JP3880532B2 - 窒素酸化物の除去装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体中に含まれる窒素酸化物の除去装置に関し、特に、配管スペースが少なくて済み、設置スペースを有効に利用できるとともに、装置内に気体を通過させるために必要な圧力の損失を少なくすることができる除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、気体中に含まれる窒素酸化物を除去する方法として、固体吸着材を用いる窒素酸化物の除去装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特願2002−285903
【0004】
このような窒素酸化物の除去装置では、窒素酸化物吸着手段に供給される気体は湿度を含むものとなるようにされることが望ましい。
従来の窒素酸化物の除去装置では、気体が湿度を含むものとなるように、除去装置とは別個に設けられた加湿手段が用いられている。このため、除去装置と加湿手段とを連結用の配管ダクトで連結する必要があり、除去装置を設置する際に、加湿手段を設置するためのスペースや連結用の配管ダクトのためのスペースを確保する必要があることが問題となっていた。また、除去装置内に気体を通過させるための圧力が、連結用の配管ダクト内で損失することや、連結用の配管ダクトを設置するための手間がかかることが問題となっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題を解決し、除去装置を設置する際に必要なスペースが少なくて済み、除去装置内に気体を通過させるために必要な圧力の損失が少なく、容易に設置できる窒素酸化物の除去装置を提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するために、本発明の窒素酸化物の除去装置は、気体中に含まれる窒素酸化物を除去する装置であって、前記気体を加湿する加湿手段と、固体吸着材層に前記気体を通過させることにより、前記気体中に含まれる前記窒素酸化物を除去する窒素酸化物吸着手段とを備え、前記加湿手段が、前記固体吸着材層と平面的に重なり合うように前記窒素酸化物吸着手段と一体化され、前記加湿手段を通過した前記気体が前記窒素酸化物吸着装置に供給されることを特徴とする。
【0007】
このような除去装置によれば、加湿手段が、固体吸着材層と平面的に重なり合うように窒素酸化物吸着手段と一体化されているので、除去装置と別個に加湿手段が設けられている場合のように、連結用の配管ダクトのためのスペースを確保する必要はない。さらに、除去装置を設置する際に、加湿手段を設置するための平面的なスペースを確保する必要もない。したがって、除去装置を設置する際に必要なスペースが少なくて済む。
また、連結用の配管ダクトがないので、除去装置内に気体を通過させるための圧力が、連結用の配管ダクト内で損失することはないし、連結用の配管ダクトを設置するための手間もかからない。
さらに、除去装置と別個に加湿手段を設ける必要はなく、除去装置と別個に加湿手段が設けられている場合と比較して、除去装置を容易に設置することができる。
【0008】
しかも、加湿手段を通過した前記気体が前記窒素酸化物吸着装置に供給されるので、固体吸着材層を構成する固体吸着材の表面で窒素酸化物の水和反応が生じ、窒素酸化物が亜硝酸あるいは硝酸となる。このため、固体吸着材層による窒素酸化物の吸着量が増大し、窒素酸化物が固体吸着材層に吸着されやすくなり、効率よく気体中に含まれる窒素酸化物を除去することができるものとなる。
【0009】
また、上記の窒素酸化物の除去装置においては、前記窒素酸化物層の除去機能が低下した場合に、再生剤を前記窒素酸化物吸着手段に供給する再生剤供給手段を備え、前記固体吸着材層に吸着された窒素酸化物が前記再生剤によって除去されることにより、低下した前記除去機能が再生される除去装置としてもよい。
このような窒素酸化物の除去装置とすることで、固体吸着材層に吸着された窒素酸化物を再生剤によって除去することができるものとなり、窒素酸化物を除去することによって固体吸着材層が吸着破過し、除去機能が低下したとしても、低下した除去機能が再生されるものとなる。
【0010】
また、上記の窒素酸化物の除去装置においては、前記加湿手段で使用される加湿用水を貯留する水タンクが備えられ、再生剤が前記固体吸着材層上に供給されることにより、前記固体吸着材層を通過した前記再生剤が、前記水タンクに供給される除去装置としてもよい。
このような窒素酸化物の除去装置とすることで、除去機能の再生に利用した再生剤を、加湿用水として再利用することができるものとなる。
【0011】
また、上記の窒素酸化物の除去装置においては、前記加湿手段に供給される前記気体中に含まれる窒素酸化物を、二酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素のいずれかにする前処理手段を備えている除去装置としてもよい。二酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素は、いずれも一酸化窒素と比較して固体吸着材層に吸着されやすい。したがって、上記の窒素酸化物の除去装置とすることで、たとえ、気体中に含まれる窒素酸化物に一酸化窒素が含まれていたとしても、一酸化窒素が含まれていない場合と同様に、効率よく気体中に含まれる窒素酸化物を除去することが可能なものとなる。
【0012】
また、上記の窒素酸化物の除去装置においては、前記加湿手段に供給される前記気体中に含まれる窒素酸化物を、オゾンを用いて酸化する前処理手段を備えている除去装置としてもよい。
このような窒素酸化物の除去装置とすることで、加湿手段に供給される気体中に含まれる窒素酸化物を効率よく酸化することができ、効率よく気体中に含まれる窒素酸化物を除去することが可能なものとなる。また、オゾンは、固体吸着材の劣化を促進する恐れがあるものである。しかし、上記の窒素酸化物の除去装置によれば、加湿手段に供給される気体が、前処理手段における酸化反応に利用されなかった余剰オゾンを含んでいたとしても、余剰オゾンが加湿手段内で分解される。このため、窒素酸化物吸着手段に供給される気体が加湿手段を介さずに供給される場合と比較して、余剰オゾンに起因する固体吸着材の劣化を抑止することができる。
【0013】
また、上記の窒素酸化物の除去装置においては、設置スペースの確保が容易であるので、前記気体が、道路トンネル内、地下駐車場内、都市内幹線道路近傍のいずれかの大気が採取されたものである除去装置として好ましく適用できる。
【0014】
また、上記の窒素酸化物の除去装置においては、前記固体吸着材層が、炭素系材料を含む固体吸着材で形成されていることが望ましい。
このような窒素酸化物の除去装置とすることで、固体吸着材層を構成する固体吸着材が、大きな比表面積を有するものとなるので、窒素酸化物が固体吸着材層により一層吸着されやすくなり、より一層効率よく気体中に含まれる窒素酸化物を除去することができるものとなる。
特に、固体吸着材として好ましく適用される大きな比表面積を有する炭素系材料の一例として、活性炭を挙げることができる。
【0015】
さらに、上記の窒素酸化物の除去装置においては、前記再生剤が、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、亜硫酸塩のいずれかを含むことが望ましい。
強塩基性物質であるアルカリ金属の水酸化物あるいはアルカリ土類金属の水酸化物は、固体吸着材の吸着した窒素酸化物を効率良く除去することができる。このため、塩基性物質をアルカリ金属の水酸化物あるいはアルカリ土類金属の水酸化物とすることで、より一層効率よく除去機能が再生されるものとなり、より一層効率よく気体中に含まれる窒素酸化物を除去することができる。
【0016】
また、亜硫酸塩は、常温でも効率よく窒素酸化物を窒素ガスまで還元することができる。このため、再生剤を亜硫酸塩とすることで、より一層効率よく除去機能が再生されるものとなり、より一層効率よく気体中に含まれる窒素酸化物を除去することができる。
【0017】
また、上記の窒素酸化物の除去装置においては、再生剤が亜硫酸塩などの還元性物質を含む場合には、再生剤タンク内を窒素雰囲気とすることが望ましい。
このような窒素酸化物の除去装置とすることで、再生剤に含まれる還元性物質が酸素などによって劣化することを防ぐことができ、再生剤の寿命を長くすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明の窒素酸化物の除去装置の一例を説明するための概略図である。
図1に示す窒素酸化物の除去装置は、加湿手段11に供給される大気中に含まれる窒素酸化物を酸化する前処理手段2と、窒素酸化物吸着手段4に供給される大気を加湿する加湿手段11と、加湿手段11を通過した大気中に含まれる窒素酸化物を吸着する窒素酸化物吸着手段4と、大気を採取して除去装置内に取り込み、除去装置内を通過させ、除去装置外に放出させる大気の圧送ファン3とを備えている。
【0019】
窒素酸化物吸着手段4は、固体吸着材からなる固体吸着材層41に大気を通過させることにより、大気中に含まれる窒素酸化物を除去するものである。加湿手段11は、図1に示すように窒素酸化物吸着手段4と一体化され、固体吸着材層41と平面的に重なり合っている。
