JP3879854B2 - 陽極防食を施したプレート式熱交換器 - Google Patents

Description

詳細な説明

本発明は、複数の平行な金属プレートを含むプレート式熱交換器に関するものである。金属プレート間には、冷却液用の透過性コールドチャンバと、冷却すべき高温の液体用の透過性ホットチャンバとが１つおきに形成されている。プレート式熱交換器は金属プレートを包囲するハウジングを含み、このハウジングは上述の冷却液および液体の供給口および排出口を含む。熱交換器は、高温の液体をホットチャンバに供給する第１の配給路と、冷却液をコールドチャンバに供給する第２の配給路と、高温から低温に冷却された液体を排出する第１の回収路と、冷却液を排出する第２の回収路とを含む。

本発明は、このようなプレート式熱交換器を硫酸の浸食に対して防食することを目的とする。本発明によれば、本目的を達成するため、金属プレートおよびハウジングは、高温の液体である硫酸の通路、および冷却液として用いられる水の通路を形成するように設計され、硫酸が通過する領域は、少なくとも１つの金属陰極と、１つの基準電極とを有し、少なくとも金属プレートの半数は可変直流電圧電源の陽極に接続された電気的接触点を有し、金属陰極も同様に直流電圧電源に電気的に接続されていて、直流電圧電源は、基準電極に電気的に接続されたポテンショスタットに属している。

便宜上、ある金属陰極は、第１の配給路および／または第１の回収路に配置され、ここで金属陰極は硫酸に直接接触する。とりわけ、表面積の大きい金属プレートの場合は、ある金属陰極が複数のホットチャンバを貫いて伸びていることが得策であり、この金属陰極は金属プレートに対して軸封され電気的に絶縁されている。これにより、複数のチャンバを流れる硫酸に対して金属陰極が接触することとなる。

関連する電気的接触を備えた、陽極防食が施された金属プレートは、金属プレートをすべての領域にわたってより均一に防食する必要がある場合は、プレート１枚あたり、例えば２個ないし５個の電気的な接触点を有することとしてもよい。ハウジングは、陽極防食を達成するため、可変直流電圧電源に対する１つ以上の電気的接触を有することとしてもよい。便宜上、すべての金属プレートに陽極防食が施されることとなる。陽極防食によれば、プレートのうち硫酸が流れる側に金属酸化膜が生成され、この金属酸化膜が防食の役割を果たす。

本発明により防食されたプレート式熱交換器は、例えば、H₂S0₄の含有量が90〜100重量パーセントの範囲であり140℃〜沸点の温度範囲を有する硫酸を間接熱交換によって冷却する必要のある硫酸製造設備に使用可能である。金属プレートは合金鋼製としてよく、これは鉄以外にとりわけ、合金成分であるクロム、ニッケルおよびモリブデンを含む。

以下、プレート式熱交換器の実施例を図面を参照して説明する。

図１のプレート式熱交換器（１）はハウジング（２）を有し、ハウジングは、冷却すべき高温の硫酸用の供給口（３）および排出口（４）を含むとともに、冷却水用の供給口（５）および排出口（６）を含む。ハウジング（２）内には、平行な複数の金属プレート（７）が設けられていて、プレート間には、冷却すべき硫酸の通路であるホットチャンバ（８）と、冷却水の通路であるコールドチャンバ（９）とが配置されている。硫酸は供給口（３）に入ると、まず第１の配給路（10）に達し、そこから複数のホットチャンバ（８）を流れて第１の回収路（11）に到達し、排出口（４）を通って熱交換器（１）から出る。冷却水は、供給口（５）を通って熱交換器（１）に入り、第２の配給路（13）によって複数のコールドチャンバ（９）に供給され、第２の回収路（14）に到達してから排出口（６）へ流れる。

