JP3077962B2 - 液晶表示素子およびその製造方法 - Google Patents

液晶表示素子およびその製造方法

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JP3077962B2
JP3077962B2 JP22842094A JP22842094A JP3077962B2 JP 3077962 B2 JP3077962 B2 JP 3077962B2 JP 22842094 A JP22842094 A JP 22842094A JP 22842094 A JP22842094 A JP 22842094A JP 3077962 B2 JP3077962 B2 JP 3077962B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基板上に形成した配向
膜により液晶の配向を制御する液晶表示素子とその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ネマチック液晶を用いた液晶表示
素子は、セグメント表示型としては時計や電卓などに広
く用いられ、ドットマトリクス表示型としてはコンピュ
ータやワードプロセッサのディスプレイなどに広く採用
されている。また、ドットマトリクス表示型の駆動方式
には、単純マトリクス方式とアクティブマトリクス方式
があり、アクティブマトリクス方式では、各絵素の電極
にTFT([Thin Film Transistor]薄膜トランジスタ)
などのスイッチング素子を設けることより、階調表示や
カラー表示を容易にすると共に表示の大画面化も可能に
している。
【0003】上記アクティブマトリクス方式では、TN
[Twisted Nematic]方式のネマチック液晶を利用する場
合が多い。このTN方式は、ネマチック液晶分子の配向
方向を向かい合う基板間で直交させてツイスト角が90
°の捻れ配向を行わせたものである。また、単純マトリ
クス方式では、STN[Super-Twisted Nematic]方式の
ネマチック液晶を利用する場合が多い。このSTN方式
は、ネマチック液晶分子のツイスト角を180°〜36
0°の超捻れ配向としたものである。
【0004】上記ネマチック液晶の配向方法としては、
従来から様々なものが提案されている。例えば、特開平
4−57028号公報には、ポリイミドの配向膜をラビ
ング処理する方法が提案され、特開平5−323327
号公報には、相分離構造を有するポリマーアロイの配向
膜にラビング処理する方法が提案されている。
【0005】また、ラビング処理を行わない方法として
は、特開平4−181922号公報において、モノマー
を電極表面に蒸着させてから重合させて高分子膜を形成
する蒸着重合法やLB膜を形成するLB法が提案され、
特開平3−293324号公報において、ポリマーアロ
イの配向膜をLB法で形成し、液晶分子を一方向に配向
させる方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
ネマチック液晶の配向方法は、いずれも液晶分子を一方
向に配向させるものであるため、この方法により液晶を
配向させた液晶表示素子で表示を行った場合に、配向方
向に応じた強い視角依存性が生じることになり、視野角
に偏りが生じて広い視野角を得ることができないという
問題があった。
【0007】また、このような視角依存性をなくし広い
視野角を得る方法として、特開平5−203951号公
報に、各絵素内の領域を分割し、各領域ごとに方向の異
なるラビング処理を施す方法が提案され、特公平3−1
4162号公報には、配向膜に全くラビング処理を行わ
ないノンラビング法が提案されている。
【0008】しかしながら、方向の異なるラビング処理
を行う方法では、ラビング処理の工程が増加するだけで
なく、これらのラビング処理の際に各領域をレジスト膜
を用いて保護するので、このレジスト膜を剥離させる際
に配向膜が劣化して配向が乱れるようになり、これによ
ってディスクリネーションラインが発生して表示品位を
低下させるという問題が生じる。しかも、絵素領域を2
分割して互いに直交する方向にラビング処理を行った場
合には、これら縦方向と横方向の視角依存性が存在し、
均一で広い視野角を得るにはまだ不十分であった。
【0009】また、ノンラビング法においても、液晶の
配向が不十分になり配向の乱れが大きくなるため、上記
ディスクリネーションラインが発生して表示品位を低下
させるという問題が生じていた。
【0010】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
で、ラビング処理を行うことなく液晶を配向させると共
に、この配向を配向膜の領域毎に相違させて、均一な広
い視野角を得ることができる液晶表示素子およびその製
造方法を提供することも目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶表示素子
は、それぞれに所定パターンの電極膜が形成された一対
の基板が液晶を挟持して向かい合わせに配置された液晶
表示素子において、前記いずれか一方または双方の基板
の液晶に接する対向面上に、相分離構造を有するポリマ
ーアロイからなる配向膜が形成され、該配向膜には、該
相分離構造の異なる少なくとも2種類以上の領域が設け
られているものであり、そのことにより上記目的が達成
される。また、好ましくは、前記相分離構造の異なる少
なくとも2種類以上の領域が設けられた配向膜は、一方
の相分離構造の領域がほぼ同じパターンである程度の規
則性により多数分散して配置されている。
【0012】また、本発明の液晶表示素子は、それぞれ
に所定パターンの電極膜が形成された一対の基板が液晶
を挟持して向かい合わせに配置された液晶表示素子にお
いて、前記双方の基板の液晶に接する対向面上に、相分
離構造を有するポリマーアロイからなる配向膜が形成さ
れ、該配向膜には、該相分離構造の異なる少なくとも2