【0020】
また、窒素酸化物吸着手段4と加湿手段11とが一体化されてなる本体9は、大気や水の漏洩がなければいかなる材質で形成されたものであってもよく、特に限定されないが、長期にわたって使用可能なものとするために、耐水性や耐候性に優れた材質で形成されることが望ましい。具体的には、本体9を形成する材質として、軟鋼、ステンレス鋼、FRP、PCVなどを例示することができ、耐久性を向上させるために、内壁や外壁にライニングを施すことが望ましい。
【0021】
また、図1に示す窒素酸化物の除去装置は、固体吸着材層41の除去機能が低下した場合に、再生剤を窒素酸化物吸着手段4に供給する再生剤供給手段を備えている。再生剤供給手段は、再生剤を貯留する再生剤タンク6と、再生剤タンク6から窒素酸化物吸着手段4に再生剤を供給する再生剤供給ライン7と、再生剤供給ライン7に接続され、固体吸着材層41上に再生剤を散布する散布管8とを備えたものであり、固体吸着材層41上に均一に再生剤を供給できるようにされたものである。
【0022】
また、図1に示す窒素酸化物の除去装置では、窒素酸化物吸着手段4を通過した大気を浄化大気として放出する大気放出ライン中に、窒素酸化物センサー(図示略)が設置されている。窒素酸化物センサーは、窒素酸化物吸着手段4の窒素酸化物の除去機能を検知するものであって、除去装置から放出される浄化大気の窒素酸化物の濃度を管理するものである。
そして、図1に示す窒素酸化物の除去装置は、窒素酸化物センサーが所定濃度以上の濃度を検知した場合に、窒素酸化物吸着手段4の窒素酸化物の除去機能が再生されるようになっている。
【0023】
加湿手段11としては、メッシュ状の充填材からなる充填層13と、充填層13の下層に設けられ、加湿手段11内を循環させる循環水(特許請求の範囲における「加湿用水」に相当する。)を貯留する水タンク12と、循環水を水タンクから充填層13に供給する水供給ライン14とを備えたものが使用される。この加湿手段11では、水タンクから水供給ライン14を介して充填層13に水を供給して、加湿手段11に大気を通過させることにより大気の湿度を上昇させるようになっている。そして、図1に示す窒素酸化物の除去装置では、加湿手段11を通過して窒素酸化物吸着手段4に供給される大気は、窒素酸化物を効果的に吸着させるために、湿度が60%以上、より好ましくは80%以上となるようにされている。
【0024】
また、前処理手段2は、大気に含まれる窒素酸化物を酸化することにより、大気に含まれる窒素酸化物を二酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素のいずれかにするものである。前処理手段2の形態は特に限定されないが、低濃度の窒素酸化物を効果的に酸化することができるオゾン発生による酸化装置であることが望ましい。そして、図1に示すように、前処理手段2で発生したオゾンが加湿手段11を通過する前の大気中に供給されるようになっていることが望ましい。
【0025】
さらに、図1に示す窒素酸化物の除去装置には、必要に応じて、固体吸着材層41などの目づまりを防止する集塵装置などが取り付けられる。
【0026】
固体吸着材層41を構成する固体吸着材としては、大気中に含まれる窒素酸化物を吸着除去することができるものであれば、特に限定されないが、圧力損失を低くおさえる観点から、数mm〜数cmの破砕粒子や成型粒子、またはハニカム構造であることが好ましい。さらに、固体吸着材は、低濃度の窒素酸化物を効率良く吸着する観点から、比表面積が大きいことが好ましい。また、固体吸着材の種類は、1種類でもよいが2種類以上併用してもよい。固体吸着材を構成する材料としては、炭素系材料や無機系材料などを例示できる。炭素系材料としては、やしがら活性炭、ピッチ系活性炭、PAN系活性炭、炭素繊維、木炭、フラーレン、カーボンナノチューブなどを例示できる。無機系材料としては、活性白土、アルミナ、ゼオライト、シリカ、マグネシア、チタニアなどを例示できる。中でも特に好ましい固体吸着材として、活性炭など大きな比表面積を有する炭素系材料が挙げられる。
【0027】
さらに、図1に示す窒素酸化物の除去装置では、窒素酸化物を効率よく吸着するために、圧送ファン3を用いて制御することにより、固体吸着材層41に供給される大気の空間速度が、1000〜200000h−1、より好ましくは3000〜100000h−1となるようにされている。固体吸着材層41に供給される大気の空間速度は、除去すべき大気の窒素酸化物の濃度や、固体吸着材の種類、固体吸着材層41の大きさなどに応じて決定される。
