JP3871986B2 - 自動車の内装部品取付構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アウターパネルおよびインナーパネルを空間を介して結合し、インナーパネルの車室側の側面に沿って内装ライニングおよび内装部品を取り付ける自動車の内装部品取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車室内壁を構成する内装ライニングに物入れを設ける場合、合成樹脂製の内装ライニングに物入れをネジやクリップで固定すると、物入れに重量物を収納した場合に合成樹脂の強度が不足してネジやクリップが抜け落ちてしまう問題がある。そこで、下記特許文献1に記載されているように、内装ライニングに凹部を一体に形成して物入れを構成することが考えられる。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−246884号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この場合には物入れに収納した重量物の荷重を内装ライニングによって支持する必要があるため、内装ライニングを車体のインナーパネルに強固に固定する必要がある。また単に内装ライニングとインナーパネルとを強固に固定するだけでは、乗員の頭部が内装ライニングに二次衝突した場合の衝撃吸収性能を確保することができないため、衝撃吸収性能を確保するための特別の構造が必要となる。
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、自動車の内装ライニングに設けた内装部品の強度を高めながら、乗員の二次衝突時の衝撃吸収性能を確保することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、アウターパネルおよびインナーパネルを前後の閉断面空間を介して結合し、インナーパネルの車室側の側面に沿って内装ライニングおよび内装部品を取り付ける自動車の内装部品取付構造において、インナーパネルの一部を前記閉断面空間においてアウターパネルに向けて折り曲げて凹部を形成し、凹部の側壁に一端を固定したブラケットの他端に内装ライニングと一体の内装部品を固定したことを特徴とする自動車の内装部品取付構造が提案される。
【0007】
上記構成によれば、インナーパネルの一部をアウターパネルに向けて折り曲げて形成した凹部の側壁にブラケットの一端を固定し、このブラケットの他端に内装ライニングと一体の内装部品を固定したので、内装部品に加わる重量等の荷重をブラケットを介してインナーパネルで支持することができ、内装部品および内装ライニングの変形や損傷を防止することができる。特に、閉断面空間の剛性の高い凹部の側壁にブラケットを設けたので、重量の大きい内装部品でも確実に支持することができる。また乗員の頭部が内装部品に二次衝突したとき、アウターパネルおよびインナーパネル間の空間が潰れ、かつブラケットが塑性変形することで二次衝突の衝撃を効果的に吸収することができる。
【0008】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記内装部品が内装ライニングに凹設した物入れであり、物入れをインナーパネルの凹部に嵌合させた状態で、物入れとその物入れの側壁を構成するカバー部材とをブラケットに共締めしたことを特徴とする自動車の内装部品取付構造が提案される。
【0009】
上記構成によれば、内装ライニングに凹設した物入れをインナーパネルの凹部に嵌合させ、物入れとその物入れの側壁を構成するカバー部材とをブラケットに共締めしたので、物入れおよびその物入れのカバー部材に加わる荷重をブラケットを介してインナーパネルで支持することができ、しかも物入れおよびカバー部材を同時に固定して固定部材および組付工数の削減を図ることができる。
【0010】
尚、実施例の物入れ19は本発明の内装部品に対応し、実施例の前部側壁22aおよび後部側壁22bは本発明の側壁に対応する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0012】
図1〜図5は本発明の一実施例を示すもので、図1は自動車の左側面図、図2は自動車の後部の右内壁面を車室側から見た図、図3は図2の3−3線拡大断面図(図5の3−3線断面図)、図4は図2の4−4線拡大断面図(図5の4−4線断面図)、図5は図3の5−5線矢視図である。
【0013】
図1および図2に示すように、2ボックスタイプの自動車は前列シート11および後列シート12を備えており、後列シート12に着座した乗員の頭部13の近傍に右後部ドア14の後縁に沿って前部ピラー15が設けられ、またリヤゲート16の右側縁に沿って後部ピラー17が設けられる。前部ピラー15および後部ピラー17に挟まれた領域にはドアや窓が設けられておらず、車室側に対向する合成樹脂製の内装ライニング18に内装部品としての物入れ19が設けられる。
【0014】
図3〜図5から明らかなように、右後部ドア14の後方に連なる後部車体は、概ね平坦なアウターパネル21と、その内側に配置されるインナーパネル22とを備える。インナーパネル22の前端はアウターパネル21の前端に溶接W1され、インナーパネル22の後端はアウターパネル21の後端に外端を溶接W2されたリヤエンドパネル23の内端に溶接W3される。インナーパネル22には前部側壁22a、後部側壁22b、上部側壁22c、下部側壁22dおよび底壁22eよりなる凹部24が形成されており、底壁22eはアウターパネル21の内面に僅かな隙間を存して沿うように外側に凹んでいる。インナーパネル22の底壁22eには、上下方向に延びる2個の開口22f,22gが平行に形成される。
【0015】
そしてインナーパネル22の前部側壁22aの前方に形成された前部ピラー15は、アウターパネル21およびインナーパネル22によって区画された閉断面空間25を有しており、この閉断面空間25内に配置された前部スチフナ26の前部がアウターパネル21およびインナーパネル22に溶接W1され、後部がインナーパネル22の前部側壁22aに溶接W4される。またインナーパネル22の後部側壁22bの後方に区画された後部ピラー17は、アウターパネル21、インナーパネル22およびリヤエンドパネル23間に閉断面空間27が形成されており、この閉断面空間27内に配置された後部スチフナ28の前部がインナーパネル22の後部側壁22bに溶接W5され、後部がインナーパネル22に溶接W6される。
【0016】
尚、図4において符号35はルーフサイドレールである。この実施例ではインナーパネル22の上部側壁22cの車室側にルーフサイドレール35を配置しているが、上部側壁22cおよびルーフサイドレール35の位置関係を入れ換えて上部側壁22cを車室側に配置しても良い。即ち、アウターパネル21とインナーパネル22の上部側壁22cとの間にルーフサイドレール35を配置しても良い。
【0017】
インナーパネル22の底壁22eの前側の開口22fの後縁に沿って上下方向に延びる細長い突部22hが形成され、前記開口22fの下縁に沿って略四角形の突部22iが形成される。またインナーパネル22の底壁22eの後側の開口22gの前縁に沿って上下方向に延びる細長い突部22jが形成され、前記開口22gの下縁および後縁に沿って5個の略四角形の突部22k…が形成される。これらの突部22h〜22k…はアウターパネル21の内面との間に僅かな隙間を有しており、その隙間にスポット状に塗布されたシーラ29…によってアウターパネル21およびインナーパネル22が接着される。
【0018】
前部ピラー15および後部ピラー17に挟まれたアウターパネル21はドアや窓を備えておらず、広い面積に亘って概ね平坦に形成されているため、仮にその平坦部でアウターパネル21およびインナーパネル22を溶接したとすると、アウターパネル21の平坦度が損なわれて外観が低下してしまう、しかしながら、本実施例によれば、アウターパネル21およびインナーパネル22をシーラ29…でスポット状に接着しているので、アウターパネル21の平坦度が保たれて外観が向上する。このとき、シーラ29…の塗布量が過剰になると、そのシーラ29…が硬化する際の収縮作用によってアウターパネル21が引っ張られて平坦度が損なわれる虞があるが、面積の小さい突部22h〜22k…にシーラ29…を塗布することで、その塗布量が過剰になるのを防止することができる。またインナーパネル22の凹部24の底壁22eに開口22f,22gを形成したので、インナーパネル22の軽量化を図ることができる。
【0019】
インナーパネル22の前部側壁22aには3個の概略L字状のブラケット30…が溶接W7され、後部側壁22bには2個の概略L字状のブラケット30,30の一端が溶接W7される。インナーパネル22の内面を覆う内装ライニング18には5個の取付部18a…が凹設されており、この取付部18a…に嵌合する化粧ボルト31…を5個のブラケット30…の他端裏面のウエルドナット32…に螺合することで、内装ライニング18がインナーパネル22に固定される。尚、インナーパネル22の後部側壁22bおよび下部側壁22dの角部の近傍は前記5個のブラケット30…の他端と同じ高さにあり、その外面(アウターパネル21に対向する面)に溶接された6個目のウエルドナット32′(図5参照)にも、化粧ボルト31で内装ライニング18が固定される。
【0020】
内装ライニング18はインナーパネル22の凹部24に嵌合する長方形の物入れ19が一体に形成されており、この物入れ19の外周部に前記6本の化粧ボルト31…が配置される(図2参照)。物入れ19の下半部は板状のカバー部材32で覆われており、このカバー部材33の四隅が前記6本の化粧ボルト31…のうちの4本によって共締めされる。カバー部材33には、そこに収納した内容物34が確認できるように、横長の開口部33aが形成される。
【0021】
このように、車室に臨む物入れ19を内装ライニング18と一体に形成し、それをインナーパネル22に溶接した金属製のブラケット30…およびインナーパネル22自体に固定しているので、物入れ19およびその周辺の内装ライニング18の剛性が大幅に高められる。その結果、物入れ19に重量物を入れた場合でも、物入れ19がインナーパネル22から外れたり、物入れ19や内装ライニング18が変形したりするのを防止することができる。また物入れ19のカバー部材33を共通の化粧ボルト31…で共締めしたので、固定部材および組付工数を削減することができる。
【0022】
車両の側面衝突時等に乗員の頭部13が前部ピラー15の近傍に二次衝突すると、前部ピラー15のアウターパネル21およびインナーパネル22間に閉断面空間25が形成されていることから、その閉断面空間25が潰れ代になって二次衝突の衝撃を吸収することができる。また乗員の頭部13が物入れ19に二次衝突すると、その前後のブラケット30…が塑性変形することで衝撃吸収効果を発揮することができる。
【0023】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0024】
例えば、実施例では内装部品として物入れ19を例示したが、本発明は物入れ以外の内装部品に対しても適用することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、インナーパネルの一部をアウターパネルに向けて折り曲げて形成した凹部の側壁にブラケットの一端を固定し、このブラケットの他端に内装ライニングと一体の内装部品を固定したので、内装部品に加わる重量等の荷重をブラケットを介してインナーパネルで支持することができ、内装部品および内装ライニングの変形や損傷を防止することができる。特に、閉断面空間の剛性の高い凹部の側壁にブラケットを設けたので、重量の大きい内装部品でも確実に支持することができる。また乗員の頭部が内装部品に二次衝突したとき、アウターパネルおよびインナーパネル間の空間が潰れ、かつブラケットが塑性変形することで二次衝突の衝撃を効果的に吸収することができる。
【0026】
また請求項2に記載された発明によれば、内装ライニングに凹設した物入れをインナーパネルの凹部に嵌合させ、物入れとその物入れの側壁を構成するカバー部材とをブラケットに共締めしたので、物入れおよびその物入れのカバー部材に加わる荷重をブラケットを介してインナーパネルで支持することができ、しかも物入れおよびカバー部材を同時に固定して固定部材および組付工数の削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】自動車の左側面図
【図2】自動車の後部の右内壁面を車室側から見た図
【図3】図2の3−3線拡大断面図(図5の3−3線断面図)
【図4】図2の4−4線拡大断面図(図5の4−4線断面図)
【図5】図3の5−5線矢視図
【符号の説明】
18 内装ライニング
19 物入れ(内装部品)
21 アウターパネル
22 インナーパネル
22a 前部側壁(側壁)
22b 後部側壁(側壁)
24 凹部
25 閉断面空間
27 閉断面空間
30 ブラケット
33 カバー部材
Claims (2)
- アウターパネル(21)およびインナーパネル(22)を前後の閉断面空間(25,27)を介して結合し、インナーパネル(22)の車室側の側面に沿って内装ライニング(18)および内装部品(19)を取り付ける自動車の内装部品取付構造において、
インナーパネル(22)の一部を前記閉断面空間(25,27)においてアウターパネル(21)に向けて折り曲げて凹部(24)を形成し、凹部(24)の側壁(22a,22b)に一端を固定したブラケット(30)の他端に内装ライニング(18)と一体の内装部品(19)を固定したことを特徴とする自動車の内装部品取付構造。 - 前記内装部品(19)が内装ライニング(18)に凹設した物入れであり、物入れをインナーパネル(22)の凹部(24)に嵌合させた状態で、物入れとその物入れの側壁を構成するカバー部材(33)をブラケット(30)に共締めしたことを特徴とする、請求項1に記載の自動車の内装部品取付構造。
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