種類以上の領域が設けられており、かつ、該一方の基板
上に形成された相分離構造の領域のパターンの規則性
と、他方の基板上に形成された相分離構造の領域のパタ
ーンの規則性とが一致しているものであり、そのことに
より上記目的が達成される。
【0013】また、本発明の液晶表示素子は、好ましく
は、前記双方の基板の液晶に接する対向面上に形成され
た配向膜は、前記相分離構造の領域のパターンの規則性
が同じ領域同士が互いに向かい合うように配置されてい
る。また、好ましくは、前記互いに向かい合うように配
置された相分離構造の領域のパターンの規則性が同じ領
域は、それぞれ相分離構造も同じである。また、好まし
くは、前記互いに向かい合うように配置された相分離構
造の領域のパターンの規則性が同じ領域は、それぞれ相
分離構造が異なっている。さらに、好ましくは、前記双
方の基板の液晶に接する対向面上に形成された配向膜
は、前記相分離構造の領域のパターンの規則性が同じ領
域同士が互いにほぼ均等にずれて、同じパターンの一部
のみが向かい合うように配置されている。
【0014】また、本発明の液晶表示素子は、好ましく
は、前記一対の基板の電極膜が互いに向かい合う絵素領
域がほぼ同じパターンでほぼ規則的に配置されると共
に、前記配向膜の一方の相分離構造の領域が該各絵素領
域ごとにほぼ同じパターンで配置されている。また、好
ましくは、前記一対の基板の電極膜が互いに向かい合う
絵素領域の全てについて、該各絵素領域内に前記配向膜
の一方の相分離構造の領域がそれぞれ少なくとも2箇所
以上配置されている。さらに、好ましくは、前記配向膜
が形成された基板の液晶に接する対向面上には、界面自
由エネルギーが異なる領域が形成されている。
【0015】本発明の液晶表示素子の製造方法は、それ
ぞれに所定パターンの電極膜が形成された一対の基板が
液晶を挟持して向かい合わせに配置された液晶表示素子
の製造方法において、前記いずれか一方または双方の基
板の液晶に接する対向面上に、当該対向面とは界面自由
エネルギーの異なる配向膜制御用薄膜を所定のパターン
で形成する工程と、前記配向膜制御用薄膜が形成された
基板の液晶に接する対向面上に、相分離構造を有する
リマーアロイからなる配向膜を形成する工程と、を含
み、前記配向膜に、前記配向膜制御用薄膜のパターンに
応じて前記相分離構造の異なる2種類以上の領域が形成
されることを特徴とするものであり、そのことにより上
記目的が達成される。また、本発明の液晶表示素子の製
造方法は、それぞれに所定パターンの電極膜が形成され
た一対の基板が液晶を挟持して向かい合わせに配置され
た液晶表示素子の製造方法において、前記いずれか一方
または双方の基板の液晶に接する対向面上の表面を改質
して、当該対向面とは界面自由エネルギーの異なる領域
を形成する工程と、前記表面が改質された基板の液晶に
接する対向面上に、相分離構造を有するポリマーアロイ
からなる配向膜を形成する工程と、を含み、前記配向膜
に、前記表面の改質のパターンで前記相分離構造の異な
る2種類以上の領域が形成されることを特徴とするもの
であり、そのことにより上記目的が達成される。
【0016】さらに、好ましくは、それぞれに所定パタ
ーンの電極膜が形成された一対の基板が液晶を挟持して
向かい合わせに配置された液晶表示素子の製造方法にお
いて、該いずれか一方または双方の基板の液晶に接する
対向面上に、相分離構造を有するポリマーアロイからな
る配向膜を形成する工程と、前記一対の基板を液晶を挟
持して向かい合わせに配置した後、該一対の基板を該液
晶がアイソトロピック状態になるまで加熱し、その後常
温まで冷却する工程と、を含む。
【0017】
【作用】電極膜は、例えば単純マトリクス方式の液晶表
示素子の場合のように、一対の基板の双方に互いに直交
する方向でライン状に多数形成される他、一方の基板に
はそれぞれセグメント状に形成され、他方の基板はコモ
ン状に全面に形成されるようなものであってもよい。ま
た、アクティブマトリクス方式の液晶表示素子の場合に
は、この電極膜が一方の基板上にマトリクス状に多数形
成され、スイッチング素子を介してソースラインなどに
接続されることになる。なお、この場合の他方の基板に
は、通常は電極膜がコモン状に全面に形成される。
【0018】液晶としては、ネマチック液晶などの液晶
材料が用いられる。このネマチック液晶には、カイラル
ドーパント(光学活性物質)を添加してヘリカルピッチ
を制御するようにしてもよい。また、このネマチック液
晶に、二色性色素を加えて中間調の表示を行えるゲスト
・ホスト型液晶表示素子にすることもできる。
【0019】ポリマーアロイは、高分子多成分系(mult
icomponent polymer)の樹脂材料であり、2種類以上の
ポリマーを混合したものである。そして、混合された異
種のポリマーが互いに共有結合で結合されているものを
ブロック系アロイまたはグラフト系アロイと分類され、
異種のポリマーが共有結合で結合されていないものをブ
レンド系アロイと分類される。混合されるポリマーは、
異種のモノマーがランダムに重合されたランダム共重合
体や異種のモノマーが交互に重合された交互共重合体で
あってもよい。ただし、これらランダム共重合体や交互
共重合体自身は、異種モノマー間の相互作用が支配的で
あることから、ポリマーアロイには含まれない。
【0020】上記ポリマーアロイは、互いに非相溶性の
異種ポリマーを混合することにより相分離を起こさせる
ことができる。非相溶性とは、異種ポリマーが均一に混
和せず、不均一な状態で混ざり合う性質をいい、異種ポ
リマーの組み合わせと配合の割り合いによってこの非相
溶性を呈することになる。この非相溶性のポリマーアロ
イは、異種ポリマーのそれぞれの界面自由エネルギーと
基板の対向面の界面自由エネルギーとの関係にしたがっ
て熱力学的に最も安定した平衡状態となる相分離構造を
とる。
【0021】ただし、単に基板の対向面上にそのまま形
成しただけでは、相分離構造が対向面の全面で均一なも
のとなる。そこで、例えば請求項5に示すように、基板
