JP3877277B2 - 現像方法及びその装置、画像形成装置、並びに画像形成プロセスユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、FAXなどの画像形成装置、該装置に採用することができる現像方法及びその装置並びに画像形成プロセスユニットに係り、詳しくは、潜像担持体の帯電電位が400V以下と比較的低い場合でも良好な現像が可能となる現像能力の高い現像方法及びその装置、該現像装置を備えた画像形成装置及び画像形成プロセスユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の画像形成装置に用いる現像装置として、トナーと磁性粒子とを含む二成分現像剤を用いて潜像担持体上の静電潜像を現像する二成分現像装置と、トナーを一成分現像剤として用いて潜像担持体上の静電潜像を現像する一成分現像装置が知られている。
また、このような現像装置を備えた画像形成装置として、潜像担持体(感光体)の帯電電位を400V以下の比較的低い電位に抑えた低電位システムを採用したものが知られている(例えば、特開平7−84439号参照)。この低電位システムを採用した画像形成装置では、潜像担持体の帯電・露光という繰り返しによる通電電荷量による静電疲労を低減することができ、潜像担持体の寿命を延ばすことができる。また、潜像担持体とその周辺の他の部材(たとえばケーシング)との間の電位差が放電開始電圧よりも大きくなり、それらの間で放電が発生すると、画像に悪影響を及ぼすおそれがある。しかしながら、潜像担持体の帯電電位を400V以下の比較的低い電位に抑えると、潜像担持体とその周辺の他の部材との間の電位差を図20に示すパッシェン曲線で示す値よりも小さくすることができ、放電による画像に対する悪影響を防止することができる。
【0003】
上記低電位システムを採用した画像形成装置では、現像が飽和する現像ポテンシャルを低減することが同時に必要となる。従って、かかる低い現像ポテンシャルでも良好な現像を実現しようとすると、現像装置の現像能力を高める必要がある。この現像能力を高める方法としては、前述の二成分現像装置及び成分現像装置のいずれにおいても、▲1▼潜像担持体に対向する実効的な現像電極の先端を潜像担持体表面に近づける方法や、▲2▼トナーの帯電量を低くする方法が、従来から用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記現像装置の現像能力を高め、比較的低い現像ポテンシャル(例えば0〜200V)で現像が可能となる高い現像γ特性を有するようにした場合は、地汚れに対する余裕度が狭くなり、地汚れが発生しやすくなってしまうという不具合があった。このように地汚れが発生しやすくなる理由としては、▲1▼潜像担持体の帯電量が変動しやすいためにその影響を受けて部分的に地汚れが発生しやすくなり余裕度が低減すること、▲2▼トナー中の正規帯電に対して低・逆帯電トナーの存在比が変わらないと仮定すると、逆バイアス(現像バイアス電圧−地肌部電圧)に対する逆帯電トナーの潜像担持体表面上での付着量との関係を示す曲線の傾きが、通常の現像領域における現像γ特性の場合と同様に大きくなること、などが考えられる。
【0005】
本発明は以上の背景のもとでなされたものであり、その目的は、潜像担持体の帯電電位を下げても良好な現像ができるように現像装置の現像能力を高めることができるとともに、現像バイアス電圧と潜像担持体表面の地肌部電位との差が0〜200Vの範囲で変化するときでも、逆帯電トナーによる地汚れの発生を抑制することができる現像方法及びその装置、該現像装置を備えた画像形成装置並びに画像形成プロセスユニットを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、現像バイアス電圧が印加された現像剤担持体の表面にトナーと磁性粒子とを含む二成分現像剤を担持して潜像担持体に対向する現像領域に搬送し、該潜像担持体上の潜像を現像する現像方法において、該二成分現像剤の磁性粒子のダイナミック抵抗が10Ω以上且つ10Ω以下であり、該現像剤担持体に担持された該二成分現像剤中のトナー平均帯電量の絶対値が10[μC/g]以上且つ25[μC/g]以下である条件下で、該現像剤担持体に担持された二成分現像剤中のトナーの粒径に対する個数の分布であるトナー粒径個数分布のプロファイルにおける半値幅が、該トナー粒径個数分布のプロファイルにおけるピークの粒径値の28%以下であることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の発明は、現像バイアス電圧を印加した導電性基体上に表層を有するトナー担持体の表面にトナーを担持して潜像担持体に対向する現像領域に搬送し、該潜像担持体上の潜像を現像する現像方法において、該トナー担持体の表層の体積固有抵抗が10[Ω・cm]以上且つ10[Ω・cm]以下であり、該トナー担持体に担持された該トナー平均帯電量の絶対値が10[μC/g]以上且つ25[μC/g]以下である条件下で、該トナー担持体に担持されたトナーの帯電量/粒径に対する個数の分布であるトナー帯電量個数分布をチャンネル幅1[fC/10μm]で測定したときの、該トナー帯電量個数分布のプロファイルにおけるピークの個数に対する両隣のチャンネルの個数平均値の比率が、43%以下であることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の発明は、トナーと磁性粒子とを含む二成分現像剤を表面に担持し潜像担持体に対向する現像領域に搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体に現像バイアス電圧を印加する現像バイアス印加手段とを備えた現像装置において、該二成分現像剤の磁性粒子のダイナミック抵抗が10Ω以上且つ10Ω以下であり、該現像剤担持体に担持された該二成分現像剤中のトナー平均帯電量の絶対値が10[μC/g]以上且つ25[μC/g]以下である条件下で、該現像剤担持体に担持された二成分現像剤中のトナーの粒径に対する個数の分布であるトナー粒径個数分布のプロファイルにおける半値幅が、該トナー粒径個数分布のプロファイルにおけるピークの粒径値の28%以下であることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の発明は、導電性基体上に表層を有し、該表層上にトナーを担持し潜像担持体に対向する現像領域に搬送するトナー担持体と、該トナー担持体に現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段とを備えた現像装置において、該トナー担持体の表層の体積固有抵抗が10[Ω・cm]以上且つ10[Ω・cm]以下であり、該トナー担持体に担持された該トナー平均帯電量の絶対値が10[μC/g]以上且つ25[μC/g]以下である条件下で、該トナー担持体に担持されたトナーの帯電量/粒径に対する個数の分布であるトナー帯電量個数分布をチャンネル幅1[fC/10μm]で測定したときの、該トナー帯電量個数分布のプロファイルにおけるピークの個数に対する両隣のチャンネルの個数平均値の比率が、43%以下であることを特徴とするものである。
【0010】
ここで、上記請求項1の現像方法及び請求項3の現像装置における「トナー粒径個数分布のプロファイル」とは、トナーの粒径を横軸にとりトナーの個数を縦軸にとってプロットしたときの全体のトナーの個数分布曲線を意味する。このトナー粒径個数分布のプロファイルは、通常、正規分布の曲線となる。また、上記磁性粒子の「ダイナミック抵抗」は、後述の図5の測定システムを用いて測定したものである。
【0011】
また、上記請求項2の現像方法及び請求項4の現像装置における「トナーの帯電量」は、各トナーの1粒子ごとの帯電量を意味するものであり、各トナーの帯電電荷量(q)をそれぞれ対応するトナーの粒径(d)や質量(m)で除したq/d及びq/mのように各トナーの粒径や質量で規格化された帯電量を含む概念である。また、上記「トナー帯電量個数分布のプロファイル」とは、トナーの帯電量を横軸にとりトナーの個数を縦軸にとってプロットしたときの全体のトナーの個数分布曲線を意味する。このトナー帯電量個数分布のプロファイルは、通常、正規分布の曲線となる。
【0012】
請求項1の現像方法及び請求項3の現像装置では、二成分現像剤の磁性粒子のダイナミック抵抗が10Ω以上且つ10Ω以下であり、現像剤担持体に担持された二成分現像剤中のトナー平均帯電量の絶対値が10[μC/g]以上且つ25[μC/g]以下であるので、現像装置の現像能力を高まり、潜像担持体の帯電電位を下げても良好な現像ができるようになる。そして、現像剤担持体に担持された二成分現像剤中のトナーの粒径に対する個数の分布であるトナー粒径個数分布のプロファイルにおける半値幅が、トナー粒径個数分布のプロファイルにおけるピークの粒径値の28%以下であることにより、逆帯電トナーの存在比率が低減し、現像バイアス電圧と潜像担持体表面の地肌部電位との差が0〜200Vの範囲で変化するときでも、逆帯電トナーによる地汚れの発生を抑制することができる。
【0013】
請求項2の現像方法及び請求項4の現像装置では、トナー担持体の表層の体積固有抵抗が10[Ω・cm]以上且つ10[Ω・cm]以下であり、トナー担持体に担持されたトナー平均帯電量の絶対値が10[μC/g]以上且つ25[μC/g]以下であるので、現像装置の現像能力を高まり、潜像担持体の帯電電位を下げても良好な現像ができるようになる。そして、トナー担持体上のトナー帯電量個数分布のプロファイルにおけるピークの個数に対する両隣のチャンネルの個数平均値の比率が、43%以下であるので、逆帯電トナーの存在比率が低減し、現像バイアス電圧と潜像担持体表面の地肌部電位との差が0〜200Vの範囲で変化するときでも、逆帯電トナーによる地汚れの発生を抑制することができる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4の現像装置において、トナーと磁性粒子とを含む二成分現像剤を担持して上記トナー担持体に対向するトナー供給領域に搬送し、該二成分現像剤の中のトナーを該トナー担持体に供給するトナー供給部材を備えたことを特徴とするものである。
なお、上記トナー担持体とトナー供給部材との間には、トナー供給部材に担持された二成分現像剤中のトナーをトナー担持体側に移動させる電界を形成するためのトナー供給バイアス電圧を印加してもよい。
【0015】
請求項5の現像装置では、トナー供給部材に担持された二成分現像剤中のトナーが、磁性粒子との摩擦で所定の帯電量に帯電されながら、磁性粒子とともに、トナー担持体に対向するトナー供給領域へ搬送される。このトナー供給領域で、トナー供給部材上の二成分現像剤中の帯電済みのトナーがトナー担持体に供給され担持される。
【0016】
請求項6の発明は、請求項3、4又は5の現像装置において、画像を構成する画素のうちのトナーを付着させるトナー付着画素の単位面積当たりの密度により該画像の階調を表現するように潜像担持体に形成された潜像の該トナー付着画素が、上記現像領域を通過しているときに、上記現像剤担持体又は上記トナー担持体上のトナーのうち該トナー付着画素に対向している部分のトナーの全てを該トナー付着画素の現像に用いる飽和現像を行うように、現像条件を設定したことを特徴とするものである。
