JP3878716B2 - セメント系粒状改良土層のアルカリ性浸透水の抑制方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、各種の建設工事(掘削工事)から大量に発生する建設残土の有効利用の方法として開発された、建設残土等の軟弱粘性土にセメント系安定剤を添加し加圧、脱水処理をしたケーキ状の改良固化土を解砕して粒度が一様な砕石状に製造したセメント系粒状改良土を、転圧しつつ盛土や埋め戻し土として再利用する方法において、その盛土等から浸出するアルカリ性浸透水を抑制する技術の分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
近年、建設残土(廃泥水その他の建設廃棄物土を含む。)の発生量は増加する一方であり、処分地の受け入れ能力も逼迫して違法投棄の公害問題も多発している。
発明者らは前記問題の解決に取り組み、既に特開平4−49315号(特許第2764645号)、特開平6−106088号( 特許第3113994号)、特開平6−106192〜5号( 特許第3122913号ほか)公報にそれぞれ建設残土等の有効利用方法その他の発明を提案している。これらの発明が目指すところは、建設残土等の軟弱粘性土にセメント系安定剤を添加し、加圧、脱水処理をしたケーキ状の改良固化土を解砕して、一軸圧縮強度が50〜200kgf/cm2程度、粒度は5〜100mmの範囲で一様な人工砕石状に製造したセメント系粒状改良土(以下、これを既往の粒状改良土という。)を、振動ローラ、ブルドーザ、タイヤローラ等の転圧施工機械で転圧しつつ盛土や埋め戻し土として再利用することを要旨としており、期待に応える実績を残しつつある。
【0003】
なお、上記の特開平6ー106195号公報に記載された発明は、アルカリ性の水に対する配慮、対策に関連する技術として、砕石にアルカリ性イオンの溶出を防ぐ表面処理を施しアルカリ性浸透水の発生を防ぐ内容である。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
セメント系粒状改良土を40mm程度の粒度で盛土、埋め戻し土に利用すると、透水係数が10-1〜10-2cm/secと大きく、透水層を形成する。このセメント系粒状改良土層の粒間隙を流れる地下水や雨水は、セメントから溶出する水酸化カルシウムを含んでアルカリ性となり、例えばPH10〜11程度のアルカリ水が浸出することが計測されているが、現行の放流レベルはPH8.6以下に抑制することが望まれている。このようなアルカリ性の水は、通常は周囲の土壌で吸着され、周辺の地盤へ拡散することは少ないが、地盤の透水係数が大きいときは、前記アルカリ性の水が盛土された系外へ流出して周辺の環境汚染の問題を発生する懸念がある。
【0005】
なお、前記のアルカリ性浸透水の浸出は、通例盛土等の施工後およそ半年位で自然消滅するが、その間の処置が必要であることを指摘している。その意味では上記の特開平6ー106195号公報に記載された発明の実施が有効的であるとしても、何分にも大量の砕石を相当な時間海水中に浸漬する等々の表面処理は、あまりにも多くの手数とコストが掛かり過ぎると言わねばならない。
【0006】
従って、本発明の目的は、セメント系粒状改良土を使用した盛土、埋め戻し土の転圧層から浸出する雨水等のアルカリ性浸透水をもっと簡単に抑制する方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係るセメント系粒状改良土層のアルカリ性浸透水の抑制方法は、
建設残土等の軟弱粘性土にセメント系安定剤を添加し加圧、脱水処理をしたケーキ状の改良固化土を解砕して粒度が一様な砕石状に製造したセメント系粒状改良土を、転圧しつ
つ盛土や埋め戻し土として再利用する方法において、
既転圧層2の上に、表層の転圧層1を形成するため使用する粒状改良土4は、添加するセメント系安定剤量を、既転圧層2に使用する既往の粒状改良土よりも減らし一軸圧縮強度を5〜20kgf/cm2程度に低減した砕石状に製造し、
盛土や埋め戻し土として施工する際に、振動ローラ、ブルドーザ、タイヤローラ等の転圧施工機械3で当該粒状改良土4を積極的に潰して細粒化し、粒状改良土層の粒間隙を緻密に埋めることによって盛土等の透水係数を小さくした一種の不透水層を表層に形成して転圧層への雨水等の浸入を制限することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明に係るセメント系粒状改良土層のアルカリ性浸透水の抑制方法も、建設残土等の軟弱粘性土にセメント系安定剤を添加し加圧、脱水処理をしたケーキ状の改良固化土を解砕して粒度が一様な砕石状に製造したセメント系粒状改良土を、転圧しつつ盛土や埋め戻し土として再利用する方法において、
盛土や埋め戻し土の転圧層1、2に使用する全部の粒状改良土4を、添加するセメント系安定剤量を、既往の粒状改良土よりも減らして一軸圧縮強度を5〜20kgf/cm2程度に低減した砕石状に製造し、
盛土や埋め戻し土として施工する際に、振動ローラ、ブルドーザ、タイヤローラ等の転圧施工機械3で当該粒状改良土4を積極的に潰して細粒化し、粒状改良土層の粒間隙を緻密に埋めることによって盛土等の透水係数を小さくした一種の不透水層を形成して転圧層への雨水等の浸入を制限することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施形態、及び実施例】
請求項1に記載した発明に係るセメント系粒状改良土層のアルカリ性浸透水の抑制方法は、既に公知の技術である、建設残土等の軟弱粘性土にセメント系安定剤を添加し加圧、脱水処理をしたケーキ状の改良固化土を解砕して粒度が一様な砕石状に製造したセメント系粒状改良土を、図1のように転圧しつつ盛土や埋め戻し土として再利用する場合に好適に実施される。
【0010】
要するに、表層の転圧層1に使用する粒状改良土4は、同表層よりも下方の既転圧層2の粒状改良土よりも添加するセメント系安定剤量を減らして一軸圧縮強度を5〜20kgf/cm2程度に製造する。そして、これを盛土や埋め戻し土として施工する際に、振動ローラ、ブルドーザ、タイヤローラ等の転圧施工機械3で当該粒状改良土4を積極的に潰して細粒化し、粒状改良土層1の粒間隙を緻密に埋めることによって盛土等の透水係数を小さくし、転圧層への雨水等の浸入と浸出を制限することを特徴とする。
【0011】
この場合に、下層を形成する既転圧層2のセメント系粒状改良土は、例えば特開平4ー49315号公報その他に詳記されて公知であるように、建設残土等の軟弱粘性土にセメント、生石灰その他のセメント系安定剤を重量比にして20〜30%程度添加し、5〜200kgf/cm2の範囲で加圧した後、脱水処理をしたケーキ状の改良固化土を解砕して粒度を5〜100mm程度の大きさで一様な砕石状に製造したもの(以下、これを既往の粒状改良土という。)を使用できる。その一軸圧縮強度は50〜100kgf/cm2程度で人工砕石のようになる。従って、これを転圧しつつ盛土や埋め戻し土に再利用する場合、振動ローラ、ブルドーザ、タイヤローラ等の転圧施工機械3を使用しても細粒化されることはない。
【0012】
一方、表層の転圧層1に使用する粒状改良土4は、上記の既転圧層2の粒状改良土に比して、添加するセメント系安定剤の量を重量比にして5%程度に減らして、転圧作業で容易に潰せる強度、例えば一軸圧縮強度を5〜20kgf/cm2程度に低減する。当該粒状改良土4の粒度は、上記同様に5〜100mm程度の大きさに造粒したものが使用される。このように強度を低減した粒状改良土4を、表層の転圧層1に転圧しつつ盛土や埋め戻し土として再利用する際に、振動ローラ、ブルドーザ、タイヤローラ等の転圧施工機械3で転圧作用を加えると、当該粒状改良土4は容易、簡単に潰されて細粒化、微粒化し緻密な表層を形成する。そして、潰された細粒、微粒が粒状改良土層の粒間隙を緻密に埋める結果、盛土等の透水係数は、例えば10-4〜10-5cm/sec程度に小さくなって一種の不透水層を形成し、以下の転圧層への雨水等の浸入と浸出を制限する。従って、盛土、埋め戻し土の表層が雨水等の浸透を阻止してアルカリ性浸透水の発生を根源から絶ってしまうのである。
【0013】
なお、表層のみに限らず、盛土や埋め戻し土の転圧層に使用する全部(全量)の粒状改良土を、添加するセメント系安定剤量を減らして一軸圧縮強度を5〜20kgf/cm2程度となし、盛土や埋め戻し土として施工する際に、振動ローラ、ブルドーザ、タイヤローラ等の転圧施工機械で当該粒状改良土を潰して細粒化し粒状改良土層の粒間隙を緻密に埋めることによって盛土等の透水係数を小さくし、転圧層への雨水等の浸入を一層制限する構成でも実施することができ、優れたアルカリ性浸透水の抑制効果を得ることができる。
【0014】
【本発明が奏する効果】
本発明に係るセメント系粒状改良土層のアルカリ性浸透水の抑制方法は、上述したように表層の転圧層又は全部の転圧層を形成する粒状改良土を、転圧の際に細粒化して緻密な不透水層を形成せしめ雨水等の浸入を防ぐから、必然的にセメント系粒状改良土を使用した盛土、埋め戻し土の転圧層から浸出する雨水等のアルカリ性浸透水を抑制する事が出来、アルカリ性の水による問題を未然に防止出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抑制方法を実施する転圧作業の説明図である。
【符号の説明】
1 表層の転圧層
2 既転圧層
3 転圧施工機械
4 セメント系粒状改良土
Claims (2)
- 建設残土等の軟弱粘性土にセメント系安定剤を添加し加圧、脱水処理をしたケーキ状の改良固化土を解砕して粒度が一様な砕石状に製造したセメント系粒状改良土を、転圧しつつ盛土や埋め戻し土として再利用する方法において、
既転圧層の上に、表層の転圧層を形成するため使用する粒状改良土は、添加するセメント系安定剤量を、既転圧層を形成する既往の粒状改良土よりも減らして一軸圧縮強度を5〜20kgf/cm2程度に低減した砕石状に製造し、
盛土や埋め戻し土として施工する際に、振動ローラ、ブルドーザ、タイヤローラ等の転圧施工機械で当該粒状改良土を積極的に潰して細粒化し、粒状改良土層の粒間隙を緻密に埋めることによって盛土等の透水係数を小さくした一種の不透水層を表層に形成して転圧層への雨水等の浸入を制限することを特徴とする、セメント系粒状改良土層のアルカリ性浸透水の抑制方法。 - 建設残土等の軟弱粘性土にセメント系安定剤を添加し加圧、脱水処理をしたケーキ状の改良固化土を解砕して粒度が一様な砕石状に製造したセメント系粒状改良土を、転圧しつつ盛土や埋め戻し土として再利用する方法において、
盛土や埋め戻し土の転圧層に使用する全部の粒状改良土は、添加するセメント系安定剤量を、既往の粒状改良土よりも減らして一軸圧縮強度を5〜20kgf/cm2程度に低減した砕石状に製造し、
盛土や埋め戻し土として施工する際に、振動ローラ、ブルドーザ、タイヤローラ等の転圧施工機械で当該粒状改良土を積極的に潰して細粒化し、粒状改良土層の粒間隙を緻密に埋めることによって盛土等の透水係数を小さくした一種の不透水層を形成して転圧層への雨水等の浸入を制限することを特徴とする、セメント系粒状改良土層のアルカリ性浸透水の抑制方法。
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JP5826678B2 (ja) * | 2012-03-07 | 2015-12-02 | 公益財団法人鉄道総合技術研究所 | 有害物質を含む盛土材料を用いた盛土及び盛土施工方法 |
-
1997
- 1997-06-13 JP JP15640997A patent/JP3878716B2/ja not_active Expired - Lifetime
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