JP3877888B2 - 墨磨機 - Google Patents
墨磨機 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3877888B2 JP3877888B2 JP35480598A JP35480598A JP3877888B2 JP 3877888 B2 JP3877888 B2 JP 3877888B2 JP 35480598 A JP35480598 A JP 35480598A JP 35480598 A JP35480598 A JP 35480598A JP 3877888 B2 JP3877888 B2 JP 3877888B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- attached
- ink
- brush
- rail
- crank
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Transmission Devices (AREA)
- Ink Jet (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、墨磨機に関し、特に、硯を固定し、墨をその硯の上で摺動させることによって墨を磨ることができる墨磨機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、硯を固定し、その硯上に墨を摺動させる墨磨機が知られている。このような墨磨機は、たとえば実開昭63−31995号公報に記載されている。図16は、上述の公報に記載された墨磨機の斜視図である。図16を参照して、この墨磨機では、基板1001の中央の長手方向にレール体1002が設けられている。このレール体1002に沿って自在に滑動するように搬送架台1003が設けられている。
【0003】
レール体1002の中央には跨線橋1004が設けられている。跨線橋1004の橋部1005の下面には、螺孔1006が設けられた螺杆受1007が固定されている。螺杆1008は螺孔1006にねじで嵌め合わされている。
【0004】
螺杆1008の一方端部は、搬送架台1003に設けられた軸承体1009に取付けられている。軸承体1009から張り出した螺杆1008の末端には、クランク1010の末端が固定されている。クランク1010の先端部には、その長さ方向に沿って所定の間隔をおいて複数の連設孔1011が設けられている。この連設孔1011には、墨を保持するレバー(図示せず)が回動可能に取付けられている。
【0005】
螺杆1008の他方端部には、螺杆1008を回転させるモータ1014と減速機1015からなる駆動装置1016が取付けられている。駆動装置1016は、搬送架台1003に搭載されている。
【0006】
搬送架台1003には、駆動装置1016の回転方向を切換えて螺杆1008の移動方向を反転させるための切換スイッチ(リミットスイッチ)1017および1018が設けられている。搬送架台1003には、切換スイッチ1017および1018のレバーに当接する係合子1019が設けられている。これらのすべての部材は函体1020に収納されている。
【0007】
このような墨磨機では、モータ1014が螺杆1008を回転させることにより、螺杆の端部に取付けられたクランク1010も回転する。そのため、クランクの連設孔1011に取付けられたレバー(図示せず)が前後方向(矢印1030で示す方向)と上下方向(矢印1033で示す方向)に運動し、このレバーの先端に取付けられた墨が硯と摺動する。
【0008】
また、螺杆1008は、固定された螺杆受1007にねじ込まれているため、螺杆1008が回転すれば、螺杆が設けられた搬送架台1003は、レール体1002に沿った方向(矢印1031で示す方向)に移動する。そのため、クランク1010とレバーを介して搬送架台1003に取付けられた墨も矢印1031で示す方向に動く。
【0009】
次に、さらに螺杆1008を回転させて係合子1019が切換スイッチ1017に接すると、モータ1014へ逆回転をするように信号が与えられる。これにより、螺杆1008も逆回転するので、螺杆1008が取付けられた搬送架台1003とは、矢印1032に示す方向に移動する。また、搬送架台1003に、クランク1010とレバーとを介して取付けられた墨も矢印1032で示す方向に移動する。そのため、この墨磨機では、墨を前後方向(矢印1030で示す方向と左右方向(矢印1031および1032で示す方向)とに動かして摺動させることができる。
【0010】
図17は、また別の従来の墨磨機である。図17を参照して、この墨磨機では、基板1101上に固定平板1102および1103が互いに距離を隔てて基板1101に対して垂直に設けられている。固定平板1102および1103の間には、これらを連結するように連結棒1106および1105が設けられている。
【0011】
また、固定平板1102および1103には、表面にねじ山が設けられた送りねじ1108が固定されている。連結棒1106の上には互いに距離を隔ててリミットスイッチ1117および1118が設けられている。
【0012】
可動平板1107は、連結棒1105と送りねじ1108を受入れている。可動平板1107には、モータ1104が取付けられている。可動平板1107には、モータ1104と接続されたギア(スプールギア)1123が設けられている。可動平板1107には、ギア1123と噛み合い、かつ送りねじ1108とねじ作用により嵌め合わされたギア1122が設けられている。ギア1122と噛み合わされ、かつクランク1110と連結されたギア1121が可動平板1107に取付けられている。
【0013】
クランク1110の端部には、クランク1110に対して回動可能にリンク1112が取付けられている。リンク1112の先端には墨ホルダ1113が設けられ、その墨ホルダ1113が墨1114を保持している。
【0014】
このような墨磨機では、モータ1104が回転することにより、この回転がギア1123、ギア1122、ギア1121へ伝わる。そのため、クランク1110も回転する。クランク1110の先端に付けられたリンク1112は、クランク1110が回転することにより前後方向(矢印1130で示す方向)と上下方向(矢印1133で示す方向)に往復運動する。
【0015】
また、モータ1104から与えられる回転運動は、ギア1122に伝わる。ギア1122は、送りねじ1108とねじ作用により嵌め合わされているため、ギア1122が回転することにより可動平板1107は矢印1131で示す方向に移動する。これに伴い、クランク1110およびリンク1112を介在させて可動平板1107に取付けられた墨1114も矢印1131で示す方向に動く。
【0016】
次に、さらにギア1122を回転させると可動平板1107がリミットスイッチ1117と接触する。これにより、逆回転をするようにリミットスイッチ1117からモータ1104に信号が与えられる。すると、モータ1104は逆回転をし、この回転がギア1123を介してギア1122へ伝わる。ギア1121は、送りねじ1108とねじ作用により嵌め合わせられているため、ギア1122が取付けられている可動平板1107が矢印1132で示す方向に動く。これにより、クランク1110およびリンク1112を介して可動平板1107に取付けられた墨も矢印1132で示す方向に動く。そのため、この墨磨機でも、墨は、前後方向(矢印1130で示す方向)と左右方向(矢印1131および1132で示す方向)に移動する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような図16および図17で示す墨磨機では以下のような問題がある。
【0018】
まず、従来の墨磨機では、リンク(レバー)の一方端部(クランクと接続された端部)が回転運動し、他方端部に墨が設けられて前後方向に移動する。一方端部が前後方向だけでなく上下方向にも移動するため、墨は大振り運動をする。リンクの他方端部に取付けられた墨には、基板へ押付ける力がクランクから加わる。そのため、硯と墨との間の摩擦が大きくなり、墨をクランク1010およびクランク1110で墨を動かせなくなる場合や、墨が硯を傷付ける場合がある。したがって、墨の円滑な動作が困難となる。
【0019】
また、従来の墨磨機では、墨の磨る量をタイマにより制御している。すなわち、タイマによりモータを回転させる時間を制御し、ある時間が経てばモータが止まる。このとき、墨が硯に接触したまま放置されるため、硯に墨が凝着する。そのため、墨を硯から外す際に硯の表面を傷付けることがある。
【0020】
また、モータの回転を反転させるためにリミットスイッチを設けているが、このリミットスイッチが故障すると墨磨機が暴走して故障するという問題がある。また、モータが逆回転するため、クランクとギアを止めているねじや、クランクとリンクを接続しているねじが緩み、墨磨機が故障する場合もある。
【0021】
さらに、墨の左右方向の移動量は、リミットスイッチ間の距離で決定されるが、墨の左右の移動幅を硯の幅に合わせる場合にリミットスイッチ間の幅を変更する必要がある。しかし、リミットスイッチ間の幅を変更するのは困難であるため、墨が左右方向に移動する範囲を硯の幅に合わせることが困難で、硯の幅を充分に活かして墨を磨ることができないという問題もある。
【0022】
そこで、この発明は、上述のような問題点を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、硯の上で磨られる墨が円滑に動作する墨磨機を提供することである。
【0023】
この発明の別の目的は、墨を磨り終えた際に硯と墨とが凝着するのを防ぐことができる墨磨機を提供することである。
【0024】
この発明のさらに別の目的は、故障の発生を抑制できる墨磨機を提供することである。
【0025】
また、この発明のさらなる別の目的は、硯の幅に合わせて墨の左右方向の移動量を調整することができる墨磨機を提供することである。
【0026】
【課題を解決するための手段】
この発明の1つの局面に従った墨磨機は、硯の表面上で墨を移動させることによって墨を磨るための墨磨機であって、ベースと、移動部材と、回転手段と、第1方向移動機構と、第2方向移動機構とを備える。
【0027】
移動部材は、ベースの上で移動可能に配置される。第1方向移動機構は、墨を移動部材に対して第1の方向に移動させることができ、かつ回転駆動手段から与えられた第1の回転運動を第1の方向に沿った並行移動に変換する。第2方向移動機構は、第1の方向に交差する第2の方向に移動部材を移動させることができ、かつ回転駆動手段から与えられた第2の回転運動を第2の方向に沿った並行移動に変換する。
【0028】
第1方向移動機構は、第1のクランクと、第1のリンクと、第1方向スライダと、第1方向レールとを含む。
【0029】
第1のクランクは、回転駆動手段から与えられた第1の回転運動の回転軸のまわりに回転可能に取付けられた一方端部を有する。第1のリンクは、第1のクランクの他方端部に対して回動可能に取付けられた一方端部を有する。第1方向スライダは、第1のリンクの他方端部に対して回動可能に取付けられた一方端部と、墨を保持する他方端部とを有する。第1方向レールは、第1方向スライダを第1の方向に沿って移動可能に支持し、かつ移動部材に取付けられる。第2方向移動機構は、第2方向軸上でスライドし、回転可能なシャフトと、第2方向軸に対して角度θをなす第3方向軸上でスライドするピンと、ピンとシャフトとを連結する長さFのクランクとを含み、シャフトを回転させることでシャフトの変位yはFcosecθ・sin(ωt−θ)となり、角度θを調整することで第2方向の振幅を調整することが可能である。
【0030】
このように構成された墨磨機においては、第1方向スライダは、第1の方向に沿って移動可能に支持されているため、第1のクランクが回転運動すると、この回転運動成分のうち、第1の方向に沿った運動成分だけが第1のリンクと第1方向スライダを介して墨へ伝わる。そのため、墨にさまざまな方向から力が働くことがなく、墨を硯上で摺動させても墨が円滑に動作する。
【0031】
また、この発明の別の局面に従った墨磨機は、硯の表面上で墨を移動させることによって墨を磨るための墨磨機であって、ベースと、移動部材と、回転駆動手段と、第1方向移動機構と、第2方向移動機構とを備える。移動部材は、ベースの上で移動可能に配置される。第1方向移動機構は、移動部材に対して墨を第1の方向に移動させることができ、かつ回転駆動手段から与えられた第1の回転運動を第1の方向に沿った並行移動に変換する。第2方向移動機構は、第1の方向に交差する第2の方向に移動部材を移動させることができ、かつ回転駆動手段から与えられた第2の回転運動を第2の方向に沿った並行移動に変換する。
【0032】
第2方向移動機構は、回転駆動手段から与えられた第2の回転運動の回転軸を構成するシャフトのまわりに回転可能に取付けられた一方端部を有する長さFの第2のクランクと、第2のクランクの他方端部に対して回動可能に取付けられた一方端部を有し、かつ第2の方向に角度θをなして交差する第3の方向に移動することが可能な第3方向スライダと、移動部材を第2の方向に沿って移動可能に支持し、かつベースに取付けられた第2方向レールと、第3方向スライダを第3の方向に沿って移動可能に支持し、かつベースに取付けられた第3方向レールとを含み、シャフトを回転させることでシャフトの変位yはFcosecθ・sin(ωt−θ)となり、角度θを調整することで第2方向の振幅を調整することが可能である。
【0034】
このように構成された墨磨機においては、第2のリンクの他方端部は第3の方向に沿って移動可能な第3方向スライダに取付けられているので、第2のクランクの回転運動成分のうち第3の方向の運動成分は、第3方向スライダにより逃がされる。第2のクランクの回転運動成分のうち、第2の方向の運動成分は、第3方向スライダでは逃がせないので、移動部材自体が第2方向レール上で第2の方向に移動する。そのため、第1方向移動機構を介して移動部材に取付けられた墨を第2の方向に移動させることができる。つまり、この発明では、回転運動から、往復運動する運動成分を取出し、これにより墨を第2の方向に往復運動させることができる。そのため、クランクの回転を反転させる必要がなくなり、リミットスイッチなどを設ける必要がない。その結果、リミットスイッチの動作不良による暴走を防ぐことができ、さらにねじが緩まないので、故障の発生を抑制することができる。
【0035】
この発明のさらに別の局面に従った墨磨機は、硯の表面上で墨を移動させることによって墨を磨るための墨磨機であって、ベースと、移動部材と、回転駆動手段と、第1方向移動機構と、第2方向移動機構とを備える。
【0036】
移動部材は、ベースの上で移動可能に配置される。第1方向移動機構は、墨を移動部材に対して第1の方向に移動させることができ、かつ回転駆動手段から与えられた第1の回転運動を第1の方向に沿った並行移動に変換する。第2方向移動機構は、第1の方向に交差する第2の方向に移動部材を移動させることができ、かつ回転駆動手段から与えられた第2の回転運動を第2の方向に沿った並行移動に変換する。
【0037】
第1方向移動機構は、第1のクランクと、第1のリンクと、第1方向スライダと、第1方向レールとを含む。
【0038】
第1のクランクは、回転駆動手段から与えられた第1の回転運動の回転軸のまわりに回転可能に取付けられた一方端部を有する。第1のリンクは、第1のクランクの他方端部に対して回動可能に取付けられた一方端部を有する。第1方向スライダは、第1のリンクの他方端部に対して回動可能に取付けられた一方端部と、墨を保持する他方端部とを有する。第1方向レールは、第1方向スライダを第1の方向に沿って移動可能に支持し、かつ移動部材に固定される。
【0039】
第2方向移動機構は、回転駆動手段から与えられた第2の回転運動の回転軸を構成するシャフトのまわりに回転可能に取付けられた一方端部を有する長さFの第2のクランクと、第2のクランクの他方端部に対して回動可能に取付けられた一方端部を有し、かつ第2の方向に角度θをなして交差する第3の方向に移動することが可能な第3方向スライダと、移動部材を第2の方向に沿って移動可能に支持し、かつベースに取付けられた第2方向レールと、第3方向スライダを第3の方向に沿って移動可能に支持し、かつベースに取付けられた第3方向レールとを含み、シャフトを回転させることでシャフトの変位yはFcosecθ・sin(ωt−θ)となり、角度θを調整することで第2方向の振幅を調整することが可能である。
【0041】
このように構成された墨磨機においては、第1方向スライダは、第1の方向に移動可能に支持されているため、第1のクランクが回転運動すると、回転運動成分のうち第1の方向に沿った運動成分だけが第1のリンクと第1方向スライダを介して墨に伝わる。そのため、墨にはさまざまな方向から力がかかることがなく、墨を硯上で摺動させても墨が円滑に動作する。
【0042】
また、第2のリンクの他方端部は、第3の方向に沿って移動可能な第3方向スライダに取付けられているため、第2のクランクの回転運動成分のうち、第3の方向の運動成分は、第3方向スライダにより逃がされる。第2のクランクの回転運動成分のうち、第2の方向の運動成分は、第3方向スライダでは逃がせないので、移動部材自体が第2方向レール上で第2の方向に移動する。そのため、第1方向移動機構を介して移動部材に取付けられた墨を第2の方向に移動させることができる。つまり、回転運動成分から、往復運動する運動成分を取出し、これにより墨を第2の方向に往復運動させることができる。そのため、クランクの回転を反転させる必要がなくなり、リミットスイッチなどを設ける必要がない。その結果、リミットスイッチの動作不良による墨磨機の暴走を防ぐことができ、さらにねじが緩まないので墨磨機の故障の発生を抑制することができる。
【0043】
この発明のさらに別の局面に従った墨磨機は、硯の表面上で墨を移動させることによって墨を磨るための墨磨機であって、ベースと、移動部材と、回転駆動手段と、第1方向移動機構と、第2方向移動機構とを備える。
【0044】
移動部材は、ベースの上で移動可能に配置される。第1方向移動機構は、墨を移動部材に対して第1の方向に移動させることができ、かつ回転駆動手段から与えられた第1の回転運動を第1の方向に沿った並行移動に変換する。第2方向移動機構は、回転駆動手段から与えられた、シャフトによる第2の回転運動を、シャフトに接続されて回転する長さFのクランクを用いて第2の方向に沿った第2の並行運動成分と、第2の方向に角度θをなして交差する第3の方向に沿った第3の並行運動成分とに分解し、第2の並行運動成分を第1の方向に沿った並行運動に合成することによって墨を移動させ、シャフトを回転させることでシャフトの変位yはFcosecθ・sin(ωt−θ)となり、角度θを調整することで第2方向の振幅を調整することが可能である。
【0045】
このように構成された墨磨機においては、第2方向移動機構が、回転駆動手段から与えられた回転運動を往復運動(単振動)する第2の並行運動成分と、第3の並行運動成分との2つの並行運動に分解する。そのため、墨は第2の方向に往復運動をするので、第2の回転運動の回転を反転させる必要がない。そのため、リミットスイッチなどが必要なく、リミットスイッチの故障による墨磨機の暴走を防ぐことができる。また、回転部分に取付けられたねじが緩まない。その結果、墨磨機の故障の発生を抑制することができる。
【0046】
また、第1の方向と硯の表面とのなす角度を変更することができるように第1のレールは移動部材に取付けられていることが好ましい。この場合、硯の表面の傾斜に従って第1の方向を変更することができるため、表面が傾斜した硯上で墨を磨っても、墨の動きが円滑となる。
【0047】
また、第1のクランクの長さは調整可能であることが好ましい。この場合、硯の長さに応じて第1のクランクの長さを調整できるため、硯の長さに合わせて、墨の第1の方向に沿った移動量を調整することができる。
【0048】
また、墨磨機は、第1方向スライダに対して回動可能に取付けられた一方端部を有する回動アームと、回動アームの他方端部に取付けられて墨を保持する墨ホルダと、第1方向スライダに取付けられて回動アームの回動を係止させる第1の係止部材とをさらに備えることが好ましい。
【0049】
この場合、回動アームと第1の係止部材とが所定の間隔だけ離れるように墨を墨ホルダにセットする。この状態で墨を磨ると、墨が減って回動アームが第1の係止部材に近づき、最後には、回動アームが第1の係止部材に接触する。この状態で墨を磨り続けても、回動アームが下方向へ回動しないため、墨は硯の表面と接触せず、墨が磨られることはない。そのため、墨が磨り終えれば、墨が硯の表面と接触しないため、硯と墨が凝着するのを防ぐことができる。また、回動アームと第1の係止部材との間の距離を所定量にセットすることにより墨を磨り量を設定することができる。
【0050】
回動アームの他方端部には錘が取付けられていることが好ましい。この場合、錘が墨を押圧するため、効率よく墨を磨ることができる。
【0051】
また、墨磨機は、第1方向スライダに取付けられて回動アームを第1の係止部材から離隔した待機位置で係止させる第2の係止部材をさらに備えることが好ましい。この場合、墨を磨り終えて墨を硯から一時的に離しておく場合に回動アームを第2係止部材により係止させることができる。
【0052】
また、墨磨機は、好ましくは、レール部材と、墨ホルダと、第1の係止部材とをさらに備える。レール部材は、第1方向スライダの他方端部に取付けられる。墨ホルダは、レール部材に沿って硯の表面に近接した位置と硯の表面から離隔した位置との間で直線移動可能に設けられて墨を保持する。第1の係止部材は、墨ホルダに取付けられて墨ホルダの直線移動を第1方向スライダに係止させる。
【0053】
この場合、第1の係止部材と墨ホルダとが所定の間隔を有するように墨ホルダに墨を保持させる。この状態で墨を磨れば、墨が減るに従って墨ホルダに設けられた第1の係止部材が第1方向スライダに近づき、最後には、第1の係止部材と第1方向スライダとが接触する。この状態で墨を移動させても墨ホルダが下方向に移動しないため墨が磨られることはない。そのため、墨を磨り終えれば、硯と墨の表面とが接触せず墨と硯が凝着するのを防ぐことができる。また、第1方向スライダと第1の係止部材との距離を所定量にセットすることにより、墨の磨り量を設定できる。
【0054】
墨ホルダには錘が取付けられていることが好ましい。この場合、錘が墨を押圧するため、墨を効率よく磨ることができる。
【0055】
また、墨磨機は、墨ホルダに取付けられて墨ホルダを第1の係止部材から離隔した待機位置で第1方向スライダに係止させる第2の係止部材をさらに備えることが好ましい。この場合、墨を磨り終えた後。第2の係止部材が硯から離した待機位置で墨を係止させることができる。
【0056】
また、第2方向レールと第3方向レールとは、それらのなす角度を変更することができるようにベースに取付けられていることが好ましい。
【0057】
この場合、第2方向レールと第3方向レールとのなす角度を調整することにより、移動部材が第2の方向に移動する距離を変更することができるため、硯の幅に合わせて墨の移動量を調整することができる。
【0058】
また、第2のクランクの長さは調整可能であることが好ましい。この場合、第2のクランクの長さを調整することにより、移動部材の第2方向の移動距離を変更することができるため、硯の幅に合わせて墨の移動量を調整することができる。
【0059】
また、回転駆動手段は移動部材に取付けられていることが好ましい。この場合、回転駆動手段を移動部材以外の部分に取付けた場合に比べて墨磨機をコンパクト化することができる。
【0060】
また、移動部材は、第1方向移動機構を支持する第1プレートと、回転駆動手段を支持する第2プレートとを含むことが好ましい。この場合、第1方向移動機構は第1プレートに設けられ、回転駆動手段は第2プレートに設けられるため、墨磨機をコンパクト化することができる。
【0061】
また、第2方向移動機構は、ベースと第2プレートとの間に位置付けられていることが好ましい。この場合、第2方向移動機構と第2プレートとが重なるので、第2方向移動機構を別の場所に設けた場合に比べて墨磨機をコンパクト化することができる。
【0064】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態に従った墨磨機について、図面を用いて説明する。
【0065】
図1は、この発明に従った墨磨機を示す斜視図である。図1を参照して、墨磨機100は、ベース200と、移動部材としてのL形プレート300と、回転駆動手段としてのモータ400と、第1方向移動機構500と、第2方向移動機構600とを備える。
【0066】
ベース200上に第2方向移動機構600が設けられている。ベース200上に、レール622と補助レール633とを介在させてL形プレート300が設けられている。L形プレート300の水平プレート310には、モータ400が設けられている。L形プレート300の垂直プレート320には、第1方向移動機構500が設けられている。
【0067】
L形プレート300は、第2の方向としての矢印301で示すY軸方向に移動することが可能である。L形プレート300は、水平プレート310と、その水平プレート310に接続された垂直プレート320とを有する。水平プレート310は、ベース200に向かい合う水平面を有する。垂直プレート320は、第1方向移動機構500が取付けられる垂直面を有する。
【0068】
水平プレート310上に、ギア支持用L形プレート330と、モータ支持用L形プレート340とが設けられている。ギア支持用L形プレート330は、水平プレート331と、その水平プレート331と接続された垂直プレート332とを有する。水平プレート331は、水平プレート310に固定されている。垂直プレート332には、ベベルギア415と、ベベルギア415と連結されたスプールギア412とが回転可能に取付けられている。
【0069】
モータ支持用L形プレート340は、水平プレート(図1では示さず)と、その水平プレートと接続された垂直プレート342とを有する。水平プレートは、水平プレート310に固定されている。垂直プレート342はモータ400と接触してモータ400を位置決めしている。スプールギア412に噛み合うスプールギア411が垂直プレート342に回転可能に取付けられている。このスプールギア411は、モータ400の回転軸に連結されている。
【0070】
L形プレート300、ギア支持用L形プレート330およびモータ支持用L形プレート340の形状は、「L」形とする必要ない。たとえばL形プレート300は、第1方向移動機構500を支持し、かつ矢印301で示す方向に移動可能であれば、平板状であってもよく、さらに、筒状であってもよい。ギア支持用L形プレート330や、モータ支持用L形プレート340でも同様である。
【0071】
また、これらのプレートには、強度が要求されるため、これらのプレートを金属で構成することが好ましいが、軽量化をするためには、強化プラスチックを用いることも可能である。
【0072】
モータ400は、モータ400の回転運動を第1方向移動機構500や、第2方向移動機構600に与えるためのギア群410と接続されている。ギア群410は、モータ400から与えられた回転運動を、第1方向移動機構500を回転させる回転運動と、第2方向移動機構600を駆動させる回転運動との2つの回転運動に分配する。
【0073】
ギア群410は、スプールギア411および412と、ベベルギア415および416と、ウォーム417と、ウォームホイール418とを備える。
【0074】
スプールギア411および412と、ベベルギア415および416とが、モータ400から与えられた回転運動を第1方向移動機構500に伝達する。
【0075】
スプールギア411および412と、図1では示されていない2枚のスプールギアと、ウォーム417と、ウォームホイール418とが、モータ400から与えられた回転運動を第2方向移動機構600に伝達する。
【0076】
スプールギア411は、モータ400と連結されており、矢印411aで示す方向に回転することが可能である。スプールギア411は、スプールギア412と噛み合っている。スプールギア412は、ベベルギア415と連結されている。ベベルギア415は、ベベルギア416と噛み合っている。ベベルギア415の回転軸と、ベベルギア416の回転軸とはほぼ直交する。
【0077】
スプールギア412は、図1では示さないスプールギアと噛み合っており、そのスプールギアは、ウォーム417と連結されたスプールギアと噛み合っている。ウォーム417は、垂直プレート332に回転可能に取付けられている。ウォーム417は、ウォームホイール418と噛み合っている。水平プレート310および330に、ウォームホイール418が回転可能に取付けられている。
【0078】
互いに噛み合う2つのギアの歯数の比はすべて素数の比となるようにされている。これは、墨を磨る際に、墨の軌跡が重複するのを防止し、複雑なリサージュ図形を描くためである。また、歯車の歯数の比が素数比でない場合には、1つの歯車の1つの歯が欠損した場合に、隣り合う歯車の特定の歯のみが、この欠損した歯と噛み合い、その歯も欠損してしまうことがあるからである。
【0079】
また、第1方向移動機構500を駆動させるギアのギア比は比較的小さくされている。これにより、第1方向移動機構500は素早く動く。一方、第2方向移動機構600を駆動させるギアの比は大きく設定されている。これにより、第2方向移動機構600はかなり緩やかに動く。また、ウォーム417とベベルギア416とは鉄製であり、他のスプールギア、ベベルギアおよびウォームホイールは強化プラスチックで構成されているが、これらの材質としては、さまざまなものを用いることが可能である。
【0080】
この墨磨機100では、それぞれのスプールギア、ベベルギア、ウォームおよびウォームホイールに薄く潤滑油を塗布しているが、墨磨機100を大型化する際には、これらのギア群410を潤滑するための潤滑装置を設けてもよい。
【0081】
第1方向移動機構500は、第1のクランクとしてのクランク501と、第1のリンクとしてのリンク502と、第1方向レールとしてのレール504と、第1方向スライダとしてのスライダ505およびスライドプレート506と、傾斜アーム503とを備える。
【0082】
L形プレート300の垂直プレート320に傾斜アーム503がボルト508により取付けられている。垂直プレート320に回転可能にクランク501が取付けられている。クランク501の一方端部501aは、ベベルギア416の軸と連結されているので、ベベルギア416が回転すると、クランク501も回転する。クランク501の他方端部501bには、リンク502の一方端部502aがボルト509により取付けられている。
【0083】
リンク502は、クランク501に対して回動可能に取付けられている。リンク502の他方端部502bは、スライドプレート506に回動可能に取付けられており、スライドプレート506の一方端部506aに対して回動可能である。スライドプレート506はスライダ505に固定されている。スライダ505はレール504に取付けられており、スライダ505はレール504に対して矢印709で示すX軸方向に移動することが可能である。
【0084】
レール504は、傾斜アーム503に固定されている。傾斜アーム503には、長穴503aが設けられている。この長穴503a内にボルト508を差込み、垂直プレート320に設けられたねじ穴(図示せず)にボルト508をねじ込んでいくことにより、傾斜アーム503は垂直プレート320に取付けられる。
【0085】
第1方向移動機構500は、回動アームとしてのアーム507と、墨ホルダとしての墨保持機構550と、第1係止部材としての偏心ストッパー520と、第2係止部材としての保持機構530とをさらに備える。
【0086】
アーム507の一方端部507aは、スライドプレート506に回動可能に取付けられている。スライドプレート506には、アーム507が下方向へ回動するのを係止する偏心ストッパー520がボルト521により取付けられている。スライドプレート506には、アーム507の回動方向を安定させる案内部材523が取付けられている。
【0087】
アーム507の他方端部507bには、墨702を硯701の表面に対して押圧するための錘541が取付けられている。また、錘541には、補助用の錘542がボルト543により取付けられている。スライドプレート506の他方端部506bには、アーム507を偏心ストッパー520から離隔した待機位置で係止させるための保持機構530が設けられている。保持機構530は、スライドプレート506に取付けられた固定棒533と、その固定棒533に設けられた穴内に差込まれたピン531と、ピン531を固定棒533から遠ざける方向へ押すばね532により構成される。
【0088】
錘541には、墨保持機構550が取付けられている。墨保持機構550は、直線レール551と、U字部材552と、ナット553と、ボルト554とにより構成される。直線レール551には、長穴(図示せず)が設けられており、この長穴内に錘541に設けられたボルトが差込まれる。このボルトにナット553を噛み合わせ、ナット553をねじ込んでいくことにより、直線レール551は錘541に取付けられる。
【0089】
直線レール551は、錘541を受入れるような形状となっている。直線レール551にU字部材552が固定されている。U字部材552にボルト554が取付けられており、U字部材552内に墨702を載置し、ボルト554をねじ込んでいくことにより、墨702が位置決めされる。墨702は、U字部材552により保持されるが、墨702は、U字部材552、直線レール551および錘541を介してアーム507の他方端部507bやスライドプレート506の他方端部506bに保持されているともいえる。
【0090】
第2方向移動機構600は、Z軸移動機構610と、Y軸移動機構620と、補助レール630とを備える。
【0091】
Z軸移動機構610は、レール支持プレート611と、第3方向レールとしてのレール612と、第3方向スライダとしてのスライダ613およびスライド部材614と、第2のクランクとしてのクランク615と、ねじ616と、シャフト617とを備える。
【0092】
レール支持プレート611は、ねじ616によりベース200に取付けられている。レール支持プレート611上には、レール612が固定されている。レール612には、スライダ613が取付けられている。スライダ613は、レール612に対して移動することが可能である。
【0093】
スライダ613には、スライド部材614が固定されている。スライド部材614上にはクランク615が取付けられている。クランク615の一方端部(図1では示さず)がシャフト617に固定され、他方端部615bがスライド部材614に対して回動可能に取付けられている。
【0094】
Y軸移動機構620は、支柱624と、レール支持プレート621と、第2方向レールとしてのレール622と、スライダ623とを備える。
【0095】
ベース200上に支柱624が固定されている。支柱624上にレール支持プレート621が固定されている。レール支持プレート621上にレール622が固定されている。レール622上にスライダ623が取付けられている。スライダ623はレール622に対して矢印301で示すY軸方向に移動することが可能である。スライダ623は、L形プレート300の水平プレート310に固定されている。そのため、L形プレート300は矢印301で示す方向に移動することが可能である。ベース200上には、レール622が延びる方向とほぼ平行に延びるように補助レール630が設けられている。レール630と水平プレート310との間にはL形プレート300を支持するための車輪が設けられているので、補助レール630とL形プレート300とはこの車輪により接続されている。したがって、L形プレート300の荷重は、レール622と補助レール630に加わる。
【0096】
第1方向移動機構500や第2方向移動機構600を構成する材料としては、耐久性や耐摩耗性を重視するのであれば、金属製、特に鉄合金製とすることが好ましく、軽量化を目的とするのであれば、アルミニウム合金製や強化プラスチック製とすることが好ましい。
【0097】
図2は、この発明に従った墨磨機の分解斜視図である。図2では、ベース200および第2方向移動機構600と、L形プレート300、モータ400および第1方向移動機構500とが離れて示されている。垂直に折曲がった部分を有するベース200上には、第2方向移動機構600が設けられている。
【0098】
Z軸移動機構610のレール612が延びる方向と、Y軸移動機構620のレール622が延びる方向とは交差している。Z軸移動機構610のレール支持プレート611は、ボルト616と、レール支持プレート611の中央部でベース200とを連結するピンとの2点によりベース200に取付けられる。ボルト616は、レール支持プレート611に設けられた貫通孔(図示せず)と長穴618とを貫通し、ベース200の裏面によりナットと噛み合っている。このため、ボルト616を緩めてボルト616が設けられるレール支持プレート611の端部を長穴618が延びる方向にスライドさせることにより、Z軸移動機構610のレール612と、Y軸移動機構620のレール621とがなす角度を適宜変更することができる。
【0099】
レール支持プレート611と、レール612と、スライダ613と、スライド部材614と、クランク615とは、ベース200とレール支持プレート621との間に設けられる。
【0100】
L形プレート300の水平プレート310上には、ギア支持用L形プレート330と、モータ支持用L形プレート340とが設けられている。ギア支持用L形プレート330の垂直プレート332は、スプールギア412および413を回転可能に支持する。スプールギア413は、ウォーム417と連結されている。モータ支持用プレート340は、水平プレート341と、その水平プレート341と接続された垂直プレート342とにより構成される。水平プレート341は水平プレート310に固定される。垂直プレート342は、垂直プレート332と向かい合うように設けられる。
【0101】
L形プレート300の垂直プレート320には、第1方向移動機構500が取付けられている。垂直プレート320には、傾斜アーム503が取付けられている。傾斜アーム503にはレール504(図2では示さず)が固定され、レール504には、レール504を受入れるような形状のスライダ505が取付けられている。
【0102】
スライダ505には、スライダ505よりも長いスライドプレート506が固定されている。スライドプレート506には、スライダ505と接触しないようにピン531、ばね532および固定棒533からなる保持機構530が設けられている。なお、保持機構530は、スライダ505と接触してもよく、さらに、スライダ505に保持機構530が取付けられてもよい。
【0103】
垂直プレート320には、クランク501が取付けられる。クランク501には、ボルト509により、リンク502が回動可能に取付けられている。リンク502はスライドプレート506に回動可能に取付けられている。スライドプレート506の中央部には、案内部材523が取付けられている。案内部材523と接触しないように、アーム507(図2では示さず)の先端に錘541が取付けられている。
【0104】
錘541には、墨保持機構550が取付けられている。墨保持機構550は、錘541に取付けられる直線レール551と、直線レール551に取付けられ、墨702を挟み込むU字部材552と、U字部材552に墨702を押付けて墨702を硯701と接触させるボルト554とを備える。
【0105】
図3は、図1で示す墨磨機の上面図である。
図3を参照して、墨磨機100は、ほぼ長方形のベース200を有する。ベース200上には、第2方向移動機構600が設けられる。第2方向移動機構600は、レール支持プレート611と、レール612と、スライダ613と、スライド部材614と、クランク615と、ボルト616とを備える。
【0106】
また、図1では図示していなかったが、第2方向移動機構600は、レール支持プレート611が長穴618の延びる方向に回動する回動範囲を制限するためのストッパー651を備える。ストッパー651はねじによりベース200に取付けられている。
【0107】
第2方向移動機構600は、また、第2の方向(Y軸方向)に延びるレール支持プレート612、レール622および補助レール630を備える。レール622および補助レール630上には、ベース200よりも小さいL形プレート300が設けられる。L形プレート300の水平プレート310上には、ギア支持用L形プレートの垂直プレート332と、モータ支持用L形プレートの垂直プレート342が設けられる。
【0108】
垂直プレート320、332および342に支持されるようにギア群410が設けられる。ギア群410は、スプールギア411、412、413および414と、ベベルギア415および416と、ウォーム417と、ウォームホイール418とを備える。図1および2では図示していなかったスプールギア414は、スプールギア412および413と噛み合っており、垂直プレート332により回転可能に支持されている。
【0109】
スプールギア412とベベルギア415の回転軸は同一である。スプールギア413とウォーム417の回転軸とは同一である。スプールギア411の回転軸411aと、スプールギア412およびベベルギア415の回転軸と、スプールギア414の回転軸と、スプールギア413およびウォーム417の回転軸とは、それぞれ平行である。ベベルギア416の回転軸416aとクランク501の回転軸とは同一である。第2の回転軸としての回転の軸416aは、第1の回転軸としてのモータ400およびスプールギア411の回転の軸411aと直交する。ウォームホイール418は、第3の回転軸としてのシャフト617に取付けられている。第3の回転軸としてのシャフト617は、軸411aおよび軸416aの両方と直交する方向に延びている。
【0110】
L形プレート300の垂直プレート320には、第1方向移動機構500を構成する傾斜アーム503、レール504、スライダ505およびスライドプレート506が互いに平行に取付けられている。スライダ505は、レール504に嵌まり合い、スライダ505は、レール504に対して移動することが可能である。
【0111】
レール504とスライダ505が嵌まり合う部分には、アーム506の先端に取付けられた錘541および542やスライドプレート506の荷重がかかるので、レール504とスライダ505とが嵌まり合う部分の長さを充分に確保する必要がある。
【0112】
レール504上に取付けられたスライダ505、アーム506および507は、レール504に対して移動するため、回転するクランク501と、スライダ505、スライドプレート506およびアームとが接触しない長さにする必要がある。
【0113】
垂直プレート320には、クランク501が回転可能に取付けられている。クランク501には、回動可能にリンク502がボルト509により取付けられている。スライドプレート506には、回動可能にリンク502が取付けられている。リンク502は、クランク501およびスライドプレート506から少し距離を離して取付けられる。これは、リンク502が、クランク501やスライドプレート506と直接接触すると、運動エネルギのロスとなり、また、滑らかな動きを妨げるためである。
【0114】
アーム507の先端には、アーム507と、錘541とを抱え込むように直線レール551が設けられている。直線レール551は、ナット553により錘541に取付けられている。直線レール551には、U字部材552が固定されている。
【0115】
U字部材552には、墨702が傷付くのを防止するためのゴム製クッション555が固定されている。ゴム製クッション555に墨702を押付けて位置決めするためのボルト554がU字部材552に取付けられている。このように墨702が位置決めすることにより、墨702が硯701上で磨られても墨702の位置が変わることがない。
【0116】
この墨磨機100では、墨磨機100を小型化するために1つのモータ300で第1方向移動機構500および第2方向移動機構600を駆動させているが、小型化する必要がなければ、1つのモータで第1方向移動機構500を駆動し、別のモータで第2方向移動機構600を駆動させてもよい。
【0117】
図4は、第1方向移動機構500を拡大して示す斜視図である。図4を参照して、ベース200上に、レール622および補助レール630を介在させてL形プレート300が設けられている。L形プレート300の垂直プレート320に第1方向移動機構500が設けられている。L形プレート300の垂直プレート320は、ベベルギアの回転の軸416aを回転可能に支持する。
【0118】
軸416aには、クランク501の一方端部501aが固定されている。そのため、軸416aが矢印461で示す方向に回転すると、クランク501も矢印461で示す方向に回転する。
【0119】
クランク501には、ねじ穴511〜514と、ボルト509と嵌まり合っているねじ穴とが設けられている。ボルト509は、これらのすべてのねじ穴511〜514にねじ作用で嵌め合うことが可能である。そのため、クランク501とリンク502とが接続する部分から軸416aまでの距離を変えることができるので、クランク501の長さは調整可能である。
【0120】
リンク502の一方端部502aは、ねじ穴にねじ込まれるねじ509によりクランク501の一方端部501bに回動可能に取付けられる。リンク502の他方端部502bは、スライドプレート506に回動可能に取付けられる。
【0121】
アーム507の一方端部507aは、ピン529によりスライドプレート506に回動可能に取付けられる。スライドプレート506に取付けられた偏心ストッパー520と、アーム507との間の距離はH1 である。アーム507は、偏心ストッパー520と接するところまで下方向に回動可能である。ねじ穴511にボルト509をねじ込んだときにクランク501の長さが最も長くなり、ねじ穴514にボルト509をねじ込んだとき、クランク501の長さが最も短くなる。リンク502の一方端部502aは折曲げられている。
【0122】
スライドレール506には、スライダ505が固定されている。スライダ505は、ベアリングのボールを受入れる溝を有する。スライダ505は、ベアリングのボールを介してレール504と嵌め合わされている。レール504はベアリングのボールを受入れる溝を有する。レール504は傾斜アーム503に固定されている。
【0123】
アーム507の他方端部507bには、錘541および542が取付けられている。アーム507の他方端部507bには、ピン531、ばね532および固定棒533により構成される保持機構530と、直線レール551、U字部材552、ナット553およびボルト557により構成される墨保持機構550が設けられる。墨保持機構550が墨702を挟んで硯701上で墨702を保持する。
【0124】
第1方向移動機構500では、モータ400から回転運動を与えられた軸416aが矢印461で示す方向に回転すると、クランク501も矢印461で示す方向に回転する。これにより、リンク502の一方端部502aが回転する。リンク502の他方端部502bは、矢印709で示す第1の方向としてのX軸方向に移動可能であるため、リンク502の他方端部502bは、リンク502の一方端部502aの回転を受けて、矢印709で示す方向に往復運動する。これにより、スライドプレート506に取付けられたアーム507、錘541、直線レール551、U字部材552および墨702も矢印709で示すX軸方向に並行移動をし、墨702を硯701表面上で磨ることができる。
【0125】
図5は、図1で示す墨磨機の側面図である。図5を参照して、ベース200下には、ゴム製の脚201が設けられている。脚201は、四角形のベース200の四隅に設けられる。ベース200上には、第2方向移動機構600が設けられる。第2方向移動機構600は、レール支持プレート611、レール612、スライダ613、スライド部材614、ボルト616およびシャフト617を備える。
【0126】
ベース200には、支柱624が固定され、この支柱624上にはレール支持プレート621が固定される。レール支持プレート621は、紙面の手前から奥方向へ延びる。レール支持プレート621上には、L形プレート300を移動可能に支持するスライド機構690が設けられている。
【0127】
ベース200上には、ボルトとナットにより補助レール630が固定されている。補助レール630は、紙面の手前から奥方向へ、レール支持プレート612と平行に延びる。補助レール630を抱え込むように「コ」の字状の金具631が設けられる。金具631には、金具631に対して回転可能に車輪632が設けられる。車輪632は、補助レール630と接している。
【0128】
ベース200の上でかつ第2方向移動機構600の上には、レール支持プレート621や、補助レール630に支持されるようにL形プレート300が設けられる。L形プレート300の垂直プレート320には、紙面の奥側から手前側に向かって傾斜アーム503、レール504、スライダ505およびスライドプレート506がこの順に取付けられている。
【0129】
垂直プレート320には、軸416aにより、クランク501が回転可能に取付けられている。クランク501には、リンク502がボルト509により回動可能に取付けられる。リンク502は、また、スライドプレート506に回動可能に取付けられる。モータ支持用L形プレート340の垂直プレート342は、モータ400に接触してモータ400を位置決めし、かつ垂直プレート320と直交する方向に延びる。
【0130】
スライドプレート506には、ベース200に対して近づく方向とベース200から遠ざかる方向に回動可能なアーム507が設けられる。スライドプレート506には、アームがベース200へ近づく方向への回動範囲を制限する偏心ストッパー520がボルト521により取付けられる。偏心ストッパー520は、長径部520aと短径部520bを有する。また、スライドプレート506には、アーム507の回動を案内するための案内部材523が取付けられる。
【0131】
アーム507の先端には、墨を押圧するための錘541および542が取付けられる。スライドプレート506の先端には、アーム507の回動を係止させるための保持機構530が設けられている。保持機構530のピン531の先端531aの径は、相対的に大きい。アーム507の先端には、また、墨保持機構550が設けられる。墨保持機構550は、直線レール551と、U字部材552と、ナット553と、ボルト554と、ゴム製クッション555とを備える。直線レール551は、錘551に沿って延び、ナット553により錘541に取付けられる。ナット553は、手で回すことができるように、径が大きくされている。直線レール551には、U字部材552が固定されている。U字部材552の一方の面には、ゴム製クッション555が取付けられている。ゴム製クッション555と向かい合う面には、ボルト554が取付けられている。
【0132】
図6は、第1方向移動機構500を分解して示す図である。図6を参照して、傾斜アーム503は、一方向に延びるような形状である。傾斜アーム503には、ボルトを受入れるための長穴503aが設けられる。傾斜アーム503には、軸416aを受入れるための切欠503bが設けられる。
【0133】
スライドプレート506は、一方向に延びるように形成される。スライドプレート506には、アーム507を取付けるための穴581が設けられる。スライドプレート581には、スライダ505が固定される。スライダ505には、レール504が移動可能に取付けられる。スライドプレート506には、偏心ストッパー520や案内部材523が取付けられるため、スライドプレート506の幅Wは、比較的広くされる。スライドプレート506の先端には、固定棒533を取付けるための穴582および583が設けられる。
【0134】
アーム507には、アーム507をスライドプレート506に回動可能に取付けるための穴591が設けられる。アーム507には、ボルト592および593により錘541が取付けられる。錘541には、ボルト543により錘542が取付けられる。錘541には、ボルト594が固定されている。
【0135】
直線レール551には、ボルト594を受入れるための長穴(図示せず)が設けられている。長穴がボルト594を受入れた状態でボルト594にねじ553をねじ込んでいくことにより直線レール551が錘541に取付けられる。
【0136】
直線レール551には、長穴を設けずに、ボルト594を受入れることができる径を有する貫通孔を直線レール551の長手方向に複数個設けてもよい。直線レール551には、墨702を保持するためのU字部材552、ボルト554およびゴム製クッション555が取付けられている。
【0137】
図7は、レール504とスライダ505とが噛み合う部分を拡大して示す断面図である。図7を参照して、スライダ505は、レール504を覆うような形状である。レール504とスライダ505との間には、ボール561と保持器562とが設けられる。ボール561は、レール504とスライダ505とが摺動する際の摩擦を低減する働きをする。
【0138】
ボール561は、レール504の部分のうち、ボール561を受入れるための溝504aに接する。ボール561は、スライダ505の部分のうち、ボール561を受入れるための溝505aに接する。ボール561は、レール504の両側にそれぞれ複数個配置される。保持器562は、ボール561を位置決めする。保持器562には、ボール561を受入れるための穴が設けられ、この穴内にボール561が設けられる。レール504およびスライダ505は、紙面の手前から奥方向へ延びている。
【0139】
図8は、保持機構530の機能を説明するために示す墨磨機の斜視図である。図8を参照して、L形プレート300、ギア支持用プレート330、モータ支持用プレート340、モータ400、ギア群410、傾斜アーム503、クランク501、リンク502、スライダ505およびスライドプレート506については、図8は、図2に記載されたものと同様のものを示すので、その説明は繰返さない。
【0140】
スライドプレート506の先端に取付けられた保持機構530は、墨702を磨り終えたときに墨702を硯701から離れた位置で保持する役割を果たす。墨を磨り終えた後、モータ400の駆動を停止させる。アーム507を、墨702が硯701から離れる方向へ回動させ、アーム507の下端がピン531よりも高い位置にきたときに、ピン531を固定棒533の穴へ押込む。このとき、ピン531は、ばね532により押し戻されようとする。この状態で、アーム507を、墨702が硯701へ近づく方向へ回動させると、アーム507がピン531と接触する。ピン531を押す力を緩めると、ピン531は元へ戻ろうとするが、ピン531の先端531aの径が大きくなっているため、ピン531の先端531aがアーム507に引っ掛かり、図8で示すような位置でアーム507を係止することができる。
【0141】
次に、硯701に墨702を接触させる場合には、まず、図8で示す状態から、アーム507を、墨702が硯701から離れる方向へ回動させる。すると、ピン531の先端531aがアーム507に引っ掛からなくなる。ピン531は、ばね532により押されているため、ピン531の先端531aが固定棒533に接触する位置まで動く。その後、墨702が硯701へ近づく方向へアーム507を回動させれば、墨702を硯701に接触させることができる。
【0142】
図9は、この発明の別の局面に従った第1方向移動機構800の側面図である。図9を参照して、第1方向移動機構800は、図1で示す第1方向移動機構500と同様のクランク501、リンク502、傾斜アーム503、レール504、およびスライダ505を備える。なお、これらの部材については、図9では示していない。
【0143】
第1方向移動機構800は、第1方向スライダとしてのスライドプレート816と、レール部材としてのレール815と、墨ホルダとしての移動部820と、第1の係止部材としての偏心ストッパー824とを備える。スライドプレート816には、スライダ505(図9では示さず)とレール504が取付けられている。レール504はスライドプレート816の一方端部816aから延びるように設けられる。
【0144】
スライドプレート816には、リンク502を回動可能に取付けるための受け金817が設けられる。スライドプレート816の他方端部816bには、レール815が固定されている。
【0145】
スライドプレート816の他方端部816bには、「J」字状のプレート811が取付けられている。スライドプレート816の他方端部816bには、レール815に対して移動することが可能な移動部820が設けられている。移動部820は、錘821と、スライダ支持台822と、スライダ823と、偏心ストッパー824と、ピン831と、墨保持機構850とを備える。
【0146】
錘821は、墨を押圧するために設けられる。錘821には、スライダ支持台822が固定されている。スライダ支持台822には、スライドプレート816の延びる方向とほぼ直交する方向に延びるようにスライダ823が設けられる。スライダ823はレール815と噛み合っており、スライドプレート816の延びる方向とほぼ直交する方向に移動することが可能である。
【0147】
錘821には、ねじ825により、偏心ストッパー824が取付けられている。偏心ストッパー824は、径が相対的に長い長径部824aと、径が相対的に短い短径部824bとを有する。偏心ストッパー824は、スライドプレート816と接触することにより、移動部820の下方向への移動範囲を制限する。
【0148】
錘821には、ストッパー826が固定されている。ストッパー826はプレート811と接触し、移動部820の上方向への移動範囲を制限する。錘821には、墨を硯から離した状態で移動部820を係止させるための係止部材としての保持機構が設けられる。保持機構は、ピン831を有する。このピン831は、図8で示すピン831と同様のものであり、ピン831を押すためのばねも設けられている。また、ピン831の先端831aの径は相対的に太くなっている。ピン831の先端831aがプレート811の先端811aと引っ掛かることにより、墨を硯から離した位置で移動部820を一時的に係止させることができる。
【0149】
墨保持機構850は、直線レール851と、筒状部材852と、ナット853と、ボルト854と、ゴム製クッション855とを備える。直線レール851は、一方向に延び、錘821を受入れるような形状である。直線レール851には、錘821に固定されたボルトを受入れるための長穴が設けられる。長穴にボルトを受入れさせた状態でボルトにナット853をねじ込んでいくことにより直線レール851が錘821に取付けられる。
【0150】
直線レール851には、筒状部材852が固定されている。筒状部材852には、ボルト854が取付けられている。また、ボルト854が取付けられた面と向かい合う面には、ゴム製クッション855が取付けられている。ボルト854をねじ込んでいくことにより、ボルトの先端854aがゴム製クッション855に近づいていくので、ゴム製クッション855とボルトの先端854aとの間に墨を挟むことができる。
【0151】
墨を墨保持機構850が保持した挟んだ状態で墨を硯に接触させたときに、スライドプレート816と偏心ストッパー824の下面との距離がH2 になったとすると、このH2 が、墨を磨る量に対応する。
【0152】
図10は、レール815と、スライダ823とが噛み合う部分を拡大して示す断面図である。図10を参照して、レール815とスライダ823とは、ともに、紙面の手前側から奥側へ延びている。レール815とスライダ823との間には、ボール861が設けられる。ボール861は、スライダ823が摺動する際の摩擦を低減する働きをする。レール815には、ボール861を受入れるための溝815aが設けられる。スライダ823には、ボール861を受入れるための溝823aが設けられる。これらの溝815aおよび823aにボール861が接触する。ボール861は、スライダ823の両側にそれぞれ複数個設けられる。
【0153】
図11は、第2方向移動機構600を説明するために示す墨磨機の上面図である。図11を参照して、ベース200にはボルト616によりレール支持プレート611が取付けられている。レール支持プレート611にはレール612が固定されている。ベース200には、ストッパー651がボルト652により取付けられている。レール612に噛み合うようにスライダ613が設けられている。
【0154】
スライダ613は矢印685に示す第3の方向としてのZ軸方向に移動可能である。レール612とスライダ613との間には、図7で示すようなボールと保持器とが設けられている。スライダ613にスライド部材614が固定されている。スライド部材614には、ピン646が固定されている。スライド部材614上にクランク615が設けられている。クランク615には、5つの穴614〜615が設けられている。穴612にピン614が差込まれている。クランク616はシャフト617と連結されている。スライド部材614に設けられたピン646は、他の穴641、643〜645にも差込むことができるため、ピン646とシャフト617との間の距離を変更することができる。そのため、クランク615の長さは調整可能である。穴641にピン646を差し込んだときにクランク615の長さは最も長くなり、穴645にピン646を差し込んだときにクランク615の長さは最も短くなる。
【0155】
ベース200上には、第2方向移動機構600のレール支持プレート621と補助レール630とが互いに同じ方向に延びるように形成されている。レール支持プレート621および補助レール630は、シャフト617が取付けられているL形プレート300を矢印301で示す方向に移動することができるように支持する。
【0156】
図12は、第2方向移動機構600の機能を説明するために示す模式図である。図12を参照して、図12の横方向には、レール支持プレート621やレール622と平行に第2の方向に延びるY軸681が位置している。Y軸と交差するようにレール612上で第3の方向に延びるZ軸682が位置している。Y軸681とZ軸682とは角度θをなす。Y軸681とZ軸682が交差する点が原点680である。
【0157】
Y軸681上にシャフト617が設けられる。シャフト617は、角速度ωで反時計回りに回転する。シャフト617と、シャフトが取付けられるL形プレート300は、Y軸上を動く。
【0158】
Z軸682上には、図11で示すピン646が設けられる。ピン646と、図11で示すスライド部材614およびスライダ613とは、Z軸682上を動く。
【0159】
ピン646とシャフト617とは、クランク615により連結されている。ピン646とシャフト617との間の距離(クランク長さF)は一定である。原点680からシャフト617までの距離はy(変数)であり、原点680からピン646までの距離はz(変数)である。
【0160】
シャフト617が反時計回りに角速度ωで回転すると、クランク長さFが一定であるため、シャフト617は、矢印681aで示す方向に移動し、ピン646は、矢印682aで示す方向に移動する。
【0161】
さらにシャフト617を回転させると、矢印681aで示す方向へのシャフト617の運動成分が小さくなり、シャフト617は、矢印681bで示す方向に移動するようになる。このとき、ピン646は、矢印682aで示す方向に移動する。
【0162】
さらにシャフト617を回転させると、ピン646の矢印682aで示す方向への運動成分が小さくなり、ピン646は、矢印682bで示す方向に移動するようになる。このとき、シャフト617は、矢印681bで示す方向に移動する。
【0163】
シャフト617を回転させると、シャフト617の矢印681bで示す方向への運動成分が小さくなり、シャフト617は矢印681aで示す方向に移動するようになる。このとき、ピン646は、矢印682bで示す方向へ移動する。
【0164】
シャフト617をさらに回転させると、ピン646の、矢印682bで示す方向の運動成分が小さくなり、ピン646は、矢印682aで示す方向へ運動するようになる。これにより、図12に示す状態に戻る。
【0165】
この動作について、原点680からシャフト617までの距離yと、原点680からピン646までの距離zと、時間tとの関係を数式で表わすと、以下のようになる。
【0166】
y=zcosθ−Fcosωt
z=ycosθ+Fcos(ωt−θ)
ここで、Fは、クランクの長さであり、定数である。
【0167】
上述の2つの式からzを消去して整理すると以下の式が得られる。
y=Fcosecθ・sin(ωt−θ)
この式は、原点680からシャフト617までの距離yが、Y軸上で単振動をすることを表わす。振幅はFcosecθで表わされる。この振幅は、θが90°のときFとなり最小値となる。θが90°から増加してもまたは減少しても振幅は連続的に増加する。そのため、シャフト617が取付けられるL形プレート300もY軸681上で振幅がFcosecθの単振動をすることを表わす。さらには、そのL形プレート300に第1方向移動機構500を介して取付けられた墨もY軸681の延びる方向で振幅がFcosecθの単振動をすることとなる。
【0168】
図13は、L形プレート300を支持する構造を説明するために墨磨機を拡大して示す一部断面図である。図13を参照して、ベース200には、脚201が取付けられる。ベース200には、図5と同様のレール支持プレート611、レール612、スライド613、スライド614、クランク615およびシャフト617が設けられる。
【0169】
ベース200には、支柱624が固定されている。支柱624上には、紙面の手前から奥へ延びるレール支持プレート620が設けられている。レール支持プレート621には、L形プレート300をレール支持プレート621が延びる方向に移動できるように支持するスライド機構690が設けられる。スライド機構690は、レール622と、スライダ623と、ボール661と、保持器662により構成される。
【0170】
レール622は、レール支持プレート621に固定される。レール622は、レール621が延びる方向と同じ方向に延びる。スライダ623はL形プレート300の水平プレート310に固定される。
【0171】
ボール661は、レール622とスライダ623との間に設けられる。ボール661は、レール622の両側に、それぞれ複数個設けられる。ボール661は、スライダ623がレール622に対して移動する際の摩擦を少なくする働きを有する。ボール661を位置決めするための保持器662がレール622とスライダ623との間に設けられている。保持器662には貫通孔が形成されており、この貫通孔内にボール661が位置決めされている。
【0172】
ベース200上には、ボルト636と、ナット637〜639を用いて補助レール630が取付けられている。ナット637および638の位置を変更することにより、ベース200から補助レール630までの距離を調整することが可能である。補助レール630を抱え込むように金具631が設けられる。金具631の一方端部631aは、L形プレート300の水平面310に固定される。金具631の他方端部631bは、補助レール631の下に位置する。金具631の他方端部631bは、補助レール630に僅かに接触しているだけである。
【0173】
金具631には、車輪632がボルト633とナット634および635により取付けられる。車輪632は、金具631に対して回転可能である。車輪632は、補助レール630に接する。車輪632は、中心部に位置する芯部と、その芯部の周囲に設けられ、芯部に対して回転する回転部とにより構成される。この芯部をナット634および635で挟み込むことにより、車輪632は金具631に取付けられ、かつ回転することが可能である。
【0174】
L形プレート300から金具631にかけられた荷重は、ボルト633を介して車輪632へ伝わり、車輪632から補助プレート630およびベース200へ伝わる。L形プレート300が補助レール630の延びる方向に動くと、車輪632が補助レール630上を転がる。
【0175】
次に、上述した墨磨機において、モータ400の回転力がどのようにして墨702を動かすかについて、図1、3、4および11を用いて説明する。
【0176】
モータ400がスプールギア411を矢印411aで示す方向へ回転させると、この回転力は、スプールギア412と、ベベルギア415および416と、軸416aに伝えられて軸416aが矢印461で示す方向に回転する。これにより、クランク501も矢印461で示す方向に回転する。クランク501の他方端部501bに取付けられたリンク502は、矢印709で示すX軸方向にのみ運動可能なスライドプレート506に回動可能に取付けられているため、リンク502は、クランク501の他方端部501bの運動成分のうち、矢印709で示すX軸方向の運動成分のみをスライドプレート506に伝える。スライドプレート506に取付けられたアーム507と、アーム507の先端に錘541と墨保持機構550を介して取付けられた墨702も矢印709で示すX軸方向に往復運動をする。
【0177】
また、スプールギア412の回転は、スプールギア414および413と、ウォーム417と、ウォームホイール418にも伝わり、ウォームホイール418が矢印418aで示す方向に回転する。このウォームホイール418aに取付けられたシャフト617も矢印418aで示す方向に回転する。これにより、図12で示したように、シャフト616は、Y軸681上、すなわち、レール622の延びる方向で往復運動(単振動)をする。これにより、シャフト617が取付けられたL形プレート300と、L形プレート300に第1方向移動機構500を介して取付けられた墨702も図1の矢印301で示す方向に往復運動する。
【0178】
その結果、墨702が矢印709で示す方向と矢印301で示す方向とに往復運動する。すなわち、墨702が2次元的な拡がりをもった墨磨り運動をすることになる。
【0179】
次に、墨を磨る量の調整方法について説明する。図1および図4で示すような第1方向移動機構500を墨磨機100に取付けた場合には、偏心ストッパー520とアーム507との間の距離H1 と、墨が磨られる量とが比例する。以下の3つの手法のいずれでも、H1 を調節することができる。
【0180】
(1) ボルト554を用いて墨702をU字部材552に取付ける際に、墨702を取付ける場所を変えてH1 を調節する。
【0181】
(2) 直線レール511を錘541に取付ける際に、ナット553を緩めて直線レール551の取付け位置を調整することにより、H1 を調整する。
【0182】
(3) ボルト521を緩めて偏心ストッパー520を回転させて偏心ストッパー520の取付け位置を調整することにより、H1 を調整する。
【0183】
次に、図9で示す第1方向移動機構800を墨磨機100に取付けた場合には、偏心ストッパー824とスライドプレート816との間の距離H2 が墨の磨る量となる。以下の3つの手法のいずれでもH2 を調整することができる。
【0184】
(1) ボルト854を用いて墨702を筒状部材852に取付ける際に、墨702を取付ける場所を調整してH2 を調整する。
【0185】
(2) 直線レール851を錘821に取付ける際に、ナット851を緩めて直線レール851の取付け位置を調整することにより、H2 を調整する。
【0186】
(3) ボルト825を緩めて偏心ストッパー824を回転させて偏心ストッパー824の取付け位置を調整することにより、H2 を調整する。
【0187】
次に、墨702が矢印709で示すX軸方向に動く距離の調整について説明する。この距離は、クランク501の長さ、すなわち、軸416aからボルト509までの距離により決まる。そのため、ボルト509をクランク501に設けられたねじ穴511〜514のいずれかにねじ込むことにより、墨702の移動量を調整できる。
【0188】
次に、墨702が矢印301で示すY軸方向に動く距離の調整について説明する。この距離は、クランク615の長さと、レール612とレール622とのなす角θとにより決まる。そのため、墨702の、矢印301で示すY軸方向に墨702が動く距離を決めるには、以下の2つの手法が考えられる。
【0189】
(1) クランク615の長さは、すなわちシャフト617からピン646までの距離を調整する。具体的には、ピン646を、穴641〜645のいずれか適当なものに差し込む。
【0190】
(2) ボルト616を緩めて、レール612と、レール622とのなす角度θを調整する。具体的には、θが90°に近づくほど、矢印301で示すY軸に墨が動く距離は小さくなり、θが90°から離れるほど、距離は大きくなる。
【0191】
なお、X軸方向、Y軸方向の移動量の調整は、図9で示す第1方向移動機構800を墨磨機100に取付けた場合も同様である。
【0192】
次に、傾斜アーム503の傾きの調整について説明する。図14は、傾斜していない表面を有する硯を示す図であり、図15は、傾斜した表面を有する硯を示す図である。図14を参照して、傾斜していない表面701aを有する硯701を用いる場合には、墨磨機100のボルト508を緩めて、レール504が傾かないように、すなわち、レール504が表面701aに沿うように傾斜アーム503を位置決めする。その後ボルト508をねじ込んで傾斜アーム503を垂直プレート320に取付ける。この状態で墨702を矢印709で示すX軸方向に往復運動させれば、墨702は、硯701の陸703と海704との間で、表面701aと摺動するため、磨墨液706を得ることができる。
【0193】
また、図15で示すような、表面711aが傾斜した硯711を用いる場合には、ボルト508を緩め、傾斜アーム503を傾斜させてレール504の傾きが表面711aに沿うように傾斜アームを位置決めする。その後、ボルト508をねじ込んで傾斜アーム503を垂直プレート520に取付ける。この状態で、墨702を矢印709で示すX軸方向に往復運動させれば、墨702は表面711a上で摺動し、磨墨液706を得ることができる。
【0194】
なお、傾斜アーム503の傾きの調整については、図9で示す第1方向移動機構800を墨磨機100に取付けた場合も同様である。
【0195】
次に、墨を磨る際の具体的な手順について説明する。まず、図1で示す墨磨機100と図14で示す硯701を用いる場合について説明する。アーム507がスライドプレート506と平行(すなわち水平)になるように偏心ストッパー520の位置を調整する。一度この調整をしておけば、以後偏心ストッパー520の位置を変更する必要はない。
【0196】
偏心ストッパー520は、アーム507がスライドプレート506に平行になったときにアーム507と接触する。これにより、アーム507がその位置より下に下がらないように、すなわち墨磨りが進行しないようにするものである。
【0197】
次に、硯701の表面701aに墨702の表面が触れる位置でU字部材552に墨702を取付ける。このとき、ナット553は少し緩めておき、直線レール551が錘541に仮固定された状態とする。次に、アーム507を、墨702が硯701から離れる方向(上方向)へ持ち上げる。すると、直線レール551や墨702も高さSだけ持ち上がる。その後、ナット553を緩めて墨702と直線レール551とを高さSだけ下ろして墨702と硯701とを接触させる。この高さSが、墨702が磨られる量を示す。ナット553を締めることにより錘541に直線レール551を取付ける。これで設定が終了する。
【0198】
その後、モータ400を駆動することにより、墨保持機構550に固定された墨は、海704の窪みに応じて若干上下にも回動し、磨墨液をかき上げながら墨磨り運動を行なう。墨保持機構550と、アーム507の回動の中心であるピン529との間の長さは海704の窪みの深さに対して十分大きいため、この上下の回動は軽快である。墨が磨られるに従って、墨保持機構550は徐々に下方向へ回動する。
【0199】
最後に、アーム507が偏心ストッパー520に接触すると、墨はこれ以上磨られることがない。すなわち、墨磨りが終了し、墨は水平運動をする。このとき、モータ400には墨磨りによる負荷がかからず無負荷の空転状態となる。墨702の先端は海704には入らないが、磨墨液の表面張力により、空転中も墨702の先端と硯701の表面701aとの間には常に磨墨液が付着する。これは、墨磨機にとって非常に好ましい現象である。海704の水位と硯の表面701aとの段差が約5mm以下であれば、この状態が維持される。墨702の表面と硯701の表面701aとは直接接触していないので、これらは互いに凝着することがない。
【0200】
適当な頃合いをみてモータ400を止め、墨保持機構550を持ち上げて保持機構530により墨702を硯701から十分に離して保持する。これにより、墨磨りが完了する。
【0201】
次に、図9で示す第1方向移動機構800を有する墨磨機と硯701とを用いた場合について説明する。まず、偏心ストッパー824をスライドプレート816に接触させる。ボルト854の先端854aとゴム製クッション855との間に墨702を置き、ボルト854をねじ込んでいくことにより、墨702の先端を硯701に接触させた状態で墨702を筒状部材852に取付ける。このとき、ナット853は緩めておき、直線レール851が錘821に仮固定された状態とする。次に、移動部820を高さSだけ持ち上げる。すると、錘821、直線レール851、墨702も高さSだけ持ち上がる。次に、ナット853を緩めて、墨702の先端を硯701に接触させる。ナット853を締めていくことにより直線レール851を錘821に取付ける。この状態でモータ400を駆動させることにより、墨保持機構850に固定された墨は、硯の海704と陸703とを往復し、墨磨り運動が行なわれる。
【0202】
墨が磨られるに従って、墨保持機構850は徐々に下に下がる。偏心ストッパー824とスライドプレート816とが接触すると、墨はこれ以上磨られることがない。すなわち、墨磨りが終了し、墨は水平運動する。このとき、磨墨液の表面張力により、硯701と墨702との間には常に磨墨液が付着する。適当な頃合いをみてモータ400を止め、ピン831を用いて墨702が硯701から離れた状態に保持して墨磨りが完了する。
【0203】
次に、図1で示す墨磨機100と、図15で示す硯711を用いて墨を磨る場合について説明する。
【0204】
まず、ボルト805を緩め、スライドプレート506の傾きが硯711の表面711aの傾斜(通常は5°程度)となるように傾斜アーム503を傾斜させて傾斜アーム503を水平プレート320に取付ける。墨702を墨保持機構550に保持させる方法は、上述の海と陸面のある硯701を用いた場合と同様である。
【0205】
墨702が磨られると墨保持機構550は徐々に下がり、アーム507が偏心ストッパー520に接触する。この状態では、墨は磨られないが、墨は常に硯711の表面711aに平行に運動し、墨702の先端は磨墨液706へ入ったり出たりする。墨702と硯711の表面711aとは直接接触しないので、これらは互いに凝着しない。
【0206】
その後、モータ400の駆動を止めて墨保持機構530により墨702を硯711から離れた状態で保持することにより墨磨りが終了する。
【0207】
次に、図9で示す第1方向移動機構800を有する墨磨機と硯711を用いる場合について説明する。ボルト508を緩め、スライドプレート816を、硯711の表面711aの傾斜角(通常は5°程度)に合わせて傾斜アーム503を垂直プレート320に取付ける。墨702を墨保持機構850に保持する方法は、上述の海と陸のある普通の硯の場合と同様である。
【0208】
モータ400を駆動させると、墨が磨られ、墨保持機構850は徐々に下がり、偏心ストッパー824がスライドプレート816に接触する。これにより、墨が磨られなくなり、墨702は硯711の表面711aに平行に運動し、墨702の先は磨墨液706に入ったり出たりする。墨702と硯711の表面711aとは直接接触しないので、これらは互いに凝着しない。
【0209】
その後、モータ400の駆動を止め、ピン831により、墨702を硯711から離した状態で保持することにより、墨磨りが完了する。
【0210】
以上説明した墨磨機を用いれば、以下の効果が得られる。
まず、墨702は、墨保持機構550や錘541を介して、矢印709で示すX軸方向にのみ移動可能なスライドプレート506に取付けられる。そのため、墨702がリンクの端部に取付けられた場合に比べて墨702に加わる鉛直方向の荷重が一定となる。したがって、墨の動作が円滑なものとなり、墨磨機が停止することや、墨702が硯701を傷つけることはない。
【0211】
また、所定量の墨が磨られると、墨702の先端は、硯701の表面701aから浮いた状態(墨702の表面と硯701の表面701aとが磨墨液に接触している状態)となるため、墨702の表面が硯701の表面701aに凝着しない。そのため、硯701の表面を傷つけることがない。
【0212】
また、墨702を矢印301で示すY軸方向へ移動させるために、リミットスイッチなどの機構を用いることがない。そのため、リミットスイッチなどが故障することがなく、装置の故障を防ぐことができる。
【0213】
さらに、ギア群410やクランク501および615は、常に一定の方向へ回転するため、これらを取付けるねじが緩むことがない。そのため、墨磨機100が故障するのを防止することができる。
【0214】
さらに、墨702が矢印301で示すY軸方向に移動する幅は、ピン646を穴641〜645のいずれかに差し込むことにより、また、レール612とレール622とのなす角度を変更することにより調整することができる。そのため、硯701の幅に応じて墨702の、矢印301で示すY軸方向への移動量を調整することができる。
【0215】
さらに、一般に、長期間手で墨磨りを行なった硯は、概ね、硯の陸の中央部が多く摩耗して窪みができている。このような硯と、本発明による墨磨機とを用いて墨磨りを行なうと、墨磨りの終了の頃には、墨の先端は窪みと接触しないで、窪みの周辺部分にのみ接触するから、結果的には硯の表面を平らな形に修正する効果がある。
【0216】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、ここで示した実施の形態はさまざまに変形することが可能である。まず、各部材を構成する材料としては、一般に用いられているさまざまなものを使うことができる。また、墨磨機全体を覆うような函体を設けてもよい。さらに、第1方向移動機構や第2方向移動機構を潤滑するための潤滑装置を設けてもよい。
【0217】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0218】
【発明の効果】
この発明の効果をまとめると、以下のようになる。
【0219】
(1) 墨は滑らかに前後方向に直進運動をし、従来品のように大振り運動をしない。そのため、扱いやすく、硯を傷つけたり、墨汁が飛散するなどの危険がない。
【0220】
(2) 墨磨りが終了しても、陸の表面と墨の先とは表面張力により墨液でつながった状態となる。そのため、墨と硯の表面とが凝着することがない。なお、この状態で運転しても無負荷運転であるため、消費電力はごく僅かである。
【0221】
(3) モータの回転が常に一定方向であるため、電気回路が簡単で、故障の確率が少ない。また、比較的廉価である。
【0222】
(4) モータの回転が、クランクの長さを調整するねじが緩まない向きに設定されているため、ねじ位置の変更が容易である。
【0223】
(5) 従来の墨磨機のように墨磨り量をタイマにより決めないで、磨る墨の長さで決めるので、墨の取付け位置の設定が簡単である。
【0224】
(6) 海と陸の区別のある硯と、その区別がない傾斜型硯の2種類の硯に対して、ねじの位置の調整1つで使用できる。
【0225】
(7) 縦と横の2方向の墨磨りの運動範囲を、硯の大きさに応じて容易に調整できる。
【0226】
(8) 墨を保持する部分の位置を、アームに対してさまざまに変更することができるため、短くなった墨を使用することができる。
【0227】
(9) 手動で使用されることにより中央部が多く摩耗して窪みのある硯に本発明の墨磨機を適用すると、結果的に硯の表面を整形する効果がある。
【0228】
(10) 墨の磨る圧力を、錘を変えるだけで簡単に変更できる。
(11) 墨を磨り終わると、墨を硯から大きく離して簡単に支持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従った墨磨機の斜視図である。
【図2】この発明に従った墨磨機の分解斜視図である。
【図3】図1で示す墨磨機の上面図である。
【図4】第1方向移動機構500を拡大して示す斜視図である。
【図5】図1で示す墨磨機の側面図である。
【図6】第1方向移動機構500を分解して示す図である。
【図7】レール504とスライダ505とが噛み合う部分を拡大して示す断面図である。
【図8】保持機構530の機能を説明するために示す墨磨機の斜視図である。
【図9】この発明の別の局面に従った第1方向移動機構を示す側面図である。
【図10】レール815とスライダ823とが噛み合う部分を拡大して示す断面図である。
【図11】第2方向移動機構600を説明するために示す墨磨機の上面図である。
【図12】第2方向移動機構600の機能を説明するために示す模式図である。
【図13】L形プレート300を支持する構造を説明するために墨磨機を拡大して示す一部断面図である。
【図14】表面が傾斜していない硯の模式図である。
【図15】表面が傾斜している硯の模式図である。
【図16】公報に記載された従来の墨磨機の斜視図である。
【図17】従来の墨磨機の斜視図である。
【符号の説明】
100 墨磨機
200 ベース
300 L形プレート
310 水平プレート
320 垂直プレート
400 モータ
500,800 第1方向移動機構
501,615 クランク
501a 一方端部
501b 他方端部
502a,505a リンク
502a,505b 一方端部
502b,505b 他方端部
503 傾斜アーム
504,612,622 レール
505,613 スライダ
506,816 スライドプレート
507 アーム
507a 一方端部
507b 他方端部
520,824 偏心ストッパー
530 保持機構
550,850 墨保持機構
600 第2方向移動機構
614 スライド部材
Claims (17)
- 硯の表面上で墨を移動させることによって墨を磨るための墨磨機であって、
ベースと、
前記ベースの上で移動可能に配置された移動部材と、
回転駆動手段と、
墨を前記移動部材に対して第1の方向に移動させることができ、かつ前記回転駆動手段から与えられた第1の回転運動を前記第1の方向に沿った並行移動に変換させるための第1方向移動機構と、
前記第1の方向に交差する第2の方向に前記移動部材を移動させることができ、かつ前記回転駆動手段から与えられた第2の回転運動を前記第2の方向に沿った並行移動に変換させるための第2方向移動機構とを備え、
前記第1方向移動機構は、前記回転駆動手段から与えられた前記第1の回転運動の回転軸のまわりに回転可能に取付けられた一方端部を有する第1のクランクと、
前記第1のクランクの他方端部に対して回動可能に取付けられた一方端部を有する第1のリンクと、
前記第1のリンクの他方端部に対して回動可能に取付けられた一方端部と、墨を保持する他方端部とを有する第1方向スライダと、
前記第1方向スライダを前記第1の方向に沿って移動可能に支持し、かつ前記移動部材に取付けられた第1方向レールとを含み、
第2方向移動機構は、第2方向軸上でスライドし、回転可能なシャフトと、
第2方向軸に対して角度θをなす第3方向軸上でスライドするピンと、
前記ピンと前記シャフトとを連結する長さFのクランクとを含み、
前記シャフトを回転させることで前記シャフトの変位yはFcosecθ・sin(ωt−θ)となり、前記角度θを調整することで第2方向の振幅を調整することが可能である、墨磨機。 - 硯の表面上で墨を移動させることによって墨を磨るための墨磨機であって、
ベースと、
前記ベースの上で移動可能に配置された移動部材と、
回転駆動手段と、
墨を前記移動部材に対して第1の方向に移動させることができ、かつ前記回転駆動手段から与えられた第1の回転運動を前記第1の方向に沿った並行移動に変換させるための第1方向移動機構と、
前記第1の方向に交差する第2の方向に前記移動部材を移動させることができ、かつ前記回転駆動手段から与えられた第2の回転運動を前記第2の方向に沿った並行移動に変換させるための第2方向移動機構とを備え、
前記第2方向移動機構は、前記回転駆動手段から与えられた前記第2の回転運動の回転軸を構成するシャフトのまわりに回転可能に取付けられた一方端部を有する長さFの第2のクランクと、
前記第2のクランクの他方端部に対して回動可能に取付けられた一方端部を有し、かつ前記第2の方向に角度θをなして交差する第3の方向に移動することが可能な第3方向スライダと、
前記移動部材を前記第2の方向に沿って移動可能に支持し、かつ前記ベースに取付けられた第2方向レールと、
前記第3方向スライダを前記第3の方向に沿って移動可能に支持し、かつ前記ベースに取付けられた第3方向レールとを含み、
前記シャフトを回転させることで前記シャフトの変位yはFcosecθ・sin(ωt−θ)となり、前記角度θを調整することで第2方向の振幅を調整することが可能である、墨磨機。 - 硯の表面上で墨を移動させることによって墨を磨るための墨磨機であって、
ベースと、
前記ベースの上で移動可能に配置された移動部材と、
回転駆動手段と、
墨を前記移動部材に対して第1の方向に移動させることができ、かつ前記回転駆動手段から与えられた第1の回転運動を前記第1の方向に沿った並行移動に変換させるための第1方向移動機構と、
前記第1の方向に交差する第2の方向に前記移動部材を移動させることができ、かつ前記回転駆動手段から与えられた第2の回転運動を前記第2の方向に沿った並行移動に変換させるための第2方向移動機構とを備え、
前記第1方向移動機構は、前記回転駆動手段から与えられた前記第1の回転運動の回転軸のまわりに回転可能に取付けられた一方端部を有する第1のクランクと、
前記第1のクランクの他方端部に対して回動可能に取付けられた一方端部を有する第1のリンクと、
前記第1のリンクの他方端部に対して回動可能に取付けられた一方端部と、墨を保持する他方端部とを有する第1方向スライダと、
前記第1方向スライダを前記第1の方向に沿って移動可能に支持し、かつ前記移動部材に固定された第1方向レールとを含み、
前記第2方向移動機構は、前記回転駆動手段から与えられた前記第2の回転運動の回転軸を構成するシャフトのまわりに回転可能に取付けられた一方端部を有する長さFの第2のクランクと、
前記第2のクランクの他方端部に対して回動可能に取付けられた一方端部を有し、かつ
前記第2の方向に角度θをなして交差する第3の方向に移動することが可能な第3方向スライダと、
前記移動部材を前記第2の方向に沿って移動可能に支持し、かつ前記ベースに取付けられた第2方向レールと、
前記第3方向スライダを前記第3の方向に沿って移動可能に支持し、かつ前記ベースに取付けられた第3方向レールとを含み、
前記シャフトを回転させることで前記シャフトの変位yはFcosecθ・sin(ωt−θ)となり、前記角度θを調整することで第2方向の振幅を調整することが可能である、墨磨機。 - 硯の表面上で墨を移動させることによって墨を磨るための墨磨機であって、
ベースと、
前記ベースの上で移動可能に配置された移動部材と、
回転駆動手段と、
墨を前記移動部材に対して第1の方向に移動させることができ、かつ前記回転駆動手段から与えられた第1の回転運動を前記第1の方向に沿った並行移動に変換させるための第1方向移動機構と、
前記第1の方向に交差する第2の方向に前記移動部材を移動させることができる第2方向移動機構とを備え、
前記第2方向移動機構は、前記回転駆動手段から与えられた、シャフトによる第2の回転運動を、前記シャフトに接続されて回転する長さFのクランクを用いて前記第2の方向に沿った第2の並行運動成分と、前記第2の方向に角度θをなして交差する第3の方向に沿った第3の並行運動成分とに分解し、
前記第2の並行運動成分を前記第1の方向に沿った並行運動に合成することによって墨を移動させ、
前記シャフトを回転させることで前記シャフトの変位yはFcosecθ・sin(ωt−θ)となり、前記角度θを調整することで第2方向の振幅を調整することが可能である、墨磨機。 - 前記第1の方向と硯の表面とのなす角度を変更することができるように前記第1のレールは前記移動部材に取付けられている、請求項1または3に記載の墨磨機。
- 前記第1のクランクの長さは調整可能である、請求項1、3または5のいずれか1項に記載の墨磨機。
- 前記第1方向スライダに対して回動可能に取付けられた一方端部を有する回動アームと、前記回動アームの他方端部に取付けられて墨を保持する墨ホルダと、前記第1方向スライダに取付けられて前記回動アームの回動を係止させる第1の係止部材とをさらに備える、請求項1、3、5または6のいずれか1項に記載の墨磨機。
- 前記回動アームの他方端部には錘が取付けられている、請求項7に記載の墨磨機。
- 前記第1方向スライダに取付けられて前記回動アームを前記第1の係止部材から離隔した待機位置で係止させる第2の係止部材をさらに備える、請求項7または8に記載の墨磨機。
- 前記第1方向スライダの他方端部に取付けられたレール部材と、前記レール部材に沿って硯の表面に近接した位置と硯の表面から離隔した位置との間で直線移動可能に設けられて墨を保持する墨ホルダと、前記墨ホルダに取付けられて前記墨ホルダの直線移動を前記第1方向スライダに係止させる第1の係止部材とをさらに備える、請求項1、3、5または6のいずれか1項に記載の墨磨機。
- 前記墨ホルダには錘が取付けられている、請求項10に記載の墨磨機。
- 前記墨ホルダに取付けられて前記墨ホルダを前記第1の係止部材か
ら離隔した待機位置で前記第1方向スライダに係止させる第2の係止部材をさらに備える、請求項11に記載の墨磨機。 - 前記第2方向レールと前記第3方向レールとは、それらのなす角度を変更することができるように前記ベースに取付けられている、請求項2または3に記載の墨磨機。
- 前記第2のクランクの長さは調整可能である、請求項2、3または12のいずれか1項に記載の墨磨機。
- 前記回転駆動手段は前記移動部材に取付けられている、請求項1〜14のいずれか1項に記載の墨磨機。
- 前記移動部材は、第1方向移動機構を支持する第1プレートと、前記回転駆動手段を支持する第2プレートとを含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の墨磨機。
- 前記第2方向移動機構は、前記ベースと前記第2プレートとの間に位置付けられている、請求項16に記載の墨磨機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35480598A JP3877888B2 (ja) | 1998-12-14 | 1998-12-14 | 墨磨機 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35480598A JP3877888B2 (ja) | 1998-12-14 | 1998-12-14 | 墨磨機 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000177296A JP2000177296A (ja) | 2000-06-27 |
JP3877888B2 true JP3877888B2 (ja) | 2007-02-07 |
Family
ID=18440030
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35480598A Expired - Fee Related JP3877888B2 (ja) | 1998-12-14 | 1998-12-14 | 墨磨機 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3877888B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4813094B2 (ja) * | 2004-11-30 | 2011-11-09 | 株式会社呉竹 | 墨磨り機 |
JP4813095B2 (ja) * | 2004-11-30 | 2011-11-09 | 株式会社呉竹 | 墨磨り機 |
JP4689254B2 (ja) * | 2004-12-08 | 2011-05-25 | 株式会社呉竹 | 墨磨り機 |
-
1998
- 1998-12-14 JP JP35480598A patent/JP3877888B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2000177296A (ja) | 2000-06-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3877888B2 (ja) | 墨磨機 | |
CN101181780B (zh) | 抛光机的涨紧装置 | |
JP2000271799A (ja) | プレス機 | |
CN211136629U (zh) | 一种发动机链轮轮齿面打磨设备 | |
CN212335503U (zh) | 一种毛巾线圈的挑动机构和单电机梭式毛巾装置 | |
CN212892597U (zh) | 凸轮间歇推料过线机构 | |
CN111364180B (zh) | 单电机360度全方位梭式毛巾装置 | |
CN210879239U (zh) | 一种便于更换抛盘的抛光机 | |
CN209919515U (zh) | 一种便于调节角度的链条生产用打磨装置 | |
CN209914464U (zh) | 一种水稻钵苗移栽机取秧机构 | |
JP3609343B2 (ja) | ローラ | |
CN221778104U (zh) | 一种压脚的差速配合装置以及刺绣机 | |
CN2564781Y (zh) | 电风扇摆动装置 | |
WO2019129488A1 (en) | Clamping device for a saw | |
CN221672541U (zh) | 按摩装置 | |
CN221435322U (zh) | 一种动态视觉定位激光打标机 | |
CN213796979U (zh) | 一种数控开齿机用的往复机构 | |
CN214771995U (zh) | 一种汽车维修用躺板 | |
CN218797859U (zh) | 一种能多方向调节激光清洗头的摆动装置 | |
JPH0911110A (ja) | 小形コンタクトホイル型研磨機 | |
CN219071196U (zh) | 可变振幅的筋膜枪 | |
CN209698915U (zh) | 一种定位机构 | |
JPH07316951A (ja) | レピア織機における緯入れ装置 | |
JP4270298B2 (ja) | 運動器具 | |
CN201124330Y (zh) | 抛光机的涨紧装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040802 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060418 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060614 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060718 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060914 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061003 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061101 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091110 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091110 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091110 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101110 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111110 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |