JP3877503B2 - 凝集反応槽 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、凝集反応槽に関し、下水・廃水処理などで発生する汚泥を脱水するために高分子凝集剤などを添加・混合して凝集させる技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水・廃水処理などで発生する余剰汚泥は、減容化のために脱水・乾燥処理しているが、汚泥をそのままで脱水する事は非常に困難であり、凝集剤を添加して粗大フロックを形成することが必要不可欠である。
【0003】
ところで、近年においては、汚泥に含まれる有機分の増加に伴う濃縮不良などにより汚泥の脱水性が悪化している。このために、脱水機へ投入する前に汚泥を濃縮することで、ろ過速度の増大、ケーキ含水率の低下を目指す試みも行われている。この濃縮手段としては、ドラムスクリーン式、攪拌槽式などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の濃縮手段であるドラムスクリーン式、攪拌槽式のものは、ベルトプレス等の開放型の脱水機を対象としており、大気圧下で使用している。一方、近年においては臭気対策などの課題からスクリュープレス等の密閉型・汚泥圧入式の脱水機が使用されている。このため、従来のドラムスクリーン式、攪拌槽式の濃縮手段で濃縮した濃縮汚泥を密閉型・汚泥圧入式の脱水機で脱水する場合には、濃縮汚泥を脱水機へ圧入するためのポンプを別途に増設する必要があり、コストアップの要因となっている。また、濃縮汚泥がポンプを通過する間に凝集フロックが破壊される問題があった。さらに、従来の濃縮手段においてはスクリーンとして比較的目詰まりの少ないウェッジワイヤ方式のものを使用しているが、可逆的な目詰まりは避けられず、安全な運転のためには定期的、連続的な洗浄工程が必要であった。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するものであり、凝集と濃縮を一体に行なって省スペース化を図り、高圧力下の密閉空間で作動することにより別途にポンプを必要とせずに、密閉型・汚泥圧入式の脱水機へ供給することができ、連続した運転においても目詰まることのない凝集反応槽を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の凝集反応槽は、内部に密閉空間を形成する反応槽と、反応槽内の軸心方向の一方側に形成する凝集領域に配置したインペラと、反応槽外に配置したインペラの駆動装置と、反応槽内の軸心方向の他方側に形成する濃縮領域に配置した筒状のろ過ユニットと、凝集領域に連通し、凝集剤を伴った原汚泥を圧送する汚泥投入系と、濃縮領域に連通する汚泥排出系と、ろ過ユニットのろ液領域に連通する分離液排出系とを備え、
ろ過ユニットは、複数のリング状の固定板と回転板とを交互に積層するとともに、双方の相対向する板面間に所定のスリットを形成するスペーサを介在させてスクリーンを構成し、スクリーンの上下端に配置するリング状のシール材でスクリーンの外周囲に反応槽の壁面との間で前記ろ液領域を形成し、各固定板および各スペーサを貫通して配置する固定軸を前記シール材で固定保持し、各回転板を貫通して配置する可動軸をインペラの駆動装置もしくは別途に配置する駆動装置に連動連結したものである。
【0007】
上記した構成により、汚泥投入系から凝集剤を伴った原汚泥を反応槽に所定圧力で圧入する。反応槽の凝集領域では駆動装置により回転するインペラによって原汚泥と凝集剤を攪拌することで凝集反応を生起し、凝集フロックを形成する。凝集領域で形成した凝集フロックは濃縮領域へと移動し、ろ過ユニットの内部へ流入する。
【0008】
この状態でろ過ユニットの内外間には汚泥投入系の圧力に起因した所定差圧が存在し、この差圧によりスクリーンの回転板と固定板との間にスペーサで形成するスリットよりも小さな凝集フロックおよび分離液が前記スリットを通ってろ過ユニットの内側の濃縮領域から外側のろ液領域へ排出され、一方、前記スリットよりも大きい凝集フロックはろ過ユニット内において徐々に濃縮される。
【0009】
このスクリーンのスリット幅はスペーサの厚み、固定板および回転板の厚みを選択することで各種汚泥に適したスリット幅に調節でき、スペーサの厚みt1は同板厚の回転板と固定板の厚みt2より大きく、以下の関係を満たす範囲で決定する。
【0010】
0<(t1−t2)/2<1mm
濃縮領域の濃縮汚泥は濃縮領域から汚泥排出系を通って次工程の脱水機へと圧入され、ろ液領域に排出した小さな凝集フロックを含む分離液は分離液排出系を通って反応槽の外部へ排出される。
【0011】
したがって、凝集フロックを含む濃縮汚泥をポンプ等で再圧入することなく、汚泥投入系の圧力を利用して次工程の脱水機へ圧入することができるので、従来の大気開放型濃縮機では適用が困難であった汚泥圧入式脱水機にも凝集フロックを破壊することなく濃縮汚泥を供給することができる。
【0012】