の対向面とは界面自由エネルギーの異なる配向膜制御用
薄膜を所定のパターンで形成した後に、この非相溶性の
ポリマーアロイの配向膜を形成すれば、互いに異なる2
種類の相分離構造の領域からなる配向膜を形成すること
ができる。この配向膜制御用薄膜は、少なくともポリマ
ーアロイの1成分のポリマーに対する界面自由エネルギ
ーが異なる材料を用い、これをまず対向面の全面に塗布
した後にパターニングすることにより任意のパターンに
形成する。そして、この上に非相溶性のポリマーアロイ
の配向膜を形成すれば、配向膜制御用薄膜のパターンに
応じて2種類の相分離構造の領域を形成することがで
き、これによって一方の相分離構造の領域を同じパター
ンである程度の規則性により多数分散して配置すること
ができる。ここで用いる配向膜制御用薄膜の材料として
は、レジスト膜などを利用することができる。
【0022】このような2種類の相分離構造を設ける方
法としては、上記配向膜制御用薄膜を用いる他に、ラビ
ング処理を行ったり、グロー放電若しくはエッチングな
どの化学的処理を行い、または、電磁波、特に放射線や
紫外線若しくはエキシマレーザなどを照射することによ
り、基板の対向面の一部の表面を改質し界面自由エネル
ギーの異なる領域とする方法を用いることもできる。こ
の際、感光性のレジスト膜やその他の膜をパターニング
して基板の対向面の一部をマスクし、このマスクされた
領域をこれらの処理から保護することにより、任意のパ
ターンで界面自由エネルギーが異なる領域を形成するこ
とができる。そして、これにより一方の相分離構造の領
域を同じパターンである程度の規則性により多数分散し
て配置することができる。
【0023】上記配向膜上に充填された液晶は、配向膜
にラビング処理を施さなくても、この配向膜の相分離構
造に基づく表面構造やπ電子相互作用または濡れ性(付
着性)などに応じてそれぞれ規則正しく配向する。そし
て、このように液晶を相分離構造の配向膜上で配向させ
ると、プレチルト角を大きくしてTN方式やSTN方式
のネマチック液晶などの特性を向上させることができ
る。しかも、配向膜の相分離構造は領域ごとに相違する
ので、この液晶の配向もそれぞれの領域ごとに異なるよ
うになる。また、相分離構造によっては、その領域の境
界の法線方向である放射状またはこの境界に沿った同心
円などの同心状に液晶を配向させることもできる。ただ
し、液晶の注入の際に液晶の流れ配向が生じるおそれが
あるので、このような場合には、請求項6に示すよう
に、液晶を加熱して一旦アイソトロピック状態にしてか
ら常温まで冷却することにより、上記配向を確実に行わ
せるようにする。
【0024】したがって、本発明によれば、配向膜の相
分離構造が異なる領域ごとに液晶の配向を相違させるこ
とができるので、この液晶を一方向に配向させた場合の
ような強い視角依存性をなくし広い視野角を得ることが
できる。また、いずれかの領域の液晶が放射状または同
心状に配向される場合には、視角特性が軸対称となるた
め、より均一で広い視野角を得ることができるようにな
る。しかも、配向膜の各領域上では、その均一な相分離
構造により液晶が規則正しく配向されて配向単位を構成
するので、この配向が不均一な場合に生じるディスクリ
ネーションラインなどによって表示品質が低下するよう
なこともなくなる。
【0025】さらに、本発明によれば、配向膜上の各領
域の相分離構造やこの領域の配置などを任意に定めるこ
とができるので、様々な構造の液晶の配向単位を形成さ
れることができるようになり、しかも、一様な相分離構
造の配向膜では形成することができないような特殊な液
晶の配向単位の構造を作り出すことも可能となる。
【0026】上記2種類の相分離構造の領域からなる配
向膜は、一対の基板の一方のみに設ける他、双方の基板
に設けることもできる。この場合、請求項2に示すよう
に、双方の基板に形成される配向膜の各領域のパターン
を一致させておけば、液晶の各配向単位を制御する上で
便利である。このような配向膜の各領域のパターンは、
上記配向膜制御用薄膜のパターニングなどによって任意
に制御することができる。
【0027】ここで、双方の配向膜の同じパターンの領
域同士が互いに向かい合うように配置されていて、しか
も、双方の配向膜の互いに向かい合う領域同士の相分離
構造が一致している場合には、液晶の配向を双方の基板
側で一致させることができる。また、双方の配向膜の互
いに向かい合う領域同士の相分離構造が他の領域同士と
の間で逆転している場合やこれらが全く相違している場
合には、液晶の各配向単位ごとに双方の基板側で異なる
配向を行わせることができる。したがって、これらの相
分離構造を適宜定めることにより、液晶の配向を各配向
単位ごとに任意に制御することができ、種々の軸対称性
を持たせたり、ツイスト角を変化させて明るさの調整な
どを行うことも可能となる。また、液晶にカイラルドー
パントを添加することにより、例えば各配向単位が双方
の基板側で放射状と同心状の配向をなすようにすること
もでき、このような配向単位の構成は、特に表示を明る
くする必要がある場合に適している。さらに、双方の配
向膜の同じパターンの領域同士が互いに向かい合わずに
ずれて配置されている場合には、一方の配向膜上の相分
離構造が同じとなる領域よりも狭い範囲に液晶の配向単
位を分割することができ、より多彩な制御が可能とな
る。
【0028】上記配向膜の各領域は、請求項3に示すよ
うに、一方の領域を絵素領域にほぼ一致させることがで
きる。この場合、各絵素領域ごとに液晶の配向単位が構
成されるので、例えばこの絵素領域の配向単位の液晶分
子のみを電圧無印加時に基板面に平行に配向させると共
に、他の領域の液晶分子を基板面に垂直に配向させるよ
うな構造を容易に作り出すことができ、光の利用効率や
表示品位を高めることができるようになる。
【0029】ただし、液晶の絵素領域における配向単位
を軸対称に配向させると消光模様が生じ、絵素サイズな
どの条件から、この消光模様が目立つようになって表示
品質を低下させるおそれがある。そこで、このような場
合には、請求項4に示すように、各絵素領域内に2箇所
以上の相分離構造の領域を配置することにより、1絵素
ごとに複数の液晶の配向単位が位置するようにして、消
光模様を目立たなくすることができる。また、これは、
双方の配向膜で互いに向かい合う同じパターンの領域同
士の相分離構造が逆転または相違している場合や向かい
合う同じパターンの領域同士がずれている場合に、表示
品位の平均化を図ることにもなる。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0031】図1〜図5は本発明の第1実施例を示すも
のであって、図1は液晶表示素子の構造を模式的に示し
た縦断面図、図2は配向膜制御用薄膜の形成パターンを
示す部分平面図、図3は配向膜の互いに相分離構造の異
なる領域を示す部分平面図、図4は液晶表示素子1の視
角特性を示すグラフ、図5は液晶表示素子1の視角特性
を示すレーダーチャートである。
【0032】本実施例は、単純マトリクス方式の液晶表
示素子について説明する。この液晶表示素子1は、図1
に示すように、一対のガラス基板2,3を液晶4を介し
て向かい合わせに配置したものである。図で下方に示し
た一方のガラス基板2の液晶4と接する対向面上には、
ITO([Indium Tin Oxide]インジウム錫酸化物)から
なる透明電極膜5がそれぞれ図示手前側から背面側に向
けて等間隔の帯状に多数本形成されている(ただし図で
は、簡単のため2本の透明電極膜5のみを示す)。
【0033】上記透明電極膜5上には、配向膜制御用薄
膜6が所定のパターンで形成されている。この配向膜制
御用薄膜6のパターンは、透明電極膜5上を覆い、か
つ、図2に示すように、同じ大きさの円形の領域を規則
的に打ち抜いて透明電極膜5の表面が露出するようにし
たものである。配向膜制御用薄膜6は、界面自由エネル
ギーがガラス基板2の対向面とは異なる薄膜材料からな
り、ここではOMR83(東京応化社製)のネガ型のレ
ジストを用いている。そして、このレジストをスピンコ
ーティングでガラス基板2の対向面の全面に塗布し乾燥
させた後に、フォトマスクを被せて感光させ、未感光部
分を除去することにより、上記パターンの配向膜制御用
薄膜6を形成する。
【0034】上記透明電極膜5と配向膜制御用薄膜6を
形成したガラス基板2の対向面上には、全面を覆うよう
にポリマーアロイの配向膜7が形成されている。この配
向膜7は、互いに非相溶性の2種類のポリイミドである
RN713とRN739(日産化学社製)をn−メチル
ピロリドン中で混合してポリマーアロイとし、これをス
ピンコーティングで塗布した後に溶媒を蒸発させて焼成
することにより形成する。このようにして形成した配向
膜7は、ポリマーアロイを構成する2種類のポリイミド
の界面自由エネルギーとその下地層の界面自由エネルギ
ーとの関係にしたがって熱力学的に最も安定した平衡状
態となる相分離構造をとる。したがって、配向膜制御用
薄膜6上の領域7aと透明電極膜5およびガラス基板2
が露出した領域7bとでは、それぞれの界面自由エネル
ギーが相違することから、異なる相分離構造を形成する
ことになる。即ち、本実施例の場合を偏光顕微鏡で観察
すると、図3に示すように、配向膜制御用薄膜6上の領
域7aでは海島構造の相分離の形態となるのに対して、
透明電極膜5が露出した円形の領域7bでは、放射状の
相分離の形態が確認された。なお、この配向膜7には、
ラビング処理は施していない。
【0035】上記ポリマーアロイとしては、本実施例で
用いたポリイミド(PI)同士の組み合わせの他に、ポ
リアミド(PA)とPI、ポリエチレンテレフタレート
(PET)とポリブチレンテレフタレート(PBT)、
ナイロンと汎用オレフィン系ポリマー(PO)、PO同
士、POとポリスチレン(PS)およびPAとエストラ
マーなどを始めとするPS系アロイや、ポリ塩化ビニル
(PVC)系アロイ、PO系アロイ、ポリメタクリル酸
メチル(PMMA)系アロイ、PA系アロイ、ポリアセ
タール(POM)系アロイ、ポリカーボネート(PC)
系アロイ、ポリフェニレンエーテル(PPE)系アロ
イ、PET系アロイ、ポリフェニレンスルフィド(PP
S)系アロイ、ポリアリーレンエーテルケトン(PAE
K)系アロイ、非晶ポリアリレート(PAr)系アロ
イ、PI系アロイなどの種々のものが利用できる。
【0036】図1で上方に示した他方のガラス基板3の
液晶4と接する対向面上にも、ITOからなる透明電極
膜8がそれぞれ図示左右方向に等間隔の帯状に多数本形
成されている(ただし図では1本の透明電極膜8しか見
えない)。したがって、上記一方のガラス基板2上の透
明電極膜5とは直交することになり、これらの透明電極
膜5,8が互いに向かい合う領域が絵素領域となる。こ
の透明電極膜8上には、全面を覆うように通常の相分離
構造を持たない配向膜9が形成されている。なお、この
配向膜9にも、ラビング処理は施されていない。
【0037】上記液晶表示素子1は、これら一対のガラ
ス基板2,3を互いに対向面同士が向かい合うように所
定間隔で貼り合わせると共に、これらの間隙に液晶4を
充填し端部をシール樹脂10でシールすることにより構
成される。この際、ガラス基板2,3間の間隙は、約
5.5μmとしている。また、液晶4は、屈折率異方性
Δnが0.081であり、ツイスト角が90°となるよ
うなカイラルドーパントを添加したネマチック液晶を用
いる。そして、液晶4の注入の際の流れ配向を防止する
ために、この液晶4がアイソトロピック状態になるまで
加熱した後に、空冷により常温まで冷却する。
【0038】上記構成の液晶表示素子1は、ガラス基板
2,3の対向面とは反対側の面にそれぞれ偏光板11,
12を配置することにより完成する。また、駆動回路1
3の出力を各透明電極膜5,8にそれぞれ接続すること
により表示駆動される。
【0039】以上のようにして構成された液晶表示素子
1を偏光顕微鏡で観察したところ、液晶4が配向膜7の
各領域7a,7bごとに配向単位を構成し、それぞれの
配向単位で液晶分子が規則正しく整列した配向が確認さ
れた。また、この液晶表示素子1を実際に表示駆動させ
て視角特性を評価したところ、図4に示すように、40
°の角度でも透過率の十分な変化が見られ、優れた電気
光学特性を有することが確認されると共に、図5に示す
ようなコントラストが10の等コントラスト曲線Aを得
て、全周方向に対して±65°以上の範囲でコントラス
トが10以上となる広い視野角を有することが確認され
た。
【0040】さらに、上記液晶4にカイラルドーパント
を添加しない場合や、このカイラルドーパントの添加量
を変化させて表示の明るさを調整しても表示品位が低下
することなく、しかも、二色性色素を添加して反射型の
液晶表示装置として用いた場合にも、中間調を明瞭に表
示する優れた表示品位を有することが確認された。
【0041】また、上記配向膜制御用薄膜6を形成する
代わりに、この配向膜制御用薄膜6と同じパターンで透
明電極膜5の表面の一部をエッチングにより粗面とし表
面改質を行った場合にも、配向膜7には上記と同じ互い
に相分離構造が異なる領域7a,7bが形成され、同様
に視角特性や表示品質が向上する結果が得られた。
【0042】図20は本発明と比較するための比較例を
示すものであって、液晶表示素子の構造を模式的に示し
た縦断面図である。なお、図1に示した第1実施例と同
様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記して説明
を省略する。
【0043】本比較例の液晶表示素子1は、一方のガラ
ス基板2の対向面上に透明電極膜5を形成した後に、上
記配向膜7に代えて、これらの全面を覆うように通常の
相分離構造を持たない配向膜14が形成されている。し
たがって、透明電極膜5上には上記配向膜制御用薄膜6
も形成されない。ただし、その他の構成は、図1に示し
た液晶表示素子1と同じである。なお、配向膜14に
は、ラビング処理は施していない。
【0044】このように構成された本比較例の液晶表示
素子1を偏光顕微鏡で観察したところ、電圧無印加状態
と電圧印加状態のいずれの場合にも、ディスクリネーシ
ョンラインが見られ、電圧無印加状態での液晶4の配向
はランダムに90°捻れたものであることが確認され
た。そして、目視評価によっても、表示むらや表示のざ
らつきが目立ち表示品位も低いことが確認された。ま
た、従来のTNの視角特性を比較したところ、図5に示
すように、第1実施例の場合の等コントラスト曲線Aに
対して、従来のTNは極めて視角依存性の高い等コント
ラスト曲線Bである。
【0045】図6および図7は本発明の第2実施例を示
すものであって、図6は液晶表示素子の構造を模式的に
示した縦断面図、図7は液晶の配向状態を示す部分平面
図である。なお、図1に示した第1実施例と同様の機能
を有する構成部材には同じ番号を付記して説明を省略す
る。
【0046】本実施例の液晶表示素子1は、一方のガラ
ス基板2の配向膜制御用薄膜6と配向膜7と同様に、他
方のガラス基板3にも配向膜制御用薄膜15と配向膜1
6を形成した場合について説明する。配向膜制御用薄膜
15は、ガラス基板3の透明電極膜8上に配向膜制御用
薄膜6と同じ材質のものを同じパターンと同じ位置関係
で形成されている。また、この配向膜制御用薄膜6を形
成したガラス基板2の対向面上には、配向膜7と同じ材
質の非相溶性のポリマーアロイによる配向膜16が形成
されている。したがって、この配向膜16にも、相分離
構造の異なる領域16a,16bが形成される。また、
これらの領域16a,16bの各相分離構造は、それぞ
れ配向膜7における領域7a,7bの相分離構造と同じ
である。そして、その他の構成は、第1実施例の液晶表
示素子1と同じである。
【0047】上記一対のガラス基板2,3を貼り合わせ
る前に偏光顕微鏡で観察すると、双方の配向膜7,16
の領域7a,7bと領域16a,16bに第1実施例の
場合と同じ海島構造と放射状の相分離の形態が確認され
た。また、完成した液晶表示素子1を偏光顕微鏡で観察
したところ、液晶4が領域7aと領域16aの間および
領域7bと領域16bの間ごとに配向単位を構成し、そ
れぞれの配向単位で液晶分子が規則正しく整列した配向
を示し、図7に示すような消光模様が観測された。
【0048】上記配向膜16は、配向膜7と異なる材質
の非相溶性のポリマーアロイを用い、この配向膜16の
領域16a,16bの相分離構造も、配向膜7の領域7
a,7bとは全く異なるようにしてもよい。
【0049】この場合には、ガラス基板3の配向膜16
を偏光顕微鏡で観察すると、ガラス基板2の配向膜7と
は異なる相分離構造が確認された。また、完成した液晶
表示素子1を偏光顕微鏡で観察したところ、配向膜16
を同じ材質とした場合とは異なる液晶4の軸対称配向が
観測された。
【0050】上記構成の液晶表示素子1は、第1実施例
の液晶表示素子1と同様に、広い視野角と優れた表示品
位を有することが確認された。また、カイラルドーパン
トの添加や二色性色素の添加についても同様の結果が得
られ、配向膜制御用薄膜15に代えて表面改質を行った
場合も同様であった。
【0051】図8〜図10は本発明の第3実施例を示す
ものであって、図8は液晶表示素子の構造を模式的に示
した縦断面図、図9は配向膜制御用薄膜の形成パターン
を示す部分平面図、図10は配向膜の互いに相分離構造
の異なる領域を示す部分平面図である。なお、図6に示
した第2実施例と同様の機能を有する構成部材には同じ
番号を付記して説明を省略する。
【0052】本実施例の液晶表示素子1は、第2実施例
と同様に、双方のガラス基板2,3に配向膜制御用薄膜
6,15と配向膜7,16を同じ位置関係で形成した場
合について説明する。ただし、配向膜制御用薄膜6のパ
ターンは、図9に示すような市松模様とし、配向膜制御
用薄膜15のパターンは、これを逆転させたものとして
いる。また、配向膜7,16は、双方とも同じ材質の非
相溶性のポリマーアロイを用いている。したがって、互
いに向かい合う配向膜7の領域7aと配向膜16の領域
