JP2003121442A - バイオチップ用基板およびバイオチップ - Google Patents

バイオチップ用基板およびバイオチップ

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JP2003121442A JP2001319344A JP2001319344A JP2003121442A JP 2003121442 A JP2003121442 A JP 2003121442A JP 2001319344 A JP2001319344 A JP 2001319344A JP 2001319344 A JP2001319344 A JP 2001319344A JP 2003121442 A JP2003121442 A JP 2003121442A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単一の反応(化学反応や光反応など)で疎水
域と親水域とを形成可能であり、バイオチップを作製す
るのに有用な基板を提供する。 【解決手段】 光照射により親水域と疎水域とを形成可
能な感光性を有し、かつ前記親水域に生体関連物質を保
持するための基板であって、表面が少なくともポリシラ
ンで構成されたバイオチップ用基板を調製する。前記基
板には、光ラジカル発生剤、酸化剤、シロキサン化合物
等が含まれていてもよい。前記基板で形成された保持体
表面をパターン露光し、生成した親水化パターン域に生
体関連物質を付着させてバイオチップを製造してもよ
い。遺伝情報を有する成分に対して、生体関連物質が生
物学的に特異的に結合可能であるDNAなどであっても
よい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、核酸やDNAなど
との特異的なハイブリタイズするためのサイトを形成す
るのに有用なバイオチップ用基板、このバイオチップ用
基板を用い、遺伝子診断などに有用なバイオチップとそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】バイオチップは、広く生体物質を抽出、
分離、解析などを行うために、微小化あるいは高密度化
(いわゆるチップ化)させた検出素子又はアレイの総称
であり、バイオチップとしては、生体物質を基板上に固
定させた素子や、流体として分離機能を持たせた素子な
どが知られている。さらに、固定させる生体物質によっ
て、DNAチップやプロテインチップと称されている。
【0003】生体物質を基板上に固定するタイプのバイ
オチップの製造法において、PCR法などの遺伝子増幅
法で遺伝子増幅させたcDNA断片を固定する場合、ガ
ラスプレート上の選択された区域を物理的にマスクし、
目的とする化学反応をプレートの非マスク部で行う方法
が知られている。
【0004】また、マトリックス上のドットに4つのヌ
クレオチドのそれぞれをサンプリングできるプリンター
装置を用い、二次元の保持体上で、オリゴヌクレオチド
を直接合成する方法も知られている。
【0005】しかし、どのような保持体の表面構造が生
体関連成分の固定に適しているかを記述した文献は殆ど
ない。唯一、特表平9−500568号公報(米国特許
第5985551号明細書)には、ホトレジストを支持
体(ガラス基板)の表面に塗布し、露光・現像により第
1の露光支持面のパターン域を形成し、この支持面とフ
ルオロアルキルシランとの反応によりガラス基板に撥水
性又は疎水性を付与し、残存するレジストを除去して第
2の支持面を露出させ、第2の支持面とヒドロキシル基
又はアミノアルキルシランとを反応させて親水性結合域
を形成することが開示されている。また、ガラス基板を
フッ素含有シラン化合物でコーティングすることにより
疎水性表面を形成し、レーザ又は化学反応により所定の
パターンで下部の酸化ケイ素を選択的に露出させ、親水
性を付与するためのシラン化合物で処理し、所定の親水
性部位を形成することも記載されている。さらに、親水
性サイト(結合サイト)を幅50〜2000μm、密度
104/cm2で形成し、表面張力を利用して固定用生体
物質を親水性サイトに結合又はハイブリタイズすること
も記載されている。
【0006】しかし、この方法で、撥水性又は疎水性部
位および結合サイトとしての親水性部位を形成するため
には、疎水性シラン化合物と親水性シラン化合物とを用
いた化学反応とリソグラフィ技術とを組み合わせて、疎
水性と親水性とを付与する必要がある。さらに、結合サ
イトの密度も充分とは言えない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、単一の反応(化学反応や光反応など)で疎水域(又
は撥水域)と親水域とを形成可能であり、バイオチップ
を作製するのに有用な基板を提供することにある。
【0008】本発明の他の目的は、疎水域と親水域とで
構成された微細サイトを高密度で形成し、生体関連物質
を保持するのに有用なバイオチップ用基板を提供するこ
とにある。
【0009】本発明のさらに他の目的は、単純な装置を
用いて簡便かつ高密度(例えば、106/cm2以上)に
所定の結合サイトを形成できるバイオチップ用基板を提
供することにある。
【0010】本発明のさらに別の目的は、前記基板を用
いたバイオチップおよびその製造方法を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するため鋭意検討した結果、ポリシランで構成さ
れた感光性組成物を基板上に塗布すると、疎水性又は撥
水性の高い表面を形成できるとともに、露光することに
より、感光部を親水化でき、親水化サイトに核酸などの
生体関連物質を高密度に保持できることを見いだし、本
発明を完成した。
【0012】すなわち、本発明のバイオチップ用基板
は、光照射により親水域と疎水域とを形成可能な感光性
を有し、かつ前記親水域に生体関連物質を保持するため