【0028】
窒素酸化物吸着手段4は、固体吸着材が窒素酸化物で吸着破過することによって徐々に窒素酸化物の除去機能が低下する。しかし、図1に示す窒素酸化物の除去装置では、吸着破過した固体吸着材から再生剤を用いて窒素酸化物を除去することにより、窒素酸化物吸着手段4が再生される。再生剤としては、特に限定されないが、塩基性物質あるいは還元性物質を含む水溶液が好ましく使用される。
【0029】
塩基性物質としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩などを挙げることができ、固体吸着材の吸着した窒素酸化物を効率良く除去する観点から、強塩基性物質であるアルカリ金属水酸化物やアルカリ土類水酸化物が特に好ましく使用される。
【0030】
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを例示できる。アルカリ土類水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなどを例示できる。アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを例示できる。アルカリ土類金属炭酸塩としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムを例示できる。
【0031】
また、還元性物質としては、特に限定されないが、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、水素化物、硫化水素、アルデヒド類などを挙げることができ、常温で窒素酸化物を窒素ガスまで還元する観点から、亜硫酸塩を用いることが好ましい。
【0032】
亜硫酸塩としては、亜硫酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸鉄、亜硫酸銅などを例示できる。チオ硫酸塩としては、チオ硫酸リチウム、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸カルシウム、チオ硫酸マグネシウムなどを例示できる。水素化物としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルミリチウムなどを例示できる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどを例示できる。
【0033】
なお、再生剤として還元性物質を用いる場合は、還元性物質が酸素などによって劣化することを防ぐために、再生剤タンク6内を窒素置換しておくことが望ましい。さらに、固体吸着材を再生する際には、再生剤タンク6だけでなく本体9内も窒素置換しておくことがより好ましい。
【0034】
次に、このような窒素酸化物の除去装置を用いて、大気中に含まれる窒素酸化物を除去する方法について詳細に説明する。
以下に説明する方法によって窒素酸化物が除去される大気としては、特に限定されないが、例えば、数ppm以下の窒素酸化物濃度が問題となっている道路トンネル内や地下駐車場内から採取される大気、あるいは都市幹線道路近傍などから採取される大気などが挙げられる。また、窒素酸化物を含む大気としては、湿度が60%以上、より好ましくは80%以上であることが望ましい。
【0035】
このような窒素酸化物を含む大気中に含まれる窒素酸化物を除去するには、まず、図1に示すように、圧送ファン3の動力によって、窒素酸化物を含む大気が除去装置内に取り込まれ、大気中の窒素酸化物が、前処理手段2から供給されるオゾンによって、二酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素のいずれかとされて加湿手段11に供給される。加湿手段11に供給された大気は、湿度が60%以上、より好ましくは80%以上とされて窒素酸化物吸着手段4に供給される。窒素酸化物吸着手段4に供給された大気は、固体吸着材層41を通過することにより、大気中の窒素酸化物が吸着除去され、窒素酸化物センサーにより窒素酸化物濃度が検知されたのち、浄化大気として放出される。
【0036】
このとき、窒素酸化物センサーにより所定濃度以上の窒素酸化物が検知されると、以下に示す窒素酸化物吸着手段4の再生が行われる。
窒素酸化物吸着手段4の再生は、再生剤タンク6から再生剤供給ライン7および散布管8を介して、固体吸着材層41上に再生剤を散布し、固体吸着材から窒素酸化物を除去する方法により行われる。再生時に使用した使用済みの再生剤、すなわち固体吸着材層41を通過した後の再生剤は、固体吸着材層41の下層に配置された充填層13を通過して水タンク12に供給され、循環水として再利用される。