16aは異なる相分離構造となり、領域7bと領域16
aも異なる相分離構造となる。
【0053】上記一対のガラス基板2,3を貼り合わせ
る前に偏光顕微鏡で観察すると、図10に示すように、
配向膜7,16の領域7aと領域16bに海島構造の相
分離の形態が確認され、領域7bと領域16aに放射状
の相分離の形態が確認された。また、完成した液晶表示
素子1を偏光顕微鏡で観察したところ、液晶4の配向単
位が規則正しく整列して軸対称の配向が観測され、しか
も、隣接する配向単位同士が互いに上下を逆転させた配
向となることが確認された。
【0054】上記構成の液晶表示素子1は、第1実施例
や第2実施例の液晶表示素子1と同様に、広い視野角と
優れた表示品位を有することが確認された。また、カイ
ラルドーパントの添加や二色性色素の添加についても同
様の結果が得られ、配向膜制御用薄膜15に代えて表面
改質を行った場合も同様であった。
【0055】図11は本発明の第4実施例を示すもので
あって、液晶表示素子の構造を模式的に示した縦断面図
である。なお、図8に示した第3実施例と同様の機能を
有する構成部材には同じ番号を付記して説明を省略す
る。
【0056】本実施例の液晶表示素子1は、第2実施例
や第3実施例と同様に、双方のガラス基板2,3に配向
膜制御用薄膜6,15と配向膜7,16を形成した場合
について説明する。また、配向膜制御用薄膜6,15
は、第1実施例や第2実施例と同じ図2に示したパター
ンとしている。ただし、これらのパターンは、互いにほ
ぼ均等にずらして、同じパターンの一部のみが向かい合
うような位置関係としている。
【0057】配向膜7,16は、双方とも同じ材質の非
相溶性のポリマーアロイを用いている。したがって、配
向膜7の領域7aは、配向膜16の同じ相分離構造の領
域16aと異なる相分離構造の領域16bの双方と向か
い合い、配向膜7の領域7bも、配向膜16の同じ相分
離構造の領域16bと異なる相分離構造の領域16aの
双方と向かい合うことになる。
【0058】上記一対のガラス基板2,3を貼り合わせ
る前に偏光顕微鏡で観察すると、双方の配向膜7,16
の領域7a,7bと領域16a,16bに第1実施例の
場合と同じ海島構造と放射状の相分離の形態が確認され
た。また、完成した液晶表示素子1を偏光顕微鏡で観察
したところ、軸対称の配向を示す液晶4の配向単位が配
向膜7の領域7a,7bなどよりも狭い範囲で形成され
ていることが確認できた。また、各配向単位でツイスト
角が異なることも確認できた。
【0059】上記配向膜16は、配向膜7と異なる材質
の非相溶性のポリマーアロイを用い、この配向膜16の
領域16a,16bの相分離構造も、配向膜7の領域7
a,7bとは全く異なるようにしてもよい。
【0060】この場合には、ガラス基板3の配向膜16
を偏光顕微鏡で観察すると、ガラス基板2の配向膜7と
は異なる相分離構造が確認された。また、完成した液晶
表示素子1を偏光顕微鏡で観察したところ、配向膜16
を同じ材質とした場合とは異なる液晶4の軸対称配向が
観測された。
【0061】上記構成の液晶表示素子1は、第1実施例
の液晶表示素子1と同様に、広い視野角と優れた表示品
位を有することが確認された。また、カイラルドーパン
トの添加や二色性色素の添加についても同様の結果が得
られ、配向膜制御用薄膜15に代えて表面改質を行った
場合も同様であった。
【0062】図12〜図15は本発明の第5実施例を示
すものであって、図12は液晶表示素子の構造を模式的
に示した縦断面図、図13は配向膜制御用薄膜の形成パ
ターンを示す部分平面図、図14は配向膜の互いに相分
離構造の異なる領域を示す部分平面図、図15は液晶の
配向状態を示す部分平面図である。なお、図11に示し
た第4実施例と同様の機能を有する構成部材には同じ番
号を付記して説明を省略する。
【0063】本実施例の液晶表示素子1は、第2実施例
および第3実施例と同様に、双方のガラス基板2,3に
配向膜制御用薄膜6,15と配向膜7,16を同じ位置
関係で形成した場合について説明する。ただし、配向膜
制御用薄膜6,15のパターンは、図13に示すような
碁盤の目状とし、しかも、配向膜制御用薄膜6,15の
下層の透明電極膜5,8が露出する方形の領域は、ガラ
ス基板2,3上の透明電極膜5,8が互いに向かい合う
絵素領域と同じパターンで同じ位置関係となるように配
置されている。また、配向膜7,16は、双方とも同じ
材質の非相溶性のポリマーアロイを用いている。したが
って、互いに向かい合う配向膜7の領域7aと配向膜1
6の領域16aは同じ相分離構造となり、領域7bと領
域16aも同じ相分離構造となる。
【0064】上記一対のガラス基板2,3を貼り合わせ
る前に偏光顕微鏡で観察すると、図14に示すように、
双方の配向膜7,16の領域7a,16aでは海島構造
の相分離の形態となるのに対して、方形の領域7b,1
6bでは、放射状の相分離の形態が確認された。また、
完成した液晶表示素子1を偏光顕微鏡で観察したとこ
ろ、液晶4の配向単位が絵素領域ごとに形成され、それ
ぞれの配向単位で液晶分子が規則正しく整列した配向を
示し、図15に示すような消光模様が観測された。
【0065】上記配向膜16は、配向膜7と異なる材質
の非相溶性のポリマーアロイを用い、この配向膜16の
領域16a,16bの相分離構造も、配向膜7の領域7
a,7bとは全く異なるようにしてもよい。
【0066】この場合には、ガラス基板3の配向膜16
を偏光顕微鏡で観察すると、ガラス基板2の配向膜7と
は異なる相分離構造が確認された。また、完成した液晶
表示素子1を偏光顕微鏡で観察したところ、配向膜16
を同じ材質とした場合とは異なる液晶4の軸対称配向が
観測された。
【0067】上記構成の液晶表示素子1は、第1実施例
の液晶表示素子1と同様に、広い視野角と優れた表示品
位を有することが確認された。また、カイラルドーパン
トの添加や二色性色素の添加についても同様の結果が得
られ、配向膜制御用薄膜15に代えて表面改質を行った
場合も同様であった。
【0068】図16〜図19は本発明の第6実施例を示
すものであって、図16は液晶表示素子の構造を模式的
に示した縦断面図、図17は絵素電極基板の部分平面
図、図18は配向膜制御用薄膜の形成パターンを示す部
分平面図、図19は液晶の配向状態を示す部分平面図で
ある。
【0069】本実施例は、アクティブマトリクス方式の
液晶表示素子20について説明する。図16に示すよう
に、この液晶表示素子20は、液晶21を挟んで対向す
る絵素電極基板22と共通電極基板23とによって構成
されている。絵素電極基板22には、ソースバスライン
24と図17に示すゲートバスライン25が形成され、
これらのバスライン24,25に囲まれる絵素領域に絵
素電極26が形成されると共に、これらのバスライン2
4,25の交差部にスイッチングトランジスタであるT
FT27が形成されている。このTFT27は、アモル
ファスシリコンやポリシリコンなどによってガラス基板
上に形成された薄膜トランジスタである。共通電極基板
23には、ブラックマスク28とカラーフィルタ29が
形成されると共に、これらの上層全面に対向電極30が
形成されている。
【0070】上記絵素電極基板22と共通電極基板23
の対向面には、それぞれ図18に示すような絵素電極2
6と同じパターンを同じ位置関係に形成した配向膜制御
用薄膜31が形成されると共に、この上に配向膜32が
それぞれ形成されている。これらの配向膜制御用薄膜3
1および配向膜32は、第5実施例の配向膜制御用薄膜
6,15および配向膜7,16と同じものを用いてい
る。
【0071】上記構成の液晶表示素子20においても、
液晶21の配向単位が絵素電極26上の絵素領域ごとに
形成され、図19に示すような液晶分子の配向が観測さ
れた。また、この液晶表示素子20は、第5実施例の液
晶表示素子1と同様に、広い視野角と優れた表示品位を
有することが確認された。
【0072】
【発明の効果】以上のように本発明の液晶表示素子およ
びその製造方法によれば、非相溶性のポリマーアロイの
配向膜に互いに異なる相分離構造の領域を設け、それぞ
れの領域ごとに液晶の配向を相違させることができるの
で、液晶を一方向に配向させた場合のような強い視角依
存性をなくし広い視野角を得ることができるようにな
る。また、配向膜上の各領域の相分離構造やこの領域の
配置などを任意に定めて、多彩な配向を示す液晶の配向
単位を形成することができるので、適宜な構造を選択す
ることにより、表示品位をより一層向上させることが可
能となる。しかも、配向膜の各領域上では、その均一な
相分離構造により液晶が規則正しく配向されるので、こ
の配向が不均一な場合に生じるディスクリネーションラ
インなどによって表示品質が低下するようなこともなく
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示すものであって、液晶
表示素子の構造を模式的に示した縦断面図である。
【図2】本発明の第1実施例を示すものであって、配向
膜制御用薄膜の形成パターンを示す部分平面図である。
【図3】本発明の第1実施例を示すものであって、配向
膜の互いに相分離構造の異なる領域を示す部分平面図で
ある。
【図4】本発明の第1実施例を示すものであって、液晶
表示素子1の視角特性を示すグラフである。
【図5】本発明の第1実施例を示すものであって、液晶
表示素子1の視角特性を示すレーダーチャートである。
【図6】本発明の第2実施例を示すものであって、液晶
表示素子の構造を模式的に示した縦断面図である。
【図7】本発明の第2実施例を示すものであって、液晶
の配向状態を示す部分平面図である。
【図8】本発明の第3実施例を示すものであって、液晶
表示素子の構造を模式的に示した縦断面図である。
【図9】本発明の第3実施例を示すものであって、配向
膜制御用薄膜の形成パターンを示す部分平面図である。
【図10】本発明の第3実施例を示すものであって、配
向膜の互いに相分離構造の異なる領域を示す部分平面図
である。
【図11】本発明の第4実施例を示すものであって、液
晶表示素子の構造を模式的に示した縦断面図である。
【図12】本発明の第5実施例を示すものであって、液
晶表示素子の構造を模式的に示した縦断面図である。
【図13】本発明の第5実施例を示すものであって、配
向膜制御用薄膜の形成パターンを示す部分平面図であ
る。
【図14】本発明の第5実施例を示すものであって、配
向膜の互いに相分離構造の異なる領域を示す部分平面図
である。
【図15】本発明の第5実施例を示すものであって、液
晶の配向状態を示す部分平面図である。
【図16】本発明の第6実施例を示すものであって、液
晶表示素子の構造を模式的に示した縦断面図である。
【図17】本発明の第6実施例を示すものであって、絵
素電極基板の部分平面図である。
【図18】本発明の第6実施例を示すものであって、図
18は配向膜制御用薄膜の形成パターンを示す部分平面
図である。
【図19】本発明の第6実施例を示すものであって、液
晶の配向状態を示す部分平面図である。
【図20】本発明と比較するための比較例を示すもので
あって、液晶表示素子の構造を模式的に示した縦断面図
である。
【符号の説明】
1,20 液晶表示素子 2,3 ガラス基板 4,21 液晶 5,8 透明電極膜 6,15,31 配向膜制御用薄膜 7,16,32 配向膜 22 絵素電極基板 23 共通電極基板 26 絵素電極 30 対向電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−323327(JP,A) 特開 平6−34978(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337 G02F 1/1333

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれに所定パターンの電極膜が形成
    された一対の基板が液晶を挟持して向かい合わせに配置
    された液晶表示素子において、 前記いずれか一方または双方の基板の液晶に接する対向
    面上に、相分離構造を有するポリマーアロイからなる配
    向膜が形成され、該配向膜には、該相分離構造の異なる
    少なくとも2種類以上の領域が設けられていることを特
    徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 前記相分離構造の異なる少なくとも2種
    類以上の領域が設けられた配向膜は、一方の相分離構造
    の領域がほぼ同じパターンである程度の規則性により多
    数分散して配置されていることを特徴とする請求項1に
    記載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 それぞれに所定パターンの電極膜が形成
    された一対の基板が液晶を挟持して向かい合わせに配置
    された液晶表示素子において、 前記双方の基板の液晶に接する対向面上に、相分離構造
    を有するポリマーアロイからなる配向膜が形成され、該
    配向膜には、該相分離構造の異なる少なくとも2種類以
    上の領域が設けられており、かつ、該一方の基板上に形
    成された相分離構造の領域のパターンの規則性と、他方
    の基板上に形成された相分離構造の領域のパターンの規
    則性とが一致していることを特徴とする液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 前記双方の基板の液晶に接する対向面上
    に形成された配向膜は、前記相分離構造の領域パターン
    の規則性が同じ領域同士が互いに向かい合うように配置
    されていることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示
    素子。
  5. 【請求項5】 前記互いに向かい合うように配置された
    相分離構造の領域のパターンの規則性が同じ領域は、そ
    れぞれ相分離構造も同じであることを特徴とする請求項
    4に記載の液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 前記互いに向かい合うように配置された
    相分離構造の領域のパターンの規則性が同じ領域は、そ
    れぞれ相分離構造が異なっていることを特徴とする請求
    項4に記載の液晶表示素子。
  7. 【請求項7】 前記双方の基板の液晶に接する対向面上
    に形成された配向膜は、前記相分離構造の領域のパター
    ンの規則性が同じ領域同士が互いにほぼ均等にずれて、
    同じパターンの一部のみが向かい合うように配置されて
    いることを特徴とする請求項3に記載の液晶表示素子。
  8. 【請求項8】 前記一対の基板の電極膜が互いに向かい
    合う絵素領域がほぼ同じパターンでほぼ規則的に配置さ
    れるとともに、前記配向膜の一方の相分離構造の領域が
    該各絵素領域ごとにほぼ同じパターンで配置されている
    ことを特徴とする請求項1乃至3に記載の液晶表示素
    子。
  9. 【請求項9】 前記一対の基板の電極膜が互いに向かい
    合う絵素領域の全てについて、該各絵素領域内に前記配
    向膜の一方の相分離構造の領域がそれぞれ少なくとも2
    箇所以上配置されていることを特徴とする請求項8に記
    載の液晶表示素子。
  10. 【請求項10】 前記配向膜が形成された基板の液晶に
    接する対向面上には、界面自由エネルギーが異なる領域
    が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3に記
    載の液晶表示素子。
  11. 【請求項11】 それぞれに所定パターンの電極膜が形
    成された一対の基板が液晶を挟持して向かい合わせに配
    置された液晶表示素子の製造方法において、 前記いずれか一方または双方の基板の液晶に接する対向
    面上に、当該対向面とは界面自由エネルギーの異なる
    向膜制御用薄膜を所定のパターンで形成する工程と、 前記配向膜制御用薄膜が形成された基板の液晶に接する
    対向面上に、相分離構造を有するポリマーアロイからな
    る配向膜を形成する工程と、を含み、 前記配向膜に、前記配向膜制御用薄膜のパターンに応じ
    て前記相分離構造の異なる2種類以上の領域が形成され
    ことを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 それぞれに所定パターンの電極膜が形
    成された一対の基板が液晶を挟持して向かい合わせに配
    置された液晶表示素子の製造方法において、 前記いずれか一方または双方の基板の液晶に接する対向
    面上の表面を改質して、当該対向面とは界面自由エネル
    ギーの異なる領域を形成する工程と、 前記表面が改質された基板の液晶に接する対向面上に、
    相分離構造を有するポリマーアロイからなる配向膜を形
    成する工程と、を含み、 前記配向膜に、前記表面の改質のパターンで前記相分離
    構造の異なる2種類以 上の領域が形成される ことを特徴
    とする液晶表示素子の製造方法。
  13. 【請求項13】 それぞれに所定のパターンの電極膜が
    形成された一対の基板が液晶を挟持して向かい合わせに
    配置された液晶表示素子の製造方法において、 該いずれか一方または双方の基板の液晶に接する対向面
    上に、相分離構造を有するポリマーアロイからなる配向
    膜を形成する工程と、 前記一対の基板を液晶を挟持して向かい合わせに配置し
    た後、該一対の基板を該液晶がアイソトロピック状態に
    なるまで加熱し、その後常温まで冷却する工程と、 を含むことを特徴とする請求項11または12に記載
    液晶表示素子の製造方法。
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