また、ろ過ユニットの内周部、回転板および固定板の上下面には微細な凝集フロックおよび凝集剤粘着層からなる可逆的な閉塞物が付着してろ材抵抗が増加する要因となるが、回転板が固定板に対して相対的に、かつ連続的に回転することで閉塞物はすりつぶされて分離液とともに排出される。このセルフクリーニング効果によって、スクリーンの目詰まりが無くなり、定期的な洗浄工程を必要とせずに安定した濃縮を行なうことができる。
【0013】
請求項2に係る本発明の凝集反応槽は、汚泥投入系に介装する流量計と、分離液排出系に介装する設定流量を可変調整可能な定量ポンプと、流量計の出力信号を受けて定量ポンプに設定流量を指示する演算器とを備え、演算器は汚泥投入系から反応槽に供給する原汚泥流量に対して分離液排出系を通して反応槽から取出す分離液流量の割合を設定比率に制御するものである。
【0014】
上記した構成により、ろ過ユニットにおける分離能力はスクリーンのスリット幅とスリット幅より小さい凝集フロックを含む分離液を押し出すろ過圧力に依存し、ろ過圧力はスクリーンの内外間の差圧である。汚泥投入系における汚泥流量および圧力が一定であることから、分離液の排出が遅速でろ液領域における背圧が大きい程に差圧が小さくなり、分離液の排出が早速でろ液領域における背圧が小さい程に差圧が大きくなる。
【0015】
したがって、原汚泥流量に対する分離液流量の割合が大きくなるにしたがって差圧が大きくなって分離能力が高まり、原汚泥流量に対する分離液流量の割合が小さくなるにしたがって差圧が小さくなって分離能力が低下する。
【0016】
このため、凝集汚泥の濃縮性に応じて演算器における設定比率を調整し、定量ポンプにおける設定流量を調整し、ポンプの回転速度を制御して分離液排出系を通して反応槽から取出す分離液流量を増減する。この原汚泥流量f1と分離液流量f2との比は、以下の関係を満たす範囲において決定する。
【0017】
0.1≦(f2/f1)≦0.9
この操作により、凝集汚泥の濃縮性が低い程に原汚泥流量に対する分離液流量の割合を大きくして分離能力を高め、凝集汚泥の濃縮性が高い程に原汚泥流量に対する分離液流量の割合を小さくして分離能力を抑制することで、固形物の回収率を良好に維持できる。
【0018】
請求項3に係る本発明の凝集反応槽は、反応槽と分離液排出系との間に介装する差圧計と、分離液排出系に介装する設定圧力を可変調整可能な圧力調整弁と、差圧計の出力信号を受けて圧力調整弁に設定圧力を指示する演算器とを備え、演算器は反応槽の内部圧力と分離液排出系の内部圧力との差圧を設定差圧に制御するものである。
【0019】
上記した構成により、ろ過ユニットにおける分離能力はスクリーンのスリット幅とスリット幅より小さい凝集フロックを含む分離液を押し出すろ過圧力に依存し、ろ過圧力はスクリーンの内外間の差圧であり、差圧が大きくなるにしたがって分離能力が高まり、差圧が小さくなるにしたがって分離能力が低下する。
【0020】
汚泥投入系における汚泥流量および圧力が一定であることから、ろ液領域における背圧が大きい程に差圧が小さくなり、ろ液領域における背圧が小さい程に差圧が大きくなる。
【0021】
このため、凝集汚泥の濃縮性に応じて演算器における設定差圧を調整し、圧力調整弁における設定圧力を調整し、圧力調整弁の開度制御によって分離液排出系の内部圧力を増減する。この反応槽の内部圧力P1と分離液排出系の内部圧力P2の差圧は、以下の関係を満たす範囲において決定する。
【0022】
1kPa≦(P1−P2)≦50kPa
この操作により、凝集汚泥の濃縮性が低い程に反応槽の内部圧力と分離液排出系の内部圧力との差圧を大きくして分離能力を高め、凝集汚泥の濃縮性が高い程に反応槽の内部圧力と分離液排出系の内部圧力との差圧を小さくして分離能力を抑制することで、固形物の回収率を良好に維持できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態における凝集反応槽を図面に基づいて説明する。図1〜図2において、反応槽1は内部に密閉空間を形成しており、密閉空間には反応槽1の軸心方向の上方側に凝集領域2を形成し、反応槽1の軸心方向の下方側に濃縮領域3を形成して下部排出型をなしている。
【0024】
反応槽1の凝集領域2にはインペラ(攪拌羽根)4を配置し、反応槽1の外部にインペラ4の駆動装置4aを配置しており、反応槽1の濃縮領域3には筒状のろ過ユニット5を配置している。凝集領域2には凝集剤を伴った原汚泥を圧送する汚泥投入系6を接続し、濃縮領域3には汚泥排出系7を接続し、ろ過ユニット5の後述するろ液領域8には分離液排出系9を接続している。
【0025】
図2に示すように、ろ過ユニット5は、複数のリング状の固定板10と回転板11とを交互に積層するとともに、双方の相対向する板面間に所定のスリットを形成するスペーサ12を介在させてスクリーン13を構成しており、スクリーン13の上下端に凝集汚泥、分離液、濃縮汚泥を互いに分画するためのリング状のシール材14を配置してスクリーン13の外周囲に反応槽1の壁面との間でろ液領域8を形成している。
【0026】
各固定板10の外周部に形成した耳部10aおよび各スペーサ12を貫通する固定軸15はシール材14で固定保持しており、各回転板11の耳部11aを貫通する可動軸16は連結板17を介してインペラ4の攪拌軸4bに連結し、インペラ4と回転板11が一体に回転する。この可動軸16は槽外に別途に配置する駆動装置に連動連結することで、インペラ4の回転速度(攪拌速度)と回転板11の回転速度を別々に制御することもでき、回転板11を一方向にのみ回転させることなく、一定時間毎に回転方向を反転させることもできる。
【0027】
図3に示すように、反応槽1は下方側に凝集領域2を形成し、上方側に濃縮領域3を形成して上部排出型とすることも可能であり、汚泥の性状に由来する凝集フロックの沈降性に応じて下部排出型と上部排出型を選択する。
【0028】
図4に示すように、汚泥投入系6は原汚泥を圧送する汚泥ポンプ18と原汚泥流量を計測する汚泥流量計19とを有しており、汚泥投入系6に接続する凝集剤供給系20は薬液ポンプ21と凝集剤流量を計測する薬液流量計22とを有している。分離液排出系9は設定流量を可変調整可能な定量ポンプ23を有しており、定量ポンプ23には汚泥流量計19の出力信号を受けて定量ポンプ23に設定流量を指示する演算器24を接続している。演算器24は汚泥投入系6から反応槽1に供給する原汚泥流量に対して分離液排出系9を通して反応槽1から取出す分離液流量の割合を設定比率に制御するものである。汚泥排出系7は圧入式脱水機25に接続している。
【0029】
以下、上記した構成における作用を説明する。原汚泥は汚泥ポンプ18により汚泥投入系6を通して圧送し、その途中において凝集剤供給系20から薬液ポンプ21で供給する凝集剤を添加し、凝集剤を伴って反応槽1に所定圧力で圧入する。反応槽1の凝集領域2では駆動装置4aにより回転するインペラ4によって原汚泥と凝集剤を攪拌して凝集反応を生起し、凝集フロックを形成する。凝集領域で形成した凝集フロックを伴った凝集汚泥は順次に濃縮領域3へと移動し、ろ過ユニット5の内部へ流入する。
【0030】
濃縮領域3ではインペラ4と一体に回転する回転板11が固定板10に対して相対的に、かつ連続的に回転する。ろ過ユニット5にはスクリーン13を境とする濃縮領域3とろ液領域8の間に汚泥投入系6の圧力に起因した所定差圧が存在し、この差圧がろ過圧力として作用することにより、スクリーン13の回転板11と固定板10との間にスペーサ12で形成するスリットよりも小さな凝集フロックを含む分離液がスリットを通ってろ過ユニット5の内側の濃縮領域3から外側のろ液領域8へ排出され、このことでろ過ユニット5の内部の凝集汚泥が徐々に濃縮されて濃縮汚泥となる。
【0031】
このスクリーン13のスリット幅はスペーサ12の厚み、固定板10および回転板11の厚みを選択することで各種汚泥の性状に適したスリット幅に調節できる。スペーサの厚みt1は同板厚の回転板11と固定板10の厚みt2よりも大きく、かつ以下の関係を満たす範囲で決定する。
【0032】
0<(t1−t2)/2<1mm
濃縮領域3の濃縮汚泥は汚泥排出系7を通って次工程の圧入式脱水機25へ圧入される。したがって、凝集フロックを含む濃縮汚泥は別途のポンプ等で再圧入することなく、汚泥投入系7の汚泥ポンプ18の吐出圧力を利用して次工程に供給するので、従来の大気開放型濃縮機では適用が困難であった圧入式脱水機25にも凝集フロックを破壊することなく供給することができる。
【0033】
ろ液領域8に排出した小さな凝集フロックを含む分離液は分離液排出系9を通って定量ポンプ23により反応槽1の外部へ排出される。ろ過ユニット5の内周部、回転板11および固定板10の上下面には微細な凝集フロックおよび凝集剤粘着層からなる可逆的な閉塞物が付着してろ材抵抗が増加する要因となるが、回転板11が固定板10に対して相対的に、かつ連続的に回転することで閉塞物はすりつぶされて分離液とともにろ液領域8に排出される。このセルフクリーニング効果によって、スクリーン13の目詰まりが無くなり、定期的な洗浄工程を必要とせずに安定した濃縮を行なうことができる。
【0034】
このろ過ユニット5における分離能力はスクリーン13のスリット幅とスリット幅より小さい凝集フロックを含む分離液を押し出すろ過圧力に依存する。ろ過圧力はスクリーン13の内外間の差圧であり、汚泥投入系6における汚泥流量および圧力が一定であることから、分離液の排出が遅速でろ液領域8における背圧が大きい程に差圧が小さくなり、分離液の排出が早速でろ液領域8における背圧が小さい程に差圧が大きくなる。
【0035】
したがって、原汚泥流量に対する分離液流量の割合が大きくなるにしたがって差圧が大きくなって分離能力が高まり、原汚泥流量に対する分離液流量の割合が小さくなるにしたがって差圧が小さくなって分離能力が低下する。
【0036】
このため、凝集汚泥の濃縮性に応じて演算器24における設定比率を調整し、定量ポンプ23における設定流量を調整し、定量ポンプ23の回転速度を制御して分離液排出系9を通して反応槽1から取出す分離液流量を増減する。この原汚泥流量f1と分離液流量f2との比は、以下の関係を満たす範囲において決定する。
【0037】
0.1≦(f2/f1)≦0.9
この操作により、凝集汚泥の濃縮性が低い程に原汚泥流量に対する分離液流量の割合を大きくして分離能力を高め、凝集汚泥の濃縮性が高い程に原汚泥流量に対する分離液流量の割合を小さくして分離能力を抑制することで、固形物の回収率を良好に維持できる。
【0038】
運転制御方法としては、図5に示すように構成することも可能である。図5において、差圧計26は反応槽1と分離液排出系9との間に介装し、分離液排出系9に設定圧力を可変調整可能な圧力調整弁27を介装しており、圧力調整弁27には差圧計26の出力信号を受けて圧力調整弁27に設定圧力を指示する演算器28を接続している。演算器28は反応槽1の内部圧力と分離液排出系9の内部圧力との差圧を設定差圧に制御するものである。
【0039】
この構成において、ろ過ユニット5における分離能力はスクリーン13のスリット幅とスリット幅より小さい凝集フロックを含む分離液を押し出すろ過圧力に依存し、ろ過圧力はスクリーン13の内外間の差圧であり、差圧が大きくなるにしたがって分離能力が高まり、差圧が小さくなるにしたがって分離能力が低下する。汚泥投入系6における汚泥流量および圧力が一定であることから、ろ液領域8における背圧が大きい程に差圧が小さくなり、ろ液領域8における背圧が小さい程に差圧が大きくなる。
【0040】
このため、凝集汚泥の濃縮性に応じて演算器28における設定差圧を調整し、圧力調整弁27における設定圧力を調整し、圧力調整弁27の開度制御によって分離液排出系9の内部圧力を増減する。この反応槽1の内部圧力P1と分離液排出系9の内部圧力P2の差圧は、以下の関係を満たす範囲において決定する。
【0041】
1kPa≦(P1−P2)≦50kPa
この操作により、凝集汚泥の濃縮性が低い程に反応槽1の内部圧力と分離液排出系9の内部圧力との差圧を大きくして分離能力を高め、凝集汚泥の濃縮性が高い程に反応槽1の内部圧力と分離液排出系9の内部圧力との差圧を小さくして分離能力を抑制することで、固形物の回収率を良好に維持できる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、凝集フロックを含む濃縮汚泥をポンプ等で再圧入することなく、汚泥投入系の圧力を利用して次工程の脱水機へ圧入することができるので、従来の大気開放型濃縮機では適用が困難であった汚泥圧入式脱水機にも凝集フロックを破壊することなく濃縮汚泥を供給することができる。また、ろ材抵抗の増加要因となる可逆的な閉塞物を回転板が固定板に対して相対的に、かつ連続的に回転することですりつぶして排出することができ、このセルフクリーニング効果によって、スクリーンの目詰まりが無くなり、定期的な洗浄工程を必要とせずに安定した濃縮を行なうことができる。
【0043】
また、凝集汚泥の濃縮性に応じて演算器における設定比率を調整し、凝集汚泥の濃縮性が低い程に原汚泥流量に対する分離液流量の割合を大きくして分離能力を高め、凝集汚泥の濃縮性が高い程に原汚泥流量に対する分離液流量の割合を小さくして分離能力を抑制することで、固形物の回収率を良好に維持できる。
【0044】
また、凝集汚泥の濃縮性に応じて演算器における設定差圧を調整し、凝集汚泥の濃縮性が低い程に反応槽の内部圧力と分離液排出系の内部圧力との差圧を大きくして分離能力を高め、凝集汚泥の濃縮性が高い程に反応槽の内部圧力と分離液排出系の内部圧力との差圧を小さくして分離能力を抑制することで、固形物の回収率を良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における凝集反応槽を示す縦断面図である。
【図2】同実施の形態におけるろ過ユニットを示す斜視図である。
【図3】本発明の他の実施の形態における凝集反応槽を示す縦断面図である。
【図4】本発明の凝集反応槽の運転制御方法を示す模式図である。
【図5】本発明の凝集反応槽の他の運転制御方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1 反応槽
4 インペラ(攪拌羽根)
4a 駆動装置
5 ろ過ユニット
6 汚泥投入系
7 汚泥排出系
8 ろ液領域
9 分離液排出系
10 固定板
11 回転板
12 スペーサ
13 スクリーン
14 シール材
15 固定軸
16 可動軸
19 汚泥流量計
23 定量ポンプ
24 演算器
【発明の属する技術分野】
本発明は、凝集反応槽に関し、下水・廃水処理などで発生する汚泥を脱水するために高分子凝集剤などを添加・混合して凝集させる技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水・廃水処理などで発生する余剰汚泥は、減容化のために脱水・乾燥処理しているが、汚泥をそのままで脱水する事は非常に困難であり、凝集剤を添加して粗大フロックを形成することが必要不可欠である。
【0003】
ところで、近年においては、汚泥に含まれる有機分の増加に伴う濃縮不良などにより汚泥の脱水性が悪化している。このために、脱水機へ投入する前に汚泥を濃縮することで、ろ過速度の増大、ケーキ含水率の低下を目指す試みも行われている。この濃縮手段としては、ドラムスクリーン式、攪拌槽式などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の濃縮手段であるドラムスクリーン式、攪拌槽式のものは、ベルトプレス等の開放型の脱水機を対象としており、大気圧下で使用している。一方、近年においては臭気対策などの課題からスクリュープレス等の密閉型・汚泥圧入式の脱水機が使用されている。このため、従来のドラムスクリーン式、攪拌槽式の濃縮手段で濃縮した濃縮汚泥を密閉型・汚泥圧入式の脱水機で脱水する場合には、濃縮汚泥を脱水機へ圧入するためのポンプを別途に増設する必要があり、コストアップの要因となっている。また、濃縮汚泥がポンプを通過する間に凝集フロックが破壊される問題があった。さらに、従来の濃縮手段においてはスクリーンとして比較的目詰まりの少ないウェッジワイヤ方式のものを使用しているが、可逆的な目詰まりは避けられず、安全な運転のためには定期的、連続的な洗浄工程が必要であった。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するものであり、凝集と濃縮を一体に行なって省スペース化を図り、高圧力下の密閉空間で作動することにより別途にポンプを必要とせずに、密閉型・汚泥圧入式の脱水機へ供給することができ、連続した運転においても目詰まることのない凝集反応槽を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の凝集反応槽は、内部に密閉空間を形成する反応槽と、反応槽内の軸心方向の一方側に形成する凝集領域に配置したインペラと、反応槽外に配置したインペラの駆動装置と、反応槽内の軸心方向の他方側に形成する濃縮領域に配置した筒状のろ過ユニットと、凝集領域に連通し、凝集剤を伴った原汚泥を圧送する汚泥投入系と、濃縮領域に連通する汚泥排出系と、ろ過ユニットのろ液領域に連通する分離液排出系とを備え、
ろ過ユニットは、複数のリング状の固定板と回転板とを交互に積層するとともに、双方の相対向する板面間に所定のスリットを形成するスペーサを介在させてスクリーンを構成し、スクリーンの上下端に配置するリング状のシール材でスクリーンの外周囲に反応槽の壁面との間で前記ろ液領域を形成し、各固定板および各スペーサを貫通して配置する固定軸を前記シール材で固定保持し、各回転板を貫通して配置する可動軸をインペラの駆動装置もしくは別途に配置する駆動装置に連動連結したものである。
【0007】
上記した構成により、汚泥投入系から凝集剤を伴った原汚泥を反応槽に所定圧力で圧入する。反応槽の凝集領域では駆動装置により回転するインペラによって原汚泥と凝集剤を攪拌することで凝集反応を生起し、凝集フロックを形成する。凝集領域で形成した凝集フロックは濃縮領域へと移動し、ろ過ユニットの内部へ流入する。
【0008】
この状態でろ過ユニットの内外間には汚泥投入系の圧力に起因した所定差圧が存在し、この差圧によりスクリーンの回転板と固定板との間にスペーサで形成するスリットよりも小さな凝集フロックおよび分離液が前記スリットを通ってろ過ユニットの内側の濃縮領域から外側のろ液領域へ排出され、一方、前記スリットよりも大きい凝集フロックはろ過ユニット内において徐々に濃縮される。
【0009】
このスクリーンのスリット幅はスペーサの厚み、固定板および回転板の厚みを選択することで各種汚泥に適したスリット幅に調節でき、スペーサの厚みt1は同板厚の回転板と固定板の厚みt2より大きく、以下の関係を満たす範囲で決定する。
【0010】
0<(t1−t2)/2<1mm
濃縮領域の濃縮汚泥は濃縮領域から汚泥排出系を通って次工程の脱水機へと圧入され、ろ液領域に排出した小さな凝集フロックを含む分離液は分離液排出系を通って反応槽の外部へ排出される。
【0011】
したがって、凝集フロックを含む濃縮汚泥をポンプ等で再圧入することなく、汚泥投入系の圧力を利用して次工程の脱水機へ圧入することができるので、従来の大気開放型濃縮機では適用が困難であった汚泥圧入式脱水機にも凝集フロックを破壊することなく濃縮汚泥を供給することができる。
【0012】
また、ろ過ユニットの内周部、回転板および固定板の上下面には微細な凝集フロックおよび凝集剤粘着層からなる可逆的な閉塞物が付着してろ材抵抗が増加する要因となるが、回転板が固定板に対して相対的に、かつ連続的に回転することで閉塞物はすりつぶされて分離液とともに排出される。このセルフクリーニング効果によって、スクリーンの目詰まりが無くなり、定期的な洗浄工程を必要とせずに安定した濃縮を行なうことができる。
【0013】
請求項2に係る本発明の凝集反応槽は、汚泥投入系に介装する流量計と、分離液排出系に介装する設定流量を可変調整可能な定量ポンプと、流量計の出力信号を受けて定量ポンプに設定流量を指示する演算器とを備え、演算器は汚泥投入系から反応槽に供給する原汚泥流量に対して分離液排出系を通して反応槽から取出す分離液流量の割合を設定比率に制御するものである。
【0014】
上記した構成により、ろ過ユニットにおける分離能力はスクリーンのスリット幅とスリット幅より小さい凝集フロックを含む分離液を押し出すろ過圧力に依存し、ろ過圧力はスクリーンの内外間の差圧である。汚泥投入系における汚泥流量および圧力が一定であることから、分離液の排出が遅速でろ液領域における背圧が大きい程に差圧が小さくなり、分離液の排出が早速でろ液領域における背圧が小さい程に差圧が大きくなる。
【0015】
したがって、原汚泥流量に対する分離液流量の割合が大きくなるにしたがって差圧が大きくなって分離能力が高まり、原汚泥流量に対する分離液流量の割合が小さくなるにしたがって差圧が小さくなって分離能力が低下する。
【0016】
このため、凝集汚泥の濃縮性に応じて演算器における設定比率を調整し、定量ポンプにおける設定流量を調整し、ポンプの回転速度を制御して分離液排出系を通して反応槽から取出す分離液流量を増減する。この原汚泥流量f1と分離液流量f2との比は、以下の関係を満たす範囲において決定する。
【0017】
0.1≦(f2/f1)≦0.9
この操作により、凝集汚泥の濃縮性が低い程に原汚泥流量に対する分離液流量の割合を大きくして分離能力を高め、凝集汚泥の濃縮性が高い程に原汚泥流量に対する分離液流量の割合を小さくして分離能力を抑制することで、固形物の回収率を良好に維持できる。
【0018】
請求項3に係る本発明の凝集反応槽は、反応槽と分離液排出系との間に介装する差圧計と、分離液排出系に介装する設定圧力を可変調整可能な圧力調整弁と、差圧計の出力信号を受けて圧力調整弁に設定圧力を指示する演算器とを備え、演算器は反応槽の内部圧力と分離液排出系の内部圧力との差圧を設定差圧に制御するものである。
【0019】
上記した構成により、ろ過ユニットにおける分離能力はスクリーンのスリット幅とスリット幅より小さい凝集フロックを含む分離液を押し出すろ過圧力に依存し、ろ過圧力はスクリーンの内外間の差圧であり、差圧が大きくなるにしたがって分離能力が高まり、差圧が小さくなるにしたがって分離能力が低下する。
【0020】
汚泥投入系における汚泥流量および圧力が一定であることから、ろ液領域における背圧が大きい程に差圧が小さくなり、ろ液領域における背圧が小さい程に差圧が大きくなる。
【0021】
このため、凝集汚泥の濃縮性に応じて演算器における設定差圧を調整し、圧力調整弁における設定圧力を調整し、圧力調整弁の開度制御によって分離液排出系の内部圧力を増減する。この反応槽の内部圧力P1と分離液排出系の内部圧力P2の差圧は、以下の関係を満たす範囲において決定する。
【0022】
1kPa≦(P1−P2)≦50kPa
この操作により、凝集汚泥の濃縮性が低い程に反応槽の内部圧力と分離液排出系の内部圧力との差圧を大きくして分離能力を高め、凝集汚泥の濃縮性が高い程に反応槽の内部圧力と分離液排出系の内部圧力との差圧を小さくして分離能力を抑制することで、固形物の回収率を良好に維持できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態における凝集反応槽を図面に基づいて説明する。図1〜図2において、反応槽1は内部に密閉空間を形成しており、密閉空間には反応槽1の軸心方向の上方側に凝集領域2を形成し、反応槽1の軸心方向の下方側に濃縮領域3を形成して下部排出型をなしている。
【0024】
反応槽1の凝集領域2にはインペラ(攪拌羽根)4を配置し、反応槽1の外部にインペラ4の駆動装置4aを配置しており、反応槽1の濃縮領域3には筒状のろ過ユニット5を配置している。凝集領域2には凝集剤を伴った原汚泥を圧送する汚泥投入系6を接続し、濃縮領域3には汚泥排出系7を接続し、ろ過ユニット5の後述するろ液領域8には分離液排出系9を接続している。
【0025】
図2に示すように、ろ過ユニット5は、複数のリング状の固定板10と回転板11とを交互に積層するとともに、双方の相対向する板面間に所定のスリットを形成するスペーサ12を介在させてスクリーン13を構成しており、スクリーン13の上下端に凝集汚泥、分離液、濃縮汚泥を互いに分画するためのリング状のシール材14を配置してスクリーン13の外周囲に反応槽1の壁面との間でろ液領域8を形成している。
【0026】
各固定板10の外周部に形成した耳部10aおよび各スペーサ12を貫通する固定軸15はシール材14で固定保持しており、各回転板11の耳部11aを貫通する可動軸16は連結板17を介してインペラ4の攪拌軸4bに連結し、インペラ4と回転板11が一体に回転する。この可動軸16は槽外に別途に配置する駆動装置に連動連結することで、インペラ4の回転速度(攪拌速度)と回転板11の回転速度を別々に制御することもでき、回転板11を一方向にのみ回転させることなく、一定時間毎に回転方向を反転させることもできる。
【0027】
図3に示すように、反応槽1は下方側に凝集領域2を形成し、上方側に濃縮領域3を形成して上部排出型とすることも可能であり、汚泥の性状に由来する凝集フロックの沈降性に応じて下部排出型と上部排出型を選択する。
【0028】
図4に示すように、汚泥投入系6は原汚泥を圧送する汚泥ポンプ18と原汚泥流量を計測する汚泥流量計19とを有しており、汚泥投入系6に接続する凝集剤供給系20は薬液ポンプ21と凝集剤流量を計測する薬液流量計22とを有している。分離液排出系9は設定流量を可変調整可能な定量ポンプ23を有しており、定量ポンプ23には汚泥流量計19の出力信号を受けて定量ポンプ23に設定流量を指示する演算器24を接続している。演算器24は汚泥投入系6から反応槽1に供給する原汚泥流量に対して分離液排出系9を通して反応槽1から取出す分離液流量の割合を設定比率に制御するものである。汚泥排出系7は圧入式脱水機25に接続している。
【0029】
以下、上記した構成における作用を説明する。原汚泥は汚泥ポンプ18により汚泥投入系6を通して圧送し、その途中において凝集剤供給系20から薬液ポンプ21で供給する凝集剤を添加し、凝集剤を伴って反応槽1に所定圧力で圧入する。反応槽1の凝集領域2では駆動装置4aにより回転するインペラ4によって原汚泥と凝集剤を攪拌して凝集反応を生起し、凝集フロックを形成する。凝集領域で形成した凝集フロックを伴った凝集汚泥は順次に濃縮領域3へと移動し、ろ過ユニット5の内部へ流入する。
【0030】
濃縮領域3ではインペラ4と一体に回転する回転板11が固定板10に対して相対的に、かつ連続的に回転する。ろ過ユニット5にはスクリーン13を境とする濃縮領域3とろ液領域8の間に汚泥投入系6の圧力に起因した所定差圧が存在し、この差圧がろ過圧力として作用することにより、スクリーン13の回転板11と固定板10との間にスペーサ12で形成するスリットよりも小さな凝集フロックを含む分離液がスリットを通ってろ過ユニット5の内側の濃縮領域3から外側のろ液領域8へ排出され、このことでろ過ユニット5の内部の凝集汚泥が徐々に濃縮されて濃縮汚泥となる。
【0031】
このスクリーン13のスリット幅はスペーサ12の厚み、固定板10および回転板11の厚みを選択することで各種汚泥の性状に適したスリット幅に調節できる。スペーサの厚みt1は同板厚の回転板11と固定板10の厚みt2よりも大きく、かつ以下の関係を満たす範囲で決定する。
【0032】
0<(t1−t2)/2<1mm
濃縮領域3の濃縮汚泥は汚泥排出系7を通って次工程の圧入式脱水機25へ圧入される。したがって、凝集フロックを含む濃縮汚泥は別途のポンプ等で再圧入することなく、汚泥投入系7の汚泥ポンプ18の吐出圧力を利用して次工程に供給するので、従来の大気開放型濃縮機では適用が困難であった圧入式脱水機25にも凝集フロックを破壊することなく供給することができる。
【0033】
ろ液領域8に排出した小さな凝集フロックを含む分離液は分離液排出系9を通って定量ポンプ23により反応槽1の外部へ排出される。ろ過ユニット5の内周部、回転板11および固定板10の上下面には微細な凝集フロックおよび凝集剤粘着層からなる可逆的な閉塞物が付着してろ材抵抗が増加する要因となるが、回転板11が固定板10に対して相対的に、かつ連続的に回転することで閉塞物はすりつぶされて分離液とともにろ液領域8に排出される。このセルフクリーニング効果によって、スクリーン13の目詰まりが無くなり、定期的な洗浄工程を必要とせずに安定した濃縮を行なうことができる。
【0034】
このろ過ユニット5における分離能力はスクリーン13のスリット幅とスリット幅より小さい凝集フロックを含む分離液を押し出すろ過圧力に依存する。ろ過圧力はスクリーン13の内外間の差圧であり、汚泥投入系6における汚泥流量および圧力が一定であることから、分離液の排出が遅速でろ液領域8における背圧が大きい程に差圧が小さくなり、分離液の排出が早速でろ液領域8における背圧が小さい程に差圧が大きくなる。
【0035】
したがって、原汚泥流量に対する分離液流量の割合が大きくなるにしたがって差圧が大きくなって分離能力が高まり、原汚泥流量に対する分離液流量の割合が小さくなるにしたがって差圧が小さくなって分離能力が低下する。
【0036】
このため、凝集汚泥の濃縮性に応じて演算器24における設定比率を調整し、定量ポンプ23における設定流量を調整し、定量ポンプ23の回転速度を制御して分離液排出系9を通して反応槽1から取出す分離液流量を増減する。この原汚泥流量f1と分離液流量f2との比は、以下の関係を満たす範囲において決定する。
【0037】
0.1≦(f2/f1)≦0.9
この操作により、凝集汚泥の濃縮性が低い程に原汚泥流量に対する分離液流量の割合を大きくして分離能力を高め、凝集汚泥の濃縮性が高い程に原汚泥流量に対する分離液流量の割合を小さくして分離能力を抑制することで、固形物の回収率を良好に維持できる。
【0038】
運転制御方法としては、図5に示すように構成することも可能である。図5において、差圧計26は反応槽1と分離液排出系9との間に介装し、分離液排出系9に設定圧力を可変調整可能な圧力調整弁27を介装しており、圧力調整弁27には差圧計26の出力信号を受けて圧力調整弁27に設定圧力を指示する演算器28を接続している。演算器28は反応槽1の内部圧力と分離液排出系9の内部圧力との差圧を設定差圧に制御するものである。
【0039】
この構成において、ろ過ユニット5における分離能力はスクリーン13のスリット幅とスリット幅より小さい凝集フロックを含む分離液を押し出すろ過圧力に依存し、ろ過圧力はスクリーン13の内外間の差圧であり、差圧が大きくなるにしたがって分離能力が高まり、差圧が小さくなるにしたがって分離能力が低下する。汚泥投入系6における汚泥流量および圧力が一定であることから、ろ液領域8における背圧が大きい程に差圧が小さくなり、ろ液領域8における背圧が小さい程に差圧が大きくなる。
【0040】
このため、凝集汚泥の濃縮性に応じて演算器28における設定差圧を調整し、圧力調整弁27における設定圧力を調整し、圧力調整弁27の開度制御によって分離液排出系9の内部圧力を増減する。この反応槽1の内部圧力P1と分離液排出系9の内部圧力P2の差圧は、以下の関係を満たす範囲において決定する。
【0041】
1kPa≦(P1−P2)≦50kPa
この操作により、凝集汚泥の濃縮性が低い程に反応槽1の内部圧力と分離液排出系9の内部圧力との差圧を大きくして分離能力を高め、凝集汚泥の濃縮性が高い程に反応槽1の内部圧力と分離液排出系9の内部圧力との差圧を小さくして分離能力を抑制することで、固形物の回収率を良好に維持できる。
【0042】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、凝集フロックを含む濃縮汚泥をポンプ等で再圧入することなく、汚泥投入系の圧力を利用して次工程の脱水機へ圧入することができるので、従来の大気開放型濃縮機では適用が困難であった汚泥圧入式脱水機にも凝集フロックを破壊することなく濃縮汚泥を供給することができる。また、ろ材抵抗の増加要因となる可逆的な閉塞物を回転板が固定板に対して相対的に、かつ連続的に回転することですりつぶして排出することができ、このセルフクリーニング効果によって、スクリーンの目詰まりが無くなり、定期的な洗浄工程を必要とせずに安定した濃縮を行なうことができる。
【0043】
また、凝集汚泥の濃縮性に応じて演算器における設定比率を調整し、凝集汚泥の濃縮性が低い程に原汚泥流量に対する分離液流量の割合を大きくして分離能力を高め、凝集汚泥の濃縮性が高い程に原汚泥流量に対する分離液流量の割合を小さくして分離能力を抑制することで、固形物の回収率を良好に維持できる。
【0044】
また、凝集汚泥の濃縮性に応じて演算器における設定差圧を調整し、凝集汚泥の濃縮性が低い程に反応槽の内部圧力と分離液排出系の内部圧力との差圧を大きくして分離能力を高め、凝集汚泥の濃縮性が高い程に反応槽の内部圧力と分離液排出系の内部圧力との差圧を小さくして分離能力を抑制することで、固形物の回収率を良好に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における凝集反応槽を示す縦断面図である。
【図2】同実施の形態におけるろ過ユニットを示す斜視図である。
【図3】本発明の他の実施の形態における凝集反応槽を示す縦断面図である。
【図4】本発明の凝集反応槽の運転制御方法を示す模式図である。
【図5】本発明の凝集反応槽の他の運転制御方法を示す模式図である。
【符号の説明】
1 反応槽
4 インペラ(攪拌羽根)
4a 駆動装置
5 ろ過ユニット
6 汚泥投入系
7 汚泥排出系
8 ろ液領域
9 分離液排出系
10 固定板
11 回転板
12 スペーサ
13 スクリーン
14 シール材
15 固定軸
16 可動軸
19 汚泥流量計
23 定量ポンプ
24 演算器
Claims (3)
- 内部に密閉空間を形成する反応槽と、反応槽内の軸心方向の一方側に形成する凝集領域に配置したインペラと、反応槽外に配置したインペラの駆動装置と、反応槽内の軸心方向の他方側に形成する濃縮領域に配置した筒状のろ過ユニットと、凝集領域に連通する汚泥投入系と、濃縮領域に連通する汚泥排出系と、ろ過ユニットのろ液領域に連通する分離液排出系とを備え、
ろ過ユニットは、複数のリング状の固定板と回転板とを交互に積層するとともに、双方の相対向する板面間に所定のスリットを形成するスペーサを介在させてスクリーンを構成し、スクリーンの上下端に配置するリング状のシール材でスクリーンの外周囲に反応槽の壁面との間で前記ろ液領域を形成し、各固定板および各スペーサを貫通して配置する固定軸を前記シール材で固定保持し、各回転板を貫通して配置する可動軸をインペラの駆動装置もしくは別途に配置する駆動装置に連動連結したことを特徴とする凝集反応槽。 - 汚泥投入系に介装する流量計と、分離液排出系に介装する設定流量を可変調整可能な定量ポンプと、流量計の出力信号を受けて定量ポンプに設定流量を指示する演算器とを備え、演算器は汚泥投入系から反応槽に供給する原汚泥流量に対して分離液排出系を通して反応槽から取出す分離液流量の割合を設定比率に制御することを特徴とする請求項1に記載の凝集反応槽。
- 反応槽と分離液排出系との間に介装する差圧計と、分離液排出系に介装する設定圧力を可変調整可能な圧力調整弁と、差圧計の出力信号を受けて圧力調整弁に設定圧力を指示する演算器とを備え、演算器は反応槽の内部圧力と分離液排出系の内部圧力との差圧を設定差圧に制御することを特徴とする請求項1に記載の凝集反応槽。
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