【0017】
請求項6の現像装置では、トナー担持体に担持されたトナーが、画像を構成する画素のうちのトナーを付着させるトナー付着画素の単位面積当たりの密度により画像の階調を表現する2値プロセスで潜像担持体に形成された潜像に対する上記飽和現像に用いられる。この潜像担持体上でのトナー付着量の変動が小さい飽和現像を行うことにより、環境条件の変動や経時変化により潜像担持体の表面電位等が変動したり現像剤の帯電量等の現像剤特性が変動したりする場合でも、画像を構成するトナー付着画素の周辺の地汚れや、トナー付着画素における画像濃度不足を防止できる。
【0018】
なお、上記飽和現像を行うように設定する現像条件としては、トナー担持体に用いる材質の抵抗率のほか、トナー供給部材上に担持される二成分現像剤からなる磁気ブラシの量、トナー担持体に印加する現像バイアス、トナー担持体に担持されたトナーの帯電量の絶対値などを挙げることができる。
【0019】
請求項7の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体を一様に帯電した後、該潜像担持体の電位を画像情報に基づいて選択的に低下させることにより該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像してトナー像とする現像装置と、該潜像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写装置とを備えた画像形成装置であって、該現像装置として、請求項3、4、5又は6の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
【0020】
請求項7の画像形成装置では、上記現像装置を用いることにより、上記逆帯電トナーによる地汚れのない高品質の画像を形成することができる。
【0021】
請求項8の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体を一様に帯電した後、該潜像担持体の電位を画像情報に基づいて選択的に低下させることにより該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像してトナー像とする現像装置と、該潜像担持体上のトナー像が転写される中間転写体と、該潜像担持体上のトナー像を該中間転写体に転写する1次転写装置と、該中間転写体上のトナー像を転写材に転写する2次転写装置とを備えた画像形成装置であって、該現像装置として、請求項3、4、5又は6の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
【0022】
請求項8の画像形成装置では、上記現像装置を用いることにより、上記逆帯電トナーによる地汚れのない高品質の画像を形成することができる。
【0023】
請求項9の発明は、請求項7又は8の画像形成装置において、上記潜像担持体の帯電電位の絶対値が400V以下であることを特徴とするものである。
【0024】
請求項9の画像形成装置では、潜像担持体の帯電電位の絶対値を400V以下にすることにより、潜像担持体とその周辺の部材との間で放電が発生しにくくなる。
【0025】
請求項10の発明は、請求項7、8又は9の画像形成装置において、上記潜像担持体の表面の摩擦係数μが0.1以上且つ0.4以下であることを特徴とするものである。
【0026】
請求項10の画像形成装置では、潜像担持体の表面の摩擦係数μを0.1以上且つ0.4以下にすることにより、潜像担持体の表面とトナーとの間の非静電的付着力が弱くなる。
【0027】
請求項11の発明は、請求項7、8、9又は10の画像形成装置において、上記潜像担持体が感光体であり、上記潜像形成手段が、該潜像担持体の一様に帯電された表面に、画像情報に基づいて光を照射することにより該潜像担持体に潜像を形成するものであり、該潜像担持体に対する照射光量を、該潜像担持体の減衰曲線に対する微分感度が最大微分感度の5分の1以下になるように設定したことを特徴とするものである。
【0028】
請求項11の画像形成装置では、潜像担持体にドット状の潜像を形成する場合に、ドット状の潜像の周辺の微分感度が十分に低くなっているので、潜像担持体の電位変動によるドット状の潜像の径が安定する。
【0029】
請求項12の発明は、潜像担持体、該潜像担持体の表面を一様帯電する帯電装置、及び該潜像担持体の表面をクリーニングするクリーニング装置の少なくとも一つと、該潜像担持体上の潜像を現像してトナー像とする現像装置とを、画像形成装置本体に対して着脱可能に一体構造物として構成した画像形成プロセスユニットであって、該現像装置として、請求項3、4、5又は6の現像装置を用いたことを特徴とするものである。
【0030】
請求項12の画像形成プロセスユニットでは、上記現像装置を用いることにより、上記逆帯電トナーによる地汚れのない高品質の画像を形成することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、画像形成装置としての電子写真式レーザプリンタ(以下「プリンタ」という。)及び該プリンタに用いる現像装置に適用した実施形態について説明する。
【0032】
〔実施形態1〕
本発明の第1の実施形態に係るプリンタでは、トナーと磁性粒子とを含む二成分現像剤を用いた二成分現像装置を使用している。そして、二成分現像剤としては、磁性粒子のダイナミック抵抗が10以上且つ10Ω以下であり、現像剤担持体としての現像ローラに担持された二成分現像剤中のトナー平均帯電量の絶対値が10以上且つ25[μC/g]以下である条件下で、現像ローラに担持された二成分現像剤中のトナーの粒径に対する個数の分布であるトナー粒径個数分布のプロファイルにおける半値幅が、トナー粒径個数分布のプロファイルにおけるピークの粒径値の28%以下であるものを用いている。
【0033】
図2は、本実施形態に係るプリンタの全体の概略構成図である。このプリンタは、潜像担持体としての感光体ドラム1の周辺に、感光体ドラム1の表面を一様帯電する帯電装置2、画像情報に基づいて変調されたレーザー光線等を感光体ドラム1に照射する露光装置3、感光体ドラム1に形成された静電潜像に対し現像ローラ402上の帯電トナーを付着させることでトナー像を形成する現像装置4、感光体ドラム1上に形成されたトナー像を転写材としての転写紙20に転写する転写装置5、転写後に感光体ドラム1上に残ったトナーを除去するクリーニング装置6等が順に配設されている。また、感光体ドラム1上に静電潜像を形成する潜像形成手段は、上記帯電装置2及び露光装置3により構成されている。
また、図示しない給紙トレイ等から転写紙を給紙・搬送する図示しない給紙搬送装置と、転写装置5で転写されたトナー像を転写紙20に定着する図示しない定着装置とが備えられている。
なお、上記プリンタを構成する複数の装置の一部は、プリンタ本体に対して着脱可能に一体構造物(ユニット)として構成してもよい。例えば、図3に示すように、感光体ドラム1と帯電装置2と現像装置4とクリーニング装置6とを、プリンタ本体に対して着脱可能に、一体構造物である画像形成プロセスユニットとして構成してもよい。
【0034】
上記構成のプリンタにおいて、矢印a方向に回転する感光体ドラム1の表面は、帯電装置2で一様帯電された後、画像情報に基づいて変調されたレーザー光線が感光体軸方向にスキャンされて照射される。これにより、感光体ドラム1上に静電潜像が形成される。感光体ドラム1上に形成された静電潜像は、現像領域A1において、現像装置4により帯電したトナーを付着させることで現像され、トナー像となる。一方、転写紙20は図示しない給紙搬送装置で給紙・搬送され、レジストローラ7により所定のタイミングで感光体ドラム1と転写装置5とが対向する転写部に送出・搬送される。そして、転写装置5により、転写紙20に感光体ドラム1上のトナー像とは逆極性の電荷を付与することで、感光体ドラム1上に形成されたトナー像が転写紙20に転写される。次いで、転写紙20は、感光体ドラム1から分離され、図示しない定着装置に送られ、定着装置でトナー像が定着された転写紙20が出力される。転写装置5でトナー像が転写された後の感光体ドラム1の表面は、クリーニング装置6でクリーニングされ、感光体ドラム1上に残ったトナーが除去される。
【0035】
上記感光体ドラム1は、接地された導電性基体(例えば、アルミ等の素管)上に、感光性を有する無機又は有機感光体を塗布することにより感光層を形成したものである。この感光層は、電荷発生層と電荷輸送層とにより構成され、上記帯電装置2により表面が負極性に一様帯電される。なお、潜像担持体としては、厚みの比較的薄いポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ニッケル等に感光層を形成したベルト感光体を使用することも可能である。また、本実施形態では負極性に一様帯電する感光体ドラム1を使用しているが、トナーの帯電極性等との関係を考慮し必要に応じて正極性に一様帯電するものを使用してもよい。
【0036】
図5は、現像装置4の概略構成図である。この現像装置4は、ケーシング401の感光体ドラム側の開口から一部露出するように、トナー担持体としての現像ローラ420が配設されている。ケーシング401内のトナー10と磁性粒子11とを含む二成分現像剤(以下「現像剤」という。)12は図示しない撹拌・搬送手段で撹拌され、その一部が現像ローラ420上に担持される。現像ローラ420上の現像剤12は、現像剤規制部材としてのドクタ423で層厚が規制され、一定量の現像剤12が現像ローラ420に担持されて現像領域A1に搬送され、残りはケーシング内に戻される。現像領域A1に搬送された現像剤12中のトナー10が、現像ローラ420と感光体ドラム1との間に形成される現像電界によって感光体ドラム表面に転移し、感光体ドラム1上の静電潜像が現像される。
【0037】
上記現像ローラ420は、複数の磁極を有する磁石部材422を内蔵した非磁性の回転可能なスリーブ421で構成されている。磁石部材422は固定配置され、現像剤12がスリーブ421上の所定箇所を通過するときに磁力が作用するようになっている。現像ローラ420の直径は10〜30mmが好適であり(実施例ではφ18mm)、現像ローラ420の表面は、サンドブラスト若しくは1〜数mmの深さを有する複数の溝を形成する処理を行い、表面粗さRz(十点平均粗さ)が10〜20μmの範囲内に入るようにするのが好ましい。
【0038】
また、現像ローラ420のスリーブ421は、図示しない回転駆動装置により矢印b方向に回転駆動され、現像領域A1で現像電界を形成するための現像バイアス電圧Vを印加する現像バイアス印加手段としての電源409が接続されている。
【0039】
現像ローラ420に内蔵された磁石部材422は、ドクタ423による規制箇所から現像ローラ回転方向にN極(N1)、S極(S1)、N極(N2)、S極(S2)の4つの磁極を有する。なお、磁石部材422の磁極の配置は、図4の構成に限定されるものではなく、現像ローラ420の周囲のドクタ423等の配置に応じて他の配置に設定してもよい。また、図4の現像装置の例では磁石部材422を固定配置しスリーブ421を回転駆動するように構成したが、スリーブ421を固定配置しその内側のローラ状の磁石部材を回転させるように構成してもよい。