の基板であって、表面が少なくともポリシランで構成さ
れている。このようなバイオチップ用基板は、ポリシラ
ンで構成されているため高度に撥水性を有する。そのた
め、このバイオチップ用基板を用いると、疎水性表面を
形成できるとともに、露光により生体関連物質が保持可
能な親水化サイトを形成可能である。従って、フルオロ
アルキルシランなどの疎水性化合物との反応、およびヒ
ドロキシル基又はアミノアルキルシロキサンなどの親水
性化合物との反応を利用して、疎水域と親水性結合領域
とを形成する必要がない。前記ポリシランは、通常、少
なくとも下記単位(1)を有している。
【0013】
【化2】
【0014】(式中、R1およびR2は、同一又は異なっ
て、水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアル
キル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、ま
たはアリールオキシ基を示す)。
【0015】バイオチップ用基板の表面は、ポリシラン
単独で構成してもよく、ポリシランと、光ラジカル発生
剤及び/又は酸化剤とを組み合わせて構成してもよい。
さらに、バイオチップ用基板の表面は、さらにシロキサ
ン化合物を含有していてもよい。
【0016】本発明のバイオチップは、前記基板で形成
された保持体表面(又は疎水性表面)と、この保持体表
面に形成された親水化サイトと、この親水化サイトに付
着した生体関連物質とで構成されている。このバイオチ
ップにおいて、親水化サイトには、生体関連物質として
種々の活性成分(例えば、生理活性成分又は薬理活性成
分等)、特に、遺伝情報を有する成分に対して生物学的
に特異的に結合可能な生体関連物質で付着又は結合でき
る。生体関連物質としては、例えば、オリゴヌクレオチ
ド、ポリヌクレオチド、DNA(デオキシリボ核酸)、
又はRNA(リボ核酸)等が例示できる。このバイオチ
ップは、疎水領域により区画された親水部位で構成され
たサイトが105/cm2以上の密度で形成されていても
よい。
【0017】本発明の方法では、前記基板で形成された
保持体表面を露光し、生成した親水化サイトに生体関連
物質を付着させてバイオチップを製造する。
【0018】
【発明の実施の形態】[ポリシラン]本発明のバイオチ
ップ用基板の表面を構成するポリシランは、通常、少な
くとも前記単位(1)を有している。ポリシランの構造
は、前記単位(1)を有する限り、鎖状(直鎖状、分岐
鎖状)、環状構造などであってもよい。これらの構造の
うち、鎖状(特に、直鎖状)ポリシランが好ましい。な
お、分岐鎖状構造の場合は、下記単位(2)及び/又は
(3)を有している。
【0019】
【化3】
【0020】(式中、R3は、水素原子、アルキル基、
アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラル
キル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を示
す)。
【0021】前記単位(1)及び(2)において、置換
基であるR1〜R3は、水素原子、アルキル基、アルケニ
ル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、
またはアルコキシ基である。アルキル基としては、メチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブ
チル、ペンチル、オクチル、デシル等のC1-10アルキル
基(好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはC
1-4アルキル基)が挙げられる。アルケニル基として
は、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル等のC 1-10
アルケニル基(好ましくはC1-6アルケニル基、さらに
好ましくはC1-4アルケニル基)が挙げられる。
【0022】シクロアルキル基としては、シクロペンチ
ル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル等のC5-10
シクロアルキル基(好ましくはC5-8シクロアルキル
基)が挙げられる。アリール基としては、フェニル、メ
チルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、ナ
フチル、ビフェニル等のC6-20アリール基(好ましくは
6-10アリール基、さらに好ましくはC6-8アリール
基)が挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル、
フェネチル等のC6-20アリールC1-10アルキル基(好ま
しくはC6-10アリールC1-6アルキル基、さらに好まし
くはC6-8アリールC 1-4アルキル基)が挙げられる。
【0023】アルコキシ基としては、メトキシ、エトキ
シ、プロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、オクチルオ
キシ等のC1-10アルコキシ基(好ましくはC1-6アルコ
キシ基、さらに好ましくはC1-4アルコキシ基)が挙げ
られる。アリールオキシ基としては、フェノキシ基など
のC6-20アリールオキシ基(好ましくはC6-10アリール
オキシ基、さらに好ましくはC6-8アリールオキシ基)
が挙げられる。
【0024】好ましいR1とR2との組み合わせは、例え
ば、(a)C1-4アルキル基(特にメチル基)同士、
(b)C1-4アルキル基(特にメチル基)とアリール基
(特にフェニル基)との組み合わせ、(c)アリール基
(特にフェニル基)同士が例示できる。
【0025】なお、前記単位(1)の末端基は、前記置
換基であってもよいし、ヒドロキシル基、ハロゲン原子
