JP3874526B2 - アルカリ可溶な硬化性樹脂、その製造方法、硬化性樹脂組成物及びそのフィルム成形物 - Google Patents

アルカリ可溶な硬化性樹脂、その製造方法、硬化性樹脂組成物及びそのフィルム成形物 Download PDF

Info

Publication number
JP3874526B2
JP3874526B2 JP02853098A JP2853098A JP3874526B2 JP 3874526 B2 JP3874526 B2 JP 3874526B2 JP 02853098 A JP02853098 A JP 02853098A JP 2853098 A JP2853098 A JP 2853098A JP 3874526 B2 JP3874526 B2 JP 3874526B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkali
curable resin
resin
soluble
phenoxy resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP02853098A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11228689A (ja
Inventor
為衆 張
▲樹▼ 郭
晴雄 吉田
利明 羽入田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Highpolymer Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Highpolymer Co Ltd filed Critical Showa Highpolymer Co Ltd
Priority to JP02853098A priority Critical patent/JP3874526B2/ja
Publication of JPH11228689A publication Critical patent/JPH11228689A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3874526B2 publication Critical patent/JP3874526B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polyethers (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性アルカリ可溶な硬化性樹脂、とりわけ機械的強靱性、耐熱性、金属との密着性等に優れる感光性樹脂に関する。
具体的には、プリント配線板製造、金属精密加工、ガラスや石の蝕刻、プラスチックレリーフ材料、印刷刷板用材料として有用であり、特にネガフィルムを通し選択的に活性光線により露光し、未露光部分を現像することによるソルダーレジストパターンの形成において露光部の感光性に優れると共に未露光部の水性アルカリ現像が可能で、且つ露光部の機械的強靱性、耐溶剤性、電気絶縁性、はんだ耐熱性等に優れたレジスト形成能を有する硬化性樹脂、製造方法、硬化性樹脂組成物及びそのフィルム成形物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、マルチメデイアの急激な発展に伴い、機器搭載部品の軽薄短小化は益々その度合いを強めている。特に、集積回路部品の分野では、素子の高集積化と高機能化が進むにつれて、搭載するチップは大型化し多ピン化する一方、パッケージは実装密度を高めるために小型化し、薄型化してきている。このため封止樹脂層の著しい薄肉化が行われ、また実装方式は従来のピン挿入型から、プリント基板の両面に実装することができる表面実装型へと移行すると共に、はんだリフローによる一括接合方式となり、強烈な熱衝撃を受けやすい。実装方式として、COB、MCM、ビルドアップ、スタックビア、薄膜デバイス内蔵プリント回路板、層間埋め込み実装回路板等が次々に開発されている現状である。
このような産業分野において、硬化可能な、特にラジカル重合反応によって硬化する樹脂として不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、各種オリゴマーアクリレート、ジアリルフタレート、プレポリマー等が知られ、使用されている。例えば、特開平03−3297号公報、同06−90087号公報、同06−224529号公報、同07−170070号公報等が挙げられるが、いずれもエポキシアクリレートとして、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等の比較的分子量の低い多価エポキシ樹脂を原料とし、これにアクリル酸のごときα,β−不飽和カルボン酸を反応させたものを使用した時、印刷時のにじみ、ブリード、ダレと言った欠点が存在することを否めず、またその硬化物も靱性に乏しく、多層化を行う場合の耐熱衝撃性に劣る。このような新規用途の多様化、高機能化に伴って既存の樹脂で十分対処できない現状が一面にある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このため、樹脂成分の高分子量化による従来の欠点を克服しようとする試みがなされており、例えば、フェノキシ樹脂中の水酸基へのグリシジルメタクリレートの付加反応物(田中、電子材料、1983年10月号61頁;田中ら、日本化学会第47回春季年会講演予稿集I、3T、46頁、1983)、カルボキシル基含有メタクリル系共重合体とグリシジルメタクリレートとの反応物と架橋性モノマーとからなる組成物(特開平06−26070号公報)、フェノキシ樹脂中の水酸基とイソシアネートエチルメタクリレートとの付加反応生成物(特開昭61−296353号公報、同63−75023号公報、同63−81422号公報、特公平05−69125号公報等)が挙げられる。しかしながら、これらの先行技術はいずれも溶剤現像型である。
更に、樹脂積層方法においても溶剤を含む液状樹脂からの溶剤揮散による成膜化のほかに、予めドライフィルム化されたものも求められ、検討されているが、例えば、特開昭57−55914号公報にウレタンジ(メタ)アクリレートと、特定のガラス転移温度を有する線状ポリマーとを含有してなる樹脂組成物の開示があるが、ドライフィルムとしての強靱性やはんだ耐熱性、密着性等が十分でない。
このように、現状においては未露光部の水性アルカリによる現像が可能で、かつ露光部がレジスト適性に優れ、種々の回路形成方式に対応できる、特にドライフィルムとしても使用できる材料は未だ見い出されていない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる状況を鑑み、新規用途に適す樹脂について鋭意検討した結果、フェノキシ樹脂中の水酸基に特定割合のα,β−不飽和モノイソシアネート及び多価カルボン酸無水物を反応させて得られる樹脂が優れた感光性と水性アルカリ現像性とを両立でき、更に硬化物の機械的強靱性、金属との密着性、耐熱性、耐溶剤性及び電気絶縁性に優れ、本目的に合致する樹脂を見出して、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち本発明は、下記一般式(I)
【0006】
【化2】
Figure 0003874526
【0007】
(式中、Ar1、Ar2、Ar3は水素原子、ハロゲン原子またはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜12の炭化水素基から選ばれる置換基を有する2価芳香族フェノール残基を示し、相互に同じでも異なっていてもよく、Ar4はAr1、Ar2またはAr3である。Rは水素原子またはメチル基を示し、xは0または1であり、R'は置換または無置換芳香族の多価カルボン酸残基か、あるいは炭素数2〜20の脂肪族及び置換または無置換芳香族が併存している多価カルボン酸残基を示し、yは1または2で、zは0または1である。p、q、r、sは各々構造単位のモル分率を示し、0≦p≦0.3、0.2≦q≦0.6、0.1≦r≦0.8、0≦s≦0.3、かつp+q+r+s=1である。)
で示される、フェノキシ樹脂の側鎖水酸基に不飽和2重結合とアルカリ可溶性カルボキシル基をペンダントさせたアルカリ可溶な硬化性樹脂を提供するものである。
また本発明は、前記のフェノキシ樹脂中の側鎖水酸基に、所定量の一部のα,β−不飽和モノイソシアネート、次いで所定量の多価カルボン酸無水物、そして残りのα,β−不飽和モノイソシアネートの順で反応させ、ペンダントさせることを特徴とするアルカリ可溶な硬化性樹脂の製造方法を提供するものである。
さらに本発明は、フェノキシ樹脂中の側鎖水酸基に、所定量の多価カルボン酸無水物、次いでα,β−不飽和モノイソシアネートの順で反応させ、ペンダントさせることを特徴とする前記のアルカリ可溶な硬化性樹脂の製造方法を提供するものである。
さらにまた本発明は、α,β−不飽和モノイソシアネートとして、イソシアネートエチルメタクリレートを用いる前記のアルカリ可溶な硬化性樹脂の製造方法を提供するものである。
また本発明は、多価カルボン酸無水物が、トリメリット酸無水物を含有する無水多塩基酸からなる群から選ばれる前記のアルカリ可溶な硬化性樹脂の製造方法を提供するものである。
さらに本発明は、反応を、非プロトン性有機溶剤中で行う前記のアルカリ可溶な硬化性樹脂の製造方法を提供するものである。
さらにまた本発明は、前記のアルカリ可溶な硬化性樹脂と、ラジカル開始剤、架橋性モノマー及び/または硬化剤とを配合してなるアルカリ可溶な硬化性樹脂組成物を提供するものである。
また本発明は、有機或いは無機フィラー、着色剤及び有機溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を配合してなる前記のアルカリ可溶な硬化性樹脂組成物を提供するものである。
さらに本発明は、アルカリ可溶な硬化性樹脂は、数平均分子量(Mn)が2000以上で、かつ次式で表される分子量分布との相関係数εが2000〜20000であるフェノキシ樹脂を用いることを特徴とする前記のアルカリ可溶な硬化性樹脂組成物を提供するものである。
Mn=ε(Mw/Mn)
ここで、Mnはフェノキシ樹脂の数平均分子量であり、Mwはフェノキシ樹脂の重量平均分子量である。
さらにまた本発明は、アルカリ可溶な硬化性樹脂の酸価が100〜200(mgKOH/g固形分)であることを特徴とする前記のアルカリ可溶な硬化性樹脂組成物を提供するものである。
また本発明は、架橋性モノマーとして多官能基ビニル重合性モノマーを、硬化剤として多価エポキシ化合物を配合してなる前記のアルカリ可溶な硬化性樹脂組成物を提供するものである。
さらに本発明は、前記の硬化性樹脂、あるいは前記の組成物から溶剤を除去して得られるフィルム成形物を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフェノキシ樹脂とは、公知のように(例えば、岩倉ら訳「新しい耐熱性高分子」、化学同人刊、17頁、1971)、ビスフェノール化合物とビスエポキシ化合物と重付加反応によって得られるポリヒドロキシポリエーテル樹脂である。市販されているものとしては、例えば、エポトートYP−50、YP−50S(東都化成製)、UCAR、PKHC、PKHH(ユニオンカーバイド製)等が挙げられる。
本発明に使用されるフェノキシ樹脂は、市販品のみならず前記の各種ビスフェノール化合物とビスエポキシ化合物との重付加反応により、所望する構造のフェノキシ樹脂が得られる。
フェノキシ樹脂の原料となるビスフェノール化合物とビスエポキシ化合物もそれ自体公知であって、市販品として入手することができる。例えば、ビスフェノール化合物としてはビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールSH、ビスフェノールF、ビスフェノールZ(三菱化学製)、ハイドロキノン、レゾルシン、ビフェノール、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノール、ジヒドロキシナフタレン、テトラメチルビフェノール、ジシクロペンタジエン変性ビスフェノール等がある。また、ビスエポキシ化合物としては前記ビスフェノール化合物とエピクロルヒドリンとから誘導されるジグリシジルエーテル化合物であり、例えば、ビスフェノールAを原料としたものとしては商品名エピコート828、エピコート1001、エピコート1004(いずれも油化シェルエポキシ製)やエポミックR−140P、エポミックR−301(三井石油化学製)等がある。
例えば、ビスフェノール化合物がビスフェノールA、ビスエポキシ化合物がビスフェノールAジグリシジルエーテルである場合の重付加反応物が次式(II)で表され、本発明樹脂の中間体として有用である。
【0009】
【化3】
Figure 0003874526
【0010】
フェノキシ樹脂の製造条件等は公知公用の方法に従って選定される。例えば、触媒として種々のアルカリ類の公知触媒が可能であるが、特に合成に使用する溶剤としては、後述の付加反応条件を考慮すれば、次のものが好ましく用いられる。下記これらの溶剤は単独でも併用してもよい。具体的には、エチルメチルケトン、MIBK、メシチルオキサイド、シクロヘキサノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、メチルカルピトールアセテート、エチルカルピトールアセテート、ブチルカルピトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン及び上記グリコールエーテル類の酢酸エステル化物等のエステル類、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジオキサン、ジブチルエーテル等のエーテル類等、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、ジメチルスルフォキシド、ピリジン等が挙げられ、樹脂との相溶性が良く、且つ沸点が100〜260℃の範囲内にあるものが好ましい。沸点100℃未満では、高分子量ポリマーを得るのに長時間を有し、工業的に不利である。又、得られるアルカリ可溶な硬化性樹脂の溶液から脱溶剤し、フィルム化した場合においてはしばしば均一な膜厚のものが得られ難い。一方、沸点260℃以上の溶剤を使用した場合、温度制御が難しい上、高温反応が激しく、ゲル化し易いのと、特に高分子量化の際して分岐が起こり易く、分子量分布が広がる欠点がある。
【0011】
後述する本発明樹脂のフィルム成形物及びその硬化物の性能を勘案した場合、フェノキシ樹脂としては数平均分子量がMn=2000以上、好ましくはMn=5000〜20000のもので、且つ次式で表される分子量分布係数εが2000〜20000のものが望まれる。
Mn=ε(Mw/Mn)
ここで、Mnはフェノキシ樹脂の数平均分子量であり、Mwはフェノキシ樹脂の重量平均分子量である。
このようなフェノキシ樹脂を用いることにより、フィルム或いはシートの成形性が良く、得られるフィルムやシートも容易に破れることなく、取り扱いの優れる強靱性を有する。
分子量Mn2000以下では、フィルム成形性や樹脂硬化性、耐溶剤性、強靱性、はんだ耐熱性等、本目的に適す諸物性をバランスよく満たすことが出来ない。分子量が高ければ高い程、諸物性が向上する傾向を示すが、Mn20000以上のものは作製が難しく、反応時間がかかり過ぎる等の問題点がある。
【0012】
一方、本発明フェノキシ樹脂のもう一つ重要なポイントは分子量分布のことである。分子量分布に関しては一般的に分子量が高くなるにつれて分子量分布が広がる傾向がある。本発明のフェノキシ樹脂を合成する場合、数平均分子量Mnが8000までは低沸点の溶剤を選択し反応温度をできるだけ低くして、少々反応時間を長くかければ分子量分布の広がりを抑制することが可能である。しかしながら、より優れた物性を出すためには樹脂の分子量をできるだけ高くする必要があるが、数平均分子量Mnが8000以上、特に10000を超えると大概の場合は分子量分布が急速に大きな広がりを見せるので、それを抑制する工夫が必要である。
【0013】
本発明においてフェノキシ樹脂の性能と、分子量及びその分布との関係は上式で示す相関係数εによって説明することができる。平均分子量Mnが10000を超え、係数εが2000以下、つまり分子量分布が相当広がった場合、硬化した後のフェノキシ樹脂の高分子量化による効果が得られない。例えば、フィルムの強度と靱性とはアンバランスになったり、硬化性やアルカリ現像性は不十分であったりすることがある。
分子量分布を狭くする工夫としては、1)前述の溶剤選択がある。即ち、出来るだけ設計分子量に見合った低沸点の溶剤を使用し、溶剤の沸点にて還流して反応を行うことである。より好ましくは、2)ビスエポキシ化合物を数段階に分けて反応させる方法である。具体的には、まず1段目でビスエポキシ化合物の一部を全量のビスフェノール化合物と反応させ、反応がかなり進んだ後に残りのビスエポキシ化合物を段階的に後添し、反応を完結させるが、更に適時に溶剤希釈も合わせると一層の効果を得られる。
逆に、1段目で全量のビスエポキシ化合物をビスフェノール化合物の一部と反応させ、後に残りのビスフェノール化合物を後添した場合、かえって分子量分布が広くなり、不適合である。
【0014】
本発明において硬化性付与のために使用されるα,β−不飽和モノイソシアネートとしては、メタクリロイルイソシアネート(日本ペイント製)、イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製)が好ましく使用される。α,β−不飽和モノイソシアネート片末端にあるイソシアネート基を、下記のフェノキシ樹脂の水酸基(III)と、或いは後述する先に付加された多価カルボン酸無水物(IV)と付加反応し、硬化用不飽和基としてメタクリロイル基をフェノキシ樹脂のペンダントに導入される。
下記にその構造式を示す。
【0015】
【化4】
Figure 0003874526
【0016】
(式中、Ar1、Ar4は水素原子、ハロゲン原子またはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜12の炭化水素基から選ばれる置換基を有する2価芳香族フェノール残基を示し、相互に同じでも異なっていてもよい。Rは水素原子またはメチル基を示し、xは0または1である。p、sは各々構造単位のモル分率を示す。)
或いは
【0017】
【化5】
Figure 0003874526
【0018】
(式中、Ar2、Ar3は水素原子、ハロゲン原子またはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜12の炭化水素基から選ばれる置換基を有する2価芳香族フェノール残基を示し、相互に同じでも異なっていてもよい。Rは水素原子またはメチル基を示し、R' は炭素数2〜20の脂肪族、脂環族、置換または無置換芳香族の多価カルボン酸残基を示し、yは1または2であり、zは0または1であり、xは0または1である。q、rは各々構造単位のモル分率を示す。)
【0019】
本発明の樹脂を得る製造方法としては、1)前述フェノキシ樹脂中の側鎖水酸基に、所定量の一部のα,β−不飽和モノイソシアネート、次いで所定量の多価カルボン酸無水物、そして残りのα,β−不飽和モノイソシアネートの順で反応し、ペンダントさせるか、または2)フェノキシ樹脂中の水酸基に、所定量の多価カルボン酸無水物、次いでα,β−不飽和モノイソシアネートの順で反応し、ペンダントさせることができる。
【0020】
α,β−不飽和モノイソシアネートの使用量は製造方法によって一概に規定することは難しいが、両製造方法を総合的に判断して、好ましくはモル分率として0.4≦(p+r)≦0.8の範囲である。以下、製造方法別に詳細に説明する。
製造方法1)の場合、α,β−不飽和モノイソシアネートは所定量に対して多価カルボン酸無水物の付加反応を挟んで前後に分けて使用する。多価カルボン酸無水物付加前のα,β−不飽和モノイソシアネート前段使用量は、フェノキシ樹脂中の水酸基当たりモル分率(p)の範囲が0.1〜0.3が好ましい。α,β−不飽和モノイソシアネート付加モル分率が0.1より少ないと最終的に得られる樹脂の光感度が鈍く、且つ硬化物の耐溶剤性が十分でない。樹脂の光感度や硬化物の耐溶剤性は前段のα,β−不飽和モノイソシアネート付加量によってかなり左右されることがある。一方、0.3を超える量の場合は、水性アルカリでの現像化に必要な次工程の酸ペンダント化に必要な水酸基が減るため、水性アルカリ現像性が低下し、望ましくない。そして多価カルボン酸無水物を付加した後に、更に残りのα,β−不飽和モノイソシアネートを補足する手順を取るので、後述する製造方法2)と合わせて最終的にα,β−不飽和モノイソシアネートトータル使用量のモル分率(p+r)として0.4〜0.8が望まれる。
また、フェノキシ樹脂の分子量によって若干その前後の比率を調整する必要がある。樹脂の分子量が高ければ、できるだけ酸無水物の付加を多くし、アルカリ可溶性を確保する意味で前段のα,β−不飽和モノイソシアネート使用量は少なくて済むが、樹脂の分子量が低い場合は、イソシアネートエチルメタクリレートを可能な限り先に優先的に付加する設計が必要となる。
【0021】
一方、製造方法2)の場合α,β−不飽和モノイソシアネートのペンダントは多価カルボン酸無水物付加反応の後になる工程を取るので、直接フェノキシ樹脂の水酸基へペンダントしないこともあるため、モル分率pの下限は0である。これを製造方法1)の結果と付き合わせると直接フェノキシ樹脂水酸基へのペンダントモル分率は0≦p≦0.3が好ましい。
α,β−不飽和モノイソシアネート付加は樹脂へ硬化性、耐溶剤性を付与するためである。本発明の結果として、光硬化性に対するα,β−不飽和モノイソシアネートの寄与は直接フェノキシ樹脂の水酸基にペンダントされた場合と比べ若干小さいが、α,β−不飽和モノイソシアネートの付加可能な範囲が幅広い。そのため、十分にその寄与を果たすためには可能な限りの上限を設定するのが望ましい。そこで、α,β−不飽和モノイソシアネートの使用量としてフェノキシ樹脂の水酸基及び酸無水物の酸基に付加する、トータルのモル分率(p+r)が0.4〜0.8の範囲が好ましい。
いずれの場合でも、上述したように使用されるフェノキシ樹脂の分子量及び分子量分布、多価カルボン酸無水物の種類及びその使用量、水性アルカリでの現像性、硬化物の機械的強靱性等の必要とされる条件から総合的に判断し、α,β−不飽和モノイソシアネートの使用量を決める必要がある。
製造方法の本質から、製造方法1)は特に樹脂の光感度や硬化性を向上する効果が優れるのに対して、製造方法2)は多価カルボン酸無水物の高モル分率付加反応が可能であることからアルカリ可溶性に有利であることを活用し、望ましい樹脂を巧みに設計することができる。
【0022】
フェノキシ樹脂中の水酸基とα,β−不飽和モノイソシアネートとを均一条件で反応させるには、溶剤の存在下で行うことが好ましい。この場合、使用する溶剤としては非プロトン性有機溶剤であれば使用が可能であるが、前述フェノキシ樹脂合成時に使用される溶剤を用いた方が好ましい。又、反応の内容を鑑みて、使用する溶剤は事前に十分に脱水しておくことが望ましい。
フェノキシ樹脂中の水酸基と、及び/または先に付加された多価カルボン酸無水物とのα,β−不飽和モノイソシアネート付加反応では、触媒はあってもなくても構わない。メタクリロイルイソシアネートのような高い反応性を有するため、水酸基及び/または酸無水物とは常温無触媒でも容易に付加反応が起こるが、時間の短縮や効率よく反応させるため触媒を使用する場合は、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ー2ーエチルヘキソエート、DABCO等通常のウレタン化触媒が好ましく使われ、その使用量、反応温度も公知の範囲で可能である。
更に、好ましくない重合副反応を抑えるために重合禁止剤、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、フェノチアジン、レゾルシン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、t−ブチルカテコール、ピロガロール、Cu粉末等の存在下で反応を行うのが好都合である。
【0023】
本発明において水性アルカリでの現像性を付与するため、フェノキシ樹脂の水酸基に多価カルボン酸無水物をペンダントさせる。酸ペンダント反応の原料として使用される多価カルボン酸無水物としては、炭素数2〜20の脂肪族、脂環族、置換または無置換芳香族の多価カルボン酸無水物であり、具体的には無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ナジン酸無水物、メチルナジン酸無水物、3−又は4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、クロルエンド酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物等が挙げられる。特に、十分な水性アルカリ現像性を付与するには付加反応物のペンダントに2個カルボキシル基の同時付与が可能であるトリメリット酸無水物のようなカルボキシル基含有多塩基酸無水物を含有することが好ましい。これらカルボキシル基含有多塩基酸無水物は単独でも或いは上記他の多価カルボン酸無水物と2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
同様に多価カルボン酸無水物の付加方法としては、1)フェノキシ樹脂の水酸基に所定量の一部のα,β−不飽和モノイソシアネートを付加した後に酸無水物を反応させる、及び2)フェノキシ樹脂の水酸基に先に多価カルボン酸無水物を付加させる、とがある。いずれの場合でも後で付加されるα,β−不飽和モノイソシアネートによって一部の酸基が封鎖されるので、水性アルカリ可溶性を付与するため、必要以上に多価カルボン酸無水物の使用量を定めなければならない。製造方法違いによって若干の差を生じ、一概に規定することは難しいが、両製造方法を総合的に判断して、最終的に封鎖されない酸基をもつ構造単位のモル分率として、好ましくは0.2≦q≦0.6の範囲である。
モル分率qが0.2未満では、十分な水性アルカリ現像性が得られないのは両製造方法によっても違わない。使用量の上限は感光性付与との兼ね合いから製造方法1)と2)では若干異なる。製造方法1)の場合、感光性付与のため先に行われたα,β−不飽和モノイソシアネートの付加分を差し引いて上限のモル分率qが0.6である。一方、製造方法2)では多価カルボン酸無水物の付加は(q+r)≦1で上限なく、フェノキシ樹脂中の水酸基をすべて多価カルボン酸無水物で付加してもよいが、一旦フェノキシ樹脂の水酸基に付加した酸無水物の酸基の多くは、後ほど付加される所定量のα,β−不飽和モノイソシアネートによって封鎖されるので、上述封鎖の役割をするα,β−不飽和モノイソシアネートの付加量を考えれば、モル分率0.6までの範囲となる。
また、多価カルボン酸無水物の酸基へのα,β−不飽和モノイソシアネート付加量は、製造方法に基づくトータルの付加量とアルカリ可溶に必要で、α,β−不飽和モノイソシアネートに封鎖されない酸基の量との兼ね合いで、モル分率として0.1≦r≦0.8が好ましい。
フェノキシ樹脂に同レベルのアルカリ可溶性及び光硬化性付与を両立するには、製造方法1)の方が製造方法2)より原料使用量は少なくて済む点において有利である。一方、製造方法2)は官能基増加が可能であり、又反応工程数が少ないメリットを有するので、用途等に応じて使い分けられる。
【0025】
酸無水物の種類や組み合わせによって、最終的に得られた反応物は酸価で判断する必要がある。酸価としては100(mgKOH/g固形分)以上が必要で、好ましくは100〜200(mgKOH/g固形分)である。酸価が100(mgKOH/g固形分)未満では、水性アルカリ現像性が乏しいが、前述したように感光硬化性を確保する前提では、酸価200(mgKOH/g固形分)が上限となる。酸無水物と水酸基との反応を円滑に進めるために、3級アミンやイミダゾール類、第4級アンモニウム、リチウム、クロム、マンガン等の金属化合物等公知触媒を必要量併用することは有用であり、種類及びその使用量は適宜選定される。
【0026】
同様に反応を均一に行うために溶剤の使用が好ましい。使用する溶剤として、前記フェノキシ樹脂の合成及び/またはα,β−不飽和モノイソシアネートとフェノキシ樹脂との反応で用いられた溶剤と異なっていてもよいが、一連の反応に共通して使用し得る溶剤を選定することが経済的である。
【0027】
フェノキシ樹脂とα,β−不飽和モノイソシアネート及び/または多価カルボン酸無水物との付加反応において樹脂濃度が10〜70重量%、好ましくは20〜50重量%である。樹脂濃度が10重量%未満では、溶剤量が過多のため溶剤除去に多大なエネルギーを必要とし、好ましくない。一方、70重量%を超えた場合樹脂溶液粘度が極端に高いため、局部的な発熱等の好ましくない反応が起こり易くなる。必要に応じて、反応の過程で溶剤希釈による粘度低減が有用な方法として用いることが出来る。
【0028】
上記一般式(I)の構造を有する本発明の水性アルカリ可溶な硬化性樹脂を製造するには、フェノキシ樹脂との反応は前述した製造方法1)及びまたは製造方法2)に従って行うことが大事である。反応順序が正逆によって得られる構造が異なり、前述した製造条件等も当てはまらなくなる可能性がある。
【0029】
本発明によって得られるアルカリ可溶な硬化性樹脂をベースに、ラジカル開始剤、架橋性モノマー及び/または硬化剤とを配合し、更に必要に応じて有機或いは無機フィラー、着色剤及び有機溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を配合してなるアルカリ可溶な硬化性樹脂組成物が使用できる。
【0030】
本発明の樹脂は側鎖に不飽和基を有するため、それ自身で熱硬化性、放射線硬化性を有するが、光開始剤を添加することにより紫外線、可視光線、赤外線への光感応性を付与することができる。
活性エネルギー線硬化、例えば、紫外線、可視光、赤外線、レーザー光等による光硬化においては波長に見合う光開始剤が多く上市され、適宜選定される。それらを列挙すれば、例えば、ベンゾイン、フロイン、ベンゾインメチルエ−テル、ベンゾインイソプロエ−テル等のベンゾイン類及び、ベンゾインアルキルエ−テル類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モンフォリノ−プロパン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、N,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミノアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、ベンジル、ベンジルジメチルケタ−ル等のベンジル類、ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーズケトン等のベンゾフェノン類及びキサントン類等が挙げられる。
これらの光開始剤は2種又は3種以上の混合物でも使用することができる。光開始剤の使用量は、前記樹脂に対して0.1重量%以上、好ましくは1重量%〜10重量%の範囲である。光開始剤の配合量は0.1重量%以下では硬化時に硬化性が不十分であり、一方、その配合量が10重量%を越えると、増量による効果が認められないばかりでなく、樹脂硬化物の物性低下を招くのみならず経済的でない。
また、活性エネルギー光線を発光する光源としては、低圧、中圧、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ等の公知公用のランプが使用される。
【0031】
硬化物の性能改善を含め、用途に応じて各種公知の単官能或いは多官能(メタ)アクリレート化合物等を架橋性モノマーとして添加して用いることが出来る。代表的なものとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート類、エチレングリコール、ヘキサンジオール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコールのモノ又はジアクリレート類、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のアクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート類、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール、ジペンタエリストール、トリスーヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコール又は、これ等のエチレンオキサイド或いは、プロプレンオキサイドの付加物の多価アクリレート類、フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート及び、これ等のフェノール類のエチレンオキサイド或いはプロピレンオキサイド付加物等のアクリレート類、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルのアクリレート類、及びメラミンアクリレート及び/又は、上記アクリレート類に対するメタクリレート類等がある。また、オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、酸ペンダントエポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、酸ペンダントウレタンアクリレート等光硬化性樹脂組成物に汎用の各種モノマーが挙げられる。
これら架橋性モノマーの使用量は、用途、使用方法、架橋モノマーの種類、本発明樹脂との相溶性によっても異なるため、一概に規定できないが、樹脂100重量部に対して0〜300重量部、好ましくは0〜200重量部である。添加量が300重量部を超えるとドライフィルムとして利用する場合にはしばしば添加した架橋モノマーの樹脂からの滲出しが起こり易く、表面のべたつき等が発生し、好ましくない。
【0032】
その他架橋性モノマーとしては、例えば、樹脂硬化物中の残存カルボキシル基が使用目的によって不要となる場合、例えばソルダーレジストインキ膜、ビルドアップ積層膜へ使用する場合にはソルダーレジストの手法において採用される如く、多価エポキシ化合物や多価オキサゾリン、アミノ樹脂等を併用し封止することができるし、アルカリ可溶性の改質が必要である場合には、スチレンマレイン酸樹脂等の併用、又モノマーとしてヒドロキシアルキル(メタ)クリレートと酸無水物とのハーフエステル等と併用することも用途に応じて適用できる。これらの使用量は樹脂の酸価から規定できる。
【0033】
また、本発明のアルカリ可溶な硬化性樹脂及び/またはその組成物に、必要に応じて体質顔料、染料を配合して塗料化することが出来る。
【0034】
本発明のアルカリ可溶な硬化性樹脂及び/またはその組成物は、前述各種用途おいて溶液のまま液状レジスト材として使用に供し得るばかりでなく、溶剤を除去してドライフィルムとしても使用することが出来る。フィルム化は、離型可能な平滑な面の上に塗布し、出来るだけ遮光された環境で低温にて通常のキャスト法によって溶剤を揮発し、所望の膜厚のフィルムを得ることができる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
フェノキシ樹脂の合成例を下記に示す。
【0036】
合成例1
攪拌機、還流コンデンサー、温度計、滴下ロートを付けた500ミリリットルの四ツ口セパラブルフラスコを用い、溶剤として201gのメシチルオキサイド(和光純薬製)に、114gのビスフェノールA(三菱化学製、分子量=228.3)と188gのエポミックR−140P(三井石油化学製、エポキシ当量=188)、及び0.56gの固形KOHを仕込んだ後、徐々に50℃位まで攪拌しながら昇温し、外観上透明になるまで溶解させる。その後、メシチルオキサイドの沸点126℃にまで加熱し、約2時間保持し、反応させた。
その後、一旦加熱を停止し、110℃にまで冷却した後、メシチルオキサイドを更に168g添加希釈し、再びメシチルオキサイドの沸点126℃にまで昇温し、約2時間還流させた。
得られた樹脂液を冷水中に激しく攪拌しながら入れ、後に静置により沈殿物を得た。同沈殿物を60℃以下10時間真空乾燥し、薄黄色の固形フェノキシ樹脂を作製した。
このようにして得られたフェノキシ樹脂を用いGPC測定(昭和電工製、Shodex GPC System−21、溶出液テトラヒドロフラン使用、溶出速度1ml/min、測定温度40℃、標準ポリスチレン換算)を行ったところ、分子量(Mn)は16000で、分布係数εは3478であった。
又、得られたフェノキシ樹脂についてDSC(RIGAKU製、DSC8230)或いはバイブロン(オリエンテック製、Rheovibron ModelDDV−25FP)の測定では、いずれも100℃近辺においてガラス転移温度が観測された。
更に、このフェノキシ樹脂の化学構造について13C−NMR測定(JEOL製、JNM−LA300)を行った結果、各々炭素の帰属が特定でき、式(II)で示される構造物であることが確認された(図1)。以下の合成例についてはすべて同様な確認を行っている。
【0037】
合成例2
攪拌機、還流コンデンサー、温度計、滴下ロートを付けた500ミリリットルの四ツ口セパラブルフラスコを用い、溶剤として75.5gのメチルエチルケトン(MEK)に114gのビスフェノールA(三菱化学製、分子量=228.3)と188gのエポミックR−140P(三井石油化学製、エポキシ当量=188)、及び0.56gの固形KOHを仕込んだ後、徐々に50℃位まで攪拌しながら昇温し、外観上透明になるまで溶解させる。そして、MEKの沸点80℃にまで加熱し、約8時間保持し、反応を完結させる。
得られた樹脂液を冷水中に激しく攪拌しながら入れ、後に静置により沈殿物を得た。同沈殿物を50℃以下6時間真空乾燥し、白色の固形フェノキシ樹脂を作製した。得られたフェノキシ樹脂の分子量(Mn)は5500で、分布係数εは2619であった。
【0038】
合成例3
攪拌機、還流コンデンサー、温度計、滴下ロートを付けた500ミリリットルの四ツ口セパラブルフラスコを用い、溶剤として104gのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(ECA/関東化学製)に、114gのビスフェノールA(三菱化学製、分子量=228.3)と476gのエポミックR−301(三井石油化学製、エポキシ当量=476)、及び2.62gのトリフェニルフォスフィンを仕込んだ後、徐々に50℃位まで攪拌しながら昇温し、外観上透明になるまで溶解させる。そして、ECAの沸点200℃にまで加熱し、約2時間保持し、反応させた。
その後、一旦加熱を停止し、180℃にまで冷却した後、ECAを290gを更に添加希釈し、攪拌しながら更に80℃以下冷却した。
得られた樹脂液を冷水中に激しく攪拌しながら入れ、後に静置により沈殿物を得た。同沈殿物を50℃以下6時間真空乾燥し、薄黄色の固形フェノキシ樹脂を作製した。得られたフェノキシ樹脂の分子量(Mn)は10000で、分布係数εは3030であった。
【0039】
合成例4
攪拌機、還流コンデンサー、温度計、滴下ロートを付けた500ミリリットルの四ツ口セパラブルフラスコを用い、溶剤として164gのメシチルオキサイド(和光純薬製)に、114gのビスフェノールA(三菱化学製、分子量=228.3)と131.6gのエポミックR−140P(三井石油化学製、エポキシ当量=188)、及び0.392gの固形KOHを仕込んだ後、徐々に50℃位まで攪拌しながら昇温し、外観上透明になるまで溶解させる。その後、メシチルオキサイドの沸点126℃にまで加熱し、約2時間保持し、反応させた。
その後、予め室温下で調合した56.4gのエポミックR−140P(三井石油化学製、エポキシ当量=188)、37.3gのメシチルオキサイド及び0.168gの固形KOHを追添し、2時間還流させた後、168gのメシチルオキサイドを後添し、更に2時間還流させた。
得られた樹脂液を冷水中に激しく攪拌しながら入れ、後に静置により沈殿物を得た。同沈殿物を60℃以下10時間真空乾燥し、薄黄色の固形フェノキシ樹脂を作製した。得られたフェノキシ樹脂の分子量(Mn)は15000で、分布係数εは4166であった。
【0040】
合成例5
攪拌機、還流コンデンサー、温度計、滴下ロートを付けた500ミリリットルの四ツ口セパラブルフラスコ用い、溶剤として453gのシクロヘキサノン(関東化学製)に、114gのビスフェノールA(三菱化学製、分子量=228.3)と188gのエポミックR−140P(三井石油化学製、エポキシ当量=188)、及び0.56gの固形KOHを仕込んだ後、徐々に60℃位まで攪拌しながら昇温し、外観上透明になるまで溶解させる。その後、シクロヘキサノンの沸点150〜155℃にまで加熱し、約1.5時間還流し、反応を完結させた。
得られた樹脂液を冷水中に激しく攪拌しながら入れ、後に静置により沈殿物を得た。同沈殿物を60℃以下12時間真空乾燥し、薄黄色の固形フェノキシ樹脂を作製した。得られたフェノキシ樹脂の分子量(Mn)は16000で、分布係数εは1882であった。
【0041】
実施例1
上記合成例1で合成されたフェノキシ樹脂を室温及び真空乾燥後、固形樹脂として56.8gを取り、85.2gのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(ECA/関東化学製)に溶解させ、更に0.05gハイドロキノンを添加し、70℃にて温度を保持しながら、予め9.3g(0.3モル分率/樹脂中−OH基)イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製、商品名カレンズMOI)と0.09gのジブチル錫ジラウレートを溶解させた溶液を仕込み、70℃にて90分間反応させ完結させた。
フェノキシ樹脂中の水酸基へのα,β−不飽和モノイソシアネート付加反応の完結は、FTIR測定(日立製作所製、260−10型IRスペクトロフォトメーター)によって−NCO基に起因する吸収ピーク(2250cm-1付近)の完全な消失により確認した(図2=MOI添加後、図3=MOI付加反応終了後)。
更に、この生成物に対して13C−NMR測定(同上)を行い、155.787ppm(No.1)付近に新たなピークの出現が観察されることから、フェノキシ樹脂中の水酸基へα,β−不飽和モノイソシアネート−NCO基の付加による−O−CO−NH−結合が生成していることが確認できた(図4)。以下、すべての実施例について同様な確認を行っている。
次いで、予め123gのECAに23.04g(0.6モル分率/樹脂中−OH基)の無水トリメリット酸(TMA、関東化学製)を溶解した溶液と、触媒としてトリエチルアミン(TEA)を0.5g追添し、95〜97℃にて温度を保持しながら、付加反応を完結させた。
フェノキシ樹脂の水酸基への多価カルボン酸無水物付加反応の確認は、FTIR測定(日立製作所製、260−10型IRスペクトロフォトメーター)によって酸無水基に起因する吸収ピーク(1780cm-1 付近)の減少を観察し、終点を決めている(図5=TMA添加後、図6=TMA付加反応終了後)。
この反応生成物に対してサンプリングし13C−NMR測定を行い、165.805ppm(No.2)付近に−O−CO−Ar−結合中のカルボニル基に帰属するピークが観察され、多価カルボン酸無水物が開環してフェノキシ樹脂の水酸基に付加されていることを裏付けられた(図4)。
最後に温度を70℃に落としてから保持し、更に前段と同量(TMA9.3g/HQ0.05g/DBTDL0.09g)のイソシアネートエチルメタクリレート(0.3モル分率/樹脂中−OH基)溶液を補足し、90分間反応させ完結させた。
イソシアネートエチルメタクリレート−NCO基に起因する吸収ピーク(2250cm-1付近)の確認は、前述同様にFTIR測定(日立製作所製、260−10型IRスペクトロフォトメーター)によって行い、完全な消失を終点とし、反応を終結させた(図2および3)。
この生成物に対して13C−NMR測定(同上)を行なった結果、166.389ppm(No.5)付近に更に新たなピークの出現が観察された。また、この付加反応が進むにつれて特にこのピークが増大することから、先に樹脂の水酸基へ付加した酸無水物の酸基に−NCO基の付加による−OCO−Ar−CO−NH−結合が生成されたものと推察され(図4)、前述帰属の解析結果と付き合わして式(I)で示される構造物と合致することが確認された(下記表1)。以下、すべての実施例について同様な確認を行っている。
このようにして得られた樹脂は前述の製造方法1)に従うもので、酸価を測定した結果116(mgKOH/g)であった。
更に、この樹脂溶液に樹脂固形分に対して光開始剤として2−ヒドロキシー2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバガイギー製、商品名ダロキュア1173)を2重量%添加し、本発明の光硬化用サンプルとした。
【0042】
【表1】
Figure 0003874526
【0043】
実施例2
合成例2で合成したフェノキシ樹脂を用い、合成例2樹脂/MOI/TMA/MOIの比率が1/0.4/0.5/0.2となる構成で実施例1と同じ方法にて反応を行った。生成物の酸価は107(mgKOH/g)であった。
【0044】
実施例3
合成例3で合成したフェノキシ樹脂を用い、合成例3樹脂/MOI/TMA/MOIの比率が1/0.3/0.6/0.3となる構成で実施例1と同じ方法にて反応を行った。生成物の酸価は116(mgKOH/g)であった。
【0045】
実施例4
合成例4で合成したフェノキシ樹脂を用い、合成例4樹脂/MOI/TMA/MOIの比率が1/0.3/0.6/0.3となる構成で実施例1と同じ方法にて反応を行った。生成物の酸価は116(mgKOH/g)であった。
【0046】
実施例5
無水トリメリット酸単独使用の代わりに、予め無水トリメリット酸(TMA、関東化学製)と無水コハク酸(SA、関東化学製)のモル比を8/2に調合した混合物を酸無水物として使用し、合成例1樹脂/MOI/TMA/MOIの比率が1/0.3/0.6/0.3となる構成で、実施例1と同じ方法にて反応を行った。生成物の酸価は104(mgKOH/g)であった。
【0047】
実施例6
上記合成例1で合成されたフェノキシ樹脂を室温及び真空乾燥後、固形樹脂として56.8gを取り、85.2gのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(ECA、関東化学製)に溶解させた後、予め138.3gのECAに30.72g(0.8モル分率/樹脂中−OH基)の無水トリメリット酸(TMA、関東化学製)を溶解した溶液と、触媒としてトリエチルアミン(TEA)を0.5g追添し、95〜97℃にて温度を保持しながら、付加反応を完結させた。フェノキシ樹脂の水酸基への多価カルボン酸無水物付加反応の確認は、実施例1と同じ方法で行い、終点を決めている。
次いで、0.1gハイドロキノンを添加し、70℃にて温度を保持しながら、予め18.6g(0.6モル分率/樹脂中−OH基)のイソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工製、商品名カレンズMOI)と0.186gのジブチル錫ジラウレートを溶解させた溶液を仕込み、70℃にて90分間反応させ完結させた。
フェノキシ樹脂中の水酸基或いは無水トリメリット酸の酸基へのイソシアネートエチルメタクリレート付加反応の確認は、実施例1と同じ方法でFTIRの特定ピーク消失を終点とし、反応を終結させている。
このようにして得られた生成物の構成としては、合成例1樹脂/TMA/MOIの比率が1/0.8/0.6で、実施例1と同じように13C−NMR測定による構造特定を行なった結果、式(I)で示される構造物と合致することを確認した。
この樹脂の酸価を測定した結果131(mgKOH/g)であった。
更に、この樹脂溶液に樹脂固形分に対して光開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(チバガイギー製、商品名ダロキュア1173)を2重量%添加し、本発明の光硬化用サンプルとした。
【0048】
実施例7
合成例2で合成したフェノキシ樹脂を用い、合成例2樹脂/TMA/MOIの比率が1/0.7/0.7となる構成で実施例6と同じ方法にて反応を行った。生成物の酸価は110(mgKOH/g)であった。
【0049】
実施例8
市販のフェノキシ樹脂としてエポトートYP−50S(東都化成製、Mn=15000、Mw/Mn=4.1)を用い、フェノキシ樹脂(YP−50S)/TMA/MOIの比率が1/0.8/0.6となる構成で実施例6と同じ方法にて反応を行った。生成物の酸価は131(mgKOH/g)であった。
【0050】
実施例9
実施例1で得た本発明の樹脂液に、更に架橋性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、大阪有機化学工業製)を、樹脂固形分に対して20重量%となるよう添加した。
【0051】
実施例10
実施例1で得た本発明の樹脂液に更に硬化剤としてエポミックR−140P(三井石油化学製、エポキシ当量=188)を、樹脂の酸価に対して0.5当量となるように添加した。
【0052】
比較例1
合成例5で合成したフェノキシ樹脂を乾燥し用い、合成例5樹脂/MOI/TMA/MOIの比率が1/0.3/0.6/0.3となる構成で実施例1と同じ方法にて反応を行った。生成物の酸価は116(mgKOH/g)であった。
【0053】
比較例2
無水トリメリット酸の代わりに無水コハク酸(SA、関東化学製)を使用し、合成例1樹脂/MOI/SA/MOIの比率が1/0.3/0.6/0.3となる構成で実施例1と同じ方法にて反応を行った。生成物の酸価は52(mgKOH/g)であった。
【0054】
比較例3
合成例1樹脂/MOI/TMA/MOIの比率が1/0.3/0.3/0.3となる構成で実施例1と同じ方法にて反応を行った。生成物の場合の酸価は74(mgKOH/g)であった。
【0055】
比較例4
合成例1樹脂/MOI/TMA/MOIの比率が1/0.2/0.6/0.1となる構成で、実施例1と同じ方法にて反応を行った。生成物の酸価は150(mgKOH/g)であった。
【0056】
比較例5
合成例1で合成したフェノキシ樹脂を用い、酸無水物付加反応後にイソシアネートエチルメタクリレートをペンダントさせる製造方法2)に従い、合成例1樹脂/TMA/MOIの比率が1/0.8/0.3となる構成で実施例6と同じ条件にて反応を行った。生成物の酸価は160(mgKOH/g)であった。
【0057】
比較例6
フェノキシ樹脂の代わりにエポキシアクリレートであるリポキシSPB−37−5X(昭和高分子製、Mn=1300、Mw/Mn=1.9)を比較として用い、この場合の酸価は98(mgKOH/g)であった。
【0058】
上記実施例1〜10及び比較例1〜6において得られた樹脂を、アプリケーターを用い銅箔基板上所定の膜厚になるよう塗工し、160℃にて30分乾燥した後評価サンプルとした。これらの塗膜の諸物性について試験した結果をそれぞれ表2と表3に示す。
なお、各種性能の試験方法及び評価判定は下記通りである。
【0059】
1.感光性試験
1)を用い、1回通過で50mJ/cm2の照射光量で10回(計500mJ/cm2)通過照射した後、溶剤メチルエチルケトン(MEK)を垂らし、塗膜表面の膨潤状態を目視判定した。
○全く変化が認められないもの
△表面が僅かに膨潤しているもの
×表面が顕著に膨潤しているもの
【0060】
2.現像性試験
フォトマスクを通し、365nmの波長の紫外線を照射し、上述照射光量で15回(計750mJ/cm2)通過したものをテストピースとし、1重量%のNaOHを水溶液を現像液とし30℃にて約0.8kg/cm2のスプレー圧で60秒間現像(日新製作所製、スプレー現像装置)を行った後の未露光部の除去された状態を目視判定した。
○完全に現像ができたもの
△表面に薄く現像されない部分があるもの
×全体的に現像残りがあるもの
【0061】
3.密着性試験
銅箔基板上で形成される塗膜(約30μm)を365nmの波長の紫外線を照射し、上述照射光量で15回(計750mJ/cm2)通過したものをテストピースとし、JIS D 0202の試験方法に従って碁盤目状にクロスカットを入れ、次いでセロハンテープによるピーリングテスト後の剥がれの状態を目視判定した。
○100/100で全く剥がれのないもの
△100/100でクロスカット部が少し剥がれたもの
×90/100以下のもの
【0062】
4.耐溶剤性試験
密着性試験と同じテストピースをそれぞれアセトン及びメチルエチルケトン(MEK)に室温で30分間浸漬した後取り出し、塗膜の状態と密着性とを総合的に判定評価した。
○全く変化が認められないもの
△僅かに変化しているもの
×顕著に変化しているもの
【0063】
5.引張強度測定
PETフィルム上に樹脂溶液をキャステイングし、70℃にて2時間熱風乾燥後、室温1時間放置して、膜厚約50μmの薄膜を得た。365nmの波長の紫外線を照射し、上述照射光量で15回(計750mJ/cm2)通過させた。紫外線照射前後の薄膜に対して幅10.0mm、長さ50mmにカットし、テストピースとした。強度の測定はテンシロン(オリエンテック製、TENSILON
UTM−10T)を用い、引張速度100mm/minで行った。
【0064】
【表2】
Figure 0003874526
【0065】
【表3】
Figure 0003874526
【0066】
【発明の効果】
本発明で得られるアルカリ可溶な硬化性樹脂は、一般の熱硬化性樹脂、例えば不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂等に匹敵する硬化性を有し、水性アルカリ現像性が可能で、かつ耐熱性、強靱性、耐溶剤性に優れる。前述のビルドアップ法による回路形成用レジストとして有用であるばかりでなく、プラズマデイスプレーの隔壁形成、金属やガラス等のエッチングレジスト、フォトエレクトロフォーミングレジスト、印刷刷板用レジスト、配線加工用レジスト等の微細加工用レジストのベース樹脂として電気用品、電子部品、測定機器等の各種用途に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1で得られた樹脂の13C−NMR測定結果を示す図である。
【図2】実施例1のフェノキシ樹脂へのMOI添加後のFTIR測定結果を示す図である。
【図3】実施例1のフェノキシ樹脂へのMOI付加反応終了後のFTIR測定結果を示す図である。
【図4】実施例1のフェノキシ樹脂へのMOI付加反応終了後の13C−NMR測定結果を示す図である。
【図5】実施例1のフェノキシ樹脂へのTMA添加後のFTIR測定結果を示す図である。
【図6】実施例1のフェノキシ樹脂へのTMA付加反応終了後のFTIR測定結果を示す図である。

Claims (12)

  1. 下記一般式(I)
    Figure 0003874526
    (式中、Ar1、Ar2、Ar3は水素原子、ハロゲン原子またはエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜12の炭化水素基から選ばれる置換基を有する2価芳香族フェノール残基を示し、相互に同じでも異なっていてもよく、Ar4はAr1、Ar2またはAr3である。Rは水素原子またはメチル基を示し、xは0または1であり、R'は置換または無置換芳香族の多価カルボン酸残基か、あるいは炭素数2〜20の脂肪族及び置換または無置換芳香族が併存している多価カルボン酸残基を示し、yは1または2で、zは0または1である。p、q、r、sは各々構造単位のモル分率を示し、0≦p≦0.3、0.2≦q≦0.6、0.1≦r≦0.8、0≦s≦0.3、かつp+q+r+s=1である。)で示される、フェノキシ樹脂の側鎖水酸基に不飽和2重結合とアルカリ可溶性カルボキシル基をペンダントさせたアルカリ可溶な硬化性樹脂。
  2. 請求項1に記載のフェノキシ樹脂中の側鎖水酸基に、所定量の一部のα,β−不飽和モノイソシアネート、次いで所定量の多価カルボン酸無水物、そして残りのα,β−不飽和モノイソシアネートの順で反応させ、ペンダントさせることを特徴とするアルカリ可溶な硬化性樹脂の製造方法。
  3. フェノキシ樹脂中の側鎖水酸基に、所定量の多価カルボン酸無水物、次いでα,β−不飽和モノイソシアネートの順で反応させ、ペンダントさせることを特徴とする請求項2に記載のアルカリ可溶な硬化性樹脂の製造方法。
  4. α,β−不飽和モノイソシアネートとして、イソシアネートエチルメタクリレートを用いる請求項2または3に記載のアルカリ可溶な硬化性樹脂の製造方法。
  5. 多価カルボン酸無水物が、トリメリット酸無水物を含有する無水多塩基酸からなる群から選ばれる請求項2または3に記載のアルカリ可溶な硬化性樹脂の製造方法。
  6. 反応を、非プロトン性有機溶剤中で行う請求項2ないし5のいずれか1項に記載のアルカリ可溶な硬化性樹脂の製造方法。
  7. 請求項1に記載のアルカリ可溶な硬化性樹脂と、ラジカル開始剤、架橋性モノマー及び/または硬化剤とを配合してなるアルカリ可溶な硬化性樹脂組成物。
  8. 有機或いは無機フィラー、着色剤及び有機溶剤からなる群から選ばれる少なくとも1種以上を配合してなる請求項7に記載のアルカリ可溶な硬化性樹脂組成物。
  9. アルカリ可溶な硬化性樹脂は、数平均分子量(Mn)が2000以上で、かつ次式で表される分子量分布との相関係数εが2000〜20000であるフェノキシ樹脂を用いることを特徴とする請求項7または8に記載のアルカリ可溶な硬化性樹脂組成物。
    Mn=ε(Mw/Mn)
    ここで、Mnはフェノキシ樹脂の数平均分子量であり、Mwはフェノキシ樹脂の重量平均分子量である。
  10. アルカリ可溶な硬化性樹脂の酸価が100〜200(mgKOH/g固形分)であることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載のアルカリ可溶な硬化性樹脂組成物。
  11. 架橋性モノマーとして多官能基ビニル重合性モノマーを、硬化剤として多価エポキシ化合物を配合してなる請求項7ないし10のいずれか1項に記載のアルカリ可溶な硬化性樹脂組成物。
  12. 請求項1に記載の硬化性樹脂、あるいは請求項7ないし11のいずれか1項に記載の組成物から溶剤を除去して得られるフィルム成形物。
JP02853098A 1998-02-10 1998-02-10 アルカリ可溶な硬化性樹脂、その製造方法、硬化性樹脂組成物及びそのフィルム成形物 Expired - Fee Related JP3874526B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02853098A JP3874526B2 (ja) 1998-02-10 1998-02-10 アルカリ可溶な硬化性樹脂、その製造方法、硬化性樹脂組成物及びそのフィルム成形物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP02853098A JP3874526B2 (ja) 1998-02-10 1998-02-10 アルカリ可溶な硬化性樹脂、その製造方法、硬化性樹脂組成物及びそのフィルム成形物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11228689A JPH11228689A (ja) 1999-08-24
JP3874526B2 true JP3874526B2 (ja) 2007-01-31

Family

ID=12251233

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP02853098A Expired - Fee Related JP3874526B2 (ja) 1998-02-10 1998-02-10 アルカリ可溶な硬化性樹脂、その製造方法、硬化性樹脂組成物及びそのフィルム成形物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3874526B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3638924B2 (ja) * 2002-08-05 2005-04-13 昭和高分子株式会社 ポリカルボン酸樹脂およびポリカルボン酸樹脂組成物、ならびにその硬化物

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11228689A (ja) 1999-08-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5513711B2 (ja) 感光性樹脂組成物及びその硬化物
JP5183073B2 (ja) 光硬化性・熱硬化性樹脂組成物、及びその硬化物
JP5876925B2 (ja) 光硬化性樹脂組成物、そのドライフィルム及び硬化物並びにそれらを用いたプリント配線板
TWI772286B (zh) 感光性樹脂組成物、乾膜、硬化物及印刷配線板
KR100883047B1 (ko) 광 경화성ㆍ열 경화성 수지 조성물, 그의 경화물 및 인쇄배선판
JP4865911B2 (ja) カルボキシル基含有樹脂を含有する硬化性組成物及びその硬化物並びにカルボキシル基含有樹脂を得る方法
JP4523679B2 (ja) ハロゲンフリーの着色顔料を用いたプリント配線板用緑色レジストインキ組成物
TW200842496A (en) Printed circuit board and manufacturing method thereof
JPWO2002077058A1 (ja) 活性エネルギー線硬化性樹脂、これを含有する光硬化性・熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物
KR100940174B1 (ko) 인쇄 배선판의 제조 방법 및 인쇄 배선판
JP5355845B2 (ja) 光硬化性樹脂組成物、及びその硬化物。
KR101049316B1 (ko) 활성 에너지선 경화성 수지, 그것을 함유하는 광경화성ㆍ열 경화성 수지 조성물 및 그의 경화물
JP5338009B2 (ja) 光硬化性熱硬化性樹脂組成物及びその硬化物並びにそれらを用いたプリント配線板
JP5660690B2 (ja) 感光性樹脂組成物及びその硬化物
JP2008189803A (ja) 光硬化性・熱硬化性樹脂組成物、その硬化物、ドライフィルム及び薄型パッケージ基板
JP3953852B2 (ja) 光硬化性・熱硬化性樹脂組成物
JP3874525B2 (ja) アルカリ可溶な硬化性樹脂、その製造方法、硬化性樹脂組成物及びそのフィルム成形物
KR20080029341A (ko) 산변성 에폭시 (메타)아크릴레이트 화합물 및 상기화합물을 함유하는 감광성 열경화성 수지 조성물 및 그경화물
WO2001053375A1 (fr) Compose epoxyde polynucleaire, resine durcissable par rayon energetique actinique obtenue a partir de ce compose, et composition de resine photodurcissable/thermodurcissable contenant ladite resine
JP3874526B2 (ja) アルカリ可溶な硬化性樹脂、その製造方法、硬化性樹脂組成物及びそのフィルム成形物
JP5164386B2 (ja) 光硬化性・熱硬化性樹脂組成物、及びその硬化物
JP4167599B2 (ja) 硬化性樹脂及びそれを含有する硬化性樹脂組成物
JP3953853B2 (ja) 光硬化性・熱硬化性樹脂組成物
KR20130085822A (ko) 강도, 경도 및 밀착성이 우수한 감광성 하이브리드 수지, 및 이것을 함유하는 알칼리현상이 가능한 경화성 조성물 및 그 경화물
JP2004359890A (ja) 光硬化性樹脂組成物及び感光性熱硬化性樹脂組成物並びにその硬化物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040830

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060516

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060619

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061017

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061024

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees