JP3870959B2 - 溶融金属分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶融金属中の成分元素を迅速に分析する分析技術に関する。
溶融金属のオンライン分析は、その金属の製精錬過程を制御するために強く求められている。しかし、溶融金属を測定・分析する環境は高温・粉塵等で劣悪であり、このような環境に対応するためのエンジニアリング上の課題が大きいため、オンライン分析の実用化はほとんどなされていない。
一般に、金属の組成分析を行うための信頼性の高い分析方法として、金属を酸などで分解して溶液化した試料については、原子吸光法が知られている。そして、この本質的に高精度な分析法である原子吸光法を溶融金属の直接分析に適用する提案がなされている。このような提案としては、例えば、特開平09−049795号公報に記載された溶融金属の直接分析方法および装置、また特表平09−500725号公報に記載された溶融金属の直接的化学分析方法などがある。これらの技術は、溶融金属の表面上の金属蒸気層に特定波長(原子吸収線波長)の光を照射し、蒸気層によって吸収される光の吸収率を測定して、溶融金属中の成分元素の濃度を求めるものである。
しかし、上記文献に記載されている、溶融金属の蒸気を直接原子吸光法を用いて分析する方法においては、金属蒸気生成量をコントロールできないために、測定濃度範囲が狭いという原子吸光法の欠点が顕著に現れる。以下、このことについて説明する。
原子吸光法の測定原理は、下式(1)に従う原子の吸光現象に基いて、試料中の分析元素の量もしくは濃度を求めることである。
A=μCL ………………………………………………(1)
(ここで、A;吸光による強度変化(=−log(I/I))、(I/I);光強度比、I;吸光後光強度、I;吸光前光強度、μ;吸光係数(波長に固有)、C;分析元素の量もしくは濃度、L;蒸気層長さ)
上式(1)から分かるように、光強度比(I/I)は分析元素の量もしくは濃度Cの増加とともに急激に低下する。光強度比(I/I)が小さすぎると、吸収光以外の光による影響や測定装置での測定値のばらつきが出てくる。その結果、濃度測定は困難となる。このように、分析元素の量もしくは濃度Cには上限が存在する。
そこで、測定量もしくは濃度の範囲を広げるため、式(1)に基づき、μ、C、Lの各項のいずれかまたは複数を下げることが行われている。例えば、溶液の原子吸光法では、試料溶液を希釈して分析元素量もしくは濃度Cを下げたり、原子化部(バーナー)の光軸との角度を変えて蒸気層長さLを短くするなどして、測定濃度範囲を広げることが可能である。
しかし、製錬中の溶融金属測定においては、生成する蒸気層濃度Cは、製錬条件および溶融金属中の含有率により決まってしまい、コントロールすることができない。そのため、測定濃度範囲を広げるには、蒸気層長さLまたは吸光係数μのいずれかを小さくしなくてはならない。蒸気層長さLを小さくすることは、蒸気層の厚みを適正な小さな値に安定して保つためのエンジニアリング上の課題が大きいために難しい。また、吸光係数μを小さくすることも、測定濃度範囲に対応するμを有する吸光線があるとは限らないために難しい。例えば、Mn(マンガン)の原子吸光線としては、吸光係数μの大きい線として279nmの線、μの小さい線として403nmの線のみが存在する。Mn濃度測定においては、係数μの小さい403nmの吸光線を用いても、溶鋼温度が1600℃のときには蒸気層中のMn濃度Cが高いために、蒸気層Lを1mm程度に非常に短くしても蒸気層による吸光が強すぎる。そのため、濃度0.1%のMnに対しても前述の光強度比が1%以下となってしまい、0.1%以上の濃度のMnを測定することができない。
また、前述の特表平9−500725に記載された溶融金属表面に焦点を合わせる方法では、実際に流動する溶融金属面での実用化が困難である。溶融金属表面が静止した面であれば鏡面のような挙動を示し、そこへ投射した光の反射は設計上の反射位置に達し、その反射強度は十分強く得られる。しかし、表面が揺らいで波が生じている状態では、その反射方向が設計上の反射位置に戻るのは間欠的でしかなくなる。さらにその反射強度も静止面反射に比べ非常に小さくなる。それは、反射面が平行面ではなく曲面となるため、その反射角がその曲率に従って広がる結果、測定位置での照度(光強度の密度)が小さくなるからである。静止面を作ればこのような問題は生じないが、製錬工程で静止面を作るのは困難である。また光照射のためのプローブを使用しても、プローブ内部の雰囲気を不活性にするためにArや窒素ガスを流す結果、溶融金属表面が揺らいでしまうために、静止面を作れない。
また、溶融金属表面では、溶融金属の流動、蒸気層の熱対流、ダストの発生などがあるために蒸気層の厚みを常に一定に保つことは非常に困難であり、測定中に蒸気層の厚みは変動する。従って、この変動を補正する必要がある。
さらに、一般に溶融金属は高温(たとえば溶鋼では約1600℃)であるため、溶融金属自体が輻射光を発している。この輻射光は紫外から赤外までの連続光であり、当然のことながら原子吸光を測定しようとする波長の光を含んでいる。溶融金属の温度は、時々刻々と変化するため、溶融金属表面からの輻射光も時々刻々と変化する。従って、特表平9−500725に記載された方法では、実際に測定される光量は、原子吸光後の光の光量と、これと同一波長の輻射光の光量の合計であり、真の原子吸光後の光の光量のみを検出することはできない。この場合、輻射光が精錬途中で変動してしまうと、見かけ上、原子吸光後の光の光量が変動したとみなされてしまう。
一方、溶融金属上部に生じる各元素の蒸気量は、その元素の溶融金属中の濃度(活量)と蒸気圧(飽和蒸気圧)とに比例する。飽和蒸気圧は温度の関数であるから、溶融金属温度が一定であれば、原子吸光法で求めた情報(=蒸気量)から溶融金属中のその元素の濃度が求められる。特表平9−500725に記載された方法では、溶融金属温度を一定に保って測定している。しかし濃度測定が必要な製錬工程では一般に溶融金属の温度は変動し、製鋼製錬では100℃以上変動することもある。このような溶融金属の温度変化によって蒸気量が変動する。例えば1600℃の溶鋼から発生するMn蒸気量は、5℃の温度変化に対して4%ほど変化する。従って高精度分析を行うためには、溶融金属の温度を5℃以下の精度で測定して蒸気量の測定値を補正しなくてはならない。高温の温度測定を高精度で行うには白金−ロジウム系熱電対の使用が最適であるが、温度の測定位置をレーザー照射面直下にする必要があり、適用はかなり困難である。特に雰囲気制御等のためにプローブを用いる状況では、測定位置を照射面直下にすることはさらに困難である。
また、特表平9−500725に記載された方法では、モノクロメータまたはポリクロメータを用いて受光した光を分光した後、光強度を測定している。しかしながらこの方法では、分光する際にスリット等により光量が減衰するため測定感度が不足するという問題点も生じる。
本発明によれば、1または複数の分析元素を含む溶融金属の表面近傍の蒸気層に、分析元素の測定濃度範囲に応じて該分析元素の吸収波長の中心位置からずらした位置に波長の中心位置を有する測定光と、原子吸光を生じない波長の基準光とを同一光路に重畳して通過させ、通過した光の測定光成分の強度と基準光成分の強度とを測定し、測定光成分の波長をモニターして蒸気を通過する測定光成分の吸光感度を補正し、測定光成分と基準光成分の強度比と、蒸気層厚みと、溶融金属温度との間の既知の関係から、溶融金属中の分析元素の濃度を測定することを特徴とする溶融金属分析方法が提供される。
本発明においては、前記測定光の中心波長のずらし量を、測定濃度範囲の最大値における吸光度(=−log(吸光後光強度/吸光のない場合の光強度))が2.5以下となる値で、かつ分析元素の原子吸光線の波長半値幅の2倍未満の値に設定することが好ましい。
また、本発明においては、前記測定光の波長半値幅Zが、分析元素の原子吸光線の波長半値幅をX、前記測定光の中心波長のずらし量をYとすると、Z<(2X−Y)の関係を満足することが好ましい。
また、本発明においては、波長中心位置を溶融金属の主成分元素の原子吸光線の中心位置から吸光感度に応じてずらした測定光と、前記分析元素用の波長中心位置をずらした測定光と、前記原子吸光を生じない波長の基準光とを、同一光路に重畳して溶融金属表面の蒸気層に通過させ、通過した光の両測定光成分の強度と基準光成分との強度を測定し、通過光の主成分元素に対応した測定光成分と基準光成分との強度比と、分析元素に対応した測定光成分と基準光成分との強度比との間の既知の関係から、蒸気層厚みを補正することが好ましい。
また、本発明においては、測定光および基準光をチョッパーを用いてオン/オフし、オフ時の光強度を溶融金属からの輻射光強度としてバックグラウンド補正することが好ましい。
また、本発明においては、測定光および基準光を溶融金属表面に照射し反射させて蒸気層を通過させた後、反射光の強度を測定することが好ましい。
また、本発明においては、測定光および基準光を溶融金属表面の5mmφ以上の領域に照射することが好ましい。
また、本発明においては、基準光の反射光強度が閾値以上の場合の測定データを濃度測定に用いることが好ましい。
また、本発明においては、反射光を光ファイバーにより受光し、受光した反射光を、通過波長が分析元素の原子吸光線波長を含み、通過波長幅が5nm以下であるバンドパスフィルターに通過させて波長を選択し、バンドパスフィルター通過後の全光量を測定することが好ましい。
また、本発明においては、照射する測定光および基準光はレーザー光であり、反射光がバンドパスフィルターを通過後の測定光および基準光の強度が、該バンドパスフィルター通過波長域での溶融金属の輻射光強度の10倍以上となるように、照射光強度を調整することが好ましい。
また、本発明においては、溶融金属の主成分元素が鉄であり、分析元素がマンガンであることが好ましい。
また、本発明によれば、それぞれ、溶融金属中の分析元素の吸収波長を含む測定光および原子吸光を生じない波長の基準光を放出し、放出するレーザー光の波長および半値幅および強度が可変の複数のレーザー光源と、該レーザー光の波長及び強度を計測する手段と、該複数のレーザー光源から放出された波長が異なる複数のレーザー光を同一光路に重畳する光学系と、該同一光路に重畳されたレーザー光を一定周期でオンオフするチョッパーと、端部が溶融金属近傍に設置され、該同一光路に重畳されたレーザー光を溶融金属近傍に導く光ファイバーと、光ファイバーから放出されたレーザー光を溶融金属表面の5mmφ以上の範囲に照射するための光学系と、受光部が溶融金属近傍に設置され、溶融金属表面からの反射光を受光して光検出部に導く1または複数の受光用光ファイバーと、受光用光ファイバーにより導かれた反射光を、それぞれのレーザー光の波長を含む波長域に分離するハイパスフィルターおよび/またはローパスフィルターと、ハイパスフィルターおよび/またはローパスフィルターを通過後の反射光から、それぞれのレーザー光の波長を含む狭い波長域を分離するバンドパスフィルターと、バンドパスフィルター通過後の全光量を測定する光検出器と、溶融金属の温度を測定する手段と、測定されたレーザー光の波長に基づいて蒸気を通過する測定光の吸光感度を補正し、測定された溶融金属の温度における、前記複数のレーザー光源から放出された波長が異なるそれぞれのレーザー光の強度比と、それぞれのレーザー光が通過した溶融金属近傍の蒸気層厚みとの間の既知の関係に基づいて溶融金属中の分析元素の濃度を演算する演算装置とを備えることを特徴とする溶融金属分析装置が提供される。
原子吸光法は、エンジニアリングの容易さから溶融金属分析法としては優れているものの、従来の原子吸光法では適用濃度範囲が大幅に制限を受けていた。しかし、本発明ではその制限がなくなり、汎用的な分析法となった。エンジニアリング上の課題のために他の溶融金属分析法がほとんど実用化されていない現状においては、本発明による溶融金属分析法は実用化へのハードルが最も低い分析法である。本発明を実施することにより、省エネ、品質向上等、金属精錬の工程制御が向上して与える効果は非常に大きい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る分析方法には、溶融金属の蒸気層にレーザー光を通過させる工程と、該蒸気層の通過により生じるレーザー光の強度変化を求める工程と、強度変化から溶融金属に含まれる分析元素の濃度を測定する工程とが含まれる。
レーザー光としては、分析元素の吸収波長の中心位置から0.001nmないし0.03nmずらした位置に波長を調整したレーザー光を用いる。このレーザー光を溶融金属表面の近傍に導き、溶融金属蒸気層を通過させて、通過によるレーザー光の強度変化を測定する。強度変化量と金属中の成分元素の濃度(単位は例えばwt%)との関係式をあらかじめ求めておき、この関係式を用いて測定した強度変化量から分析元素の濃度を求める。なお、強度変化の測定は、通過前後のレーザー光強度を比べて行っても良いし、検量線を作成した後に通過後のレーザー光強度のみを測定して行っても良い。また、強度変化量は、測定強度そのものでも良いし、蒸気層がないか非常に少なくて無視できる状態と蒸気層の存在する状態との比でも良いし、または同一の光学系に入れた吸光を生じない光との比でも良い。また、これらの値そのものでも良いし、これらの値の対数でも良い。
分析元素による吸光スペクトルは、その吸収物質の温度等が影響するために光の波長に対して幅を持つ。すなわち吸光による強度変化は吸光中心波長において最大であり、中心波長からずれた波長位置ではずれ量とともに減少する。つまり、測定に用いるレーザー光の波長位置を吸光中心波長からずらすことによって、分析元素の吸光による強度変化を低減させることができる。
測定に用いるレーザ光の波長位置をずらした場合の、入射光に対する透過(検出)光の変化の一例を図1に示す。レーザー光の波長位置を原子吸光波長の中心位置と一致させた場合には、透過光がほとんどなくなって光の検出が不可能となるのに対して、波長をずらすことにより透過光の検出が可能となることがわかる。
波長をずらす量は、分析元素(測定対象元素)の濃度、原子吸光線の種類によって調整する。測定濃度範囲の最大値における吸光度(=−log(吸光後光強度/吸光のない場合の光強度))が2.5を上回ると高濃度側の感度が低下して正確な測定が困難になる。そこで測定濃度範囲の最大値における吸光度が2.5以下になるように、ずらす量を設定する。より好ましくは測定濃度範囲の最大値における吸光度が2以下になるようにずらす量を設定する。こうすることで、濃度に対する吸光度の変化を測定濃度範囲で直線的にすることができる。またずらし過ぎると吸光が起きなくなるので、ずらす量の上限は原子吸光線の波長半値幅の2倍未満に設定する。より好ましくは測定濃度範囲の最大値における吸光度が0.5以上になるように、ずらす量の上限を設定する。なぜならば、吸光度が0.5未満だと測定濃度全範囲での感度が不足するからである。
以上のようにして、原子吸光法によって測定できる元素の濃度範囲を大幅に拡大することができる。レーザー光の波長を正確に制御して分析元素の中心波長からずらすことによって、分析元素濃度に応じて適正な吸光による強度変化を設定することができる。
このような測定を可能とする光源光として、連続光を分光器で分光して目的波長の光を取り出し、取り出した光を光源光とすることも可能である。しかし、光の強さからレーザーの使用が適当である。特に、発振波長位置を任意に調整できるいわゆる波長可変レーザーが適している。
しかし全ての波長可変レーザーが適しているわけではなく、出力光の波長幅が小さいことが要求される。波長幅が大きくなると吸光幅を外れる光の割合が増える。すなわち、吸収されない光(光測定のバックグランドとなる光)が多くなるため、濃度変化に対する光強度変化が小さくなって測定精度を悪くする。
測定光となる出力光(光源光)の波長幅を以下のように規定することにより、吸収されない光の割合を制限し測定精度を良好に保つことができる。すなわち、高温の溶融金属を構成する分析元素の原子吸光線の波長半値幅をX、該原子吸光線の中心位置からの測定光の中心波長のずれ量をYとすると、測定光の中心波長での半値幅Zは、Z<(2X−Y)であることが好ましい。
これを図2を用いて説明する。分析元素の吸光スペクトルの波長分布がガウス分布であるとみなせる時、その広がりの指針である標準偏差σと半値幅Xとの関係は、X=2.35σである。一般的に、ガウス分布の中心の強度を1とすると、この中心から半値幅の2倍(2X=4.7σ)離れた位置での強度は10-5となる。すなわち、この波長位置での吸光度は中心波長の吸光度に対して10-5となり、試料濃度が高くなって中心波長での吸光度が100以上となっても、この波長位置は吸光がほとんど無いとみなされる波長域となる。
一方、測定光は、分析元素の原子吸光線の中心位置からYだけずれた位置に中心波長を有する、半値幅Z、標準偏差σの分散のガウス分布をなすとみなせる。中心波長Yから半値幅分(Z=2.35σ)以上さらに外れた波長位置(Y+Z)では測定光の量は1%に減り、この程度の光が分析元素によって吸収されずに残っても影響は小さい。
従って、測定光の半値幅(波長幅)としては、測定光の中心波長Yから半値幅分(Z=2.35σ)離れた波長位置(Y+Z)が、吸光スペクトルの中心から半値幅の2倍離れた波長位置(2X)より内側にあるようなものが好ましく、こうすれば、吸収されずに残った光の影響が小さいと判断される。すなわちY+Z<2Xである。このことからZ<2X−Yが導出される。
このような測定光と原子吸光を生じない波長の基準光とを、波長の特性によって光を反射または透過する光学フィルターを用いて同一光路に重畳して、高温の溶融金属表面の蒸気層に通過させる。
溶融金属表面では、蒸気層による光吸収だけではなく、ダストの発生などによる光の減衰があるので、この影響を補正するためには、原子吸光を生じない基準光との比を用いることが必要である。基準光としては、蒸気層による光吸収がなく、測定光波長に近い波長の光が望ましい。
蒸気層を通過した光の測定光成分と基準光成分の光強度とを、波長の特性によって光を反射または透過する光学フィルターを用いて分光して検出する。得られた各々の波長の光強度から基準光強度比(R:測定光強度/基準光強度)を求めて、蒸気層がないかまたは非常に少なくて無視できる状態での強度比(R0)からの変化量(R/R0)を求める。このとき、強度比の変化量の逆数の対数(=−log(R/R0))を吸光度(A)とする。この吸光度は、溶融金属中の分析元素(測定成分)の濃度、溶融金属の温度、および蒸気層の厚さの関数で表わせる。従って、溶融金属の温度および蒸気層の厚さの補正を行うことによって、溶融金属中の分析元素の濃度を求めることができる。
まず、蒸気層の厚さの補正方法について説明する。溶融金属の主成分元素を測定するための測定光を、分析元素用の測定光、基準光と同一光路として、高温の溶融金属表面の蒸気層に通過させる。蒸気層を通過した光を光学フィルタを用いて分光して、主成分元素測定光、分析元素測定光および基準光の各々の光強度を検出する。得られた光強度から主成分元素の基準光強度比(RIS)および分析元素の基準光強度比(R)を求めて、蒸気層がないかまたは非常に少なくて無視できる状態でのそれぞれの強度比(RIS0、R0)からの変化量を各々求める。そして、主成分元素についても分析元素と同様に強度比の変化量の逆数の対数(=−log(RIS/RIS0))を求めて主成分元素吸光度(AIS)とする。
蒸気層厚みの補正は、分析元素の吸光度(A)と主成分元素の吸光度(AIS)との比(A/AIS)を、分析元素の蒸気層厚み補正後の吸光度とすることで可能である。主成分元素および分析元素について、吸光現象の前式(1)式が成り立つ。従って、両元素についての吸光度の比をとることにより、蒸気層厚み(長さ)Lの変動項はなくなり、分析元素濃度の関数で表わすことができる。
なお、溶融金属の主成分元素に対する測定光の波長の中心位置は、該主成分元素の原子吸光の吸光感度に応じて、該主成分元素の原子吸光線の中心位置からずらすことが望ましい。理由は、測定光の波長中心位置と原子吸光線の中心位置とが同じであると、吸光感度が高い場合に、信号が小さくなりS/Nが悪くなるからである。また、後述するように、測定中は測定光の波長をモニタリングして、該波長の変化による吸光度の変動を補正しながら測定することにより、測定精度がより向上する。
次に、溶融金属の温度の補正方法について説明する。溶融金属の表面上に生じる各元素の蒸気量は、その元素の溶融金属中の濃度(活量)と蒸気圧(飽和蒸気圧)に比例する。飽和蒸気圧は溶融金属の温度の関数で表わせる。従って、溶融金属の標準温度T0℃での分析元素の飽和蒸気圧(P0)および主成分元素の飽和蒸気圧(PIS0)を基準として、測定時の温度T℃での各々の飽和蒸気圧(P(T),PIS(T))との比(P0/P(T)、PIS0/PIS(T))を求め、これを用いて前記吸光度(AおよびAIS)を補正する。各温度での飽和蒸気圧の変化は、文献値を用いても良い。
このとき、波長可変レーザーとしては、出力光の波長幅が十分小さく、波長の中心位置を正確に設定でき、かつ波長位置経時変化が全くないことが要求される。吸光感度が光源光波長位置の関数であるため上述したように波長位置の経時変化が全く無いことが理想であるが、レーザーの設置環境(特に温度変化)を厳しく管理しようとすると、レーザーの構成各部を変動のないものにする等種々困難が生じ、現実的には達成が難しい。その対策として予め波長位置を変化させて吸光感度の波長依存性を求めておき、気体のオンライン実測定に際しては発光するレーザー光波長をモニターしながら吸光量を測定し、波長位置の変動による吸光感度変化をオンラインで補正して気体中成分量を求めていくことにより、現実的な状況での気体中成分オンライン分析が可能となる。
図3に、本発明を実施するための装置構成の一例を示す。
図3において、レーザー光源1から発したレーザー光は、光学系2を通って溶融金属3の表面上の金属蒸気層4に照射される。金属蒸気層4を通過したレーザー光は、光学系5を通って光検出器6に導かれて強度が測定される。
光学系2および5としては、光ファイバーを用いることが好ましい。こうすることによって、レーザー光源1および光検出器6などを溶融金属3の表面から隔離して配置することができる。
レーザー光源1は、波長を任意の値に設定できる波長可変レーザーである。分析元素の吸収波長の中心位置は文献等に記載されているので、その中心位置から0.001nmないし0.03nmずらして発光波長を設定する。
波長の最適なずらし量は、以下のようにして求めることができる。まず、吸光強度変化の波長依存性をあらかじめ調べておく。すなわち、測定システムを作製したのち、溶融金属3の目的とする分析元素の濃度をレーザー光の波長を変化させて何点か測定する。そして、金属蒸気4による吸収後のレーザー光強度が最も適正とみなせるレーザー波長の位置を見つける。または、通常の原子吸光分析装置を用いた溶液試料の原子吸光分析において光源として本分析システムのレーザー光源を用い、吸光強度変化の波長依存性をあらかじめ調べておく。次に、分析元素濃度の小さい溶融金属3に対して、分析元素の吸収波長の中心位置での測定を行って、この中心位置での測定限界を求める。そして、あらかじめ行った吸光強度変化の波長依存性についての調査結果から測定濃度範囲に対する適正波長を求める。
また、吸光による強度変化は発光波長の波長半値幅により変化するため、波長のずらし量だけでなく、波長幅を変えることで感度をより適正にすることもできる。
なお、レーザー光は、測定する元素の吸光測定波長の光のみであっても良いが、他の分析元素の吸収波長および分析元素によって吸収されない基準光などを含むものであっても良い。これらの光を同時に照射することによって、各分析元素ごとに光強度を測定することなどができる。
また、蒸気層4を安定化するために、プローブ内に光学系2および5を配置して、プローブ内を不活性ガス雰囲気としても良い。
また、光検出器6の前に分光器またはバンドパスフィルターを設置しても良い。こうすることによって、目的波長の光の強度のみを測定し、溶融金属3の熱輻射光や照明からの迷光の影響を低減することができる。
さらに、溶融金属3の表面をレーザー光に対する反射鏡として取り扱うように、光学系2および5を配置しても良い。すなわち、光学系2から出たレーザー光が表面近傍の蒸気層3を通過して溶融金属3の表面で反射されたのち、光学系5に入るようにしても良い。
図4に、溶融金属3の表面をレーザー光に対する反射鏡として取り扱うように光学系を配置した一例を示す。図4において、レーザー光源1a(分析元素測定用)、1b(主成分元素測定用)および1c(基準光用)から発したレーザー光を、集光光学系7内の光学フィルター(ハイパスフィルター)8a〜8cを用いて同一光路の光とする。この光をレンズ9を通して照射用光ファイバー11aに導入して、溶融金属3近傍まで伝送する。光ファイバー11aへ導入する直前にチョッパー10を配置する。光ファイバー11aの先端から出た光20は、照射光学系22を通った後、蒸気層4を通過して、溶融金属3の表面上に照射される。溶融金属3の表面で反射した光21は再び蒸気層4を通過した後、受光用光ファイバー11bを通って伝送される。受光用光ファイバー11bから出た光は、レンズ12を通って平行光とされ、光学フィルター13aおよび13b(ハイパスフィルター)を通って各々のレーザー光波長に分けられた後、バンドパスフィルター14a、14bを通って、光検出器6a、6bに導かれて強度が測定される。測定された各々の波長の強度は、溶融金属の温度センサー16からの温度情報、レーザー光源のレーザー光について測定した波長測定器19からのレーザー波長情報、およびビームサンプラー17と光検出器18で測定したレーザー光源からのレーザー出力パワー情報とともに演算装置(計算機)15に送られる。
これらの情報から、レーザーパワー変動の補正、レーザー出力波長の変動の補正、蒸気層厚みの変動の補正、温度の補正を演算装置15で行い、溶融金属中の分析元素の濃度を求めることができる。
溶融金属面が揺らいで波立つとき、その波はランダムに生じランダムな方向に移動する。かつその波面の曲率も時々刻々変化する。そのような金属面のある点に光を照射したとき、光が反射して戻る方向もランダムとなる。よって測定時間が有限のとき、溶融金属面の特定の点からの反射光が一度も受光部に達しないこともあり得る。しかしこの特定点から離れた別の点で生じる波面の変化もまたランダムに生じるため、その点からの反射光もやはり受光部に達しないという確率は非常に小さくなる。従って、反射点の数を増やすことにより反射光が受光部に達する回数の期待値は増加する。すなわち溶融金属面へのレーザー光照射について特表平9−500725に記された溶融面に焦点を合わせる方式ではなく、その反対に照射される部分の面積を多くとる方が受光部に達する回数が増加する。
溶融金属面の揺らぎにより表面に生じる波は曲率半径1−2mm程度のものが多く、それらが伝播して表面は複雑な凹凸を生じている。その一つの凸部に着目した場合、その凸部に光を照射して凸部内のどこか一点からの反射光を受光すると、その点の極近傍以外の凸部の他のところからの反射光は受光されない。受光回数を多くするには、他の凸部または凹部からの反射光を受光できるようにその他の凹凸部にもレーザー光を照射することが必須条件である。そのような凹凸部として少なくとも着目凸部の前後に凸部と同じ幅をとり、その幅の範囲に光を照射することにより、受光回数の増加が果たせる。
凸部の代表的な大きさが1−2mmの幅であるため、その前後に同等の幅を取った領域以上を照射するということは、実作業としてはレーザー光の照射領域は5mmφ以上とすることである。このような照射面積の規定をすることにより測定が極めて有効になされる。
また、このように反射効率が一定でないため、測定光を受光した量の変化(減少)が吸光によるものか、揺らぎによる反射効率の変化によるものかが判断できなくなる。そこで、比較用光を測定光と同時に照射・測定してその比をとることにより、反射効率の変化分を補償することが測定上必須となる。比較用光とは、反射効率の変化が測定光と任意の微小時間においても等しくなるように光路および照射面積を全く同一とした比較用の光である。
受光強度の測定方法に関しては、短時間ごとに区切って光強度を測定し、反射光の強度が閾値以上の場合のみの信号を濃度測定に用いることにより、測定精度が向上する。反射光強度が低い信号については、そのほとんどが輻射光のみであり、光の吸収量を正確に測定することができない。従って、反射光(特に基準光の反射光)の強度が閾値以上の場合のみの信号を濃度測定に用いることによってS/Nが改善され、より分析精度が向上する。
前述した溶融金属自体が発する輻射光は、以下のようにして測定光から分離する。すなわち、一定周期でレーザー光の照射を遮断して遮断時の輻射光(If)を測定し、レーザー照射時の測定光強度(Ir)と遮断時に測定した輻射光強度(If)との差(Ir−If)を、レーザーの反射光のみの強度とみなす。こうして測定した反射光の強度によって原子吸光の強さを正確に測定することができる。
また、輻射光が時間的に変動する場合は、一定周期でレーザー光の照射を遮断し、以下のように遮断時の輻射光を測定して、輻射光強度の経時的な変化を考慮する。すなわち、レーザー照射時の光強度(Ir)、およびその前後のレーザー遮断時の輻射光強度(If1,If2)から計算したレーザー遮断時の輻射光強度(=(If1+If2)/2)から、光強度の差(Ir−(If1+If2)/2)を求める。この光強度の差をレーザーの反射光のみの強度とみなして原子吸光の強さを測定する。こうすることにより、正確な輻射光の補正が可能となる。
レーザー光の照射を遮断する周期は、1ないし1000Hzの範囲が望ましい。
溶融金属からの輻射光のみを測定するために一定周期でレーザー光を遮断するためには、レーザー光を、溶融金属表面に照射する前に回転式遮断機(以下チョッパーと記す)に通過させる。レーザー光の照射と遮断を交互に行い、照射時にはレーザー反射光と輻射光との合計の光を測定し、遮断時には輻射光のみを測定する。こうすることで容易に真のレーザー反射光を測定することができる。このとき、レーザー光の遮断時間は、光計測時間より長くとる必要がある。たとえば、光計測時間が0.002秒の周期の場合は、レーザー遮断0.02秒、レーザー照射0.08秒(周期0.1秒)程度が望ましい。なお、遮断時間と照射時間は必ずしも一致させる必要はなく、遮断中に輻射光の変動を含む測定が十分に行える場合は、レーザー反射光の測定精度を向上させるために照射時間を長くすることが望ましい。こうすることにより、溶融金属からの光を分光する分光測光部に簡単なバンドパスフィルターとホトマル(光電子倍増管)のみを設置しても、正確に輻射光を測定することが可能となる。
溶融金属からの輻射光は連続光のため、容易に測定する方法として、反射光と輻射光の合計の光を分光器で分光して、入射したレーザー光波長の極近傍の波長の輻射光を測定することにより、レーザー光と同波長の輻射光を推定してもよい。
また、例えば赤外線等の特定の波長の輻射光と反射測定光の輻射光との関係をあらかじめ求め、この特定の波長の輻射光のみを測定することにより、レーザー光と同波長の輻射光を推定しても良い。
また、反射光の検出方法としては、例えばモノクロメータまたはポリクロメータを用いて受光した光を分光し、光強度を測定する方法がある。しかし、この方法では、分光する際、スリット等により光量が減衰するため測定感度が不足する。そこで、受光した光を、通過波長が反射光波長を含み通過波長幅が5nm以下であるバンドパスフィルターに通過させて、波長を選択した後、全光量を信号として光検出する。例えば、1mmφ程度の径の受光用光ファイバを取り付けて溶融金属表面からの反射光を受光し、光ファイバの他端から出た光をレンズにより平行光にして、測定波長を中心波長とするバンドパスフィルターを通した後、全光量を光電子増倍管(ホトマル)に導き、光強度を測定する。こうすることによって測定感度を向上させることができる。このときバンドパスフィルターの半値幅内に測定する波長が含まれ、かつその半値幅はできるだけ小さいことが望ましい。
また、溶融金属分析元素による原子吸光後の光、主成分元素による原子吸光後の光、基準光など、複数の反射測定光が同一光路にある場合は、45度入射光について特定波長範囲は反射して別の特定波長範囲は透過する光学フィルターを用いてレーザー光を分光して、さらに測定波長を中心波長とするバンドパスフィルターに通したのち光電子増倍管(ホトマル)に導き、その強度を測定しても良い。
溶融金属が高温になると、輻射光が大きくなり、溶融金属表面からの反射光の検出が困難となる。そこで、検出する反射光の強度が輻射光に対して10倍以上となるように照射光強度を調整する。特に、蒸気層によって吸光される波長の反射光は吸光によってその反射光強度が小さくなるので、吸光しないときの反射光の強度が輻射光に対して100倍以上となるように、入射光強度を調整することが望ましい。
また、輻射光が大きい場合は、反射光と輻射光の比が小さくなり、反射光の測定精度を悪くするので、溶融金属からの輻射光を検出しないように、溶融金属の表面の少なくとも一部は遮蔽することが望ましい。
溶融金属の温度変化について補正する必要性と補正方法は前に述べた通りである。溶融金属の温度測定は、あらかじめ特定の波長の輻射光強度と溶融金属の温度との関係式を求めておき、この特定波長の輻射光強度の測定値から計算して行っても良い。また、特定の波長の輻射光強度のかわりに、特定の2つの波長の輻射光の強度の比を用いても良い。輻射光強度は、別に測定装置を設置して測定してもよいし、チョッパーによって測定光が遮断されているときに測定した光量を用いて求めても良い。
本発明の方法は、例えば主成分が鉄であり、分析元素がMn(マンガン)である溶鋼などの系を測定する方法である。従来の原子吸光法では、溶鋼中Mn濃度が0.2wt%以上では吸光が飽和して測定が不可能であるが、本発明の方法を用いることにより、溶鋼中Mn濃度が2wt%でも測定することが可能となる。
本発明に係る溶融金属分析装置について説明する。図4に装置の一例を示す。図4において、レーザー光源1a(分析元素測定用)、1b(主成分元素測定用)および1c(基準光用)から発したレーザー光を、集光光学系7内の光学フィルター(ハイパスフィルター)8を通して同一光路の光とする。レーザー光源には、放出するレーザー光の波長および半値幅および強度が可変なレーザー光源を用いる。同一光路とした光を、レンズ9を通して光ファイバー11aに導入して、溶融金属近傍まで伝送する。溶融金属からの輻射光を測定するために、レーザー光を光ファイバー11aへ導入する直前にチョッパー10に通す。光ファイバー11aの先端から出た光は照射光学系22を通って、蒸気層4を通過して、溶融金属3の表面上に照射される。照射光学系22は、ファイバー11aの端面とレンズとの距離をレンズに取り付けたレンズ位置の微調整機構によって調整して、レーザー光を平行光または発散光として溶融金属4の表面へ照射できる機構としている。溶融金属3の表面で反射した光は再び蒸気層4を通過して、受光用光ファイバー11bを通って伝送される。この光ファイバーは1本でも良いし、複数でも良い。受光用光ファイバー11bから出た光は、レンズ12を通って平行光となり、波長域を分離する光学フィルター13a、13bを通って、各々のレーザー光波長に分けられた後、バンドパスフィルター14a〜14cを通って、全光量を測定する光検出器6a〜6cに導かれて強度が測定される。測定された各々の波長の強度は、溶融金属の温度センサー16からの温度情報、レーザー光源のレーザー光について測定した波長測定器19からのレーザー波長情報、およびビームサンプラー17と光検出器18で測定したレーザー光源からのレーザー出力パワー情報とともに演算装置15に送られる。
これらの情報から、レーザーパワー変動の補正、レーザー出力波長の変動の補正、蒸気層厚みの変動の補正、温度の補正を演算装置15で行い、溶融金属中の分析元素の濃度を求めることができる。
図4に示す装置を用いて、あらかじめレーザー出力パワーの補正、レーザー出力波長の補正、蒸気層厚みの補正、温度の補正を行って、分析元素の吸光度と溶融金属中の分析元素濃度(例えばwt%)との関係式(検量線)を求めておくことによって、精度の良い分析が可能となる。
(実施例1)
図3に示した測定装置を用いて、溶融金属中のMn濃度を測定した。
溶融金属3は、高周波溶解炉にて炭素るつぼ中に溶鋼5kgを溶融させて作製した。そして、溶鋼中にMnを溶鋼中濃度で0〜1wt%相当量添加した。Mn測定は、溶鋼温度1600℃で行った。
測定に用いた波長可変レーザーは、以下のようにして出力させた。すなわち、YAGレーザーの第二高調波の発振光(0.53nm)によりTiサファイアレーザーを励起して、波長連続レーザー光とした。そして、この波長連続レーザー光の第二高調波を波長を調整して発振させて、波長可変レーザーとして出力させた。発振波長の調整は、Mnの原子吸収波長403.307nmを中心に0.001nm単位でずらして行った。出力させたレーザー光のエネルギーは10mW、波長半値幅は0.002nmであった。
光学系として、2本の光ファイバー(レーザー入光用2とレーザー受光用5)を用いた。レーザー入光用ファイバ2の一端は、レーザー光源1からのレーザー光を集光させる位置に置いた。入光用ファイバ2の他端は、プローブに入れてプローブごと溶鋼面近傍に置いた。プローブ内は、空気の混入による酸化を防ぐために、窒素ガスで満たした。プローブ内では、入光用ファイバ2から出た光が蒸気層4を通過した後、受光用光ファイバ5の一端に送られた。受光用光ファイバ5の他端は、50cmエバート型分光器の入射スリット部に置いた。入射スリット部に届いた光は、分光器により分光されてホトダイオード6により強度が測定された。
以上のシステムを用いてレーザー光の波長をずらし、各ずらし量に対して溶鋼中のMn濃度と吸光による強度変化との関係を測定した。測定結果の一例を図5に示す。図5から明らかなように、レーザー光の波長をMnの吸光線波長の中心に合わせたときには、Mn濃度0.2wt%以上で吸光による強度変化の変化が測定できなかった。しかし、レーザー光の波長をMnの吸収線波長の中心から0.005nm以上ずらすことによって、Mn濃度1wt%でも吸光による強度変化を十分測定できた。
このように、本発明によりレーザー光の波長位置を制御することで測定感度を制御できるようになった。その結果、原子吸光法の欠陥である測定範囲の狭さが解消され、原子吸光法の溶融金属分析法への利用がより汎用的となった。
(実施例2)
図4に示した測定装置を用いて、溶融金属中のMn濃度を測定した。
溶融金属3としては、高周波溶解炉にて炭素るつぼ中に溶鋼5kgを溶融し、溶鋼中にMnを溶鋼中濃度で0〜1.5wt%相当量添加して作製したものを用いた。測定は溶鋼温度1550℃ないし1650℃の範囲で行った。
図4の装置の分析元素測定用レーザー光源1aには、YAGレーザーの第二高調波の発振光(0.53nm)によりTiサファイアレーザーを励起して波長連続レーザー光とし、この波長連続レーザー光の第二高調波について波長を調整して発振させる波長可変レーザーを用いた。発振波長は、Mnの原子吸収波長中心(403.307nm)から0.006nmだけずらした波長403.313nmに調整した。レーザーの波長半値幅は0.002nmであり、出力は10mWであった。
図6に、このレーザー光源を用いてレーザー波長位置によるMnの吸光感度の変化を測定した結果の一例を示す。図6から明らかなように、Mnの原子吸収波長403.307nmで吸光感度のピークが得られた。
また、図4の装置の主成分元素測定用レーザー光源1bには、上述の波長可変レーザーを、発振波長を溶融金属の主成分であるFeの原子吸収波長中心(386nm)付近に調整したものを用いた。レーザーの出力は10mWであった。
また、図4の基準光用レーザー光源1cには、発振波長が430nm付近の青色半導体レーザーを用いた。
レーザー照射用光学系には、上記3種のレーザー光を90度となる位置関係に置き、レーザー光の交差点に後述する光学フィルター8a〜8cを配置したものを用いて、3種のレーザー光を同一光路にした。すなわち、レーザー光源1aからのレーザー光を光学フィルター8aによって反射させた後、レーザー光源1bからのレーザー光と90度で交差させた。この交差点には、45度入射光について403nm(光源1a)の光は透過し386nm(光源1b)の光は反射する光学フィルター1bを置いた。こうして、光源1a、1bからのレーザー光を同一光路とした。次に、同一光路とした光源1a、1bからのレーザー光を、レーザー光源1cからのレーザー光と90度で交差させた。この交差点には、403nm(光源1a)の光、386nm(光源1b)の光は透過し、430nm(光源1c)の光は反射する光学フィルター8cを置いた。こうして、403nm(光源1a)、386nm(光源1b)のレーザー光と430nm(光源1c)のレーザー光とが同一光路となる状況を作った。このようにして同一光路とした3種のレーザー光をレンズ9で集光して、0.3mm径の光ファイバ11aに導入した。レーザー光を光ファイバ11aに入れる直前に回転式のチョッパー10に通した。光ファイバ11aの反対側端面はコネクタで固定し、レンズ22の位置を微調整する機構によりレンズ22とファイバー11a端面との距離を調整してレーザー光を平行光20とした後、溶鋼面へ照射した。溶鋼表面への照射径は5mmφとした。
また受光光学系としては光ファイバ11bのみとし、分光系としては光学フィルター13aおよび13bを用いた。すなわち溶鋼面近傍に1mmφの径の受光用光ファイバ11bを取り付けて、溶鋼面からの反射光21を受光した。光ファイバ11bの他端から出た光をレンズ12により平行光とした後、光学フィルター13aに導入して分光した。光学フィルター13aは、45度入射光について430nm(光源1c)の光は透過し、403nm(光源1a)の光と386nm(光源1b)の光は反射するフィルターである。反射したレーザー光は光学フィルター13bによりさらに分光した。光学フィルター13bは、45度入射について403nm(光源1a)の光は透過し、386nm(光源1b)の光は反射するフィルターである。このように分光した各測定波長のレーザー光を、各波長を中心波長とする半値幅2nmのバンドパスフィルター14a〜14cにそれぞれ通して光電子増倍管(ホトマル)6a〜6cに導き、その強度を2m秒単位で測定した。測定は2秒間行い1000データ収集した。
温度測定はPt−Rh系熱電対16を用いて測定した。あらかじめ、溶鋼表面直下と測温位置における温度の関係についてPt−Rh系熱電対を用いて測定し、関係式を求めた。
チョッパー10の周期は100m秒とし、遮断25m秒、照射75m秒の繰り返しとした。前述したようにチョッパー10で遮断したときの光強度は輻射光である。遮断しているときの輻射光強度の平均値を時系列で求め、前述したように、反射光測定時の輻射光強度を、反射光測定前後の遮断時の輻射光強度を平均して求めた。反射光測定時の測定値から、こうして計算した輻射光強度を差し引いて、真の反射光強度を求めた。これを基準光、測定用光のそれぞれについて求めた。
図7に、チョッパー10で遮断して求めた反射光の一例を、基準光、Mn測定用光について示す。
吸光度のデータについては、基準光強度をその強度順に並べたとき上位50%以上となるタイミングのデータを有効データとみなした。これらのタイミングでのMn測定光と基準光の平均値の間での強度比(R)と、溶鋼面を通さずにレーザー光を受光したときのMn測定光と基準光の平均値の間での強度比(R0)との比を求め、その逆数の対数(=−log(R/R0))をMnの吸光度とした。主成分元素であるFeについても同様にして吸光度を求めた。
溶融金属3の温度の補正は、蒸気圧の温度変化についての文献値を用い、1600℃の蒸気圧でのMn、Feの吸光度の値に基準化して、補正した。
蒸気層4厚みの補正はMnとFeの吸光度比を計算し、この吸光度比を蒸気層4厚み補正後のMn吸光度とした。
このようにして測定したMn吸光度(実際にはFe吸光度との比)と溶鋼中Mn濃度との関係の一例を図8に示す。図8から明らかなように、本発明を実施することによってMn吸光度と溶鋼中Mn濃度との相関は良好となり、高精度でMn濃度分析が可能となった。
なお、本実施例での測定は短時間であったため、レーザー光の出力波長は安定していて変化しなかった。しかし、実際の長時間の測定中には、レーザー出力波長は変化する。レーザー出力波長が変化した場合は、図6に示したような波長位置による吸光度の変化例を用いて吸光度を補正することで、高精度な分析が可能である。
本発明原理の説明図。 本発明原理の説明図。 本発明に係る溶融金属分析装置の一例を示す図。 本発明に係る溶融金属分析装置の別の例を示す図。 実施例における溶融金属分析結果の一例を示す図。 本発明原理の説明図。 実施例における溶融金属分析の時系列計測結果の一例を示す図。 実施例における溶融金属分析結果の一例を示す図。
符号の説明
1…レーザー光源、1a…レーザー光源(分析元素測定用)、1b…レーザー光源(主成分元素測定用)、1c…レーザー光源(基準光用)、2、5…光学系、3…溶融金属、4…金属蒸気層、6a、6b、6c…光検出器、7…集光光学系、8a、8b、8c…光学フィルター(ハイパスフィルター)、9…集光レンズ、10…チョッパー、11a…照射用光ファイバー、11b…受光用光ファイバー、12…レンズ、13a、13b…光学フィルター(ハイパスフィルター)、14a、14b、14c…バンドパスフィルター、15…演算装置、16…温度センサー、17…ビームサンプラー、18…光検出器、19…波長測定器、20…測定光および基準光、21…反射光、22…照射光学系。

Claims (12)

  1. 1または複数の分析元素を含む溶融金属の表面近傍の蒸気層に、分析元素の測定濃度範囲に応じて該分析元素の吸収波長の中心位置からずらした位置に波長の中心位置を有する測定光と、原子吸光を生じない波長の基準光とを同一光路に重畳して通過させ、
    通過した光の測定光成分の強度と基準光成分の強度とを測定し、
    測定光成分の波長をモニターして蒸気を通過する測定光成分の吸光感度を補正し、
    測定光成分と基準光成分の強度比と、蒸気層厚みと、溶融金属温度との間の既知の関係から、溶融金属中の分析元素の濃度を測定する
    ことを特徴とする溶融金属分析方法。
  2. 前記測定光の中心波長のずらし量を、測定濃度範囲の最大値における吸光度(=−log(吸光後光強度/吸光のない場合の光強度))が2.5以下となる値で、かつ分析元素の原子吸光線の波長半値幅の2倍未満の値に設定することを特徴とする請求項1記載の溶融金属分析方法。
  3. 前記測定光の波長半値幅Zが、分析元素の原子吸光線の波長半値幅をX、前記測定光の中心波長のずらし量をYとすると、Z<(2X−Y)の関係を満足することを特徴とする請求項1または2記載の溶融金属分析方法。
  4. 波長中心位置を溶融金属の主成分元素の原子吸光線の中心位置から吸光度に応じてずらした測定光と、前記分析元素用の波長中心位置をずらした測定光と、前記原子吸光を生じない波長の基準光とを、同一光路に重畳して溶融金属表面の蒸気層に通過させ、
    通過した光の両測定光成分の強度と基準光成分との強度を測定し、
    通過光の主成分元素に対応した測定光成分と基準光成分との強度比と、分析元素に対応した測定光成分と基準光成分との強度比との間の既知の関係から、蒸気層厚みを補正することを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の溶融金属分析方法。
  5. 測定光および基準光をチョッパーを用いてオン/オフし、オフ時の光強度を溶融金属からの輻射光強度としてバックグラウンド補正することを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の溶融金属分析方法。
  6. 測定光および基準光を溶融金属表面に照射し反射させて蒸気層を通過させた後、反射光の強度を測定することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の溶融金属分析方法。
  7. 測定光および基準光を溶融金属表面の5mmφ以上の領域に照射することを特徴とする請求項6記載の溶融金属分析方法。
  8. 基準光の反射光強度が閾値以上の場合の測定データを濃度測定に用いることを特徴とする請求項6または7記載の溶融金属分析方法。
  9. 反射光を光ファイバーにより受光し、受光した反射光を、通過波長が分析元素の原子吸光線波長を含み、通過波長幅が5nm以下であるバンドパスフィルターに通過させて波長を選択し、バンドパスフィルター通過後の全光量を測定することを特徴とする請求項6ないし8いずれか1項記載の溶融金属分析方法。
  10. 照射する測定光および基準光はレーザー光であり、反射光がバンドパスフィルターを通過後の測定光および基準光の強度が、該バンドパスフィルター通過波長域での溶融金属の輻射光強度の10倍以上となるように、照射光強度を調整することを特徴とする請求項6ないし9いずれか1項記載の溶融金属分析方法。
  11. 溶融金属の主成分元素が鉄であり、分析元素がマンガンであることを特徴とする請求項1ないし10いずれか1項記載の溶融金属分析方法。
  12. それぞれ、溶融金属中の分析元素の吸収波長を含む測定光および原子吸光を生じない波長の基準光を放出し、放出するレーザー光の波長および半値幅および強度が可変の複数のレーザー光源と、
    該レーザー光の波長及び強度を計測する手段と、
    該複数のレーザー光源から放出された波長が異なる複数のレーザー光を同一光路に重畳する光学系と、
    該同一光路に重畳されたレーザー光を一定周期でオンオフするチョッパーと、
    端部が溶融金属近傍に設置され、該同一光路に重畳されたレーザー光を溶融金属近傍に導く光ファイバーと、
    光ファイバーから放出されたレーザー光を溶融金属表面の5mmφ以上の範囲に照射するための光学系と、
    受光部が溶融金属近傍に設置され、溶融金属表面からの反射光を受光して光検出部に導く1または複数の受光用光ファイバーと、
    受光用光ファイバーにより導かれた反射光を、それぞれのレーザー光の波長を含む波長域に分離するハイパスフィルターおよび/またはローパスフィルターと、
    ハイパスフィルターおよび/またはローパスフィルターを通過後の反射光から、それぞれのレーザー光の波長を含む狭い波長域を分離するバンドパスフィルターと、
    バンドパスフィルター通過後の全光量を測定する光検出器と、
    溶融金属の温度を測定する手段と、
    測定されたレーザー光の波長に基づいて蒸気を通過する測定光の吸光感度を補正し、測定された溶融金属の温度における、前記複数のレーザー光源から放出された波長が異なるそれぞれのレーザー光の強度比と、それぞれのレーザー光が通過した溶融金属近傍の蒸気層厚みとの間の既知の関係に基づいて溶融金属中の分析元素の濃度を演算する演算装置と
    を備えることを特徴とする溶融金属分析装置。
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