JP3877993B2 - バイオチップ用基板およびバイオチップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核酸やDNAなどとの特異的なハイブリタイズするためのサイトを形成するのに有用なバイオチップ用基板、このバイオチップ用基板を用い、遺伝子診断などに有用なバイオチップとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
バイオチップは、広く生体物質を抽出、分離、解析などを行うために、微小化あるいは高密度化(いわゆるチップ化)させた検出素子又はアレイの総称であり、バイオチップとしては、生体物質を基板上に固定させた素子や、流体として分離機能を持たせた素子などが知られている。さらに、固定させる生体物質によって、DNAチップやプロテインチップと称されている。
【0003】
生体物質を基板上に固定するタイプのバイオチップの製造法において、PCR法などの遺伝子増幅法で遺伝子増幅させたcDNA断片を固定する場合、ガラスプレート上の選択された区域を物理的にマスクし、目的とする化学反応をプレートの非マスク部で行う方法が知られている。
【0004】
また、マトリックス上のドットに4つのヌクレオチドのそれぞれをサンプリングできるプリンター装置を用い、二次元の保持体上で、オリゴヌクレオチドを直接合成する方法も知られている。
【0005】
しかし、どのような保持体の表面構造が生体関連成分の固定に適しているかを記述した文献は殆どない。唯一、特表平9−500568号公報(米国特許第5985551号明細書)には、ホトレジストを支持体(ガラス基板)の表面に塗布し、露光・現像により第1の露光支持面のパターン域を形成し、この支持面とフルオロアルキルシランとの反応によりガラス基板に撥水性又は疎水性を付与し、残存するレジストを除去して第2の支持面を露出させ、第2の支持面とヒドロキシル基又はアミノアルキルシランとを反応させて親水性結合域を形成することが開示されている。また、ガラス基板をフッ素含有シラン化合物でコーティングすることにより疎水性表面を形成し、レーザ又は化学反応により所定のパターンで下部の酸化ケイ素を選択的に露出させ、親水性を付与するためのシラン化合物で処理し、所定の親水性部位を形成することも記載されている。さらに、親水性サイト(結合サイト)を幅50〜2000μm、密度104/cm2で形成し、表面張力を利用して固定用生体物質を親水性サイトに結合又はハイブリタイズすることも記載されている。
【0006】
しかし、この方法で、撥水性又は疎水性部位および結合サイトとしての親水性部位を形成するためには、疎水性シラン化合物と親水性シラン化合物とを用いた化学反応とリソグラフィ技術とを組み合わせて、疎水性と親水性とを付与する必要がある。さらに、結合サイトの密度も充分とは言えない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、単一の反応(化学反応や光反応など)で疎水域(又は撥水域)と親水域とを形成可能であり、バイオチップを作製するのに有用な基板を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、疎水域と親水域とで構成された微細サイトを高密度で形成し、生体関連物質を保持するのに有用なバイオチップ用基板を提供することにある。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、単純な装置を用いて簡便かつ高密度(例えば、106/cm2以上)に所定の結合サイトを形成できるバイオチップ用基板を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、前記基板を用いたバイオチップおよびその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ポリシランで構成された感光性組成物を基板上に塗布すると、疎水性又は撥水性の高い表面を形成できるとともに、露光することにより、感光部を親水化でき、親水化サイトに核酸などの生体関連物質を高密度に保持できることを見いだし、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明のバイオチップ用基板の製造方法、少なくとも表面が、少なくとも下記単位(1)を有するポリシランで構成されている基板に光を照射して親水域と疎水域とを形成する方法である。この方法において、前記基板の表面は、さらに光ラジカル発生剤及び/又は酸化剤を含有していてもよい。前記基板の表面は、さらにシロキサン化合物を含有していてもよい。前記製造方法は、基板で形成された保持体表面をパターン露光し、親水化サイトを生成させる製造方法であってもよい。
【0013】
【化2】
Figure 0003877993
【0014】
(式中、R1およびR2は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を示す)。
【0015】
本発明には、前記製造方法で得られたバイオチップ用基板も含まれる。このようなバイオチップ用基板は、ポリシランで構成されているため高度に撥水性を有する。そのため、このバイオチップ用基板を用いると、疎水性表面を形成できるとともに、露光により生体関連物質が保持可能な親水化サイトを形成可能である。従って、フルオロアルキルシランなどの疎水性化合物との反応、およびヒドロキシル基又はアミノアルキルシロキサンなどの親水性化合物との反応を利用して、疎水域と親水性結合領域とを形成する必要がない。