第１の金属陰極（16）は第１の配給路（10）内に設けられていて、電気的に絶縁された金属陰極はハウジング（２）を貫いて伸びている。これと同様に、第２の金属陰極（17）は第１の回収路（11）内に設けられている。熱交換器（１）の作動中、陰極（16）および（17）は両方とも硫酸に接触しているため、これを防食する必要がある。硫酸と接触する部位の近辺では、陰極は例えばステンレス鋼製であり、これは水素ぜい化に対する高い耐性を有する。ハウジング（２）の外部では、陰極は両方とも、電線（18）または（18a）によって、ポテンショスタット（20）の負極（19）および（19a）に接続されている。公知の方法では、ポテンショスタットは可変直流電圧電源を有し、その正極（21）は、防護される金属プレート（７）の電気的接触点（23）に電線（22）によって接続されている。ハウジング（２）は、電気的接触点（23a）も有し、これによって陽極防食を行なう。図面とは異なるが、防食される各金属プレートは（７）それぞれ、正極（21）に接続された複数の電気的接触点（23）を有してよく、例えばプレート毎に２〜５個の電気的接触点を有してよい。大抵の場合、接触点（23）は金属プレートのエッジに配置することが得策であり、これによって簡単な構造で陽極防食が実現される。

ポテンショスタット（20）は、基準電極（27）まで伸びる電線（26）用の接触点（25）を有する。この基準電極（27）によって、ポテンショスタット（20）の計測基準が得られ、公知の方法によれば、基準電極は、図３に示すように、例えば甘汞電極、水銀／硫酸水銀電極またはカドミウムバーを構成する。電気的絶縁体（31）に包囲されたカドミウムバー（30）は、振動板（33）を有するハウジング（32）内に設けられている。この振動板は硫酸の透過性を有し、これによってカドミウムバー（30）は、カドミウムバーを通過する硫酸に、定常的に浸っている。これによって発現する電位は、ポテンショスタット（20）に電線（26）を介して供給される。

金属プレートの面積が大きい場合、プレート表面の中央部の陽極防食は、プレートのエッジ付近の陽極防食より貧弱なものとなり得る。かかる場合でも所望の防食を達成する十分な陽極電流を提供するため、図２に概略的に示すように、金属陰極に金属プレート（７）の中央部を通過させることが得策となり得る。金属陰極は金属バー（16a）を構成し、軸封され電気的に絶縁された陰極は、複数の金属プレート（７）を貫いて伸びている。このように、腐食の脅威にさらされているプレート領域に必要な陽極電流は、精確に決定可能である。

プレート式熱交換器の概略断面図である。 金属陰極装置の変形例である。 基準電極を長手方向に切断した概略断面図である。

Claims (5)

1. 複数の平行な金属プレートを含むプレート式熱交換器であって、該プレート間には、冷却液用の透過性コールドチャンバと、冷却すべき高温の液体用の透過性ホットチャンバとが１つおきに形成されていて、前記熱交換器は金属プレートを包囲するハウジングを含み、該ハウジングは前記冷却液および液体の供給口および排出口を含み、前記熱交換器は、高温の液体をホットチャンバに供給する第１の配給路と、冷却液をコールドチャンバに供給する第２の配給路と、高温から低温に冷却された液体を排出する第１の回収路と、冷却液を排出する第２の回収路とを含み、前記金属プレートおよびハウジングは、高温の液体である硫酸の通路、および冷却液として用いられる水の通路を形成するように設計され、硫酸が通過する領域は、少なくとも１つの金属陰極と、１つの基準電極とを有し、少なくとも金属プレートの半数は可変直流電圧電源の陽極に接続された複数の電気的接触点を有し、前記金属陰極も同様に直流電圧電源に電気的に接続されていて、直流電圧電源は、基準電極に電気的に接続されたポテンショスタットに属しているプレート式熱交換器。
2. 請求項１に記載のプレート式熱交換器において、ある金属陰極は第１の配給路内に配置されていることを特徴とするプレート式熱交換器。
3. 請求項１または２に記載のプレート式熱交換器において、ある金属陰極は第１の回収路内に配置されていることを特徴とするプレート式熱交換器。
4. 請求項１ないし３のいずれかに記載のプレート式熱交換器において、ある金属陰極は複数のホットチャンバを貫いて伸びていて、該金属陰極は金属プレートに対して軸封され電気的に絶縁されていることを特徴とするプレート式熱交換器。
5. 請求項１ないし４のいずれかに記載のプレート式熱交換器において、複数の金属プレートはプレート１枚あたり２個ないし５個の電気的な接触点を有することを特徴とするプレート式熱交換器。

Images