JP3871407B2 - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、強誘電体層を備えた半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
強誘電体に印加される電圧と分極電荷とのヒステリシス特性を利用した強誘電体メモリが知られている。図12に、従来の強誘電体メモリの断面構成の一例を示す。
【0003】
従来の強誘電体メモリ2は、層間膜4の上に、Pt(白金)により構成された下部電極6、PZT(PbZrxTi1-xO3)等の強誘電体材料により構成された強誘電体層8、Pt(白金)により構成された上部電極10をこの順に積み上げた強誘電体コンデンサ18を備えている。この強誘電体コンデンサ18を覆うように、層間膜12が形成され、アルミ配線14が形成されている。これらを保護するために、パッシベーション膜16が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の強誘電体メモリ2には、次のような問題点があった。強誘電体材料は水素により劣化する傾向がある。すなわち、強誘電体に水素が作用することで、強誘電体のヒステリシス特性が劣化してしまう。このため、パッシベーション膜16等を、強誘電体層8に対する水素の影響が比較的小さいTEOS(Tetraethylorthosilcate、有機シリコンソースの一種)を用いたシリコン酸化膜により形成する方法が提案されている。
【0005】
しかし、シリコン酸化膜(SiO2)は防湿性が悪いため、水分を通しやすく、また、水分を保持しやすい。このため、高湿度下における強誘電体メモリ2の信頼性があまり高くなかった。
【0006】
この発明は、このような問題点を解決し、強誘電体のヒステリシス特性が劣化しにくく、かつ、高湿度下における信頼性の高い半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
この発明の半導体装置の製造方法は、強誘電体層と、強誘電体層の近傍に配置された絶縁層とを備えた半導体装置を製造する方法であって、強誘電体層を形成した後、シランおよびアンモニアを含む成膜ガスを用いて、シリコン窒化物を含む絶縁性材料により構成された絶縁層を形成するよう構成するとともに、当該成膜ガス中のシランおよびアンモニアの容量比を、実質的に70パーセント以下としたこと、を特徴とする。
【0021】
この発明の半導体装置の製造方法は、当該半導体装置が、下部導電体層と、前記強誘電体層と、上部導電体層とを、この順に重ねた強誘電体コンデンサを備えており、前記絶縁層が、当該強誘電体コンデンサを直接的または間接的に覆う膜である場合において、当該強誘電体コンデンサを形成した後、シランおよびアンモニアを含む成膜ガスを用いて絶縁層を形成するよう構成したこと、を特徴とする。
【0035】
【発明の作用および効果】
この発明の半導体装置の製造方法は、強誘電体層を形成した後、シランおよびアンモニアを含む成膜ガスを用いて、シリコン窒化物を含む絶縁性材料により構成された絶縁層を形成するよう構成するとともに、当該成膜ガス中のシランおよびアンモニアの容量比を、実質的に70パーセント以下としたことを特徴とする。
【0036】
したがって、絶縁層を、シリコン窒化物を含む絶縁性材料を用いて構成することにより、絶縁層の防湿性を向上させることができる。また、絶縁層の成膜ガス中のシランおよびアンモニアの容量比を、実質的に70パーセント以下とすることにより、絶縁層を形成することに起因する強誘電体層のスイッチング容量の低下を、許容範囲内に抑えることができる。すなわち、強誘電体のヒステリシス特性が劣化しにくく、かつ、高湿度下における信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
図11は、この発明の一実施形態による半導体装置である2トランジスタ・2キャパシタ型の強誘電体メモリMの回路構成の一例である。図1は、強誘電体メモリMの断面構成の一部(強誘電体コンデンサCf近傍)を示す図面である。図1に示すように、強誘電体メモリMは、シリコン基板22上に、フィールド酸化膜24、層間膜26、ゲート28、層間膜30を配置し、この上に、強誘電体コンデンサCfを配置している。
【0038】
強誘電体コンデンサCfは、下部導電体層である下部電極32、PZT(PbZrxTi1-xO3)等の強誘電体材料により構成された強誘電体層34、上部導電体層である上部電極36をこの順に積み上げた構成を有している。下部電極32は、IrO2(イリジウム酸化物)、Pt(白金)をこの順に積み上げた2層構造の電極である。導電体層である上部電極36は、第1の層であるIrO2(酸化イリジウム)、第2の層であるIr(イリジウム)をこの順に積み上げた2層構造の電極である。
【0039】
強誘電体コンデンサCfを覆うように、層間膜38が形成され、アルミ配線40が形成されている。これらを保護するために、表面保護膜であるパッシベーション膜42が形成されている。各層間膜26、30、38はシリコン酸化膜により構成されている。絶縁層であるパッシベーション膜42は、水素濃度の低いシリコン窒化膜により構成されている。
【0040】
つぎに、図2A〜図4Bおよび図1に基づいて、強誘電体メモリMの製造方法を説明する。まず、図2Aに示すように、シリコン基板22を用意し、シリコン基板22の一部にフィールド酸化膜24を形成する。フィールド酸化膜24は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法等により形成する。
【0041】
つぎに、図2Bに示すように、層間膜26を形成し、層間膜26の上にゲート28を形成する。層間膜26は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりシリコン酸化物を堆積させることにより形成する。ゲート28は、CVD法等によりポリシリコンを堆積させ、これをRIE(Reactive Ion Etching)により、所定形状にパタニングすることにより形成する。
【0042】
つぎに、図3Aに示すように、層間膜30を形成する。層間膜30は、CVD法等によりシリコン酸化物を堆積させることにより形成する。
【0043】
つぎに、図3Bに示すように、層間膜30の上に強誘電体コンデンサCfを形成する。強誘電体コンデンサCfは、つぎのようにして形成する。まず、層間膜30の上に下部電極32となる層を、スパッタリング等により形成する。下部電極32となる層は、IrO2(イリジウム酸化物)、Pt(白金)をこの順に積み上げた2層構造の層である。つぎに、この上に、強誘電体層34となる層を、ゾル・ゲル(Sol-Gel)法等により形成する。強誘電体層34となる層は、PZT(PbZrxTi1-xO3)により構成されている。さらに、この上に、上部電極36となる層を、スパッタリング等により形成する。上部電極36となる層は、IrO2(イリジウム酸化物)、Ir(イリジウム)をこの順に積み上げた2層構造の層である。このようにして形成された3つの層を、エッチングにより所定形状にパタニングして、強誘電体コンデンサCfを形成する。
【0044】
つぎに、図4Aに示すように、層間膜38を形成する。層間膜38は、有機シリコンソースであるTEOS(Tetraethylorthosilcate)を用い、プラズマCVD法等により、シリコン酸化膜を堆積させることにより形成する。つぎに、このようにして形成した層間膜38に、エッチングによりコンタクトホール38a、38bを形成する。コンタクトホール38aは、強誘電体コンデンサCfの上部電極36の上面に到達するように形成する。コンタクトホール38bは、シリコン基板22に到達するように形成する。
【0045】
つぎに、図4Bに示すように、アルミ配線40を形成する。アルミ配線40は、アルミ配線40となる層をスパッタリング等により形成したのち、エッチングによりこれを所定形状にパタニングすることにより形成する。
【0046】
最後に、図1に示すように、パッシベーション膜42を形成する。パッシベーション膜42は、プラズマCVD法を用いて、水素濃度の低いシリコン窒化膜(SiN)を堆積させることにより形成する。パッシベーション膜42を形成する際の成膜ガス成分として、SiH4(シラン)、NH3(アンモニア)、窒素(N2)、酸化窒素(N2O)を用いている。
【0047】
この実施形態においては、該成膜ガス中の水素を含むガスであるSiH4およびNH3の容量パーセントを、約6パーセント(SiH4約1パーセント、NH3約5パーセント)に設定している(図5(a)参照)。このようにして形成したパッシベーション膜42(水素濃度の低いシリコン窒化膜)中のSi−H結合の水素濃度は、0.06×1022個/cm3程度であった(図6(a)参照)。また、パッシベーション膜42中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度は、1.3×1022個/cm3程度であった(図7(a)参照)。なお、パッシベーション膜42中のSi−H結合の水素濃度、およびN−H結合の水素濃度は、FTIR(フーリエ変換赤外分光)法による測定装置(BIO-RAD社製、QS300)を用いて測定した。
【0048】
上述のパッシベーション膜42の成膜プロセスや、形成されたパッシベーション膜42が、強誘電体コンデンサCfの強誘電体層34にどのような影響をおよぼすかについて実験を行なった。実験においては、パッシベーション膜42を形成する前後において、強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qsw(後述)を測定し、パッシベーション膜42を形成する前の強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswに比し、パッシベーション膜42を形成した後の強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswがどの程度減少しているかを算出した。
【0049】
スイッチング容量Qswの測定は、図9に示すような一般的なソーヤタワー回路を用いて行なった。ソーヤタワー回路には、交流電圧v=Vin・sin(ωt)が印加されている。ソーヤタワー回路のX点およびY点の電位を測定することにより、強誘電体コンデンサCfに印加される交流電圧vと、強誘電体コンデンサCfの呈する分極電荷Qとの関係を知ることができる。ソーヤタワー回路のオシロスコープOSに表示された上記関係を、図10に示す。
【0050】
図10において、残留分極電荷Pr1、Pr2は、印加電圧vが零の場合に、電圧の印加履歴に応じて強誘電体コンデンサCfが呈する2つの分極電荷である。上述のスイッチング容量Qswは、残留分極電荷Pr1、Pr2の絶対値の和Sに対応する量である。すなわち、スイッチング容量Qswが大きいほど、記憶素子としての能力が大きいことになる。したがって、パッシベーション膜42形成後の強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswの減少率が小さいほど、記憶素子としての能力の低下が少ないことになる。
【0051】
図8(a)に示すように、この実施形態においては、パッシベーション膜42形成後の強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswの減少率は、10パーセント以下であった。この程度のスイッチング容量Qswの減少であれば、実用上なんら問題はないと思われる。
【0052】
なお、上述の実施形態においては、パッシベーション膜42の成膜ガス中の水素を含むガスであるSiH4およびNH3の容量パーセントを、約6パーセントに設定してシリコン窒化膜を形成した場合(図5(a)参照)を例に説明したが、パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、約25パーセントに設定してシリコン酸化窒化膜を形成した場合(図5(b)参照)の例を、つぎに説明する。
【0053】
このようにして形成したパッシベーション膜42(シリコン酸化窒化膜)中のSi−H結合の水素濃度は、0.1×1022個/cm3程度であった(図6(b)参照)。また、パッシベーション膜42中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度は、1.6×1022個/cm3程度であった(図7(b)参照)。
【0054】
図8(b)に示すように、この場合においても、パッシベーション膜42形成後の強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswの減少率は、10パーセント以下であった。
【0055】
つぎに、パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、約75パーセントに設定して通常の水素濃度を有するシリコン窒化膜を形成した場合(図5(c)参照)の例を説明する。
【0056】
このようにして形成したパッシベーション膜42(シリコン窒化膜)中のSi−H結合の水素濃度は、1.1×1022個/cm3程度であった(図6(c)参照)。また、パッシベーション膜42中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度は、1.7×1022個/cm3程度であった(図7(c)参照)。
【0057】
図8(c)に示すように、この場合においては、パッシベーション膜42形成後の強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswの減少率は、27パーセント程度であった。
【0058】
以上の結果から、パッシベーション膜42の成膜ガス中の水素を含むガスであるSiH4およびNH3の容量パーセントは、70パーセント程度(図5(d)参照)以下が好ましい。SiH4およびNH3の容量パーセントを70パーセント程度以下に設定することにより、強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswの減少率を25パーセント程度(図8(d)参照)以下に抑えられるからである。強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswの減少率を25パーセント程度以下に抑えることができれば、実用上あまり問題はないと思われる。
【0059】
パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、70パーセント程度以下に抑えることにより、パッシベーション膜42中のSi−H結合の水素濃度は、1.0×1022個/cm3程度(図6(d)参照)以下となると考えられる。また、パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、70パーセント程度以下に抑えることにより、パッシベーション膜42中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度は、1.6×1022個/cm3程度以下となると考えられる(図7(d)参照)。
【0060】
なお、パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを30パーセント程度以下にすれば(図5参照)、Qswの減少率が10パーセント程度以下となる(図8参照)ので、より好ましい。
【0061】
パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、30パーセント程度以下に抑えることにより、パッシベーション膜42中のSi−H結合の水素濃度は、0.1×1022個/cm3程度(図6参照)以下となると考えられる。また、パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、30パーセント程度以下に抑えることにより、パッシベーション膜42中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度は、1.6×1022個/cm3程度以下となると考えられる(図7参照)。
【0062】
また、パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを6パーセント程度以下にすれば(図5参照)、Qswの減少率が10パーセント程度以下となる(図8参照)ので、好ましい。
【0063】
パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、6パーセント程度以下に抑えることにより、パッシベーション膜42中のSi−H結合の水素濃度は、0.06×1022個/cm3程度(図6参照)以下となると考えられる。また、パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、6パーセント程度以下に抑えることにより、パッシベーション膜42中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度は、1.3×1022個/cm3程度以下となると考えられる(図7参照)。
【0064】
このように、パッシベーション膜42の成膜ガス中の水素を含むガスであるSiH4およびNH3の容量パーセントを低く設定することにより、Qswの減少率が小さくなるのは、成膜プロセスにおける水素の発生が少ないために、水素による強誘電体コンデンサCfの劣化がある程度防止されるためと考えられる。
【0065】
同様に、パッシベーション膜42中のSi−H結合の水素濃度やパッシベーション膜42中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度を低く設定することにより、Qswの減少率が小さくなるのは、形成されたパッシベーション膜42に含有される水素が少ないために、水素による強誘電体コンデンサCfの劣化がある程度防止されるためと考えられる。
【0066】
また、強誘電体コンデンサCfの上部電極36として、IrO2(イリジウム酸化物)、Ir(イリジウム)をこの順に積み上げた2層構造の電極を用い、下部電極32として、IrO2(イリジウム酸化物)、Pt(白金)をこの順に積み上げた2層構造電極を用いているが、IrO2のような導電性を有する酸化物を電極に用いることにより、強誘電体層34に対する水素の影響を緩和することができると考えられる。特に、上部電極36として導電性を有する酸化物を用いることにより、パッシベーション膜42側からの水素の影響を緩和することができ、好都合であると考えられる。
【0067】
このような、導電性を有する酸化物としては、IrO2に限定されるものではなく、たとえば、RuO2,SrRuO3,PtRhOx,SRO+α,LSCO(La Sr Co(またはCu) Ox),LSCO+α等でもよい。
【0068】
このようにして形成された水素濃度の低いシリコン窒化膜(図5〜図8(a)参照)で構成されたパッシベーション膜42を備えた強誘電体メモリM、シリコン酸化窒化膜(図5〜図8(b)参照)で構成されたパッシベーション膜42を備えた強誘電体メモリM、および通常の水素濃度を有するシリコン窒化膜(図5〜図8(c)参照)で構成されたパッシベーション膜42を備えた強誘電体メモリMを、それぞれ30個用意し、HAST(不飽和蒸気加圧試験、EIAJ ED-4701)を行なった。試験は、温度150℃、相対湿度80パーセントの状態で、電圧を印加し、300時間放置することにより実施した。
【0069】
試験の結果、水素濃度の低いシリコン窒化膜で構成されたパッシベーション膜42を備えた強誘電体メモリM、シリコン酸化窒化膜で構成されたパッシベーション膜42を備えた強誘電体メモリM、および通常の水素濃度を有するシリコン窒化膜で構成されたパッシベーション膜42を備えた強誘電体メモリMそれぞれについて、デバイス特性が劣化した試料は見られなかった。なお、同様の試験を従来のシリコン酸化膜で構成されたパッシベーション膜を備えた強誘電体メモリについて行なったところ、デバイス特性が劣化した試料が見られた。
【0070】
これは、パッシベーション膜42を、水素濃度の低いシリコン窒化膜、シリコン酸化窒化膜、通常の水素濃度を有するシリコン窒化膜などのように、緻密なシリコン窒化物を含む材料を用いて構成することにより、パッシベーション膜42の防湿性を向上させることができるためと考えられる。すなわち、パッシベーション膜42によって、強誘電体メモリMの外部からの水分の侵入をある程度防ぐことができると考えられる。
【0071】
なお、上述の実施形態においては、導電体層が上部導電体層(上部電極)である場合を例に説明したが、この発明は、導電体層が、たとえば下部導電体層(下部電極)である場合にも適用することができる。
【0072】
また、上述の実施形態においては、導電体層が2層構造である場合を例に説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。たとえば、導電体層が1層構造の場合や、3層以上の構造である場合にも、この発明を適用することができる。
【0073】
なお、上述の実施形態においては、パッシベーション膜42を形成する方法としてプラズマCVD法を用いたが、パッシベーション膜42を形成する方法はこれに限定されるものではない。パッシベーション膜42を形成する方法としては、たとえば、常圧CVD法等を用いることもできる。
【0074】
また、上述の実施形態においては、絶縁層が、強誘電体層を間接的に覆う表面保護膜(パッシベーション膜)である場合を例に説明したが、絶縁層が、強誘電体層を直接的に覆う表面保護膜である場合にも、この発明を適用することができる。さらに、絶縁層が表面保護膜である場合を例に説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。たとえば、絶縁層が層間膜等である場合にも、この発明を適用することができる。
【0075】
また、上述の実施形態においては、強誘電体材料としてPZTを例に説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。強誘電体材料が、たとえばY1やSBTである場合にも、この発明を適用することができる。
【0076】
なお、上述の実施形態においては、半導体装置として2トランジスタ・2キャパシタ型の強誘電体メモリを例に説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。この発明は、たとえば、1トランジスタ・1キャパシタ型の強誘電体メモリにも適用することができる。また、MFMIS(Metal Ferroelectric Metal Insulator Silicon)構造のFET(電界効果トランジスタ)など、FFT型の強誘電体メモリにも適用することができる。さらに、強誘電体メモリのみならず、強誘電体を利用した半導体装置一般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による半導体装置である2トランジスタ・2キャパシタ型の強誘電体メモリMの断面構成の一部(強誘電体コンデンサCf近傍)を示す図面である。
【図2】図2A、図2Bは、強誘電体メモリMの製造工程を説明するための断面図である。
【図3】図3A、図3Bは、強誘電体メモリMの製造工程を説明するための断面図である。
【図4】図4A、図4Bは、強誘電体メモリMの製造工程を説明するための断面図である。
【図5】各パッシベーション膜42について、成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを示す図面である。
【図6】各パッシベーション膜42について、膜中のSi−H結合の水素濃度を示す図面である。
【図7】各パッシベーション膜42について、膜中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度を示す図面である。
【図8】各パッシベーション膜42について、膜形成後の強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswの減少率を示す図面である。
【図9】ソーヤタワー回路の構成を示す図面である。
【図10】ソーヤタワー回路により測定された強誘電体のヒステリシス曲線を示す図面である。
【図11】2トランジスタ・2キャパシタ型の強誘電体メモリMの構成を示す図面である。
【図12】従来の強誘電体メモリ2の断面構成の一例を示す図面である。
【符号の説明】
38・・・・・層間膜
40・・・・・アルミ配線
42・・・・・パッシベーション膜
Cf ・・・・・強誘電体コンデンサ
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、強誘電体層を備えた半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
強誘電体に印加される電圧と分極電荷とのヒステリシス特性を利用した強誘電体メモリが知られている。図12に、従来の強誘電体メモリの断面構成の一例を示す。
【0003】
従来の強誘電体メモリ2は、層間膜4の上に、Pt(白金)により構成された下部電極6、PZT(PbZrxTi1-xO3)等の強誘電体材料により構成された強誘電体層8、Pt(白金)により構成された上部電極10をこの順に積み上げた強誘電体コンデンサ18を備えている。この強誘電体コンデンサ18を覆うように、層間膜12が形成され、アルミ配線14が形成されている。これらを保護するために、パッシベーション膜16が形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来の強誘電体メモリ2には、次のような問題点があった。強誘電体材料は水素により劣化する傾向がある。すなわち、強誘電体に水素が作用することで、強誘電体のヒステリシス特性が劣化してしまう。このため、パッシベーション膜16等を、強誘電体層8に対する水素の影響が比較的小さいTEOS(Tetraethylorthosilcate、有機シリコンソースの一種)を用いたシリコン酸化膜により形成する方法が提案されている。
【0005】
しかし、シリコン酸化膜(SiO2)は防湿性が悪いため、水分を通しやすく、また、水分を保持しやすい。このため、高湿度下における強誘電体メモリ2の信頼性があまり高くなかった。
【0006】
この発明は、このような問題点を解決し、強誘電体のヒステリシス特性が劣化しにくく、かつ、高湿度下における信頼性の高い半導体装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
この発明の半導体装置の製造方法は、強誘電体層と、強誘電体層の近傍に配置された絶縁層とを備えた半導体装置を製造する方法であって、強誘電体層を形成した後、シランおよびアンモニアを含む成膜ガスを用いて、シリコン窒化物を含む絶縁性材料により構成された絶縁層を形成するよう構成するとともに、当該成膜ガス中のシランおよびアンモニアの容量比を、実質的に70パーセント以下としたこと、を特徴とする。
【0021】
この発明の半導体装置の製造方法は、当該半導体装置が、下部導電体層と、前記強誘電体層と、上部導電体層とを、この順に重ねた強誘電体コンデンサを備えており、前記絶縁層が、当該強誘電体コンデンサを直接的または間接的に覆う膜である場合において、当該強誘電体コンデンサを形成した後、シランおよびアンモニアを含む成膜ガスを用いて絶縁層を形成するよう構成したこと、を特徴とする。
【0035】
【発明の作用および効果】
この発明の半導体装置の製造方法は、強誘電体層を形成した後、シランおよびアンモニアを含む成膜ガスを用いて、シリコン窒化物を含む絶縁性材料により構成された絶縁層を形成するよう構成するとともに、当該成膜ガス中のシランおよびアンモニアの容量比を、実質的に70パーセント以下としたことを特徴とする。
【0036】
したがって、絶縁層を、シリコン窒化物を含む絶縁性材料を用いて構成することにより、絶縁層の防湿性を向上させることができる。また、絶縁層の成膜ガス中のシランおよびアンモニアの容量比を、実質的に70パーセント以下とすることにより、絶縁層を形成することに起因する強誘電体層のスイッチング容量の低下を、許容範囲内に抑えることができる。すなわち、強誘電体のヒステリシス特性が劣化しにくく、かつ、高湿度下における信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
図11は、この発明の一実施形態による半導体装置である2トランジスタ・2キャパシタ型の強誘電体メモリMの回路構成の一例である。図1は、強誘電体メモリMの断面構成の一部(強誘電体コンデンサCf近傍)を示す図面である。図1に示すように、強誘電体メモリMは、シリコン基板22上に、フィールド酸化膜24、層間膜26、ゲート28、層間膜30を配置し、この上に、強誘電体コンデンサCfを配置している。
【0038】
強誘電体コンデンサCfは、下部導電体層である下部電極32、PZT(PbZrxTi1-xO3)等の強誘電体材料により構成された強誘電体層34、上部導電体層である上部電極36をこの順に積み上げた構成を有している。下部電極32は、IrO2(イリジウム酸化物)、Pt(白金)をこの順に積み上げた2層構造の電極である。導電体層である上部電極36は、第1の層であるIrO2(酸化イリジウム)、第2の層であるIr(イリジウム)をこの順に積み上げた2層構造の電極である。
【0039】
強誘電体コンデンサCfを覆うように、層間膜38が形成され、アルミ配線40が形成されている。これらを保護するために、表面保護膜であるパッシベーション膜42が形成されている。各層間膜26、30、38はシリコン酸化膜により構成されている。絶縁層であるパッシベーション膜42は、水素濃度の低いシリコン窒化膜により構成されている。
【0040】
つぎに、図2A〜図4Bおよび図1に基づいて、強誘電体メモリMの製造方法を説明する。まず、図2Aに示すように、シリコン基板22を用意し、シリコン基板22の一部にフィールド酸化膜24を形成する。フィールド酸化膜24は、LOCOS(Local Oxidation of Silicon)法等により形成する。
【0041】
つぎに、図2Bに示すように、層間膜26を形成し、層間膜26の上にゲート28を形成する。層間膜26は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等によりシリコン酸化物を堆積させることにより形成する。ゲート28は、CVD法等によりポリシリコンを堆積させ、これをRIE(Reactive Ion Etching)により、所定形状にパタニングすることにより形成する。
【0042】
つぎに、図3Aに示すように、層間膜30を形成する。層間膜30は、CVD法等によりシリコン酸化物を堆積させることにより形成する。
【0043】
つぎに、図3Bに示すように、層間膜30の上に強誘電体コンデンサCfを形成する。強誘電体コンデンサCfは、つぎのようにして形成する。まず、層間膜30の上に下部電極32となる層を、スパッタリング等により形成する。下部電極32となる層は、IrO2(イリジウム酸化物)、Pt(白金)をこの順に積み上げた2層構造の層である。つぎに、この上に、強誘電体層34となる層を、ゾル・ゲル(Sol-Gel)法等により形成する。強誘電体層34となる層は、PZT(PbZrxTi1-xO3)により構成されている。さらに、この上に、上部電極36となる層を、スパッタリング等により形成する。上部電極36となる層は、IrO2(イリジウム酸化物)、Ir(イリジウム)をこの順に積み上げた2層構造の層である。このようにして形成された3つの層を、エッチングにより所定形状にパタニングして、強誘電体コンデンサCfを形成する。
【0044】
つぎに、図4Aに示すように、層間膜38を形成する。層間膜38は、有機シリコンソースであるTEOS(Tetraethylorthosilcate)を用い、プラズマCVD法等により、シリコン酸化膜を堆積させることにより形成する。つぎに、このようにして形成した層間膜38に、エッチングによりコンタクトホール38a、38bを形成する。コンタクトホール38aは、強誘電体コンデンサCfの上部電極36の上面に到達するように形成する。コンタクトホール38bは、シリコン基板22に到達するように形成する。
【0045】
つぎに、図4Bに示すように、アルミ配線40を形成する。アルミ配線40は、アルミ配線40となる層をスパッタリング等により形成したのち、エッチングによりこれを所定形状にパタニングすることにより形成する。
【0046】
最後に、図1に示すように、パッシベーション膜42を形成する。パッシベーション膜42は、プラズマCVD法を用いて、水素濃度の低いシリコン窒化膜(SiN)を堆積させることにより形成する。パッシベーション膜42を形成する際の成膜ガス成分として、SiH4(シラン)、NH3(アンモニア)、窒素(N2)、酸化窒素(N2O)を用いている。
【0047】
この実施形態においては、該成膜ガス中の水素を含むガスであるSiH4およびNH3の容量パーセントを、約6パーセント(SiH4約1パーセント、NH3約5パーセント)に設定している(図5(a)参照)。このようにして形成したパッシベーション膜42(水素濃度の低いシリコン窒化膜)中のSi−H結合の水素濃度は、0.06×1022個/cm3程度であった(図6(a)参照)。また、パッシベーション膜42中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度は、1.3×1022個/cm3程度であった(図7(a)参照)。なお、パッシベーション膜42中のSi−H結合の水素濃度、およびN−H結合の水素濃度は、FTIR(フーリエ変換赤外分光)法による測定装置(BIO-RAD社製、QS300)を用いて測定した。
【0048】
上述のパッシベーション膜42の成膜プロセスや、形成されたパッシベーション膜42が、強誘電体コンデンサCfの強誘電体層34にどのような影響をおよぼすかについて実験を行なった。実験においては、パッシベーション膜42を形成する前後において、強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qsw(後述)を測定し、パッシベーション膜42を形成する前の強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswに比し、パッシベーション膜42を形成した後の強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswがどの程度減少しているかを算出した。
【0049】
スイッチング容量Qswの測定は、図9に示すような一般的なソーヤタワー回路を用いて行なった。ソーヤタワー回路には、交流電圧v=Vin・sin(ωt)が印加されている。ソーヤタワー回路のX点およびY点の電位を測定することにより、強誘電体コンデンサCfに印加される交流電圧vと、強誘電体コンデンサCfの呈する分極電荷Qとの関係を知ることができる。ソーヤタワー回路のオシロスコープOSに表示された上記関係を、図10に示す。
【0050】
図10において、残留分極電荷Pr1、Pr2は、印加電圧vが零の場合に、電圧の印加履歴に応じて強誘電体コンデンサCfが呈する2つの分極電荷である。上述のスイッチング容量Qswは、残留分極電荷Pr1、Pr2の絶対値の和Sに対応する量である。すなわち、スイッチング容量Qswが大きいほど、記憶素子としての能力が大きいことになる。したがって、パッシベーション膜42形成後の強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswの減少率が小さいほど、記憶素子としての能力の低下が少ないことになる。
【0051】
図8(a)に示すように、この実施形態においては、パッシベーション膜42形成後の強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswの減少率は、10パーセント以下であった。この程度のスイッチング容量Qswの減少であれば、実用上なんら問題はないと思われる。
【0052】
なお、上述の実施形態においては、パッシベーション膜42の成膜ガス中の水素を含むガスであるSiH4およびNH3の容量パーセントを、約6パーセントに設定してシリコン窒化膜を形成した場合(図5(a)参照)を例に説明したが、パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、約25パーセントに設定してシリコン酸化窒化膜を形成した場合(図5(b)参照)の例を、つぎに説明する。
【0053】
このようにして形成したパッシベーション膜42(シリコン酸化窒化膜)中のSi−H結合の水素濃度は、0.1×1022個/cm3程度であった(図6(b)参照)。また、パッシベーション膜42中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度は、1.6×1022個/cm3程度であった(図7(b)参照)。
【0054】
図8(b)に示すように、この場合においても、パッシベーション膜42形成後の強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswの減少率は、10パーセント以下であった。
【0055】
つぎに、パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、約75パーセントに設定して通常の水素濃度を有するシリコン窒化膜を形成した場合(図5(c)参照)の例を説明する。
【0056】
このようにして形成したパッシベーション膜42(シリコン窒化膜)中のSi−H結合の水素濃度は、1.1×1022個/cm3程度であった(図6(c)参照)。また、パッシベーション膜42中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度は、1.7×1022個/cm3程度であった(図7(c)参照)。
【0057】
図8(c)に示すように、この場合においては、パッシベーション膜42形成後の強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswの減少率は、27パーセント程度であった。
【0058】
以上の結果から、パッシベーション膜42の成膜ガス中の水素を含むガスであるSiH4およびNH3の容量パーセントは、70パーセント程度(図5(d)参照)以下が好ましい。SiH4およびNH3の容量パーセントを70パーセント程度以下に設定することにより、強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswの減少率を25パーセント程度(図8(d)参照)以下に抑えられるからである。強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswの減少率を25パーセント程度以下に抑えることができれば、実用上あまり問題はないと思われる。
【0059】
パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、70パーセント程度以下に抑えることにより、パッシベーション膜42中のSi−H結合の水素濃度は、1.0×1022個/cm3程度(図6(d)参照)以下となると考えられる。また、パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、70パーセント程度以下に抑えることにより、パッシベーション膜42中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度は、1.6×1022個/cm3程度以下となると考えられる(図7(d)参照)。
【0060】
なお、パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを30パーセント程度以下にすれば(図5参照)、Qswの減少率が10パーセント程度以下となる(図8参照)ので、より好ましい。
【0061】
パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、30パーセント程度以下に抑えることにより、パッシベーション膜42中のSi−H結合の水素濃度は、0.1×1022個/cm3程度(図6参照)以下となると考えられる。また、パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、30パーセント程度以下に抑えることにより、パッシベーション膜42中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度は、1.6×1022個/cm3程度以下となると考えられる(図7参照)。
【0062】
また、パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを6パーセント程度以下にすれば(図5参照)、Qswの減少率が10パーセント程度以下となる(図8参照)ので、好ましい。
【0063】
パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、6パーセント程度以下に抑えることにより、パッシベーション膜42中のSi−H結合の水素濃度は、0.06×1022個/cm3程度(図6参照)以下となると考えられる。また、パッシベーション膜42の成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを、6パーセント程度以下に抑えることにより、パッシベーション膜42中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度は、1.3×1022個/cm3程度以下となると考えられる(図7参照)。
【0064】
このように、パッシベーション膜42の成膜ガス中の水素を含むガスであるSiH4およびNH3の容量パーセントを低く設定することにより、Qswの減少率が小さくなるのは、成膜プロセスにおける水素の発生が少ないために、水素による強誘電体コンデンサCfの劣化がある程度防止されるためと考えられる。
【0065】
同様に、パッシベーション膜42中のSi−H結合の水素濃度やパッシベーション膜42中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度を低く設定することにより、Qswの減少率が小さくなるのは、形成されたパッシベーション膜42に含有される水素が少ないために、水素による強誘電体コンデンサCfの劣化がある程度防止されるためと考えられる。
【0066】
また、強誘電体コンデンサCfの上部電極36として、IrO2(イリジウム酸化物)、Ir(イリジウム)をこの順に積み上げた2層構造の電極を用い、下部電極32として、IrO2(イリジウム酸化物)、Pt(白金)をこの順に積み上げた2層構造電極を用いているが、IrO2のような導電性を有する酸化物を電極に用いることにより、強誘電体層34に対する水素の影響を緩和することができると考えられる。特に、上部電極36として導電性を有する酸化物を用いることにより、パッシベーション膜42側からの水素の影響を緩和することができ、好都合であると考えられる。
【0067】
このような、導電性を有する酸化物としては、IrO2に限定されるものではなく、たとえば、RuO2,SrRuO3,PtRhOx,SRO+α,LSCO(La Sr Co(またはCu) Ox),LSCO+α等でもよい。
【0068】
このようにして形成された水素濃度の低いシリコン窒化膜(図5〜図8(a)参照)で構成されたパッシベーション膜42を備えた強誘電体メモリM、シリコン酸化窒化膜(図5〜図8(b)参照)で構成されたパッシベーション膜42を備えた強誘電体メモリM、および通常の水素濃度を有するシリコン窒化膜(図5〜図8(c)参照)で構成されたパッシベーション膜42を備えた強誘電体メモリMを、それぞれ30個用意し、HAST(不飽和蒸気加圧試験、EIAJ ED-4701)を行なった。試験は、温度150℃、相対湿度80パーセントの状態で、電圧を印加し、300時間放置することにより実施した。
【0069】
試験の結果、水素濃度の低いシリコン窒化膜で構成されたパッシベーション膜42を備えた強誘電体メモリM、シリコン酸化窒化膜で構成されたパッシベーション膜42を備えた強誘電体メモリM、および通常の水素濃度を有するシリコン窒化膜で構成されたパッシベーション膜42を備えた強誘電体メモリMそれぞれについて、デバイス特性が劣化した試料は見られなかった。なお、同様の試験を従来のシリコン酸化膜で構成されたパッシベーション膜を備えた強誘電体メモリについて行なったところ、デバイス特性が劣化した試料が見られた。
【0070】
これは、パッシベーション膜42を、水素濃度の低いシリコン窒化膜、シリコン酸化窒化膜、通常の水素濃度を有するシリコン窒化膜などのように、緻密なシリコン窒化物を含む材料を用いて構成することにより、パッシベーション膜42の防湿性を向上させることができるためと考えられる。すなわち、パッシベーション膜42によって、強誘電体メモリMの外部からの水分の侵入をある程度防ぐことができると考えられる。
【0071】
なお、上述の実施形態においては、導電体層が上部導電体層(上部電極)である場合を例に説明したが、この発明は、導電体層が、たとえば下部導電体層(下部電極)である場合にも適用することができる。
【0072】
また、上述の実施形態においては、導電体層が2層構造である場合を例に説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。たとえば、導電体層が1層構造の場合や、3層以上の構造である場合にも、この発明を適用することができる。
【0073】
なお、上述の実施形態においては、パッシベーション膜42を形成する方法としてプラズマCVD法を用いたが、パッシベーション膜42を形成する方法はこれに限定されるものではない。パッシベーション膜42を形成する方法としては、たとえば、常圧CVD法等を用いることもできる。
【0074】
また、上述の実施形態においては、絶縁層が、強誘電体層を間接的に覆う表面保護膜(パッシベーション膜)である場合を例に説明したが、絶縁層が、強誘電体層を直接的に覆う表面保護膜である場合にも、この発明を適用することができる。さらに、絶縁層が表面保護膜である場合を例に説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。たとえば、絶縁層が層間膜等である場合にも、この発明を適用することができる。
【0075】
また、上述の実施形態においては、強誘電体材料としてPZTを例に説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。強誘電体材料が、たとえばY1やSBTである場合にも、この発明を適用することができる。
【0076】
なお、上述の実施形態においては、半導体装置として2トランジスタ・2キャパシタ型の強誘電体メモリを例に説明したが、この発明はこれに限定されるものではない。この発明は、たとえば、1トランジスタ・1キャパシタ型の強誘電体メモリにも適用することができる。また、MFMIS(Metal Ferroelectric Metal Insulator Silicon)構造のFET(電界効果トランジスタ)など、FFT型の強誘電体メモリにも適用することができる。さらに、強誘電体メモリのみならず、強誘電体を利用した半導体装置一般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による半導体装置である2トランジスタ・2キャパシタ型の強誘電体メモリMの断面構成の一部(強誘電体コンデンサCf近傍)を示す図面である。
【図2】図2A、図2Bは、強誘電体メモリMの製造工程を説明するための断面図である。
【図3】図3A、図3Bは、強誘電体メモリMの製造工程を説明するための断面図である。
【図4】図4A、図4Bは、強誘電体メモリMの製造工程を説明するための断面図である。
【図5】各パッシベーション膜42について、成膜ガス中のSiH4およびNH3の容量パーセントを示す図面である。
【図6】各パッシベーション膜42について、膜中のSi−H結合の水素濃度を示す図面である。
【図7】各パッシベーション膜42について、膜中のSi−H結合およびN−H結合の合計水素濃度を示す図面である。
【図8】各パッシベーション膜42について、膜形成後の強誘電体コンデンサCfのスイッチング容量Qswの減少率を示す図面である。
【図9】ソーヤタワー回路の構成を示す図面である。
【図10】ソーヤタワー回路により測定された強誘電体のヒステリシス曲線を示す図面である。
【図11】2トランジスタ・2キャパシタ型の強誘電体メモリMの構成を示す図面である。
【図12】従来の強誘電体メモリ2の断面構成の一例を示す図面である。
【符号の説明】
38・・・・・層間膜
40・・・・・アルミ配線
42・・・・・パッシベーション膜
Cf ・・・・・強誘電体コンデンサ
Claims (2)
- 強誘電体層と、強誘電体層の近傍に配置された絶縁層とを備えた半導体装置を製造する方法であって、
強誘電体層を形成した後、シランおよびアンモニアを含む成膜ガスを用いて、シリコン窒化物を含む絶縁性材料により構成された絶縁層を形成するよう構成するとともに、
当該成膜ガス中のシランおよびアンモニアの容量比を、実質的に70パーセント以下としたこと、
を特徴とする、半導体装置の製造方法。 - 請求項1の半導体装置の製造方法において、
当該半導体装置が、下部導電体層と、前記強誘電体層と、上部導電体層とを、この順に重ねた強誘電体コンデンサを備えており、
前記絶縁層が、当該強誘電体コンデンサを直接的または間接的に覆う膜である場合において、
当該強誘電体コンデンサを形成した後、シランおよびアンモニアを含む成膜ガスを用いて絶縁層を形成するよう構成したこと、
を特徴とするもの。
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