【0016】
本発明のバイオチップは、前記製造方法で得られたバイオチップ用基板で形成された保持体表面(又は疎水性表面)と、この保持体表面に形成された親水域(又は親水化サイトに付着した生体関連物質とで構成されている。このバイオチップにおいて、親水化サイトには、生体関連物質として種々の活性成分(例えば、生理活性成分又は薬理活性成分等)、特に、遺伝情報を有する成分に対して生物学的に特異的に結合可能な生体関連物質で付着又は結合できる。生体関連物質としては、例えば、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、DNA(デオキシリボ核酸)、又はRNA(リボ核酸)等が例示できる。このバイオチップは、疎水領域により区画された親水部位で構成されたサイトが10/cm以上の密度で形成されていてもよい。
【0017】
本発明の方法では、前記基板で形成された保持体表面を露光し、生成した親水化サイトに生体関連物質を付着させてバイオチップを製造する。
【0018】
【発明の実施の形態】
[ポリシラン]
本発明のバイオチップ用基板の表面を構成するポリシランは、通常、少なくとも前記単位(1)を有している。ポリシランの構造は、前記単位(1)を有する限り、鎖状(直鎖状、分岐鎖状)、環状構造などであってもよい。これらの構造のうち、鎖状(特に、直鎖状)ポリシランが好ましい。なお、分岐鎖状構造の場合は、下記単位(2)及び/又は(3)を有している。
【0019】
【化3】
Figure 0003877993
【0020】
(式中、R3は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を示す)。
【0021】
前記単位(1)及び(2)において、置換基であるR1〜R3は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、またはアルコキシ基である。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、オクチル、デシル等のC1-10アルキル基(好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基)が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル等のC1-10アルケニル基(好ましくはC1-6アルケニル基、さらに好ましくはC1-4アルケニル基)が挙げられる。
【0022】
シクロアルキル基としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル等のC5-10シクロアルキル基(好ましくはC5-8シクロアルキル基)が挙げられる。アリール基としては、フェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、ナフチル、ビフェニル等のC6-20アリール基(好ましくはC6-10アリール基、さらに好ましくはC6-8アリール基)が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル、フェネチル等のC6-20アリールC1-10アルキル基(好ましくはC6-10アリールC1-6アルキル基、さらに好ましくはC6-8アリールC1-4アルキル基)が挙げられる。
【0023】
アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、オクチルオキシ等のC1-10アルコキシ基(好ましくはC1-6アルコキシ基、さらに好ましくはC1-4アルコキシ基)が挙げられる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基などのC6-20アリールオキシ基(好ましくはC6-10アリールオキシ基、さらに好ましくはC6-8アリールオキシ基)が挙げられる。
【0024】
好ましいR1とR2との組み合わせは、例えば、(a)C1-4アルキル基(特にメチル基)同士、(b)C1-4アルキル基(特にメチル基)とアリール基(特にフェニル基)との組み合わせ、(c)アリール基(特にフェニル基)同士が例示できる。
【0025】
なお、前記単位(1)の末端基は、前記置換基であってもよいし、ヒドロキシル基、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、前記置換基などで置換されていてもよいシリル基等であってもよい。
【0026】
具体的には、ポリシランは、下記式(4)〜(7)で表される化合物から選択された少なくとも一種であってもよい。
【0027】
【化4】
Figure 0003877993
【0028】
(式中、R1〜R3は前記に同じであり、mは1以上の整数、n及びpは0又は1以上の整数を示す)。
【0029】
前記単位(1)の繰り返し数mは、好ましくは1〜10000、さらに好ましくは2〜1000(特に、3〜500)程度である。前記単位(2)の繰り返し数nは、好ましくは0〜5000、さらに好ましくは1〜500(特に、2〜200)程度である。前記単位(3)の繰り返し数pは、好ましくは0〜5000、さらに好ましくは1〜500(特に、2〜200)程度である。
【0030】
mとnとの割合は、m/n=100/0〜50/50、好ましくは99/1〜70/30、さらに好ましくは95/5〜80/20程度である。mとpとの割合は、m/p=100/0〜50/50、好ましくは99/1〜70/30、さらに好ましくは95/5〜80/20程度である。nとpとの割合は、n/p=99/1〜1/99、好ましくは90/10〜10/90、さらに好ましくは70/30〜30/70程度である。mと、n及びpの合計との割合は、m/(n+p)=100/0〜50/50、好ましくは99/1〜70/30、さらに好ましくは95/5〜80/20程度である。
【0031】
ポリシランは、他の共重合性単量体との共重合体であってもよい。ポリシランの数平均分子量は、例えば、200〜1000000、好ましくは300〜100000、さらに好ましくは400〜50000程度である。
【0032】
本発明において使用するポリシランは公知の方法で製造できる。ポリシランの製造方法としては、例えば、アルカリ金属の存在下でハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(「キッピング法」J.Am.Chem.Soc.,110,124(1988)、Macromolecules,23,3423(1990))、電極還元によりハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる方法(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1161(1990)、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,897(1992))、ジシレンのアニオン重合を行う方法(例えば、Macromolecules,23,4494(1990)など)、特定の金属ハロゲン化物の存在下、金属マグネシウムによりクロロシラン類を還元してポリシランを合成する方法(WO98/029476号公報)、金属触媒の存在下、ヒドロシラン類の脱水素反応を行う方法(例えば、特開平4−334551号公報など)等の方法が挙げられる。
【0033】
ポリシラン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0034】
[光ラジカル発生剤及び/又は酸化剤]
バイオチップ用基板の表面は、光ラジカル発生剤や酸化剤を含有していてもよい。光ラジカル発生剤及び酸化剤を添加すると、ポリシランの光分解性を促進することができる。
【0035】
光ラジカル発生剤としては、光によりラジカルが生成する化合物(光重合開始剤など)であればよく、例えば、ケトン系化合物、ホスフィン系化合物、スルフィド系化合物、過酸化物、アゾ系化合物、ハロゲン系化合物等が例示できる。
【0036】
ケトン系化合物としては、アセトフェノン系化合物(例えば、アセトフェノンジエチルケタール、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1―オン、ベンジルメチルケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン等)、ベンゾフェノン系化合物(例えば、ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−N,N−ジメチルアミノ−4′−メトキシベンゾフェノン等)、ベンゾイン系化合物(例えば、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等)、ベンジル系化合物(例えば、ベンジル、ベンジルメチルケタール等)、アントラキノン系化合物(例えば、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン等)、チオキサントン系化合物(例えば、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等)、モルフォリン系化合物[例えば、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパノン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン等]等が挙げられる。
【0037】
ホスフィン系化合物としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6―ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0038】
スルフィド系化合物としては、例えば、ジブチルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジベンジルスルフィド、デシルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等が挙げられる。
【0039】
過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエート、過酸化水素等が挙げられる。
【0040】
