JP3879829B2 - 高分子化合物、レジスト材料及びパターン形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細加工技術に適したレジスト材料、特に化学増幅レジスト材料のベースポリマーとして有用な高分子化合物並びにレジスト材料及びこれを用いたパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている。
【0003】
微細化が急速に進歩した背景には投影レンズの高NA化、レジストの性能向上、短波長化が挙げられる。レジストの高解像度化及び高感度化に関しては、光照射によって発生する酸を触媒とした化学増幅ポジ型レジスト材料は優れた性能を有するものであり、遠紫外線リソグラフィーにおいて特に主流なレジスト材料になった(特公平2−27660号、特開昭63−27829号公報等に記載)。また、i線(365nm)からKrF(248nm)への短波長化は大きな変革をもたらし、KrFエキシマレーザー用レジスト材料は0.30ミクロンプロセスに始まり、0.25ミクロンルールを経て、現在0.18ミクロンルールの量産化への適用へと展開している。更には、0.15ミクロンルールの検討も始まっており、微細化の勢いはますます加速されている。
【0004】
ArF(193nm)では、0.13μm以下のデザインルールの加工が期待されているが、ノボラック樹脂やポリビニルフェノール系等の従来用いられていた樹脂が193nm付近に非常に強い吸収を持つため、レジスト用のベース樹脂として用いることができない。そこで透明性と必要なドライエッチング耐性の確保のため、アクリル樹脂やシクロオレフィン系の脂環族系の樹脂が検討されている(特開平9−73173号、特開平10−10739号、特開平9−230595号公報、WO97/33198)。
【0005】
F2(157nm)に関しては0.10μm以下の微細化が期待されているが、透明性の確保がますます困難になり、ArF用ベースポリマーであるアクリル樹脂では全く光を透過せず、シクロオレフィン系においてもカルボニル結合を有するものは強い吸収を持つことがわかった。また、KrF用ベースポリマーのポリビニルフェノールについては、160nm付近に吸収のウィンドウがあり、若干透過率が向上するものの、実用的なレベルにはほど遠いことが判明した。
【0006】
ここで、SPIE2001 講演番号4345−31 Polymer design for 157−nm chemically amplifiedresistsにおいて、αCF3アクリル酸tブチルと5−(2−ヒドロキシ−2,2−ビストリフルオロメチル)エチル−2−ノルボルネンとの共重合、αCF3アクリル酸tブチルと3−(ヒドロキシビストリフルオロメチル)メチルスチレンとの共重合が、高透明かつドライエッチング耐性に優れるレジスト用ポリマーであると報告された。しかしながら、これでも吸光度は2〜3程度であり、前記報告でも膜厚1000Å程度のパターン形成例が報告されたにとどまり、更に透過率を向上させる必要がある。2000Å以上で矩形なパターンを得るためには吸光度2以下が必要であると言われている。しかしながら、ドライエッチング耐性とアルカリ溶解性、密着性、透明性等全ての特性を満足した材料は未だ報告されていない。
また、膜厚1000〜1500Åの極薄膜レジストパターンで下地を加工するためには、高いエッチング耐性を有するレジスト材料が要求されている。
【0007】
なお、αトリフルオロメチルアクリル酸誘導体の高分子体の重合方法はA.C.S Macromolecules 1982, 15, 915−920に紹介され、主鎖分解型の電子ビーム露光用レジスト用途として検討されてきた。
【0008】
また、特開平9−43848号公報においては、αトリフルオロメチルアクリル酸エステルで、環式構造を持つものが提案されている。これも、主鎖分解の非化学増幅型レジストとして提案されている。
【0009】
ところで、従来アクリル酸エステルの酸不安定基は三級エステル型が主に用いられてきた。2級エステルは酸脱離性がほとんどなく、エッチング耐性を向上させるための酸安定基として用いられてきた。例えば、SPIE Vol.1672 p66(1992)にはビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イルメタクリル酸エステルポリマーのエッチング耐性が示されているが、この基が酸不安定基としては用いられていない。同報告において、1−アダマンタンメタクリル酸エステルポリマーのエッチング耐性も示されている。1−アダマンタンメタクリル酸エステルはエステル部分が三級炭素であるが、1−アダマンタンは内部オレフィンの生成ができないため、酸脱離基として機能しない。そこで、tブチルメタクリレートとの共重合によってポジ型レジストパターンを得ている。
【0010】
また、SPIE Vol.2724 p334(1996)において、イソボロニルメタクリレートが酸脱離することが示され、2級炭化エステルの脱離が報告されている。
【0011】
ここで、本発明者らは、1−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イルαトリフルオロメチルアクリルエステルの2級エステル置換体が酸脱離する事に着目した。1−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イルαトリフルオロメチルアクリルエステルとシクロオレフィンとの共重合、あるいはヘキサフルオロアルコールペンダント型スチレン共重合が、酸によりエステル部分が脱離してアルカリ可溶性になり、ポジ型レジストとして有望な材料となるべきことに着目した。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、300nm以下、特にF2(157nm)、Kr2(146nm)、KrAr(134nm)、Ar2(126nm)等の真空紫外光における透過率に優れるだけでなく、エッチング耐性にも優れたレジスト材料、特に化学増幅レジスト材料のベースポリマーとして有用な新規高分子化合物並びにこれを含むレジスト材料を用いたパターン形成方法を提供することを目的にする。
【0013】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、1−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イルαトリフルオロメチルアクリルエステルモノマーと、ノルボルネン誘導体との共重合体あるいはヘキサフルオロイソプロパノールスチレンとの共重合体をベースポリマーとして用いることにより、透明性が飛躍的に向上する上にドライエッチング耐性も確保できるレジスト材料が得られることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0014】
即ち、本発明は下記の高分子化合物、レジスト材料及びパターン形成方法を提供する。
請求項1:
下記一般式(1)で示される繰り返し単位(m単位及びn単位)を有することを特徴とする高分子化合物。
【化3】
(式中、m単位において、R1はフッ素原子又は少なくとも1個以上のフッ素原子を有する炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。R2は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基を示す。R3はメチレン基、エチレン基、酸素原子、又は硫黄原子を示す。aは0〜2の整数である。n単位は、下記の繰り返し単位から選択される。
【化53】
【化54】
(m、nは各繰り返し単位の存在比を示し、m+n=1において、mは0.2〜0.9、nは0.1〜0.8である。))
請求項2:
更に、密着性を向上させる下記繰り返し単位のいずれかを含有する請求項1記載の高分子化合物。
【化55】
【化56】
【化57】
(式中R 36 、R 37 、R 38 は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。)
請求項3:
更に、下記の繰り返し単位を含有する請求項1又は2記載の高分子化合物。
【化58】
(式中R 36 、R 37 、R 38 は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R 47 は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のフッ素化されたアルキル基である。)
請求項4:
R 47 が、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基及び下記式の基
【化59】
(式中、R 48 は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、0≦f≦10である。)
から選択されるものである請求項3記載の高分子化合物。
請求項5:
R1がトリフルオロメチル基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の高分子化合物。
請求項6:
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高分子化合物を含むことを特徴とするレジスト材料。
請求項7:
(A)請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高分子化合物、
(B)有機溶剤、
(C)酸発生剤
を含有することを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト材料。
請求項8:
更に塩基性化合物を含有する請求項7記載のレジスト材料。
請求項9:
更に溶解阻止剤を含有する請求項7又は8記載のレジスト材料。
請求項10:
(1)請求項6乃至9のいずれか1項に記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、
(2)次いで加熱処理後、フォトマスクを介して波長100〜180nm帯又は1〜30nm帯の高エネルギー線で露光する工程と、
(3)必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
請求項11:
前記高エネルギー線がF2レーザー、Ar2レーザー、又は軟X線であることを特徴とする請求項10記載のパターン形成方法。
【0015】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明者らの検討によれば、157nm付近の透過率を向上させる方法としては、カルボニル基や炭素−炭素間二重結合の数の低減化も一つの方法と考えられるが、ベースポリマー中へのフッ素原子の導入も透過率向上に大きく寄与することがわかってきた。実際、ポリビニルフェノールの芳香環にフッ素を導入したポリマーは実用的に近い透過率を得ることができた。しかしながら、このベースポリマーはF2レーザーの高エネルギー光の照射によりネガ化が進行することが顕著になり、レジストとしての実用化は難しいことが判明した。これに対し、アクリル系樹脂やノルボルネン誘導体由来の脂肪族環状化合物を主鎖に含有する高分子化合物にフッ素を導入したポリマーは、吸収が低く抑えられる上にネガ化の問題も解決できることがわかった。
【0016】
本発明では、下記一般式(1)又は(2)で示されるようなα位にフッ素化アルキル基と脂環構造を持つアクリル酸エステル系モノマーと、ノルボルネン誘導体あるいはヘキサフルオロイソプロパノールスチレンの共重合体が157nm付近での高透明性を確保できる上に、優れたドライエッチング耐性を有することを見出した。
【0017】
【化5】
(式中、R1はフッ素原子又は少なくとも1個以上のフッ素原子を有する炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基である。R2は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基を示す。R3はメチレン基、エチレン基、酸素原子、又は硫黄原子を示す。aは0〜2の整数である。R4a、R4b、R5a及びR5bは水素原子、水酸基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基、(CH2)cCO2R6、又は(CH2)cC(R7)2(OR6)である。R6は酸不安定基、密着性基、水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。また、R4a、R4b、R5a及びR5bはこれらの2つが結合して環を形成していてもよい。環を形成する場合は、酸素原子又はエステル基を含んでもよい炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基である。R7は水素原子、フッ素原子、同一又は異種の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、少なくとも1個以上のフッ素原子を含む。0<m<1、0<n<1であり、0<m+n≦1である。bは0又は1であり、cは0〜6の整数である。)
【0018】
【化6】
(式中、R1〜R3、aは前述の通り、R8は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。R9は単結合、又は炭素数1〜4の2価の炭化水素基、R10、R11は同一もしくは異種で、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜4のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、R10、R11のどちらか一方又は両方に少なくとも1個以上のフッ素原子を含む。R12は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基であり、又は酸不安定基であってもよい。R13は水素原子、又はメチル基である。0<m<1、0<p<1であり、0<m+p≦1である。dは0〜4の整数であり、eは1〜3の整数である。)
【0019】
ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。フッ素原子を有するアルキル基、フッ素化アルキル基としては、上記アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換した基が挙げられる。また、アルキレン基としては、上記アルキル基から水素原子が1個脱離したものが挙げられる。
【0020】
R6、R12の酸不安定基としては種々選定されるが、下記一般式(AL−1)に示すように、炭素数4〜20の3級炭化水素基が挙げられる。
【0021】
【化7】
【0022】
ここで、R15、R16、R17は同一又は異種の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、アルケニル基等の1価炭化水素基であり、有橋環式炭化水素基であってもよい。R15とR16、R16とR17、R15とR17とがそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。環を形成する場合は、上記炭化水素基より水素原子が1個脱離したものが例示できる。なお、環式構造を持つ方がエッチング耐性向上効果が高く、環式構造は、単環構造でもよいが、有橋環式構造であれば更にエッチング耐性を向上させることができる。また、環式構造を導入した酸脱離基は、脱離反応性が高く、コントラスト、即ち溶解のγを向上させることができる。具体的には下記式に示すものを例示することができる。
【0023】
【化8】
(式中、R21及びR22は炭素数1〜6のヘテロ原子を含んでもよい1価炭化水素基を示す。この場合、ヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子を挙げることができ、−OH、−OR25、−O−、−S−、−S(=O)−、−NH2、−NHR25、−N(R25)2、−NH−、−NR25−などの形態で含有又は介在することができる。R25は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。)
【0024】
R21及びR22の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基などを例示できる。R23、R24としては、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基等が用いられ、その具体例としては、メチル基、ヒドロキシメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、メトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等を例示できる。
【0025】
更に、下記一般式(AL−10)、(AL−11)で示される酸不安定基であってもよい。
【0026】
【化9】
【0027】
式(AL−10)、(AL−11)においてR26、R29は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよい。
【0028】
R27、R28は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、fは0〜10の整数である。R27とR28、R27とR29、R28とR29はそれぞれ結合してこれらが結合する炭素原子、酸素原子と共に環を形成してもよい。式(AL−10)に示される化合物を具体的に例示すると、tert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等、また下記一般式(AL−10)−1〜(AL−10)−9で示される置換基が挙げられる。
【0029】
【化10】
【0030】
式(AL−10)−1〜(AL−10)−9中、R30は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又はアラルキル基を示す。R31は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R32は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又はアラルキル基を示す
【0031】
式(AL−11)で示されるアセタール化合物を(AL−11)−1〜(AL−11)−23に例示する。
【0032】
【化11】
【0033】
また、一般式(AL−11a)あるいは(AL−11b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【0034】
【化12】
【0035】
式中、R33、R34は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、R33とR34は結合して環を形成してもよく、環を形成する場合にはR33、R34は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。R35は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、g、hは0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、iは1〜7の整数である。Aは、(i+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0036】
この場合、好ましくは、Aは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、iは好ましくは1〜3の整数である。
【0037】
一般式(AL−11a)、(AL−11b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(AL−11)−24〜(AL−11)−31のものが挙げられる。
【0038】
【0039】
本発明の一般式(1)又は(2)における繰り返し単位(m)の具体例を以下に示すが、これに限定されるものではない。
【0040】
【化13】
【0041】
本発明の2級炭素エステル酸不安定基の脱離機構を下記に示す。3級炭素エステル酸不安定基の脱離機構は1)式に示される。脱離反応の中間体として、下記カチオン1)−2、1)−3が生成すると考えられる。酸脱離の反応速度はカチオン中間体、特に1)−3の安定性に支配されると考えられる。一方、2)に示される2級炭素エステルの場合、中間体のカチオン、特に2)−3が不安定で、元のエステルの状態に戻ってしまうために脱離反応が進行しないと考えられる。しかしながら、ノルボルネンの1位の位置にアルキル基がついた中間体カチオン3)−3は安定性が増し、脱離反応が加速される。
【0042】
【化14】
【0043】
ここで、本発明の一般式(1)又は(2)における繰り返し単位(m)を重合するためのモノマーは下記に挙げることができる。
【0044】
【化15】
【0045】
上記モノマーの製造は、例えば下記工程にて行うことができるが、これに限定されるものではない。
【0046】
【化16】
【0047】
ここで、R1〜R3及びaは上記と同様である。反応は公知の条件にて容易に進行するが、好ましくはトルエン等の溶媒中、脂環式基を含むオレフィン、α位にフッ素を有するアクリル酸、及び触媒量の濃硫酸を順次又は同時に加え、室温で反応させ、通常の後処理を行った後に蒸留を行い、生成物を単離する。なお、本反応では式(i)に示すように、生成物に対応する脂環式基を有するオレフィンを原料とする場合の他に、式(ii)のように転位反応を利用した合成法も利用できる。
【0048】
本発明においては、繰り返し単位(m)に1−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イルαトリフルオロメチルアクリルエステルを有するが、従来から提案されている酸不安定基で置換されたαトリフルオロメチルアクリルエステルを更に共重合させることもできる。
【0049】
ここで、一般式(1)中、繰り返し単位(n)としては、具体的には下記に挙げることができる。
【0050】
【化17】
【0051】
【化18】
【0052】
一般式(2)中、繰り返し単位(p)としては、具体的には下記に挙げることができる。
【0053】
【化19】
【0054】
本発明の高分子化合物は、一般式(1)で示される繰り返し単位(m)の酸脱離モノマーと密着性基を含む繰り返し単位(n)あるいは(p)を含むが、更に密着性を向上させるための下記共重合モノマーを添加させることができる。
【0055】
【化20】
【0056】
【化21】
【0057】
【化22】
【0058】
式中R36、R37、R38は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基である。特にR38がトリフルオロメチル基であることが望ましい。
【0059】
更に下記に挙げられる密着性基を共重合させることもできる。
【化23】
(式中、R39は水素原子、ヒドロキシ基、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、0≦h≦4、0≦i≦4である。R40は水素原子又はメチル基である。)
更に透過率向上のための下記繰り返し単位を共重合させることもできる。
【0060】
【化24】
【0061】
ここで、R36〜R38は前述と同様、R41〜R44はフッ素原子、水素原子、又は炭素数1〜4のフッ素化されたアルキル基であり、R41〜R44の内少なくとも1個以上のフッ素原子を含む。
R45、R46は水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基である。
R47は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のフッ素化されたアルキル基であり、アルキル基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものであり、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピル基、1,1,2,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル基等が挙げられる他、下記式で表されるような基も用いられる。
【0062】
【化25】
(式中、R48は水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基又はフッ素化されたアルキル基であり、0≦f≦10である。)
【0063】
ヘキサフルオロアルコールがペンダントされたシクロオレフィンあるいはスチレンはヒドロキシ基のままで重合してもよいし、アセチル基で置換してから重合後アルカリ水でアセトキシ基を脱離してもよいが、脱離させないでアセトキシ基を密着性基として用いることもできる。また、ヘキサフルオロアルコールがペンダントされたシクロオレフィンあるいはスチレンのヒドロキシ基をエトキシエトキシ基などのアセタールで置換して重合を行い、重合後弱酸でエトキシエトキシ基を脱離してもよいが、脱離させないで酸不安定基として用いることもできる。本発明は、1−アルキルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イルαトリフルオロメチルアクリルエステルの2級エステル繰り返し単位が必須成分であり、置換あるいは無置換のヘキサフルオロアルコールがペンダントされたシクロオレフィンあるいはスチレン共重合体との2元共重合体であるが、上記密着性基を含む繰り返し単位、透明性を向上するための繰り返し単位との3元、あるいは4元以上の共重合であってもよい。また、分子量、分散度、共重合比の異なる2種以上のポリマーをブレンドすることもかまわない。更に、従来提案されてきたポリマー、たとえば三級エステル酸脱離基を持つαCF3アクリル酸とノルボルネン誘導体のコポリマー、αCF3アクリル酸とスチレン誘導体コポリマー、ポリノルボルネン、ポリアクリル酸、メタセシス開環重合体とのポリマーブレンドであってもかまわない。
【0064】
本発明の高分子化合物を合成する場合、αトリフルオロメチルアクリルエステルモノマー、ノルボルネン誘導体あるいはヘキサフルオロイソプロパノールスチレン及び必要により密着性向上モノマー及び透明性向上モノマーを溶媒に溶解させ、触媒を添加して、場合によっては加熱又は冷却あるいは加圧しながら重合反応を行う。重合反応は開始剤(又は触媒)の種類、開始の方法(光、熱、放射線、プラズマ等)、重合条件(温度、圧力、濃度、溶媒、添加物)等によっても支配される。本発明の高分子化合物の重合においては、AIBN等のラジカルによって重合が開始されるラジカル共重合、アルキルリチウム等の触媒を用いたイオン重合(アニオン重合)等が一般的である。これらの重合はその常法に従って行うことができる。
【0065】
ラジカル重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等のアゾ系化合物、tert−ブチルパーオキシピバレート、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート等の過酸化物系化合物、また水溶性開始剤としては過硫酸カリウムのような過硫酸塩、更には過硫酸カリウムや過酸化水素等の過酸化物と亜硫酸ナトリウムのような還元剤の組み合わせからなるレドックス系開始剤が例示される。重合開始剤の使用量は、種類、重合反応条件等に応じて適宜変更可能であるが、通常は重合させるべき単量体全量に対して0.001〜5重量%、特に0.01〜2重量%が採用される。
【0066】
また、重合反応においては重合溶媒を用いてもよい。重合溶媒としては重合反応を阻害しないものが好ましく、代表的なものとしては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の脂肪族又は芳香族炭化水素類、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤が使用できる。これらの溶剤は単独でもあるいは2種類以上を混合しても使用できる。またドデシルメルカプタンのような公知の分子量調整剤を併用してもよい。
【0067】
重合反応の反応温度は重合開始剤の種類あるいは溶媒の沸点により適宜変更され、通常は20〜200℃が好ましく、特に50〜140℃が好ましい。かかる重合反応に用いる反応容器は特に限定されない。
【0068】
このようにして得られる本発明にかかる重合体の溶液又は分散液から、媒質である有機溶媒又は水を除去する方法としては、公知の方法のいずれも利用できるが、例を挙げれば再沈澱濾過又は減圧下での加熱留出等の方法がある。
【0069】
上記高分子化合物の重量平均分子量は1,000〜1,000,000、特に2,000〜100,000とすることが望ましい。
【0070】
単位(m)、単位(n)、単位(p)において、m/(m+n)は0.2〜0.9、好ましくは0.2〜0.8、n/(m+n)は0.1〜0.8、好ましくは0.2〜0.7、p/(m+p)は0.1〜0.9、好ましくは0.2〜0.8であることが望ましい。また、m+nは0.3〜1.0、特に0.4〜1.0、m+pは0.3〜1.0、特に0.4〜1.0であることが好ましい。なお、m+n<1.0、m+p<1.0の場合、他の単位は、上述した密着性基を含む繰り返し単位、透明性を向上するための繰り返し単位等とすることができる。
【0071】
なお、本発明の高分子化合物は、レジスト材料、特に化学増幅型、とりわけ化学増幅ポジ型レジスト材料のベース樹脂として使用することができるが、膜の力学物性、熱的物性、アルカリ可溶性、その他の物性を変える目的で他の高分子化合物を混合することもできる。その際、混合する高分子化合物の範囲は特に限定されないが、レジスト用の公知の高分子化合物等と任意の範囲で混合することができる。
【0072】
本発明のレジスト材料は、本発明の高分子化合物をベース樹脂とする以外は公知の成分を用いて調製し得るが、特に化学増幅ポジ型レジスト材料は、
(A)上記高分子化合物(ベース樹脂)、
(B)有機溶剤、
(C)酸発生剤
を含有するものとすることができる。
この場合、これらレジスト材料に、更に
(D)塩基性化合物、
(E)溶解阻止剤
を配合してもよい。
【0073】
本発明で使用される(B)成分の有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類が挙げられる。
【0074】
また、フッ素化された有機溶媒も用いることができる。具体的に例示すると、2−フルオロアニソール、3−フルオロアニソール、4−フルオロアニソール、2,3−ジフルオロアニソール、2,4−ジフルオロアニソール、2,5−ジフルオロアニソール、5,8−ジフルオロ−1,4−ベンゾジオキサン、2,3−ジフルオロベンジルアルコール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、2’,4’−ジフルオロプロピオフェノン、2,4−ジフルオロトルエン、トリフルオロアセトアルデヒドエチルヘミアセタール、トリフルオロアセトアミド、トリフルオロエタノール、2,2,2−トリフルオロエチルブチレート、エチルヘプタフルオロブチレート、エチルヘプタフルオロブチルアセテート、エチルヘキサフルオログルタリルメチル、エチル−3−ヒドロキシ−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−2−メチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチルペンタフルオロベンゾエート、エチルペンタフルオロプロピオネート、エチルペンタフルオロプロピニルアセテート、エチルパーフルオロオクタノエート、エチル−4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、エチル−4,4,4−トリフルオロブチレート、エチル−4,4,4−トリフルオロクロトネート、エチルトリフルオロスルホネート、エチル−3−(トリフルオロメチル)ブチレート、エチルトリフルオロピルベート、sec−エチルトリフルオロアセテート、フルオロシクロヘキサン、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロ−7,7−ジメチル−4,6−オクタンジオン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタフルオロペンタン−2,4−ジオン、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノール、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロ−2−ペンタノン、イソプロピル4,4,4−トリフルオロアセトアセテート、メチルパーフルオロデナノエート、メチルパーフルオロ(2−メチル−3−オキサヘキサノエート)、メチルパーフルオロノナノエート、メチルパーフルオロオクタノエート、メチル−2,3,3,3−テトラフルオロプロピオネート、メチルトリフルオロアセトアセテート、メチルトリフルオロアセトアセテート、1,1,1,2,2,6,6,6−オクタフルオロ−2,4−ヘキサンジオン、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1−ペンタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロ−1−デカノール、パーフルオロ(2,5−ジメチル−3,6−ジオキサンアニオニック)酸メチルエステル、2H−パーフルオロ−5−メチル−3,6−ジオキサノナン、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロノナン−1,2−ジオール、1H,1H,9H−パーフルオロ−1−ノナノール、1H,1H−パーフルオロオクタノール、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタノール、2H−パーフルオロ−5,8,11,14−テトラメチル−3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタデカン、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリヘキシルアミン、パーフルオロ−2,5,8−トリメチル−3,6,9−トリオキサドデカン酸メチルエステル、パーフルオロトリペンチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミン、1H,1H,2H,3H,3H−パーフルオロウンデカン−1,2−ジオール、トリフルオロブタノール、1,1,1−トリフルオロ−5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール、3,3,3−トリフルオロ−1−プロパノール、1,1,1−トリフルオロ−2−プロピルアセテート、パーフルオロ(ブチルテトラヒドロフラン)、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1,2−ジメチルシクロヘキサン)、パーフルオロ(1,3−ジメチルシクロヘキサン)、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルトリフルオロメチルアセテート、トリフルオロメチル酢酸ブチル、3−トリフルオロメトキシプロピオン酸メチル、パーフルオロシクロヘキサノン、プロピレングリコールトリフルオロメチルエーテル、トリフルオロ酢酸ブチル、1,1,1−トリフルオロ−5,5−ジメチル−2,4−ヘキサンジオン等が挙げられる。
【0075】
これらの溶媒は1種を単独で又は2種以上を混合して使用することもできるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノールの他、安全溶剤であるプロピレングリコールモノメチルアセテート及びその混合溶剤が好ましく使用される。
【0076】
上記溶媒の使用量は、ベース樹脂100部(重量部、以下同じ)に対し300〜10,000部、特に500〜5,000部とすることができる。
【0077】
(C)成分の酸発生剤としては、下記一般式(3)のオニウム塩、式(4)のジアゾメタン誘導体、式(5)のグリオキシム誘導体、β−ケトスルホン酸誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、イミドイルスルホネート誘導体等が挙げられる。
【0078】
酸発生剤として用いられるオニウム塩の一般式は下記式(3)で示される。
(R51)iM+K- (3)
(式中、R51はそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示し、M+はヨードニウム、スルホニウムを表し、K-は非求核性対向イオンを表し、iは2又は3である。)
【0079】
R51のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、2−オキソシクロペンチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。K-の非求核性対向イオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
【0080】
オニウム塩の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナ−ト]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等が挙げられる。
【0081】
次に、ジアゾメタン誘導体は下記式(4)で示される。
【化26】
(式中、R52、R53は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基、又はハロゲン化アリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。)
【0082】
R52、R53のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。ハロゲン化アリール基としてはフルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0083】
ジアゾメタン誘導体の具体例としては、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
【0084】
また、グリオキシム誘導体は下記式(5)で示される。
【化27】
(式中、R54〜R56は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜12のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。R55、R56は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R55、R56はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状、分岐状のアルキレン基を示す。)
【0085】
R54〜R56のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R52、R53で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R55、R56のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0086】
グリオキシム誘導体の具体例としては、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等が挙げられる。
【0087】
その他に用いられる酸発生剤としては、例えば、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等のβ−ケトスルホン誘導体、ジフェニルジスルホン、ジシクロヘキシルジスルホン等のジスルホン誘導体、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体、フタルイミド−イル−トリフレート、フタルイミド−イル−トシレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−トリフレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−トシレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−n−ブチルトリフレスルホネート等のイミドイルスルホネート誘導体等が挙げられる。
【0088】
以上記載した酸発生剤のうち、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体が好ましく用いられる。なお、上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。オニウム塩は矩形性向上効果に優れ、ジアゾメタン誘導体及びグリオキシム誘導体は定在波低減効果に優れるため、両者を組み合わせることによりプロファイルの微調整を行うことが可能である。
【0089】
酸発生剤の添加量は、ベース樹脂100部に対して0.2〜15部が好ましく、0.2部より少ないと露光時の酸発生量が少なく、感度及び解像性が悪い場合があり、15部より多いと透明性が低くなり解像性が低下する場合がある。
【0090】
(D)成分の塩基性化合物は、酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。このような塩基性化合物の配合により、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる(特開平5−232706号、同5−249683号、同5−158239号、同5−249662号、同5−257282号、同5−289322号、同5−289340号公報等記載)。
【0091】
このような塩基性化合物としては、アンモニア、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等が挙げられる。
【0092】
第一級の脂肪族アミン類の具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0093】
第二級の脂肪族アミン類の具体例としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
第三級の脂肪族アミン類の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
【0094】
混成アミン類の具体例としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。
【0095】
芳香族アミン類の具体例としては、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等のアニリン誘導体や、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン等が例示される。
【0096】
複素環アミン類の具体例としては、ピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等のピロール誘導体、オキサゾール、イソオキサゾール等のオキサゾール誘導体、チアゾール、イソチアゾール等のチアゾール誘導体、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン、2−メチル−1−ピロリン等のピロリン誘導体、ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等のピロリジン誘導体、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、1−メチル−2−ピリジン、4−ピロリジノピリジン、1−メチル−4−フェニルピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等のピリジン誘導体、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン、3−キノリンカルボニトリル等のキノリン誘導体、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0097】
カルボキシル基を有する含窒素化合物の具体例としては、アミノ安息香酸、インドールカルボン酸、ニコチン酸の他、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン等のアミノ酸誘導体が例示される。
【0098】
スルホニル基を有する含窒素化合物の具体例としては、3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示される。
【0099】
水酸基、ヒドロキシフェニル基を含有する含窒素化合物及びアルコール性含窒素化合物の具体例としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。
【0100】
アミド誘導体の具体例としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。
【0101】
イミド誘導体の具体例としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0102】
更に下記一般式(B)−1で示される塩基性化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
N(X)n(Y)3-n (B)−1
式中、n=1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、下記一般式(X)−1〜(X)−3で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の、水素原子又は直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。
【0103】
ここで、R300、R302、R305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R301、R304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
【0104】
R303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、ラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。
【0105】
【化28】
【0106】
一般式(B)−1で表される化合物は具体的には下記に例示される。
トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−フォルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンを例示できるが、これらに制限されない。
【0107】
更に下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ塩基性化合物の1種あるいは2種以上を添加することもできる。
【化29】
(式中、Xは前述の通り、R307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基、スルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
【0108】
式(B)−2は具体的には、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチルで挙げることができる。
【0109】
更に、一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む塩基性化合物を添加することができる。
【化30】
(式中、X、R307、nは前述の通り、R308、R309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
【0110】
シアノ基を含む塩基は、具体的には3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)が例示される。
【0111】
なお、本発明塩基性化合物の配合量は全ベース樹脂100部に対して0.001〜2部、特に0.01〜1部が好適である。配合量が0.001部より少ないと配合効果がなく、2部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
【0112】
(E)成分の溶解阻止剤は、酸の作用によりアルカリ現像液への溶解性が変化する分子量3,000以下の化合物、特に分子量2,500以下のフェノールあるいはカルボン酸誘導体の水酸基の一部あるいは全部を酸不安定基で置換した化合物が適している。酸不安定基としては本発明に挙げられるフッ素を含むものであってもよいが、従来のフッ素を含まないものでもよい。
【0113】
分子量2,500以下のフェノールあるいはカルボン酸誘導体としては、4,4’−(1−メチルエチリデン)ビスフェノール、[1,1’−ビフェニル−4,4’−ジオール]−2,2’−メチレンビス[4−メチルフェノール]、4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)吉草酸、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、フェノールフタレイン、チモ−ルフタレイン、3,3’−ジフルオロ[(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジオール]、3,3’,5,5’−テトラフルオロ[(1,1’−ビフェニル−4,4’−ジオール]、4,4’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール、4,4’−メチレンビス[2−フルオロフェノール]、2,2’−メチレンビス[4−フルオロフェノール]、4,4’−イソプロピリデンビス[2−フルオロフェノール]、シクロヘキシリデンビス[2−フルオロフェノール]、4,4’−[(4−フルオロフェニル)メチレン]ビス[2−フルオロフェノール]、4,4’−メチレンビス[2,6−ジフルオロフェノール]、4,4’−(4−フルオロフェニル)メチレンビス[2,6−ジフルオロフェノール]、2,6−ビス[(2−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メチル]−4−フルオロフェノール、2,6−ビス[(4−ヒドロキシ−3−フルオロフェニル)メチル]−4−フルオロフェノール、2,4−ビス[(3−ヒドロキシ−4−ヒドロキシフェニル)メチル]−6−メチルフェノール等が挙げられ、酸に不安定な置換基としては、上記と同様のものが挙げられる。
【0114】
好適に用いられる溶解阻止剤の具体例としては、3,3’,5,5’−テトラフルオロ[(1,1’−ビフェニル)−4,4’−ジ−tert−ブトキシカルボニル]、4,4’−[2,2,2−トリフルオロ−1−(トリフルオロメチル)エチリデン]ビスフェノール−4,4’−ジ−tert−ブトキシカルボニル、ビス(4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、ビス(4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)メタン、ビス(4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)メタン、2,2−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ))プロパン、2,2−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)プロパン、4,4−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)吉草酸tert−ブチル、トリス(4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシメチルフェニル)メタン、トリス(4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)メタン、トリス(4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)メタン、1,1,2−トリス(4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(1’−エトキシエトキシ)フェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル)エタン、2−トリフルオロメチルベンゼンカルボン酸1,1−tert−ブチル、2−トリフルオロメチルシクロヘキサンカルボン酸tert−ブチル、デカヒドロナフタレン−2,6−ジカルボン酸tert−ブチル、コール酸tert−ブチル、デオキシコール酸tert−ブチル、アダマンタンカルボン酸tert−ブチル、アダマンタン酢酸tert−ブチル、1,1’−ビシクロヘキシル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸テトラtert−ブチル等が挙げられる。
【0115】
更に下記に示される溶解阻止剤を添加することもできる。
ここで、R5は単位(n)のR5と同一又は異種の酸不安定基である。
【0116】
【化31】
【0117】
本発明のレジスト材料中における溶解阻止剤の添加量としては、レジスト材料中のベース樹脂100部に対して20部以下、好ましくは15部以下である。20部より多いとモノマー成分が増えるためレジスト材料の耐熱性が低下する。
【0118】
F2リソグラフィー用レジストは、ベースポリマーにフッ素が導入されているため、現像液の浸透性が悪い。現像液の塗れ性を改善するために、KrF、ArF露光用レジスト材料においては、フェノール、カルボキシル基、スルホンアミド、カルボンアミドなどの水溶性基を含む化合物を添加する方法が提案された。例えば、特開2000−47385号、同2000−275840号公報記載のカルボン酸無水物、特開2000−275838号公報記載のホスフィン化合物、特開2000−275841号公報記載のチオカルボニル基含有化合物、特開平11−338150号公報記載のカルボキシル基含有化合物、特開平11−327145号公報記載のスルホンアミド化合物などである。しかしながら、前記物質は全て157nmに強い吸収を持つものであり、レジストの透過率を低下させる欠点があり、透過率低下のないヘキサフルアロアルコールがペンダントされた材料が提案されている。
【0119】
このものは、前述溶解阻止剤の酸不安定基を水素原子で置き換えたものであり、具体的には下記に示すことができる。添加量はポリマー100部に対して5〜40部、好ましくは8〜30部の範囲である。この範囲より添加量が少ないと本来の効果が発揮できず、多すぎると現像後の未露光部分の膜が溶解したり、ポリマーと相分離を起こしてスピンコート後の膜がまだら模様になったりする。
【0120】
【化32】
【0121】
本発明のレジスト材料には、上記成分以外に任意成分として塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤を添加することができる。なお、任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0122】
ここで、界面活性剤としては非イオン性のものが好ましく、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルEO付加物、含フッ素オルガノシロキサン系化合物等が挙げられる。例えばフロラード「FC−430」、「FC−431」(いずれも住友スリーエム(株)製)、サーフロン「S−141」、「S−145」(いずれも旭硝子(株)製)、ユニダイン「DS−401」、「DS−403」、「DS−451」(いずれもダイキン工業(株)製)、メガファック「F−8151」(大日本インキ工業(株)製)、「X−70−092」、「X−70−093」(いずれも信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。好ましくは、フロラード「FC−430」(住友スリーエム(株)製)、「X−70−093」(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
【0123】
本発明のレジスト材料を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができる。例えばシリコンウエハー等の基板上にスピンコーティング等の手法で膜厚が0.1〜1.0μmとなるように塗布し、これをホットプレート上で60〜200℃、10秒〜10分間、好ましくは80〜150℃、30秒〜5分間プリベークする。次いで目的のパターンを形成するためのマスクを上記のレジスト膜上にかざし、遠紫外線、エキシマレーザー、X線等の高エネルギー線もしくは電子線を露光量1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2程度となるように照射した後、ホットプレート上で60〜180℃、10秒〜5分間、好ましくは80〜150℃、30秒〜3分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。更に、0.1〜5%、好ましくは2〜3%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、10秒〜3分間、好ましくは30秒〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより基板上に目的のパターンが形成される。また、狭帯域化されたエキシマレーザーによる定在波の発生を抑えるために、基板とレジストとの中間に反射防止膜を作成してもよく、また、レジストの上層に反射防止膜を作成してもよい。なお、本発明材料は、特に高エネルギー線の中でも254〜120nmの遠紫外線又はエキシマレーザー、特に193nmのArF、157nmのF2、146nmのKr2、134nmのKrAr、126nmのAr2等のエキシマレーザー、X線及び電子線による微細パターンニングに最適である。なお、上記範囲の上限及び下限から外れる場合は、目的のパターンを得ることができない場合がある。
【0124】
【発明の効果】
本発明のレジスト材料は、高エネルギー線に感応し、200nm以下、特に170nm以下の波長における感度が優れている上に、α位にフッ素化アルキル基を含むアクリル酸エステル系モノマーとノルボルネン誘導体あるいはヘキサフルオロイソプロパノール基置換スチレン誘導体の共重合体をベース樹脂に用いることによりレジストの透明性が向上し、それと同時に優れたプラズマエッチング耐性を有することがわかった。従って本発明のレジスト材料は、これらの特性により、特にF2エキシマレーザーの露光波長での吸収が小さいレジスト材料となり得るもので、微細でしかも基板に対して垂直なパターンを容易に形成でき、このため超LSI製造用の微細パターン形成材料として好適である。
【0125】
【実施例】
以下、合成例及び実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
[合成例1]
本発明の高分子化合物を重合するに当たり、エステル化合物モノマー1を、以下に示す処方で合成した。
下記オレフィン1の30.0g、34.4gのα−トリフルオロメチルアクリル酸、0.3gの濃硫酸を重合安定剤と共に60gのトルエンに溶解させ、室温で24時間反応させた。室温まで冷却後、通常の反応後処理を行い、蒸留により精製したところ(沸点74℃/0.9mmHg)、36.0gの下記モノマー1が得られた。収率は56%であった。
【0126】
【化33】
1H−NMR(CDCl3、270MHz):δ0.86(t、3H、J=7.6Hz)、1.13〜2.24(m、11H)、4.78(m、1H)、6.38(m、1H)、6.69(m、1H)
FT−IR(NaCl):2962、2873、1733、1464、1454、1406、1381、1340、1254、1149、1117、1097、1057、995cm-1
【0127】
[合成例2]下記モノマー1とモノマー2の共重合(0.7:0.3)、ポリマー1
500mLのフラスコ中で26.3gの下記モノマー1と27.4gのモノマー2をトルエン100mLに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.33g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0128】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをテトラヒドロフランに溶かし、ヘキサン10L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を二回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた44.9gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が9,500g/molであり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.66の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー1とモノマー2を含有比72:28で含むものであることがわかった。
【0129】
【化34】
【0130】
[合成例3]下記モノマー3とモノマー2の共重合(0.7:0.3)、ポリマー2
500mLのフラスコ中で32.8gの下記モノマー3と27.4gのモノマー2をトルエン100mLに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.33g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0131】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをテトラヒドロフランに溶かし、ヘキサン10L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を二回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた38.2gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が9,300g/molであり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.65の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー3とモノマー2を含有比71:29含むものであることがわかった。
【0132】
【化35】
【0133】
[合成例4]下記モノマー1とモノマー4の共重合(0.2:0.8)、ポリマー3
(参考例)
500mLのフラスコ中で10.5gの下記モノマー1と43.2gのモノマー4をトルエン100mLに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.33g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0134】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをテトラヒドロフランに溶かし、ヘキサン10L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を二回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた35.2gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が11,600g/molであり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.85の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー1とモノマー4を含有比22:78含むものであることがわかった。
【0135】
【化36】
【0136】
[合成例5]下記モノマー1とモノマー2とモノマー5の共重合(0.4:0.3:0.3)、ポリマー4
500mLのフラスコ中で15.0gの下記モノマー1と27.4gのモノマー2と11.9gのモノマー5をトルエン100mLに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.33g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0137】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをテトラヒドロフランに溶かし、ヘキサン10L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を二回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた35.1gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が8,600g/molであり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.66の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー1とモノマー2とモノマー5を含有比41:28:31で含むものであることがわかった。
【0138】
【化37】
【0139】
[合成例6]下記モノマー1とモノマー2とモノマー5とモノマー6の共重合(0.2:0.3:0.3:0.2)、ポリマー5
500mLのフラスコ中で7.5gの下記モノマー1と27.4gのモノマー2と11.9gのモノマー5と8.3gのモノマー6をトルエン100mLに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.33g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0140】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをテトラヒドロフランに溶かし、ヘキサン10L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を二回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた35.1gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が7,600g/molであり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.62の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー1とモノマー2とモノマー5とモノマー6を含有比19:32:28:21で含むものであることがわかった。
【0141】
【化38】
【0142】
[合成例7]下記モノマー1とモノマー2とモノマー5とモノマー7の共重合(0.3:0.3:0.3:0.1)、ポリマー6
500mLのフラスコ中で7.5gの下記モノマー1と27.4gのモノマー2と11.9gのモノマー5と8.3gのモノマー7をトルエン100mLに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.33g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0143】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをテトラヒドロフランに溶かし、ヘキサン10L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を二回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた35.1gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が7,600g/molであり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.62の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー1とモノマー2とモノマー5とモノマー7を含有比19:32:28:21で含むものであることがわかった。
【0144】
【化39】
【0145】
[比較合成例1]下記モノマー8とモノマー2の共重合(0.7:0.3)、比較ポリマー1
500mLのフラスコ中で19.6gの下記モノマー8と27.2gのモノマー2をトルエン100mLに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.33g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0146】
【化40】
【0147】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをテトラヒドロフランに溶かし、ヘキサン10L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を二回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた32.2gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が9,500g/molであり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.78の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー8とモノマー2を含有比71:29含むものであることがわかった。
【0148】
[比較合成例2]下記モノマー8とモノマー4の共重合(0.4:0.6)、比較ポリマー2
500mLのフラスコ中で15.4gの下記モノマー8と32.4gのモノマー4をトルエン100mLに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.33g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0149】
【化41】
【0150】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをテトラヒドロフランに溶かし、ヘキサン10L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を二回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた30.2gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が12,800g/molであり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.73の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー8とモノマー4を含有比42:58含むものであることがわかった。
【0151】
[比較合成例3]下記モノマー9とモノマー2の共重合(0.7:0.3)、比較ポリマー3
500mLのフラスコ中で23.4gの下記モノマー9と27.2gのモノマー2をトルエン100mLに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.33g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0152】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをテトラヒドロフランに溶かし、ヘキサン10L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を二回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた30.2gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が9,200g/molであり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.75の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー9とモノマー2を含有比71:29含むものであることがわかった。
【0153】
【化42】
【0154】
[比較合成例4]下記モノマー10とモノマー2の共重合(0.7:0.3)、比較ポリマー4
500mLのフラスコ中で27.6gの下記モノマー10と27.2gのモノマー2をトルエン100mLに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.33g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0155】
【化43】
【0156】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをテトラヒドロフランに溶かし、ヘキサン10L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を二回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた36.2gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が7,500g/molであり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.68の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー10とモノマー2を含有比70:30含むものであることがわかった。
【0157】
[比較合成例5]下記モノマー11とモノマー2の共重合(0.7:0.3)、比較ポリマー5
500mLのフラスコ中で27.4gの下記モノマー11と27.2gのモノマー2をトルエン100mLに溶解させ、十分に系中の酸素を除去した後、開始剤AIBNを0.33g仕込み、60℃まで昇温して24時間重合反応を行った。
【0158】
【化44】
【0159】
得られたポリマーを精製するために、反応混合物をヘキサンに注ぎ、得られた重合体を沈澱させた。更に得られたポリマーをテトラヒドロフランに溶かし、ヘキサン10L中に注いでポリマーを沈澱させる操作を二回繰り返した後、重合体を分離し、乾燥させた。このようにして得られた31.2gの白色重合体は光散乱法により重量平均分子量が6,500g/molであり、GPC溶出曲線より分散度(=Mw/Mn)が1.58の重合体であることが確認できた。得られたポリマーは1H−NMRの測定結果より、モノマー11とモノマー2を含有比73:27含むものであることがわかった。
【0160】
[評価例]
ポリマー透過率測定
得られたポリマー1gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)20gに十分に溶解させ、0.2μmのフィルターで濾過してポリマー溶液を調整した。
ポリマー溶液をMgF2基板にスピンコーティングして塗布後、ホットプレートを用いて100℃で90秒間ベークし、厚さ100nmのポリマー膜をMgF2基板上に作成した。この基板を真空紫外光度計(日本分光製、VUV−200S)に設置し、248nm、193nm、157nmにおける透過率を測定した。測定結果を表1に示す。
【0161】
【表1】
【0162】
レジスト調製及び露光
上記ポリマー及び下記に示す成分を表2に示す量で用いて常法によりレジスト液を調製した。次に、DUV−30(Brewer Science社製)を55nmの膜厚で成膜したシリコンウエハー上に得られたレジスト液をスピンコーティング後、ホットプレートを用いて100℃で90秒間ベークし、レジストの厚みを200nmの厚さにした。これにF2エキシマレーザー(リソテックジャパン社、VUVES−4500)で露光量を変化させながら露光し、露光後直ちに120℃で90秒間ベークし、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液で60秒間現像を行って、露光量と残膜率の関係を求めた。膜厚が0になった露光量をEthとして、レジストの感度、そのときの傾きのtanθをγとして求めた。
【0163】
【表2】
【0164】
【化45】
【0165】
耐ドライエッチング性の試験では、ポリマー2gをPGMEA10gに溶解させて0.2μmサイズのフィルターで濾過したポリマー溶液をSi基板にスピンコートで成膜し、300nmの厚さの膜にし、2系統の条件で評価した。
(1)CHF3/CF4系ガスでのエッチング試験
東京エレクトロン株式会社製ドライエッチング装置TE−8500Pを用い、エッチング前後のポリマー膜の膜厚差を求めた。
エッチング条件は下記に示す通りである。
チャンバー圧力 40.0Pa
RFパワー 1,300W
ギャップ 9mm
CHF3ガス流量 30ml/min
CF4ガス流量 30ml/min
Arガス流量 100ml/min
時間 60sec
(2)Cl2/BCl3系ガスでのエッチング試験
日電アネルバ株式会社製ドライエッチング装置L−507D−Lを用い、エッチング前後のポリマー膜の膜厚差を求めた。
エッチング条件は下記に示す通りである。
チャンバー圧力 40.0Pa
RFパワー 300W
ギャップ 9mm
Cl2ガス流量 30ml/min
BCl3ガス流量 30ml/min
CHF3ガス流量 100ml/min
O2ガス流量 2ml/min
時間 60sec
【0166】
【表3】
【0167】
表2より本発明の高分子化合物を用いたレジスト材料は、F2(157nm)の波長においても十分な透明性を確保できることがわかった。また、VUVES露光の結果、露光量の増大に従って膜厚が減少し、ポジ型レジストの特性を示し、かつエッチング耐性にも優れることがわかった。
Claims (11)
- R1がトリフルオロメチル基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の高分子化合物。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高分子化合物を含むことを特徴とするレジスト材料。
- (A)請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高分子化合物、
(B)有機溶剤、
(C)酸発生剤
を含有することを特徴とする化学増幅ポジ型レジスト材料。 - 更に塩基性化合物を含有する請求項7記載のレジスト材料。
- 更に溶解阻止剤を含有する請求項7又は8記載のレジスト材料。
- (1)請求項6乃至9のいずれか1項に記載のレジスト材料を基板上に塗布する工程と、
(2)次いで加熱処理後、フォトマスクを介して波長100〜180nm帯又は1〜30nm帯の高エネルギー線で露光する工程と、
(3)必要に応じて加熱処理した後、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。 - 前記高エネルギー線がF2レーザー、Ar2レーザー、又は軟X線であることを特徴とする請求項10記載のパターン形成方法。
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