JP3874567B2 - はんだ付け装置 - Google Patents

はんだ付け装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3874567B2
JP3874567B2 JP12088199A JP12088199A JP3874567B2 JP 3874567 B2 JP3874567 B2 JP 3874567B2 JP 12088199 A JP12088199 A JP 12088199A JP 12088199 A JP12088199 A JP 12088199A JP 3874567 B2 JP3874567 B2 JP 3874567B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solder
molten solder
pump
chamber body
soldering
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP12088199A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000277903A (ja
Inventor
秀明 鳥羽
Original Assignee
日本電熱計器株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 日本電熱計器株式会社 filed Critical 日本電熱計器株式会社
Priority to JP12088199A priority Critical patent/JP3874567B2/ja
Priority to MYPI20000050 priority patent/MY133460A/en
Priority to CNB001005014A priority patent/CN1192844C/zh
Publication of JP2000277903A publication Critical patent/JP2000277903A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3874567B2 publication Critical patent/JP3874567B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Molten Solder (AREA)
  • Electric Connection Of Electric Components To Printed Circuits (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板のような被はんだ付けワークの被はんだ付け部に溶融はんだの噴流波を供給することで、前記被はんだ付け部のはんだ付けを行うはんだ付け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のはんだ付け装置を図24および図25を参照して説明する。
【0003】
図24および図25は、従来のはんだ付け装置の一例を示す図であり、図24(a)はその全容を示す斜視図、図24(b)は、図24(a)および図25(a)のI−I線から見た切断面の図、図25(a)は、図24(a)のII−IIから見た切断面の図、図25(b)はチャンバ体と吹き口体の構造を説明するための分解斜視図である。
【0004】
すなわち、はんだ槽100の中には図示しないヒータによって加熱されて溶融状態の溶融はんだ101が収容されている。そして、この溶融はんだ101の液中にはポンプ102を構成する羽根車103が設けられており、羽根車103はジョイント104を介してモータ105に接続されている。また、はんだ槽100にはポンプ102が送り出す溶融はんだ101を導くチャンバ体106が設けてあり、このチャンバ体106には吹き口体107が着脱可能に接続され固定されている。吹き口体107には吹き口108が形成され、この吹き口108は溶融はんだ101の液面よりも上方に位置し、この吹き口108から噴流する溶融はんだ101の流れを案内する案内板109が設けてある。
【0005】
モータ105は台座110に、図示しないねじ等により固定してあり、台座110は、はんだ槽100にねじ111等により固定されている。一方、チャンバ体106には図25(a),(b)の左右の両側位置に示すように取り付け板112を設けてあり、この取り付け板112をはんだ槽100に固着された取り付け受け板113にねじ116で着脱可能に固定し、チャンバ体106をはんだ槽100に固定している。また、図25(b)にも示すように、チャンバ体106と吹き口体107とは、チャンバ体106に設けた取り付け受け板114と吹き口体107に設けた取り付け板115とをねじ117で着脱可能に固定する構成である。なお、チャンバ体106にはポンプ102の羽根車103を挿入するポンプ挿入孔118を設けてある。
【0006】
このように構成されたはんだ付け装置122は、モータ105によるポンプ軸121の回転によってポンプ102の羽根車103が回転し、溶融はんだ101を吸い込み口119から吸い込み、吐出口123からチャンバ体106へ送り出す。続いて、ポンプ102から送り出された溶融はんだ101が吹き口体107の吹き口108から噴流して案内板109を流れ下り、噴流波120を形成する仕組みである。
【0007】
なお、図示しないが、以上の例のような回転駆動手段によることなく溶融はんだ101を吹き口108に供給する技術として、溶融はんだ101中に走行磁界を印加して前記溶融はんだ101に走行磁界方向の流動力を与える方式の電磁ポンプ式のはんだ付け装置も存在する。
【0008】
次に、従来のN2 ガスはんだ付けシステムを、図26および図27を参照して説明する。
【0009】
図26および図27は、従来の窒素ガス(N2 ガス)雰囲気の低酸素濃度雰囲気中ではんだ付けを行うN2 はんだ付けシステムを示す図で、図26はN2 はんだ付けシステムの側断面図、図27は、図26の平面図である。なお、説明をわかりやすくするために、図26においてはN2 ガス供給系をシンボル図で描いてあり、また、図27においては雰囲気形成チャンバ体を破線で描いて内部を透視して示し、N2 ガス供給系は省略して図示していない。
【0010】
すなわち、トンネル状の雰囲気形成チャンバ体126内に平行する二条の搬送コンベア127が設けられ、また、この搬送コンベア127の搬送路に沿って、プリント配線板128の予備加熱工程部129ではプリヒータ130が設けられ、はんだ付け工程部131では、はんだ付け装置122が設けられている。なお、プリヒータ130は雰囲気形成チャンバ体126内に設けられているが、はんだ付け装置122は、雰囲気形成チャンバ体126の下方側にはんだ付け装置122を臨む開口132を設けるとともにこの開口132にスカート部133を設け、この雰囲気形成チャンバ体126のスカート部133をはんだ付け装置122の溶融はんだ101に浸漬することで、はんだ付け装置122の吹き口108を雰囲気形成チャンバ体126内に露呈させ、併せて雰囲気形成チャンバ体126の開口132を封止するようにして設けられている。
【0011】
搬送コンベア127は、コンベアフレーム134の両端に設けられたスプロケット135に搬送チェーン136を掛け渡し、この搬送チェーン136に保持爪137を設けた構成となっていて、この保持爪137でプリント配線板128の両側端部を保持して搬送する。
【0012】
すなわち、図示しないモータによってスプロケット135が回転駆動され、コンベアフレーム134に設けてある図示しないレール部に沿って搬送チェーン136を走行させることで、保持爪137に保持されたプリント配線板128を搬入口138から搬出口139へ矢印A方向に搬送する仕組みである。なお、コンベアフレーム134は図27の上下方向(矢印B方向)に移動が可能であり、これによりプリント配線板128の幅に合わせてその保持幅を調節する構成となっている。
【0013】
はんだ付け装置122は、先に説明した図24および図25に示した構成であり、ポンプ102を回転駆動するモータ105の回転により吹き口体107の吹き口108より溶融はんだ101を噴流して噴流波120を形成する。そして、搬送コンベア127で搬送されるプリント配線板128の下面(被はんだ付け面)を前記噴流波120に接触させることにより、その被はんだ付け部にはんだを供給してはんだ付けが行われる。
【0014】
雰囲気形成チャンバ体126の上方および下方に設けられているラビリンス板140は、プリント配線板128の搬送方向に直交するように設けられた板状の部材で、この多数のラビリンス板140によって雰囲気形成チャンバ体126内を区画することによりラビリンス流路(ラビリンスシール構造)を形成し、雰囲気形成チャンバ体126内の雰囲気が不要に流動しないようにして安定な雰囲気形成が行えるようにしている。
【0015】
一方、はんだ付け工程部131にはN2 ガスを雰囲気形成チャンバ体126内に供給するノズル141が設けられ、これにより、雰囲気形成チャンバ体126内に低酸素濃度の不活性ガス雰囲気を形成し、プリント配線板128の被はんだ付け部の酸化や高温の溶融はんだ101の酸化を抑制するとともに、溶融はんだ101の流動性を向上させている。特に、鉛を使用しない錫が主成分の鉛レスはんだでは、前記はんだの大気中における酸化速度が著しく速いため、低酸素濃度雰囲気中でのはんだ付けが必須の条件となっている。
【0016】
2 ガスは、N2 ガスボンベ等のN2 ガス供給装置143から供給される。流量計144および流量調節弁145により所望の流量のN2 ガスがノズル141から供給される。開閉弁146は、N2 ガスの供給経路を決めると同時に供給の有無を決める手段である。また、フィルタ147は不要物を除去する手段であり、圧力制御弁148はN2 ガスを目的とする供給圧力に制御する手段、圧力計149は圧力モニタ手段である。
【0017】
このようなはんだ付けシステムでは、搬送コンベア127でプリント配線板128を順次に搬送させて多量のプリント配線板128を連続してはんだ付けが可能である。特に、図26および図27に示すような雰囲気形成チャンバ体126やN2 ガス供給系を備えたN2 はんだ付けシステムでは、それを低酸素濃度の不活性ガス雰囲気中で行うことができる。
【0018】
この他にも、大気中ではんだ付けを行うはんだ付けシステムで、雰囲気形成チャンバ体やN2 ガス供給系を備えない(他の構成は同様の)はんだ付けシステムもある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
図24および図25を参照して説明した構成のはんだ付け装置は、吹き口体107の吹き口108上に形成される噴流波120にプリント配線板128の被はんだ付け面を接触させてはんだ付けを行う構成である。すなわち、この吹き口体107の部分が実質的なはんだ付けに使用される領域である。
【0020】
一方、噴流波120を形成するためには溶融はんだ101中のポンプ102を回転駆動する必要があり、そのために溶融はんだ101の液面上側に配置したモータ105で前記ポンプ102を回転駆動する構成となっている。すなわち、はんだ槽100の吹き口体107の横側にモータスペースとポンプスペースとを別途に確保して構成する必要があった。
【0021】
すなわち、このモータスペースとポンプスペースの分だけはんだ槽100の容積が大きくなり、必要以上にはんだ槽100にはんだ(溶融はんだ101)を収容する必要がある場合があった。はんだ槽100に収容される溶融はんだ101の量が多い場合には前記溶融はんだ101全体が保持している熱量が大きいため、プリント配線板128が大きい場合やプリント配線板128に搭載されている部品の吸熱量が多い場合、さらにはそれらが連続して多量生産される場合等において、溶融はんだ101の噴流波120の温度が安定となって安定した品質のはんだ付けが行える長所もある。
【0022】
しかし、それ以外の場合においては、その収容容積が大きい分だけはんだ融解時に必要となる電力が大きくなり、はんだ付け装置122の消費電力が大きくなる問題がある。例えば、毎日1回はんだ付け装置122を使用するものと仮定して、それを1年間続ければ、その消費電力の総量は大変に大きいものとなる。また、この収容容積すなわちはんだ槽100の容積が大きいことは、はんだ付け装置122の運転開始当初において、はんだ槽100に投入する必要のあるはんだの量や、はんだが劣化したり不純物が多くなった際にはんだを交換する際にはんだ槽100に投入が必要となるはんだの量も多く必要である。
【0023】
さらには、はんだ付けシステムにおいては、はんだ付け装置122のモータスペースおよびポンプスペースの部分だけが突出しているので、はんだ付けシステムの形状とくに筐体が必要以上に大きくなってしまう。
【0024】
次に、はんだ槽100の清掃等のメンテナンス作業を考えた場合には、搬送コンベア127を大きく開いて(図27において上下一対の搬送コンベア127をそれぞれ上方と下方に移動させ、その保持爪137で保持するプリント配線板128の保持幅を拡大するように開いて)はんだ付け装置122全体を露呈させるようにできることが最も望ましい。しかし、図24および図25に示すようなはんだ付け装置122では、吹き口体107の横側にモータ105を配置しているために、図27に示す上側の搬送コンベア127をモータ105を越えて図上の上方向へ移動させるようなことができない。そのため、はんだ付け装置122のメンテナンス作業が行い難い。
【0025】
次に、図27に示すように、台座110部分を含むモータ105の部分がはんだ槽100から突出してはんだ槽100を跨いで固定される構成であるために、台座110部分を含むモータ105部分をも被うようにして雰囲気形成チャンバ体126のスカート部133を、はんだ付け装置122のはんだ槽100内の溶融はんだ101中に浸漬できない。ちなみに、スカート部133は、雰囲気形成チャンバ体126および搬送コンベア127とはんだ付け装置122の上下位置関係を調節する際にも雰囲気形成チャンバ体126の封止性を確保できるようにするために設けられているものである。
【0026】
そのため、どうしても台座110部分およびモータ105部分の溶融はんだ101は、大気中に暴露された状態とならざるを得ない。したがって、この大気中に暴露された部分(図24(a)のαで示す部分)の溶融はんだ101の酸化を防止することができない。そのため、はんだ付け装置122の運転に伴って多くの溶融はんだ101の酸化物、すなわちドロスを生成してしまい、高価なはんだの損失を招くばかりか、その清掃除去作業も必要であり、はんだ付け装置122の運転上におけるコスト増加を招いている。
【0027】
次に、はんだ付け装置122が電磁ポンプ式の場合では、モータ105や台座110等を必要としないが、溶融はんだ101中に走行磁界を印加して前記溶融はんだ101中に巨大な誘導電流を生じさせて前記溶融はんだ101に流動力を与える構成のために、走行磁界の印加部分のみならず噴流波120やはんだ槽100中の溶融はんだ101中に迷走電流が流れる問題がある。また、はんだ付け装置122を構成する吹き口体107やはんだ槽100自体がはんだ成分の1つである錫による浸蝕を受けるが、その浸蝕が迷走電流による電蝕によって一層促進されてしまう。一般に、錫の成分比率の大きい鉛レスはんだ程その浸蝕や電蝕が生じやすい。
【0028】
また、溶融はんだ101中に流れる電流により溶融はんだ101が加熱されるいわゆる誘導加熱を生じ、これにより、はんだ槽100内の溶融はんだ101の温度に対し噴流波120の温度が上昇するオフセットを生じる問題がある。
【0029】
本発明の目的は、従来のはんだ付け装置122における以上のような問題を解消し、モータ105等のポンプ駆動手段をはんだ槽100の上方側に設けることなく、必要以上に大容積のはんだ槽100を必要とせず、消費電力を少なくし、メンテナンス作業を容易に行うことが可能であり、また、迷走電流や誘導電流等による影響を受けないはんだ付け装置を実現することにある。
【0030】
さらには、はんだ付けシステムにおいては同等の機能を小型に構成し、はんだ付け装置を雰囲気形成チャンバ体等で覆って低酸素濃度雰囲気中ではんだ付けを行うN2 はんだ付けシステムにおいては、はんだ付け装置の溶融はんだ液面の全体を低酸素濃度雰囲気とすることができるようにすることにある。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明のはんだ付け装置は、ポンプ等を駆動するモータ等のアクチュエータをはんだ槽の外壁側に設けるように構成したところに特徴がある。
【0032】
(1)溶融はんだを収容するはんだ槽の前記溶融はんだと接する槽壁を貫通して前記はんだ槽の溶融はんだ液面上へ連通するパイプを設け、前記はんだ槽の前記槽壁側に設けた回転駆動手段により回転駆動される回転軸を前記パイプ中に通して設け、前記パイプを被うキャップ状の中空軸を前記回転軸の前記溶融はんだ液面上の先端に前記パイプに被せて同軸状に設けると共に前記溶融はんだ中に位置する前記中空軸の周囲に同軸状の羽根車からなるポンプを設け、他方で、前記ポンプから送出される溶融はんだにより噴流波を形成する吹き口体と前記羽根車を収容するポンプケーシングとを一体に備えるチャンバ体であって、前記ポンプケーシングの下方位置に前記羽根車が挿入される孔となる前記ポンプの吸い込み口を設けると共に前記吸い込み口と同軸位置となる前記ポンプケーシングの上方位置に前記中空軸の挿通孔を設けたチャンバ体を、前記同軸状に構成された前記中空軸と前記羽根車とにはんだ槽の液面側から挿抜自在に嵌め合わせてはんだ槽の上端縁で着脱自在に固定して成るように構成する。
【0038】
これにより、今まではんだ槽の溶融はんだ液面上に配置されていた回転駆動手段であるモータおよびその台座等を無くすことができる。そして、はんだ槽の溶融はんだ液面上には極僅かにパイプと回転軸が現れるだけとなり、はんだ槽の上端部と同程度以下の位置の低背に回転駆動部分が構成できる。また、モータや前記モータを取り付ける従来のような台座が不要であるので、吹き口体の直近位置にポンプおよびその回転軸を設けることが可能となり、はんだ槽の容積も小さくすることができる。さらに、溶融はんだ中を通る回転軸は溶融はんだに触れることがないので溶融はんだの封止も完璧である。
【0040】
さらに回転軸を軸線として全ての回転駆動部分を構成することが可能となり、これらポンプやモータ等の駆動手段部分を一層小型に構成することが可能となる。
【0041】
前記(1)のはんだ付け装置において、溶融はんだ液面上に現れるキャップ状の中空軸の外側に、キャップ状の封止キャップをその開放端が前記溶融はんだ中に侵漬するように被せて設けると共に、前記キャップ内へ溶融はんだを送出する手段を備えて成るように構成する。
【0042】
これにより、キャップ状の中空軸は溶融はんだで覆われて封止され、大気との界面がなくなる。したがって、従来のはんだ付け装置においてこの界面で発生していた粉末状の溶融はんだの酸化物は発生しなくなる。
【0043】