上記磁石部材422の磁力により、スリーブ421上にトナー10及び磁性粒子11からなる現像剤12がブラシ状に担持される。そして、現像ローラ420上の磁気ブラシ中のトナー10は、磁性粒子11と混合されることで規定の帯電量を得る。この現像ローラ420上のトナーの平均帯電量としては、−10〜−25[μC/g]の範囲が好適である。本実施形態のより具体的な実施例で用いたトナーの平均帯電量は、約−20[μC/g]である。
また、本実施形態のより具体的な実施例では、ドクタ423と現像ローラ402との間の最近接部に於ける間隔が500μmに設定され、ドクタ423に対向した磁石部材422の磁極N1が、ドクタ423との対向位置よりも現像ローラ回転方向上流側に数度傾斜して位置している。これにより、ケーシング401内における現像剤12の循環流を容易に形成することができる。この磁極N1の傾斜角度は0〜15度が好適である。
【0040】
また、本実施形態のより具体的な実施例では、感光体ドラム1の線速を200mm/s、現像ローラ402の線速を240mm/sに設定した。また、感光体ドラム1の直径を、50mm、現像ローラ402の直径を18mmに設定した。そして、感光体ドラム1と現像ローラ402との間隙である現像ギャップGPを、従来の0.8mmから0.4mmの範囲で小さな値に設定することにより、現像効率の向上を図ることが可能である。
【0041】
上記現像剤12を構成するトナー10としては、球形に極めて近いSR(Spherical High-Resolution)トナーと呼ばれるものを使用している。ここで、重合法により作成されたトナーは球形トナーに分類されるが、SRトナーとは本質的に異なるものである。本実施形態で用いたトナーは、以下に述べる材料を使用して球形度を高めて粒径に対する個数分布のプロファイルをシャープにしたものである。このSRトナーは、ウレア結合で変成されたポリエステルを少なくともトナーバインダーとして含有する乾式トナーである。
【0042】
(ウレア変性ポリエステルの組成)
上記ウレア結合で変性されたウレア変性ポリエステル(i)としては、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応物などが挙げられる。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させた物などが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0043】
上記ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)および3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、ジオール(1−1)単独、またはジオール(1−1)と少量のポリオール(1−2)の混合物が好ましい。
ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0044】
上記ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)および3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、および(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。
ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。
なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
【0045】
上記ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0046】
上記ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
上記ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは2〜20質量%である。0.5質量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40質量%を超えると低温定着性が悪化する。
【0047】
上記イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0048】
上記アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0049】
さらに、必要により伸長停止剤を用いてウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0050】
上記アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。本発明においては、ウレア結合で変性されたポリエステル(i)中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0051】
(ウレア変性ポリエステルの製造方法)
上記ウレア変性ポリエステル(i)は、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。ウレア変性ポリエステル(i)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステルの数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステル(ii)を用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステル(i)単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0052】
(未変性ポリエステルの含有)
本実施形態のトナーのバインダとしては、上記ウレア結合で変性されたウレア変成ポリエステル(i)単独使用だけでなく、このウレア変性ポリエステル(i)と共に、変性されていない未変成ポリエステル(ii)をトナーバインダー成分として含有させることもできる。この未変成ポリエステル(ii)を含有させることで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。
【0053】
上記未変成ポリエステル(ii)としては、上記ウレア変成ポリエステル(i)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも上記ウレア変成ポリエステル(i)と同様である。また、未変成ポリエステル(ii)は、無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。
ウレア変成ポリエステル(i)と未変成ポリエステル(ii)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、ウレア変成ポリエステル(i)のポリエステル成分と未変成ポリエステル(ii)は類似の組成が好ましい。未変成ポリエステル(ii)を含有させる場合のウレア変成ポリエステル(i)と未変成ポリエステル(ii)の重量比は、通常5/95〜70/30、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。ウレア変成ポリエステル(i)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0054】
上記未変成ポリエステル(ii)のピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。未変成ポリエステル(ii)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。水酸基価が5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
未変成ポリエステル(ii)の酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
【0055】
トナーバインダーのガラス転移点(Tg)は通常50〜70°C、好ましくは55〜65°Cである。50°C未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、70°Cを超えると低温定着性が不十分となる。ウレア変性ポリエステル樹脂の共存により、本実施形態で使用される乾式トナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。トナーバインダーの貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10000dyne/cmとなる温度(TG’)が、通常100°C以上、好ましくは110〜200°Cである。100°C未満では耐ホットオフセット性が悪化する。トナーバインダーの粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1000ポイズとなる温度(Tη)が、通常180°C以下、好ましくは90〜160°Cである。180°Cを超えると低温定着性が悪化する。すなわち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG’はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG’とTηの差(TG’−Tη)は0°C以上が好ましい。さらに好ましくは10°C以上であり、特に好ましくは20°C以上である。差の上限は特に限定されない。また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差は0〜100°Cが好ましい。さらに好ましくは10〜90°Cであり、特に好ましくは20〜80°Cである。
【0056】
次に、本実施形態で用いた乾式トナーのより具体的な製法を例示する。
(トナーバインダーの製造方法の具体例)
トナーバインダーは、次のような方法などで製造することができる。まず、前述のポリオール(1)とポリカルボン酸(2)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280°Cに加熱し、必要により減圧としながら生成する水を溜去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140°Cにて、これにポリイソシアネート(3)を反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)を得る。さらに、プレポリマー(A)にアミン類(B)を0〜140°Cにて反応させ、ウレア結合で変性されたウレア変成ポリエステル(i)を得る。
ポリイソシアネート(3)を反応させる際、およびプレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(3)に対して不活性なものが挙げられる。
