関係になるようにラビング等の配向処理が施されている。後者のゲストホスト型液晶表示装置では、上述のような配向処理をした基板間に二色性色素を添加している。
【0004】
これらの液晶表示装置では、液晶セル内の液晶分子は、基板全面に渡って一定の方向に配向しており、一方の基板から他方の基板に向かって液晶分子がねじれており、基板間で一定のツイスト角を持って配列する均一配向がされている。反射型の液晶表示装置では、一対の基板の一方の基板の外側(背面)もしくは、一方の基板の内側に光反射板が配置される。
【0005】
このような液晶表示装置の内、特にツイスト角が大きな(例えば270°〜720°)ものは、高コントラスト表示が実現出来るために多用されているが、電気光学特性にヒステリシスを持つために中間階調表示ができないという欠点を持っていた。
【0006】
この欠点を解消するために、本願と同一出願人による特許出願である特願平7−26784号の明細書では特にゲストホスト型液晶表示装置に対してコントラストの向上とヒステリシスを小さくする発明が開示されている。この特願平7−26784号に開示の発明では、二色性色素を混合したネマティック液晶、カイラルネマティック液晶あるいはコレステリック液晶を含む液晶層を一対の基板で挟持し、液晶層の液晶分子の配向方向は基板面内方向に関して巨視的にはほぼあらゆる方向に等確率で分布するマルチドメイン構造を有し、液晶分子は基板と垂直な方向に関しては一様に一定のツイスト角を有することを特徴としている。
【0007】
また、同じく、本願と同一出願人による別の出願の特願平8−59470号には、液晶材料を等方相から液晶相へと冷却する過程での冷却速度を遅くしてマルチドメインのドメインの平均直径を大きく形成することによって、ヒステリシスをさらに小さくする方法が記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記特願平7−26784号の発明及び特願平8−59470号の発明では、それまでの従来技術の問題点を解決することはできたが、完全にヒステリシスをなくすにはいたっておらず、さらにヒステリシスの改善の余地はあった。
【0009】
本発明の目的は、液晶表示素子の電気光学特性のヒステリシスを効果的に小さくし、中間階調表示に適した液晶表示素子とその製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明による液晶表示素子は、一対の基板と、該一対の基板間に挟持されたネマティック液晶、カイラルネマティック液晶あるいはコレステリック液晶のいずれかを含む液晶層とを有する液晶表示素子であって、前記液晶層の液晶分子の配向方向は、前記基板面内方向に関して巨視的にはほぼあらゆる方向に等確率で分布し、前記基板と垂直な方向に関しては液晶分子の配列は一定方向のねじれ構造を持ち、該一対の基板間での該ねじれ構造のツイスト角が互いに異なる複数の領域を有する。
【0011】
本発明による液晶表示素子の製造方法は、積極的に配向処理を行わずに配向膜を表面に形成した一対の基板が対向したセルを用意する工程と、ネマティック液晶、カイラルネマティック液晶あるいはコレステリック液晶のいずれかを含む液晶材料を等方相で前記セル内に挟持させる工程と、前記液晶材料を挟持したセルを冷却して液晶相に相転移させ、前記基板と垂直な方向に関して液晶分子の配列に一定方向のねじれ構造を与え、該ねじれ構造のツイスト角が互いに異なる複数の領域を有し、液晶層の液晶分子の配向方向が基板面内方向に関して巨視的にほぼあらゆる方向に等確率で分布するようにする工程とを有する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1(A)および(B)は、本発明の液晶表示素子のマルチドメイン構造の液晶分子の配列を説明するために斜め方向から見た概念図である。なお理解を容易にするために電極や駆動素子などは図示を省略してある。
【0013】
図1(A)に示すように、液晶表示素子は一対の透明基板(例えばガラス基板)1a,1bで液晶セルを構成し、その内部に液晶層2を挟持する。なお、基板1a、1bには積極的な配向処理を行ってない配向膜3a、3bが形成されている。配向処理を行ってないために、液晶セル内に注入された液晶層2は、基板面に平行に配向しようとする力は受けるが、面内方向に関しては配向力を受けない。液晶層2は、ネマティック液晶、カイラルネマティック液晶あるいはコレステリック液晶を含む。図1ではカイラルネマティック液晶を注入した場合を示す。
【0014】
基板が配向方向を有さないために、液晶層2内の液晶分子はランダムな方向に配向する。但し、液晶セルのセル厚はたかだか数μmと小さいため、セルの厚さ方向に関しては液晶層2は液晶自体の性質に応じた配向を有する連続したドメインを形成する。
【0015】
マルチドメイン構造では、各ドメイン個々における液晶分子の配向方向は揃っている。ドメイン間では基板面内方向ではドメインの配向方向がほぼ連続的に変化する領域を含む。
【0016】
図1(A)では簡単のために、二つの(ミクロ)ドメイン4、5に注目して説明する。ドメイン4、5では配向方向が異なっている。他の図示しない数多くのドメインも全体として配向方向はランダムである。基板1bから対向する基板1aに向かって液晶分子6がねじれており、基板間であるツイスト角を持って配列する。但し、ドメイン4のツイスト角とドメイン5のツイスト角とは図示のように互いに異なる。この液晶セルの構造では、マルチドメイン構造で、ツイスト角の異なる二つ以上の領域(ドメイン)を有する。
【0017】
図1(B)の場合でも、図示しない数多くのドメインの内、二つのドメイン7、8に注目して説明する。この場合、液晶表示素子は一対の透明基板9a、9bで液晶セルを構成し、その内部に液晶層10を挟持する。基板9bには図示のように段差が設けられる。従って基板9aと基板9bとの間にはセル厚の異なる領域が存在する。なお、基板9a、9bには配向膜11a、11bが形成されている。セル厚が異なるドメイン7とドメイン8とではツイスト角が異なる。このような複数の段差によるセル厚の異なる複数の領域を設けることで、ツイスト角の異なる領域を複数形成することができる。
【0018】
図1(A)、(B)で示すようなツイスト角が互いに異なる複数の領域を設けることによりヒステリシスを小さくすることができる。
【0019】
【実施例】
積極的な配向処理は行わずに、多数のミクロドメインからなるマルチドメイン構造の液晶セルの製造方法は、本願出願人による特許出願である特願平4−236652号や、特願平6−194655号あるいは、特願平6−53639号、さらにはそれらをゲストホスト型液晶表示素子に適用する特願平7−26784号の明細書の実施例に開示の方法などが利用できる。すなわち、これらの出願明細書に開示の方法を利用すれは、セルの基板間のギャップと液晶のカイラルピッチとを特定の関係となるように配置し、液晶の熱光学効果を利用して配向をさせている。
【0020】
つまり、液晶の相転移温度以上に液晶材料を加熱して等方性の液体にした状態つまり等方相でセルに注入し、その後徐冷して液晶状態つまり液晶相に相転移させて配向させるか、あるいは液晶相でセルに液晶材料を注入してから等方相になる温度(液晶分子の配向のメモリが消滅する温度)まで加熱した後に液晶相まで冷却するものである。それにより、微小な配向領域すなわちミクロドメインを多数ランダムに形成することができる。
【0021】
なお、前述の特願平8−59470号に記載のように、液晶材料を等方相から液晶相へと冷却する過程での冷却速度を遅くしてマルチドメインのドメインの平均直径を大きく形成することがより効果的である。
【0022】
図2は、液晶セルへの液晶注入工程を示す。図2に示すように、一対のガラス基板15a、15bが対向し、液晶セルを構成している。基板15a上には、コモン電極等の配線層Wが形成され、その上に配向膜16aが形成されている。他方の基板15b上には、薄膜トランジスタQ及び画素電極PXを有するアクティブ駆動回路が形成され、その上に配向膜16bが形成されている。配向膜16a、16bはラビングのような積極的な配向処理は行わない。
【0023】
容器23中に液晶と二色製色素を含む液晶材料17を収容し、ヒータ20、21で両側から加熱する。液晶セルを容器23内の液晶17に漬け、液晶セルの注入口18から液晶セル内部に液晶を注入する。注入方法は、毛細管現象、真空注入あるいはキャピラリ注入等を利用することができる。
【0024】
注入前に、液晶17を等方相(アイソトロピック相)としておくと、液晶は等方相のまま液晶セル内のギャップに注入される。その後、ヒータ20、21の供給電力を下げるか遮断し、液晶セルを降温すれば、液晶17は液晶相となって、配向方向がランダムな微小な配向領域すなわちミクロドメインを多数形成することができる。
【0025】
図1(A)で示すような構造を得るための一つの方法では、配向膜に工夫を要する。すなわち、異なる配向材を混合した相分離膜を液晶セルの配向膜3a、3bとして用いる。相分離膜は、液晶分子の基板面での配向をメモリするときの温度が互いに異なり、かつ相溶性の乏しい(互いに溶け合いにくい)二種類以上の配向膜材料を混ぜ合わせたものである。この相分離膜の溶液を配向膜として基板上に形成して液晶材料をセルに注入し、上記の方法のように液晶を等方相から液晶相に相転移させることによりマルチドメイン構造でツイスト角の異なるドメインが多数生成できる。
【0026】
図1(A)で示すような構造を得るためのもう一つの方法では、ポリイミド膜のような配向膜を用いた配向処理方法がある。この配向処理方法は、基板面に配向膜を形成した後、フォトマスク等を用いて紫外線を配向膜に照射することにより、配向膜における液晶分子の配向をメモリする温度が異なる複数の領域(ドメイン)を形成するものである。紫外線を照射した時間に応じてツイスト角の異なる複数種類の配向したドメインを形成することができる。マルチドメインの形成方法は上記したのと同様である。
【0027】
図1(A)の構造のようにツイスト角が異なる領域ができるのは以下のように説明できると考えられる。
【0028】
積極的配向処理を施さない液晶セルでは、液晶分子の配向は液晶の持つ性質により与えられた配列が配向膜界面に吸着(メモリ)されて決められる。等方相で注入された液晶分子は冷却により液晶相に相転移するが、本発明の実施例においては相転移がバルクから始まり液晶の性質で決まる配列(カイラルネマティック液晶においてはツイスト構造)を形成しつつ、最後に界面が相転移し配向膜にメモリされると考えられる。
【0029】
さらにこのときの様子を詳しく観察するとこのメモリが得られる温度は界面が相転移した時の温度ではなく、それよりも低い温度であることが判った。すなわち、界面が相転移したにもかかわらず、配向がメモリされてない状態が存在する。そのような状態時に液晶のカイラルピッチが変化するとそのセルのツイスト角は界面が相転移した温度でのピッチではなく、メモリが得られたときの温度でのピッチで決定される。さらにこのメモリが得られる温度は配向膜の性質により異なることが判った。
【0030】
本実施例ではこの性質を積極的に利用したものであり、セル内にメモリ効果が得られる温度が異なる複数の領域を作りだし、液晶のピッチの温度依存性が大きな液晶材料を用いることにより図1(A)の構造を実現している。
【0031】
上記の説明では、配向膜界面に吸着(メモリ)される温度の違いによって説明されてるが、本出願の発明者はこの違いがネマティック液晶の配向膜への濡れ性の違いに起因しているようであり、かつ濡れ易いほど高温でメモリされやすいということも見いだした。すなわち、配向膜上に濡れ性の違う複数の領域を持たせれば図1(A)のような構造が実現できると言える。
【0032】
次に、図1(B)で示すような構造は、例えばガラス基板上にアクリル樹脂などをパターニングして段差を設けることにより実現できる。この場合、均一な配向膜を用いて液晶の配向がメモリされる温度がどの領域においても均一であったとしても、セル厚が場所により異なるので、セル厚と液晶自体の固有ピッチの関係によって決まるツイスト角が場所により異なるようになる。
【0033】
以下、図1(A)、(B)の構造を実現するために本発明者が行った製造実験とその結果を説明する。
【0034】
まず、図1(A)で示すような構造を得るための異なる配向材を混合した相分離膜を配向膜とする場合の液晶セルを実際に製造する工程について説明する。
【0035】
(1).透明電極付きガラス基板に液晶配向膜としてポリイミド(日産化学工業(株)製 SE−510)とPVCi(ポリビニルシンナメート)との混合液を印刷法にて塗布した後、200℃のオーブンにて1時間焼成した。焼成後の膜厚は500オングストロームであった。
【0036】
(2).(1)の工程で得た二枚の基板の周辺にシール材を塗布し、直径5.5μmの球形のギャップコントロール材を介して重ね合わせ、シール材を硬化させて空セルを作製した。
【0037】
(3).(2)の工程で得た空セルを温度制御可能なホットプレート上で120℃まで加熱した。
【0038】
(4).黒色色素(三井東圧染料(株)製 S−344)を室温での自然ピッチが6.6μmのカイラルネマティック液晶に4.0wt%混入して120℃に加熱した等方相のゲストホスト液晶材料を(3)の工程で加熱した空セルに毛細管現象を利用して注入した。このときのカイラルネマティック液晶はネマティック液晶にピッチが正の温度依存性(温度上昇にともない自然ピッチが大きくなる)を示すカイラル材(メルク社製 S−811)を調合したものである。
【0039】
(5).(4)の工程で得た液晶セルを冷却速度−0.2℃/分で室温になるまで冷却て液晶相に転移させた。
【0040】
以上の工程によって作製した液晶セルのツイスト角を基板面の場所を変えながら測定した所、232度から296度までの範囲で様々な値が得られた。また、この液晶セルの電気光学特性を測定したところヒステリシスはほとんど見られなかった。
【0041】
このように、異なる配向膜材料を混合した材料で配向膜を形成することにより、セル内にツイスト角の異なるドメインを作り出すことができる。上記の実験例の他にも、ポリイミドとポリスチレンの組み合わせ、ポリイミドとポリイソプレンの組み合わせ、ポリイミドとポリアミドのと組み合わせ、あるいはポリイミド同志の組み合わせ(例えば、日産化学工業(株)製SE−510と日本合成ゴム(株)製JALS−428)で実現できた。
【0042】
次に、図1(A)で示すような構造を得るために紫外線を照射した配向膜を形成した液晶セルを実際に製造する工程について説明する。
【0043】
(1).透明電極付きガラス基板に液晶配向膜としてポリイミド膜(日産化学工業(株)製 SE−610)を印刷法にて塗布した後、200℃のオーブンにて1時間焼成した。焼成後の配向膜の膜厚は400オングストロームであった。
【0044】
(2).(1)の工程で2枚の基板を作製し、その内1枚の基板の配向膜に水銀ランプを光源とする紫外線を微小領域の開口部を持つフォトマスクを介して60秒間照射した。照射強度はオーク製作所製の紫外線照度計で310nm用のディテクタを取り付けて測定したところ、18mW/cm2 であった。
【0045】
(3).次に、フォトマスクの位置を変えて同様の紫外線照射を120秒間行った。さらに位置を変えて180秒間照射を行った。以後、このような紫外線照射をフォトマスクの位置を変える毎に照射時間を60秒づつ延長しながら、計7回(420秒まで)繰り返した。
【0046】
(4).(2)と(3)の照射を行った基板と(1)の照射してない基板の周辺にシール材を塗布し、直径5.5μmの球形のギャップコントロール材を介して両基板を重ね合わせ、シール材を硬化させて空セルを得た。
【0047】
(5).(4)で作製した空セルを温度コントロール可能なホットプレート上で120℃まで加熱した。
【0048】
(6).黒色色素(三井東圧染料(株)製 S−344)を室温での自然ピッチが6.6μmのカイラルネマティック液晶に4.0wt%混入して120℃に加熱した等方相のゲストホスト液晶材料を(5)の工程で加熱した空セルに毛細管現象を利用して注入した。このときのカイラルネマティック液晶はネマティック液晶にピッチが正の温度依存性を示すカイラル材(メルク社製 S−811)を調合したものである。
【0049】
(7).(6)の工程で得た液晶セルを冷却速度−0.2℃/分で室温になるまで冷却て液晶相に転移させた。
【0050】
以上の工程によって作製した液晶セルのツイスト角を基板面の場所を変えながら測定した所、251度から298度までの範囲で様々な値が得られた。また、この液晶セルの電気光学特性を測定したところヒステリシスはほとんど見られなかった。
【0051】
さらに、図1(B)で示すようなセル厚の異なる構造をガラス基板上にアクリル樹脂をパターニングして段差を設けて得る方法を実際の実験工程順に図3を参照して説明する。
【0052】
図3の(A)〜(D)は液晶セルの一方の基板の断面図である。この基板は最終的には図3(D)に示すように、表示電極領域でセル厚が異なる三つの領域を持つようにした。
【0053】
(1).図3(A)で示すように、一方のガラス基板30の上に透明電極(画素)31を形成し、さらにその上にカラーフィルタ基板の平滑膜として用いられている透明なアクリル樹脂層32をスピンコートにより形成する。
【0054】
(2).フォトリソグラフィーを利用して図3(B)で示すようにアクリル樹脂層を電極31の所定の領域だけを露出するようにパターニングする。この段階で電極上に高さの異なる2種類の領域が形成される。
【0055】
(3).図3(C)で示すように再度アクリル樹脂層33をスピンコートにより全面に形成する。
【0056】
(4).フォトリソグラフィーを利用して電極31の一部とアクリル樹脂層32の一部とが露出するようにパターニングして図3(D)で示すように電極31上で異なる厚みの領域a、b、cを形成した。アクリル樹脂の膜圧は、領域aが0μm、領域bが0.2μm、領域cが0.5μmであった。
【0057】
(5).(4)で作製した基板に配向膜としてポリイミド膜(日産化学工業(株)製 SE−510)を印刷法にて塗布した後、200℃のオーブンにて1時間焼成した。焼成後の配向膜の膜厚は400オングストロームであった。配向膜の厚さはアクリル樹脂層の厚さより格段に薄く、アクリル樹脂層の段差はほぼそのまま配向膜に受け継がれる。
【0058】
(6).電極を形成したもう一つのガラス基板を用意し、(5)と同様な配向膜を形成した。この基板には段差は設けない。
【0059】
(7).(5)と(6)の工程で得た基板の周辺にシール材を塗布し、直径5.5μmの球形のギャップコントロール材を介して両基板を重ね合わせ、シール材を硬化させて空セルを得た。このセルは画素毎に三つの異なるセル厚の領域を有する。
【0060】
(8).(7)で作製した空セルを温度コントロール可能なホットプレート上で120℃まで加熱した。
【0061】
(9).黒色色素(三井東圧染料(株)製 S−344)を室温での自然ピッチが6.6μmのカイラルネマティック液晶に4.0wt%混入して120℃に加熱した等方相のゲストホスト液晶材料を(8)の工程で加熱した空セルに毛細管現象を利用して注入した。このときのカイラルネマティック液晶はネマティック液晶にピッチが正の温度依存性を示すカイラル材(メルク社製 S−811)を調合したものである。
【0062】
(10).(9)の工程で得た液晶セルを冷却速度−0.2℃/分で室温になるまで冷却て液晶相に転移させた。
【0063】
以上の工程によって作製した液晶セルのツイスト角をセル厚の異なる領域毎に測定した所、領域aでは313度、領域bでは302度、領域cでは290度であった。この液晶セルの電気光学特性を測定したところ、ヒステリシスはかなり小さいが、前述の二つの実験例の場合に比べてやや大きいものであった。これはツイスト角の違う領域が3種類しかなかったためであろうと考えられる。したがって、セル厚の違う領域を数多くかつ段差を大きく作ればよりヒステリシスは少なくできると考えられる。
【0064】
なお、上記実験例ではアクリル樹脂層によりセル厚の異なる領域を作りだしたが、この他に凹凸のある基板を用いるような方法を利用して複数の異なるセル厚のある構造を得ることもできる。その他、画素領域に段差を形成する方法であれば、本来の目的を損なわない限り、どのような方法でも採用することができる。
【0065】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、上記の実施例では二色性色素を混合したゲストホスト型液晶表示素子の場合であったが、本発明はそれに限らず他の液晶表示素子にも適用できる。開示した実施例の外に種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0066】
【発明の効果】
マルチドメイン構造の液晶セルにおいて、ツイスト角の異なる複数の領域を形成することによって、ヒステリシスを小さくして、中間階調表示に適した液晶表示素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるツイスト角の異なる領域を持つ液晶セルの構造を説明するための模式図である。
【図2】液晶をセルに注入する工程を説明する図である。
【図3】本発明の実施例によるセル厚の異なる領域を基板に形成する工程を説明する基板断面図である。
【符号の説明】
1a、1b、9a、9b、15a、15b、 ガラス基板
2、10 液晶層
3a、3b、11a、11b 配向膜
4、5、7、8 ドメイン
6 液晶分子
20、21 ヒータ
23 容器
30 ガラス基板
31 電極
32、33 アクリル樹脂層

Claims (14)

  1. 一対の基板と、該一対の基板間に挟持されたネマティック液晶、カイラルネマティック液晶あるいはコレステリック液晶のいずれかを含む液晶層とを有する液晶表示素子であって、
    前記液晶層の液晶分子の配向方向は、前記基板面内方向に関して巨視的にはほぼあらゆる方向に等確率で分布し、前記基板と垂直な方向に関しては液晶分子の配列は一定方向のねじれ構造を持ち、該一対の基板間での該ねじれ構造のツイスト角が互いに異なる複数の領域を有することを特徴とする液晶表示素子。
  2. 前記液晶層は、前記基板面内方向に多数の微小領域を有し、各微小領域内では液晶分子の配向方向が揃っており、多数の微小領域間では配向方向が異なることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
  3. 前記液晶層は、多数の微小領域間で液晶分子の配向方向が前記基板面内方向でほぼ連続的に変化する領域を含むことを特徴とする請求項2記載の液晶表示素子。
  4. 前記液晶層の液晶分子の配向方向は、前記基板面内方向に関し、微視的にはほぼ連続的に変化する請求項1記載の液晶表示素子。
  5. 前記一対の基板は、前記液晶分子に対する積極的配向構造を持たないことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液晶表示素子。
  6. 前記一対の基板の少なくとも一方には、液晶に対する濡れ性の異なる複数の微小領域を成す配向膜を形成したことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示素子。
  7. 前記一対の基板上に形成した配向膜をさらに有し、該配向膜は、液晶分子の配向をメモリする温度が互いに異なる複数の材料の混合物からなる相分離膜であることを特徴とする請求項5記載の液晶表示素子。
  8. 前記一対の基板間で、該基板間に挟持される液晶層の厚みの異なる複数の領域を有することを特徴とする請求項5記載の液晶表示素子。
  9. 温度に応じて液晶の自然ピッチが変化するカイラルネマティック液晶もしくはコレステリック液晶を有することを特徴とする請求項6あるいは7記載の液晶表示素子。
  10. 前記液晶層は、二色性色素を混入していることを特徴とする請求項1から9のいずれか記載の液晶表示素子。
  11. 積極的に配向処理を行わずに配向膜を表面に形成した一対の基板が対向したセルを用意する工程と、
    ネマティック液晶、カイラルネマティック液晶あるいはコレステリック液晶のいずれかを含む液晶材料を等方相で前記セル内に挟持させる工程と、
    前記液晶材料を挟持したセルを冷却して液晶相に相転移させ、前記基板と垂直な方向に関して液晶分子の配列に一定方向のねじれ構造を与え、該ねじれ構造のツイスト角が互いに異なる複数の領域を有し、液晶層の液晶分子の配向方向が基板面内方向に関して巨視的にほぼあらゆる方向に等確率で分布するようにする工程
    とを有することを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  12. 前記一対の基板上配向膜を形成する際に、該配向膜として液晶分子の配向をメモリする温度が互いに異なる複数の材料の混合物からなる相分離膜を使用することを特徴とする請求項11記載の液晶表示素子の製造方法。
  13. 前記一対の基板の少なくとも一方の配向膜の部分的に選択された領域にのみ紫外線を照射する工程を有することを特徴とする請求項11記載の液晶表示素子の製造方法。
  14. 前記一対の基板の少なくとも一方にその厚みの異なる複数の領域を形成することを特徴とする請求項11記載の液晶表示素子の製造方法。
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