そして、窒素酸化物吸着手段4の再生後、窒素酸化物を含む全ての大気が浄化大気として放出されるまで、窒素酸化物の除去と窒素酸化物の除去機能の再生とが繰り返し行われる。
【0037】
このような窒素酸化物の除去装置によれば、加湿手段11が、固体吸着材層41と平面的に重なり合うように窒素酸化物吸着手段4と一体化されているので、除去装置と別個に加湿手段が設けられている場合と比較して、除去装置を容易に設置することができる。また、除去装置を設置する際に必要なスペースが少なくて済む。さらに、除去装置と加湿手段とを連結用の配管ダクトで連結する必要がないので、除去装置内に大気を通過させるための圧力が、連結用の配管ダクト内で損失することはなく、除去装置内に大気を通過させるための圧力が少なくて済み、ランニングコストの低減を図ることができる。また、連結用の配管ダクトを設置するための手間もかからない。さらに、除去装置と別個に加湿手段を設ける必要はなく、除去装置と別個に加湿手段が設けられている場合と比較して、除去装置を容易に設置することができる。
【0038】
しかも、加湿手段11を通過した大気が窒素酸化物吸着装置4に供給されるので、除去装置内に取り込まれる大気の湿度にかかわらず、固体吸着材層41を構成する固体吸着材の表面で窒素酸化物の水和反応が生じ、窒素酸化物が亜硝酸あるいは硝酸となる。このため、固体吸着材層41による窒素酸化物の吸着量が増大し、窒素酸化物が固体吸着材層41に吸着されやすくなり、効率よく大気中に含まれる窒素酸化物を除去することができるものとなる。
【0039】
また、固体吸着材層41の除去機能が低下した場合に、固体吸着材層41に吸着された窒素酸化物を再生剤によって除去することができる。
さらに、加湿手段11内を循環させる循環水を貯留する水タンク12が備えられ、再生剤が固体吸着材層41上に供給されることにより、固体吸着材層41を通過した再生剤が、水タンク12に供給されるので、除去機能の再生に利用した再生剤を、循環水として再利用することができる。
【0040】
さらに、除去機能を検知する窒素酸化物センサーを含み、窒素酸化物センサーが所定濃度以上の窒素酸化物の濃度を検知した場合に、除去機能が再生されるものであるので、所定の水準以上の窒素酸化物の除去機能を確保することができ、窒素酸化物を除去した後に得られる浄化大気の品質を向上させることができる。
【0041】
また、加湿手段11に供給される大気中に含まれる窒素酸化物を、二酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素のいずれかにする前処理手段2を備えているので、効率よく大気中に含まれる窒素酸化物を除去することができる。
また、前処理手段2が、オゾンを用いて酸化するものであるので、加湿手段11に供給される大気中に含まれる窒素酸化物を、効率よく酸化することができる。しかも、加湿手段11に供給される大気が、前処理手段2における酸化反応に利用されなかった余剰オゾンを含んでいたとしても、余剰オゾンが加湿手段11内で分解されるので、余剰オゾンに起因する固体吸着材の劣化を抑止することができる。
【0042】
また、前処理手段2で発生したオゾンが加湿手段11を通過する前の大気中に供給されるようになっているので、前処理手段として、前処理装置内に大気を通過させることによって大気中に含まれる窒素酸化物を酸化させる手段を用いる場合と比較して、除去装置を設置する際に必要なスペースが少なくて済む。さらに、前処理手段を構成する前処理装置内に大気を通過させる場合と比較して、除去装置内に大気を通過させるための圧力も少なくて済む。
【0043】
なお、本発明の窒素酸化物の除去装置においては、上述した例に示したように、窒素酸化物センサーにより所定濃度以上の窒素酸化物が検知された場合に窒素酸化物吸着手段4の再生を行うものとしてもよいが、所定の期間毎に行うものとしてもよい。例えば、本発明の窒素酸化物の除去装置を長期にわたって連続して適用する場合など、メンテナンスのしやすさなどを考慮して、1日1回あるいは、1週間に1回などの周期で再生するようにしてもよい。
【0044】
また、本発明の窒素酸化物の除去装置においては、上述した例に示したように、加湿手段11と固体吸着材層41とが平面的に完全に重なり合うものとすることが望ましいが、加湿手段11が固体吸着材層41の少なくとも一部と平面的に重なり合うように窒素酸化物吸着手段4と一体化されていればよく、重なり合う領域の大きさは、設置スペースなどに応じて決定でき、特に限定されない。また、加湿手段11を構成する充填層13と固体吸着材層41との平面的な面積は、上述した例に示したように同じであってもよいが、異なっていてもよく、設置スペースなどに応じて決定でき、特に限定されない。
