JP3877769B2 - 組み換えレトロウイルス産生細胞 - Google Patents
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Description
本発明は、組み換えレトロウイルスを産生する細胞に関する。
背景技術
レトロウイルスをベクターとして高等動物細胞へ遺伝子を導入する方法は、遺伝子導入に伴う細胞障害性が低いことや導入した遺伝子が染色体に組み込まれて安定に保持されるなどの優れた特徴を有する。そのためこの方法は、遺伝子導入実験のみならず遺伝子治療にも応用されている。ベクターとして利用されているレトロウイルスはMo-MuLV(Moloney Murine Leukemia Virus)由来のものが主であるが、ALV(Avian Leukosis Virus)由来のものも開発されている。これらのレトロウイルスは1本鎖RNAをゲノムとして持ち、このRNAゲノム上にウイルスを構成するのに必要なタンパク質をコードしているgag、pol、およびenv遺伝子が存在している。ウイルスのRNAゲノムはキャプシドプロティンにより包まれ、さらにその外側をマトリックスプロティン、トランスメンブランプロティン、および表面タンパク質が覆っている。これらのウイルス外皮タンパク質は、ウイルスのgagおよびenv遺伝子にコードされている。また、pol遺伝子には、ウイルスの生活環において重要な逆転写酵素、プロテアーゼおよびインテグラーゼがコードされている。
このようなレトロウイルスが細胞に感染すると、逆転写酵素によりウイルスRNAがDNAに変換され、このDNAはインテグラーゼの働きで細胞の染色体に組み込まれ、プロウイルスとなる。そしてこのプロウイルスからgag、pol、およびenv遺伝子の発現が起こりウイルス粒子が構成されるとともに、RNAウイルスゲノムも産生される。このRNAゲノムがウイルス粒子に包まれることで、ウイルスが複製される。細胞外に放出されると、このウイルスは他の細胞に感染することができる。
このレトロウイルスをベクターとして利用するためには、外来遺伝子を導入した「組み換えレトロウイルス」を調製する必要がある。その基本的な方法はすでに確立されており、組み換えレトロウイルスは「パッケージング細胞」と呼ばれている特殊な細胞を用いて調製される。
パッケージング細胞とは、gag、pol、およびenv遺伝子を持つレトロウイルスゲノムを染色体上に組み込んだ細胞である。この細胞では、ウイルス粒子を構成するのに必要なタンパク質がすべて組み込まれている遺伝子から発現される。パッケージング細胞に組み込まれているレトロウイルス由来のゲノムには変異が導入されている。すなわち、ウイルスゲノムがウイルス粒子に包み込まれるために必要なψ領域が欠失されており、その結果RNAゲノムはウイルス粒子内に包み込まれることはない。ここで、このパッケージング細胞に、2つのLTR(Long Terminal Repeat)領域(一般に、5’LTRと3’LTRの二つであり、5’LTR内には逆転写の開始部位およびウイルスのプロモーター並びにエンハンサー配列が含まれ、また3’LTR内にはポリA付加シグナルが含まれる)と、その間に挟まれた目的外来遺伝子と、ψ領域とを持つプラスミドが導入されると、このプラスミド由来のRNAはウイルス粒子に包み込まれる。こうして外来遺伝子が導入されたレトロウイルスベクターが製造される。この組み換えレトロウイルは標的細胞に感染して、外来遺伝子をその染色体細胞に組み込む。染色体に組み込まれたこの外来遺伝子は、標的細胞中で安定に発現することが可能となる。
このようなレトロウイルスベクターを用いて細胞に遺伝子を導入する場合に、パッケージング細胞から産生される組み換えレトロウイルスの量(すなわち、力価)が多いほど、より多くの細胞へ遺伝子を導入することができる。多くの細胞への遺伝子の導入は、遺伝子導入実験を容易にし、また遺伝子治療を効率よく行うために重要である。
この力価を上げるために、ポリオーマウイルスの初期領域遺伝子と、この初期領域遺伝子のプロモーターを含む複製起点とを組み込んだ、組み換えプラスミドDOLおよびDOL-が構築されている(A.J.Korman, J.D.Frantz, J.L.Strominger. and R.C.Mulligan : Expression of human class II major histocompatibility complex antigens using retrovirus vectors. Proc. Natl. Acad. Sci.USA, 84, 2150-2154(1987))。この組み換えプラスミドは、ポリオーマウイルス初期領域および複製系が応用されたものである。
ここで、ポリオーマウイルスとは、げっし類に感染する環状のDNAウイルスである。このウイルスが細胞に感染すると、そのlarge T抗原、middle T抗原、およびsmall T抗原から構成される初期領域遺伝子が発現し、large T抗原タンパク質がウイルスDNAの複製開始点に作用してその複製が開始される。この際、感染した細胞の核内でウイルスDNA分子が増幅され、多コピーとなることが観察されている。そしてこのような多コピーは、上記の初期領域遺伝子と、この初期領域遺伝子のプロモーター領域を含む複製開始点とが存在すればよいとされている。前記組み換えプラスミドDOLおよびDOL-はポリオーマ複製起点を含むポリオーマ初期領域を有していることから、パッケージング細胞内で多コピーで存在し、その結果プラスミド由来の組み換えレトロウイルスの産生量が増加するものと考えられる。
このようなポリオーマウイルス複製系は、培養細胞での物質の生産系にも応用されている。その具体例として、あらかじめ培養細胞にポリオーマウイルス初期領域の遺伝子を組み込んだ、MOP細胞またはWOP細胞などが知られている。このMOP細胞およびWOP細胞にポリオーマウイルスの複製開始点を持ったプラスミドを導入すると、初期領域遺伝子より発現したlarge T抗原タンパク質によって、導入されたプラスミドのコピー数が増加する(例えば、500〜2000コピー)。その結果、プラスミドに挿入されている外来遺伝子の発現量が増加することとなる。
細胞に導入されたプラスミドは、染色体外DNAとしてか、または染色体に組み込まれた形のいずれかで存在する。染色体外DNAとして存在する場合、前記のようにポリオーマウイルスlarge T抗原タンパク質の働きでコピー数が増加するが、その増加は一過性であり、ピークはプラスミド導入後あるいはlarge T抗原タンパク質発現後48時間〜72時間であり、その後のコピー数は減少する。また、染色体に組み込まれた場合でも、ポリオーマウイルスの複製起点とポリオーマウイルスのlarge T抗原タンパク質との働きで、導入された遺伝子は染色体から切り出され、細胞から失われる。これらの結果から、外来遺伝子の大量の発現は一過性の現象であり、安定的ではないと報告されている(F.G.Kern and C.Basilico: An inducible eukaryotic host-vector expression system: amplification of genes under the control of the polyoma late promoter in a cell line producing a thermolabile large T antigen.Gene 43 237-245(1986))。
パッケージング細胞に関してもポリオーマウイルスの初期領域を組み込んだWgd5細胞が開発されている(A.J.M.Murphy and A.Efstratiadis: Cloning vectors for expression of cDNA libraries in mammalian cells. Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84 8277-8281(1987))。Wgd5は、上記WOP細胞(プロモーターおよび複製起点を欠失させたポリオーマウイルスゲノムで形質転換したNIH3T3細胞)を親株とし、この細胞にψ領域を欠失させたMo−MuLVゲノムを導入して構築したパッケージング細胞である。このWgd5細胞に、ポリオーマウイルス由来の複製起点を持った組み換えプラスミドを導入すると、上記のように複製が一過性ではあるが増加し、この組み換えプラスミドにMo−MuLVのLTRおよびψ領域が含まれている場合には、組み換えレトロウイルスが産生される。
発明の概要
本発明者らは、今般、ポリオーマウイルス初期領域遺伝子を導入したパッケージング細胞において、より力価を向上させることができるとの知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
よって、本発明は高い力価のウイルスを調製するための組み換えレトロウイルス産生細胞の提供をその目的としている。
そして、本発明における組み換えレトロウイルス産生細胞は、ポリオーマウイルス初期領域遺伝子と、ポリオーマウイルス由来の複製起点を含まない組み換えプラスミドまたは組み換えレトロウイルスとが組み換えレトロウイルス調製用パッケージング細胞に導入されてなるもの、である。
【図面の簡単な説明】
図1は、パッケージング細胞に導入することによって、組み換えレトロウイルスを一過性に産生させる組み換えプラスミドの構造を示した図である。
図2は、パッケージング細胞に導入することによって、組み換えレトロウイルスを安定的に産生させる組み換えプラスミドの構造を示した図である。
発明の具体的説明
本明細書において「パッケージング細胞」とは、ウイルス粒子に包み込まれるために必要なψ領域を欠失させたウイルスゲノムを導入し、ウイルス粒子を構成するのに必要なタンパク質をすべて発現させた細胞をいう。本明細書において単に「パッケージング細胞」と言及した場合には、組み換えレトロウイルスを産生するための組み換えプラスミドまたは組み換えレトロウイルスを導入していない細胞をいう。
また、本明細書において「組み換えプラスミド」とは、組み換えレトロウイルスを調製するために、上記パッケージング細胞に導入されるプラスミドをいう。
さらに、本明細書において「組み換えレトロウイルス産生細胞」とは、組み換えレトロウイルスを調製するための細胞であって、上記「パッケージング細胞」に上記「組み換えプラスミド」または「組み換えレトロウイルス」が導入されたものをいう。
本発明による組み換えレトロウイルス産生細胞は、ポリオーマウイルス初期領域遺伝子が導入されてなるパッケージング細胞であって、さらにこのパッケージング細胞に導入される組み換えプラスミドまたは組み換えレトロウイルスはポリオーマウイルスの複製起点を含まないものである。
従来の組み換えレトロウイルスの産生や物質生産においては、ポリオーマウイルスの初期領域遺伝子は、ポリオーマウイルスの複製起点を持つプラスミドと組み合わせて応用されてきた。上記したようにそのレトロウイルスの産生は一過性であり、その後のプラスミドコピー数の減少や導入遺伝子の欠落のため、レトロウイルスの産生を安定的に維持させることは困難であった。
このような従来技術にあって、ポリオーマ複製起点を含まない組み換えプラスミドまたは組み換えレトロウイルスを、ポリオーマウイルス初期領域が導入されたパッケージング細胞に導入することにより、高い力価の組み換えレトロウイルスを安定的に産生させることができたことは、極めて意外であったといえる。
本発明の好ましい態様によれば、本発明における組み換えレトロウイルス産生細胞では、ポリオーマウイルス初期領域遺伝子を含まないパッケージング細胞を用いた組み換えレトロウイルス産生系と比較すると、組み換えレトロウイルスの安定的な産生量が6倍程度上昇する。また、本発明の好ましい態様によれば、本発明による組み換えレトロウイルス産生細胞では、ポリオーマウイルス初期領域遺伝子を含まないパッケージング細胞を用いた組み換えレトロウイルス産生系と比較すると、組み換えレトロウイルスの一過性の産生量が50倍〜100倍程度上昇する。
また、本発明による組み換えレトロウイルス産生細胞は、ポリオーマウイルス初期領域遺伝子が外来遺伝子を含んだ組み換えプラスミドまたは組み換えレトロウイルスとは連結されずに(すなわち、ポリオーマウイルス初期領域遺伝子が組み換えプラスミドまたは組み換えレトロウイルスとは独立して)パッケージング細胞に導入される点で、上記したDOLあるいはDOL-による組み換えレトロウイルス産生系と相違する。
本発明において用いられるポリオーマウイルス初期領域遺伝子は、ポリオーマウイルスゲノム中に存在し、例えばポリオーマウイルスゲノムがクローニングされているプラスミドpPyBamHI(VG020)(国立予防衛生研究所遺伝子バンクより入手、1995年10月1日以降ヒューマンサイエンス研究資源バンクより入手可能)やPolyoma strain A2(ATCC45017)から得ることができる。
本発明において、パッケージング細胞は、ポリオーマウイルス初期領域遺伝子が導入された以外は、通常のパッケージング細胞であってよく、その例としては、ψ2細胞、ψ−AM細胞、PA12細胞、PA317細胞、ψCRE細胞、ψCRIP細胞、GP+envAm12細胞、GP+E−86細胞、ΩE細胞、ampli−GPE細胞等が挙げられる。
このポリオーマ初期領域遺伝子のパッケージング細胞への導入は、通常の方法にて行われる。導入法としては、リン酸カルシウム法、市販のトランスフェクションキットを使用した方法、エレクトロポレーション法、DEAE−デキストラン法等が挙げられる。
パッケージング細胞に導入されるポリオーマウイルス初期領域遺伝子は、プロモーターに作動可能に連結されるのが好ましい。プロモーターの好ましい例としては、動物細胞で一般に使用されるプロモーターが挙げられる。具体的には、メタルチオネインプロモーター、サイトメガロウイルスのIE(immediate early)遺伝子のプロモーター、SV40ウイルス初期領域遺伝子のプロモーター(SV40pro)、MMLV、MMSV、RSV、MMTVのLTRプロモーター、およびそれらの改良型のプロモーター等が挙げられ、好ましくはメタルチオネインプロモーターおよびサイトメガロウイルスのIE遺伝子のプロモーターである。
本発明による組み換えレトロウイルス産生細胞において、パッケージング細胞に外来遺伝子を含んでなる組み換えプラスミドまたは組み換えレトロウイルスが導入されると、その外来遺伝子を含んだ組み換えレトロウイルスが産生される。具体的な組み換えプラスミドまたは組み換えレトロウイルスは、二つのLTR(すなわち5’LTRおよび3’LTR)と、外来遺伝子と、そしてψ領域とを含んで構成されるが、ポリオーマウイルスの複製起点を含まないものである。組み換えプラスミドおよび組み換えレトロウイルスにおいて外来遺伝子は、5’LTRの下流側でかつ3’LTRの上流側に位置する。組み換えレトロウイルスは、例えば、前記組み換えプラスミドをパッケージング細胞に導入することによって得ることができる。このパッケージング細胞は、ポリオーマ初期領域遺伝子を含んでいても、含んでいなくてもよい。
外来遺伝子の種類は特に限定されず、その大きさも使用するベクターによって適宜選択することができる。また、外来遺伝子は5’LTRプロモータ以外の任意のプロモーター(例えば、SV40由来のプロモーター)に作動可能に連結されていてもよい。本発明によれば、この組み換えプラスミドは従来のポリオーマウイルス初期領域遺伝子を含んだプラスミドDOLまたはDOL-に比較して、ポリオーマウイルス初期領域遺伝子の3.6kb断片を含まない。よって、組み換え部位に挿入する外来遺伝子の大きさの制限が緩和される点でも極めて有利である。本発明の好ましい態様によれば、例えば、プラスミドとしてpTY1を用いた場合には、約8kbpまでの大きさの外来遺伝子を導入することが可能である。
組み換えプラスミドのパッケージング細胞への導入は、通常行われている手法によって行うことできる。例えばリン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法、DEAE−デキストラン法、リポフェクション法が挙げられ、市販のトランスフェクションキットを使用して導入を行うことができる。また、組み換えレトロウイルスのパッケージング細胞への導入も、通常行われている手法によって行うことできる。
組み換えプラスミドまたは組み換えレトロウイルスを導入する場合には、導入細胞選択のため選択マーカー遺伝子を組み換えプラスミドまたは組み換えレトロウイルス中に含んでいてもよい。あるいは、選択マーカー遺伝子を含まない組み換えプラスミドを導入する場合には、選択マーカーを有する他のプラスミドとコトランスフェクションを行ってもよい。選択マーカーとしては、例えば、ネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ブラストサイジン耐性遺伝子等が挙げられる。選択マーカー遺伝子を含まない組み換えレトロウイルスを導入する場合には、感染細胞を同定分離できる機器等によって感染細胞を選択することができる。
また、本発明においては、ポリオーマウイルス初期領域を用するベクターと、組み換えプラスミドとをパッケージング細胞にコトランスフェクション法によって導入してもよい。このようにして組み換えプラスミドが導入されたパッケージング細胞も同様に高力価の組み換えレトロウイルスを産生する。
パッケージング細胞の培養条件としては、個々の細胞に適した条件を適宜選択することができる。なお、本発明の好ましい態様によれば、メタルチオネインプロモーターを用いた場合、そのプロモーターからの発現を誘導する条件下(すなわち、金属イオンの存在下)に置かなくとも良好なウイルス産生の力価が得られる。従って、金属イオンの有無は、培養条件として限定されるものではない。
実施例
本発明を以下の実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 ポリオーマウイルス初期領域を組み込んだパッケージング細胞の調製
(1)ポリオーマウイルスの初期領域遺伝子発現ベクターの構築
ポリオーマウイルス初期領域は、ポリオーマウイルスゲノムがクローニングされているプラスミドpPyBamHI(VG020)(国立予防衛生研究所遺伝子バンクより入手、1995年10月1日以降ヒューマンサイエンス研究資源バンクより入手可能)のEarI(ヌクレオチドNo.140に位置:複製開始点内に存在しているHpaII部位をヌクレオチドNo.1とする)部位からHincII(ヌクレオチドNo.2962)部位までを用いた。
ポリオーマウイルスの初期領域遺伝子発現ベクターを以下のように構築した。まず最初にそのコーディング領域をプロモーターおよび複製開始点と分離してサブクローニングした。このためにはポリオーマウイルス初期領域の開始コドンより約40bp上流にあるEarI部位を利用した。
このEarI部位はポリオーマウイルス初期領域のコーディング領域内にも1ケ所存在している。従って、コーディング領域内に別に存在しているEcoRI部位を利用して2つの断片に分けて構築を行った。まず、ポリオーマウイルスゲノムを持つプラスミドをEarIで切断後、クレノー断片で平滑末端にしてHindIIIリンカーを連結した。このようにして、HindIII−EcoRIでコーディング領域の5’側を調製した。一方、コーディング領域の3’側はストップコドンの約50bp下流にあるHincIIで切断後、XhoIリンカーを連結した。このようにしてXhoI−EcoRIでコーディング領域の3’側を調製した。この2つの断片をクローニングベクターpBLuescriptIIのXhoI−HindIII部位に導入した(pB/polyoma)。
次に、構築したポリオーマウイルス初期領域を細胞で発現させるために、上記断片をメタロチオネインプロモーターと連結した。メタルチオネインプロモーターを持つプラスミド(pMTX)のBamHI−XhoI部位にポリオーマウイルス初期領域を含むBamHI−XhoI断片を挿入した。以下この構築物を「pMTX/polyoma」と呼ぶ。なお、ポリA付加シグナルはポリオーマ由来の領域に含まれている。
(2)パッケージング細胞へのポリオーマウイルス初期領域遺伝子の導入
pMTX/polyomaのパッケージング細胞への導入は以下の様に行った。pMTX/polyomaは培養細胞内で働く選択マーカーを持っていないので、選択マーカーを持っている別のプラスミドとのコトランスフェクションを行って細胞へ導入した。上記プラスミド2μgとブラストサイジン耐性遺伝子を持つpSV2bsr(フナコシ社製)0.2μgを混合し、リポフェクトアミン試薬(GIBCO BRL社製)でパッケージング細胞ψ2、PA317、またはψCRIPに導入し、薬剤ブラストサイジンに耐性を示す株を選択した。
ブラストサイジン耐性株よりポリオーマウイルス初期領域遺伝子が導入されているクローンはPCR法で選別した。ブラストサイジン耐性を示した35株(ψ2由来)、49株(PA317由来)、および29株(ψCRIP由来)について、直径3.5cmのディッシュで培養し、トリプシン(0.025%/PBS)で処理して細胞を剥し、遠心して回収した。回収した細胞を30μlのTE緩衝液に懸濁し、これに300μlの抽出緩衝液(10mMTris・ClpH8.0,0.1MEDTA pH8.0,20μg/ml RNAase,0.5%SDS)を添加し、37℃で1時間インキュベーションした。その後、proteinase Kを最終濃度が100μg/mlとなるように加え、50℃で一晩インキュベーションした。等量のフェノールで一度抽出し、フェノール/クロロホルム液で再度抽出した。アンモニウムアセテートを最終濃度が2Mになるように添加し、2等量のエタノールを加えた。混合して形成された紐状のDNAをピペットマンのチップで引っかけ、70%のエタノール液に移した。遠心してDNAを回収し、風乾した後100μlのTE緩衝液に溶解した。それぞれのDNAについて吸光度(OD260nm)を測定して濃度を求め、1μg/10μlになるように調製した。これらのDNA溶液をPCR法にかけ、ポリオーマウイルス初期領域遺伝子が導入されているクローンを各パッケージング細胞から次のように2株ずつ選択した:ψ2からψMP34およびψMP37、PA317からPAMP41およびPAMP51、ψCRIPからCRIPMP2およびCRIPM20。
実施例2 ポリオーマウイルス初期領域遺伝子を導入したパッケージング細胞から一過性に産生される組み換えレトロウイルスの力価
(1)パッケージング細胞に導入する組み換えプラスミドの構造と構築方法
本実施例では2種類の組み換えプラスミドを使用した(図1参照)。
pTY1/lacZは、5’LTR、3’LTR、およびψ領域を持ち、レポーター遺伝子としてlacZ遺伝子を持ち、そしてポリオーマ由来の複製起点を有さない組み換えプラスミドである。この組み換えプラスミドは以下のようにして構築した。pIF9171(K.Ikenaka et. al., : Detection of Brain-specific Gene Expression in Brain Cells in Primary Culture : A Novel Promoter Assay Based on the Use of a Retrovirus Vector. The New Biologist 4 53-60(1992))を制限酵素AatIIとNcoIで切断し、この部位にpLN(A.D.Miller and G.J. Rosman: Improved Retroviral Vectors for Gene Transfer and Expression. BioTechniques 7 980-990(1989))をAatIIとNcoIで切り出した断片を挿入してpSI9171+を構築した。このpSI9171+を制限酵素EcoRIで切断して再結合させpTY1を構築した。このpTY1を制限酵素HindIIIで切断し、この部位にHarvard Medical SchoolのC.L.Cepko博士より入手したSPUD(C.Walsh & C.L.Cepko:Clonally Related Cortical Cells Show Several Migration Patterns. Science 241 1342-1345(1988))をHindIIIで切断して切り出したlacZ遺伝子を挿入してpTY1/lacZを構築した。
pTY2/lacZは上記pTY1/lacZにポリオーマウイルス複製起点を持った構造をしている。その構築方法は以下のとおりである。ポリオーマウイルス複製起点は上記pPyBamHI(GV020)をHinfI(ヌクレオチドNo.5073およびNo.385)で切断して約0.6kbpの断片として調製した。この断片の末端をDNAポリメラーゼクレノウ断片で平滑末端とし、ここにNotIリンカー(タカラ酒造社製)を連結した。この断片をNotIで切断した後、上記pTY1/lacZのNotI部位に挿入してpTY2/lacZを構築した。
(2)パッケージング細胞から一過性に産生される組み換えレトロウイルスの力価
上記パッケージング細胞ψMP34、ψMP37、PAMP41、PAMP51、CRIPMP2、およびCRIPM20を1〜2×105/dish(3.5cm径)でディッシュに植え込み、翌日リポフェクトアミン試薬(GIBCO BRL社製)でpTY1/lacZあるいはpTY2/lacZを2μg導入した。また、親株のパッケージング細胞ψ2、PA317、およびψCRIPにも同じプラスミドを導入して比較した。さらにψMP34、ψMP37、およびψ2を用いた実験のすべての組み合せにおいて、ZnCl2(100μM)存在下および非存在下で培養を行い、メタルチオネインプロモーターの誘導条件下と非誘導条件下での違いを調べた。2日間培養した後、培養上清を回収し、一過性に産生させた組み換えレトロウイルス液を得た。このウイルス液1〜10μlを前日に1×105/dish(3.5cm径)で培養したNIH3T3細胞に感染させ、さらに2日間培養した。X−gal染色によってウイルスが感染した細胞を検出して組み換えレトロウイルスの力価を求めた。結果は第1表に示される通りであった。
ψMP34およびψMP37から一過性に産生される組み換えレトロウイルスの力価を、親株ψ2から一過性に産生される力価と比較すると、導入した組み換えプラスミドのポリオーマウイルス複製起点の有無に関わらず、50倍〜100倍高いことが明らかとなった。また、PAMP41およびPAMP51から一過性に産生される組み換えレトロウイルスの力価は、親株PA317よりも9倍〜16倍高かった。CRIPM2およびCRIPMP20から一過性に産生される組み換えレトロウイルスの力価は親株ψCRIPよりも22倍〜36倍高かった。したがって、ポリオーマウイルスの初期領域遺伝子を導入したパッケージング細胞に、ポリオーマウイルスの複製起点を持たない組み換えプラスミドを導入したこの組み換えレトロウイルス産生系は、従来の組み換えレトロウイルス産生系(すなわち、親株ψ2、PA317、およびψCRIPに組み換えプラスミドを導入した系)よりも非常に優れている。ただし、ポリオーマウイルス初期領域遺伝子を導入したパッケージング細胞(すなわち、ψMP34、ψMP37、PAMP41、PAMP51、CRIPMP2、CRIPMP20)から産生される組み換えレトロウイルスの力価は、ポリオーマウイルスの複製起点を持つ組み換えプラスミドpTY2/lacZの方がポリオーマウイルスの複製起点を持たないpTY1/lacZより1.5倍程度高い傾向にあった。このように組み換えレトロウイルスの一過性の産生に関しては、ポリオーマウイルスの初期領域遺伝子と複製起点との組み合わせがより有効であった。
実施例3 ポリオーマ初期領域を導入したパッケージング細胞から安定的に産生される組み換えレトロウイルスの力価
(1)パッケージング細胞に導入する組み換えプラスミドの構造と構築方法
本実施例においては2種類の組み換えプラスミドを使用した(図2参照)。
SV/pIP201+は選択マーカーとしてネオマイシン耐性遺伝子を持ち、レポータ遺伝子としてSV40プロモーターに連結したlacZを持ち、そしてポリオーマ由来の複製起点を持たない。SV/pIP201+は以下のようにして構築した。pIP200(K.Ikenaka et. al., : Detection of Brain-specific Gene Expression in Brain Cells in Primary Culture: A Novel Promoter Assay Based on the Use of a Retrovirus Vector. The New Biologist 4 53-60(1992))を制限酵素SalI−HindIIIで切断し、この部位にSPUDからSalI−HindIII断片で切り出したSV40プロモーターを導入してSV/pIP201を構築した。このSV/pIP201をEcoRIで切断してネオマイシン耐性遺伝子およびSV40プロモーターならびにlacZ遺伝子の一部を含む断片を調製した。この断片を上記pTY1/lacZのEcoRI部位に挿入してSV/pIP201+を構築した。
pTY2/NSLは選択マーカーとしてネオマイシン耐性遺伝子を持ち、レポーター遺伝子としてSV40プロモーターに連結したlacZを持ち、そして、ポリオーマ由来の複製起点を持つ。pTY2/NSLは、SV/pIP201をEcoRIで切断して得られた断片をpTY2/lacZのEcoRI部位に挿入して構築した。
(2)パッケージング細胞から安定的に産生される組み換えレトロウイルスの力価(1)
上記パッケージング細胞ψMP34および親株のψ2にSV/pIP201+あるいはpTY2/NSLをリポフェクトアミン試薬によって導入した。導入したプラスミド上のネオマイシン耐性遺伝子の働きで薬剤G418に耐性になったクローンを選択した。
得られたクローン10株を下記の方法で培養し、組み換えレトロウイルスを調製してその力価を求めた。それぞれのクローン細胞を直径3.5cmのディッシュ3枚に5×104個で植え込んだ。3日間培養してサブコンフルエントの状態になったところで培養液を半量にして32℃のインキュベーターに移した。2日間培養した後に培養上清を回収し、その1μlあるいは10μlをNIH3T3細胞に感染させた。さらに2日間培養してX−gal染色を行って組み換えレトロウイルスの力価を求めた。最も高い力価値を示したクローンの結果は第2表に示される通りであった。
ψMP34にポリオーマウイルスの複製起点を持たない組み換えプラスミドSV/pIP201+を導入して得られたクローン#4から産生される組み換えレトロウイルスの力価(約2.9×107cfu/ml)は、ポリオーマウイルスの複製起点を持つ組み換えプラスミドpTY2/NSLを導入して得られたクローン#7から産生される組み換えレトロウイルスの力価(約1.5×107cfu/ml)より約2倍高かった。この結果は、組み換えプラスミドへのポリオーマウイルスの複製起点の導入は、高い力価の組み換えレトロウイルスを安定的に産生するクローンを得るためには必ずしも必要ではないことを示している。
さらに、ψMP34にSV/pIP201+を導入して得られたクローン#4から産生される組み換えレトロウイルスの力価は、親株ψ2にSV/pIP201+を導入して得られたクローン#7の力価(5.0×106cfu/ml)より約6倍高かった。
(3)パッケージング細胞から安定的に産生される組み換えレトロウイルスの力価(2)
パッケージング細胞PA317にSV/pIP201+をリポフェクトアミン試薬によって導入し、2日間培養して一過性に産生される組み換えレトロウイルスを調製した。得られた組み換えレトロウイルスをパッケージング細胞ψMP34、ψMP37または親株のψ2に感染させた。組み換えレトロウイルスが感染した細胞を薬剤G418で選択した。この方法でパッケージング細胞に導入される発現ユニット内にはポリオーマウイルス複製起点は含まれていない。得られたクローンを前記(2)の場合と同じ方法で培養し、産生される組み換えレトロウイルスの力価を調べた。無作為に選んだ11個のクローンから得られた結果を第3表に示した。
組み換えレトロウイルスを親株ψ2に感染させた場合、産生される組み換えレトロウイルスの力価が1×107cfu/mlを越えるクローンは、11クローン中2クローンであった(*印を付けた#4と#7)。一方、ψMP34に感染させた場合は11クローン中7クローンが、ψMP37に感染させた場合は11クローン中8クローンが1×107cfu/mlを越える組み換えレトロウイルス産生量を示した(*印を付けたクローン)。さらに、ψ2における最も高い力価は1.05×107cfu/mlであったのに対し、ポリオーマウイルス初期領域遺伝子を導入したパッケージング細胞の場合は4.14×107cfu/ml(ψMP34#8)と、約4倍高かった。このように、ψMP34やψMP37からは親株に比較して高い力価の組み換えレトロウイルス産生細胞を容易に得る事ができた。
(4)パッケージング細胞から安定的に産生される組み換えレトロウイルスの力価(3)
パッケージング細胞ψ2にSV/p1P201+をリポフェクトアミン試薬によって導入し、2日間培養して一過性に産生される組み換えレトロウイルスを調製した。得られた組み換えレトロウイルスをパッケージング細胞PAMP51あるいは親株PA317に感染させた。組み換えレトロウイルスが感染した細胞を薬剤G418で選択した。この方法でパッケージング細胞に導入される発現ユニット内にはポリオーマウイルス複製起点は含まれていない。得られたクローンを前記(2)の場合と同じ方法で培養し、産生される組み換えレトロウイルスの力価を調べた。無作為に選んだ10個のクローンから得られた結果を第4表に示した。
組み換えレトロウイルスを親株PA317に感染させた場合、産生される組み換えレトロウイルスの力価が1×107cfu/mlを越えるクローンはなかった。一方、PAMP51に感染させた場合は10クローン中2クローンが1×107cfu/mlを越える組み換えレトロウイルス産生量を示した(*印を付けたクローン)。PA317における最も高い力価は0.39×107cfu/mlであったのに対し、PAMP51の場合は1.18×107cfu/mlと、約3倍高かった。このように、PAMP51からは親株に比較して高い力価の組み換えレトロウイルス産生細胞を容易に得る事ができた。
実施例4 ポリオーマ初期領域を発現させるプロモーターに関する実験
(1)本実施例で使用した組み換えプラスミドとポリオーマ初期領域発現ベクターの構造と構築方法
本実施例においては、pTY1/lacZおよびpTY2/lacZを組み換えプラスミドとして用いた。また、ポリオーマ初期領域はヒトサイトメガロウイルスのIE遺伝子のプロモーターに連結したpB/CMV−polyomaを用いた。このpB/CMV−polyomaは上記pB/polyomaのBamHI−SmaI部位にpLNCX(A.D.Miller and G.J.Rosman:Improved Retroviral Vectors for Gene Transfer and Expression. BioTechniques 7 980-990(1989)をBamHIとHpaIで切断して得られたサイトメガロウイルスのプロモーターを挿入して構築した。また、コントロールとしてpB/polyomaも使用した。
(2)組み換えプラスミドとポリオーマ初期領域発現ベクターとのコトランスフェクション法でのパッケージング細胞への導入および一過性に産生される組み換えレトロウイルスの力価
上記組み換えプラスミド(pTY1/lacZまたはpTY2/lacZ)を、上記pB/CMV−polyomaまたはpB/polyomaと共にパッケージング細胞ψ2に導入し、一過性に産生される組み換えレトロウイルスの力価を調べた。パッケージング細胞ψ2を1×105/dish(3.5cm径)でディッシュに植え込み、翌日リポフェクトアミン試薬で以下の組み合わせで組み換えプラスミドおよびベクターを導入した:▲1▼pTY1/lacZおよびpB/polyoma、▲2▼pTY1/lacZおよびpB/CMV−polyoma、▲3▼pTY2/lacZおよびpB/polyoma、▲4▼pTY2/lacZおよびpB/CMV−polyoma。プラスミドは各1μg使用した。導入後2日間培養して組み換えレトロウイルスを培養上清中に一過性に産生させ、この培養上清を回収して組み換えレトロウイルス液とした。このウイルス液10μlを前日に1×105/dish(3.5cm径)で培養したNIH3T3細胞に感染させた。さらに2日間培養した後、X−gal染色を行ってウイルスが感染した細胞を検出して組み換えレトロウイルスの力価を求めた。結果は第5表に示される通りであった。
組み換えプラスミドを、構成的に発現するサイトメガロウイルスのプロモーターをプロモーターとして用いたポリオーマウイルス初期領域発現ベクターとともにパッケージング細胞に導入した場合、ポリオーマウイルス初期領域遺伝子をプロモーターに連結していない場合に比較して、組み換えレトロウイルスの力価は上昇した。組み換えプラスミドにポリオーマウイルスの複製起点を導入したpTY2/lacZを用いた場合は上昇の程度は約6.2倍であり、ポリオーマウイルスの複製起点を導入していない場合でも、約3.4倍であった。以上のようにポリオーマウイルスの初期領域遺伝子にプロモーターを連結することは、組み換えレトロウイルスの産生量を増加させることに有意であり、そのプロモータとしてはサイトメガロウイルスの初期領域遺伝子のプロモーターおよび前記メタルチオネインのプロモーターが有効であった。
Claims (3)
- (a)プロモーターに作動可能に連結されたポリオーマウイルス初期領域遺伝子と、(b)組み換えプラスミドまたは組み換えレトロウイルスとが、組み換えレトロウイルス調製用パッケージング細胞に導入されてなる、組み換えレトロウイルス産生細胞であって、組み換えプラスミドおよび組み換えレトロウイルスが、5’LTRと、3’LTRと、外来遺伝子と、ψ領域とを含んでなり、かつ、ポリオーマウイルス由来の複製起点を含まない、組み換えレトロウイルス産生細胞。
- 前記プロモーターがメタルチオネインプロモーターまたはヒトサイトメガロウイルスのIE遺伝子のプロモーターである、請求項1に記載の組み換えレトロウイルス産生細胞。
- 請求項1または2に記載の組み換えレトロウイルス産生細胞を培養する工程を含んでなる、組み換えレトロウイルスの調製法。
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