(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、前記置換基な
どで置換されていてもよいシリル基等であってもよい。
【0026】具体的には、ポリシランは、下記式(4)
〜(7)で表される化合物から選択された少なくとも一
種であってもよい。
【0027】
【化4】
【0028】(式中、R1〜R3は前記に同じであり、m
は1以上の整数、n及びpは0又は1以上の整数を示
す)。
【0029】前記単位(1)の繰り返し数mは、好まし
くは1〜10000、さらに好ましくは2〜1000
(特に、3〜500)程度である。前記単位(2)の繰
り返し数nは、好ましくは0〜5000、さらに好まし
くは1〜500(特に、2〜200)程度である。前記
単位(3)の繰り返し数pは、好ましくは0〜500
0、さらに好ましくは1〜500(特に、2〜200)
程度である。
【0030】mとnとの割合は、m/n=100/0〜
50/50、好ましくは99/1〜70/30、さらに
好ましくは95/5〜80/20程度である。mとpと
の割合は、m/p=100/0〜50/50、好ましく
は99/1〜70/30、さらに好ましくは95/5〜
80/20程度である。nとpとの割合は、n/p=9
9/1〜1/99、好ましくは90/10〜10/9
0、さらに好ましくは70/30〜30/70程度であ
る。mと、n及びpの合計との割合は、m/(n+p)
=100/0〜50/50、好ましくは99/1〜70
/30、さらに好ましくは95/5〜80/20程度で
ある。
【0031】ポリシランは、他の共重合性単量体との共
重合体であってもよい。ポリシランの数平均分子量は、
例えば、200〜1000000、好ましくは300〜
100000、さらに好ましくは400〜50000程
度である。
【0032】本発明において使用するポリシランは公知
の方法で製造できる。ポリシランの製造方法としては、
例えば、アルカリ金属の存在下でハロシラン類を脱ハロ
ゲン縮重合させる方法(「キッピング法」J.Am.Chem.So
c.,110,124(1988)、Macromolecules,23,3423(1990))、
電極還元によりハロシラン類を脱ハロゲン縮重合させる
方法(J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1161(1990)、J.Chem.S
oc.,Chem.Commun.,897(1992))、ジシレンのアニオン重
合を行う方法(例えば、Macromolecules,23,4494(1990)
など)、特定の金属ハロゲン化物の存在下、金属マグネ
シウムによりクロロシラン類を還元してポリシランを合
成する方法(WO98/029476号公報)、金属触
媒の存在下、ヒドロシラン類の脱水素反応を行う方法
(例えば、特開平4−334551号公報など)等の方
法が挙げられる。
【0033】ポリシラン化合物は、単独で又は二種以上
組み合わせて使用できる。
【0034】[光ラジカル発生剤及び/又は酸化剤]バ
イオチップ用基板の表面は、光ラジカル発生剤や酸化剤
を含有していてもよい。光ラジカル発生剤及び酸化剤を
添加すると、ポリシランの光分解性を促進することがで
きる。
【0035】光ラジカル発生剤としては、光によりラジ
カルが生成する化合物(光重合開始剤など)であればよ
く、例えば、ケトン系化合物、ホスフィン系化合物、ス
ルフィド系化合物、過酸化物、アゾ系化合物、ハロゲン
系化合物等が例示できる。
【0036】ケトン系化合物としては、アセトフェノン
系化合物(例えば、アセトフェノンジエチルケタール、
ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチ
ル−1−フェニルプロパン−1―オン、ベンジルメチル
ケタール、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル
ケトン等)、ベンゾフェノン系化合物(例えば、ベンゾ
フェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−N,N−
ジメチルアミノ−4′−メトキシベンゾフェノン等)、
ベンゾイン系化合物(例えば、ベンゾイン、ベンゾイン
エチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等)、
ベンジル系化合物(例えば、ベンジル、ベンジルメチル
ケタール等)、アントラキノン系化合物(例えば、アン
トラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルア
ントラキノン等)、チオキサントン系化合物(例えば、
イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン
等)、モルフォリン系化合物[例えば、2−メチル−2
−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパノン−
1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−
(4−モルホリノフェニル)−ブタン等]等が挙げられ
る。
【0037】ホスフィン系化合物としては、例えば、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィ
ンオキサイド、ビス−(2,6―ジメトキシベンゾイ
ル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキ
サイド等が挙げられる。
【0038】スルフィド系化合物としては、例えば、ジ
ブチルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジベンジ
ルスルフィド、デシルフェニルスルフィド、テトラメチ
ルチウラムモノスルフィド等が挙げられる。
【0039】過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパ
ーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチル
パーベンゾエート、過酸化水素等が挙げられる。
【0040】アゾ系化合物としては、例えば、アゾビス
イソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレート、ベ
ンゼンジアゾニウムクロライド等が挙げられる。
【0041】ハロゲン系化合物としては、例えば、ハロ
ゲン化炭化水素(例えば、四塩化炭素など)、ハロゲン
化金属化合物(例えば、臭化銀など)、ハロゲン化芳香
族化合物(例えば、2−ナフタリンスルホニルクロライ
ド、フタルイミドトリハロメタンスルフォネートやその
ベンゼン環に置換基を有する化合物、ナフタルイミドト
リハロメタンスルフォネートやそのベンゼン環に置換基
を有する化合物等)、ハロゲン環状窒素化合物[例え
ば、2,4,6-トリス(トリハロメチル)−1,3,5
−トリアジンやその2位(又はその2位及び4位)が置
換された化合物など]等を挙げることができる。これら
の化合物が有する置換基としては、置換基を有していて
もよい脂肪族又は芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0042】これらの光ラジカル発生剤のうち、ハロゲ
ンラジカルを発生するハロゲン系重合開始剤が好まし
い。これらの光ラジカル発生剤は、単独で又は二種以上
組み合わせて使用できる。光ラジカル発生剤の割合は、
ポリシラン100重量部に対して、1〜30重量部、好
ましくは3〜20重量部、さらに好ましくは5〜15重
量部程度である。
【0043】酸化剤としては、酸素供給源として機能す
る化合物であれば特に限定されず、例えば、過酸化物、
アミンオキシド、ホスフィンオキシド等が例示できる。
これらのうち、特に過酸化物が好ましい。
【0044】過酸化物には、無機過酸化物(例えば、過
酸化ナトリウムなどの過酸化アルカリ金属類、過酸化バ
リウム、過酸化マグネシウム等の過酸化アルカリ土類金
属類等)や有機過酸化物等が含まれる。これらの過酸化
物のうち、有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物とし
ては、過酸(例えば、過ギ酸、過酢酸、過プロピオン
酸、過酪酸、過トリフルオロ酢酸等のC1-10脂肪族過酸
や、過安息香酸、メタクロロパーベンゾイックアシッ
ド、モノパーオキシフタル酸等のC6-20芳香族過酸
等)、過酸化アルキル(例えば、過酸化ジエチル、過酸
化メチルエチルケトン等の過酸化ジC1-10アルキルな
ど)、過酸化アシル(例えば、過酸化ジアセチルなどの
過酸化ジC2-10アシルなど)、ヒドロパーオキシド類
(例えば、メチルヒドロパーオキシド、エチルヒドロパ
ーオキシド、プロピルヒドロパーオキシド、t−ブチル
ヒドロパーオキシド、アミルヒドロパーオキシド、ヘキ
シルヒドロパーオキシド、オクチルヒドロパーオキシド
等のC1-10アルキルヒドロパーオキシド、アリルヒドロ
パーオキシド、1−ビニルブチルヒドロパーオキシド等
の不飽和C2-10脂肪族ヒドロパーオキシド、2−シクロ
ペンテン−1−イル−ヒドロパーオキシド、2−シクロ
ヘキセン−1−イル−ヒドロパーオキシド等の不飽和C
5- 10脂環式ヒドロパーオキシド、ベンジルヒドロパーオ
キシド、1−フェニルエチルヒドロパーオキシド、クメ
ンヒドロパーオキシド、ジフェニルメチルヒドロパーオ
キシド等のC6-20芳香族ヒドロパーオキシド等)等が挙
げられる。
【0045】これらの酸化剤は、単独で又は二種以上組
み合わせて使用できる。酸化剤の割合は、ポリシラン1
00重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは3〜
20重量部、さらに好ましくは5〜15重量部程度であ
る。
【0046】ポリシランは、光照射によってSi-Si結合
が切断され、ヒドロキシル基などの親水基が生成する
が、光ラジカル発生剤は、ラジカル(特にハロゲンラジ
カル)により効率よく、Si-Si結合を切断し、酸化剤
は、Si-Si結合間に容易に酸素を挿入することによっ
て、ポリシランの光に対する感度の向上に寄与する。ポ
リシランは撥水性が極めて高いため、親水域が生成する
ことにより、生体関連物質を結合可能なサイトを形成す
ることができる。光ラジカル発生剤と酸化剤とは、組み
合わせて用いてもよい。
【0047】[シロキサン化合物]バイオチップ用基板
は、さらにシロキサン化合物を含有していてもよい。シ
ロキサン化合物を添加することにより、基板に柔軟性を
付与することができる。
【0048】本発明で使用するシロキサン化合物は、通
常、少なくとも下記単位(8)を有している。
【0049】
【化5】
【0050】(式中、R4およびR5は、同一又は異なっ
て、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、シク
ロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ
基、又はアリールオキシ基を示す)。
【0051】前記単位(8)において、置換基であるR
4及びR5のアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル
基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリー
ルオキシ基としては、前記ポリシランの単位(1)にお
けるR1及びR2と同様の置換基を例示することができ
る。これらの置換基のうち、好ましくはアルキル基(例
えば、C1-4アルキル基)又はアリール基(例えば、フ
ェニル基)であり、一部の置換基がアルコキシ基であっ
てもよい。
【0052】R4及びR5としては、ポリシランとの相溶
性の点から、R1及びR2と同じ置換基であるのが好まし
い。例えば、R1及びR2がフェニル基及びメチル基であ
るフェニルメチル系のポリシランを使用する場合には、
4、R5はフェニル基及び/又はメチル基であるシロキ
サン、例えば、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェ
ニルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンを使用す
るのが好ましい。
【0053】また、R4及びR5として、1分子中に複数
のC1-8アルコキシ基、好ましくはC1-4アルコキシ基、
さらに好ましくはC1-2アルコキシ基を有するシロキサ
ン化合物は、架橋剤として利用可能である。そのような
シロキサン化合物としては、例えば、メチルフェニルメ
トキシシリコーンやフェニルメトキシシリコーン等を挙
げることができる。アルコキシ基の割合は、シロキサン
化合物中15〜35重量%程度であってもよい。さら
に、R4又はR5の水素原子の一部がハロゲン原子又はグ
リシジル基で置換されていてもよい。そのような置換基
としては、トリフルオロプロピル基などのハロゲン化C
1-8アルキル(好ましくはC1-4アルキル)基や、グリシ
ジルオキシプロピル基などのグリシジルオキシC2-4
ルキル基等が挙げられる。
【0054】なお、前記単位(8)の末端基は、前記置
換基であってもよいし、ヒドロキシル基や、前記置換基
などで置換されていてもよいシリル基等であってもよ
い。
【0055】前記単位(8)の繰り返し数は、2〜10
0、好ましくは2〜50程度である。また、シロキサン
化合物の数平均分子量は、例えば、10000以下(例
えば、100〜100000)、好ましくは3000以
下(例えば、300〜3000)である。
【0056】これらのシロキサン化合物は、単独で又は
二種以上組み合わせて使用できる。シロキサン化合物の
割合は、ポリシラン100重量部に対して、5〜100
重量部、好ましくは10〜70重量部、さらに好ましく
は20〜50重量部程度である。
【0057】[溶媒]バイオチップ用基板は、有機溶媒
を含有していてもよい。有機溶媒を含有することによ
り、塗布などによる利用性を向上することができる。
【0058】有機溶媒としては、例えば、炭化水素類
(ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、n−デカン、n−ド
デカン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサンなどの脂
環族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メト
キシベンゼン等の芳香族炭化水素類等)、ハロゲン化炭
化水素類(四塩化炭素、クロロホルム、1,2−ジクロ
ロエタン、ジクロロメタン、クロロベンゼン等)、アル
コール類(メタノール、エタノール、プロパノール等の
アルキルアルコール類や、エチレングリコール、プロピ
レングリコール等のアルカンジオール類、ポリオキシエ
チレングリコール等)、エーテル類(ジメチルエーテ
ル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等の鎖状エー
テル類、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類、ア
ニソール等)、ケトン類(アセトン、エチルメチルケト
ン等のジアルキルケトン類など)、エステル類(酢酸エ
チル、酢酸ブチルなどの酢酸エステル類など)、セロソ
ルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、カ
ルビトール類(カルビトールなど)などが挙げられる。
これらの有機溶媒のうち、蒸発性の高い有機溶媒、例え
ば、C5-12脂肪族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、
エーテル類が好ましい。これらの有機溶媒は、単独で又
は二種以上組み合わせて用いてもよい。
【0059】有機溶媒は、固形分濃度が1〜30重量
%、好ましくは3〜20重量%、さらに好ましくは5〜
15重量%程度となるように用いられる。
【0060】[バイオチップ用基板]バイオチップ用基
板は、前記のポリシランを含む感光性組成物を基材(保
持体)上に塗布した後、乾燥することによって得られ
る。基材としては、シリコンウエハー、ガラス板、セラ
ミック、金属板、プラスチック板等が使用しうるが、透
明基板が好ましい。透明基板としては、例えば、ガラス
板、石英板、ポリエステル系樹脂フィルム(例えば、ポ
リエチレンテレフタレートフィルムなど)、ポリオレフ
ィン系樹脂フィルム(例えば、ポリエチレンフィルム、
ポリプロピレンフィルムなど)、ポリカーボネート系樹
脂フィルム(例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネ
ートフィルムなど)、アクリル系樹脂フィルム(例え
ば、ポリメタクリル酸メチルフィルムなど)等が挙げら
れる。これらの基材のうち、ガラス板が特に好ましい。
【0061】基材上への感光性組成物の塗布方法は、均
一な厚さの薄膜を形成可能であれば、特に限定されず、
慣用の方法(例えば、スピンコート法、スプレーコート
法、ディップ法等)を用いることができる。基板上に形
成される感光性薄膜は、乾燥厚で0.05〜30μm、
好ましくは0.1〜10μm、さらに好ましくは0.5
〜10μm程度である。塗布した感光性組成物の乾燥方
法は、自然乾燥でもよいし、加熱(例えば、40〜10
0℃程度で)して乾燥してもよい。
【0062】本発明の感光性材料は、ポリシランで構成
されているため、光照射により親水域と疎水域とを形成
可能である。すなわち、ポリシランで構成された材料
は、高い撥水性を有する疎水性表面を形成しているが、
光照射された部分は、ポリシランのSi−Si結合が切断さ
れ、ヒドロキシル基(シラノール基)等の親水基が生成
して親水域を形成する。ヒドロキシル基などの親水基を
形成するためには、酸素や水蒸気を含有する雰囲気、通
常、空気中で光照射するのが好ましい。従って、本発明
では、選択的に露光することによって、保持体表面に露
光部と未露光部とで表面張力の異なるサイトを形成する
ことができる。すなわち、本発明では、選択的に露光す
るだけで、所望の親水化サイトを形成することができ
る。従って、フルオロアルキルシランなどの疎水性化合
物との反応、およびヒドロキシル基又はアミノアルキル
シロキサンなどの親水性化合物との反応を利用して、疎
水域と親水性結合領域とを形成する必要がない。
【0063】露光の方法としては、マスクを介してパタ
ーン露光することによって一括して親水化サイトを形成
してもよいし、各サイトを個々に選択的に露光して親水
化サイトを形成してもよい。すなわち、照射された感光
性材料には、パターンに応じたシラノール基を有する潜
像が形成されることとなる。これらの露光方法のうち、
簡便性の点から、マスクを介したパターニングが好まし
い。
【0064】露光する光としては、例えば、ガンマー
線、X線、紫外線、可視光線等であってもよいが、通
常、可視光線を含む紫外線が用いられる。光の波長は、
特に制限されないが、ポリシランに感光性のある波長、
例えば、150〜800nm、好ましくは150〜60
0nm、さらに好ましくは200〜400nm(特に3
00〜400nm)程度である。照射光量は、ポリシラ
ン層の厚さ1μm当り0.01〜100J/cm2、好
ましくは0.1〜20J/cm2程度である。光源とし
ては、例えば、高圧及び超高圧水銀灯、キセノンラン
プ、メタルハライドランプ、レーザー走査(例えば、H
e−Cdレーザー、Arレーザー、YAGレーザー、エ
キシマレーザー)等が例示できるが、これらの光源のう
ち、超高圧水銀灯やレーザー光(例えば、エキシマレー
ザー光)が好ましい。
【0065】本発明のバイオチップ用基板において、疎
水部位と、疎水領域により区画された親水部位とで構成
されたサイトは、高密度で形成することでき、例えば、
10 4/cm2以上、好ましくは105/cm2以上(例え
ば、105〜108/cm2程度)、さらに好ましくは1
6/cm2以上(例えば、106〜108/cm2程度)
の密度で形成することができる。
【0066】前記各サイトの平均径は、特に制限されな
いが、通常、1〜2000μm、好ましくは10〜15
00μm、さらに好ましくは50〜1000μm程度で
ある。前記サイトの形状は、四方形状や円状、楕円状等
が挙げられ、通常、正方形状や円状である。
【0067】[バイオチップ]本発明のバイオチップ
は、前記バイオチップ用基板において、少なくともポリ
シランを含む感光性組成物で形成された保持体表面の親
水化サイトに、生体関連物質を付着することにより得ら
れる。生体関連物質を前記親水化サイトに付着させるた
めには、生体関連物質を含む溶液を用いるのが好まし
い。生体関連物質を含む溶液の適用方法としては、前記
溶液を塗布又は浸漬する方法や、前記溶液をチップ上に
滴下又は噴射などにより接触させる方法が挙げられる。
例えば、前記溶液を吐出して接触させるインクジェット
方式を用いることができる。さらに、1又は複数(一
連)のサイトを形成して各サイトに前記溶液を付着して
もよいし、パターン露光により全サイトを形成し、各サ
イトに前記溶液を付着させてもよい。この溶液を1つの
サイトに適用する量は、サイトの面積に応じて選択で
き、1pl〜2μl、好ましくは10pl〜1μl程度
であってもよい。
【0068】生体関連物質としては、親水性を有し、か
つ被検体との結合部位を有する物質であれば特に制限さ
れず、例えば、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチ
ド、DNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)
等の核酸成分との結合部位を有する物質や、ビタミン、
タンパク質、ホルモン、環境ホルモン、糖類、脂質等の
生理又は薬理活性成分との結合部位を有する物質等が例
示できる。これらの生体関連物質のうち、遺伝情報を有
する成分に対して特異的に結合可能な物質、特にDNA
が好ましく、例えば、各種疾病(例えば、ガン、糖尿
病、中枢神経系疾患、アレルギー性疾患、消化器系疾
患、循環器系疾患、免疫異常、遺伝病等)などの遺伝情
報を有する遺伝子DNA(タンパク質をコードしている
部分を含むDNA)を例示できる。
【0069】これらのDNAやRNA等の核酸成分は、
生体材料から直接抽出した成分や化学合成した成分であ
ってもよく、PCR法等の各種遺伝子増幅法により合成
したcDNAやmRNAから逆転写酵素を用いて合成し
たcDNA等のクローニング技術を用いて合成されたD
NAであってもよい。なお、核酸成分は、cDNAの転
写RNA(cDNAの転写産物であるRNA)であって
もよい。バイオチップでは、通常、PCR法で合成した
cDNAを用いる。
【0070】例えば、生体関連物質が、陽電荷を有する
物質(一本鎖DNAやRNA等)の場合は、塗布や浸漬
等によって、保持体表面の親水化サイトに、生体関連物
質を容易に付着できる。
【0071】生体関連物質が、負電荷を有する物質(二
本鎖DNAなど)の場合は、陽電荷を有する物質(ポリ
リジン、シリコーン化合物、3級アミン塩や4級アンモ
ニウム塩等の窒素含有化合物、APS(3−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン)等の陽電荷を有する高分子な
ど)を介在させて、保持体表面の親水化サイトに、生体
関連物質を付着してもよい。陽電荷を有する物質(特
に、陽電荷を有する高分子)を介在させる方法として
は、例えば、浸漬などにより基板表面に陽電荷層を形成
させる方法が挙げられる。陽電荷層に負電荷を有する生
体関連物質を付着させる方法としては、塗布や浸漬等が
例示できる。
【0072】生体関連物質が、末端にアミノ基や、カル
ボニル基、チオール基等の官能基を有する物質(合成オ
リゴDNAなど)の場合は、陽電荷層の官能基と、リン
カー化合物(N−ヒドロキシスクシンイミドなど)を介
して共有結合させてもよい。リンカー化合物を介在させ
る方法としては、陽電荷層を形成した基板に、リンカー
化合物を導入した生体関連物質を塗布や浸漬する方法な
どが挙げられる。
【0073】DNAチップにおいて、被検体との応答サ
イトの検出方法は、特に制限されず、通常、蛍光物質を
ラベルする方法などが用いられる。この方法において、
応答サイトは、DNAが付着したサイトの位置情報(X
軸/Y軸の座標位置情報)と関連付けて検出できる。
【0074】本発明は、特定の遺伝情報を有するcDN
Aを付着させたDNAチップ(DNAマイクロアレイ)
を用いて、前記各種疾病の診断に活用したり、各種研究
試薬や有用化合物の探索に活用するのに有効である。
【0075】
【発明の効果】本発明のバイオチップ用基板は、単一の
反応(化学反応や光反応など)で疎水域(又は撥水域)
と親水域とを形成可能であり、特に、疎水域と親水域と
で構成された微細サイトを高密度で形成し、生体関連物
質を保持することができる。従って、本発明のバイオチ
ップ用基板を用いると、単純な装置を用いて簡便かつ高
密度(例えば、106/cm2以上)に所定の結合サイト
を有するバイオチップを製造することができる。
【0076】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定さ
れるものではない。
【0077】実施例1 (1)スライドガラスの調製 数平均分子量が約5300のポリシラン0.6gをプロ
ピレングリコールモノメチルアセテート10gと混合
し、室温下、暗所で一晩攪拌して溶解した。この溶液を
洗浄したガラス基板にスピンコートし、90℃、30秒
間ホットプレートで乾燥させた。ポリシランの膜圧は約
0.1μmであった。ポリシランを塗布したガラス基板
への光照射は、超高圧水銀灯に248nmのフィルター
を用い、マスクを介して10J/cm2(248nmで
の露光量)露光し、露光部と未露光部とを有する基板
(スライドガラス)を作製した。接触角を測定したとこ
ろ、未露光部の接触角が85°であるのに対して、露光
部では40°であり、露光部のみが大きく親水化されて
いることが確認できた。
【0078】(2)バイオ物質の固定 一本鎖ファージ(φx174)によってクローニングし
た一本鎖DNAを0.5〜1mg/mlになるように、
TE溶液[10mM−Tris(pH8.0)、1mM
−EDTA]に溶解した。この溶液をスライドガラスに
スポットし、70〜80℃で1時間放置した。このスラ
イドガラスをコハク酸溶液[70mM無水コハク酸、
0.1Mホウ酸ナトリウム(pH8.0)、1−メチル
−2−ピロリジノン]に、時々振とうしながら10〜1
5分間浸漬した。さらに、蒸留水中に2分間浸漬し、エ
タノールで脱水した後、室温で乾燥させた。
【0079】(3)ターゲット溶液の調製 mRNA(メッセンジャーRNA)2μg及びオリゴd
Tプライマー4.5μgを用いて、15.4μlの水溶
液を作製した。この水溶液を70℃で10分間熱変性さ
せた後、氷上で急冷した。さらに、5倍 superscriptバ
ッファー6μl、DTT3μl、50倍dNTP0.6
μl、Cy3−dUTP又はCy5−dUTP3μl、
及びSuperscript II 2μlを加え、42℃でさらに1
時間反応させた。さらに、TEバッファー270μlを
加えた。Cy3−dUTPとCy5−dUTPとをそれ
ぞれ加えた反応液をまとめ、1本のMicrocon−30に移
した。Microcon−30の上のカップに残る液量が約10
μlになるまで10000rpmで遠心した。カップを
通過した溶液を別のチューブに移し替えた。Microcon−
30の上のカップにTEバッファー500μl及びヒト
Cot1DNA15μlを加えた。Microcon−30の上
のカップに残る液量が約10μlになるまで10000
rpmで遠心した。Microcon−30の上のカップを取り
出し、新しい遠心チューブを逆さにして挿入した。30
00rpmで3分間遠心し、遠心チューブにターゲット
溶液を回収した。ターゲット溶液にyeast tRNA10
μg、ポリdA4μg、蒸留水を加えて全量を8μlと
した。ターゲット溶液をPCR用チューブに移し、20
倍SSC溶液1.7μl及び10重量%0.3μlを加
えた。PCR機を用いて、100℃で1分間熱変性させ
た。PCR機からチューブを取り出し、室温で30分間
放置してゆっくりと冷却した。このようにして、1枚の
スライドガラス当り、50μlのターゲット溶液を調製
した。
【0080】(4)ハイブリダイゼイション 予め調製したRNAを鋳型として逆転写酵素反応により
蛍光標識物質を取り込み、標識化DNAを調製し、ター
ゲット溶液に添加した。次に、100℃で2時間加熱処
理した後、氷水中で急冷処理した。前記ターゲット溶液
に20倍SSC溶液、蒸留水を加えて、10重量%SD
S溶液を加え、終濃度を5倍SSC溶液、0.1重量%
SDS溶液を調製した。スライドガラスに、静かに端よ
り、このターゲット溶液10μlを加え、カバーグラス
を被せた。モイスチャーチャンバー内にて、65℃、1
6時間インキュベートした。
【0081】その後、スライドガラスを2倍SSC−
0.1重量%SDS溶液に浸し、カバーグラスを外し
た。室温下、2倍SSC−0.1重量%SDS溶液で5
分間、2回洗浄した。次に、0.2倍SSC−0.1重
量%SDS溶液で5分間、2回洗浄した。最後に、0.
2倍SSC溶液で2回洗浄した後、スライドガラスを遠
心器で遠心し(600rpm、20秒間)、室温で乾燥
させた。
【0082】蛍光のマイクロアレイ用スキャナーを用い
て、マイクロアレイ(バイオチップ)上の蛍光量を測定
した。その結果、露光部の蛍光量は、未露光部の蛍光量
よりも100倍以上の強度を示し、露光部に選択的に一
本鎖DNAが固定化されていることが確認できた。
【0083】実施例2 バイオ物質として、一本鎖DNAの代わりに試験管内転
写法で調製したRNAを用いる以外は実施例1と同様に
して、バイオチップを製造した。その結果、露光部の蛍
光量は、未露光部の蛍光量よりも100倍以上の強度を
示し、露光部に選択的に一本鎖DNAが固定化されてい
ることが確認できた。
【0084】実施例3 バイオ物質として、一本鎖DNAの代わりにタンパク質
(ウシアルブミン)を使用した。スライドガラスにポリ
リジンを表面処理した後、1mg/mlのウシアルブミ
ン溶液[20mM−TrisHCl(pH7.2)、1
0mM−NaCl]を100μl点着させた後、バイオ
物質を基板上に固定する以外は実施例1と同様にして、
バイオチップを製造した。洗浄液[0.1重量%Twe
en20、10mM−TrisHCl(pH7.2)]
でチップ上の未吸着のウシアルブミンを洗い流した。次
に、蛍光標識したウシアルブミン抗体を用いて、スライ
ドガラス上のウシアルブミンを検出した。その結果、露
光部の抗体由来の蛍光量は、未露光部の光量と比較し
て、20倍以上強いことが確認された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川崎 真一 大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪 瓦斯株式会社内 Fターム(参考) 4B024 AA11 AA20 CA01 CA09 CA11 HA19 4B029 AA07 AA23 FA12

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光照射により親水域と疎水域とを形成可
    能な感光性を有し、かつ前記親水域に生体関連物質を保
    持するための基板であって、表面が少なくともポリシラ
    ンで構成されているバイオチップ用基板。
  2. 【請求項2】 疎水性表面を形成できるとともに、露光
    により生体関連物質が保持可能な親水化サイトを形成可
    能である請求項1記載のバイオチップ用基板。
  3. 【請求項3】 ポリシランが、少なくとも下記単位
    (1) 【化1】 (式中、R1およびR2は、同一又は異なって、水素原
    子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、ア
    リール基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリー
    ルオキシ基を示す)を有する請求項1記載のバイオチッ
    プ用基板。
  4. 【請求項4】 表面が、ポリシランと、光ラジカル発生
    剤及び/又は酸化剤とで構成されている請求項1〜3の
    いずれかの項に記載のバイオチップ用基板。
  5. 【請求項5】 表面が、さらにシロキサン化合物を含有
    する請求項1〜4のいずれかの項に記載のバイオチップ
    用基板。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のバイオチップ用基板で形
    成された保持体表面と、この保持体表面に形成された親
    水化サイトと、この親水化サイトに付着した生体関連物
    質とで構成されているバイオチップ。
  7. 【請求項7】 遺伝情報を有する成分に対して、生体関
    連物質が生物学的に特異的に結合可能である請求項6記
    載のバイオチップ。
  8. 【請求項8】 生体関連物質が、オリゴヌクレオチド、
    ポリヌクレオチド、DNA(デオキシリボ核酸)、又は
    RNA(リボ核酸)である請求項6記載のバイオチッ
    プ。
  9. 【請求項9】 疎水領域により区画された親水部位で構
    成されたサイトが、105/cm2以上の密度で形成され
    ている請求項6記載のバイオチップ。
  10. 【請求項10】 請求項1記載のバイオチップ用基板で
    形成された保持体表面をパターン露光し、生成した親水
    化サイトに生体関連物質を付着させてバイオチップを製
    造する方法。
  11. 【請求項11】 パターン露光により生成した親水化サ
    イト部位に、生体関連物質を含む溶液を適用し、遺伝情
    報を有する成分に対して生物学的に特異的に結合可能な
    結合部位を形成する請求項10記載の製造方法。
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