【0045】
また、再生剤による窒素酸化物の除去は、上述した例に示したように、再生剤を固体吸着材層41上に散布する方法などによって行ってもよいが、本体9内などで再生剤中に固体吸着材を浸漬する方法などによって行ってもよい。
【0046】
さらに、上述した例に示したように、前処理手段2を備えることが望ましいが、窒素酸化物を含む大気における窒素酸化物の除去率が低くても問題ない場合や、大気中に含まれる窒素酸化物が、二酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素から選ばれる一種以上からなる場合、窒素酸化物の除去率を高くすることよりも設置スペースを少なくすることが優先される場合には、前処理手段2を備えなくてもよい。
【0047】
また、加湿手段11としては、上述した例に示したものを使用することができるが、他の加湿手段を使用してもよく、例えば、大気に水を噴霧するなどして湿度を上昇させる装置などを使用することもでき、特に限定されない。
【0048】
また、上述した例に示したように、本発明は、大気中に含まれる窒素酸化物を除去する際に好ましく適用することができるが、本発明において、窒素酸化物が除去される気体は大気でなくてもよく、特に限定されない。
【0049】
【発明の効果】
上述したように、本発明の窒素酸化物の除去装置によれば、除去装置を設置する際に必要なスペースが少なくて済み、除去装置内に気体を通過させるために必要な圧力の損失が少なく、容易に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の窒素酸化物の除去装置の一例を説明するための概略図である。
【符号の説明】
2 前処理手段
3 圧送ファン
4 窒素酸化物吸着手段
6 再生剤タンク
7 再生剤供給ライン
8 散布管
9 本体
11 加湿手段
12 水タンク
13 充填層
14 水供給ライン
41 固体吸着材層
Claims (6)
- 気体中に含まれる窒素酸化物を除去する装置であって、
前記気体中に含まれる窒素酸化物を、オゾンを用いて酸化する前処理手段と、
固体吸着材層に前記気体を通過させることにより、前記気体中に含まれる前記窒素酸化物を除去する窒素酸化物吸着手段と、
前記固体吸着材層と平面的に重なり合うように前記窒素酸化物吸着手段と一体化され、かつ前記固体吸着剤層の下側に配置されると共に前記オゾンにより酸化された窒素酸化物を含む気体を加湿し、かつ前記オゾンを除去する加湿手段と、
前記窒素酸化物層の除去機能が低下した場合に、再生剤を前記窒素酸化物吸着手段に供給する再生剤供給手段と、
前記加湿手段で使用される加湿用水を貯留する水タンクと、
前記固体吸着材層上に供給され前記固体吸着層を通過して前記水タンクに貯留した再生剤を、前記加湿手段へと循環させる水供給ラインと
を備え、前記再生剤を再生的に前記水タンクに供給し、余剰オゾンを含む前記気体が前記加湿手段を通過した後に前記窒素酸化物吸着装置に供給されることを特徴とする、窒素酸化物の除去装置。 - 前記固体吸着材層に吸着された窒素酸化物が前記再生剤によって除去されることにより、低下した前記除去機能が再生されることを特徴とする請求項1に記載の窒素酸化物の除去装置。
- 前記加湿手段に供給される前記気体中に含まれる窒素酸化物を、二酸化窒素、三酸化二窒素、四酸化二窒素、五酸化二窒素のいずれかにする前処理手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の窒素酸化物の除去装置。
- 前記気体が、道路トンネル内、地下駐車場内、都市内幹線道路近傍のいずれかの大気が採取されたものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の窒素酸化物の除去装置。
- 前記固体吸着材層が、炭素系材料を含む数mm〜数cmの破砕粒子、成型粒子、ハニカム構造から選択される固体吸着材で形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の窒素酸化物の除去装置。
- 前記再生剤が、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、亜硫酸塩のいずれかを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の窒素酸化物の除去装置。
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