JP3871786B2 - ダンパー機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダンパー機構、特に、トルクを伝達するとともに捩じり振動を減衰・吸収するためのダンパー機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダンパー機構とは、動力伝達装置に用いられ、トルクを伝達するとともに、トルクに含まれる捩じり振動を吸収・減衰するための装置である。ダンパー機構は、自動車のクラッチに用いられるクラッチディスク組立体やフライホイール組立体等に組み込まれる。ダンパー機構は、主に、第1回転部材と、第2回転部材と、第1回転部材と第2回転部材との間に配置されたばね等の弾性部材とから構成されている。弾性部材は第1回転部材と第2回転部材の窓部内に配置され、第1回転部材と第2回転部材とが相対回転する際に両部材間で圧縮される。
【0003】
クラッチディスク組立体は、主に、摩擦フェーシングを有するクラッチディスクと、クラッチディスクに固定された1対の円板状部材と、円板状部材間に配置されたフランジを有する出力側ハブと、フランジと1対の円板状部材とを円周方向に弾性的に連結するばね(トーションスプリング)とから構成されている。ここでは、1対の円板状部材、ハブのフランジ及びばねからダンパー機構が構成されている。
クラッチディスク組立体に対して対策を要求される車輌の異音問題としては、主に中立時トランスミッション歯打ち音と走行時における駆動系歯打ち音及びこもり音がある。後者の異音問題を解決するためには、加減速トルク域の捩じり剛性を極力下げて、駆動系捩じり共振周波数をエンジンの実用回転域より低く設定する必要がある。
【0004】
そこで従来は2個のばねを円周方向に直列に配置することにより捩じり角度を広くするとともに捩じり剛性の低下を図っている。ばねの配置方法としては、2個のばねを同心円上に配置するか、あるいは半径方向の異なる位置に配置された2個のトーションスプリングを中間部材を介して直列に連結している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の2個のばねを直列配置したクラッチディスク組立体では、ばねを限られたスペース内で高密度に配置することが望まれている。また、スペースが限られているためトルク容量を充分に大きくできないという問題もある。
本発明の目的は、直列に配置されたばねを有するダンパー機構において限られたスペース内で充分なトルク容量を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載のダンパー機構は、第1回転体と第2回転体と第3回転体と1対の第1弾性部材と1対の第2弾性部材とを備えている。第2回転体は第1回転体と相対回転可能に配置されており、1対の平板から構成されている。第3回転体は第2回転体と相対回転可能に配置されている。1対の第1弾性部材は軸方向に並んで配置され、第1回転体と第2回転体が相対回転すると両回転体間で円周方向に並列に圧縮されるように配置されている。1対の第2弾性部材は軸方向に並んで配置され、第2回転体と第3回転体が相対回転すると両回転体間で円周方向に並列に圧縮されるように配置され、1対の第1弾性部材に対して半径方向の異なる位置に配置されている。第2回転体は、1対の第1弾性部材(105)の円周方向両端を円周方向に支持する第1窓孔(148)と、第1窓孔(148)に対して半径方向の異なる位置に配置され1対の第2弾性部材(106)の円周方向両端を円周方向に支持する第2窓孔(149)とを有している。
【0007】
このダンパー機構では、トルク伝達において並列に配置された1対の第1弾性部材及びトルク伝達において並列に配置された1対の第2弾性部材とが間に第2回転体を介して第1回転体と第3回転体との間で直列に配置されている。この構造により広い捩じり角度とともに大きなトルク容量が得られる。
請求項2に記載のダンパー機構は、1対の第1シートと1対の第2シートとをさらに備えている。1対の第1シートは1対の第1弾性部材の円周方向両側に配置され、第1回転体及び第2回転体に係合する。1対の第2シートは1対の第2弾性部材の円周方向両端に配置され、第2回転体及び第3回転体に係合する。
【0008】
このダンパー機構では、1対の第1シートは軸方向に並んで配置された1対の第1弾性部材の両方の円周方向端に配置されている。また、1対の第2シートは、軸方向に並んで配置された1対の第2弾性部材の円周方向両端に配置されている。このように各シートにより軸方向に並んで配置された弾性部材の円周方向両端が支持されているため、各円周方向端において1つのシートで2個の弾性部材のトルク伝達を行うことができる。
【0009】
請求項3に記載のダンパー機構は、請求項2において、1対の第1シートは第1回転体に対して軸方向に移動不能に係合可能な第1係合部を有し、1対の第2シートは第3回転体に対して軸方向に移動不能に係合可能な第2係合部を有している。
このダンパー機構では、1対の第1シートは第1回転に対して軸方向に移動不能であり、1対の第2シートは第3回転体に対して軸方向に移動不能である。この結果、1対の第1シート及び第2シートが第1回転体及び第3回転体からそれさぞれ軸方向に外れにくい。
【0010】
請求項4に記載のダンパー機構では、請求項2または3において、1対の第1シートは第1回転体及び第2回転体に半径方向に移動不能にかつ円周方向に離脱可能に係合しており、1対の第2シートは第2回転体及び第3回転体に半径方向に移動不能にかつ円周方向に離脱可能に係合している。
このダンパー機構では、1対の第1弾性部材は、第1回転体及び第2回転体に係合した1対の第1シートにより半径方向外方への移動が制限されている。また、1対の第2弾性部材は第2回転体及び第3回転体に係合した1対の第2シートにより半径方向外方への移動が制限されている。
【0011】
請求項5に記載のダンパー機構は、請求項1〜4のいずれかにおいて、各第1シートは1対の第1弾性部材に係合する第1係合部を有し、各第2シートは1対の第2弾性部材に係合する第2係合部を有する。
このダンパー機構では、1対の第1弾性部材及び1対の第2弾性部材は第1シート及び第2シートからそれぞれ外れにくい。したがって、第1シート及び第2シートが回転体等に係合している構造では、1対の弾性部材及び1対の第2弾性部材は回転体からも離脱しにくい。
【0012】
請求項6に記載のダンパー機構は、円板状部材と1対の第1弾性部材と1対の第1シートと第1回転部材と1対の第2弾性部材と1対の第2シートと第2回転部材とを備えている。円板状部材は、円周方向に延びる第1窓孔と、第1窓孔とは半径方向に異なる位置に形成された円周方向に延びる第2窓孔とが形成された1対の平らなプレートから構成されている。1対の第1弾性部材は1対のプレートに形成された第1窓孔の軸方向間に軸方向に並んで配置されている。1対の第1シートは第1窓孔の円周方向両側端を貫通して軸方向に延び、軸方向両端が1対の第1弾性部材の円周方向両端に当接している。第1回転部材は1対の第1シートに対して円周方向に係合する。1対の第2弾性部材は1対のプレートに形成された第2窓孔の軸方向間に軸方向に並んで配置されている。1対の第2シートは第2窓孔の円周方向両側端を貫通して軸方向に延び、軸方向両端が1対の第2弾性部材の円周方向端に当接する。第2回転部材は1対の第2シートに対して円周方向に係合する。
【0013】
このダンパー機構では、1対の第1弾性部材はトルク伝達において並列に作用するように配置され、1対の第2弾性部材はトルク伝達において並列に作用するように配置されている。さらに、1対の第1弾性部材と1対の第2弾性部材とは間に円板状部材を介して直列に作用するように配置されている。この構造により、捩じり角度を広くとりつつトルク容量を充分に大きくできる。また、このダンパー機構では、1対の第1弾性部材の各々が軸方向にもっとも近接して配置されており、1対の第2弾性部材は各々が互いに対して軸方向に最も近接して配置されている。さらに、1対の第1弾性部材と1対の第2弾性部材とは半径方向に近接して配置されている。このため、限られたスペース内で高密度にばねを配置できる。この結果、高性能なダンパー機構を実現できる。
【0014】
請求項7に記載のダンパー機構は、請求項6において、第1回転部材と第2回転部材は半径方向に並んで配置され、1対のプレートは第1回転部材及び第2回転部材の軸方向両側に配置され連結部により互いに固定されている。1対のプレートには第1窓孔及び第2窓孔が形成される。第1窓孔には1対の第1弾性部材と1対の第1シートの一部とが配置され、第2窓孔には1対の第2弾性部材と1対の第2シートの一部とが配置されており、第1回転部材は第1シートの円周方向両端に係合する第1支持部を有しており、第2回転部材は第2シートの円周方向両側に係合する第2支持部を有している。
【0015】
請求項8に記載のダンパー機構では、請求項7において、第1窓孔と第2窓孔は半径方向に並んで互いに連続して形成されている。請求項9に記載のダンパー機構では、請求項7または8において、1対の第1シートは各々が軸方向に延びる第1本体を有し、第1本体は第1窓孔の円周方向両端を貫通し軸方向両側が1対の第1弾性部材の円周方向端に係合している。1対の第2シートは各々が軸方向に延びる第2本体を有し、第2本体は第2窓孔の円周方向両端を貫通し軸方向両端が1対の第2弾性部材の円周方向両端に係合している。
【0016】
請求項10に記載のダンパー機構では、請求項9において、第1シートは、第1本体から延び1対の第1弾性部材の円周方向端部にそれぞれ係合する1対の第1係合部を有しており、第2シートは、第2本体から延び1対の第2弾性部材の円周方向端部にそれぞれ係合する1対の第2係合部を有している。請求項11に記載のダンパー機構では、請求項9または10において、第1本体は第1窓孔及び第1支持部の円周方向両端に半径方向に移動不能にかつ円周方向に離脱可能に係合しており、第2本体は第2窓孔及び第2支持部の円周方向両端に半径方向に移動不能にかつ円周方向に離脱可能に係合している。
【0017】
請求項12に記載のダンパー機構では、請求項9〜11のいずれかにおいて、第1シートは、第1本体の軸方向中間部から円周方向において第1弾性部材側と反対側に延び1対のプレート間に挟まれる第1係止部を有し、第2シートは、第2本体の軸方向中間部から円周方向において第2弾性部材側と反対側に延びる1対のプレート間に挟まれる第2係止部を有している。
【0018】
【発明の実施の形態】
第1実施形態
図1及び図2に本発明の一実施形態としてのクラッチディスク組立体1を示す。クラッチディスク組立体1は車両のクラッチに用いられる装置である。図1の左側にエンジン及びエンジンに連結されたフライホイール(図示せず)が配置され、図1の右側にはトランスミッション(図示せず)が配置されている。クラッチディスク組立体1は、エンジンとトランスミッションとの間でトルクの伝達及び遮断を行うためのクラッチ機能と捩じり振動を吸収・減衰するためのダンパー機能とを有している。
図1に示すO−Oがクラッチディスク組立体1の回転軸線である。図2及び図3に示す矢印R1がエンジン及びフライホイールの回転方向であり、R2がその反対方向である。
クラッチディスク組立体1は、主に、入力部材2と、出力部材3と、中間部材4と、第1ばね5と、第2ばね6と、第1シート7と、第2シート8とから構成されている。入力部材2は、後述する摩擦部11,第1及び第2プレート12,13等からなる部材であり、図示しないフライホイールに連結されトルクをクラッチディスク組立体1に入力するための部材である。出力部材3は、後述する第1ハブ及び第2ハブ16,17等からなる部材であり、図示しないトランスミッション側から延びるシャフトに連結されており、クラッチディスク組立体1のトルクを出力するための部材である。中間部材4は入力部材2と出力部材3との間でトルクを伝達するために配置された中間の部材である。第1ばね5は入力部材2と中間部材4とを円周方向に弾性的に連結するための部材である。第1ばね5と入力部材2及び中間部材4とにより第1ダンパーが構成されている。第2ばね6は中間部材4と出力部材3とを円周方向に弾性的に連結するための部材である。第2ばね6と中間部材4及び出力部材3とにより第2ダンパーが構成されている。第1ダンパーと第2ダンパーとは直列に作用するように配置されている。第1シート7は、第1ばね5の円周方向両端を支持するとともに、第1ばね5を介してトルクが伝達されるように入力部材2と中間部材4とを連結する部材である。第2シート8は第2ばね6の円周方向両端を支持するとともに、第2ばね6を介してトルクが伝達されるように中間部材4と出力部材3とを連結する部材である。
【0019】
入力部材2は、摩擦部11と、1対のプレートである第1及び第2プレート12,13とから主に構成されている。
摩擦部11(クラッチディスク)は、複数のクッショニングプレート28と、クッショニングプレート28の軸方向両側に固定された摩擦フェーシング29とから構成されている。第1及び第2プレート12,13は、軸方向に所定の距離をおいて配置された環状のプレートであり、複数の第1ピン14により互いに固定されている。第1ピン14により、第1及び第2プレート12,13は、軸方向に所定の隙間を確保し、一体回転するようになっている。
【0020】
図4を用いて第1プレート12及び第2プレート13について詳細に説明する。なお、第1プレート12と第2プレート13は同形状であるため、ここでは第2プレート13の説明のみを行う。
【0021】
第2プレート13は図4に示すように主に環状部31から構成されている。環状部31には半径方向内側に突出する複数の支持部32がもうけられている。支持部32は、後述する第1ばね5に対してトルクを伝達するための構造である。支持部32の円周方向両側の軸方向中間には、円周方向に切り欠かれた凹部33が形成されている。凹部33は奥に行くにしたがって半径方向幅が狭くなる台形形状であり、しかも両隅は角ののとれた滑らかな形状である。このようにして、支持部32の円周方向端面は、半径方向内側から第1面34,第1面34より円周方向に凹んだ凹部33、環状部31の内周面に連続する第2面35とが形成されている。なお、円周方向に隣り合う支持部32間の空間は、後述する第1ばね5を収容するための収容部36となっている。さらに、第2プレート13の環状部31には、第1ピン14が挿入されるための孔37が円周方向に複数形成されている。
【0022】
中間部材4は図6に示すような環状又は円板状の部材である。中間部材4は、入力部材2の内周側で第1及び第2プレート12,13の軸方向間に配置されている。中間部材4の外周部は第1ピン14の内周側に近接している。
次に、中間部材4の詳細な構造について図6を用いて説明する。中間部材4の中心には円形の中心孔46が形成されている。さらに、中心孔46の外周側には、複数の小判形状の孔47が形成されている。孔47は円周方向長さが半径方向長さより長くなっている。中間部材4の外周部には複数の第1窓孔48が形成されている。第1窓孔48は比較的円周方向に長く延びる弧状である。第1窓孔48の円周方向両端は、円周方向外側に行くにしたがって半径方向幅の狭くなる形状である。第1窓孔48の内周側には第2窓孔49が形成されている。第1窓孔48と第2窓孔49は互いに対応しており、円周方向の長さは違うが中心角度はほぼ同じである。第2窓孔49の円周方向両端は、円周方向外側に行くにしたがって半径方向幅の狭くなる形状である。また、第1窓孔48は、軸方向において、第1及び第2プレート12,13の収容部36に対応している。
【0023】
中間部材4の外周には、半径方向外方に突出する複数の突出部50が形成されている。突出部50は、図3に示すように複数の第1ピン14の円周方向間にそれぞれ配置されている。すなわち、第1ピン14と突出部50とが同一半径位置において円周方向に交互に配置されている。
【0024】
第1ばね5は中間部材4の軸方向両側に配置されている。より具体的には、第1ばね5は中間部材4の第1窓孔48の軸方向両側に配置され、第1及び第2プレート12,13の収容部36内に配置されている。第1ばね5は図2から明らかなようにコイルスプリングである。また、第1ばね5は、2つのコイルスプリング(大コイルスプリング5a,小コイルスプリング5b)が組み合わされてなる部材である。各第1ばね5は、支持部32の円周方向端面に当接あるいは当接可能に配置されている。より具体的には、第1ばね5の大コイルスプリング5aは支持部32の第1面34及び第2面35に当接している。
次に、図7を用いて第1シート7について詳細に説明する。第1シート7は軸方向に細長く延びるたとえば樹脂からなる部材である。第1シート7は、中間部材4の第1窓孔48の円周方向両端を貫通し、軸方向両端が第1及び第2プレート12,13の収容部36において支持部32と第1ばね5との間に配置されている。
【0025】
第1シート7の具体的な構成要素について説明する。第1シート7は、主に、軸方向に延びる本体60から構成されている。本体60は第1ばね5に比べて半径方向幅が短い。本体60には、第1ばね5側の第1主面63と、支持部32側の第2主面64とが形成されている。第1主面63には第1ばね5の大コイルスプリング5aの座巻き端部が当接又は当接可能に近接している。前述のように本体60は第1ばね5に対して半径方向幅が狭いため、本体60は大コイルスプリング5aの軸方向両側頂点部分にのみ当接している。図9に示すように第2主面64は第1主面63に対して半径方向の幅が短くなっており、断面では角の取れた滑らかな台形形状になっている。図9に示すように、本体60は第1及び第2プレート12,13の支持部32に形成された凹部33内に配置されその端面に密着した状態である。この状態で本体60すなわち第1シート7は支持部32に対して半径方向への移動及び回転等が禁止されており、円周方向に離れる移動のみが可能となっている。また、本体60と凹部33との円周方向への離脱及び係合は、両部材が半径方向両側に傾斜部分を有する形状により誘導が行われスムーズである。さらに、本体60の第2主面64側において軸方向中間部には円周方向側に突出する突出部61が形成されている。突出部61は図11R>1に示すように中間部材4の第1窓孔48の円周方向両端に当接している。突出部61の軸方向両端部は図7から明らかなように円周方向外側にいくにしたがって軸方向高さが低くなるように傾斜している。突出部61の傾斜面65は、第1及び第2プレート12,13間に挟まれている。より具体的には、突出部61は支持部32の円周方向縁の軸方向間に、さらに詳細には凹部33よりさらに円周方向奥側(支持部32中心側)の部分の軸方向間に挟まれている。すなわち、第1シート7は第1及び第2プレート12,13係合した状態で軸方向への移動が制限されている。なお、突出部61に傾斜面65が形成されていることで、突出部61が第1及び第2プレート12,13にから円周方向に離脱及び係合する動作が傾斜面65により誘導されてスムーズになる。本体60の第1主面63側には、円周方向に突出する挿入部62が形成されている。挿入部62は、本体60より幅が広い円柱形状であり、支持部32の第1面34と第2面35に当接している。挿入部62は大コイルスプリング5aの座巻き内に挿入されその外周面が座巻きの内周面に当接している。また、挿入部62の主面には、小コイルスプリング5bの座巻きが当接している。この構造により、第1ばね5は、円周方向両端が第1シート7に係合しており、半径方向及び軸方向に移動不能になっている。
【0026】
第1シート7の本体60の半径方向幅は中間部材4の第1窓孔48の半径方向幅に対応している。本体60は、第1窓孔48の円周方向両端に配置され、両端部に当接又は当接可能に配置されている。より具体的には、本体60に形成された突出部61が図11に示すように円周方向縁に当接している。この状態で第1シート7は中間部材4に対して半径方向への移動及び回転等が禁止されており、円周方向への移動のみが可能となっている。また、本体60及び突出部61と第1窓孔48の端部との円周方向への離脱及び係合は、両部材が半径方向両側に傾斜部分を有する形状により誘導が行われスムーズに行われる。
【0027】
第1シート7は中立状態及び捩じり状態において常に第1及び第2プレート12,13又は中間部材4に半径方向移動不能に係合されているため、第1ばね5は常に半径方向外方への移動が制限されている。また、第1ばね5は、第1シート7が第1及び第2プレート12,13によって軸方向に移動を制限されているため、第1及び第2プレート12,13に対して軸方向への移動が制限されている。このため、第1ばね5を軸方向に移動するのを制限するための部材を第1及び第2プレート12,13に設ける必要がない。以上の結果、第1及び第2プレート12,13の形状が簡単になる。また、第1ばね5は平均径を大きくできる。第1ばね5は、第1及び第2プレート12,13に対して半分又はそれ以上が軸方向に飛び出しており、図2の平面視においても全体が露出して見える。
【0028】
以上に述べた第1シート7の機能をまとめると、第1シート7は、軸方向に配置された2個の第1ばね5の円周方向両端を支持してトルク伝達を行うとともに、1対の第1ばね5を第1及び第2プレート12,13に対して係合させる。
出力部材3は、主に、軸方向に並んで配置された1対の第1ハブ16と第2ハブ17とから構成されている。ハブ16,17は、ともに筒状のボス18と、ボス18から半径方向に円板状に延びるフランジ20を有している。フランジ20からはさらに半径方向外方に延びる複数の支持部21が形成されている。支持部21は後述する第2ばね6の円周方向両端を支持するための構造である。支持部21は半径方向外方に向かって円周方向幅が広がる扇形になっている。支持部21の円周方向端面の半径方向中間部には切り欠かれた形状の凹部41が形成されている。凹部41は途中から奥に行くにしたがって半径方向幅が狭くなる台形形状であり、しかも両隅は角ののとれた滑らかな形状である。この結果、支持部21の円周方向端面は、内周側から外周側に向けて第1面42、凹部41、第2面43が形成されている。円周方向に隣接する支持部21の間は後述する第2ばね6を収容するための収容部44となっている。収容部44は中間部材4の第2窓孔49に対応している。第1ハブ16と第2ハブ17は円周方向に複数配置された第2ピン15により互いに固定されている。この結果、第1ハブ16と第2ハブ17とは、軸方向に所定の隙間を確保し、一体回転するようになっている。第1及び第2ハブ16,17のフランジ20には第2ピンが固定される複数の孔45が形成されている。第2ピン15は、中間部材4の孔47内を挿通し、孔47内で所定角度のみ円周方向に移動可能である。
【0029】
第1ハブ16のフランジ20は第1プレート12と軸方向における位置が一致しており、第2ハブ17のフランジ20は第2プレート13と軸方向における位置が一致している。
中間部材4の内周部両側面にはそれぞれ環状のワッシャ26が当接している。ワッシャ26と第1ハブ16のフランジ20との間及び他方のワッシャ26とフランジ20との間にはそれぞればね27(ウエーブスプリング)が配置されている。ばね27は、軸方向に圧縮された状態で配置され、ワッシャ26を中間部材4側に付勢している。なお、ワッシャ26は第2ピン15に対して軸方向にのみ移動可能に配置されている。すなわち、ワッシャ26は第1ハブ16及び第2ハブ17と一体回転する。
【0030】
ワッシャ26とばね27の構成により、出力部材3と中間部材4との軸方向の位置決めが行われ、中間部材4と第1ハブ16及び第2ハブ17が相対回転するときに中間部材4とワッシャ26との間で摩擦抵抗(ヒステリシステトルク)が発生するようになっている。
第2ピン15と孔47の円周方向端との間には、円周方向片側に第1捩じり角度θ1 だけの隙間が確保されている。また、中間部材4の突出部50と第1ピン14との間には第2捩じり角度θ2 だけの隙間が円周方向にそれぞれ設けられている。第2捩じり角度θ2 はθ1 より大きい。すなわち、第1ピン14と孔47とが出力部材3と中間部材4との間の相対回転ストッパーとして機能しており、突出部50と第1ピン14とが入力部材2と中間部材4との間の相対回転ストッパーとして機能している。
【0031】
第2ばね6は中間部材4の軸方向両側に配置されている。より具体的には、第2ばね6は中間部材4の第2窓孔49の軸方向両側に配置され、第1及び第2ハブ16,17のフランジ20の収容部44内に配置されている。第2ばね6は図2から明らかなようにコイルスプリングである。第2ばね6は第1ばね5に比べて円周方向長さは短いが圧縮可能な捩じり角度はほぼ等しい。また、第2ばね6は大コイルスプリング5aに対して線径は大きいが、第1ばね5に対しては一対一でも全体でもばね定数がほぼ等しくなっている。各第2ばね6は、支持部21の円周方向端面に当接あるいは当接可能に配置されている。より具体的には、第2ばね6の座巻きは第1面42及び第2面43に当接している。
【0032】
次に、図8を用いて第2シート8について詳細に説明する。第2シート8は軸方向に細長く延びるたとえば樹脂からなる部材である。第2シート8は、中間部材4の第2窓孔49の円周方向両端を貫通し、軸方向両端が第1及び第2ハブ16,17の収容部44において支持部21と第2ばね6との間に配置されている。
【0033】
第2シート8の具体的な構成要素について説明する。第2シート8は、主に、軸方向に延びる本体52から構成されている。本体52は第2ばね6に対して半径方向幅が短い。本体52には、第2ばね6側の第1主面56と、支持部21側の第2主面57とが形成されている。第1主面56には第2ばね6の座巻き端部が当接又は当接可能に近接している。前述のように本体52は第2ばね6に対して半径方向幅が狭いため、本体52は第2ばね6の軸方向両側頂点部分にのみ当接している。図10に示すように第2主面57は第1主面56に対して幅が短くなっており、断面では角の取れた滑らかな台形又は山形形状になっている。図10に示すように、本体52は第1及び第2ハブ16,17の支持部21に形成された凹部41内に配置されその端面に密着した状態である。この状態で本体52すなわち第2シート8は支持部21に対して半径方向への移動及び回転等が禁止されており、円周方向に離れる移動のみが可能となっている。また、第2シート8と凹部41との円周方向への離脱及び係合は、両部材の半径方向両側に傾斜部分を有する形状により誘導が行われスムーズである。さらに、本体52の第2主面57側において軸方向中間部には円周方向側に突出する突出部53が形成されている。突出部53は図11に示すように中間部材4の第2窓孔49の円周方向両端に当接している。突出部53の軸方向両端部は図8から明らかなように円周方向外側にいくにしたがって軸方向高さが低くなるように傾斜している。突出部53の傾斜面58は、第1及び第2ハブ16,17間に挟まれている。より具体的には、突出部53は支持部21の円周方向両端部の軸方向間に挟まれ、さらに詳細には支持部21において凹部41よりさらに円周方向奥側(支持部32中心側)の部分間に挟まれている。すなわち、第2シート8は第1及び第2ハブ16,17に係合した状態で軸方向への移動が制限されている。本体52の第1主面56側には、円周方向に突出する挿入部54が形成されている。挿入部54は円柱形であり、第2ばね6の座巻き内に挿入されその外周面が座巻きの内周面に当接している。この構造により、第2ばね6は、円周方向両端が第2シート8に係合しており、半径方向及び軸方向に移動不能になっている。
【0034】
第2シート8の本体52の半径方向幅は中間部材4の第2窓孔49の半径方向幅に対応している。本体52は第2窓孔49の円周方向両端に配置され、両端部に当接又は当接可能に配置されている。より具体的には、本体52に形成された突出部53が図11に示すように円周方向縁に当接している。この状態で第2シート8はは中間部材4に対して半径方向への移動及び回転等が禁止されており、円周方向への移動のみが可能となっている。また、本体52及び突出部53と第2窓孔49の端部との円周方向への離脱及び係合は、両側に傾斜部分を有する形状により誘導され、スムーズに行われる。
【0035】
さらに、第2シート8は中立状態及び捩じり状態において常に第1及び第2ハブ16,17又は中間部材4に半径方向移動不能に係合されているため、第2ばね6は常に半径方向外方への移動が制限されている。また、第2ばね6は、第2シート8が第1及び第2ハブ16,17によって軸方向に移動を制限されているため、第1及び第2ハブ16,17に対して軸方向への移動が制限されている。このため、第2ばね6を軸方向に移動するのを制限するための部材を第1及び第2ハブ16,17に設ける必要がない。以上の結果、第2ハブ16,17のフランジ20は形状が簡単になる。また、第2ばね6は平均径を大きくできる。第2ばね6は、フランジ20に対して半分又はそれ以上が軸方向に飛び出しており、図2の平面視においても全体が露出して見える。
【0036】
以上に述べた第2シート8の機能をまとめると、軸方向に配置された2個の第2ばね6の円周方向両端を支持してトルク伝達を行うとともに、1対の第2ばね6を第1及び第2ハブ16,17に対して係合させている。
【0037】
以上の結果、1対の第1ばね5は各位置において軸方向に中間部材4を挟んで配置されている。より具体的には、第1ばね5は中間部材4の第1窓孔48にそって延び第1窓孔48の半径方向両側に当接している。前述のように1対の第1ばね5は第1シート7を介して第1及び第2プレート12,13に対して軸方向に位置決めされており、その1対の第1ばね5が中間部材を間に挟むことで、第1及び第2プレート12,13と中間部材4との軸方向位置決めがされている。1対の第2ばね6は各第1ばね5の内周側において軸方向に中間部材4を挟んで配置されている。より具体的には、第2ばね6は中間部材4の第2窓孔49にそって延び第2窓孔49の半径方向両側に当接している。前述のように1対の第2ばね6は第2シート8を介して第1及び第2ハブ16,17に対して軸方向に位置決めされており、その1対の第2ばね6が中間部材4を間に挟むことで、第1及び第2ハブ16,17と中間部材4との軸方向位置決めがされている。
【0038】
さらに、1対の第1ばね5と1対の第2ばね6は半径方向に近接して他の部材等を間に配置せず近接している。すなわち、第1ばね5及び第2ばね6は軸方向及び半径方向において限られたスペース内に最大限密に配置されている。
以上の構造を別の観点をから説明すると、入力部材2、1対の第1ばね5、1対の第1シート7及び中間部材4は第1ダンパーを構成しており、中間部材4、1対の第2ばね6、1対の第2シート8及び出力部材3は第2ダンパーを構成している。各ダンパーは、第1回転プレート(中間部材4)と、1対の第2回転プレート(プレート12,13又は1対のフランジ20)と、1対のコイルスプリング(第1ばね5又は第2ばね6)と、1対のシート(第1シート7又は第2シート8)とからなる。第1回転プレートは第1窓部(窓孔)を有する。1対の第2回転プレートは、第1窓部の軸方向両側に互いに固定されて配置され、第1窓部に対応する第2窓部(収容部)をそれぞれ有する。1対のコイルスプリングは第1回転プレートの第1窓部の軸方向両側に配置され、第2窓部内に配置されている。1対のシートは第1窓部の円周方向両端を貫通して軸方向に延び各々の軸方向両端が1対のコイルスプリングに係合する本体を有する。
【0039】
このダンパー機構では、トルク伝達において並列に配置された1対のコイルスプリングを備えており、さらに1対のコイルスプリングの円周方向両端に係合する1対のシートを備えている。ここでは1対のシートにより2個のコイルスプリングを支持しているため、部品点数が少なくなっている。
以上に述べたダンパー機構は本実施例では2つが直列に配置されているが、他の応用例として1つだけを用いても良い。その場合には、第1回転プレートがハブのフランジになり1対の第2回転プレートが従来の入力側プレートになる。あるいはその逆になる。
【0040】
図14に本発明に係るクラッチディスク組立体1のダンパー機構に関する機械回路図を示している。この機械回路図はダンパー機構の円周方向の一方向への作動するときの部材の関係を説明するための図である。第1ばね5は軸方向に並んだ1対のばねを一単位とし、第2ばね6は軸方向に並んだ1対のばねを一単位としている。
【0041】
クラッチディスク組立体1のトルク伝達動作について説明する。
入力部材2の摩擦部11が図示しないフライホイールに押しつけられると、クラッチディスク組立体1にトルクが入力される。トルクは第1及び第2プレート12,13から第1ばね5,第1シート7、中間部材4、第2ばね6、第2シート8、出力部材3の第1及び第2ハブ16,17の順番に伝達されていく。出力部材3からは、図示しないトランスミッションから延びる図示しないシャフトにトルクが出力される。
【0042】
エンジンからのトルク変動がクラッチディスク組立体1に入力されると、入力部材2と出力部材3との間で捩じり振動すなわち相対回転が生じ、複数対の第1ばね5と複数対の第2ばね6とが直列に圧縮される。
捩じり振動が発生したときのクラッチディスク組立体1の動作について説明する。ここでは、入力部材2の摩擦部11を他の部材に固定し、それに対して出力部材3の第1及び第2ハブ16,17を静的に一方向に捩じる動作として説明する。
【0043】
出力部材3をR1側に捩じっていく。すると、第1及び第2ハブ16,17の支持部21がR2側の第2シート8とともに第2ばね6をR1側に押していく。R2側の第2シート8は中間部材4の第2窓孔49のR2側端からR1側に離れていく。また、R1側の第2シート8に係合していた支持部21は第2シート8からR1側に離れていく。この結果、第2ばね6は、両側の第2シート8を介して第1及び第2ハブ16,17と中間部材4との間で圧縮される。
【0044】
以上の動作において、第2ばね6のR2側端はR2側の第2シート8を介して第1及び第2ハブ16,17に半径方向及び軸方向の移動を規制されており、第2ばね6のR1側端はR1側の第2シート8を介して中間部材4に半径方向の移動を規制されている。また1対の第2ばね6は軸方向間に中間部材4を挟んでいるため、軸方向に移動しにくい。
【0045】
一方、R1側に付勢された中間部材4はR1側に移動し、R2側の第1シート7をR1側に押す。R2側の第1シート7は第1及び第2プレート12,13のR2側の支持部32からR1側に離れながら第1ばね5をR1側に押していく。第1ばね5のR1側は、第1及び第2プレート12,13の支持部32及びR1側の第2シート8によって支持されている。このため、第1ばね5は両側の第1シート7を介して中間部材4と第1及び第2プレート12,13との間で圧縮される。
【0046】
以上の動作において、第1ばね5のR2側端はR2側の第1シート7を介して中間部材4に半径方向の移動を規制されており、第1ばね5のR1側端はR1側の第1シート7を介して第1及び第2プレート12,13に半径方向及び軸方向の移動を規制されている。また1対の第1ばね5は軸方向間に中間部材4を挟んでいるため、軸方向に移動しにくい。
【0047】
出力部材3をR2側に捩じる場合は、以上の説明でR1とR2とが入れ替わる。
第1ばね5と第2ばね6とが直列に圧縮されることにより、図13に示す捩じり特性線図のように、捩じり角度の小さな領域でばね定数K1 の低剛性の特性が得られる。捩じり角度がθ1 となると第2ピン15と孔47とが円周方向に当接する。この結果、中間部材4と出力部材3との相対回転が停止し、その結果第2ばね6の圧縮が停止される。この結果、θ1 以上の角度では第1ばね5のみが圧縮さればね定数K2 の高剛性の特性が得られる。捩じり角度がθ2 になると、第2ピン14が突出部50に当接し、入力部材2と出力部材3との間での相対回転が停止する。
【0048】
この特性では、1段目に低剛性、2段目に高剛性の特性が得られ、捩じり角度を広くしかも低剛性の特性を得るとともに、充分に大きなストッパートルクを得ることができる。
[変形例]
図15及び図16に示す中間部材4においては、第1窓孔48は、円周方向に2分割されており、それぞれ第1シート7と反対側にストップ面74を有している。第1シート7の第1主面63と中間部材4のストップ面74との間は第2捩じり角度θ2 が確保されている。また、第2窓孔49は円周方向に2分割されており、第2シート8が配置された反対側にストップ面71がそれぞれ形成されている。ストップ面71と第2シート8の第1主面56との間には第1捩じり角度θ1 が確保されている。角度θ1 とθ2 との関係は前記実施形態と同様である。この構成では、図16に示すように、第1シート7とストップ面74とにより入力部材2と中間部材4との相対回転ストッパーが形成され、第2シート8とストップ面71とにより出力部材3と中間部材4との間の相対回転ストッパーが形成されている。この実施形態では、各シートをストッパー構成部材として用いているため、構造が簡単である。
【0049】
さらに、図17に示すように特別なストッパー機構を用いずにばねの密着を用いて2段特性を実現することができる。たとえば、第2ばね6の密着が第1ばね5の密着より先に生じる構成とすれば、第2ばね6が密着した後に高剛性の特性が得られる。
以上に述べた各ストッパー機構については、1段目と2段目とでそれぞれ種類を異ならせてもよい。
【0050】
また、前述の実施形態では第1ばね5と第2ばね6とのばね定数をほぼ等しいものとしたが、異ならせてもよい。たとえば第2ばね6を第1ばね5に比べて低剛性のものを用いたときには、1段目のストッパー機構により第2ばね6の密着が防止され、第2ばね6の破損等が生じにくい。第1捩じり角度θ1 を第2捩じり角度θ2 より大きくしてもよい。
【0051】
さらに、ストッパーを1つだけにして1段の捩じり特性にしてもよい。
さらに、1段目の捩じり角度θ1 を正側と負側とで同じとしたが、異ならせてもよい。2段目の捩じり角度θ2 を正側と負側とで同じとしたが、異ならせてもよい。
第2実施形態
図18〜図20に本発明の第2実施形態としてのクラッチディスク組立体101を示す。クラッチディスク組立体101は、主に、入力部材102と、出力部材103と、中間部材104と、第1ばね105と、第2ばね106と、第1シート107と、第2シート108とから構成されている。第1実施形態と第2実施形態とでは各部材は機械回路的に対応している。
【0052】
入力部材102は、摩擦部111(クラッチディスク)と、環状の入力プレート130とから構成されている。プレート130の外周縁には、摩擦部111のクッショニングプレート端部が固定されている。プレート130の内周側には、円周方向に長く延びる複数の窓孔136が形成されている。
出力部材103は、ボス118と、ボス118から半径方向に延びるフランジ120とから構成されている。フランジ120は軸方向における位置がプレート130とほぼ同一であり、プレート130の内周側に配置されている。なお、プレート130の内周縁とフランジ120の外周縁とは円形であり、わずかな隙間をおいて並んでいる。
【0053】
フランジ120には、外周側に円周方向に並んだ複数の窓孔144が形成されている。窓孔144は円周方向に長く延びている。窓孔144は窓孔136に対応して形成されている。
中間部材104は、円板状または環状の1対のプレート112,113から構成されている。プレート112,113は、内周縁が出力部材103のボス118外周縁に近接しており、外周縁はプレート130の外周縁にほぼ一致している。プレート112,113は、プレート130及びフランジ120の軸方向両側に隙間をあけて配置されている。プレート112とプレート113とは内周側において複数のピン115により互いに固定されている。このピン115による連結により、プレート112とプレート113は、軸方向に所定の間隔をおいて保持され、一体回転するようになっている。
【0054】
次にプレート112,113の窓孔について詳細に説明する。なお、ここではプレート112とプレート113とは同一形状であるため、プレート113の説明のみを行う。
プレート113の外周側には、円周方向に長く延びる複数の第1窓孔148が形成されている。第1窓孔148は、第1ばね105及び第1シート107の一部が収容される空間である。第1窓孔148は、プレート130の窓孔136に対応している。第1窓孔148の内周側には第2窓孔149が形成されている。第2窓孔149は第1窓孔148に比べて円周方向長さは短くなっている。第2窓孔149は、第2ばね106及び第2シート108の一部が配置される空間である。第1窓孔148と第2窓孔149とは連続しており、すなわち第1ばね105と第2ばね106とは互いに同一の窓孔内で半径方向に近接して配置されている。このように半径方向に2種類の直列配置ばねを近接することができるのは、各ばね105,106を第1及び第2シート107,108を介してプレート112,113から離脱不能にそれらに係合させているためである。
【0055】
第1シート107は、第1実施形態における第1シート7に対応し、第1ばね105の円周方向両端を支持している。第1シート107がプレート112,113に係合する関係は、第1実施形態において第1シート7がプレート12,13に係合する関係に対応する。また、第1シート107がプレート130に係合する関係は、第1実施形態において第1シート7が中間部材4に係合する関係に対応する。
【0056】
第2シート108は第1実施形態における第2シート108に対応し、第2ばね106の円周方向両端を支持している。第2シート108がフランジ120に係合する関係は、第1実施形態において第2シート8が中間部材4に係合する関係に対応する。第2シート108がプレート112,113に係合する関係は、第1実施形態において第2シート8がフランジ20に係合する関係に対応する。
【0057】
この実施形態でも前記実施形態と同様の優れた効果が得られる。
実施例1と実施例2との構造の共通点を抽出すると、ダンパー機構は、第1回転体(2,102)と、第2回転体(4,104)と、第3回転体(3、103)と、1対の第1弾性部材(5,105)と、1対の第2弾性部材(6,106)とから構成されている。第2回転体(4,104)は、第1回転体(2,102)の近傍に配置されている。第3回転体(3、103)は第2回転体の近傍に配置されている。1対の第1弾性部材(5,105)は、軸方向に並んで配置され、第1回転体(2、102)と第2回転体(4,104)が相対回転すると両回転体間で円周方向に並列に圧縮されるように配置されている。1対の第2弾性部材(6,106)、軸方向に並んで配置され、第3回転体が相対回転すると両回転体間で円周方向に並列に圧縮されるように配置され、1対の第1弾性部材(5,105)に対して半径方向の異なる位置に配置されている。
【0058】
このダンパー機構では、トルク伝達において並列に配置された1対の第1弾性部材(5,105)及びトルク伝達において並列に配置された1対の第2弾性部材(6,106)とが間に第2回転体(4,104)を介して第1回転体(2、102)と第3回転体(3,103)との間で直列に配置されている。この構造により広い捩じり角度とともに大きなトルク容量が得られる。
【0059】
本発明はクラッチディスク組立体に限定されず、他のダンパー機構にも採用できる。
【0060】
なお、前述の第1実施形態は本発明の実施形態(第2実施形態)に関連する参考例として記載するものであり、本発明の実施形態ではない。
【0061】
【発明の効果】
本発明に係るダンパー機構では、トルク伝達において並列に配置された1対の第1弾性部材及びトルク伝達において並列に配置された1対の第2弾性部材とが間に第2回転体を介して第1回転体と第3回転体との間で直列に配置されている。この構造により広い捩じり角度とともに大きなトルク容量が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としてのクラッチディスク組立体。
【図2】図1のII矢視図であり、クラッチディスク組立体の平面図。
【図3】各部分を段階的に取り去ったクラッチディスク組立体の平面図。
【図4】プレートの平面図。
【図5】ハブの平面図。
【図6】中間部材の平面図。
【図7】第1ばね及び第1シートの構成を示す部分断面。
【図8】第2ばね及び第2シートの構造を示す一部断面図。
【図9】図3の部分拡大図。
【図10】図3の部分拡大図。
【図11】図3の部分拡大図。
【図12】中間部材とストップピンとの関係を示す部分平面図。
【図13】第1実施形態におけるクラッチディスク組立体の捩じり特性線図。
【図14】第1実施形態におけるクラッチディスク組立体の機械回路図。
【図15】変形例おけるばねストッパー機構を示す部分平面図。
【図16】変形例におけるクラッチディスク組立体の機械回路図。
【図17】変形例におけるクラッチディスク組立体の機械回路図。
【図18】第2実施形態におけるクラッチディスク組立体の縦断面概略図。
【図19】図18のXIX矢視図であり、クラッチディスク組立体の平面図。
【図20】段階的に部品を取り去ったクラッチディスク組立体の部分平面図。
【符号の説明】
1 クラッチディスク組立体(ダンパー機構)
2 入力部材
3 出力部材
4 中間部材
5 第1ばね
6 第2ばね
7 第1シート
8 第2シート
11 摩擦部
12 第1プレート
13 第2プレート
14 第1ピン
15 第2ピン
16 第1ハブ
17 第2ハブ
18 ボス
20 フランジ

Claims (12)

  1. 第1回転体(102)と、
    前記第1回転体(102)と相対回転可能に配置された1対の平板からなる第2回転体(104)と、
    前記第2回転体(104)と相対回転可能に配置された第3回転体(103)と、
    軸方向に並んで配置され、前記第1回転体(102)と前記第2回転体(104)が相対回転すると両回転体間で円周方向に並列に圧縮されるように配置された1対の第1弾性部材(105)と、
    軸方向に並んで配置され、前記第2回転体(104)と前記第3回転体(103)とが相対回転すると両回転体間で円周方向に並列に圧縮されるように配置され、前記1対の第1弾性部材(105)に対して半径方向の異なる位置に配置された、1対の第2弾性部材(106)とを備え、
    前記第2回転体(104)は、前記1対の第1弾性部材(105)の円周方向両端を円周方向に支持する第1窓孔(148)と、前記第1窓孔(148)に対して半径方向の異なる位置に配置され前記1対の第2弾性部材(106)の円周方向両端を円周方向に支持する第2窓孔(149)とを有している、
    ダンパー機構(101)。
  2. 前記1対の第1弾性部材(105)の円周方向両端に配置され、前記第1回転体(102)及び前記第2回転体(104)に係合する1対の第1シート(107)と、
    前記1対の第2弾性部材(106)の円周方向両端に配置され、前記第2回転体(104)及び前記第3回転体(103)に係合する1対の第2シート(108)とをさらに備えている、
    請求項1に記載のダンパー機構(101)。
  3. 前記1対の第1シート(107)は前記第1回転体(102)に対して軸方向に移動不能に係合可能な第1係止部(61)を有し、
    前記1対の第2シート(108)は前記第3回転体(103)に対して軸方向に移動不能に係合可能な第2係止部(53)を有している、
    請求項2に記載のダンパー機構(101)。
  4. 前記1対の第1シート(107)は前記第1回転体(102)及び前記第2回転体(104)に半径方向に移動不能にかつ円周方向に離脱可能に係合しており、
    前記1対の第2シート(108)は前記第2回転体(104)及び前記第3回転体(103)に半径方向に移動不能にかつ円周方向に離脱可能に係合している、
    請求項2又は3に記載のダンパー機構(101)。
  5. 各第1シート(107)は1対の第1弾性部材(105)に係合する第1係合部(62)を有し、
    各第2シート(108)は1対の第2弾性部材(106)に係合する第2係合部(54)を有する、
    請求項1〜4のいずれかに記載のダンパー機構(101)。
  6. 円周方向に延びる第1窓孔(148)と、前記第1窓孔(148)とは半径方向に異なる位置に形成された円周方向に延びる第2窓孔(149)とが形成された1対の平らなプレート(112,113)からなる円板状部材(104)と、
    前記1対のプレート(112,113)に形成された前記第1窓孔(148)の軸方向間に軸方向に並んで配置された1対の第1弾性部材(105)と、
    前記第1窓孔(148)を貫通して軸方向に延び、軸方向両端が前記1対の第1弾性部材(105)の円周方向端に当接する1対の第1シート(107)と、
    前記1対の第1シート(107)に対して円周方向に係合する第1回転部材(102)と、
    前記1対のプレート(112,113)に形成された前記第2窓孔(149)の軸方向間に軸方向に並んで配置された1対の第2弾性部材(106)と、
    前記第2窓孔(149)を貫通して軸方向に延び、軸方向両端が前記1対の第2弾性部材(106)の円周方向端に当接する1対の第2シート(108)と、
    前記1対の第2シートに対して円周方向に係合する第2回転部材(103)と、
    を備えたダンパー機構(101)。
  7. 前記第1回転部材(102)と前記第2回転部材(120)は半径方向に並んで配置され、
    前記1対のプレート(112,113)は前記第1回転部材(102)及び前記第2回転部材(120)の軸方向両側に配置され連結部(115)により互いに固定されており、
    前記1対のプレート(112,113)には前記第1窓孔(148)及び前記第2窓孔(149)が形成され、
    前記第1窓孔(148)には前記1対の第1弾性部材(105)と前記1対の第1シート(107)の一部とが配置され、
    前記第2窓孔(149)には前記第1対の第2弾性部材(106)と前記1対の第2シート(108)の一部とが配置され、
    前記第1回転部材(102)は前記第1シート(107)の円周方向両端に係合する第1支持部(132)を有しており、
    前記第2回転部材(120)は前記第2シート(108)の円周方向両端に係合する第2支持部(121)を有している、
    請求項6に記載のダンパー機構(101)。
  8. 前記第1窓孔(148)と前記第2窓孔(149)は半径方向に並んで配置され互いに連続して形成されている、
    請求項7に記載のダンパー機構(101)。
  9. 前記1対の第1シート(107)は各々が軸方向に延びる第1本体(60)を有し、
    前記第1本体(60)は第1窓孔(148)を貫通し軸方向両側が前記1対の第1弾性部材(105)の円周方向端に係合しており、
    前記1対の第2シート(108)は各々が軸方向に延びる第2本体(52)を有し、
    前記第2本体(52)は第2窓孔(149)を貫通し軸方向両側が前記1対の第2弾性部材(106)の円周方向両端に係合している、
    請求項7又は8に記載のダンパー機構(101)。
  10. 前記第1シート(107)は、前記第1本体(60)から延び前記1対の第1弾性部材(105)の円周方向端部にそれぞれ係合する1対の第1係合部(62)を有しており、
    前記第2シート(108)は、前記第2本体(52)から延び前記1対の第2弾性部材(106)の円周方向端部にそれぞれ係合する1対の第2係合部(54)を有している、
    請求項9に記載のダンパー機構(101)。
  11. 前記第1本体(60)は前記第1窓孔(148)及び第1支持部(132)の円周方向両端に半径方向に移動不能にかつ円周方向に離脱可能に係合しており、
    前記第2本体(52)は前記第2窓孔(149)及び第2支持部(121)の円周方向両端に半径方向に移動不能にかつ円周方向に離脱可能に係合している、
    請求項9又は10に記載のダンパー機構(101)。
  12. 前記第1シート(107)は、前記第1本体(60)の軸方向中間部から円周方向において前記第1弾性部材(105)側と反対側に延び前記1対のプレート(112,113)間に挟まれる第1係止部(61)を有し、
    前記第2シート(108)は、前記第2本体(52)の軸方向中間部から円周方向において前記第2弾性部材(106)側と反対側に延び前記1対のプレート(112,113)間に挟まれる第2係止部(53)を有している、
    請求項9〜11のいずれかに記載のダンパー機構(101)。
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