JP3876616B2 - 加速度センサの検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加速度センサの検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、半導体製造技術を用いて形成された半導体加速度センサが提供されている(たとえば、特開平9−166618号公報参照)。この種の半導体加速度センサとしては、図7および図8に示すように、シリコン基板のような半導体基板を用いて形成したセンサ本体1の厚み方向の両面にガラス製のカバー2,3を積層した構造を有するものがある。センサ本体1は、矩形枠状の支持枠11を備え、支持枠11の中央に厚み方向の表裏に貫通する形で形成された開口窓11aの中に重り部12が配置されるとともに、重り部12の周囲の一辺が他の部位よりも薄肉である撓み部13を介して支持枠11に連続一体に連結された構造を有する。したがって、重り部12の周囲には撓み部13を除いて支持枠11との間にスリット14が形成される。また、撓み部13は重り部12の一辺に沿う方向に離間して2箇所に形成されている。各撓み部13には、図9に示すように、それぞれ歪検出素子として2個ずつのゲージ抵抗15a〜15dが形成されている。ゲージ抵抗15a〜15dはピエゾ抵抗であり、図10に示すブリッジ回路を構成するように接続される。また、ブリッジ回路の各端子となるボンディングパッド16a〜16dは支持枠11に形成される。
【0003】
したがって、センサ本体1の厚み方向の成分を含む外力(すなわち、加速度)が作用すると、重り部12の慣性によって支持枠11と重り部12とがセンサ本体1の厚み方向に相対的に変位し、結果的に撓み部13が撓んでゲージ抵抗15a〜15dの抵抗値が変化することになる。つまり、ゲージ抵抗15a〜15dの抵抗値の変化を検出することによりセンサ本体1に作用した加速度を検出することができる。このセンサ本体1は、重り部12が片持ち梁(カンチレバー)としての撓み部13を介して支持枠11に結合されているから、一般にカンチレバー型と称している。
【0004】
センサ本体1の厚み方向の裏面側(図7の下面側)にはガラス製のカバー2が積層され、またセンサ本体1の厚み方向の表面側(図7の上面側)にはカバー2とともに重り部12を囲む空間を形成するガラス製のカバー3が積層されている。カバー2とカバー3との間に形成される空間は密封する必要はないが、重り部12が支持枠11に対して相対的に移動する際に、重り部12に対して空気による制動力(いわゆるエアダンプ)が作用するように構成する。両カバー2,3において重り部12との対向面にはそれぞれ重り部12の移動量を規制するための突起状のストッパ2b,3bが形成され、重り部12に加速度が作用したときの支持枠11に対する重り部12の移動量をストッパ2b,3bで規制することによって撓み部13の折損を防止している。
【0005】
この種の半導体加速度センサを自動車のエアバッグやABS(アンチロックブレーキシステム)などに用いる場合には、高い信頼性が要求されるから、半導体加速度センサの故障の有無を出荷前に事前に検査することが不可欠である。そこで、図9のように、撓み部13に設けたゲージ抵抗15a〜15dと、支持枠11に設けたボンディングパッド16a〜16dとの間を接続する配線18の中間部分に支持枠11と重り部12とに跨るように延長された折損検出用配線18aを形成することが考えられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、製造から出荷までの間で撓み部13の折損に関する検査(つまり、折損検出用配線18aの断線の有無の検査)を行う機会は2度あり、1度目はセンサ本体1をウェハ上に形成しセンサ本体1に両カバー2,3を接合した後に、ウェハ単位でプローブ(探針)を用いて折損検出用配線18aの断線の有無を検査する検査(「プロービング検査」ないし「P検」と呼んでいる)であり、2度目は半導体加速度センサを回路基板に実装し、さらに半導体加速度センサを対象装置に組み込んだ後の出荷前の最終的な検査(「ファイナル特性検査」ないし「F検」と呼んでいる)である。P検およびF検では折損検出用配線18aに実際に電流を流すことによって折損検出用配線18aの断線の有無を検出しており、折損検出用配線18aに電源を接続する作業には非常に手間がかかっているのが現状である。また、P検の後にはF検までの間に撓み部13の折損の有無を確認することができないものであるから、P検の後に撓み部13が折損すると、その後のF検までの多数の工程が無駄になるとともに、加速度センサに関連する回路基板やパッケージが無駄になることがある。とくに、高信頼性を要求される用途ではF検において不良が検出されると廃棄しているのが現状であるから、工程や材料に大きな無駄が生じると製品価格の上昇につながることになる。
【0007】
カバー2,3はガラス製であるから、撓み部13の折損の有無をカバー2,3を通して視覚的に確認することも考えられるが、重り部12の移動範囲を確保するためにカバー2,3における重り部12との対向面には凹所2a,3aが形成されており、この凹所2a,3aを形成する技術としてサンドブラストを採用していることが多い。サンドブラストの工程においては、数十μm程度の直径を有したアルミナ等の砥粒をカバー2,3に噴射してカバー2,3の表面を削り取るから、カバー2,3の表面は数十μm程度の凹凸を有した粗面ですりガラス状になっている。つまり、カバー2,3を通して撓み部13の状態を視覚的に確認しようとしても、粗面によって光が乱反射するから撓み部13の状態を確認することができず、また撓み部13はカバー2,3により覆われ暗いことによっても視覚的に確認するのが難しいという問題を有している。
【0008】
また、撓み部13が折損していないとしても撓み部13に反りがあれば、カバー2,3に設けた重り部12とカバー2との間の空間の容積と、重り部12とカバー3との間の空間の容積との差が大きくなり、結果的に加速度センサに作用する振動の振動数に対する加速度センサの出力が仕様から大きくずれ、場合によっては重り部12に不要な共振が生じて撓み部13が折損しやすくなることがある。あるいはまた、撓み部13に反りがあると、重り部12から各ストッパ2b,3bまでの距離に差が生じるから、距離の短いほうについてはエアダンプの効果が大きく重り部12の移動が抑制されて感度が低下し、距離の長いほうについてはエアダンプの効果が少なく重り部12がストッパ2b,3bに衝突する際の衝撃が大きくなって撓み部13が破損しやすくなる。
【0009】
上述のように撓み部13に反りがあると加速度センサの特性に不都合が生じるのであるが、カバー2,3をセンサ本体1に取り付けた後には撓み部13の反りを検査することができなくなる。加速度センサの作製工程において撓み部13に反りが生じるのは、主としてセンサ本体1にカバー2,3を接合する工程であって、この工程においてはセンサ本体1を作製したシリコンウェハとカバー2,3とを高温真空中で陽極接合するから、熱歪みが発生して撓み部13が反る可能性が高くなる。その後もカバー2,3の帯電などによって重り部12が静電気で引きつけられること、あるいはまた加速度センサをパッケージに組み込む際のダイボンディングやワイヤボンディングの工程における熱により撓み部13が反ることもある。
【0010】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、カバーが取り付けられている状態でも撓み部の折損や反りを非接触で容易に検出することができるようにした加速度センサの検査方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、支持枠の表裏に貫通する開口窓内に配置した重り部が可撓性を有する撓み部を介して支持枠に一体に連結され、かつ重り部への加速度の作用により撓み部に生じる応力を検出する歪検出素子が設けられたセンサ本体を有し、支持枠の表裏にそれぞれ前記開口窓を覆う一対のカバーを有し、前記重り部における一方のカバーとの対向面に閉ループであるコイルパターンが形成された加速度センサの検査方法であって、加速度センサに設けた前記コイルパターンに鎖交する高周波の交番磁界を前記支持枠の表裏の一方のカバー側から送信源により形成し、他方のカバー側に配置した受信器での交番磁界の検出強度が規定範囲外であるときに撓み部の異常として検出することを特徴とする。
この方法によれば、重り部にコイルパターンを形成したことによって、コイルパターンとの間の電磁誘導を利用することによりカバーが存在していても重り部の位置を検出することが可能になり、非接触かつ非破壊な方法で重り部の位置を検出することによって撓み部の折損や反りの状態を検出することが可能になる。つまり、従来構成のように撓み部の折損を検出するために通電する必要がなく、またカバーを取り付けた後でも撓み部の反りを検出することが可能になる。このように、P検の後にF検まで待つことなく撓み部の不良を検出することができ、結果的に工程や部材の無駄を低減することができ、ひいてはコストの低減につながる。加えて、1個の加速度センサについて検査回数が多くなるから、加速度センサの信頼性を保証しやすくなる。
【0012】
しかも、コイルパターンでの渦電流損を利用して重り部の位置を検出することができ、簡単な装置を用いて撓み部の異常の有無を容易に検出することができる。
【0013】
請求項2の発明は、支持枠の表裏に貫通する開口窓内に配置した重り部が可撓性を有する撓み部を介して支持枠に一体に連結され、かつ重り部への加速度の作用により撓み部に生じる応力を検出する歪検出素子が設けられたセンサ本体を有し、支持枠の表裏にそれぞれ前記開口窓を覆う一対のカバーを有し、前記重り部における一方のカバーとの対向面に閉ループであるコイルパターンが形成された加速度センサの検査方法であって、加速度センサに設けた前記コイルパターンに電磁結合する程度の距離で対置した検出コイルに通電するとともに、通電電流を時間経過に伴って変化させ、検出コイルに流れる電流のうち検出コイルとコイルパターンとの間の相互インダクタンスを反映する成分が所定範囲外であるときに撓み部の異常として検出することを特徴とする。
この方法によれば、請求項1の発明と同様に、P検の後にF検まで待つことなく撓み部の不良を検出することができるから、工程や部材の無駄を低減することができ、コストの低減につながるとともに、1個の加速度センサについて検査回数が多くなるから、加速度センサの信頼性を保証しやすくなる。加えて、加速度センサの一面側に検出コイルを配置するだけで撓み部の異常の有無を容易に検出することができる。すなわち、請求項1の方法のように加速度センサの一側に送信源を配置し、他側に受信器を配置するものに比較すると、検査装置に小形のものを用いることが可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
本実施形態は、従来構成として説明した半導体加速度センサとほぼ同様の構成を有した半導体加速度センサについて、撓み部13の折損の有無を非接触で検出するものである。図7および図8に示した従来構成の半導体加速度センサとの主な相違点は、重り部12においてカバー3との対向面にコイルパターン5を形成している点である。コイルパターン5はアルミニウムの配線であって、重り部12の表面に絶縁層としての窒化膜17bを介して形成されている。このコイルパターン5は重り部12の各辺に平行な直線部分を順次連結した渦巻き状に形成されており、内側端と外側端とが重り部12内に形成したp+拡散層からなるジャンパ線5aにより接続されている。すなわち、ジャンパ線5aは酸化膜17aおよび窒化膜17bを介してコイルパターン5の反対側に形成されている。また、コイルパターン5は直線部分を連結した形状ではなく直線部分を持たない略円形の渦巻き状に形成してもよい。
【0015】
図1および図2に示す加速度センサを製造するには、まず、主表面の結晶面が(100)であるシリコン単結晶のウェハを酸化して全面に酸化膜17aを形成した後、スリット14を形成する領域の酸化膜17aのみをフォトリソグラフィ技術を用いて除去する。次に、酸化膜17aをエッチングマスクとして6〜30μmの深さでシリコンにエッチングを施す。エッチング後に再び酸化し、次に配線18(折損検出用配線18bを含む)およびジャンパ線5aとなるp+拡散層を形成し、続いてイオン注入後に拡散してゲージ抵抗15a〜15dを形成する。折損検出用配線18bは支持枠11と重り部12とに跨って撓み部13を通過する部分を有するように形成される。ただし、折損検出用配線18bはゲージ抵抗15a〜15dを通る経路とは別に設けられ、折損検出用配線18bの一端はボンディングパッド16eに接続される。折損検出用配線18bの他端はゲージ抵抗15aと共通のボンディングバッド16aに接続される。この段階でゲージ抵抗15a〜15dのブリッジ接続がなされる。ここに、折損検出用配線18bの中間部には高濃度の拡散抵抗である抵抗20が挿入される。この抵抗20は高抵抗のポリシリコンにより形成してもよい。また、酸化膜17aの上にはボンディングパッド16a〜16eを形成する部位を除いて窒化膜17bが形成される。このように、p+拡散層は酸化膜17aおよび窒化膜17bにより保護される。
【0016】
その後、アルミニウムのスパッタリングを行うとともに、約400℃でのシンタリング(熱処理)を施すことによって、ボンディングパッド16a〜16e、コイルパターン5、カバー3を接合するための接合層22を形成する。また、一部のボンディングパッド16a〜16eには配線18に接続するための延長線19が形成される。しかして、配線18がボンディングパッド16a〜16eに電気的に接続され、またジャンパ線5aがコイルパターン5の両端を短絡するように接続される。ボンディングパッド16a〜16eにはボンディングワイヤ23が接続され、ボンディングワイヤ23を介して外部回路に接続される。
【0017】
さらに、アルミニウム薄膜の上を窒化膜またはレジストにより覆い、ウェハの裏面側(図2の下面側)からアルカリ液を用いた異方性エッチングを施すことによって重り部12の周囲にスリット14を貫通させるとともに、撓み部13の厚みを小さくする。アルミニウム薄膜の上に形成された窒化膜またはレジストは異方性エッチングの後に除去される。窒化膜またはレジストの除去には、プラズマアッシャ、バッファフッ酸、有機溶剤などの周知の技術を用いる。以上のようにしてセンサ本体1が形成される。
【0018】
センサ本体1の形成後にはセンサ本体1の表裏両面にガラス製のカバー2,3を陽極接合により接合すれば、加速度センサが形成されるのである。なお、本実施形態においては、撓み部13の折損ないし反りを検出するために支持枠11と重り部12とに跨る部位を有するように形成した折損検出用配線18bを、ゲージ抵抗15a〜15dとは別に設けているが、従来構成と同様に、撓み部13に設けたゲージ抵抗15a〜15dと、支持枠11に設けたボンディングパッド16a〜16eとの間を接続する配線18の中間部分に支持枠11と重り部12とに跨るように延長された折損検出用配線18aを形成してもよい。また、配線18はp+拡散層により形成しているが、アルミニウム薄膜により配線18の一部を形成してもよい。
【0019】
しかして、上述のように形成された加速度センサについて、以下の方法を用いて撓み部13の折損や反りを非接触、非破壊で検出する。加速度センサは、図3に示すように、センサ本体1の主平面が水平になるように配置され、150Hz〜数10MHz程度の高周波電磁界を形成する(つまり、電波を送出する)送信源31がコイルパターン5の上方に配置されるとともに、送信源31により形成された高周波電磁界を検出することができる受信器32がコイルパターン5の下方に配置される。受信器32においては、送信源31により形成された高周波電磁界の減衰量を検出する。ここに、送信源31と受信器32との間にコイルパターン5が介在していることによって、送信源31により形成された高周波電磁界の一部はコイルパターン5に渦電流を流し、結果的に渦電流損として消費される。渦電流損の程度は、センサ本体1と送信源31との位置関係が一定であれば、送信源31からコイルパターン5までの距離の関数になるから、受信器32における受信強度によって送信源31からコイルパターン5までの距離の目安を得ることができる。いま、コイルパターン5の送信源31側での磁界の強さがHであり、受信器32側での磁界の強さがH′であったとすれば、渦電流損Sは、S=20log(H′/H)[dB]であるから、送信源31の出力と受信器32の受信強度との比を求めると、コイルパターン5での渦電流損の目安を得ることができる。ここに、コイルパターン5に渦電流が形成されやすいように、コイルパターン5を形成している面に磁界を直交させるように送信源31による高周波電磁界を形成するのが望ましい。送信源31の構成については後述する。
【0020】
上述の構成によって、撓み部13に折損が生じている場合には、折損していない場合と比較すると、重り部12が重力によって下方に下がることになるから、送信源31とコイルパターン5との距離が広がり、コイルパターン5に渦電流が流れにくくなる。その結果、撓み部13に折損を生じていない場合よりも渦電流損が減少することになる。すなわち、送信源31の出力を一定とすれば、受信器32での受信強度によって撓み部13の折損の有無を検出することができる。同様に撓み部13に反りが発生している場合にも送信源31と重り部12との距離が変化するから、受信器32での受信強度によって反りの発生を検出することが可能になる。
【0021】
ところで、送信源31には、図4に示す構造のものを用いることができる。送信源31は、基本的には高周波信号源33と電磁界発生用アンテナ34とにより構成されている。高周波信号源33は、高周波交流電圧を出力する高周波電源33aと、高周波電源33aの出力電流を検出する電流検出器33bと、電磁界発生用アンテナ34に供給する電力を調節する可変抵抗器33cとにより構成される。また、電磁界発生用アンテナ34は、2枚の導体板を平行に配置した平行平板伝送路34aと、平行平板伝送路34aを囲む形で巻装した出力コイル34bとにより構成される。高周波電源33aの出力は電流検出器33bおよび可変抵抗器33cを介して出力コイル34bに通電され、これによって平行平板伝送路34aの長手方向(出力コイル34bの軸方向)に沿って高周波磁界が形成されることになる。図では高周波電界Eが横方向に形成され、高周波磁界Hが縦方向に形成されている。なお、電磁界発生用アンテナ34としては必ずしも平行平板伝送路を用いなくてもよく、基本的に広帯域アンテナであれば、長導線アンテナと称する構成を採用してもよい。
【0022】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、送信源31と受信器32とを設け、送信源31により形成した高周波電磁界がコイルパターン5に発生させる渦電流による損失を受信期32で検出する構成としたが、本実施形態では図5に示すように、コイルパターン5と電磁結合可能な検出コイル41を設け、検出コイル41とコイルパターン5との結合係数(すなわち、相互インダクタンス)が検出コイル41と重り部12との距離の関数になることを利用して撓み部13の折損の有無を検出するものである。
【0023】
検出コイル41は導線を螺旋状に巻回した通常の構成のものであって、コイルパターン5を形成している面に検出コイル41の軸方向が直交するように配置される。検出コイル41に電流を流す電源は直流電源42であって、この直流電源42に電流検出器43および可変抵抗器44を介して検出コイル41が接続される。ここに、電流検出器43および可変抵抗器44はシンボリックに記載したものであって、実際には電流検出器43は電流の時間変化を検出して検出コイル41とコイルパターン5との間の相互インダクタンスに相当する値を求めることができる演算手段を含むものであり、可変抵抗器44は時間経過に伴って予め設定した変化率で抵抗値を変化させるものを意味する。
【0024】
この構成において、検出コイル41に所定の変化率で変化する電流を流すと、検出コイル41の周囲に発生する磁束がコイルパターン5に鎖交し、かつ磁束密度に変化が生じるから、コイルパターン5にも電圧が誘起される。いま、検出コイル41に流れる電流をiとすれば、コイルパターン5に鎖交する磁束NB×φB(NB:コイルパターン5の巻数、φB:コイルパターン5に鎖交する磁束の磁束密度[Wb/m2 ])は電流iに比例し、この比例定数が相互インダクタンスMになる。つまり、
M×i=NB×φB
∴M=(NB×φB)/i[H]
となる。このことは、電流検出器43により電流iを検出すれば相互インダクタンスMを求めることが可能であることを意味している。相互インダクタンスMは、検出コイル41とコイルパターン5との距離によって決まり、この距離は撓み部13が折損している場合には正常な場合よりも大きくなり、相互インダクタンスMは正常時よりも小さくなる。撓み部13に反りが生じているときにも検出コイル41とコイルパターン5との距離が正常時とは異なるから、撓み部13に反りが生じている場合も異常として検出することができる。
【0025】
なお、コイルパターン5に流れる自己電流をIc、コイルパターン5のインダクタンスをLとすれば、次式が成立する。
NB×φB=L×Ic
また、コイルパターン5を図6に示すように全体として正方形に形成し、最外周の幅をDo とし、最内周の幅をDi とすれば、インダクタンスLは次式で表すことができる。
L=p×a×NB(5/3) log8(a/b) [μH]
ただし、p=0.12〜0.15の定数、a=(Do +Di )/4、b=(Do −Di )/2
【0026】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、重り部にコイルパターンを形成したことによって、コイルパターンとの間の電磁誘導を利用することによりカバーが存在していても重り部の位置を検出することが可能になり、非接触かつ非破壊な方法で重り部の位置を検出することによって撓み部の折損や反りの状態を検出することが可能になるという利点がある。つまり、従来構成のように撓み部の折損を検出するために通電する必要がなく、またカバーを取り付けた後でも撓み部の反りを検出することが可能になる。このように、P検の後にF検まで待つことなく撓み部の不良を検出することができ、結果的に工程や部材の無駄を低減することができ、ひいてはコストの低減につながる。加えて、1個の加速度センサについて検査回数が多くなるから、加速度センサの信頼性を保証しやすくなるという利点がある。
【0027】
さらにまた、コイルパターンでの渦電流損を利用して重り部の位置を検出することができ、簡単な装置を用いて撓み部の異常の有無を容易に検出することができるという利点がある。
【0028】
請求項2の発明は、請求項1の発明と同様に、P検の後にF検まで待つことなく撓み部の不良を検出することができるから、工程や部材の無駄を低減することができ、コストの低減につながるとともに、1個の加速度センサについて検査回数が多くなるから、加速度センサの信頼性を保証しやすくなるという利点がある。加えて、加速度センサの一面側に検出コイルを配置するだけで撓み部の異常の有無を容易に検出することができ、加速度センサの一側に送信源を配置し、他側に受信器を配置するものに比較すると、検査装置に小形のものを用いることが可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す平面図である。
【図2】同上の断面図である。
【図3】同上における検査装置を示す概略構成図である。
【図4】同上に用いる送信源を示す概略構成図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態における検査装置を示す概略構成図である。
【図6】同上におけるコイルパターンの拡大正面図である。
【図7】従来例を示す断面図である。
【図8】同上の平面図である。
【図9】同上の要部拡大平面図である。
【図10】同上に用いるゲージ抵抗の接続関係を示す回路図である。
【符号の説明】
1 センサ本体
2,3 カバー
5 コイルパターン
5a ジャンパ線
11 支持枠
11a 開口窓
12 重り部
13 撓み部
15a〜15d ゲージ抵抗
31 送信源
32 受信器
41 検出コイル
Claims (2)
- 支持枠の表裏に貫通する開口窓内に配置した重り部が可撓性を有する撓み部を介して支持枠に一体に連結され、かつ重り部への加速度の作用により撓み部に生じる応力を検出する歪検出素子が設けられたセンサ本体を有し、支持枠の表裏にそれぞれ前記開口窓を覆う一対のカバーを有し、前記重り部における一方のカバーとの対向面に閉ループであるコイルパターンが形成された加速度センサの検査方法であって、加速度センサに設けた前記コイルパターンに鎖交する高周波の交番磁界を前記支持枠の表裏の一方のカバー側から送信源により形成し、他方のカバー側に配置した受信器での交番磁界の検出強度が規定範囲外であるときに撓み部の異常として検出することを特徴とする加速度センサの検査方法。
- 支持枠の表裏に貫通する開口窓内に配置した重り部が可撓性を有する撓み部を介して支持枠に一体に連結され、かつ重り部への加速度の作用により撓み部に生じる応力を検出する歪検出素子が設けられたセンサ本体を有し、支持枠の表裏にそれぞれ前記開口窓を覆う一対のカバーを有し、前記重り部における一方のカバーとの対向面に閉ループであるコイルパターンが形成された加速度センサの検査方法であって、加速度センサに設けた前記コイルパターンに電磁結合する程度の距離で対置した検出コイルに通電するとともに、通電電流を時間経過に伴って変化させ、検出コイルに流れる電流のうち検出コイルとコイルパターンとの間の相互インダクタンスを反映する成分が所定範囲外であるときに撓み部の異常として検出することを特徴とする加速度センサの検査方法。
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