前記(1)のはんだ付け装置において、溶融はんだ液面上に現れるキャップ状の中空軸の外側に、キャップ状の封止キャップをその端部が前記溶融はんだ中に侵漬するように被せて設けると共に、前記封止キャップに前記封止キャップ内へ不活性ガスを供給するガス供給口を設けるように構成する。
【0044】
これにより、中空軸の周辺の溶融はんだは不活性ガス雰囲気で酸化することがなくなり、中空軸の周囲に粉末状の酸化物を生じることがなくなる。
【0049】
【発明の実施の形態】
本発明は、次のような実施形態例において実施することができる。
【0050】
(1)実施形態例−1
本発明の実施形態例−1のはんだ付け装置を図1を参照して説明する。
【0051】
図1は、本発明の実施形態例−1のはんだ付け装置を示す側断面図である。
【0052】
すなわち、溶融はんだ10を収容するはんだ槽1の槽底2にパイプ固定孔3が設けてあり、このパイプ固定孔3に溶融はんだ液面4上にまで到達するパイプ5を溶接等により封止して固定する。そして、槽底2にモータ(回転駆動手段)6を取り付け、その回転軸(駆動軸又はモータ軸)7をパイプ5の先端から僅かに出るように構成する。
【0053】
さらに、パイプ5から出ている駆動軸7に、パイプ5を被う中空軸(中空ポンプ軸)8をねじ9等により固定してこの中空軸8をポンプ軸(中空ポンプ軸)とする。なお、この中空軸8は一端が封止されたキャップ状のものであっても、孔の開いたものであってもかまわない。そして、この中空軸8の溶融はんだ10の液中の先端部分に羽根車11により構成されるポンプ12を設ける。この中空軸8とポンプ12とを当初よりー体に形成しておくと構造や組み立てが簡単となる。
【0054】
ちなみに、図1に示すポンプ12は遠心力型のポンプで、吸い込み口13側の羽根車11の周縁に設けた増圧リング(ドーナツ状の円盤)14は、吸い込み口13から吸い込んだ溶融はんだ10を効率良く吐出口15へ送出させるためのものである。
【0055】
なお、図1の例では駆動軸(モータ軸)7と中空ポンプ軸8とは同軸線状に配置する構成としているが、パイプ5から出ている駆動軸7の先端に歯車機構等の動力伝達機構を設けて、この駆動軸7とは異なる軸線に設けたポンプ軸を回転駆動するように構成してもよい。
【0056】
ポンプ12はポンプケーシング16内に収容されていて、ポンプケーシング16は下側チャンバ体17および上側チャンバ体18とにより1つに構成している。また、ポンプ12から送出される溶融はんだ10を導くチャンバ体19は、下側チャンバ体17および上側チャンバ体18をシールキャップ部20等により着脱自在に結合して一体となるように構成してあり、それら下側チャンバ体17および上側チャンバ体18は、後述するがそれぞれの吊り下げ部17a,18aを介してはんだ槽1の上端縁部1aに吊り下げてねじ24により着脱可能に固定している。
【0057】
また、下側チャンバ体17には羽根車11のポンプ12を挿通するとともに溶融はんだ10を吸い込むための吸い込み口13を設けてあり、上側チャンバ体18には中空ポンプ軸8を挿通するためのポンプ軸挿通孔23を設けてある。
【0058】
さらに、上側チャンバ体18には吹き口体25を結合するための吹き口体取り付け孔26を設けてあり、上側チャンバ体18の吹き口体取り付け孔26近くに吹き口体25の取り付け板25aをねじ27により着脱可能に固定することにより吹き口体25を上側チャンバ体18に結合して固定する構成としている。
【0059】
なお、はんだ槽1内には図示しないヒータにより加熱されて溶融状態の溶融はんだ10が収容されている。
【0060】
このように構成されたはんだ付け装置30は、パイプ5により駆動軸7と溶融はんだ10が隔離されて触れることがないので、溶融はんだ10の封止を完璧に行うことができる。そして、はんだ槽1の槽底2側に設けたモータ6により駆動軸(モータ軸)7を回転駆動させ、中空ポンプ軸8を同軸状に回転駆動することが可能であり、これにより回転するポンプ12の吸い込み口13から吸い込まれた溶融はんだ10を吐出口15ヘ送出し、溶融はんだ10はチャンバ体19を介して吹き口体25へ送出され、その吹き口28から噴流して噴流波29を形成する。
【0061】
このように、はんだ槽1の溶融はんだ液面4には吹き口体25の吹き口28の他に、はんだ槽1の上端縁部1aと同程度で吹き口28よりも低い位置に中空ポンプ軸8が僅かに現れるだけで、その分だけポンプ12と吹き口体25とを接近させて吹き口体25とポンプ12とを概ね同位置に設けることが可能となり、はんだ槽1の容積を大幅に小さくすることができるようになる。
【0062】
したがって、はんだ付け装置30を稼働させる当初に、はんだ槽1内で固化しているはんだを溶融させるために要する加熱電力も、大幅に少なくすることができるようになる。
【0063】
また、はんだ槽1の溶融はんだ液面4上方には吹き口体25の吹き口28が位置しているだけなので、はんだ付けシステム等を構成する際の配置自由度が良好となり、システム設計も容易に行うことができるようになる。
【0064】
さらに、上側チャンバ体18および下側チャンバ体17の各吊り下げ部18a,17aをはんだ槽1の上端縁部1aで保持し、ねじ24で固定し、また、上側チャンバ体18を中空ポンプ軸8に挿通し、下側チャンバ体17をポンプ12に挿通している構成なので、前記ねじ24の簡単な着脱作業により、両チャンバ体18,17を吹き口体25を含めて一体でポンプ12より引き抜いてはんだ槽1外へ取り出すことができる。また、上側チャンバ体18および下側チャンバ体17をそれぞれ独立してはんだ槽1の溶融はんだ10中より引き上げることが可能である。
【0065】
したがって、チャンバ体19の清掃等のメンテナンス作業を容易に行うことができるようになる。特に、上側チャンバ体18および下側チャンバ体17を分離してチャンバ体19の内部すなわち溶融はんだ10の流路の清掃等のメンテナンス作業を極めて容易に行うことができるようになる。また、上側チャンバ体18のみを引き上げることにより、吹き口体25を溶融はんだ10中から引き上げることが可能であり、吹き口体25の清掃等のメンテナンス作業や、他の噴流波29を形成する吹き口体25への交換作業も極めて容易に行うことができるようになる。
【0066】
(2)実施形態例−2
本発明の実施形態例−2のはんだ付け装置を図2および図3を参照して説明する。
【0067】
図2は、本発明の実施形態例−2のはんだ付け装置を示す側断面図である。また、図3は、本発明の実施形態例−2のはんだ付け装置の全容を示す斜視図である。
【0068】
この実施形態例−2のはんだ付け装置が実施形態例−1のはんだ付け装置と異なる点は、はんだ槽1の槽底2側のモータ6の飛び出し寸法が短くなるようにモータ6をはんだ槽1の槽底2側に横置きし、その回転を歯車装置32によって駆動軸7に伝動するように構成している点と、溶融はんだ液面4と大気との界面で、回転する中空ポンプ軸8を大気から遮蔽するように構成した点である。
【0069】
そのため、はんだ槽1の槽底2にはパイプ5と歯車装置32を固定するホルダ33を取り付けるためのホルダ固定孔34を設けてあり、このホルダ固定孔34にホルダ33の一端を嵌め合わせて溶接等により封止して固定する構成である。そして、パイプ5はホルダ33のパイプ固定孔35に溶接等により封止して固定する。
【0070】
このホルダ33の他端側にはねじ溝を設けてあり、歯車装置32を取り付けるための台座36を嵌め合わせてナット37でねじ固定する構成である。そして、この台座36に支柱38を介して歯車装置32をねじ39で固定する。モータ6はこの歯車装置32と一体で使用される通称ギアモータである。そのため、モータ6は歯車装置32と一体で台座36に保持し固定されることになる。
【0071】
これにより、図2上の横方向(モータ6から駆動軸7の方向)に存在する図示されないモータ軸の回転は、歯車装置32により図2上の縦方向(上下方向)に存在する駆動軸7の回転として伝導され、パイプ5の上端で結合されたキャップ状に封止されてパイプ5を被う中空ポンプ軸8を回転させて溶融はんだ10中のポンプ12を回転させ、吸い込み口13から吸い込んだ溶融はんだ10を吐出口15から送出する。また、モータ6が横置きなので、大型で長いモータ6を取り付けてもはんだ槽1の槽底2側寸法を短くすることができる。
【0072】
さらに、この実施形態例−2では、上側チャンバ体18のポンプ軸挿通孔23の部分に封止キャップ40を設けて中空ポンプ軸8を封止して覆うように構成してある。この封止キャップ40の上部には還流パイプ41を導通させて設けてあり、還流パイプ41の先端開口41aは溶融はんだ10中に浸漬する構成である。
【0073】
すなわち、ポンプ12が回転してポンプケーシング16内の溶融はんだ10の圧力が高まると、溶融はんだ10が中空ポンプ軸8と封止キャップ40との間を上昇して還流パイプ40に流れ込むようになり、回転する中空ポンプ軸8は溶融はんだ10で覆われて封止され、大気との界面がなくなる。したがって、従来のはんだ付け装置においてこの界面で発生していた粉末状の溶融はんだ10の酸化物は発生しなくなる。
【0074】
なお、この封止キャップ40は上側チャンバ体18に設けてあるので、上側チャンバ体18を溶融はんだ10中から引き抜く際に一緒に引き抜くことができる。
【0075】
(3)チャンバ体の詳細構成
実施形態例−1および実施形態例−2で説明したように、チャンバ体19は下側チャンバ体17と上側チャンバ体18とを着脱自在に一体に結合させる構成となっている。そして、それら両チャンバ体17,18は、はんだ槽1の上端縁部1aに両チャンバ体の吊り下げ部17a,18aで吊り下げて保持しねじ24で固定する構成である。
【0076】
すなわち、図3に示すように下側チャンバ体の吊り下げ部17aをはんだ槽1の上端縁部1aにねじ24で固定し、上側チャンバ体の吊り下げ部18aはその孔を下側チャンバ体の吊り下げ部17aに設けたスタットボルト45に挿通してナット46によりねじ固定する構成である。
【0077】
したがって、ナット46のみを取り外せば上側チャンバ体18のみを溶融はんだ10中から引き上げることが可能であり、ねじ24のみを取り外せば下側チャンバ体17と上側チャンバ体18とを結合した一体の状態で引き上げることができる。もちろん、ナット46とねじ24とを順次に取り外せば、上側チャンバ体18の引き上げに続いて下側チャンバ体17をそれぞれ分離して引き上げることができる。
【0078】
なお、吹き口体25から伸びている案内板47は、吹き口28から噴流する溶融はんだ10の流れを案内するものである。
【0079】
本発明の実施形態例−1および実施形態例−2に使用されるチャンバ体の構成を図4乃至図7を参照して詳細に説明する。
【0080】
図4は、下側チャンバ体の構成を示す斜視図である。また、図5は、上側チャンバ体の構成を示す斜視図である。なお、図5の上側チャンバ体には吹き口体を取り付けた態様を示してある。そして、図6は、これら下側チャンバ体と上側チャンバ体とを結合して一体にした態様を示す斜視図で、ポンプの構成および前記ポンプとの結合の態様も示している。これらの図においては、構成をわかりやすくするために破線を使用して一部透視した図で示してある。また、図7は、図6のII−II切断面を示す図である。
【0081】
すなわち、図4に示すように箱型に構成された下側チャンバ体17に、図5に示すように蓋型に構成された上側チャンバ体18を被せ、図6に示すように着脱自在に結合させて一体にチャンバ体19を構成したものである。なお、上側チャンバ体18のシールキャップ部20を下側チャンバ体17のチャンバケーシング52に嵌め合わせる構成として、その結合部の封止性を確保している。
【0082】
図4に示すように、下側チャンバ体17のチャンバケーシング52内にはポンプ12の挿通孔を兼ねる吸い込み口13とポンプケーシング16の他に、ポンプ12から送出される溶融はんだ10の流れを整流するための流路分割板53や下側整流板54が設けられている。この下側整流板54は、図5に示す上側チャンバ体18に設けた上側整流板55との組み合わせにより図6および図7に示すような狭搾した流路と小部屋とを形成し、ポンプ12が送出する溶融はんだ10が各整流板54,55で仕切られた狭搾部分と各部屋間とを矢印Cのように上下に流れることを繰り返すことにより不均一な流れの分布が拡散されて均一化し、吹き口体25に均一な流れとして供給することができる整流機構を構成する。そして、吹き口28に安定した噴流波29を形成することができるようになる。
【0083】
また、図4に示す流路分割板53は、ポンプ12の吐出口15から送出される溶融はんだ10を図6の矢印Cで示すように前記の整流機構の図6上の右側と左側とに均―に分割して供給するための手段であり、吐出口15から送出される溶融はんだ10の動圧を左右に均一に分割するための手段である。
【0084】
図5の上側チャンバ体18には吹き口体25を取り付けた態様を示してあるが、この吹き口体25は上側チャンバ体18に設けた吹き口体取り付け孔26に嵌め合わせてねじ27で着脱可能に固定する構成となっている。これにより、各種の噴流波29を形成する各種の吹き口体25を交換できるように構成してある。また、上側チャンバ体18より吹き口体25を取り外してこの吹き口体25の清掃作業等のメンテナンス作業も容易に行うことができるように構成してある。
【0085】
また、図5は、上側チャンバ体18に還流パイプ41を設けた封止キャップ40を取り付けた構成を示している。この封止キャップ40は上側チャンバ体18のポンプ軸挿通孔23に溶接等により封止して固定してあるが、ねじ込み手段等により着脱可能に封止して固定する構成としてもよい。
【0086】
そして、これら下側チャンバ体17および上側チャンバ体18には、図4,図5および図6に示すように各吊り下げ部17a,18aを設けてあり、はんだ槽1の上端縁部1aに保持される下側チャンバ体の吊り下げ部17aの上端縁部分には、図4に示すように下側チャンバ体17をはんだ槽1に固定するためのねじ24を挿通するねじ挿通孔58と、下側チャンバ体17の上方に上側チャンバ体の吊り下げ部18aを固定するためのスタットボルト45を設けてある。
【0087】
すなわち、図5に示す上側チャンバ体吊り下げ部18aに設けたねじ挿通孔59を図4に示す下側チャンバ体の吊り下げ部17aに設けたスタットボルト45に挿通してナット46でねじ固定する構成である。図6は、ナット46およびねじ24を設ける前の結合状態を示している。
【0088】
このように、着脱自在に分割できる下側チャンバ体17と上側チャンバ体18とは、最終的に図6のように一体に結合されて白抜き矢印方向にポンプ12に挿通される。なお、図6において、ポンプ12は、はんだ槽1の槽底2に設けられている。
【0089】
以上のように、はんだ槽1の溶融はんだ10中に配置されるチャンバ体19は、一体の態様でも、分割した態様でも、溶融はんだ10中から容易に引き上げることができる。また、吹き口体25を上側チャンバ体18に取り付ける構成であるので、上側チャンバ体18を溶融はんだ10中から引き上げることで吹き口体25を容易に取り外したり交換したりすることができる。
【0090】
したがって、チャンバ体19の清掃、特にはその内部の清掃を容易に行うことができる。また、吹き口体25の清掃についても容易に行うことができるようになる。
【0091】
また、ポンプ12の吐出圧により封止キャップ40内に溶融はんだ10が上昇して流れ込み、還流パイプ41を通ってはんだ槽1内の溶融はんだ10中に還流するようになる。そのため、中空ポンプ軸8は溶融はんだ10で覆われて封止され、大気との界面がなくなる。したがって、従来のはんだ付け装置においてその界面で発生していた粉末状のはんだの酸化物は発生しなくなる。
【0092】
(4)増圧リングの作用
本発明のはんだ付け装置の実施形態例−1および実施形態例−2に使用される増圧リングの作用を図8を参照して説明する。
【0093】
図1,図2および図6にも示したように、羽根車11によって構成した遠心力型のポンプ12の吸い込み口13側の羽根車11の周縁部に、ドーナツ状の円盤形状の増圧リング14を設けてある。これは、吸い込み口13から吸い込んだ溶融はんだ10を効率良く吐出口15へ送出させるためのものである。
【0094】
図8は、増圧リングの作用を説明するための図で、図2のポンプ部分のみを示した図である。すなわち、吸い込み口13から吸い込まれた溶融はんだ10は吐出口15に送出されるのであるが、遠心力により矢印Dのように吐出口15側へ送出される溶融はんだ10の他に、破線の矢印Eのように吸い込み口13の周縁部から漏れ出そうとする溶融はんだ10が存在し、これはポンプ12の揚程が大きくなるほど大きくなりやすい。
【0095】
増圧リング14は、図8にも破線の矢印Eで示したように、この矢印Eで示される溶融はんだ10の流れを遮断し、白抜き矢印の方向に当該ポンプ12の送出効率を高める作用をする。特に、吸い込み口13にそのままポンプ12の羽根車11が挿通される本例のような構成では顕著な作用が得られる。
【0096】
(5)中空ポンプ軸のその他の封止技術
中空ポンプ軸のその他の封止技術1乃至4を図9乃至図12を参照して説明する。
【0097】
図2に示すように、ポンプ12の回転速度が上昇してその吐出圧が上がる程度に合わせて、封止キャップ40内にも溶融はんだ10が上昇し、吹き口体25の吹き口28から溶融はんだ10が噴流する程度まで吐出圧が上昇すれば、封止キャップ40内に溶融はんだ10が満たされ還流パイプ41から還流して流れるようになる。しかし、ポンプ12の回転速度が遅い場合には吐出圧が低く封止キャップ40内に溶融はんだ10が満たされず、溶融はんだ10と大気との界面を中空ポンプ軸8の周縁に形成する可能性がある。
【0098】
そこで、ポンプ12の回転速度が遅い場合でも封止キャップ40内に十分な溶融はんだ10を供給できるように構成した技術が図9の技術である。
【0099】
図9は、中空ポンプ軸のその他の封止技術−1を説明するための図で、図2のポンプ部分のみを示した図である。
【0100】
すなわち、中空ポンプ軸8の側周にスパイラルポンプ部61を設け、封止キャップ40内へ溶融はんだ10を送出する手段を構成して前記封止キャップ40内を溶融はんだ10で満たすように構成した技術である。これにより、ポンプ12の回転速度が遅い場合においてもスパイラルポンプ部61により封止キャップ40内に十分な溶融はんだ10を供給することができるようになり、溶融はんだ10と大気との界面を中空ポンプ軸8の周縁に形成することがなくなる。
【0101】
図10は、中空ポンプ軸のその他の封止技術−2を説明するための図で、図9の技術と同様の技術であるが、封止キャップ40を上側チャンバ体18から独立して設け、アーム状の支持板62ではんだ槽1の上端縁部1aにねじ24で固定するように構成したものである。この封止技術−2の作用は、図9の技術と同様であるが、噴流波形成用のポンプ12と中空ポンプ軸封止用のスパイラルポンプ部61とが独立しているため、噴流波形成用のポンプ12の送出能力の全てを噴流波形成用に使用できる特徴がある。
【0102】
図11は、中空ポンプ軸のその他の封止技術−3を説明するための図で、この技術も図2の技術と同様の技術であるが、ポンプケーシング16内に封止専用流路63を設けて封止キャップ40内に溶融はんだ10を送出しやすいように配慮した構成による封止キャップ40内へ溶融はんだ10を送出する手段である。
【0103】
図12は、中空ポンプ軸のその他の封止技術−4を説明するための図である。すなわち、中空ポンプ軸8に封止キャップ40を被せてその封止キャップ40内にガス供給口64からN2 ガス等の不活性ガスを供給するように構成した技術である。図10と同様に、封止キャップ40はアーム状の支持板62ではんだ槽1の上端縁部1aにねじ24で固定するように構成してある。したがって、中空ポンプ軸8の周辺の溶融はんだ10はN2 ガス雰囲気で酸化することがなくなり、中空ポンプ軸8の周囲に粉末状の酸化物を生じることがなくなる。
【0104】
なお、支持板62を固定するねじは、ねじ24とは別のねじを用いることもできる。
【0105】
(6)本発明のはんだ付け装置をN2 はんだ付けシステムに使用した実施形態例
本発明のはんだ付け装置をN2 はんだ付けシステムに使用した実施形態例を図13を参照して説明する。
【0106】
図13は、図2で示したはんだ付け装置を、N2 はんだ付けシステムに組み込んで使用した実施形態例を示す図で、N2 はんだ付けシステムの平面図である。
【0107】
図13に示したN2 はんだ付けシステムが、図17に示した従来のN2 はんだ付けシステムと相違する点は、はんだ付け装置30が使用され、溶融はんだ液面4の概ね全てが、雰囲気形成チャンバ体126に設けたスカート部133により大気から遮断され、N2 ガス雰囲気の低酸素濃度雰囲気で覆われている点である。
【0108】
すなわち、本発明のはんだ付け装置30では、図27に示した従来のはんだ付け装置122に設けてあるモータ105やその台座110を、はんだ槽1の上方に設ける必要がなく、また、ポンプ12を吹き口体25に接近して同様の位置に設けることが可能になった。そのため、はんだ槽1の上方に突出部分が無く、また、はんだ槽1の容積も小さくすることが可能となり、はんだ槽1に収容される溶融はんだ液面4に吹き口体25の吹き口28を中心として配置することが可能となった長所によるものである。
【0109】
したがって、従来のようにモータが取り付けられた周辺の溶融はんだ液面が酸化して多量のドロスを形成することもなくなり、酸化によって高価なはんだが無駄に消費されることが極めて少なくなるとともに清掃作業等のメンテナンス作業も不要となる。
【0110】
また、図13の上方側のコンベアフレーム134を、図13の上方に移動させてもモータに当接することもないので、上下両方のコンベアフレーム134をそれぞれ上方向と下方向に開放することが可能となり、はんだ付け装置30全体、ひいては溶融はんだ液面4および吹き口体25を完全に露呈させることができるようになり、吹き口体25や溶融はんだ液面4の清掃作業等のメンテナンス作業も容易に行うことができるようになる。このことは、特に雰囲気形成チャンバ体を備えない大気中ではんだ付けを行うはんだ付けシステムにおいて最も顕著に表れる特徴である。
【0111】
(7)実施形態例−3
前記(1)および(2)において、本発明のはんだ付け装置の実施形態の基本的な技術思想を詳細に説明した。また、前記(3),(4),(5)においては前記(1),(2)の実施形態の基本技術によって新たに生まれた技術を説明した。さらに前記(6)においては、前記(1),(2)の実施形態の基本技術により構成されたはんだ付け装置を用いてはんだ付けシステムを構成する際の利点を説明した。
【0112】
以下の各項では、さらに、本発明のはんだ付け装置のその他の実施形態例と応用例について説明する。
【0113】
本発明の実施形態例−3のはんだ付け装置を図14を参照して説明する。
【0114】
図14は、本発明の実施形態例−3のはんだ付け装置を示す側断面図である。すなわち、本実施形態例−3が、先に説明した(1)実施形態例−1と相違する点は、溶融はんだ10を収容するはんだ槽1の側壁69にパイプ固定孔(はんだ槽の開口)3が設けてあり、このパイプ固定孔3に一端5aが溶融はんだ液面4上にまで到達するパイプ5(溶融はんだの排斥体で構成されている。)の他端5bを溶接等により封止して固定している点である。
【0115】
それに伴い、はんだ槽1の側方側の側壁の下部に、ポンプ12を駆動するアクチュエータすなわち、この例では回転駆動手段であるモータ6を取り付ける。モータ6は槽底2にねじ73で固定された取り付けアングル72で取り付けられる。そしてそのモータ軸(すなわち駆動軸である回転軸)7をパイプ5の先端から僅かに出るように構成している。また、実施形態例−1と同様に、パイプ5を被う中空軸(すなわち中空ポンプ軸)8をねじ9等により回転軸7に固定してポンプ軸とし、その先端部分に羽根車11により構成されるポンプ12を設けた構成である。
【0116】
そのため、図14に示すように、溶融はんだのポンプ12は溶融はんだ10中に傾斜して配設され、それに伴ってポンプケーシング16も傾斜して配設される構成である。その他の構成は実施形態例−1と同様である。但し、上側チャンバ体18および下側チャンバ体17を中空ポンプ軸8方向すなわち白抜き矢印方向に着脱できるように、上側チャンバ体18および下側チャンバ体17の各吊り下げ部18a,17aを図14に示すように中空ポンプ軸8と同じ方向に傾斜させて構成してある。
【0117】
はんだ槽1は、側壁69で囲まれており、下側の側壁を槽底2とし、側壁の外側を外壁側71と称することにする。他の実施形態例についても同様である。
【0118】
(8)実施形態例−4(応用例)本発明の実施形態例−4のはんだ付け装置を図15を参照して説明する。
【0119】
図15は、本発明の実施形態例−4のはんだ付け装置を示す側断面図である。すなわち、本実施形態例−4が先に説明した(1)実施形態例−1と相違する点は、中空ポンプ軸8がモータ軸(すなわち駆動軸である回転軸)7と同軸状に回転する構成ではなく、モータ6によって回転駆動される回転軸である駆動軸7の回転を2個の歯車82,80によって中空ポンプ軸8に伝動するように構成している点である。
【0120】
そのため、はんだ槽1の槽底2に2つのパイプ固定孔3,75を設け、それぞれのパイプ固定孔3,75に溶融はんだ液面4上にまで到達するパイプ5,76を溶接等により封止して固定し、一方のパイプ5内には、はんだ槽1の下方に配設したモータ6による駆動軸7を通し、他方のパイプ76内には中空ポンプ軸8を回動自在に保持する支軸78を設けてある。なお、駆動軸7に設けられる歯車82はねじ9で固定され、支軸78に設けられる歯車80はナット81で固定された構成例を図示している。
【0121】
この支軸78は支軸パイプ77に設けた2つの軸受79,79により回動自在に保持され、支軸パイプ77は前記のはんだ槽1のパイプ固定孔75に設けたパイプ76に嵌め合わせて、両パイプのフランジ部77a,76aで、図示しないねじ等により固定する構成である。
【0122】
また、実施形態例−1で上側チャンバ体18に設けたポンプ軸挿通孔23および下側チャンバ体17に設けたポンプ12の挿通孔を兼用した吸い込み口13の他に、上側チャンバ体18の吊り下げ部18aおよび下側チャンバ体17の吊り下げ部17aには、図15の右側に示すように駆動軸挿通孔74を設けてある。
【0123】
その他の点は実施形態例−1と同様であり、チャンバ体19は上側チャンバ18と下側チャンバ体17とにより構成され、それぞれの吊り下げ部18a,17aではんだ槽1の上端縁部1aにねじ24で着脱自在に固定される構成である。
【0124】
(9)実施形態例−5
本発明の実施形態例−5のはんだ付け装置を図16を参照して説明する。
【0125】
図16は、本発明の実施形態例−5のはんだ付け装置を示す側断面図である。すなわち、本実施形態例−5が先に説明した実施形態例−4と相違する点は、支軸パイプ77を、支柱85に設けた支軸パイプ固定孔86に嵌め合わせて、それぞれのフランジ部77a,85aで、図示しないねじ等により固定する構成とした点である。この例のように、中空ポンプ軸8は、はんだ槽1の槽底2の支柱固定孔87に設けられた支柱85に設けるように構成することもできる。
【0126】
(10)実施形態例−6(応用例)本発明の実施形態例−6のはんだ付け装置を図17を参照して説明する。
【0127】
図17は、本発明の実施形態例−6のはんだ付け装置を示す側断面図である。先に説明した実施形態例−4と同様にモータ6の駆動軸7の回転を2つのかさ歯車80a,82aによって中空ポンプ軸8に伝動するように構成している。但し、モータ6の駆動軸7は実施形態例一3のように、溶融はんだ10を収容するはんだ槽1の側壁69にパイプ5を設けて、このパイプ5にモータ6の駆動軸7を通すように構成している。
【0128】
また、チャンバ体19は上側チャンバ体18と下側チャンバ体17とで構成し、図17に示すように左側は、それぞれの吊り下げ部18a,17aではんだ槽1の上端縁部1aで着脱自在に固定しているが、右側は、はんだ槽1の槽底2に固着した係止具88に差し込んで係止する構成としている。
【0129】
そして、この例では、ポンプ12の吸い込み口13を上側チャンバ体18に設けてある。
【0130】
(11)実施形態例−7(応用例)本発明の実施形態例−7のはんだ付け装置を図18を参照して説明する。
【0131】
図18は、本発明の実施形態例−7のはんだ付け装置を説明する側断面図である。先に説明した実施形態例−5と同様にモータ6の駆動軸7の回転をかさ歯車97、96及び歯車82、80によって中空ポンプ軸8に伝動するように構成している。そして、モータ6の駆動軸7は実施形態例−3のように溶融はんだ10を収容するはんだ槽1の外壁側71から通す構成としている。但し、はんだ槽1の側壁69に設けるパイプ91はその断面形状が「L」字型のパイプとし、この「L」字型のパイプ91内に2つのかさ歯車97,96を設けて横方向に配設された駆動軸89の回転を縦方向すなわち中空ポンプ軸8と同一方向の駆動軸90の回転に換える構成である。
【0132】
そして、それぞれの駆動軸89、90は、「L」字型のパイプ91に嵌め合わされる駆動軸パイプ92、93に軸受け94、95を設けて保持される。そして、モータ軸7に結合される駆動軸89には、その一端にジョイント98を介してモータ軸7が結合され、他端にかさ歯車97が設けられる。また、中空ポンプ軸8に歯車80、82で結合される駆動軸90には、一端にかさ歯車96を介してかさ歯車97が結合され、他端に歯車80に結合される歯車82が設けられている。
【0133】
これらの駆動軸パイプ92、93は、「L」字型パイプに嵌め合わせることにより相互のかさ歯車96、97がかみ合わされる構成であり、駆動軸パイプ92、93は、それぞれのフランジ部92a、93aにより図示しないねじ等によりパイプ91のフランジ91aおよびはんだ槽1のパイプ固定孔3に固定される。
【0134】
一方、チャンバ体19の構成は、基本的に実施形態例−1と同様であるが、「L」字型のパイプ91をはんだ槽1の側壁69に設けた構成であるので、図18に示すようにチャンバ体19の右側の吊り下げ部17a、18aに駆動軸挿通孔74を設ける構成としている。
【0135】
ここで本発明の実施形態例−7のはんだ付け装置の伝動系を図19を参照して説明する。
【0136】
図19は、図18に示す実施形態例−7のはんだ付け装置の伝動系各部の構成部分を説明するための図で、(a)は、中空ポンプ軸に結合される駆動軸系を示す斜視図、(b)は、モータ軸に結合される駆動軸系を示す斜視図、(c)は、中空ポンプ軸を回動自在に保持する支軸系を示す斜視図、(d)は、(c)の支軸に設けられる中空ポンプ軸とポンプの斜視図である。
【0137】
図19(a)に示すように、駆動軸パイプ93にはフランジ部93aが設けてあり、このフランジ部93aに設けたねじ孔93bにねじ(不図示)を通して図18の「L」字型のパイプ91のフランジ部91aにねじ固定する構成である。同様に図19(b)の駆動軸パイプ92は、フランジ部92aのねじ孔92bではんだ槽1にねじ固定する構成である。また、駆動軸89、90に設けられるかさ歯車96、97や歯車82およびジョイント98はそれぞれねじで固定される構成であり、かさ歯車96、97やジョイント98を固定するねじは省略して図示していない。尚、駆動軸パイプ92、93内には駆動軸89、90の軸受け94、95を設けてある。
【0138】
また、図19(c)に示す支軸系の構成も基本的には(a),(b)の駆動軸系の構成と同様であり、支軸パイプ77にフランジ部77aを設けてそのねじ孔77bを通して図18のはんだ槽1の槽底2のパイプ固定孔75に固定されたパイプ76に嵌め合わせてパイプ76のフランジ部76aにねじ固定する構成である。
【0139】
支軸78は支軸パイプ77内に設けた軸受け79により回動自在に保持されていて、支軸78の先端には図19(d)に示す中空ポンプ軸8の嵌合孔83を嵌め合わせて固定するためのねじ部78aが形成してある。尚、このねじ部78aには図18にも示したように歯車80も嵌め合わせて中空ポンプ軸8と合わせてナット81で固定する構成である。
【0140】
図19(d)は、図6にも示したポンプ12の斜視図で、中空ポンプ軸8の下方端部に羽根車11から成るポンプ12を設けて一体に構成した例である。
【0141】
尚、以上の構成で設けられている軸受け79、94、95としては、その耐熱性からセラミックス製の軸受けが適している。このことは、実施形態例−4や実施形態例−5、実施形態例−6、後述の実施形態例−8および実施形態例−9においても同様である。
【0142】
(12)実施形態例−8(応用例)本発明の実施形態例−8のはんだ付け装置を図20を参照して説明する。
【0143】
図20は、本発明の実施形態例−8のはんだ付け装置を示す側断面図である。先に説明した実施形態例−6と同様に、溶融はんだ10を収容するはんだ槽1の外壁側71からモータ6の駆動軸7を通し、その回転を2つのかさ歯車80a、82aによって中空ポンプ軸8に伝動するように構成している。
【0144】
モータ6の駆動軸7とこの駆動軸に設けられるかさ歯車82aは口筐体99によって溶融はんだ10から離隔されている。この口筐体99は、溶融はんだ液面4上に2つのかさ歯車80a、82aのかみ合わせ部を露出させるための開口99aとモータ6の駆動軸7を通す駆動軸孔部99bとこの口筐体99内に発生する異物を排出するためのドレン孔部99cとが設けられ、駆動軸孔部99bとドレン孔部99cとはそれぞれはんだ槽1に設けた口筐体固定孔70に嵌め合わせて溶接等により封止して固定する構成である。
【0145】
この口筐体99は、溶融はんだ10の排斥体を形成するものであるが、このように、溶融はんだ10の排斥体はポンプ12の駆動方法に合わせてその形状を任意に選択することができる。尚、ポンプ12やチャンバ体19、吹き口体25の構成は実施形態例−6と同様である。
【0146】
(13)実施形態例−9(応用例)本発明の実施形態例−9のはんだ付け装置を図21および図22を参照して説明する。
【0147】
図21は、本発明の実施形態例−9のはんだ付け装置を示す側断面図である。基本的な構成は先に説明した実施形態例−8と同様であるが、口筐体の構成が異なっている。
【0148】
すなわち、先の実施形態例−8では、溶融はんだ液面4に現れる口筐体99の開口99aは、はんだ槽1の内壁からは離れていて、この開口99aは溶融はんだ10で被われるように構成されていた。しかし、本実施形態例−9の構成では、溶融はんだ液面4に現れる口筐体99の開口99aは、はんだ槽1の内壁に密着した構成である。
【0149】
図22は、実施形態例−9のはんだ付け装置を上方から見た図である。すなわち、口筐体99の溶融はんだ液面4上に現れる開口99aは、はんだ槽1の内壁に密着して設けられる構成である。これに対し、先に説明した実施形態例−8の口筐体99では、図22の口筐体99の溶融はんだ液面4上に現れる開口99aは、破線で示すようにはんだ槽1の内壁から離れるように構成されている。
【0150】
実施形態例−8のように口筐体99を構成すると、図13で説明した雰囲気形成チャンバ体126のスカート部133を口筐体99とはんだ槽1の内壁との間に挿入して溶融はんだ10液中に浸漬することができるので、実施形態例−9に比較して溶融はんだ液面4の封止が完全に行える長所がある。
【0151】
尚、実施形態例−4、実施形態例−5および実施形態例−7では、実施形態例−1のはんだ槽1の容積よりも若干大きくなるが、従来のはんだ付け装置よりは小さく構成することができる。
【0152】
(14)実施形態例−10(応用例)本発明の実施形態例−10のはんだ付け装置を図23を参照して説明する。
【0153】
図23は、本発明の実施形態例−10のはんだ付け装置を示す側断面図である。この実施形態例−10は、実施形態例−1のはんだ付け装置に補機を設けて、特有の噴流波を形成できるように構成したはんだ付け装置である。すなわち、吹き口体25の吹き口28に噴流孔162を設けたスイングノズル体161を設けて、これをクランク150によって図23の左右方向に往復移動するように構成した例である。すなわち、特公平1−34712号公報に説明されているところの、噴流波である凹凸波を往復移動させる技術である。
【0154】
スイングノズル体161とクランク150とはクランクアーム158で連絡され、それらは2つのピン159により回動自在に連結されている。これらは、特有の噴流波29を形成するための補機であり、これら補機の駆動は、はんだ槽1の下方(槽底2の外壁側71)に設けたギアモータ151、152(スイング用のモータ151とギア152とを一体に構成したもの)により行う構成である。
【0155】
すなわち、はんだ槽1の槽底2にパイプ固定孔154(はんだ槽の開口)を設け、このパイプ固定孔154にはんだ槽1内の溶融はんだ液面4上にまで到達するパイプ(溶融はんだの排斥体)153を嵌め合わせて、例えば溶接し、溶融はんだ10を封止して固定する。そして、クランク150の回転駆動手段であるギアモータ151、152をはんだ槽1の下方に設け、その駆動軸155を前記パイプ153に通して、先に説明したクランク150とねじ156で固定する構成である。
【0156】
この構成により、ギアモータ151,152をはんだ槽1の下方に設けたにも係わらず、ギアモータ151,152の駆動軸155は溶融はんだ10に触れることなくクランク150に結合することが可能となり、溶融はんだ10の封止を完璧に行いつつ溶融はんだ液面4上の、噴流波29の凹凸波を往復移動させるための補機を駆動することができる。すなわち、ギアモータ151,152の駆動軸155が回転することにより、クランク150に駆動されてスイングノズル体161が図23の左右方向に往復移動し、スイングノズル体161の噴流孔162から溶融はんだ10が噴流して形成される凹凸状の噴流波が同様に図23の左右方向に往復移動する。
【0157】
尚、ギアモータ151、152を使用している理由は、スイング用モータ151の回転速度をスイングノズル体161の適正なスイング速度にするための手段である。また、上側チャンバ体18および下側チャンバ体17の各吊り下げ部18a、17aには、それぞれパイプ挿通孔157を設けてあり、クランク150を取り外すことにより実施形態例−1と同様に、上側チャンバ体18および下側チャンバ体17の取り外しおよび取り付け、さらには分解が可能なように構成してある。
【0158】
このように、本発明によれば、補機を駆動するためのモータ151等のアクチュエータを、はんだ槽1の上方側ではなく、はんだ槽の側壁69や槽底2の外壁側71に配設することが可能となり、はんだ付け装置の上方に形成される噴流波29やこの噴流波29に接触されるプリント配線板128、およびプリント配線板の搬送コンベア127に対して障害物となることがなくなる。
【0159】
また、特公平1−34712号公報にも示されているように、クランク軸がはんだ槽内の溶融はんだ液面およびはんだ槽の上端縁上を横切ることもなくなり、図13で説明した雰囲気形成チャンバ体126のスカート部133を何ら横切る障害物もなく、はんだ槽1の内壁に沿って溶融はんだ10液中に浸漬することができる。したがって、はんだ槽1内の溶融はんだ液面4の封止を完全に行うことができる。
【0160】
ちなみに、特公平1−34712号公報のはんだ付け装置の溶融はんだ液中に図13に示した雰囲気形成チャンバ体126のスカート部133を浸漬しようとすると、クランク軸を横切る孔を前記スカート部133に設ける必要があり、この孔が雰囲気形成チャンバ体126の大気との連通孔となってその封止性が低下する。
【0161】
このように、はんだ付け装置に設けられるポンプ駆動用のモータ6以外の駆動源が必要となる補機を駆動する場合においても、その補機を駆動するモータ151やエアシリンダ、電磁プランジャ等のあらゆる駆動源すなわちアクチュエータの駆動力を、溶融はんだ液面4よりも下方側から溶融はんだ液面4の上側へ完璧な封止で伝達することが可能となる。
【0162】
さらに、その他の例を上げれば、特開平9−24463号公報の噴流孔の清掃技術においても、噴流孔内に設けられた補機であるピンを往復駆動する手段をはんだ槽の下方側に設けることができる。
【0163】
なお、この他の補機の例としては、前述したように溶融はんだ液面上に発生するドロス等を、ブレードを移動させて掻き寄せ収集し、清掃する移動ブレード装置等がある。
【0164】
(15)回転駆動手段以外のアクチュエータについて
以上の実施形態例では、ポンプ6や補機を駆動する駆動源であるアクチュエータが、いずれも回転駆動手段であるモータであったが、本発明のアクチュエータはそれに限られるものではない。
【0165】
例えば、エアシリンダ等のアクチュエータでは、そのロッドの往復動作により駆動力が得られるが、このロッドを溶融はんだの排斥体内を通るように設けて溶融はんだの液面上に突き出すように設け、例えば特公昭62−15313号公報に説明されているはんだ付け装置の技術において、溶融はんだの吹き口に設けられた回転体を、その回転体とロッドとの間をクランクアームで連結して、前記ロッドの往復動作により回転させるように構成することもできる。
【0166】
また、超音波はんだ付け方法において周知である噴流波に超音波を印加する技術においても、はんだ槽の下方や側方(側壁)に設けられた超音波アクチュエータの振動を、溶融はんだの排斥体内を通して吹き口体の吹き口に導き、噴流波に印加することもできる。
【0167】
このように、はんだ槽の溶融はんだ液面4の上側に配設されていたあらゆるアクチュエータについて、はんだ槽の下方や側方等の外壁側に配設して、しかも、その駆動力を溶融はんだの排斥体内を通して溶融はんだに触れることなく、溶融はんだの液面上へ伝達することができる。しかも、溶融はんだの封止は完璧である。
【0168】
【発明の効果】
以上のように本発明のはんだ付け装置によれば、溶融はんだを吹き口に送出するポンプの回転駆動手段であるモータ等のアクチュエータをはんだ槽の外壁側に設け、完璧な封止を行いつつ、その駆動軸を溶融はんだの排斥体(パイプ)の内を通して、はんだ槽の溶融はんだ中を貫通して設けることができる。
【0169】
また、噴流波を加工したり、はんだ付け装置を清掃したりするための溶融はんだ液面の上側に設けられる補機について、それを駆動するモータ等のアクチュエータについても同様に、はんだ槽の外壁側に設け、完璧な封止を行いつつ、その駆動軸をはんだ槽の溶融はんだ中を貫通して設けることができる。
【0170】
したがって、従来のはんだ付け装置のように吹き口を避けてモータやその台座等をはんだ槽の上方側に設ける必要がなくなり、上方から見たときに、モータやポンプ等を吹き口の直近位置や同じ位置に設けることが可能となり、はんだ槽の容積を大幅に小さくすることができる。また、吹き口に形成される噴流波にとって障害物となるような部材が、はんだ槽に収容されている溶融はんだ液面上に表れることもない。
【0171】
その結果、はんだ付け装置を運転開始させる際に固体状であるはんだを溶融させるために要する電力が大幅に削減され、省電力でランニングコストも低くすることができる。
【0172】
また、はんだ付け装置を当初に運転開始する際にはんだ槽に投入する必要のあるはんだの量や、はんだが劣化したり不純物が多くなった際にはんだを交換する際に、はんだ槽に投入が必要となるはんだの量を大幅に削減することが可能となり、これらによってイニシャルコストやランニングコストを低減することが可能となる。
【0173】
さらに、はんだ付け装置をはんだ付けシステムに組み込んで使用する場合においては、はんだ付けシステムを小型(特に搬送コンベアの保持幅方向の寸法)に構成することが可能となり、併せて、搭載されるはんだ付け装置の溶融はんだの重量を合めた総重量も軽量化され、はんだ付けシステムの設置スペースも少なくて済む為に、その面の資本(すなわち、はんだ付けシステムに使用する物的資本およびその設置スペースという物的資本)から見た生産性も高まる他、生産ラインの編成変えを行う等のはんだ付けシステムの移動を行う際にも、それを容易に行うことが可能となる。
【0174】
また、はんだ付け装置の上方側(溶融はんだ液面側)には障害物がなくなるので、はんだ付けシステムにおいてはんだ付け装置の上方に配置される搬送コンベアを開いて(保持幅を広げて開いて)はんだ付け装置の吹き口やはんだ槽の溶融はんだ液面側を開放することができるようになり、清掃作業等のメンテナンス作業や、噴流波を他の性質の噴流波に切り換えるために吹き口体の交換作業を行う等の作業も極めて容易に行うことができるようになる。
【0175】
また、不活性ガス雰囲気中の低酸素濃度雰囲気中ではんだ付けを行うN2 はんだ付けシステムに本発明のはんだ付け装置を使用すれば、溶融はんだ液面全体を雰囲気形成チャンバ体で覆うことができるようになるので、溶融はんだの酸化が抑制されて酸化物、すなわちドロスの発生量が極めて微量となり、これによる高価なはんだの損失も大幅に削減できる。特に、鉛レスはんだは錫がその大部分の成分を占めるので大気中ではその酸化の進行が著しく速い。そのため、本発明のはんだ付け装置を使用してその酸化を抑制することは、極めて大きなメリットとなる。
【0176】
また、電磁ポンプ式のはんだ付け装置において発生する迷走電流は存在せず、それによるはんだ槽の電蝕も発生せず、汚染のないはんだ付け装置を実現することができる。さらに、誘導加熱によって噴流波の温度にオフセットを生じることもないので、温度精度の高いはんだ付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例−1のはんだ付け装置を示す側断面図である。
【図2】本発明の実施形態例−2のはんだ付け装置を示す側断面図である。
【図3】本発明の実施形態例−2のはんだ付け装置の全容を示す斜視図である。
【図4】下側チャンバ体の構成を示す斜視図である。
【図5】上側チャンバ体の構成を示す斜視図である。
【図6】下側チャンバ体と上側チャンバ体とを結合して一体にした態様を示す斜視図である。
【図7】図6のII−II切断面を示す図である。
【図8】増圧リングの作用を説明するための図である。
【図9】中空ポンプ軸のその他の封止技術−1を説明するための図である。
【図10】中空ポンプ軸のその他の封止技術−2を説明するための図である。
【図11】中空ポンプ軸のその他の封止技術−3を説明するための図である。
【図12】中空ポンプ軸のその他の封止技術−4を説明するための図である。
【図13】本発明のはんだ付け装置をN2 はんだ付けシステムに使用した形態例を示す図である。
【図14】本発明の実施形態例−3のはんだ付け装置を示す側断面図である。
【図15】本発明の実施形態例−4のはんだ付け装置を示す側断面図である。
【図16】本発明の実施形態例−5のはんだ付け装置を示す側断面図である。
【図17】本発明の実施形態例−6のはんだ付け装置を示す側断面図である。
【図18】本発明の実施形態例−7のはんだ付け装置を示す側断面図である。
【図19】本発明の実施形態例−7のはんだ付け装置の伝動系を説明するための斜視図である。
【図20】本発明の実施形態例−8のはんだ付け装置を示す側断面図である。
【図21】本発明の実施形態例−9のはんだ付け装置を示す側断面図である。
【図22】本発明の実施形態例−9のはんだ付け装置を上方から見た図である。
【図23】本発明の実施形態例−10のはんだ付け装置を示す側断面図である。
【図24】従来のはんだ付け装置の一例を示す図である。
【図25】従来のはんだ付け装置の一例を示す図である。
【図26】従来のN2 ガス雰囲気の低酸素濃度雰囲気中ではんだ付けを行うN2 ガスはんだ付けシステムを示す図である。
【図27】図26の平面図である。
【符号の説明】
1 はんだ槽
1a 上端縁部
2 槽底
3 パイプ固定孔(はんだ槽の開口)
4 溶融はんだ液面
5 パイプ(溶融はんだの排斥体)
6 回転駆動手段(モータ)
7 駆動軸(回転軸又はモータ軸)
8 中空軸(中空ポンプ軸)
9 ねじ
10 溶融はんだ
11 羽根車
12 ポンプ
13 吸い込み口
14 増圧リング
15 吐出口
16 ポンプケーシング
17 下側チャンバ体
17a 下側チャンバ体の吊り下げ部
18 上側チャンバ体
18a 上側チャンバ体の吊り下げ部
19 チャンバ体
20 シールキャップ部
23 ポンプ軸挿通孔
24 ねじ
25 吹き口体
25a 取り付け板
26 吹き口体取り付け孔
27 ねじ
28 吹き口
29 噴流波
30 はんだ付け装置
32 歯車装置
33 ホルダ
34 ホルダ固定孔
35 パイプ固定孔
36 台座
37 ナット
38 支柱
39 ねじ
40 封止キャップ
41 還流パイプ
41a 先端開口
45 スタットボルト
46 ナット
47 案内板
52 チャンバケーシング
53 流路分割板
54 下側整流板
55 上側整流板
58 ねじ挿通孔(下側チャンバ体の)
59 ねじ挿通孔(上側チャンバ体の)
61 スパイラルポンプ部(封止キャップ内へ溶融はんだを送出する手段)
62 支持板
63 封止専用流路
64 ガス供給口
69 側壁
70 口筐体固定孔
71 外壁側
72 取り付けアングル
73 ねじ
74 駆動軸挿通孔
75 パイプ固定孔
76 パイプ
76a フランジ部
77 支軸パイプ
77a フランジ部
77b ねじ孔
78 支軸
78a ねじ部
79 軸受
80 歯車
80a かさ歯車
81 ナット
82 歯車
82a かさ歯車
83 嵌合孔
85 支柱
85a フランジ部
86 支軸パイプ固定孔
87 支柱固定孔
88 係止具
89 駆動軸
90 駆動軸
91 パイプ
91a フランジ部
92 駆動軸パイプ
92a フランジ部
92b ねじ孔
93 駆動軸パイプ
93a フランジ部
93b ねじ孔
94 軸受
95 軸受
96 歯車
97 歯車
98 ジョイント
99 口筐体
99a 開口
99b 駆動軸孔部
99c ドレン孔部
150 クランク
151 スイング用モータ
152 ギヤ
153 パイプ(溶融はんだの排斥体)
154 パイプ固定孔
155 駆動軸
156 ねじ
158 クランクアーム
159 ピン
161 スイングノズル体
162 噴流孔

Claims (3)

  1. 溶融はんだを収容するはんだ槽の前記溶融はんだと接する槽壁を貫通して前記はんだ槽の溶融はんだ液面上へ連通するパイプを設け、前記はんだ槽の前記槽壁側に設けた回転駆動手段により回転駆動される回転軸を前記パイプ中に通して設け、前記パイプを被うキャップ状の中空軸を前記回転軸の前記溶融はんだ液面上の先端に前記パイプに被せて同軸状に設けると共に前記溶融はんだ中に位置する前記中空軸の周囲に同軸状の羽根車から成るポンプを設け、
    他方で、前記ポンプから送出される溶融はんだにより噴流波を形成する吹き口体と前記羽根車を収容するポンプケーシングとを一体に備えるチャンバ体であって、前記ポンプケーシングの下方位置に前記羽根車が挿入される孔となる前記ポンプの吸い込み口を設けると共に前記吸い込み口と同軸位置となる前記ポンプケーシングの上方位置に前記中空軸の挿通孔を設けたチャンバ体を、前記同軸状に構成された前記中空軸と前記羽根車とにはんだ槽の液面側から挿抜自在に嵌め合わせてはんだ槽の上端縁で着脱自在に固定して成ること、
    を特徴とするはんだ付け装置。
  2. 請求項1記載のはんだ付け装置において、溶融はんだ液面上に現れるキャップ状の中空軸の外側に、キャップ状の封止キャップをその開放端が前記溶融はんだ中に侵漬するように被せて設けると共に、前記封止キャップ内へ溶融はんだを送出する手段を備えて成ること、
    を特徴とするはんだ付け装置。
  3. 請求項1記載のはんだ付け装置において、溶融はんだ液面上に現れるキャップ状の中空軸の外側に、キャップ状の封止キャップをその端部が前記溶融はんだ中に侵漬するように被せて設けると共に、前記封止キャップに前記封止キャップ内へ不活性ガスを供給するガス供給口を設けたこと、
    を特徴とするはんだ付け装置。
JP12088199A 1999-01-18 1999-04-28 はんだ付け装置 Expired - Fee Related JP3874567B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12088199A JP3874567B2 (ja) 1999-01-18 1999-04-28 はんだ付け装置
MYPI20000050 MY133460A (en) 1999-01-18 2000-01-06 Soldering apparatus
CNB001005014A CN1192844C (zh) 1999-01-18 2000-01-18 焊接装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-9815 1999-01-18
JP981599 1999-01-18
JP12088199A JP3874567B2 (ja) 1999-01-18 1999-04-28 はんだ付け装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000277903A JP2000277903A (ja) 2000-10-06
JP3874567B2 true JP3874567B2 (ja) 2007-01-31

Family

ID=26344618

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12088199A Expired - Fee Related JP3874567B2 (ja) 1999-01-18 1999-04-28 はんだ付け装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3874567B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5332654B2 (ja) * 2009-01-27 2013-11-06 千住金属工業株式会社 噴流はんだ槽
CN109202203A (zh) * 2017-07-04 2019-01-15 深圳普洲自动化设备有限公司 一种角度齿轮高温锡合金液体炉
CN115415630B (zh) * 2022-08-30 2024-05-14 西安空间无线电技术研究所 一种用于自动搪锡设备的锡锅结构

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000277903A (ja) 2000-10-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101317864B1 (ko) 평면 형상의 작업편을 납땜 부착하기 위한 장치 및 방법
EP0500135A2 (en) Wave soldering in a protective atmosphere enclosure over a solder pot
WO2008154117A1 (en) Method and apparatus for wave soldering an electronic substrate
WO2011071041A1 (ja) リフロー炉
JP3874567B2 (ja) はんだ付け装置
CN108971814B (zh) 一种空调压缩机上壳体排气管自动焊接设备
CN106334852A (zh) 一种在线式选择性波峰焊接机
JPH0744924U (ja) はんだづけ装置
JP5434763B2 (ja) 噴流はんだ付け装置
JP3867511B2 (ja) 部分半田付け装置
JP3939109B2 (ja) はんだ付け装置
JP2000208930A (ja) はんだ付け装置
JP2001234258A (ja) ドロスから酸化物を分離する方法、ドロスから酸化物を分離する装置および噴流はんだ槽
JP2008213033A (ja) はんだ付け装置
CN217799476U (zh) 一种可精确定位的激光焊锡装置
JP2000208927A (ja) はんだ付け装置
JP2003205363A (ja) 誘導型電磁ポンプ式はんだ付け噴流波形成装置
JP2000208926A (ja) はんだ付け装置
CN206241414U (zh) 一种在线式选择性波峰焊接机
CN215356599U (zh) 一种显示屏焊锡波峰焊机
CN218891313U (zh) 一种点焊机用焊渣清理设备
CN215145457U (zh) 一种共轨双速波峰焊传送装置
CN221017019U (zh) 一种电子滤波器点胶装置
CN220480500U (zh) 一种具有焊枪清洁机构的自动焊锡机
JP3362351B2 (ja) プリント基板の自動はんだ付方法及びその自動はんだ付装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060628

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060711

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060907

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061024

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061024

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees