JP3871166B2 - 半導体製造用排水の汚泥処理装置 - Google Patents

半導体製造用排水の汚泥処理装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造工程における汚泥排水を濃縮して脱水処理する汚泥処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造工程においては、研削、エッチング、洗浄等の工程で化学薬品を含んだ汚泥が出るため、これを濃縮した後脱水処理工程に送り、脱水ケーキとして処分するようにしている。
従来の半導体製造用排水の汚泥処理装置は、図3に示すように、各製造工程から出る汚泥を第1段の沈澱槽1a、1b、1cに入れて汚泥を沈殿させ、濃縮された汚泥をポンプ5を介して次の第2段の沈殿槽9に送ってさらに濃縮し、ここで濃縮された汚泥を汚泥貯槽18に送って攪拌した後、脱水処理工程に送る。脱水処理工程において脱水機27により脱水ケーキ32とした後焼却または埋設処分するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の半導体製造用排水の汚泥処理装置は、上述のように第1段の沈殿槽1a、1b、1c、第2段の沈殿槽9、汚泥貯槽18に単純にポンプ送りして濃縮させていくだけであるので、第1段の沈殿槽に汚泥が無い場合もあり、常時汚泥の高濃縮を維持することが困難であった。安定した高濃縮化ができていない場合、脱水処理工程の負荷が大きくなり、処理時間、処理コストが増大する。
【0004】
特に、エッチング用のフッ酸と中和剤の硝石灰との反応で生成されたフッ化カルシウムのように固まりやすい生成物の場合は、高濃縮化はしやすいが、高濃縮すると濃縮汚泥が固化しやすいため、常時汚泥を循環させておかないと固化により移送ラインが閉塞してしまうことがある。これに対し、フッ化カルシウムにポリ塩化アルミニウム等の凝縮剤を加えることによって生成される水酸化アルミニウムのような綿状物の溶液は、循環性は良好であるが高濃縮化が困難である。このような相矛盾した現象がある上、一般的な活性汚泥処理によるBOD処理も同時に行う必要があるため、半導体製造用の排水処理は、他の一般的な汚泥処理とは異なった対策が必要とされる。
【0005】
本発明は上述の点に着目してなされたもので、汚泥の高濃縮化により脱水処理工程の負荷の低減をはかると共に、汚泥を常時循環させて排泥ラインの閉塞化現象も防止した半導体製造用排水の汚泥処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するべく、本発明は請求項1記載のように、半導体製造工程で発生する汚泥を沈殿槽で高濃縮化した後、脱水処理工程により脱水処理する半導体製造用排水の汚泥処理装置において、
前記沈殿槽で沈殿した汚泥を排出する排泥ラインに汚泥の濁度を検出する濁度センサを設けると共に、その濁度センサの下流側を、切替自動弁を介して、前記沈殿槽に戻し配管された戻しラインと、次工程装置に配管された移送ラインとを設け、
前記濁度センサの検出信号に基づいて、汚泥の濁度が設定値以下のときは前記切換自動弁及び戻しラインを介して濁り度の低い汚泥を前記沈殿槽に戻し、
一方、汚泥の濁度が設定値以上のときは前記切替自動弁及び移送ラインを介して濁り度の高い汚泥を次工程装置に移送するようにしたことを特徴とする。
この場合、前記切替自動弁は戻しラインと移送ラインの分岐部に設けた三方自動弁で構成してもよく、又戻しラインと移送ラインの入口部に設けた電磁弁で構成してもよい。
【0007】
本発明の汚泥処理装置では、排泥ラインの濃度が設定値に達するまでは戻しラインより沈殿槽に戻して循環させて、脱水処理工程には送らないようにすることができ、したがって、脱水処理工程の負荷が小さくなり、脱水ケーキ作成等の処理コストを低減できる。また、所定の設定値に達したときは、直ちに移送ラインをオンにして汚泥移送を行うので、汚泥が排泥ラインで停滞することがなく、固化によるライン閉塞をなくすることができる。
【0008】
また前記沈殿槽は、第1段の沈殿槽と第2段の沈殿槽とで構成することで高濃縮化がより確実に達成できる。また、請求項2記載のように、前記第2段の沈殿槽の排出側に汚泥貯槽を設け、該第2段の沈殿槽と汚泥貯槽排出側の排泥ライン上に、切換自動弁を介して戻しライン、および移送ラインを分岐設置した構成にすることにより省設備で効率的に本発明を達成でき、好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を例示的に説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構造部品の寸法、材質、形状、相対位置などは特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。なお、図3と同一部材または同一機能のものは同一符号で示している。
【0010】
図1において、第1段の沈殿槽1a、1b、1cは、半導体製造の各工程からの排水をスクリーン28を介して受入れて沈殿させるもので、図示の例では、Aラインの沈殿槽1a、Bラインの沈殿槽1b、Cラインの沈殿槽1cの3種で構成されているが、必要に応じて任意の個数を設置してよい。
【0011】
各沈殿槽1a、1b、1cの底部には、各々排泥ライン2が接続され、各排泥ライン2にはポンプ5および濁度センサ6が接続されている。濁度センサ6としては、吸光度計を応用したオンライン用のもので、汚泥貯槽が付着して固まらないように付着防止機能が付いているものが好ましい。
各排泥ライン2の後部は戻しライン3と移送ライン4に分岐されている。戻しライン3には、第一の切替自動弁7が設けられ、移送ライン4には第二の切替自動弁8が設けられている。
【0012】
沈殿槽1a、1b、1cの上部寄りの位置に上澄み排水ライン30が接続されている。上澄み排水ライン30は、後述する脱水処理工程に送らず、その処理水はそのまま中水として再利用される。
戻しライン3は各沈殿槽1a、1b、1cの上部に戻るように配管され、移送ライン4は第2段の沈殿槽9に配管されている。第2段の沈殿槽9の上澄み排水ライン10は任意の第1段の沈殿槽1c(沈殿槽1a、1bでもよい)のスクリーン28に配管されている。
【0013】
第2段の沈殿槽9の底部には、排泥ライン11が接続され、この排泥ライン11にはポンプ12および濁度センサ13が接続されている。排泥ライン11の後部は戻しライン14と移送ライン15に分岐され、各ライン14、15にも切替自動弁16、17が各々設けられている。戻しライン14は第2段の沈殿槽9に戻し配管され、移送ライン15は汚泥貯槽18に配管されている。
【0014】
汚泥貯槽18には排泥ライン20が接続され、この排泥ライン20にはポンプ21および濁度センサ22が設けられている。排泥ライン20の後部は戻しライン23と移送ライン24に分岐され、各ライン23、24にも切替自動弁25、26が各々設けられている。戻しライン23は汚泥貯槽18に戻し配管され、移送ライン24は脱水機27に配管されている。
【0015】
前記ポンプ5、12、21、濁度センサ6、13、22、および切替自動弁7、8、16、17、25、26は、コントローラ31に電気的に接続されており(図では1箇所のポンプ5、濁度センサ6、切替自動弁7、8のみの接続で、そのほかは省略している)、濁度センサ6、13、22の検出信号に基づいて各切替自動弁を制御するようになっている。
【0016】
次に、上記構成に基づいて動作を説明する。
半導体製造の各工程で排出される汚泥としては、シリコン屑(シリコン粉)、アルミナ砥粒等の微細粒子やHF、界面活性剤等の各種薬液に、凝集剤、凝集助剤を添加し、化学的・物理的に処理した排水である。例えば、シリコンやアルミナ等の微粒子は、Al系やFe系の無機凝集剤等で処理し、Al(OH)3 や、Fe(OH)3 のふわふわした水酸化フロックにシリコン等が取込まれる形で処理をする。他の例として、HF等を含む薬液ではCa(OH)2 の凝集剤等を添加し、CaF2 としてフッ素を化学的に非溶解性の状態に処理する。これは固まり易い性質を持つ。その他の廃液についても、適宜処理が施され、排出される。
【0017】
このような半導体製造の各工程から出た排水はスクリーン28を介して各沈殿槽1a、1b、1cに供給され、ここで汚泥が沈殿し、濃縮化された汚泥は排泥ライン2からポンプ5の駆動で排出される。排泥ライン2を通過する汚泥の濁度は濁度センサ6で検出され、その濁度が予め設定された設定値以下のときは、戻しライン3の第一の切替自動弁7のみがオンになり(第二の切替自動弁8はオフ)、その汚泥は当該沈殿槽1a、1b、1cに戻される。また、その濁度が予め設定された設定値以上のときは、移送ライン4の第二の切替自動弁8のみがオンになり(第一の切替自動弁7はオフ)、その汚泥は移送ライン4を介して第2段沈殿槽9に移送される。各沈殿槽1a、1b、1cの上澄み排水は上澄み排水ライン30から排水され中水として再利用される。
【0018】
第2段沈殿槽9において再度沈殿処理されて濃縮化された汚泥は、排泥ライン11から排出され、排泥ライン11を通過する汚泥の濁度は濁度センサ13で検出され、その濁度が予め設定された設定値以下のときは、切替自動弁16のみがオンになり、その汚泥は第2段沈殿槽9に戻され、また、その濁度が予め設定された設定値以上のときは、移送ライン15の切替自動弁18のみがオンになり、その汚泥は移送ライン15を介して汚泥貯槽18に移送される。
【0019】
高濃縮化された汚泥は汚泥貯槽18において攪拌され、排泥ライン20から排出され、排泥ライン20を通過する汚泥の濁度は濁度センサ22で検出され、その濁度が予め設定された設定値以下のときは、切替自動弁25のみがオンになり、その汚泥は汚泥貯槽18に戻され、また、その濁度が予め設定された設定値以上のときは、切替自動弁26のみがオンになり、その汚泥は移送ライン24を介して脱水機27に移送される。脱水機27で脱水ケーキ32を作成した後焼却または埋設処分する。
【0020】
以上のように、本発明の汚泥処理装置では、排泥ライン2、11、20に濁度センサ6、13、22を設け、これらの排泥ラインを通過する汚泥の濃度を検出して戻しライン3、14、23側あるいは移送ライン4、15、24側に切替えるようにしたので、濃度が設定値に達するまでは戻しライン3、14、23で当該沈殿槽1a、1b、1c、9または汚泥貯槽18に戻して循環させて、次工程装置には送らないようにすることができ、したがって、脱水処理工程に高濃縮化されていない汚泥が送られることがなくなり、脱水処理工程での負荷が小さくなり、脱水ケーキ作成等の処理コストを低減できる。
【0021】
また、所定の設定値に達したときは、直ちに移送ライン4、15、24をオンにして汚泥移送を行うので、汚泥が排泥ライン2、11、20で停滞することがなく、固化によるライン閉塞をなくすることができる。
尚、戻しラインにより同一沈殿槽に戻す時などは、沈殿作用を妨げない位置・方法で行なう。通常、排水の沈殿のしやすさ等を考慮に入れ、循環の流量を調整し、排水の供給位置付近に戻すようにしておく。
【0022】
上記実施の形態の構成は、図2(a)のシステム構成図に示すように、第1段の沈殿槽1a、1b、1cと、第2段の沈殿槽9と、汚泥貯槽18と、脱水機27を備えた構成であるが、これらを全て備える必要はない。
例えば、図2(b)に示すように、汚泥貯槽18を省略して第1段の沈殿槽1a、1b、1cと、第2段の沈殿槽9と、脱水機27を備え、第2段の沈殿槽9の移送ライン15から直接脱水機27に配管する構成、あるいは図2(c)に示すように、第2段の沈殿槽9を省略して第1段の沈殿槽1a、1b、1cと、汚泥貯槽18と、脱水機27を備え、第1沈殿槽1a、1b、1cの移送ライン4から直接汚泥貯槽18に配管する構成等、汚泥の量や種類等に応じて任意の形態にすることができる。
【0023】
また、図示の構成例では、全ての排泥ライン2、11、20に濁度センサ6、13、22および切替自動弁7、8、16、17、25、36を設けた例を示したが、第2段の沈殿槽9の濁度センサ13および切替自動弁16、17のみでもよく、そのほかは省略してもよい。その場合は、第1段の沈殿槽1a、1b、1cから排泥ライン2から第2段の沈殿槽9に直接汚泥を送り、第2段の沈殿槽9の濁度センサ13と切替自動弁16、17で前述の戻しと移送の切替えを行うようにすればよい。
【0024】
【発明の効果】
以上、詳述したように、本発明によれば、排泥ラインに濁度センサを設け、これらの排泥ラインを通過する汚泥の濃度を検出して切替自動弁により排泥ラインを戻しラインあるいは移送ラインに切替えるようにしたので、排泥ラインの濃度が設定値に達するまでは戻しラインで沈殿槽に戻して循環させて、脱水処理工程には送らないようにすることができ、したがって、脱水処理工程の負荷が小さくなり、脱水ケーキ作成等の処理コストを低減できる。また、所定の設定値に達したときは、直ちに移送ラインをオンにして汚泥移送を行うので、汚泥が排泥ラインで停滞することがなく、固化によるライン閉塞をなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の半導体製造用排水の汚泥処理装置の実施の形態を示すシステム構成図である。
【図2】 (a)、(b)、(c)は各々本発明装置の3例のシステム構成図である。
【図3】 従来の汚泥処理装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1a、1b、1c 第1段の沈殿槽
2、11、20 排泥ライン
3、14、23 戻しライン
4、15、24 移送ライン
5、12、21 ポンプ
6、13、22 濁度センサ
7、8、16、17、25、26 切替自動弁
9 第2段の沈殿槽
18 汚泥貯槽
27 脱水機
32 脱水ケーキ

Claims (2)

  1. 半導体製造工程で発生する汚泥を沈殿槽で高濃縮化した後、脱水処理工程により脱水処理する半導体製造用排水の汚泥処理装置において、
    前記沈殿槽で沈殿した汚泥を排出する排泥ラインに汚泥の濁度を検出する濁度センサを設けると共に、その濁度センサの下流側を、切替自動弁を介して、前記沈殿槽に戻し配管された戻しラインと、次工程装置に配管された移送ラインとを設け、
    前記濁度センサの検出信号に基づいて、汚泥の濁度が設定値以下のときは前記切換自動弁及び戻しラインを介して濁り度の低い汚泥を前記沈殿槽に戻し、
    一方、汚泥の濁度が設定値以上のときは前記切替自動弁及び移送ラインを介して濁り度の高い汚泥を次工程装置に移送するようにしたことを特徴とする半導体製造用排水の汚泥処理装置。
  2. 前記沈殿槽は、第1段の沈殿槽と第2段の沈殿槽とで構成されるとともに、前記第2段の沈殿槽の排出側に汚泥貯槽を設け、該第2段の沈殿槽と汚泥貯槽排出側の排泥ライン上に、切換自動弁を介して戻しライン、および移送ラインを分岐設置したことを特徴とする請求項1記載の半導体製造用排水の汚泥処理装置。
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