アゾ系化合物としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレート、ベンゼンジアゾニウムクロライド等が挙げられる。
【0041】
ハロゲン系化合物としては、例えば、ハロゲン化炭化水素(例えば、四塩化炭素など)、ハロゲン化金属化合物(例えば、臭化銀など)、ハロゲン化芳香族化合物(例えば、2−ナフタリンスルホニルクロライド、フタルイミドトリハロメタンスルフォネートやそのベンゼン環に置換基を有する化合物、ナフタルイミドトリハロメタンスルフォネートやそのベンゼン環に置換基を有する化合物等)、ハロゲン環状窒素化合物[例えば、2,4,6-トリス(トリハロメチル)−1,3,5−トリアジンやその2位(又はその2位及び4位)が置換された化合物など]等を挙げることができる。これらの化合物が有する置換基としては、置換基を有していてもよい脂肪族又は芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0042】
これらの光ラジカル発生剤のうち、ハロゲンラジカルを発生するハロゲン系重合開始剤が好ましい。これらの光ラジカル発生剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。光ラジカル発生剤の割合は、ポリシラン100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部、さらに好ましくは5〜15重量部程度である。
【0043】
酸化剤としては、酸素供給源として機能する化合物であれば特に限定されず、例えば、過酸化物、アミンオキシド、ホスフィンオキシド等が例示できる。これらのうち、特に過酸化物が好ましい。
【0044】
過酸化物には、無機過酸化物(例えば、過酸化ナトリウムなどの過酸化アルカリ金属類、過酸化バリウム、過酸化マグネシウム等の過酸化アルカリ土類金属類等)や有機過酸化物等が含まれる。これらの過酸化物のうち、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物としては、過酸(例えば、過ギ酸、過酢酸、過プロピオン酸、過酪酸、過トリフルオロ酢酸等のC1-10脂肪族過酸や、過安息香酸、メタクロロパーベンゾイックアシッド、モノパーオキシフタル酸等のC6-20芳香族過酸等)、過酸化アルキル(例えば、過酸化ジエチル、過酸化メチルエチルケトン等の過酸化ジC1-10アルキルなど)、過酸化アシル(例えば、過酸化ジアセチルなどの過酸化ジC2-10アシルなど)、ヒドロパーオキシド類(例えば、メチルヒドロパーオキシド、エチルヒドロパーオキシド、プロピルヒドロパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、アミルヒドロパーオキシド、ヘキシルヒドロパーオキシド、オクチルヒドロパーオキシド等のC1-10アルキルヒドロパーオキシド、アリルヒドロパーオキシド、1−ビニルブチルヒドロパーオキシド等の不飽和C2-10脂肪族ヒドロパーオキシド、2−シクロペンテン−1−イル−ヒドロパーオキシド、2−シクロヘキセン−1−イル−ヒドロパーオキシド等の不飽和C5-10脂環式ヒドロパーオキシド、ベンジルヒドロパーオキシド、1−フェニルエチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ジフェニルメチルヒドロパーオキシド等のC6-20芳香族ヒドロパーオキシド等)等が挙げられる。
【0045】
これらの酸化剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。酸化剤の割合は、ポリシラン100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは3〜20重量部、さらに好ましくは5〜15重量部程度である。
【0046】
ポリシランは、光照射によってSi-Si結合が切断され、ヒドロキシル基などの親水基が生成するが、光ラジカル発生剤は、ラジカル(特にハロゲンラジカル)により効率よく、Si-Si結合を切断し、酸化剤は、Si-Si結合間に容易に酸素を挿入することによって、ポリシランの光に対する感度の向上に寄与する。ポリシランは撥水性が極めて高いため、親水域が生成することにより、生体関連物質を結合可能なサイトを形成することができる。光ラジカル発生剤と酸化剤とは、組み合わせて用いてもよい。
【0047】
[シロキサン化合物]
バイオチップ用基板は、さらにシロキサン化合物を含有していてもよい。シロキサン化合物を添加することにより、基板に柔軟性を付与することができる。
【0048】
本発明で使用するシロキサン化合物は、通常、少なくとも下記単位(8)を有している。
【0049】
【化5】
Figure 0003877993
【0050】
(式中、R4およびR5は、同一又は異なって、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、又はアリールオキシ基を示す)。
【0051】
前記単位(8)において、置換基であるR4及びR5のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基としては、前記ポリシランの単位(1)におけるR1及びR2と同様の置換基を例示することができる。これらの置換基のうち、好ましくはアルキル基(例えば、C1-4アルキル基)又はアリール基(例えば、フェニル基)であり、一部の置換基がアルコキシ基であってもよい。
【0052】
4及びR5としては、ポリシランとの相溶性の点から、R1及びR2と同じ置換基であるのが好ましい。例えば、R1及びR2がフェニル基及びメチル基であるフェニルメチル系のポリシランを使用する場合には、R4、R5はフェニル基及び/又はメチル基であるシロキサン、例えば、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンを使用するのが好ましい。
【0053】
また、R4及びR5として、1分子中に複数のC1-8アルコキシ基、好ましくはC1-4アルコキシ基、さらに好ましくはC1-2アルコキシ基を有するシロキサン化合物は、架橋剤として利用可能である。そのようなシロキサン化合物としては、例えば、メチルフェニルメトキシシリコーンやフェニルメトキシシリコーン等を挙げることができる。アルコキシ基の割合は、シロキサン化合物中15〜35重量%程度であってもよい。さらに、R4又はR5の水素原子の一部がハロゲン原子又はグリシジル基で置換されていてもよい。そのような置換基としては、トリフルオロプロピル基などのハロゲン化C1-8アルキル(好ましくはC1-4アルキル)基や、グリシジルオキシプロピル基などのグリシジルオキシC2-4アルキル基等が挙げられる。
【0054】
なお、前記単位(8)の末端基は、前記置換基であってもよいし、ヒドロキシル基や、前記置換基などで置換されていてもよいシリル基等であってもよい。
【0055】
前記単位(8)の繰り返し数は、2〜100、好ましくは2〜50程度である。また、シロキサン化合物の数平均分子量は、例えば、10000以下(例えば、100〜100000)、好ましくは3000以下(例えば、300〜3000)である。
【0056】
これらのシロキサン化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。シロキサン化合物の割合は、ポリシラン100重量部に対して、5〜100重量部、好ましくは10〜70重量部、さらに好ましくは20〜50重量部程度である。
【0057】
[溶媒]
バイオチップ用基板は、有機溶媒を含有していてもよい。有機溶媒を含有することにより、塗布などによる利用性を向上することができる。
【0058】
有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、n−デカン、n−ドデカン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン等の芳香族炭化水素類等)、ハロゲン化炭化水素類(四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロベンゼン等)、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール等のアルキルアルコール類や、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルカンジオール類、ポリオキシエチレングリコール等)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類、アニソール等)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケトン等のジアルキルケトン類など)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類など)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、カルビトール類(カルビトールなど)などが挙げられる。これらの有機溶媒のうち、蒸発性の高い有機溶媒、例えば、C5-12脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、エーテル類が好ましい。これらの有機溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0059】
有機溶媒は、固形分濃度が1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜15重量%程度となるように用いられる。
【0060】
[バイオチップ用基板]
バイオチップ用基板は、前記のポリシランを含む感光性組成物を基材(保持体)上に塗布した後、乾燥することによって得られる。基材としては、シリコンウエハー、ガラス板、セラミック、金属板、プラスチック板等が使用しうるが、透明基板が好ましい。透明基板としては、例えば、ガラス板、石英板、ポリエステル系樹脂フィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムなど)、ポリオレフィン系樹脂フィルム(例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなど)、ポリカーボネート系樹脂フィルム(例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネートフィルムなど)、アクリル系樹脂フィルム(例えば、ポリメタクリル酸メチルフィルムなど)等が挙げられる。これらの基材のうち、ガラス板が特に好ましい。
【0061】
基材上への感光性組成物の塗布方法は、均一な厚さの薄膜を形成可能であれば、特に限定されず、慣用の方法(例えば、スピンコート法、スプレーコート法、ディップ法等)を用いることができる。基板上に形成される感光性薄膜は、乾燥厚で0.05〜30μm、好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.5〜10μm程度である。塗布した感光性組成物の乾燥方法は、自然乾燥でもよいし、加熱(例えば、40〜100℃程度で)して乾燥してもよい。
【0062】
本発明の感光性材料は、ポリシランで構成されているため、光照射により親水域と疎水域とを形成可能である。すなわち、ポリシランで構成された材料は、高い撥水性を有する疎水性表面を形成しているが、光照射された部分は、ポリシランのSi−Si結合が切断され、ヒドロキシル基(シラノール基)等の親水基が生成して親水域を形成する。ヒドロキシル基などの親水基を形成するためには、酸素や水蒸気を含有する雰囲気、通常、空気中で光照射するのが好ましい。従って、本発明では、選択的に露光することによって、保持体表面に露光部と未露光部とで表面張力の異なるサイトを形成することができる。すなわち、本発明では、選択的に露光するだけで、所望の親水化サイトを形成することができる。従って、フルオロアルキルシランなどの疎水性化合物との反応、およびヒドロキシル基又はアミノアルキルシロキサンなどの親水性化合物との反応を利用して、疎水域と親水性結合領域とを形成する必要がない。
【0063】
露光の方法としては、マスクを介してパターン露光することによって一括して親水化サイトを形成してもよいし、各サイトを個々に選択的に露光して親水化サイトを形成してもよい。すなわち、照射された感光性材料には、パターンに応じたシラノール基を有する潜像が形成されることとなる。これらの露光方法のうち、簡便性の点から、マスクを介したパターニングが好ましい。
【0064】
露光する光としては、例えば、ガンマー線、X線、紫外線、可視光線等であってもよいが、通常、可視光線を含む紫外線が用いられる。光の波長は、特に制限されないが、ポリシランに感光性のある波長、例えば、150〜800nm、好ましくは150〜600nm、さらに好ましくは200〜400nm(特に300〜400nm)程度である。照射光量は、ポリシラン層の厚さ1μm当り0.01〜100J/cm2、好ましくは0.1〜20J/cm2程度である。光源としては、例えば、高圧及び超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、レーザー走査(例えば、He−Cdレーザー、Arレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー)等が例示できるが、これらの光源のうち、超高圧水銀灯やレーザー光(例えば、エキシマレーザー光)が好ましい。
【0065】
本発明のバイオチップ用基板において、疎水部位と、疎水領域により区画された親水部位とで構成されたサイトは、高密度で形成することでき、例えば、104/cm2以上、好ましくは105/cm2以上(例えば、105〜108/cm2程度)、さらに好ましくは106/cm2以上(例えば、106〜108/cm2程度)の密度で形成することができる。
【0066】
前記各サイトの平均径は、特に制限されないが、通常、1〜2000μm、好ましくは10〜1500μm、さらに好ましくは50〜1000μm程度である。前記サイトの形状は、四方形状や円状、楕円状等が挙げられ、通常、正方形状や円状である。
【0067】
[バイオチップ]
本発明のバイオチップは、前記バイオチップ用基板において、少なくともポリシランを含む感光性組成物で形成された保持体表面の親水化サイトに、生体関連物質を付着することにより得られる。生体関連物質を前記親水化サイトに付着させるためには、生体関連物質を含む溶液を用いるのが好ましい。生体関連物質を含む溶液の適用方法としては、前記溶液を塗布又は浸漬する方法や、前記溶液をチップ上に滴下又は噴射などにより接触させる方法が挙げられる。例えば、前記溶液を吐出して接触させるインクジェット方式を用いることができる。さらに、1又は複数(一連)のサイトを形成して各サイトに前記溶液を付着してもよいし、パターン露光により全サイトを形成し、各サイトに前記溶液を付着させてもよい。この溶液を1つのサイトに適用する量は、サイトの面積に応じて選択でき、1pl〜2μl、好ましくは10pl〜1μl程度であってもよい。
【0068】
生体関連物質としては、親水性を有し、かつ被検体との結合部位を有する物質であれば特に制限されず、例えば、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、DNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)等の核酸成分との結合部位を有する物質や、ビタミン、タンパク質、ホルモン、環境ホルモン、糖類、脂質等の生理又は薬理活性成分との結合部位を有する物質等が例示できる。これらの生体関連物質のうち、遺伝情報を有する成分に対して特異的に結合可能な物質、特にDNAが好ましく、例えば、各種疾病(例えば、ガン、糖尿病、中枢神経系疾患、アレルギー性疾患、消化器系疾患、循環器系疾患、免疫異常、遺伝病等)などの遺伝情報を有する遺伝子DNA(タンパク質をコードしている部分を含むDNA)を例示できる。
【0069】
これらのDNAやRNA等の核酸成分は、生体材料から直接抽出した成分や化学合成した成分であってもよく、PCR法等の各種遺伝子増幅法により合成したcDNAやmRNAから逆転写酵素を用いて合成したcDNA等のクローニング技術を用いて合成されたDNAであってもよい。なお、核酸成分は、cDNAの転写RNA(cDNAの転写産物であるRNA)であってもよい。バイオチップでは、通常、PCR法で合成したcDNAを用いる。
【0070】
例えば、生体関連物質が、陽電荷を有する物質(一本鎖DNAやRNA等)の場合は、塗布や浸漬等によって、保持体表面の親水化サイトに、生体関連物質を容易に付着できる。
【0071】
生体関連物質が、負電荷を有する物質(二本鎖DNAなど)の場合は、陽電荷を有する物質(ポリリジン、シリコーン化合物、3級アミン塩や4級アンモニウム塩等の窒素含有化合物、APS(3−アミノプロピルトリメトキシシラン)等の陽電荷を有する高分子など)を介在させて、保持体表面の親水化サイトに、生体関連物質を付着してもよい。陽電荷を有する物質(特に、陽電荷を有する高分子)を介在させる方法としては、例えば、浸漬などにより基板表面に陽電荷層を形成させる方法が挙げられる。陽電荷層に負電荷を有する生体関連物質を付着させる方法としては、塗布や浸漬等が例示できる。
【0072】
生体関連物質が、末端にアミノ基や、カルボニル基、チオール基等の官能基を有する物質(合成オリゴDNAなど)の場合は、陽電荷層の官能基と、リンカー化合物(N−ヒドロキシスクシンイミドなど)を介して共有結合させてもよい。リンカー化合物を介在させる方法としては、陽電荷層を形成した基板に、リンカー化合物を導入した生体関連物質を塗布や浸漬する方法などが挙げられる。
【0073】
DNAチップにおいて、被検体との応答サイトの検出方法は、特に制限されず、通常、蛍光物質をラベルする方法などが用いられる。この方法において、応答サイトは、DNAが付着したサイトの位置情報(X軸/Y軸の座標位置情報)と関連付けて検出できる。
【0074】
本発明は、特定の遺伝情報を有するcDNAを付着させたDNAチップ(DNAマイクロアレイ)を用いて、前記各種疾病の診断に活用したり、各種研究試薬や有用化合物の探索に活用するのに有効である。
【0075】
【発明の効果】
本発明のバイオチップ用基板は、単一の反応(化学反応や光反応など)で疎水域(又は撥水域)と親水域とを形成可能であり、特に、疎水域と親水域とで構成された微細サイトを高密度で形成し、生体関連物質を保持することができる。従って、本発明のバイオチップ用基板を用いると、単純な装置を用いて簡便かつ高密度(例えば、106/cm2以上)に所定の結合サイトを有するバイオチップを製造することができる。
【0076】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0077】
実施例1
(1)スライドガラスの調製
数平均分子量が約5300のポリシラン0.6gをプロピレングリコールモノメチルアセテート10gと混合し、室温下、暗所で一晩攪拌して溶解した。この溶液を洗浄したガラス基板にスピンコートし、90℃、30秒間ホットプレートで乾燥させた。ポリシランの膜圧は約0.1μmであった。ポリシランを塗布したガラス基板への光照射は、超高圧水銀灯に248nmのフィルターを用い、マスクを介して10J/cm2(248nmでの露光量)露光し、露光部と未露光部とを有する基板(スライドガラス)を作製した。接触角を測定したところ、未露光部の接触角が85°であるのに対して、露光部では40°であり、露光部のみが大きく親水化されていることが確認できた。
【0078】
(2)バイオ物質の固定
一本鎖ファージ(φx174)によってクローニングした一本鎖DNAを0.5〜1mg/mlになるように、TE溶液[10mM−Tris(pH8.0)、1mM−EDTA]に溶解した。この溶液をスライドガラスにスポットし、70〜80℃で1時間放置した。このスライドガラスをコハク酸溶液[70mM無水コハク酸、0.1Mホウ酸ナトリウム(pH8.0)、1−メチル−2−ピロリジノン]に、時々振とうしながら10〜15分間浸漬した。さらに、蒸留水中に2分間浸漬し、エタノールで脱水した後、室温で乾燥させた。
【0079】
(3)ターゲット溶液の調製
mRNA(メッセンジャーRNA)2μg及びオリゴdTプライマー4.5μgを用いて、15.4μlの水溶液を作製した。この水溶液を70℃で10分間熱変性させた後、氷上で急冷した。さらに、5倍 superscriptバッファー6μl、DTT3μl、50倍dNTP0.6μl、Cy3−dUTP又はCy5−dUTP3μl、及びSuperscript II 2μlを加え、42℃でさらに1時間反応させた。さらに、TEバッファー270μlを加えた。Cy3−dUTPとCy5−dUTPとをそれぞれ加えた反応液をまとめ、1本のMicrocon−30に移した。Microcon−30の上のカップに残る液量が約10μlになるまで10000rpmで遠心した。カップを通過した溶液を別のチューブに移し替えた。Microcon−30の上のカップにTEバッファー500μl及びヒトCot1DNA15μlを加えた。Microcon−30の上のカップに残る液量が約10μlになるまで10000rpmで遠心した。Microcon−30の上のカップを取り出し、新しい遠心チューブを逆さにして挿入した。3000rpmで3分間遠心し、遠心チューブにターゲット溶液を回収した。ターゲット溶液にyeast tRNA10μg、ポリdA4μg、蒸留水を加えて全量を8μlとした。ターゲット溶液をPCR用チューブに移し、20倍SSC溶液1.7μl及び10重量%0.3μlを加えた。PCR機を用いて、100℃で1分間熱変性させた。PCR機からチューブを取り出し、室温で30分間放置してゆっくりと冷却した。このようにして、1枚のスライドガラス当り、50μlのターゲット溶液を調製した。
【0080】
(4)ハイブリダイゼイション
予め調製したRNAを鋳型として逆転写酵素反応により蛍光標識物質を取り込み、標識化DNAを調製し、ターゲット溶液に添加した。次に、100℃で2時間加熱処理した後、氷水中で急冷処理した。前記ターゲット溶液に20倍SSC溶液、蒸留水を加えて、10重量%SDS溶液を加え、終濃度を5倍SSC溶液、0.1重量%SDS溶液を調製した。スライドガラスに、静かに端より、このターゲット溶液10μlを加え、カバーグラスを被せた。モイスチャーチャンバー内にて、65℃、16時間インキュベートした。
【0081】
その後、スライドガラスを2倍SSC−0.1重量%SDS溶液に浸し、カバーグラスを外した。室温下、2倍SSC−0.1重量%SDS溶液で5分間、2回洗浄した。次に、0.2倍SSC−0.1重量%SDS溶液で5分間、2回洗浄した。最後に、0.2倍SSC溶液で2回洗浄した後、スライドガラスを遠心器で遠心し(600rpm、20秒間)、室温で乾燥させた。
【0082】
蛍光のマイクロアレイ用スキャナーを用いて、マイクロアレイ(バイオチップ)上の蛍光量を測定した。その結果、露光部の蛍光量は、未露光部の蛍光量よりも100倍以上の強度を示し、露光部に選択的に一本鎖DNAが固定化されていることが確認できた。
【0083】
実施例2
バイオ物質として、一本鎖DNAの代わりに試験管内転写法で調製したRNAを用いる以外は実施例1と同様にして、バイオチップを製造した。その結果、露光部の蛍光量は、未露光部の蛍光量よりも100倍以上の強度を示し、露光部に選択的に一本鎖DNAが固定化されていることが確認できた。
【0084】
実施例3
バイオ物質として、一本鎖DNAの代わりにタンパク質(ウシアルブミン)を使用した。スライドガラスにポリリジンを表面処理した後、1mg/mlのウシアルブミン溶液[20mM−TrisHCl(pH7.2)、10mM−NaCl]を100μl点着させた後、バイオ物質を基板上に固定する以外は実施例1と同様にして、バイオチップを製造した。洗浄液[0.1重量%Tween20、10mM−TrisHCl(pH7.2)]でチップ上の未吸着のウシアルブミンを洗い流した。次に、蛍光標識したウシアルブミン抗体を用いて、スライドガラス上のウシアルブミンを検出した。その結果、露光部の抗体由来の蛍光量は、未露光部の光量と比較して、20倍以上強いことが確認された。

Claims (12)

  1. 少なくとも表面が、少なくとも下記単位(1)
    Figure 0003877993
    (式中、RおよびRは、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を示す)
    を有するポリシランで構成されている基を用いたバイオチップ用基板の製造方法であって、前記基板の表面に光を照射して親水域と疎水域とを形成するバイオチップ用基板の製造方法。
  2. 基板の表面が、さらに光ラジカル発生剤及び/又は酸化剤を含有する請求項記載の製造方法
  3. 基板の表面が、さらにシロキサン化合物を含有する請求項1又は2記載の製造方法
  4. 基板で形成された保持体表面をパターン露光し、親水化サイトを生成させる請求項1記載の製造方法。
  5. 請求項1記載の製造方法で得られたバイオチップ用基板。
  6. 請求項1記載の製造方法で得られたバイオチップ用基板で形成された保持体表面と、この保持体表面に形成された親水域に付着した生体関連物質とで構成されているバイオチップ。
  7. 請求項4記載の製造方法で得られたバイオチップ用基板で形成された保持体表面と、この保持体表面に形成された親水化サイトに付着した生体関連物質とで構成されているバイオチップ。
  8. 遺伝情報を有する成分に対して、生体関連物質が生物学的に特異的に結合可能である請求項6又は7記載のバイオチップ。
  9. 生体関連物質が、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、DNA(デオキシリボ核酸)、又はRNA(リボ核酸)である請求項6又は7記載のバイオチップ。
  10. 疎水領域により区画された親水部位で構成されたサイトが、10/cm以上の密度で形成されている請求項記載のバイオチップ。
  11. 請求項1記載の製造方法で得られたバイオチップ用基板で形成された保持体表面の親水域に生体関連物質を付着させるバイオチップの製造方法。
  12. 請求項4記載の製造方法で得られたバイオチップ用基板の親水化サイト部位に、生体関連物質を含む溶液を適用し、遺伝情報を有する成分に対して生物学的に特異的に結合可能な結合部位を形成する請求項11記載の製造方法。
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