ウレア結合で変性されていない未変成ポリエステル(ii)を併用する場合は、水酸基を有するポリエステルと同様な方法で未変成ポリエステル(ii)を製造し、これを前記ウレア変成ポリエステル(i)の反応完了後の溶液に溶解し、混合する。
【0057】
乾式トナーは、次のような方法で製造することができるが、勿論これらに限定されることはない。
(水系媒体中でのトナー製造法の具体例)
乾式トナーの製造に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するプレポリマー(A)からなる分散体を、(B)と反応させて形成しても良いし、あらかじめ製造したウレア変性ポリエステル(i)を用いても良い。
水系媒体中でウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。
プレポリマー(A)と他のトナー組成物(以下「トナー原料」という。)である着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、荷電制御剤、未変性ポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。
また、本実施形態において、着色剤、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成させた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
上記分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150°C(加圧下)、好ましくは40〜98°Cである。高温なほうが、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)を含むトナー組成物100質量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000質量部、好ましくは100〜1000質量部である。50質量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000質量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
【0058】
トナー組成物が分散された油性相を水が含まれる液体に乳化、分散するための分散剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、αーオレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性荊、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやNーアルキルーN,Nージメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガーフルオロアルキル(C6〜C11)オキシ〕−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガーフルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(タイキン工莱社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−l32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
また、水に難溶の無機化合物分散剤としては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いることができる。
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ピニル、プロピオン酸ピニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0059】
上記方法で得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。
乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
分散剤を使用した場合には、分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
さらに、トナー組成物の粘度を低くするために、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになる点で好ましい。この溶剤は、沸点が100°C未満の揮発性であり、除去が容易である点から好ましい。この溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。プレポリマー(A)100質量部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300質量部、好ましくは0〜100質量部、さらに好ましくは25〜70質量部である。
上記溶剤を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧または減圧下にて加温し除去する。この伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150°C、好ましくは40〜98°Cである。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0060】
上記方法で得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。
乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
【0061】
得られた乾燥後のトナーの粉体と、離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とを混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えたりすることにより、表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
【0062】
以上の方法で作成されたトナーは、球形度を比較的高くすることが可能である。ここで球形度が投影された像の円形度をSRとすると、SR≧0.97とすることが可能である。ここで、SR=(粒子投影面積と同じ面積の円の周囲長/粒子投影像の周囲長)×100%と定義し、トナーが真球に近いほど100%に近い値となる。
このようなトナーを使用するとブレード等のクリーニング部材の当接で十分掻き取れない場合が発生する。これはトナー表面と感光体ドラムとの距離がミクロ的に短くなることによる非静電的付着力の増加に起因する。この場合、対策としてはより強い力で当接することが考えられるが、感光体ドラムの回転もしくは移動精度に影響を与え、バンディングの原因となる。
【0063】
そこで、後述のように、感光体ドラム1の表面に潤滑剤を塗布してトナーとの摩擦係数μを0.1以上且つ0.4以下の範囲程度に低減することで、転写時に残留したトナーをクリーニング部材としてのクリーニングブレード601で容易に掻き取ることが可能となる。また、このトナーには離型剤も含有されていて表面に出ているが、クリーニングが容易にできることと、潤滑剤が感光体ドラム1の表面を被覆していることにより、トナーが直接、感光体ドラム1の表面に接触する確率が低減してフィルミングを防止することが可能である。
【0064】
本実施形態のトナー10に用いられる樹脂としては、ポリエステル、ポリオール、スチレンアクリル等のバインダー樹脂等が使用できる。
また、離型剤としてのワックス類は、従来公知のものが使用できる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン等の低分子量ポリオレフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス等の合成炭化水素系ワックス、密ロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、モンタンワックス等の天然ワックス類、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸及び高級脂肪酸の金属塩、高級脂肪酸アミド等及びこれらの各種変性ワックスが挙げられる。これらは1種又は2種以上を併用して用いることができるが、特に脱遊離脂肪酸型カルナウバワックス、モンタンワックス及び酸化ライスワックスを単独又は組み合わせて使用する事により良好な離型性を得ることができる。
ここで、カルナウバワックスとしては、微結晶であり、酸価が5以下であり、結着樹脂中に分散した時の粒子径が1μm以下であるものが特に好ましい。また、モンタンワックスについては、一般に鉱物より精製されたモンタン系ワックスを指し、カルナウバワックス同様、微結晶であり、酸価が5〜14であるものが特に好ましい。また、酸化ライスワックスは、米ぬかワックスを空気酸化したものであり、その酸価が10〜30であるものが特に好ましい。
さらに、このときの離型剤の融点は80〜125°Cであることが特に好ましい。融点を80°C以上にすることにより耐久性が優れたトナーとすることができ、また、融点を125°C以下とすることにより定着時に速やかに溶融し、確実な離型効果を発揮できる。
これらの離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、通常1〜15質量部、好ましくは、2〜10質量部である。1質量部以下ではオフセット防止効果が不十分であり、15質量部以上では転写性、耐久性等が低下する。
なお、本実施形態のトナーの場合、表面に露出する離型剤が極めて少なくなることから、離型剤の進入度については特に限定されないが、好ましくは5以下である。
【0065】
また、本実施形態で使用されるトナーは、必要に応じて、着色剤、帯電制御剤、磁性体、添加剤等を加えることも可能である。
着色剤としては、公知の染料及び顔料が使用できる。
黄色系着色剤としては、例えば、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー、(GR、A、RN、R),ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、ベンズイミダゾロンイエロー、イソインドリノンイエロー等が挙げられる。
赤色系着色剤としては、例えば、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイヤーレッド、パラクロロオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッド(F5R、FBB)、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パ−マネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ等が挙げられる。
青色系着色剤としては、例えば、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン等が挙げられる。
黒色系着色剤としては、例えば、カーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネル ブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物等が挙げられる。
その他の着色剤としては、チタニア、亜鉛華、リトボン、ニグロシン染料、鉄黒等が挙げられる。
これらの着色剤の含有量は結着樹脂100質量部に対して、通常1〜30質量部の範囲内である。
【0066】
上記帯電制御剤としては、まず、トナーを正帯電性に制御するものとして、ニグロシン及びその変成物、トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の四級アンモニウム塩、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド、ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレート等のジオルガノスズボレート等が挙げられる。
また、トナーを負帯電性に制御するものとして、サリチル酸金属錯体や塩類、有機ホウ素塩類、カリックスアレン系化合物等が挙げられる。
これらは、それぞれ単独あるいは2種類以上組合わせて用いることも可能である。
これらの帯電制御剤の含有量は結着樹脂100質量部に対して、0.5〜8質量部が好ましい。
【0067】
更に、トナー10は、磁性体を含有させ、磁性トナーとしても使用することもできる。
具体的な磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれら金属とアルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物等が挙げられる。
これらの磁性体は平均粒径が0.1〜2μm程度のものが望ましく、このときの磁性体の含有量は、結着樹脂100質量部に対して20〜200質量部、特に好ましくは結着樹脂100質量部に対して40〜150質量部である。
【0068】
上記添加剤としては、従来公知のものが使用できるが、具体的には、Si,Ti,Al,Mg,Ca,Sr,Ba,In,Ga,Ni,Mn,W,Fe,Co,Zn,Cr,Mo,Cu,Ag,V,Zr等の酸化物や複合酸化物等が挙げられ、特にSi,Ti,Alの酸化物であるシリカ、チタニア、アルミナが好適に用いられる。
添加剤の添加量は、母体粒子100質量部に対して0.5〜1.8質量部であることが好ましく、特に好ましくは、0.7〜1.5質量部である。添加剤の添加量が、0.5質量部未満であると、トナーの流動性が低下するため、十分な帯電性が得られず、また、転写性や耐熱保存性も不十分となり、また、地汚れやトナー飛散の原因にもなりやすい。
また1.8質量部より多いと、流動性は向上するものの、ビビリ、ブレードめくれ等の感光体クリーニング不良や、トナーから遊離した添加剤による感光体ドラム1等へのフィルミングが生じやすくなり、クリーニングブレード602や感光体ドラム1等の耐久性が低下し、定着性も悪化する。さらに、細線部におけるトナーのチリが発生しやすくなり、特に、フルカラー画像における細線の出力の場合には、少なくとも2色以上のトナーを重ねる必要があり、付着量が増えるため、特にその傾向が顕著である。
さらに、カラートナーとして用いる場合には、添加剤が多く含有されていると、透明シートに形成されたトナー画像をオーバーヘッドプロジェクターで投影した場合に投影像にかげりが生じ、鮮明な投影像が得られにくくなる。
【0069】
ここで、添加剤の含有量の測定には種々の方法があるが、蛍光X線分析法で求めるのが一般的である。すなわち、添加剤の含有量既知のトナーについて、蛍光X線分析法で検量線を作成し、この検量線を用いて、添加剤の含有量を求めることができる。
【0070】
また、上記添加剤は、必要に応じ、疎水化、流動性向上、帯電性制御等の目的で、表面処理を施されていることが好ましい。
ここで、表面処理に用いる処理剤としては、有機系シラン化合物等が好ましく、例えば、メチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等のアルキルクロロシラン類、ジメチルジメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン等のアルキルメトキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等が挙げられる。
また、処理方法としては、有機シラン化合物を含有する溶液中に添加剤を漬積し乾燥させる方法、添加剤に有機シラン化合物を含有する溶液を噴霧し乾燥させる方法等があるが、本実施形態においては、いずれの方法も好適に用いることができる。
【0071】
トナー10の体積平均粒径は3〜12μmの範囲が好適である。本実施形態で用いたトナー10の体積平均粒径は6μmであり、1200dpi以上の高解像度の画像にも十分対応することが可能である。また、本実施形態では、帯電極性が負極性のトナー10を使用しているが、感光体ドラム1の帯電極性などに応じて帯電極性が正極性のトナーを使用してもよい。
【0072】
上記トナーの粒径及び帯電量分布の測定には、ホソカワミクロン株式会社製の分析装置(商品名:「E−SPART ANALYZER」)を使用した。この分析装置は、二重ビーム周波数偏移型レーザードップラー速度計と静電界中で粒子の動きを摂動させる弾性波とを用いた方法を採用し、現像ローラ402上のトナーにエアを吹き付けて飛ばし、電界中の動きを捉えることでトナー個々の粒径と帯電量のデータを得られるものである。
【0073】
本実施形態の現像剤12を構成する磁性粒子11は、金属もしくは樹脂をコアとしてフェライト等の磁性材料を含有し、表層はシリコン樹脂等で被覆されたものである。この磁性粒子11の粒径は20〜50μmの範囲が好適である。また、磁性粒子11の電気抵抗は、ダイナミック抵抗DRで10Ω以上且つ10Ω以下の範囲が好適である。
【0074】
上記磁性粒子11のダイナミック抵抗DRの測定は、図5に示す測定装置を用いて次のように行った。まず、接地した台座200の上方に、固定磁石を所定位置に内蔵した直径φ20mmの回転可能なスリーブ201をセットする。このスリーブ201の表面には、幅W=65mm及び長さL=0.5〜1mmの対向面積を有する対向電極(ドクタ)202を、ギャップg=0.9mmで対向させる。次に、スリーブ201を回転速度600rpm(線速628[mm/sec])で回転駆動し始める。そして、回転しているスリーブ201上に測定対象の磁性粒子を所定量(14g)だけ担持させ、該スリーブ201の回転により該磁性粒子を10分間攪拌する。次に、スリーブ201に電圧を印加しない状態で、スリーブ201と対向電極202との間を流れる電流Ioff[A]を電流計203で測定する。次に、直流電源204からスリーブ201に耐圧上限レベル(高抵抗シリコンコートキャリアでは400Vから鉄粉キャリアでは数V)の印加電圧EVを5分間印加する。本実施形態では200Vを印加した。そして、電圧Eを印加した状態でスリーブ201と対向電極202との間を流れる電流Ion[A]を電流計203で測定する。これらの測定結果から、次式を用いてダイナミック抵抗DR[Ω]を算出する。
【0075】
【数1】
DR=E/(Ion−Ioff)
【0076】
次に、本実施形態のより具体的な実施例について説明する。
本実施例では、帯電量が−10〜−20μC/gのトナー10を用い、ダイナミック抵抗が10Ωの磁性粒子11を用いた。このようなトナー10及び磁性粒子11を含む現像剤12を用いることにより、現像γ特性において現像ポテンシャルVB−VSが200V程度でトナー付着量M/Aが飽和するという高い現像能力が得られた。
一方、比較例として、帯電量が−15〜−35μC/gのトナー10と、ダイナミック抵抗が1010Ωの磁性粒子11とを用いて現像γ特性を測定したところ、現像ポテンシャルVB−VSが400V以上になったところでトナー付着量M/Aが飽和する結果が得られた。
【0077】
図1は、本実施例で用いた2種類のトナーにおけるトナー粒径に対する個数の分布であるトナー粒径個数分布を示すグラフである。図1中の記号A1及びA2で示す曲線はそれぞれ、本実施例のSR(球形)トナー及び粉砕トナーのトナー粒径個数分布のプロファイルを示している。これらのトナーのうちSR(球形)トナー10は、図6に示すように先に述べた母体粒子10aに帯電制御剤(CCA)10b、着色剤10c、離型剤10d等の添加剤を外添したものである。
また、図1中の記号B1及びB2で示す曲線はそれぞれ、比較例における粉砕トナーのトナー粒径個数分布のプロファイルを示している。
【0078】
図1において、4種類のトナーとも、トナー粒径個数分布のプロファイルにおけるピークの粒径値は5.5μmである。一方、上記4種類のトナー(A1、A2、B1及びB2)のトナー粒径個数分布プロファイルのシャープさに関する指標であるトナー粒径個数分布プロファイルの半値幅はそれぞれ、1.43μm(上記ピークの粒径値5.5μmの26%)、1.55μm(同28%)、1.77μm(同32%)及び2.00μm(同36%)である。
【0079】
図7は、上記4種類のトナー(A1:「◇」、A2:「□」、B1:「△」、B2:「×」)のそれぞれを用いたときの地肌ポテンシャルと地汚れランクとの関係を示すグラフである。ここで、感光体ドラム1上の地肌電位をVDとし、現像ローラ402に印加する電圧(現像バイアス電圧)をVBとしたとき、地肌ポテンシャルはVB−VDと定義される。また、地肌電位VDは−400±40Vに設定した。
この図7の結果から、トナー粒径個数分布のプロファイルにおける半値幅が、トナー粒径個数分布のプロファイルにおけるピーク粒径値(5.5μm)の28%以下である実施例の場合に、逆帯電トナーの存在比率が低減し、地肌ポテンシャルが0〜200Vの範囲で変化するときでも、逆帯電トナーによる地汚れの発生を抑制することができ、地汚れランクを3以上にすることがわかる。
【0080】
〔実施形態2〕
次に、本発明の第2の実施形態に係るプリンタについて説明する。
図8は、本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。プリンタ全体の構成及び動作並びに光書込みによる潜像形成方法については、上記第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
なお、本実施形態においても、プリンタを構成する複数の装置の一部を、プリンタ本体に対して着脱可能に一体構造物(ユニット)として構成してもよい。例えば、図9に示すように、感光体ドラム1と帯電装置2と現像装置4とクリーニング装置6とを、プリンタ本体に対して着脱可能に、一体構造物である画像形成プロセスユニットとして構成してもよい。
【0081】
図10は、本実施形態の現像装置の概略構成図である。本実施形態の現像装置は、上記第1の実施形態の現像装置とは異なり、一成分現像剤を使用し、トナー担持体としての現像ローラ402上にトナー層を形成し、現像ローラ402上のトナー層を感光体ドラム1と接触させるように搬送することにより、感光体ドラム1上の静電潜像を現像する接触一成分現像を行うものである。
【0082】
図10において、現像装置4のケーシング401の内部には、感光体ドラム1側から、トナー担持体としての現像ローラ402、トナー供給部材としての磁気ブラシローラ403、攪拌・搬送部材404、405が配設されている。ケーシング401内のトナー10と磁性粒子11とを含む二成分現像剤(以下「現像剤」という。)12は、攪拌・搬送部材404、405や磁気ブラシローラ403の回転力で攪拌され、そのとき、トナー10は、磁性粒子11との摩擦帯電により電荷が付与される。このように摩擦帯電されたトナー10を含む現像剤12の一部が、磁気ブラシローラ403上に担持される。磁気ブラシローラ403上の現像剤12は、現像剤規制部材としての規制ブレード406で層厚が規制された後、トナー供給領域A2で現像ローラ402に接触する。このトナー供給領域A2で、現像ローラ402と磁気ブラシローラ403との間に形成されるトナー補給ポテンシャル等により、磁気ブラシローラ403上の現像剤12から一定量のトナー10が分離されて現像ローラ402に供給され、残りのトナー10は、攪拌・搬送部材404による撹拌部に戻される。
【0083】
本実施形態の現像装置では、アルミ素管をベースとした剛体の感光体ドラム1を用いているので、現像ローラ402の表層はゴム材料が良好で、硬度は10〜70°(JIS−A)の範囲が良好である。また、現像ローラ402の直径は10〜30mmが好適である。本実施形態では直径16mmのものを用いた。また、現像ローラ402の表面は適宜あらして粗さRz(十点平均粗さ)を1〜4μmとした。この表面粗さRzの範囲は、トナー10の体積平均粒径に対して13〜80%となり、現像ローラ402の表面に埋没することなくトナー10が搬送される範囲である。ここで、現像ローラ402のゴム材料として使用できるものとしてシリコン、ブタジエン、NBR、ヒドリン、EPDM等を挙げることができる。また、いわゆるベルト感光体を使用した場合には現像ローラ402の硬度は低くする必要がないので、金属ローラ等も使用可能である。また、上記現像ローラ402の表面には、経時品質を安定化させるために適宜コ−ト材料を被覆することが有好である。また、本実施形態における現像ローラ402の機能はトナーを担持するためだけのものであり、従来の一成分現像装置のようにトナー10と現像ローラ402との摩擦帯電によるトナー10への帯電電荷付与の必要がないために、現像ローラ402は電気抵抗、表面性、硬度と寸法精度を満たせば良く、材料の選択幅は格段に増えることとなる。
【0084】
上記現像ローラ402の表層コート材料は、帯電がトナー10と逆極性でも良いし、トナーを所望の極性に摩擦帯電する機能を持たせない場合は同極性でも良い。前者の表層コート材料としては、シリコン、アクリル、ポリウレタン等の樹脂、ゴムを含有する材料を挙げることができる。また後者の表層コート材料としては、フッ素を含有する材料を挙げることができる。フッ素を含んだいわゆるテフロン系材料は表面エネルギーが低く、離型性が優れるため、経時におけるトナーフィルミングが極めて発生しにくい。また、上記表層コート材料に用いることができる一般的な樹脂材料として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニールエーテル(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオライド(PVF)等を挙げることができる。これに導電性を得るために適宜カ−ボンブラック等の導電性材料を含有させることが多い。更に均一に現像ローラ402にコートできるように、他の樹脂を混ぜ合わせることもある。電気抵抗に関してはコート層を含めてバルクの体積抵抗率を設定するもので、層厚1〜5mmで10〜10Ω・cmに設定できるようにベース層の抵抗と調整を行う。本実施形態で使用するベース層の体積抵抗率は10〜10Ω・cmなので、表層の体積抵抗率は少し高めに設定することがある。本実施形態のより具体的な実施例では、現像ローラ402のコート層を含めた表層の体積抵抗率を10Ω・cmにした。
【0085】
上記現像ローラ402の表面部の体積抵抗率は、図11(a)及び(b)に示す方法で測定したものである。まず、測定対象の現像ローラ402を、接地された導電性のベース板300上にセットし、現像ローラ402の芯金(回転軸)402aの両端にそれぞれにF=4.9N(=500gf)の荷重をかけ、全体でF=9.8N(1kgf)の荷重をかける。これにより、図11(b)に示すようにベース板300との間にニップWを形成する。現像ローラ402の芯金402aには、電流計301を介して直流電源302を接続する。そして、直流電圧V(=1V)を印加し、そのときの電流値I[A]を読み取る。この印加電圧値V[V]及び電流値I[A]の測定値と、各種寸法L1[cm]、L2[cm]及びW[cm]の測定値とを用いて、次式により現像ローラ402の弾性層402bの体積抵抗率ρvを求める。
【0086】
【数2】
ρv=(V/I)・(L1×W)/L2
【0087】
また、上記現像ローラ402のコ−ト層の厚みは5〜50μmの範囲が良好で、50μmを越えるコート層の硬度とベース層の硬度差が大きい場合で応力が発生した時にひび割れ等の不具合が生じやすくなる。また5μmを下回ると表面磨耗が進むとベース層の露出が発生してトナーが付着しやすくなる。
【0088】
なお、上記現像ローラ402にトナーを供給する磁気ブラシローラ403、規制ブレード406、トナー10及び磁性粒子11については、上記第1の実施形態で用いた現像ローラ420、ドクタ423、トナー及び磁性粒子と同様なものも用いることができるので、それらの構成、製造方法、機能などの共通する部分の説明は省略する。
【0089】
上記現像ローラ402は、磁気ブラシローラ403内の磁極N2に隣接するトナー供給領域A2で磁気ブラシローラ4上の磁気ブラシと接触するようにして対向するとともに、現像領域A1で感光体ドラム1に対向するように配設されている。
【0090】
上記規制ブレード406は、磁気ブラシローラ403との対向部で磁気ブラシローラ4上に形成された現像剤12の量を規制するように磁気ブラシと接触し、所定量の現像剤がトナー供給領域に搬送されるようにするとともに、現像剤12中のトナー10と磁性粒子11との摩擦帯電を促進させている。
【0091】
また、現像ローラ402及び磁気ブラシローラ403はそれぞれ、図示しない回転駆動装置により図10の矢印b方向及びc方向に回転駆動され、トナー供給領域A2では両ローラの表面が互いに逆方向に移動するようになっている。本実施形態では、感光体ドラム1の線速200mm/sに対し、現像ローラ402を線速300mm/sで回転駆動している。
また、トナー供給領域A2における現像ローラ402と磁気ブラシローラ403のスリーブとのギャップは0.6mmに設定した。
【0092】
また、現像ローラ402の軸部には、現像領域A1に現像電界を形成するための現像バイアスVbを印加する電源409が接続されている。また、磁気ブラシローラ403のスリーブ408には、トナー供給領域A2にトナー供給用電界を形成するためのトナー供給バイアスVsupを印加する電源410が接続されている。
【0093】
上記構成の現像装置4において、ケーシング401内に収容された現像剤12は、トナー10と磁性粒子11が混合されたものであり、攪拌・搬送部材404,405や磁気ブラシローラ403のスリーブ408の回転力、磁石部材407の磁力によって攪拌され、そのときに、トナー10に磁性粒子11との摩擦帯電により電荷が付与される。
一方、磁気ブラシローラ403上に担持された現像剤12は規制ブレード406によって規制され、現像剤12の一定量がトナー供給バイアスで形成された電界等により、現像ローラ402に転移し、残りはケーシング401内に戻される。
上記トナー供給領域A2では、磁気ブラシ中のトナーが分離されて現像ローラ402に転移し、薄層状のトナー10が担持される。そして、現像ローラ402上に担持された薄層状のトナー10は、該ローラ402の回転により現像領域A1に搬送される。そして、上記現像バイアスで形成された現像電界により、感光体ドラム1上の静電潜像に選択的に付着し、該静電潜像が現像される。
【0094】
次に、本実施形態のより具体的な実施例について説明する。
本実施例では、帯電量が−10〜−20μC/gのトナー10を用い、ダイナミック抵抗が10Ωの磁性粒子11を用いた。このようなトナー10及び磁性粒子11を含む現像剤12を用いることにより、図12の現像γ特性においてデータ「◇」で示すように、現像ポテンシャルVB−VSが200V程度でトナー付着量M/Aが飽和するという高い現像能力が得られた。
一方、比較例として、帯電量が−15〜−35μC/gのトナー10と、ダイナミック抵抗が1010Ωの磁性粒子11とを用いて現像γ特性を測定したところ、図12の現像γ特性においてデータ「□」で示すように、現像ポテンシャルVB−VSが400V以上になったところでトナー付着量M/Aが飽和する結果が得られた。
【0095】
図13は、本実施例における現像ローラ402上の2種類のトナーのトナー帯電量q/d[fC/10μm]に対する個数の分布であるトナー帯電量個数分布を示している。図13中の曲線A3及びA4が、本実施例のトナーについて測定したトナー帯電量個数分布である。また、図12中の曲線B3及びB4はそれぞれ、比較例に係るトナーについて測定したトナー帯電量個数分布のプロファイルを示している。
ここで、現像ローラ402上のトナーの帯電量q/d[fC/10μm]はそれぞれ、前述のホソカワミクロン株式会社製の分析装置(商品名:「E−SPART ANALYZER」)を用い、3000個のトナーをサンプリングし、チャンネル幅1[fC/10μm]で測定したのもである。
表1は、上記4種類のトナー(A3、A4、B3及びB4)について測定した各チャンネルにおける頻度(個数)をリストアップしたものである。
【表1】
Figure 0003877277
【0096】
この図13の測定結果に基づいて、4種類のトナー(A3、A4、B3及びB4)のトナー帯電量個数分布プロファイルのシャープさに関する指標として、トナー帯電量個数分布のプロファイルにおけるピークの個数に対する両隣のチャンネルの個数平均値の比率を求めた。各でトナー(A3、A4、B3及びB4)に対する上記比率はそれぞれ、35%、43%、52%及び59%であった。
【0097】
図14は、上記4種類のトナー(A3:「◇」、A4:「□」、B3:「△」、B4:「×」)を含む現像剤を用いたときの地肌ポテンシャルと地汚れランクとの関係を示す特性図である。
この図14の結果から、現像ローラ402上のトナー帯電量個数分布プロファイルにおける上記比率が43%以下である実施例の場合に、逆帯電トナーの存在比率が低減し、地肌ポテンシャルが0〜200Vの範囲で変化するときでも、逆帯電トナーによる地汚れの発生を抑制することができ、地汚れランクを3以上にすることがわかる。
【0098】
なお、上記各実施形態においては、更に地汚れを防止するために、表面の摩擦係数が所定の範囲内にある感光体1を使用することが望ましい。具体的には、表面の最大静止摩擦係数μが0.1≦μ≦0.4の範囲内にある感光体1が好ましい。感光体1の表面の最大静止摩擦係数μを上記所定値以下にすることにより、本来感光体1への付着に不必要な地汚れトナーが現像領域で付着しにくくなる。また、クリーニング装置6のクリーニングブレード601との摩擦も小さくなり、その結果、感光体1の寿命を延ばすことが可能となる。
【0099】
本実施形態では、上記感光体1の表面の最大静止摩擦係数μが0.1以上且つ0.4以下の範囲に維持されるように、感光体1の表面に所定のタイミングで潤滑剤を塗布している。この潤滑剤を塗布する方法としては、従来から公知の方法を採用することができる。例えば、特開平4−372981号公報において、「体積平均粒径4〜10μmのトナ−を使用したとき、感光体の摩擦係数を低下させる物質を感光体上に供給する。潤滑剤の供給は一定枚数おきに直接塗布、又は潤滑剤を担持した部材を常時又は一定枚数おきに感光体に当接させても良い。」等のように、開示されている。このように感光体表面に潤滑剤を塗布することにより、感光体1の表面の最大静止摩擦係数μを0.1以上且つ0.4以下の範囲に維持することができる。なお、上記潤滑剤を感光体1の表面に塗布する代わりに、感光体1の表面部を構成する感光材料自体に予め潤滑剤を入れておいてもよい。
【0100】
上記感光体1の最大静止摩擦係数μは、図15の測定システムを用いて測定したものである。まず、用紙(株式会社リコー製、TYPE6200、A4サイズ、T目)を297mm×30mmに切り、両端に糸101をつけて測定紙片100を作成する。この測定紙片100の特性は、次表のとおりである。
【0101】
【表2】
Figure 0003877277
【0102】
次に、テーブル102の上の支持部材103にセットした感光体1の上に、上記測定紙片100を裏面が接触するようにのせて、測定紙片100の一方の糸101に0.98N(=100g重)の重り104をつけ、もう一方の糸101をデジタルフォースゲージ(デジタルプッシュプルゲ−ジ)105に接続する。そして、上記重り104で測定紙片100を引っ張り、測定紙片100が動き出した時のゲ−ジ105の値を読む。このときの値をF[N]とすると、最大静止摩擦係数μは次式で求められる。
【数3】
μ={ln(F/0.98)}/(π/2)
【0103】
感光体1の表面に潤滑剤等を塗布しない未処理の場合における上記感光体の最大静止摩擦係数μの測定値は、0.5〜0.6であり、経時で増加する傾向にある。これに対して、潤滑剤を塗布した感光体1の測定を行うとその値μは0.1〜0.4の範囲であった。
【0104】
図16は、感光体1に上記潤滑剤を塗布したとき(実線)と塗布しないとき(破線)の地肌ポテンシャルと地汚れランクとの関係を示すグラフである。
上記実施形態におけるトナー帯電量分布を考慮に入れると、感光体1の最大静止摩擦係数μが0.1≦μ≦0.4の場合、トナーの感光体1に対する付着力が比較的弱いので、現像時の現像剤と感光体1との圧接により、通常の現像時に発生する地汚れがスキャベンジされて除去されるものである。これにより、通常より高い現像γ特性で地汚れが発生しても除去されて画像上の地汚れは発生せず、均一な画像を得ることができる。具体的には、地肌電位VD=−400±40V、露光後電位VL=−100±20V、現像バイアスVB=−250Vの条件下で、未塗布の場合の地汚れランク1〜2に対して、感光体1の最大静止摩擦係数μが0.1≦μ≦0.4の場合には、地汚れランク3〜3.5を達成できた。図16の結果においても、未塗布の場合の地肌ポテンシャル100〜200Vにおける地汚れランク1〜2に対して、感光体1の最大静止摩擦係数μが0.1≦μ≦0.4の場合には、地肌ポテンシャル100〜200Vにおいて地汚れランク3〜3.5を達成していることがわかる。
【0105】
以上のように、感光体1の最大静止摩擦係数μは0.1以上且つ0.4以下の範囲が好ましい。一方、感光体1の最大静止摩擦係数μが0.1よりも小さいと、現像剤のスキャベンジ能力が高まって感光体1と現像剤との間のトナーが十分現像されずに、低濃度の画像となるために品質が著しく劣化する。また、感光体1の最大静止摩擦係数μが0.4よりも大きいと、感光体1上の地肌部の地汚れが出やすくなり、その防止手段として現像剤の感光体1に対する当接圧を増やしたり、回転線速比を増やしたりするなどの対策が必要となってくる。しかしながら、このような対策を行なうと、バンディング等の異常画像が発生しやすくなる。
【0106】
また、上記各実施形態においては、従来の光書き込み系に対してビームスポット径を小さくして且つ書き込みエネルギーを増加した条件になるように、露光装置3における光書き込み条件を設定するのが好ましい。
ここでは、上記光書き込み条件を、感光体1の微分感度Sというパラメータを用いて説明する。この微分感度Sは、露光装置3が照射する光ビームと同等の波長の光ビームで感光体1を均一露光したときに得られる感光体1の表面電位V(E)と露光量Eとの関係で定義される。具体的には、感光体1をある露光量Eで露光し、ここから露光量Eを微小な値ΔEだけ増やしたときの感光体表面電位をV(E+ΔE)とした場合、微分感度Sは、次式で定義される。
【0107】
【数4】
S=|V(E+ΔE)−V(E)|/ΔE
【0108】
一般に、微分感度Sは露光量Eが増加するに従い低減する。「微分感度を十分小さくする値」というのは、求める安定性を得るのに十分な感光体1の減衰特性の領域を使用することができるような露光量の値を意味する。この場合の「求める安定性」というのは、画像を構成する画素のうちのトナーを付着させるトナー付着画素の単位面積当たりの密度により該画像の階調を表現する2値プロセスにおいて、均一なドット径及び所定の現像濃度を有した複数のドット画像を形成できることであり、それが経時的に大きな変化をしないことである。ところが、感光体1の経時劣化に伴う露光後電位の上昇で現像濃度不足が生じることがある。そこで、このような画像品質を低下させないような露光後電位にするための露光量の値が「微分感度を十分に小さくする値」であり、例えば感光層の微分感度Sがその最大値の1/3以下の値にすることである。また、現像条件の観点からは、上記2値プロセスにおいて均一なドット径及び所定の現像濃度を有した複数のドット画像を形成するために、感光体1の静電潜像を飽和現像することが好ましい。
【0109】
図17は、本実施形態における感光体1の感光層1tの構成を示したものである。感光層1tは電荷発生層1aと電荷輸送層1bとにより構成され、全体の膜厚TPが13μmとなっている。そして、感光層1tの膜厚TPと光ビームの露光径Dbとは、次式の関係を満足するように設定されている。
【0110】
【数5】
2TP<Db<8TP
【0111】
ここで、光ビームの露光径Dbは、感光体1の表面座標を(x、y)としたとき、感光体1上での光ビームのエネルギー分布P(x、y、t)[W/m]を露光時間で積分した値として定義される次式の露光量分布E(x、y)[J/m]のピーク値より1/eでの最小直径として定義される。
【数6】
E(x、y)=∫P(x、y、t)dt
【0112】
図18は、感光体1上での露光量分布の説明図である。本実施形態では、1画素分の静電潜像を感光体1に形成するために、副走査方向に約20μmだけ露光すると、露光量分布における光ビームの露光径は、図18に示すように主走査方向及び副走査方向共に約38μmとなる。つまり、主副走査方向とも、近似的に38μmのガウス分布を示す。従って、露光量分布のピーク値より1/eでの最小値径として定義される光ビームの露光径Dbは38μmである。
【0113】
図19は、露光量に対する感光体1の表面電位の減衰特性を測定した実験結果を示すグラフである。図19中の記号「◆」が実測データであり、記号「■」、「△」及びそれらを結ぶ破線は微分感度を説明するためにプロットしたものである。各破線の傾きが微分感度となる。本実施形態における露光装置3は、その光ビームの波長が670nmであり、露光パワーが感光体1の表面で0.23mWになるように調節されている。これにより、露光量分布のピーク値での露光量、つまり、露光径Db内での最大露光量が、感光層1tの微分感度を十分に小さくする値となる。
【0114】
図19に示す感光体1の表面電位の減衰特性では、最大微分感度が28[V・m/mJ]であり、その1/3以下の微分感度Sに対応する露光量Eが微分感度を十分に小さくする値である。参考までに述べると、図19の感光体1の減衰特性では、露光量分布のピーク値(ピーク露光量)の露光量Eが20[mJ/m]であり、これに対応する微分感度Sは5[V・m/mJ]である。従って最大微分感度の約1/5となっている。
【0115】
また、上記各実施形態においては、2成分現像方式における現像剤の磁性粒子のダイナミック抵抗、1成分現像方式における現像ローラの体積抵抗率、トナー帯電量[μC/g]等を規定することにより、高い現像能力を達成し、立ち上がり部の傾きが大きい現像γ特性を得ている。このような高い現像能力を有する現像装置を用いることにより、現像ローラ上のトナー担持量を一定にしてベタ画像で現像ローラ上の全量のトナーを現像するのは比較的容易ではある。しかし、小径ドットを形成するには従来の感光体及び書き込みの諸条件では微分感度が十分下がらない場合は現像量の変化が生じやすい。その結果、ドット径の変動が見られるが、上記潜像形成条件が1/eで規定される潜像ドット径の部分で十分、微分感度が下がっているので均一なドット径及び現像濃度のドット画像を形成できる。
この場合は潜像の微分感度が十分低下しているので、高い現像γ特性を有する現像装置を使用しても地肌部が現像されなくなり、地汚れに対しても余裕度が広がると考えられる。
更に、感光体1として厚み15μmのものを使用して転写が100%でなくても、例えば95%程度で、まばらな状態で残留トナーが存在していても、照射光の一部がトナーを透過したり、回り込んで結果的には均一な露光後電位が得ることが可能である。例えば、露光パワーを0.23mWから0.47mWに高めた場合、十分均一な地汚れの無い画像が得られた。
【0116】
なお、上記実施形態では、感光体上に形成したトナー像を転写紙に直接転写する場合について説明したが、本発明は、感光体上のトナー像を一旦中間転写体に転写し、その後、該中間転写体上のトナー像を転写紙に転写する画像形成装置及びそれに用いる現像装置にも適用できるものである。
例えば、一つの感光体上に各色ごとのトナー像を順次形成し、該感光体上の各色トナー像を一次転写装置で中間転写体としての中間転写ベルトに重ね合わせて転写し、該中間転写ベルト上の重ねトナー像を2次転写装置で転写紙に一括転写するカラー画像形成装置及び該装置に用いる現像装置にも適用することができる。
また例えば、中間転写体としての中間転写ベルトの直線状の移動経路部分に沿って感光体を含む画像形成ユニットを複数組並べて配置し、各画像形成ユニットの感光体上に互いに異なる色のトナー像を形成し、各感光体上のトナー像を一次転写装置で該中間転写ベルト上に重ね合わせて転写し、該中間転写ベルト上の重ねトナー像を2次転写装置で転写紙に一括転写するタンデム型のカラー画像形成装置及び該装置に用いる現像装置にも適用することができる。
【0117】
また、上記実施形態では、プリンタ及びそれに用いる現像装置の場合について説明したが、本発明は、複写機やFAXなど他の画像形成装置及びそれに用いる現像装置にも適用できるものである。
【0118】
【発明の効果】
請求項1乃至7の発明によれば、潜像担持体の帯電電位を下げても良好な現像ができるように現像装置の現像能力を高めることができるとともに、現像バイアス電圧と潜像担持体表面の地肌部電位との差が0〜200Vの範囲で変化するときでも、逆帯電トナーによる地汚れの発生を抑制することができるという効果がある。
【0119】
特に、請求項5の発明によれば、トナー供給部材上の二成分現像剤中の帯電済みのトナーをトナー担持体に供給して担持させることができるので、トナー担持体上のトナーを摩擦帯電するための接触部材を設ける必要がなく、トナー担持体上のトナーフィルミングや、トナー担持体及び接触部材の摩耗による現像特性の経時的な変化などの問題がないという効果がある。
【0120】
また特に、請求項6の発明によれば、環境条件の変動や経時変化により潜像担持体の表面電位等が変動したり現像剤の帯電量等の現像剤特性が変動したりする場合でも、画像を構成するトナー付着画素の周辺の地汚れや、トナー付着画素における画像濃度不足を防止できるという効果がある。
【0121】
請求項7乃至12の発明によれば、上記逆帯電トナーによる地汚れのない高品質の画像を形成することができるという効果がある。
【0122】
特に、請求項9の発明によれば、潜像担持体とその周辺の部材との間で放電が発生しにくくなるので、潜像担持体の劣化が発生しにくいという効果がある。
【0123】
また特に、請求項10の発明によれば、潜像担持体の表面とトナーとの間の非静電的付着力が弱くなるので、地汚れの発生を更に抑制することができるという効果がある。
【0124】
また特に、請求項11の発明によれば、潜像担持体の電位変動によるドット状の潜像の径が安定するので、画像変動を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の実施例におけるトナー粒径個数分布を示すグラフ。
【図2】同実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図3】同プリンタに用いることができるプロセスユニットの部分斜視図。
【図4】同プリンタに用いる現像装置の概略構成図。
【図5】現像剤の磁性粒子のダイナミック抵抗測定システムの説明図。
【図6】同実施例で用いた球形(SR)トナーの断面図。
【図7】同実施例における地肌ポテンシャルと地汚れランクとの関係を示すグラフ。
【図8】本発明の第2の実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図9】同プリンタに用いることができるプロセスユニットの部分斜視図。
【図10】同プリンタに用いる現像装置の概略構成図。
【図11】(a)及び(b)は、現像ローラの表面部の体積抵抗率測定システムの説明図。
【図12】同実施形態の実施例における現像ポテンシャルとトナー付着量との関係を示すグラフ。
【図13】同実施例におけるトナー帯電量個数分布を示すグラフ。
【図14】同実施例における地肌ポテンシャルと地汚れランクとの関係を示すグラフ。
【図15】感光体表面の最大静止摩擦係数μの測定システムの説明図。
【図16】感光体の感光層の断面図。
【図17】地肌ポテンシャルと地汚れとの関係を示すグラフ。
【図18】感光体上での露光量分布の説明図。
【図19】露光量と感光体の表面電位との関係を示すグラフ。
【図20】パッシェン曲線を示すグラフ。
【符号の説明】
1 感光体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 クリーニング装置
10 トナー
11 磁性粒子
12 二成分現像剤
20 転写紙
50 画像形成プロセスユニット
401 ケーシング
402 現像ローラ
402a 現像ローラの芯金(導電性基体)
402b 現像ローラの表層
403 磁気ブラシローラ
404,405 攪拌・搬送部材
406 規制ブレード
407 磁石部材
408 スリーブ
409 電源(現像バイアス用)
420 現像ローラ
421 スリーブ
422 磁石部材
423 ドクタ
410 電源(トナー供給バイアス用)
A1 現像領域
A2 トナー供給領域

Claims (12)

  1. 現像バイアス電圧が印加された現像剤担持体の表面にトナーと磁性粒子とを含む二成分現像剤を担持して潜像担持体に対向する現像領域に搬送し、該潜像担持体上の潜像を現像する現像方法において、
    該二成分現像剤の磁性粒子のダイナミック抵抗が10Ω以上且つ10Ω以下であり、該現像剤担持体に担持された該二成分現像剤中のトナー平均帯電量の絶対値が10[μC/g]以上且つ25[μC/g]以下である条件下で、
    該現像剤担持体に担持された二成分現像剤中のトナーの粒径に対する個数の分布であるトナー粒径個数分布のプロファイルにおける半値幅が、該トナー粒径個数分布のプロファイルにおけるピークの粒径値の28%以下であることを特徴とする現像方法。
  2. 現像バイアス電圧を印加した導電性基体上に表層を有するトナー担持体の表面にトナーを担持して潜像担持体に対向する現像領域に搬送し、該潜像担持体上の潜像を現像する現像方法において、
    該トナー担持体の表層の体積固有抵抗が10[Ω・cm]以上且つ10[Ω・cm]以下であり、該トナー担持体に担持された該トナー平均帯電量の絶対値が10[μC/g]以上且つ25[μC/g]以下である条件下で、
    該トナー担持体に担持されたトナーの帯電量/粒径に対する個数の分布であるトナー帯電量個数分布をチャンネル幅1[fC/10μm]で測定したときの、該トナー帯電量個数分布のプロファイルにおけるピークの個数に対する両隣のチャンネルの個数平均値の比率が、43%以下であることを特徴とする現像方法。
  3. トナーと磁性粒子とを含む二成分現像剤を表面に担持し潜像担持体に対向する現像領域に搬送する現像剤担持体と、該現像剤担持体に現像バイアス電圧を印加する現像バイアス印加手段とを備えた現像装置において、
    該二成分現像剤の磁性粒子のダイナミック抵抗が10Ω以上且つ10Ω以下であり、該現像剤担持体に担持された該二成分現像剤中のトナー平均帯電量の絶対値が10[μC/g]以上且つ25[μC/g]以下である条件下で、
    該現像剤担持体に担持された二成分現像剤中のトナーの粒径に対する個数の分布であるトナー粒径個数分布のプロファイルにおける半値幅が、該トナー粒径個数分布のプロファイルにおけるピークの粒径値の28%以下であることを特徴とする現像装置。
  4. 導電性基体上に表層を有し、該表層上にトナーを担持し潜像担持体に対向する現像領域に搬送するトナー担持体と、該トナー担持体に現像バイアス電圧を印加する現像バイアス印加手段とを備えた現像装置において、
    該トナー担持体の表層の体積固有抵抗が10[Ω・cm]以上且つ10[Ω・cm]以下であり、該トナー担持体に担持された該トナー平均帯電量の絶対値が10[μC/g]以上且つ25[μC/g]以下である条件下で、
    該トナー担持体に担持されたトナーの帯電量/粒径に対する個数の分布であるトナー帯電量個数分布をチャンネル幅1[fC/10μm]で測定したときの、該トナー帯電量個数分布のプロファイルにおけるピークの個数に対する両隣のチャンネルの個数平均値の比率が、43%以下であることを特徴とする現像装置。
  5. 請求項4の現像装置において、
    トナーと磁性粒子とを含む二成分現像剤を担持して上記トナー担持体に対向するトナー供給領域に搬送し、該二成分現像剤の中のトナーを該トナー担持体に供給するトナー供給部材を備えたことを特徴とする現像装置。
  6. 請求項3、4又は5の現像装置において、
    画像を構成する画素のうちのトナーを付着させるトナー付着画素の単位面積当たりの密度により該画像の階調を表現するように潜像担持体に形成された潜像の該トナー付着画素が、上記現像領域を通過しているときに、上記現像剤担持体又は上記トナー担持体上のトナーのうち該トナー付着画素に対向している部分のトナーの全てを該トナー付着画素の現像に用いる飽和現像を行うように、現像条件を設定したことを特徴とする現像装置。
  7. 潜像担持体と、該潜像担持体を一様に帯電した後、該潜像担持体の電位を画像情報に基づいて選択的に低下させることにより該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像してトナー像とする現像装置と、該潜像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写装置とを備えた画像形成装置であって、
    該現像装置として、請求項3、4、5又は6の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
  8. 潜像担持体と、該潜像担持体を一様に帯電した後、該潜像担持体の電位を画像情報に基づいて選択的に低下させることにより該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像してトナー像とする現像装置と、該潜像担持体上のトナー像が転写される中間転写体と、該潜像担持体上のトナー像を該中間転写体に転写する1次転写装置と、該中間転写体上のトナー像を転写材に転写する2次転写装置とを備えた画像形成装置であって、
    該現像装置として、請求項3、4、5又は6の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項7又は8の画像形成装置において、
    上記潜像担持体の帯電電位の絶対値が400V以下であることを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項7、8又は9の画像形成装置において、
    上記潜像担持体の表面の摩擦係数μが0.1以上且つ0.4以下であることを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項7、8、9又は10の画像形成装置において、
    上記潜像担持体が感光体であり、
    上記潜像形成手段が、該潜像担持体の一様に帯電された表面に、画像情報に基づいて光を照射することにより該潜像担持体に潜像を形成するものであり、
    該潜像担持体に対する照射光量を、該潜像担持体の減衰曲線に対する微分感度が最大微分感度の5分の1以下になるように設定したことを特徴とする画像形成装置。
  12. 潜像担持体、該潜像担持体の表面を一様帯電する帯電装置、及び該潜像担持体の表面をクリーニングするクリーニング装置の少なくとも一つと、該潜像担持体上の潜像を現像してトナー像とする現像装置とを、画像形成装置本体に対して着脱可能に一体構造物として構成した画像形成プロセスユニットであって、
    該現像装置として、請求項3、4、5又は6の現像装置を用いたことを特徴とする画像形成プロセスユニット。
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