JP5927244B2 - 酸素同位体濃度分析装置、及び酸素同位体濃度分析方法 - Google Patents

酸素同位体濃度分析装置、及び酸素同位体濃度分析方法 Download PDF

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Description

本発明は、水を主成分とし、かつ酸素同位体の濃度が異なる濃度とされた複数の試料に含まれる酸素同位体の濃度を、簡便、かつ精度良く取得することの可能な酸素同位体濃度分析装置、及び酸素同位体濃度分析方法に関する。
近年、水に含まれる酸素同位体比の取得可能な分析方法として、キャビティリングダウン分光法(CRDS:Cavity Ring Down Spectrometry)を用いた酸素同位体比の分析方法が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
キャビティリングダウン分光法は、水の同位体(H 16O、H 17O、H 18O)によって吸収波長が異なることを利用した方法である。キャビティリングダウン分光法は、吸収強度比から酸素同位体濃度を求める方法であり、試料(水を主成分とし、酸素同位体を含む試料)を直接分析することが可能であるため、簡便に酸素同位体の濃度を取得することができる。
また、水を主成分とする試料に含まれる酸素同位体の濃度を取得する場合、該試料を気化させて、分析計に導入することが行われている。
少量の試料を気化させる装置として、例えば、電気加熱気化(ETV)装置が用いられている。近年では、グラファイトキュベットやタングステン母材とするボートやフィラメントを有する電気加熱気化(ETV)装置が用いられている。
特許文献2には、10μLの液体試料をタングステンボート上に滴下させることで、約1300℃の温度により気化させ、気化した液体試料をキャリアガス(水素を添加したアルゴンガス)により、分析計(例えば、ICP−AES(ICP−Atomic Emission Spectrometry))に導入することが開示されている。
特表2010−513875号公報 特許第4715759号公報
しかしながら、酸素同位体が高濃度とされた気化した試料(水を主成分とし、かつ酸素同位体を含む試料)を、例えば、先に説明したキャビティリングダウン分光法を行う分析計に導入させた場合(つまり、特許文献1,2に開示された技術を用いた場合)、酸素同位体の濃度が高濃度とされた試料が一気に分析計に導入されることとなる。
この場合、波長掃引の開始から終了までの期間における水分濃度の変化が速くなり、光吸収強度が変化するため、正確な酸素同位体の光吸収強度比を得ることができなくなってしまうという問題があった。
つまり、水を主成分とする試料に含まれる酸素同位体の濃度を、精度良く取得することが困難であった。
さらに、キャビティリングダウン分光法を用いて、水に含まれる酸素同位体の濃度を取得する場合、気化器内、光路セル内、及び気化した試料を供給する供給ラインの内壁等に、前回分析した試料が吸着し、この影響が残り(この現象を、以下、「メモリー効果」という)、該メモリー効果により、次に分析する試料(以下、「別の試料」という)に含まれる酸素同位体の濃度を正確に測定することができなくなる。
特に、水は吸着性が強く、気化器内、光路セル内、及び気化した試料を供給する供給ラインの内壁等に付着すると除去することが困難であるため、酸素同位体濃度の大きく異なる別の試料を測定する際には、メモリー効果を除去するために、50〜60回程度の該別の試料の気化導入を行った後、該別の試料に含まれる酸素同位体の濃度の分析を行っていた。
このため、水を主成分とし、かつ酸素同位体の濃度が異なる複数の試料に含まれる酸素同位体の濃度を分析する際に、多くの時間を要してしまうという問題があった。
そこで、本発明は、水を主成分とし、かつ酸素同位体の濃度が異なる濃度とされた複数の試料に含まれる酸素同位体の濃度を、簡便、かつ精度良く取得することの可能な酸素同位体濃度分析装置、及び酸素同位体濃度分析方法に関する。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、水を主成分とし、かつ酸素同位体を含む試料を気化させる気化器、及び該気化器と接続されると共に、キャリアガスにより、気化した前記試料を供給する試料供給ラインを含む複数の試料供給部と、前記気化した試料及び前記キャリアガスが供給される多重反射光学吸収セル、該多重反射光学吸収セル内に変調させたレーザ光を照射するレーザ照射部、及び前記多重反射光学吸収セルから導出された前記レーザ光に基づいて、前記水の同位体の微分吸収スペクトルを取得すると共に、該微分吸収スペクトルを分析することで、前記酸素同位体の濃度を算出する分析部を含む分析装置本体と、前記多重反射光学吸収セル内のガスを排気する排気ラインと、前記複数の試料供給部に設けられた前記試料供給ラインと接続されており、複数の前記試料供給ラインのうち、1つの該試料供給ラインにより輸送された前記気化した試料及び前記キャリアガスを前記多重反射光学吸収セルに供給すると共に、残りの前記試料供給ラインに連続して供給する前記キャリアガスを廃棄する供給ライン切替部と、一端が前記供給ライン切替部と接続され、他端が前記多重反射光学吸収セルと接続され、前記供給ライン切替部を通過した前記気化した試料及び前記キャリアガスを前記多重反射光学吸収セルに供給する分析用気化試料供給ラインと、前記分析用気化試料供給ラインに配置され、前記複数の試料供給部に設けられた前記気化器のうち、前記試料が導入される気化器内の圧力が所定の圧力となるように調整する第1の圧力調整部と、を有することを特徴とする酸素同位体濃度分析装置が提供される。
また、請求項2に係る発明によれば、前記供給ライン切替部は、4方切替バルブまたはマルチポジションバルブであることを特徴とする請求項1記載の酸素同位体濃度分析装置が提供される。
また、請求項3に係る発明によれば、前記試料供給部は、前記気化器と接続され、該気化器に前記キャリアガスを供給するキャリアガス供給ラインと、前記キャリアガス供給ラインに設けられ、前記キャリアガスの流量を調節する流量調節部と、を有することを特徴とする請求項1または2記載の酸素同位体濃度分析装置が提供される。
また、請求項4に係る発明によれば、前記排気ラインに配置され、前記多重反射光学吸収セル内の圧力が所定の圧力となるように調整する第2の圧力調整部を有することを特徴とする請求項3記載の酸素同位体濃度分析装置が提供される。
また、請求項5に係る発明によれば、前記気化器を加熱する第1の加熱部と、前記試料供給ラインを加熱する第2の加熱部と、前記供給ライン切替部を加熱する第3の加熱部と、前記キャリアガス供給ラインのうち、前記気化器と前記流量調節部との間に配置された部分を加熱する第4の加熱部と、前記分析用気化試料供給ラインを加熱する第5の加熱部と、前記多重反射光学吸収セルを加熱する第6の加熱部と、前記キャリアガス供給ラインのうち、前記流量調節部の前段に位置する部分を加熱する第7の加熱部と、前記排気ラインのうち、前記多重反射光学吸収セルと前記第2の圧力調整部との間に位置する部分を加熱する第8の加熱部と、を有することを特徴とする請求項4記載の酸素同位体濃度分析装置が提供される。
また、請求項6に係る発明によれば、供給ライン切替部と接続され、かつ気化器を含む複数の試料供給部に、キャリアガスを連続的に供給するキャリアガス供給工程と、前記供給ライン切替部の後段に配置された第1の圧力調整部により、前記気化器内の圧力が所定の圧力となるように調整する圧力調整工程と、前記複数の試料供給部に設けられた前記気化器のうち、1つの気化器に、水を主成分とし、かつ酸素同位体を含む試料を繰り返し導入して、分析装置本体を構成する多重反射光学吸収セル内に気化した前記試料、及びキャリアガスを供給する分析前準備工程と、前記供給ライン切替部により、前記試料が導入されていない前記試料供給部から供給された前記キャリアガスを廃棄するキャリアガス廃棄工程と、前記分析前準備工程後、前記試料を導入させた前記1つの気化器内に、再度、前記試料を導入することで、前記供給ライン切替部を介して、前記多重反射光学吸収セル内に気化した前記試料、及び前記キャリアガスを供給する分析用試料供給工程と、波長変調分光法を用いて、前記多重反射光学吸収セル内に変調させたレーザ光を照射し、前記多重反射光学吸収セル内において、該レーザ光を複数回反射させて、気化した前記試料と前記レーザ光とを衝突させるレーザ照射工程と、前記多重反射光学吸収セルの外部に、前記多重反射光学吸収セル内に照射された前記レーザ光を導出し、該レーザ光の検出信号に基づいて、前記水の同位体の微分吸収スペクトルを取得する微分吸収スペクトルを取得工程と、前記微分吸収スペクトルを分析することで、前記酸素同位体の濃度を算出する酸素同位体濃度算出工程と、を有することを特徴とする酸素同位体濃度分析方法が提供される。
また、請求項7に係る発明によれば、前記キャリアガスを連続的に供給する期間中において、前記気化器、及び前記気化器と接続されると共に、気化した前記試料を供給する試料供給ラインが所定の温度となるように加熱することを特徴とする請求項6記載の酸素同位体濃度分析方法が提供される。
また、請求項8に係る発明によれば、前記気化した試料及び前記キャリアガスは、フィルターを介して、前記供給ライン切替部に供給され、その後、前記多重反射光学吸収セル内に供給されることを特徴とする請求項6または7記載の酸素同位体濃度分析方法が提供される。
また、請求項9に係る発明によれば、前記供給ライン切替部として、4方切替バルブまたはマルチポジションバルブを用いることを特徴とする請求項6ないし8のうち、いずれか1項記載の酸素同位体濃度分析方法が提供される。
また、請求項10に係る発明によれば、前記複数の試料供給部のうち、次の分析に使用する試料供給部に対して、予め他の試料を気化導入させることを特徴とする請求項6ないし9のうち、いずれか1項記載の酸素同位体濃度分析方法が提供される。
また、請求項11に係る発明によれば、前記キャリアガス供給工程では、前記気化器に、流量が調節された前記キャリアガスを供給すると共に、流量が調節された前記キャリアガスの温度が所定の温度となるように加熱し、前記分析用試料供給工程では、前記多重反射光学吸収セル内の圧力が所定の圧力となるように調整すると共に、前記多重反射光学吸収セルの温度が所定の温度となるように加熱することを特徴とする請求項6ないし10のうち、いずれか1項記載の酸素同位体濃度分析方法が提供される。
本発明の酸素同位体濃度分析装置、及び酸素同位体濃度分析方法によれば、水を主成分とし、かつ酸素同位体の濃度が異なる濃度とされた複数の試料に含まれる酸素同位体の濃度を、簡便、かつ精度良く取得することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る酸素同位体濃度分析装置の概略構成を模式的に示す図(系統図)である。 本発明の第2の実施の形態に係る酸素同位体濃度分析装置の主要部の概略構成を模式的に示す図(系統図)である。 本発明の第3の実施の形態に係る酸素同位体濃度分析装置の主要部の概略構成を模式的に示す図(系統図)である。 図1に示す酸素同位体濃度分析装置を用いて水道水を分析した際に得られた水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)に関する2次微分吸収スペクトルを示す図(グラフ)である。 水道水を導入する気化器内の圧力を110kPaA、200kPaA,300kPaAに変化させ、水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)に関する2次微分吸収スペクトルを1分間隔で連続的に取得した際の水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)のピーク高さの推移を示す図(グラフ)である。 水道水が導入される気化器内の圧力を300kPaAに制御した場合における16Oの濃度(atom%)と掃引回数(回)との関係、及び水道水が導入される気化器内の圧力を制御しない場合における16Oの濃度(atom%)と掃引回数(回)との関係を示す図(グラフ)である。 4方切換バルブを切り替え後に行った試料の気化導入回数と18Oの濃度との関係(実施例)、及び4方切換バルブを切り替えないで行った試料の気化導入回数と18Oの濃度との関係(参考例)を示す図(グラフ)である。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の酸素同位体濃度分析装置の寸法関係とは異なる場合がある。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る酸素同位体濃度分析装置の概略構成を模式的に示す図(系統図)である。
図1では、第1の実施の形態に係る酸素同位体濃度分析装置10の一例として、複数の試料供給部11,12の数が2つの場合を例に挙げて図示する。
また、図1では、キャリアガス供給ライン35−1と同様な構成とされたキャリアガス供給ラインを符号「35−2」とし、流量調節部36−1と同様な構成とされた流量調節部を符号「36−2」とし、第4の加熱部38−1と同様な構成とされた第3の加熱部を符号「38−2」とし、気化器41−1と同様な構成とされた気化器を符号「41−2」とし、試料導入部41−1Aと同様な構成とされた試料導入部を符号「41−2A」として図示する。
さらに、図1では、第1の加熱部43−1と同様な構成とされた第1の加熱部を符号「43−2」とし、フィルター44−1と同様な構成とされたフィルターを符号「44−2」とし、試料供給ライン45−1と同様な構成とされた試料供給ラインを符号「45−2」とし、第2の加熱部46−1と同様な構成とされた第2の加熱部を「46−2」として図示する。
なお、第1の実施の形態では、主に、試料供給部11に、試料(後述する試料A)及びキャリアガスを供給し、該試料に含まれる酸素同位体(具体的には、16O、17O、18O)の濃度を分析し、試料供給部12にキャリアガスのみを供給し、その後、4方切替バルブ14を切り替えて、試料供給部12に、試料(後述する試料B)及びキャリアガスを供給し、該試料に含まれる酸素同位体(具体的には、16O、17O、18O)の濃度を分析し、試料供給部11にキャリアガスのみを供給する場合を例に挙げて以下の説明をする。
図1を参照するに、第1の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置10は、試料供給部11,12と、供給ライン切替部である4方切替バルブ14と、第3の加熱部15と、分析用気化試料供給ライン17と、第1の圧力調整部18と、第5の加熱部19と、分析装置本体22と、廃棄ライン23と、排気ライン25と、ポンプ26と、第2の圧力調整部28と、第8の加熱部58と、を有する。
試料供給部11は、キャリアガス供給ライン35−1と、第7の加熱部34−1と、流量調節部36−1と、第4の加熱部38−1と、気化器41−1と、第1の加熱部43−1と、フィルター44−1と、試料供給ライン45−1と、第2の加熱部46−1と、を有する。
キャリアガス供給ライン35−1は、その一端が気化器41−1と接続されており、他端がキャリアガス供給源(図示せず)と接続されている。
キャリアガス供給ライン35−1は、キャリアガス供給源(図示せず)から供給されたキャリアガスを気化器41−1に供給するためのラインである。キャリアガスとしては、例えば、窒素、或いはアルゴンやヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
第7の加熱部34−1は、キャリアガス供給ライン35−1のうち、流量調節部36−1の前段に位置する部分を覆うように配置されている。第7の加熱部34−1は、流量調節部36−1の前段に位置するキャリアガス供給ライン35−1を加熱する。
このように、流量調節部36−1の前段に位置するキャリアガス供給ライン35−1を加熱する第7の加熱部34−1を設けることにより、キャリアガスの体積流量を一定にすることが可能となるため、気化導入した際、得られる2次微分吸収スペクトルにおける水同位体の各吸収線のピーク高さの再現性を高めることができる。
流量調節部36−1は、キャリアガス供給ライン35−1に設けられている。流量調節部36−1は、気化器41−1に供給するキャリアガスの流量が所定の流量となるように流量を調節する。流量調節部36−1としては、例えば、マスフローコントローラを用いることができる。
第4の加熱部38−1は、キャリアガス供給ライン35−1のうち、気化器41−1と流量調節部36−1との間に配置された部分を覆うように配置されている。第4の加熱部38−1は、キャリアガス供給ライン35−1から流れるキャリアガスの温度が所定の温度(例えば、70℃)となるように、流量調節部36−1で所定の流量としたキャリアガスを加熱する。第4の加熱部38−1としては、例えば、ヒーターを用いることができる。
このように、キャリアガス供給ライン35−1に、キャリアガス供給ライン35−1内を流れるキャリアガスを加熱する第4の加熱部38−1を設けることにより、気化器41−1で気化された試料とキャリアガスとの温度差を無くす、或いは該温度差を小さくすることが可能となるので、試料の気化を再現性良く実施することができる。
気化器41−1は、上方に突出する突出部を有したT字形状とされている。気化器41−1は、試料供給ライン45−1の一端と接続されている。気化器41−1を構成する突出部の上端部には、マイクロシリンジ(図示せず)により、気化器41−1内に、水を主成分とし、かつ酸素同位体(具体的には、16O、17O、18O。以下、このような酸素同位体を単に「酸素同位体」という)を含む試料(以下、単に「試料A」という)を導入するための試料導入部41−1Aが配置されている。試料導入部41−1Aは、例えば、ゴムで構成することができる。
気化器41−1では、試料導入部41−1Aを介して、試料Aが導入された際、試料Aに含まれる酸素同位体濃度を維持したまま、全ての試料Aを気化させることができる。
気化器41−1において、気化された試料Aは、キャリアガス供給ライン35−1により輸送されたキャリアガス(具体的には、所定の流量及び温度とされたキャリアガス)により、試料供給ライン45−1に導出される。
気化器41−1のうち、試料導入部41−1Aを除いた部分の材料としては、例えば、ステンレス鋼を用いることができる。気化器41−1としては、例えば、市販のT字型配管を用いることができる。
第1の加熱部43−1は、試料導入部41−1Aを露出させた状態で、気化器41−1の外面を被覆するように配置されている。第1の加熱部43−1は、気化器41−1を加熱することで、気化した試料Aの温度を所定の温度(例えば、70℃)に保つと共に、気化器41−1A内に残存する水分を除去する。第1の加熱部43−1としては、例えば、リボンヒータを用いることができる。
上記所定の温度としては、試料Aが瞬時に気化する温度が好ましく、上記70℃に限定されない。
このように、試料導入部41−1Aを露出させた状態で、気化器41−1の外面を被覆する第1の加熱部43−1を有することで、試料Aを気化させた状態で、所定の温度に保つことが可能となるので、気化した試料Aの温度のばらつきに起因する酸素同位体の濃度のバラツキを抑制できるとともに、気化器41−1内における水分の吸着を抑制することができる。
フィルター44−1は、気化器41−1の近傍に位置する試料供給ライン45−1に設けられている。フィルター44−1は、パーティクルを除去する機能を有する。フィルター44−1を通過後、気化した試料A、及びキャリアガスは、試料供給ライン45−1を介して、4方切替バルブ14に供給される。
フィルター44−1としては、例えば、メッシュサイズ2μmの焼結フィルターを用いることができる。
試料供給ライン45−1は、他端が4方切替バルブ14と接続されている。試料供給ライン45−1は、フィルター44−1を介して、気化した試料A及びキャリアガスを4方切替バルブ14に供給する。
第2の加熱部46−1は、試料供給ライン45−1を被覆するように設けられている。第2の加熱部46−1は、試料供給ライン45−1を加熱することで、気化した試料A及びキャリアガスの温度を所定の温度(例えば、70℃)に保つことができると共に、試料供給ライン45−1内における水分の吸着を抑制することができる。
第2の加熱部46−1としては、例えば、リボンヒータを用いることができる。
このように、試料供給ライン45−1を被覆する第2の加熱部46−1を有することで、試料供給ライン45−1を通過する間に、気化した試料A及びキャリアガスの温度が所定の温度から低下することを抑制できる。
試料供給部12は、キャリアガス供給ライン35−2と、第7の加熱部34−2と、流量調節部36−2と、第4の加熱部38−2と、気化器42−2と、第2の加熱部43−2と、フィルター44−2と、試料供給ライン45−2と、第2の加熱部46−2と、を有しており、試料供給部11と同様な構成とされている。試料供給ライン45−2の他端は、4方切替バルブ14と接続されている。
第7の加熱部34−2は、キャリアガス供給ライン35−2のうち、流量調節部36−2の前段に位置する部分を覆うように配置されている。第7の加熱部34−2は、流量調節部36−2の前段に位置するキャリアガス供給ライン35−2を加熱する。
このように、流量調節部36−2の前段に位置するキャリアガス供給ライン35−2を加熱する第7の加熱部34−2を設けることにより、キャリアガスの体積流量を一定にすることが可能となるため、気化導入した際、得られる2次微分吸収スペクトルにおける水同位体の各吸収線のピーク高さの再現性を高めることができる。
上記構成とされた試料供給部12は、先に説明した試料供給部11と同様な効果を得ることができる。
4方切替バルブ14は、接続部14A〜14Dを有する。接続部14Aは、試料供給部11を構成する試料供給ライン45−1の他端と接続されている。例えば、マイクロシリンジ(図示せず)を用いて、試料導入部41−1Aに試料Aを導入させた際、接続部14Aには、気化した試料A、及びキャリアガスが供給される。
接続部14Bは、分析用気化試料供給ライン17の一端と接続されている。
接続部14Cは、試料供給部12を構成する試料供給ライン45−2の他端と接続されている。例えば、試料供給部11を用いて試料Aを分析装置本体22に供給し、試料Aの分析に使用しない試料供給部12にキャリアガスを連続的に供給させた際、接続部14Cには、キャリアガスが連続的に供給され、該キャリアガスにより試料供給部12内が連続的にパージ処理される。
接続部14Dは、廃棄ライン23の一端と接続されている。
図1において、4方切替バルブ14に示す実線は、オフ状態を示しており、点線はオン状態を示している。つまり、図1に示す状態の4方切替バルブ14では、接続部14Aと接続部14Bと間、及び接続部14Cと接続部14Dとの間が接続されると共に、接続部14Aと接続部14Dとの間、及び接続部14Bと接続部14Cとの間が接続されていない状態になっている。
したがって、試料供給部11に試料A及びキャリアガスが供給されると、気化器41−1により気化した試料A、及びキャリアガスは、接続部14A,14B及び分析用気化試料供給ライン17を介して、分析装置本体22を構成する多重反射光学吸収セル55内に導入される。
一方、試料供給部11に試料A及びキャリアガスを供給し、試料供給部12にキャリアガスのみを連続的に供給させると、該キャリアガスは、接続部14C,14Dを介して、廃棄ライン23により連続的に廃棄される。
なお、図1では、一例として、試料供給部11から分析用の試料Aを分析装置本体22に供給する場合の4方切替バルブ14の状態を図示したが、試料供給部12から水を主成分とし、かつ試料Aに含まれる酸素同位体とは酸素同位体の濃度の異なる試料(以下、「試料B」という)を供給する場合、4方切替バルブ14は、図1に示す状態から切替動作を行う。
具体的には、4方切替バルブ14は、接続部14Bと接続部14Cと間、及び接続部14Aと接続部14Dとの間を接続すると共に、接続部14Aと接続部14Bとの間、及び接続部14Cと接続部14Dとの間が接続されていない状態にする。
この状態において、試料供給部12に試料B及びキャリアガスが供給されると、気化器41−2により気化した試料B、及びキャリアガスは、接続部14C,14B及び分析用気化試料供給ライン17を介して、分析装置本体22を構成する多重反射光学吸収セル55内に導入される。
一方、試料供給部12に試料B及びキャリアガスを供給し、試料供給部11にキャリアガスのみを連続的に供給させると、該キャリアガスは、接続部14A,14Dを介して、廃棄ライン23により連続的に廃棄される。
上記説明したように、4方切替バルブ14は、試料供給部11,12(複数の試料供給部)に設けられた試料供給ライン45−1,45−2と接続されており、試料供給ライン11,12のうち、1つの試料供給ライン(この場合、試料供給ライン11または試料供給ライン12)により輸送された気化した試料(この場合、試料Aまたは試料B)及びキャリアガスを多重反射光学吸収セル55に供給すると共に、残りの試料供給ライン(この場合、試料供給ライン11または試料供給ライン12)に連続して流れるキャリアガスを廃棄する供給ライン切替部として機能する。
このように、水を主成分とし、かつ酸素同位体を含む試料Aを気化させる気化器41−1、及び気化器41−1と接続されると共に、キャリアガスにより、気化した試料Aを供給する試料供給ライン45−1を含む試料供給部11と、水を主成分とし、かつ酸素同位体を含む試料Bを気化させる気化器41−2、及び気化器41−2と接続されると共に、キャリアガスにより、気化した試料Bを供給する試料供給ライン45−2を含む複数の試料供給部12と、試料供給部11,12に設けられた試料供給ライン45−1,45−2と接続されており、試料供給ライン11,12のうちの一方の試料供給ラインにより輸送された気化した試料(この場合、試料Aまたは試料B)及びキャリアガスを多重反射光学吸収セル55に供給すると共に、他方の試料供給ライン(この場合、試料供給ライン11または試料供給ライン12)に連続して流れるキャリアガスを廃棄する4方切替バルブ14と、を有することで、試料Aの分析時に使用しない試料供給部12内、或いは試料Bの分析時に使用しない試料供給部11内にキャリアガスを連続に供給することで、試料供給部11内または試料供給部12内の清浄度を保つことが可能となる。
これにより、水を主成分とし、かつ酸素同位体を含む試料を分析する前において、分析に使用する試料供給部11,12内の汚染状態を低減するため(言い換えれば、清浄度を得るため)に、気化器41−1,41−2内に分析に使用する試料と同じ成分の試料を繰り返し導入する試料導入処理(安定した分析結果が得られるまで行う処理)の回数を、従来よりも少なくすることが可能(具体的には、後述する図7に示すように、従来の試料導入処理の回数の1/6〜1/5程度にすることが可能)となる。
これにより、水を主成分とし、かつ酸素同位体の濃度が異なる濃度とされた複数の試料A,Bに含まれる酸素同位体の濃度を、簡便に取得することができる。
第3の加熱部15は、4方切替バルブ14に設けられている。第3の加熱部15は、所定の温度(例えば、70℃)となるように、4方切替バルブ14を加熱する。
このように、所定の温度(例えば、70℃)となるように、4方切替バルブ14を加熱する第3の加熱部15を有することで、気化した試料A及びキャリアガスの温度を所定の温度(例えば、70℃)に保つことができると共に、4方切替バルブ14内における水分の吸着を抑制することができる。
分析用気化試料供給ライン17は、その他端が多重反射光学吸収セル55と接続されている。分析用気化試料供給ライン17は、4方切替バルブ14の接続部14Bを介して供給された気化した試料(試料Aまたは試料B)、及びキャリアガスを多重反射光学吸収セル55内に供給するためのラインである。
第1の圧力調整部18は、分析用気化試料供給ライン17に設けられている。第1の圧力調整部18は、4方切替バルブ14を介して、試料供給部11,12に設けられた気化器41−1,41−2のうち、試料が導入される一方の気化器内の圧力が所定の圧力(例えば、陽圧である300kPaA)となるように調整する。
このように、4方切替バルブ14を介して、試料供給部11,12に設けられた気化器41−1,41−2のうち、試料が導入される一方の気化器内の圧力を所定の圧力(陽圧)となるように調整する第1の圧力調整部18を有することにより、多重反射光学吸収セル55内に導入される水分の量を高濃度で長時間一定に保つことが可能となるので、分析装置本体22により取得される試料(試料Aまたは試料B)に含まれる酸素同位体の濃度の測定精度を向上させることができる。
第1の圧力調整部18としては、例えば、自動背圧調節器(オートプレッシャーレギュレータ)を用いることができる。
第5の加熱部19は、分析用気化試料供給ライン17のうち、第1の圧力調整部18から露出された部分を覆うように配置されている。第5の加熱部19は、分析用気化試料供給ライン17を介して、分析用気化試料供給ライン17内を流れる気化した試料A及びキャリアガス(或いは、気化した試料B、及びキャリアガス)の温度を所定の温度(例えば、50℃)に加熱する。
このように、分析用気化試料供給ライン17のうち、第1の圧力調整部18から露出された部分を覆うように配置された第5の加熱部19を有することで、分析期間中において、常に一定の温度とされた気化した試料A(または、気化した試料B)を多重反射光学吸収セル55内に供給することが可能となるので、分析装置本体22により取得される試料(試料Aまたは試料B)に含まれる酸素同位体の濃度の精度を向上させることができる。
分析装置本体22は、多重反射光学吸収セル55と、第6の加熱部57と、レーザ照射部61と、レンズ63,64と、ミラー67と、レーザ光検出部69と、ロックインアンプ71、データ収録部72、及びパーソナルコンピュータ74を含む分析部70と、ファンクションジェネレータ76と、温度コントローラ内臓LDドライバ77と、を有する。
多重反射光学吸収セル55は、非共振型の多重反射光学吸収セルであり、光透過性円筒部材81と、第1の反射鏡83と、第2の反射鏡84と、を有する。
光透過性円筒部材81は、両端が閉塞端とされた円筒形状とされた部材であり、光透過性を有する材料(例えば、ガラス)で構成されている。
第1の反射鏡83は、変調されたレーザ光を反射する湾曲した反射面83aと、反射面83aの反対側に配置された平坦面83bと、多重反射光学吸収セル55内に変調されたレーザ光を導くレーザ光導入孔83Aと、を有する。
レーザ光導入孔83Aは、第1の反射鏡83の中央部を貫通するように配置されている。レーザ光導入孔83Aの直径は、例えば、4.3mm程度とすることができる。
第1の反射鏡83は、光透過性円筒部材81内に収容されている。第1の反射鏡83は、光透過性円筒部材81の2つの端部のうち、変調されたレーザ光が照射される側に位置する端部の内壁面と平坦面83bとが接触するように、該端部に固定されている。
第2の反射鏡84は、変調されたレーザ光を反射する湾曲した反射面84aと、反射面84aの反対側に配置された平坦面84bと、を有する。第2の反射鏡84は、反射面84aと第1の反射鏡83の反射面83aとが対向するように、光透過性円筒部材81内に収容されている。
第2の反射鏡84は、光透過性円筒部材81の2つの端部のうち、レーザ光が照射される側とは反対側に位置する端部の内壁面と平坦面84bとが接触するように、該端部に固定されている。
レーザ光導入孔83Aから多重反射光学吸収セル55内に導入された変調されたレーザ光(平坦面83bに対して交差する方向に導入された変調されたレーザ光)は、第2の反射鏡84の反射面84aに到達すると、第1の反射面83aに向かう方向に反射され、その後、第1の反射面83aで反射される。
つまり、多重反射光学吸収セル55内に導入された変調されたレーザ光は、第2の反射面84aと第1の反射面83aとの間で数百回程度反射される。このとき、変調されたレーザ光は、多重反射光学吸収セル55内に導入された試料Aに含まれる水同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)と衝突する。
例えば、第1の反射面83aと第2の反射面84aとの間の距離が320mmで、第1の反射面83aと第2の反射面84aとの間でレーザ光を237回反射させる場合、レーザ光の合計の光路長は、76mとなる。
上記構成とされた多重反射光学吸収セル55としては、例えば、ヘリオットセルを用いるとよい。
このように、多重反射光学吸収セル55として、ヘリオットセルを用いることにより、キャビティリングダウン分光分析装置(図示せず)では必要なレーザ光を共振器内で共振させる処理が不要となる。
したがって、共振条件を満たすために必要な高度な光軸調整機構が不要となるため、簡便に分析を行うことができる。
また、キャビティリングダウン分光分析装置(図示せず)を用いて、水を主成分とする試料に含まれる酸素同位体の濃度を分析する場合、主な吸収波長が近赤外から長波長側に存在する不可視の波長であり、また、キャビティリングダウン分光分析装置(図示せず)を構成する高反射率ミラーからリーク(光強度の減衰率を得るために必要なもの)する光の強度が非常に微弱で可視することができないため、キャビティリングダウン分光分析装置(図示せず)の光軸を調整することは非常に困難である。
一方、図1に示す多重反射光学吸収セル55の光軸調整を行う場合、レーザ光導入孔83Aを介して、可視光(例えば、He−Neレーザ光)を入射させ、所定の反射パターンになっているか否かについて、光透過性円筒部材81を介して、目視により確認しながら、光軸調整を行うことが可能であるので、容易に光軸の調整を行うことができる。
そして、上記光軸調整後に、試料A(または、試料B)の分析に使用する変調されたレーザ光を、可視光が通過した光路と同一の光路を通過するように調節し、レーザ光導入孔83Aを介して、多重反射光学吸収セル55内に導入させればよい。
さらに、ヘリオットセルは、反射面83a,84aが汚れた場合でも、レーザ光の光路長が変化しない。よって、図1に示す多重反射光学吸収セル55として、ヘリオットセルを用いることで、反射面83a,84aが汚れた場合でも、試料A(または、試料B)に含まれる酸素同位体の濃度の感度が低下することを抑制できる。
一方、従来のキャビティリングダウン分光分析装置(図示せず)は、ミラーが汚れて反射率が低下すると、光路長が短くなるため、酸素同位体の濃度の感度が低下してしまう。
第6の加熱部57は、光透過性円筒部材81の側面に対して着脱可能に設けられている。つまり、多重反射光学吸収セル55の光軸調整を行う際、光透過性円筒部材81の側面から第6の加熱部57の全部、或いは第6の加熱部57の一部を取り外すことができる。
第6の加熱部57は、多重反射光学吸収セル55を介して、多重反射光学吸収セル55内の温度が所定の温度(例えば、50℃)となるように加熱を行う。
このように、光透過性円筒部材81の側面に設けられた第6の加熱部57を有することで、多重反射光学吸収セル55内に残存するメモリー効果を低減できると共に、安定した雰囲気で試料A(または、試料B)に含まれる酸素同位体の濃度を分析可能となるため、精度良い酸素同位体の濃度を取得することができる。
レーザ照射部61は、レンズ63,64及びレーザ光導入孔83Aを介して、ファンクションジェネレータ76、及び温度コントローラ内臓LDドライバ77により、変調されたレーザ光(例えば、DFBレーザ光)を多重反射光学吸収セル55内に照射する。
レーザ照射部61としては、例えば、ファンクションジェネレータ76、及び温度コントローラ内臓LDドライバ77により、1.003KHzの周波数、及び2mAの振幅で変調され、かつ1416nmの付近で波長を掃引可能な一定のレーザ光の温度(例えば、14℃)で、オフセット電流が15mA〜150mAの範囲内で可変な構成とされている。
つまり、本実施の形態の酸素同位体濃度分析装置10では、波長変調分光法(Wavelength Modulation Spectroscopy、WMS法)を適用している。
波長変調分光法(WMS法)では、光源から照射されるレーザ光の波長を、分析対象ガスの吸収波長をカバーする所定の波長範囲で変調させる方法である。
レーザ光としてダイオードレーザ光を用いる場合、放射光の波長及び強度の変調につながるレーザ電流を変更することによって、上記変調を達成する。
レーザ光は、試料の導入された多重反射光学吸収セル55を通過後、レーザ光検出部69に入射し、電気信号は基本変調周波数(f)、或いは高調波周波数(nf)でロックインアンプ71によって変調される。なお、整数の倍数であるnを用いたその他の高調波(nf)にも同様に適用可能である。
本発明では、基本変調周波数fの第2の高調波周波数2fに着目しているが、整数の倍数であるnを用いてその他の高調波(nf)にも同様に適用される。
レンズ63は、レーザ照射部61の近傍に配置されている。レンズ64は、レンズ63とレーザ光導入孔83Aとの間に配置されている。レンズ63,64は、レーザ光を平行光にするために使用される。
ミラー67は、平坦で、かつ鏡面とされたミラー面67aを有する。ミラー67は、第1及び第2の反射面83a,84aにより、所定の回数(例えば、237回)反射されることで試料A(または、試料B)に含まれる酸素同位体と衝突し、かつレーザ光導入孔83Aから多重反射光学吸収セル55の外部に導出された変調したレーザ光(変調したレーザ光)の進行方向を、ミラー面67aにより、レーザ光検出部69に向かう方向に変更させる。
レーザ光検出部69は、ロックインアンプ71と電気的に接続されている。レーザ光検出部69は、ミラー67により反射されたレーザ光(変調したレーザ光)を受光すると共に、変調したレーザ光の強度を電気信号に変換し、該電気信号をロックインアンプ71に送信する。
ロックインアンプ71は、レーザ光検出部69、データ収録部72、及びファンクションジェネレータ76と電気的に接続されている。ロックインアンプ71には、ファンクションジェネレータ76からレーザ光の変調周波数信号(例えば、1.003KHz)が供給されている。
ロックインアンプ71には、レーザ光検出部69から送信された電気信号(レーザ光の強度が電気信号に変換された信号)と、レーザ光の変調周波数信号(例えば、1.003KHz)と、に基づいて、該変調周波数信号の2倍の周波数とされた該電気信号のみを抽出する回路が組み込まれており、該回路により、該変調周波数信号の2倍の周波数とされた該電気信号のみを抽出することで、水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)に関する2次微分吸収スペクトル(以下、単に「2次微分吸収スペクトル」という)を取得する。
ロックインアンプ71では、商用の電源等によるノイズ成分の悪影響を受けることなく、直接、対象成分である上記電気信号の2次微分吸収スペクトルを取得することが可能である。よって、IRMS(同位体比質量分析法)では必要な同位体交換反応を行うことなく、高感度な酸素同位体の濃度を取得することができる。
ロックインアンプ71は、取得した2次微分吸収スペクトルに関するデータをデータ収録部72に送信する。
データ収録部72は、ロックインアンプ71、及びパーソナルコンピュータ74と電気的に接続されている。データ収録部72では、ロックインアンプ71から送信された2次微分吸収スペクトルに関するデータを、パーソナルコンピュータ74で使用可能なデータに変換し、その後、変換したデータをパーソナルコンピュータ74に送信する。
データ収録部72としては、例えば、データ収録装置(DAQ)を用いることができる。
パーソナルコンピュータ74は、データ収録部72、及びファンクションジェネレータ76と電気的に接続されている。パーソナルコンピュータ74は、ファンクションジェネレータを介して、レーザ光のオフセット電流や変調振幅、変調周波数を制御するために使用される。
また、パーソナルコンピュータ74は、データ収録部72から得られるロックインアンプの信号すなわち2次微分信号を読み取り、2次微分吸収スペクトルの描画や、各同位体のピーク高さの計算、そのピーク高さ比から同位体濃度を計算するために使用される。
ファンクションジェネレータ76(変調部)は、ロックインアンプ71、及び温度コントローラ内臓LDドライバ77と電気的に接続されている。
ファンクションジェネレータ76は、パーソナルコンピュータ74から送信されたオフセット電流、変調振幅、変調周波数に関するデジタル信号を受け、レーザ光の変調周波数信号(例えば、オフセット電流:150mA、変調振幅:2mA、変調周波数:1.003KHz)を生成する。
ファンクションジェネレータ76は、ロックインアンプ71にレーザ光の変調周波数信号(例えば、1.003KHz)を供給する。レーザ光の変調周波数信号(例えば、1.003KHz)は、「参照信号」と呼ばれることもある。
温度コントローラ内臓LDドライバ77は、レーザ照射部61及びファンクションジェネレータ76と電気的に接続されている。
温度コントローラ内臓LDドライバ77は、ファンクションジェネレータ76から送信される電圧信号に基づいて、レーザ照射部61から照射されるレーザ光の温度及び電流の制御を行う。
上記説明したように、波長変調分光法(WMS法)により、水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)に関する2次微分吸収スペクトルを取得し、該2次微分吸収スペクトルを用いて、水を主成分とする試料A(または、試料B)に含まれる酸素同位体の濃度を算出することにより、得られた酸素同位体の濃度の精度を向上させることができる。
廃棄ライン23は、その一端が4方切替バルブ14の接続部14Dと接続されている。廃棄ライン23には、分析に使用しない側の試料供給部(試料供給部11または試料供給部12)から連続供給されるキャリアガスが導入され、該キャリアガスが廃棄される。
排気ライン25は、多重反射光学吸収セル55内のガスを排気可能なように、その一端が多重反射光学吸収セル55と接続されている。
ポンプ26は、排気ライン25に設けられている。試料A(または、試料B)の分析が終了後に、多重反射光学吸収セル55内に残存するガスを排出させるときや、及び多重反射光学吸収セル55内のメモリー効果を除去するときに、ポンプ26は、排気ライン25内に多重反射光学吸収セル55内のガスを排出させる。
第2の圧力調整部28は、排気ライン25の一端とポンプ26との間に位置する排気ライン25に設けられている。試料A(または、試料B)の分析時において、第2の圧力調整部28は、多重反射光学吸収セル55内の圧力が所定の圧力(例えば、10kPaA)となるように調整する。
このように、排気ライン25に設けられた第2の圧力調整部28を有することにより、多重反射光学吸収セル55内の圧力を所定の圧力となるように保持することが可能となるので、多重反射光学吸収セル55内において、試料A(または、試料B)に含まれる酸素同位体の濃度を安定して、正確に取得することができる。
第8の加熱部58は、排気ライン25のうち、多重反射光学吸収セル55と第2の圧力調整部28との間に位置する部分を覆うように設けられており、この部分を加熱する。
このように、多重反射光学吸収セル55と第2の圧力調整部28との間に位置する排気ライン25を覆う第8の加熱部58を有することで、第2の圧力調節部28に流れるガスの温度が一定の温度となるように制御して、多重反射光学吸収セル55の圧力をより一定に保持することが可能となるので、再現性良く2次微分吸収スペクトルを測定することができる。
第1の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置によれば、水を主成分とし、かつ酸素同位体を含む試料を気化させる気化器41−1、及び気化器41−1と接続されると共に、キャリアガスにより、気化した試料Aを供給する試料供給ライン45−1を含む試料供給部11と、水を主成分とし、かつ酸素同位体を含む試料Bを気化させる気化器41−2、及び気化器41−2と接続されると共に、キャリアガスにより、気化した試料Bを供給する試料供給ライン45−2を含む試料供給部12と、試料供給部11,12(複数の試料供給部)に設けられた試料供給ライン45−1,45−2と接続されており、試料供給ライン45−1,45−2のうち、一方の試料供給ラインにより輸送された気化した試料A(または、試料B)及びキャリアガスを多重反射光学吸収セル55内に供給すると共に、他方の試料供給ラインに連続して供給されるキャリアガスを廃棄する4方切替バルブ14(供給ライン切替部)と、を有することにより、例えば、試料Aに含まれる酸素同位体の濃度の分析時において、試料供給部12に連続してキャリアガスを供給することが可能となるので、試料供給部12内に該キャリアガスを連続して供給しない場合と比較して、試料供給部12内の清浄度を高いレベルで維持することが可能となる。
また、試料Aと試料Bを連続して分析する場合、試料Aに含まれる酸素同位体の濃度の分析時において、試料供給部12に予め次に分析する試料Bをキャリアガスとともに気化導入することが可能となる。したがって、試料供給部12内に該キャリアガスを連続して供給しない場合と比較して、試料供給部12内の同位体濃度を試料Bに含まれる酸素同位体濃度で維持することが可能となる。
これにより、試料Aに含まれる酸素同位体の濃度の分析後、試料Aとは異なる酸素同位体の濃度とされた試料Bの酸素同位体の濃度を分析する前に行うメモリー効果を除去するための処理であるマイクロシリンジを用いた気化器41−2への分析対象試料(この場合、試料B)の導入処理の回数を従来よりも少なくすることが可能となる(具体的には、従来、50〜60回程度の導入処理が必要であったが、それを10回程度に低減することが可能となる。)。
したがって、例えば、試料A,Bに含まれる酸素同位体を連続して分析する場合において、従来よりも短い時間で2つの試料A,Bに含まれる酸素同位体の濃度を取得することができる。
つまり、従来よりも、簡便に、異なる濃度とされた酸素同位体を含む試料A,Bに含まれる酸素同位体濃度の分析を行うことができる。
なお、試料供給部12により供給された試料Bに含まれる酸素同位体の濃度を分析時において、試料供給部11内に連続してキャリアガスを供給することで、試料供給部11内におけるメモリー効果を除去することが可能となるため、試料Bの分析終了後に、試料供給部11を用いて、試料Aとは異なる酸素同位体の濃度とされた試料に含まれる酸素同位体の濃度を分析することができる。
また、気化した試料A(または、試料B)及びキャリアガスが供給される多重反射光学吸収セル55、多重反射光学吸収セル55内に変調させたレーザ光を照射するレーザ照射部61、及び多重反射光学吸収セル55内から導出されたレーザ光に基づいて、水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)に関する2次微分吸収スペクトルを取得すると共に、2次微分吸収スペクトルを分析することで、試料A(または、試料B)酸素同位体の濃度を算出する分析部70を含む分析装置本体22を有することにより、ノイズ成分の悪影響を受けることなく、直接、対象成分である電気信号の2次微分吸収スペクトルを取得することが可能となるので、IRMS(同位体比質量分析法)では必要な同位体交換反応を行うことなく、高感度に酸素同位体の濃度を取得することができる。
また、多重反射光学吸収セル55内のガスを排気する排気ライン25と、一端が4方切替バルブ14と接続され、他端が多重反射光学吸収セル55と接続され、4方切替バルブ14を通過した気化した試料(試料Aまたは試料B)及びキャリアガスを多重反射光学吸収セル55内に供給する分析用気化試料供給ライン17と、分析用気化試料供給ライン17に配置され、試料供給部11,12に設けられた気化器のうち、試料が導入される気化器内の圧力が所定の圧力となるように調整する第1の圧力調整部18と、を有することで、多重反射光学吸収セル55内に導入される水分の量を高濃度で長時間一定に保つことが可能となるので、分析装置本体22により取得される試料(試料Aまたは試料B)に含まれる酸素同位体の濃度の精度を向上させることができる。
つまり、第1の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置によれば、水を主成分とし、かつ酸素同位体の濃度が異なる濃度とされた複数の試料に含まれる酸素同位体の濃度を、簡便、かつ精度良く取得することができる。
次に、図1を参照して、図1に示す酸素同位体濃度分析装置10を用いた第1の実施の形態の酸素同位体濃度分析方法について説明する。
ここでは、試料供給部11を介して供給した試料Aを分析後に、試料供給部12を介して供給した試料Bを分析する場合を例に挙げて説明する。
始めに、試料Aの酸素同位体濃度の分析を始める前に、予め、試料供給部11,12に、流量調節部36−1,36−2により所定の流量(例えば、100ccm)に調節されたキャリアガス(例えば、窒素ガス)を連続的に供給して、別の試料を測定した際に残存するメモリー効果を除去する(キャリアガス供給工程)。
4方切替バルブ14には、フィルター44−1,44−2を通過したキャリアガスが供給される。
このとき、4方切替バルブ14の状態は、図1に示す状態(具体的には、接続部14Aと接続部14Bとが接続され、かつ接続部14Cと接続部14Dとが接続された状態)とし、第1の加熱部43−1,43−2、第2の加熱部46−1,46−2、第3の加熱部15、第4の加熱部38−1,38−2、及び第7の加熱部34−1、34−2が加熱する温度を、例えば、70℃とし、第5の加熱部19、第6の加熱部57、及び第8の加熱部58が加熱する温度を、例えば、50℃とする。
このように、第1の加熱部43−1,43−2、第2の加熱部46−1,46−2、第3の加熱部15、第4の加熱部38−1,38−2、第5の加熱部19、第6の加熱部57、第7の加熱部34−1、34−2、及び第8の加熱部58を用いて、試料Aやキャリアガスが流れる区間を加熱することで、該区間内に残存するメモリー効果を低減することが可能となる。これにより、分析結果から得られる試料Aに含まれる酸素同位体濃度の精度を向上させることができる。
上記加熱により、キャリアガスを連続的に供給する期間中において、気化器41−1,41−2、試料供給ライン45−1,45−2、及び4方切替バルブ14が所定の温度(例えば、70℃)となる。
したがって、気化器41−1,41−2には、所定の流量(例えば、100ccm)で、かつ所定の温度(例えば、70℃程度)とされたキャリアガスが供給される。
また、上記加熱により、分析用気化試料供給ライン17、及び多重反射光学吸収セル55の温度が所定の温度(例えば、50℃)となる。
なお、上記第1の加熱部43−1,43−2、第2の加熱部46−1,46−2、第3の加熱部15、第4の加熱部38−1,38−2、第5の加熱部19、及び第6の加熱部57の加熱は、試料A,Bに含まれる酸素同位体濃度の分析が完了するまで継続する。
これにより、分析期間中において、常に一定の温度とされた気化した試料A(または、試料B)を多重反射光学吸収セル55内に供給することが可能となるので、分析装置本体22により取得される試料(試料Aまたは試料B)に含まれる酸素同位体の濃度の精度を向上させることができる。
次いで、4方切替バルブ14の後段に配置された第1の圧力調整部18により、試料Aが導入される気化器41−1内の圧力が所定の圧力(例えば、300kPaA)となるように調整する(圧力調整工程)。
このように、試料Aが導入される気化器41−1内の圧力が所定の圧力(例えば、300kPaA)となるように調整することで、酸素同位体のピークの安定時間(言い換えれば、ピークが安定的に検出される時間の長さ)を調整する(例えば、ピークが現れる時間を長くする)ことが可能となるので、安定して、試料Aに含まれる酸素同位体の濃度を取得することができる。
次いで、試料供給部11,12に設けられた気化器41−1,41−2のうち、気化器41−1の試料導入部41−1Aに、マイクロシリンジ(図示せず)を用いて試料Aを繰り返し導入することで、分析装置本体22を構成する多重反射光学吸収セル55内に気化した試料A、及びキャリアガスを供給する(分析前準備工程)。
このとき、4方切替バルブ14には、フィルター44−1を通過した気化した試料A、及びキャリアガスが供給される。
マイクロシリンジを用いて試料Aを繰り返し導入する回数(試料Aに含まれる酸素同位体の濃度が安定する回数(分析を行うことが可能な状態となるまでの回数))は、例えば、10回程度とすることができる。
なお、上記キャリアガス供給工程を行わない場合、マイクロシリンジを用いて試料Aを繰り返し導入する回数は、50〜60回程度必要である。
このように、試料Aを分析する前に、試料供給部11,12にキャリアガスを連続的に供給するキャリアガス供給工程を行うことで、例えば、試料A,Bに含まれる酸素同位体を連続して分析する場合において、従来よりも短い時間で2つの試料A,Bに含まれる酸素同位体の濃度を取得することができる。
つまり、従来よりも、簡便に、異なる濃度とされた酸素同位体を含む試料A,Bに含まれる酸素同位体濃度の分析を行うことができる。
試料Aが導入されていない試料供給部12に供給されたキャリアガスは、4方切替バルブ14を介して、廃棄ライン23に廃棄される(キャリアガス廃棄工程)。
上記分析前準備工程により試料Aの酸素同位体濃度が安定した後、試料Aを導入させた気化器41−1内に、再度、試料A(分析用の試料)を導入することで、4方切替バルブ14を介して、多重反射光学吸収セル55内に気化した試料A、及びキャリアガスを供給する(分析用試料供給工程)。
上記分析用試料供給工程では、第2の圧力調整部28により、多重反射光学吸収セル55内の圧力が所定の圧力(例えば、10kPaA)となるように調整するとよい。
これにより、多重反射光学吸収セル55内において、試料A(または、試料B)に含まれる酸素同位体の濃度が安定するため、正確に試料A(または、試料B)に含まれる酸素同位体濃度を取得することができる。
次いで、レンズ63,64及びレーザ光導入孔83Aを介して、多重反射光学吸収セル55内に変調させたレーザ光(例えば、DFBレーザ光)を照射し、多重反射光学吸収セル55内において、レーザ光を複数回(例えば、数百回(具体的には、例えば、237回))反射させて、気化させた試料Aに含まれる酸素同位体とレーザ光とを衝突させる(レーザ照射工程)。
このとき、レーザ照射部61は、ファンクションジェネレータ76、及び温度コントローラ内臓LDドライバ77により、例えば、1.003KHzの周波数、及び2mAの振幅で変調され、かつ1416nmの付近で波長を掃引可能な一定のレーザ光の温度(例えば、14℃)で、かつオフセット電流が15mA〜150mAの範囲内とされたレーザ光を照射し、波長変調分光法(WMS法)によって2次微分吸収スペクトルの測定を行うことができる。
なお、多重反射光学吸収セル55内に、水が存在する場合において、水の吸収波長でレーザ光が発振しているときにレーザ光が吸収され、水の吸収波長以外の波長でレーザ光が発振しているときにはレーザ光が吸収されないため(言い換えれば、レーザ光が弱まらないため)、レーザ光の波長を掃引することで、水分の吸収スペクトル(言い換えれば、H 16O、H 17O、及びH 18Oに関する吸収スペクトル)を測定することができる。
多重反射光学吸収セル55内において、所定の光路長(例えば、76m)を移動したレーザ光は、レーザ光導入孔83Aを介して、多重反射光学吸収セル55の外側に導出される。多重反射光学吸収セル55の外側に導出されたレーザ光は、ミラー67のミラー面67aに反射され、レーザ光検出部69の受光面(図示せず)に向かう。
次いで、レーザ光検出部69では、酸素同位体と衝突したレーザ光の強度が電気信号(レーザ光の強度に関するデータ)に変換され、ロックインアンプ71に該電気信号が送信される。
次いで、ロックインアンプ71では、レーザ光検出部69から送信された電気信号(レーザ光の強度が電気信号に変換された信号)と、ファンクションジェネレータ76から送信されたレーザ光の変調周波数信号(例えば、1.003KHz)と、に基づいて、該変調周波数の2倍の周波数とされた該電気信号のみを抽出することで、水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)に関する2次微分吸収スペクトルを取得する(微分吸収スペクトルを取得工程)。
ロックインアンプ71では、商用の電源等によるノイズ成分の悪影響を受けることなく、直接、対象成分である上記電気信号の2次微分吸収スペクトルを取得することが可能であるので、IRMS(同位体比質量分析法)では必要な同位体交換反応を行うことなく、高感度に酸素同位体濃度を取得することができる。
ロックインアンプ71は、取得した2次微分吸収スペクトルに関するデータをデータ収録部72に送信する。
次いで、データ収録部72では、ロックインアンプ71から送信された2次微分吸収スペクトルに関するデータを、パーソナルコンピュータ74で使用可能なデータに変換し、その後、変換したデータをパーソナルコンピュータ74に送信する。
その後、得られた2次微分吸収スペクトルから各水の同位体のピーク高さを算出し、それぞれのピーク高さ強度比から酸素同位体濃度を算出する(酸素同位体濃度算出工程)。
第1の実施の形態の酸素同位体濃度分析方法によれば、4方切替バルブ14と接続され、かつ気化器41−1,41−2を含む試料供給部11,12に、キャリアガスを連続的に供給するキャリアガス供給工程と、4方切替バルブ14の後段に配置された第1の圧力調整部18により、分析対象となる試料(試料Aまたは試料B)が導入される気化器内の圧力が所定の圧力となるように調整する圧力調整工程と、試料供給部11,12に設けられた気化器41−1,41−2のうち、1つの気化器に、水を主成分とし、かつ酸素同位体を含む試料を繰り返し導入して、分析装置本体22を構成する多重反射光学吸収セル55内に気化した該試料、及びキャリアガスを供給する分析前準備工程と、4方切替バルブ14により、試料が導入されていない試料供給部から供給されたキャリアガスを廃棄するキャリアガス廃棄工程と、分析前準備工程後、試料を導入させた気化器内に、再度、該試料を導入することで、4方切替バルブ14を介して、多重反射光学吸収セル55内に気化した試料、及びキャリアガスを供給する分析用試料供給工程と、有することで、例えば、試料供給部11を用いて供給する試料Aに含まれる酸素同位体の濃度の分析時において、試料供給部12に連続してキャリアガスを供給することが可能となるので、試料供給部12内に該キャリアガスを連続して供給しない場合と比較して、試料供給部12内の清浄度を高いレベルで維持することが可能(言い換えれば、メモリー効果を低減することが可能)となる。
これにより、試料Aに含まれる酸素同位体の濃度の分析後、試料Aとは異なる酸素同位体の濃度とされた試料Bの酸素同位体の濃度を分析する前に行うメモリー効果を除去するための処理であるマイクロシリンジを用いた気化器41−2への分析対象試料(この場合、試料B)の導入処理の回数を従来よりも少なくすることが可能となる。
具体的には、上記キャリアガス供給工程を行わないと、50〜60回程度の試料の導入処理が必要であったが、上記キャリアガス供給工程を行うことで、10回程度に低減することが可能となる。
したがって、例えば、試料A,Bに含まれる酸素同位体を連続して分析する場合において、従来よりも短い時間で2つの試料A,Bに含まれる酸素同位体の濃度を取得することができる。
つまり、従来よりも、簡便に、異なる濃度とされた酸素同位体を含む試料A,Bに含まれる酸素同位体濃度の分析を行うことができる。
また、第1の圧力調整部18により、試料が導入される気化器内の圧力が所定の圧力となるように調整することで、多重反射光学吸収セル55内に導入される水分の量を高濃度で長時間一定に保つことが可能となるので、分析装置本体22により取得される試料(試料Aまたは試料B)に含まれる酸素同位体の濃度の精度を向上させることができる。
なお、試料供給部12により供給された試料Bに含まれる酸素同位体の濃度を分析時において、試料供給部11内に連続してキャリアガスを供給することで、試料供給部11内におけるメモリー効果を除去することが可能となるため、試料Bの分析終了後に、試料供給部11を用いて、試料Aとは異なる酸素同位体の濃度とされた試料に含まれる酸素同位体の濃度を高精度に分析することができる。
また、多重反射光学吸収セル55内に変調させたレーザ光を照射し、多重反射光学吸収セル55内において、レーザ光を数百回反射させて、試料に含まれる酸素同位体とレーザ光とを衝突させるレーザ照射工程と、多重反射光学吸収セル55の外部に、多重反射光学吸収セル55内に照射されたレーザ光を導出し、該レーザ光の強度に関するデータに基づいて、水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)に関する2次微分吸収スペクトルを取得する微分吸収スペクトルを取得工程と、該2次微分吸収スペクトルを分析することで、試料に含まれる酸素同位体の濃度を算出する酸素同位体濃度算出工程と、を有することで、ノイズ成分の悪影響を受けることなく、直接、対象成分である電気信号の2次微分吸収スペクトルを取得することが可能となるので、IRMS(同位体比質量分析法)では必要な同位体交換反応を行うことなく、高感度な酸素同位体の濃度を取得することができる。
つまり、第1の実施の形態の酸素同位体濃度分析方法によれば、水を主成分とし、かつ酸素同位体の濃度が異なる濃度とされた複数の試料に含まれる酸素同位体の濃度を、簡便、かつ精度良く取得することができる。
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る酸素同位体濃度分析装置の主要部の概略構成を模式的に示す図(系統図)である。図2において、図1に示す第1の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置10と同一構成部分には、同一符号を付す。
図2を参照するに、第2の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置90は、第1の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置10を構成する4方切替バルブ14に替えて、マルチポジションバルブ91を有し、かつ試料供給ライン45−3〜45−8を有すること以外は、酸素同位体濃度分析装置10と同様に構成される。
マルチポジションバルブ91は、第1の部材92と、第2の部材93と、を有する。
第1の部材92は、リング状部材92Aと、接続部92Bと、を有する。リング状部材92Aは、第2の部材93の内側に配置されている。リング状部材92Aは、分析用気化試料供給ライン17と接続されている。
接続部92Bは、リング状部材92Aと接続されると共に、リング状部材92Aの外側に突出するように配置されている。
試料供給ライン45−1〜45−8は、接続部92Bと接続可能な状態で、リング状部材92Aの周囲に配置されている。
なお、図2では、一例として、試料供給ライン45−1と接続部92Bとが接続された状態を示している。この状態で、試料供給ライン45−1に気化した試料A及びキャリアガスが供給されると、分析用気化試料供給ライン17を介して、多重反射光学吸収セル55内に気化した試料A及びキャリアガスが供給される。
第2の部材93は、リング状部材93Aと、接続部93B〜93Hと、を有する。リング状部材93Aは、第1の部材92の外側に配置されている。リング状部材93Aは、廃棄ライン23と接続されている。
接続部93B〜93Hは、リング状部材93Aと接続されており、リング状部材93Aの周方向に配置されている。接続部93B〜93Hは、リング状部材93Aの内側に突出すると共に、試料供給ライン45−1〜45−8と接続可能な位置に配置されている。
なお、図2では、一例として、接続部93Bと試料供給ライン45−2とが接続され、接続部93Cと試料供給ライン45−3とが接続され、接続部93Dと試料供給ライン45−4とが接続され、接続部93Eと試料供給ライン45−5とが接続され、接続部93Fと試料供給ライン45−6とが接続され、接続部93Gと試料供給ライン45−7とが接続され、接続部93Hと試料供給ライン45−8とが接続された状態を模式的に示している。
この状態において、試料供給ライン45−2〜45−8に供給されたキャリアガスは、第2の部材93及び廃棄ライン23を介して、廃棄される。
上記構成とされたマルチポジションバルブ91は、試料供給ライン45−1〜45−8に対して、第1及び第2の部材92,93が一体的に回転可能な構成とされている。
例えば、図2に示す状態から、マルチポジションバルブ91が右に1段階回転すると、接続部92Bと試料供給ライン45−8とが接続され、試料供給ライン45−8を介して、多重反射光学吸収セル55内に、気化した試料及びキャリアガスを供給することができる。
この状態において、他の試料供給ライン(試料供給ライン45−1〜45−7)に供給されるキャリアガスは、第2の部材93及び廃棄ライン23を介して、廃棄される。
このように、図1に示す4方切替バルブ14に替えて、マルチポジションバルブ91を有する第2の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置90は、第1の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置10と同様な効果を得ることができる。
また、第2の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置90によれば、図2に示す構成とされたマルチポジションバルブ91を有することで、図1に示す4方切替バルブ14を用いた場合と比較して、より多くの試料供給部(図1に示す試料供給部11,12と同様な構成とされた構造体)をマルチポジションバルブ91に接続することが可能となるので、分析する試料の数が多い場合に有効である。
なお、上記構成とされた酸素同位体濃度分析装置90を用いた第2の実施の形態の酸素同位体濃度分析方法は、先に説明した第1の実施の形態の酸素同位体濃度分析方法と同様な手法で行うことができ、第1の実施の形態の酸素同位体濃度分析方法と同様な効果を得ることができる。
(第3の実施の形態)
図3は、本発明の第3の実施の形態に係る酸素同位体濃度分析装置の主要部の概略構成を模式的に示す図(系統図)である。図3において、図1及び図2に示す第1及び第2の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置10,90と同一構成部分には、同一符号を付す。
なお、図3では、一例として、試料供給ライン45−1と接続部92Bとが接続された状態を示しており、この状態で、試料供給ライン45−1に気化した試料A及びキャリアガスが供給されると、分析用気化試料供給ライン17を介して、多重反射光学吸収セル55内に気化した試料A及びキャリアガスが供給される。
図3を参照するに、第3の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置100は、第2の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置90を構成するマルチポジションバルブ91及び廃棄ライン23に替えて、マルチポジションバルブ101及び廃棄ライン103A〜103Hを有すること以外は、酸素同位体濃度分析装置90と同様に構成される。
マルチポジションバルブ101は、図2に示すマルチポジションバルブ91を構成する第2の部材93に替えて、接続部101A〜101Gを有すること以外は、マルチポジションバルブ91と同様な構成とされている。
接続部101A〜101Gは、第1の部材92の外側に、リング状に配置されている。接続部101Aは、試料供給ライン45−1〜45−8のうちの1つの試料供給ラインと、該試料供給ラインと隣接する1つの接続部(具体的には、接続部101A〜101Gのうちの1つの接続部)とを接続するための接続配管である。
上記構成とされたマルチポジションバルブ101は、試料供給ライン45−1〜45−8、及び廃棄ライン103A〜103Hに対して回転可能な構成とされている。
試料供給ライン45−1〜45−8、及び廃棄ライン103A〜103Hに対してマルチポジションバルブ101が回転することで、水を主成分とし、かつ酸素同位体を含む試料を供給する試料供給ライン(試料供給ライン45−1〜45−8のうちの1つの試料供給ライン)を選択することができる。
廃棄ライン103Aは、試料供給ライン45−1の近傍に設けられている。廃棄ライン103Bは、試料供給ライン45−2の近傍に設けられている。廃棄ライン103Cは、試料供給ライン45−3の近傍に設けられている。廃棄ライン103Dは、試料供給ライン45−4の近傍に設けられている。
廃棄ライン103Eは、試料供給ライン45−5の近傍に設けられている。廃棄ライン103Fは、試料供給ライン45−6の近傍に設けられている。廃棄ライン103Gは、試料供給ライン45−7の近傍に設けられている。廃棄ライン103Hは、試料供給ライン45−8の近傍に設けられている。廃棄ライン103A〜103Hは、リング状に配置されている。
つまり、第3の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置100は、複数の廃棄ライン103A〜103Hを有した構成とされている。
このように、複数の廃棄ライン103A〜103Hを有する第3の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置100は、先に説明した第2の実施の形態の酸素同位体濃度分析装置90と同様な効果を得ることができる。
なお、上記構成とされた酸素同位体濃度分析装置100を用いた第3の実施の形態の酸素同位体濃度分析方法は、先に説明した第1の実施の形態の酸素同位体濃度分析方法と同様な手法で行うことができ、第1の実施の形態の酸素同位体濃度分析方法と同様な効果を得ることができる。
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
第1ないし第3の実施の形態では、水を主成分とする試料にふくまれた酸素同位体の濃度を解析する場合を例に挙げて説明したが、図1〜図3に示す酸素同位体濃度分析装置10,90,100は、例えば、水、炭化水素、CO、CO、NO、NO、NOのうち、いずれか1種を主成分とする試料に含まれる水素、酸素、炭素、窒素の安定同位体の濃度を分析する際にも使用可能である。
また、第1ないし第3の実施の形態では、水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)に関する微分吸収スペクトルとして、2次微分吸収スペクトルを用いた場合を例に挙げて説明したが、微分吸収スペクトルの次数は、2次微分吸収スペクトルに限定されない。微分吸収スペクトルの次数として、例えば、4次または6次を用いることができる。
微分吸収スペクトルの次数は、各酸素同位体の吸収ピーク波長において、極大値が得られる偶数の次数が好ましい。微分吸収スペクトルの次数として4次または6次を用いる場合、電気信号の損失が大きいため、シグナルノイズ比率が大きい次数を選択するとよい。
以下、試験例について説明するが、本発明は、下記試験例に限定されない。
(試験例1)
試験例1では、図1に示す酸素同位体濃度分析装置10を用いて、試料供給部11から試料である水(水道水)を分析装置本体22に供給し、H 16O、H 17O、及びH 18Oに関する2次微分吸収スペクトルを取得し、H 16O、H 17O、及びH 18Oの吸収強度を得ることができるか否かの確認を行った。
このとき、気化器41−1,41−2、試料供給ライン45−1,45−2、及び4方切替バルブ14の温度が70℃となるように加熱した。また、分析用気化試料供給ライン17、及び多重反射光学吸収セル55の温度が50℃となるように加熱した。
キャリアガス供給ライン35−1,35−2を介して、気化器41−1,41−2には、100ccmの窒素ガス(キャリアガス)を供給した。また、第1の圧力調整部18により、気化器41−1内の圧力を300kPaAとした。
多重反射光学吸収セル55としては、ヘリオットセルを用いた。具体的には、該ヘリオットセルとして、第1の反射鏡83と第2の反射鏡84との間隔が320mmとされたエアロダインリサーチ製のAMAC−76を用いた。
また、多重反射光学吸収セル55内でのレーザ光の反射回数は、237回とした。また、該レーザ光の光路長は、76mとした。レーザ光導入孔83Aの直径は、4.3mmとした。
ヘリオットセル内には、1.003KHzの周波数、及び2mAの振幅で変調され、かつ1416nmの付近で波長を掃引可能で、かつオフセット電流が15mA〜150mAの範囲内とされ、温度が14℃とされたレーザ光を照射した。
上記説明した試験条件で試験を実施した際に取得したH 16O、H 17O、及びH 18Oに関する2次微分吸収スペクトルに関するデータを図4に示す。
図4は、図1に示す酸素同位体濃度分析装置を用いて水道水を分析した際に得られた水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)に関する2次微分吸収スペクトルを示す図(グラフ)である。図4では、横軸にレーザ光の波長(nm)を、縦軸に各波長における吸収強度(a.u.)を示す。
図4を参照するに、図1に示す酸素同位体濃度分析装置10を用いることで、吸収強度の弱いH 18O及びH 17Oのピークを検出可能なこと(高感度に検出可能なこと)が判った。
このことから、酸素同位体濃度分析装置10を用いて、水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)に関する2次微分吸収スペクトルを取得し、該2次微分吸収スペクトルに基づいて、試料(この場合、水道水)に含まれる酸素同位体(16O、17O、及び18O)の濃度を取得可能なことが判った。
また、図4を参照するに、波長λは、H 16Oのピーク波長(その1)を示しており、その値は、1416.65nmであった。波長λは、H 16Oのピーク波長(その2)を示しており、その値は、1416.19nmであった。
波長λは、H 17Oのピーク波長を示しており、その値は、1416.27nmであった。波長λは、H 18Oのピーク波長を示しており、その値は、1416.37nmであった。
波長λは、H 16Oのピーク波長(その3)を示しており、その値は、1416.58nmであった。
(試験例2)
試験例2では、図1に示す酸素同位体濃度分析装置10を用いて、試験例1で使用した水道水と同じ種類の水道水(試料)を気化器41−1に10μL導入させた際の気化器41−1内の圧力が及ぼす影響についての試験を行った。
試験例2では、気化器41−1内の圧力を110kPaA、200kPaA,300kPaAに変化させ、水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)に関する2次微分吸収スペクトルを1分間隔で連続的に取得した際の水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)のピーク高さの推移を取得した。この結果を図5に示す。
図5は、水道水を導入する気化器内の圧力を110kPaA、200kPaA,300kPaAに変化させ、水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)に関する2次微分吸収スペクトルを1分間隔で連続的に取得した際の水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)のピーク高さの推移を示す図(グラフ)である。図5では、横軸に試験例2を行った際の時刻(試験時刻)を示し、縦軸にピーク高さを示す。
なお、ここでの「ピーク高さ」とは、図4に示す水の同位体の吸収強度におけるピークトップ値とその両側のピークボトムの平均値との差を意味している。
図5を参照するに、試料である水道水を導入する気化器41−1内の圧力を高くすると、ピーク高さの安定時間が長くなる(言い換えれば、図5に示すピークの横軸方向の幅が広くなる)ことが判った。
また、気化器41−1における試料の気化温度が高かったり、キャリアガスの流量が多すぎたりすると、図5に示すピーク高さの安定時間は、短くなるため、気化温度、及びキャリアガスの流量を最適化し、かつ安定させることが、正確な酸素同位体の濃度を得るために重要であることが確認できた。
(試験例3)
試験例3では、図1に示す酸素同位体濃度分析装置10を用いて、試料である10μLの水道水(試験例1で使用した水道水と同じ種類の水道水)を気化器41−1に導入し、気化器41−1内の圧力を300kPaAに制御した場合と、気化器41−1内の圧力を制御しない場合(言い換えれば、第1の圧力調整部18を機能させないで、水道水及びキャリアガスを通過させた場合)と、について、H 16Oの濃度(atom%)と掃引回数(回)との関係について調べた。
ここでの「掃引回数」とは、2次微分吸収スペクトルを1分間隔で取得したときの各回数のことをいう。
このとき、上記水道水を挿入後、水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)に関する2次微分吸収スペクトルを1分間隔で連続的に取得し、水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)のピーク高さの比から16Oの濃度(atom%)を算出した。この結果を図6に示す。
なお、上記説明した以外の条件に付いては、試験例1と同じ試験条件を用いた。
図6は、水道水が導入される気化器内の圧力を300kPaAに制御した場合における16Oの濃度(atom%)と掃引回数(回)との関係、及び水道水が導入される気化器内の圧力を制御しない場合における16Oの濃度(atom%)と掃引回数(回)との関係を示す図(グラフ)である。
図6を参照するに、水道水が導入される気化器内41−1の圧力を300kPaAに制御することで、掃引回数に依存することなく、安定したH 16Oの濃度を取得できることが判った。
一方、水道水が導入される気化器内41−1の圧力を制御しないと、安定したH 16Oの濃度を取得できないことが確認できた。これは、気化器41−1において、気化した水分が、ヘリオットセル(多重反射光学吸収セル55)内に一気に流入して、ヘリオットセル内の水分濃度が不安定になったためと推測される。
(試験例4)
試験例4では、図1に示す酸素同位体濃度分析装置10を用いて、酸素同位体濃度の大きく異なる試料に含まれる18Oの濃度(atom%)を算出した。
具体的には、以下の手法により、実施例の試験を行った。
始めに、4方切替バルブ14の状態を、試料供給部11から供給される10μmLの水道水(18Oの濃度が0.205atom%)をヘリオットセルに供給可能な状態にした。
その後、気化器41−1内に上記水道水を導入させ、該水道水を気化させた。次いで、ヘリオットセル内に、窒素ガス(キャリアガス)を用いて気化させた水道水を導入し、水の同位体(H 16O、H 17O、及びH 18O)に関する2次微分吸収スペクトルを取得した。
その後、2次吸収スペクトルの吸収強度の比から酸素同位体(16O、17O、及び18O)の濃度を算出し、安定した値が得られるまで、水道水の気化導入を繰り返した。
上記気化器41−1への水道水の気化導入を行う間、もう一方の気化器41−2には、18O濃度を98atom%程度まで濃縮した水試料(以下、「水-18O」という)を複数回導入し、気化させた該水試料を廃棄ライン23に流通させることで、気化器41−2から4方切換バルブ14までの区間のメモリー効果を除去した。
気化器41−1で気化させた水道水に関して、安定した酸素同位体濃度が得られた後、4方切換バルブを切り替えることで、気化器41−2で気化させた水−18Oを、ヘリオットセル内に導入可能な状態にした。また、水−18Oに関しても、安定した酸素同位体濃度が得られるまで、気化器41−2への水試料の気化導入を繰り返し行った。
このときの気化器41−2への水−18Oの気化導入回数と18Oの濃度との関係(実施例)を図7に示す。
図7は、4方切換バルブを切り替え後に行った試料の気化導入回数と18Oの濃度との関係(実施例)、及び4方切換バルブを切り替えないで行った試料の気化導入回数と18Oの濃度との関係(参考例)を示す図(グラフ)である。
次に、参考例として、実施例の試験と同様な手法により、水の同位体の2次微分吸収スペクトルのピーク高さの比から酸素同位体(16O、17O、及び18O)の濃度を算出し、安定した値が得られるまで、気化器41−1内に上記水道水の気化導入を繰り返した後、4方切替バルブ14を切り替えないで、安定した酸素同位体濃度が得られるまで、気化器41−1への水−18Oの気化導入を繰り返し行った。
この結果を図7に示す。
図7を参照するに、参考例の結果から、参考例の方法では、50〜60回程度の気化導入を実施しないと、18Oの濃度が安定しないことが判った。
一方、実施例では、10回程度の気化導入で、18Oの濃度が安定しており、参考例よりも大幅に水試料の気化導入の回数を削減できることが確認できた。
本発明は、水を主成分とし、かつ酸素同位体の濃度が異なる濃度とされた複数の試料に含まれる酸素同位体の濃度を、簡便、かつ精度良く取得することの可能な酸素同位体濃度分析装置、及び酸素同位体濃度分析方法に適用可能である。
10,90,100…酸素同位体濃度分析装置、11,12…試料供給部、14…4方切替バルブ、14A〜14D…接続部、15…第3の加熱部、17…分析用気化試料供給ライン、18…第1の圧力調整部、19…第5の加熱部、22…分析装置本体、23…廃棄ライン、25…排気ライン、26…ポンプ、28…第2の圧力調整部、34−1,34−2…第7の加熱部、35−1,35−2…キャリアガス供給ライン、36−1,36−2…流量調節部、38−1,38−2…第4の加熱部、41−1,41−2…気化器、41−1A,41−2A…試料導入部、43−1,43−2…第1の加熱部、44−1,44−2…フィルター、45−1〜45−8…試料供給ライン、46−1,46−2…第2の加熱部、55…多重反射光学吸収セル、57…第6の加熱部、58…第8の加熱部、61…レーザ照射部、63,64…レンズ、67…ミラー、67a…ミラー面、69…レーザ光検出部、70…分析部、71…ロックインアンプ、72…データ収録部、74…パーソナルコンピュータ、76…ファンクションジェネレータ、77…温度コントローラ内臓LDドライバ、81…光透過性円筒部材、83…第1の反射鏡、83a,84a…反射面、83A…レーザ光導入孔、83b,84b…平坦面、84…第2の反射鏡、91,101…マルチポジションバルブ、92…第1の部材、92A,93A…リング状部材、92B,93B〜93H,101A〜101G…接続部、93…第2の部材、λ〜λ…波長

Claims (11)

  1. 水を主成分とし、かつ酸素同位体を含む試料を気化させる気化器、及び該気化器と接続されると共に、キャリアガスにより、気化した前記試料を供給する試料供給ラインを含む複数の試料供給部と、
    前記気化した試料及び前記キャリアガスが供給される多重反射光学吸収セル、該多重反射光学吸収セル内に変調させたレーザ光を照射するレーザ照射部、及び前記多重反射光学吸収セルから導出された前記レーザ光に基づいて、前記水の同位体の微分吸収スペクトルを取得すると共に、該微分吸収スペクトルを分析することで、前記酸素同位体の濃度を算出する分析部を含む分析装置本体と、
    前記多重反射光学吸収セル内のガスを排気する排気ラインと、
    前記複数の試料供給部に設けられた前記試料供給ラインと接続されており、複数の前記試料供給ラインのうち、1つの該試料供給ラインにより輸送された前記気化した試料及び前記キャリアガスを前記多重反射光学吸収セルに供給すると共に、残りの前記試料供給ラインに連続して供給する前記キャリアガスを廃棄する供給ライン切替部と、
    一端が前記供給ライン切替部と接続され、他端が前記多重反射光学吸収セルと接続され、前記供給ライン切替部を通過した前記気化した試料及び前記キャリアガスを前記多重反射光学吸収セルに供給する分析用気化試料供給ラインと、
    前記分析用気化試料供給ラインに配置され、前記複数の試料供給部に設けられた前記気化器のうち、前記試料が導入される気化器内の圧力が所定の圧力となるように調整する第1の圧力調整部と、
    を有することを特徴とする酸素同位体濃度分析装置。
  2. 前記供給ライン切替部は、4方切替バルブまたはマルチポジションバルブであることを特徴とする請求項1記載の酸素同位体濃度分析装置。
  3. 前記試料供給部は、前記気化器と接続され、該気化器に前記キャリアガスを供給するキャリアガス供給ラインと、
    前記キャリアガス供給ラインに設けられ、前記キャリアガスの流量を調節する流量調節部と、
    を有することを特徴とする請求項1または2記載の酸素同位体濃度分析装置。

  4. 前記排気ラインに配置され、前記多重反射光学吸収セル内の圧力が所定の圧力となるように調整する第2の圧力調整部を有することを特徴とする請求項3記載の酸素同位体濃度分析装置。
  5. 前記気化器を加熱する第1の加熱部と、
    前記試料供給ラインを加熱する第2の加熱部と、
    前記供給ライン切替部を加熱する第3の加熱部と、
    前記キャリアガス供給ラインのうち、前記気化器と前記流量調節部との間に配置された部分を加熱する第4の加熱部と、
    前記分析用気化試料供給ラインを加熱する第5の加熱部と、
    前記多重反射光学吸収セルを加熱する第6の加熱部と、
    前記キャリアガス供給ラインのうち、前記流量調節部の前段に位置する部分を加熱する第7の加熱部と、
    前記排気ラインのうち、前記多重反射光学吸収セルと前記第2の圧力調整部との間に位置する部分を加熱する第8の加熱部と、
    を有することを特徴とする請求項4記載の酸素同位体濃度分析装置。
  6. 供給ライン切替部と接続され、かつ気化器を含む複数の試料供給部に、キャリアガスを連続的に供給するキャリアガス供給工程と、
    前記供給ライン切替部の後段に配置された第1の圧力調整部により、前記気化器内の圧力が所定の圧力となるように調整する圧力調整工程と、
    前記複数の試料供給部に設けられた前記気化器のうち、1つの気化器に、水を主成分とし、かつ酸素同位体を含む試料を繰り返し導入して、分析装置本体を構成する多重反射光学吸収セル内に気化した前記試料、及びキャリアガスを供給する分析前準備工程と、
    前記供給ライン切替部により、前記試料が導入されていない前記試料供給部から供給された前記キャリアガスを廃棄するキャリアガス廃棄工程と、
    前記分析前準備工程後、前記試料を導入させた前記1つの気化器内に、再度、前記試料を導入することで、前記供給ライン切替部を介して、前記多重反射光学吸収セル内に気化した前記試料、及び前記キャリアガスを供給する分析用試料供給工程と、
    波長変調分光法を用いて、前記多重反射光学吸収セル内に変調させたレーザ光を照射し、前記多重反射光学吸収セル内において、該レーザ光を複数回反射させて、気化した前記試料と前記レーザ光とを衝突させるレーザ照射工程と、
    前記多重反射光学吸収セルの外部に、前記多重反射光学吸収セル内に照射された前記レーザ光を導出し、該レーザ光の検出信号に基づいて、前記水の同位体の微分吸収スペクトルを取得する微分吸収スペクトルを取得工程と、
    前記微分吸収スペクトルを分析することで、前記酸素同位体の濃度を算出する酸素同位体濃度算出工程と、
    を有することを特徴とする酸素同位体濃度分析方法。
  7. 前記キャリアガスを連続的に供給する期間中において、前記気化器、及び前記気化器と接続されると共に、気化した前記試料を供給する試料供給ラインが所定の温度となるように加熱することを特徴とする請求項6記載の酸素同位体濃度分析方法。
  8. 前記気化した試料及び前記キャリアガスは、フィルターを介して、前記供給ライン切替部に供給され、その後、前記多重反射光学吸収セル内に供給されることを特徴とする請求項6または7記載の酸素同位体濃度分析方法。
  9. 前記供給ライン切替部として、4方切替バルブまたはマルチポジションバルブを用いることを特徴とする請求項6ないし8のうち、いずれか1項記載の酸素同位体濃度分析方法。
  10. 前記複数の試料供給部のうち、次の分析に使用する試料供給部に対して、予め他の試料を気化導入させることを特徴とする請求項6ないし9のうち、いずれか1項記載の酸素同位体濃度分析方法。
  11. 前記キャリアガス供給工程では、前記気化器に、流量が調節された前記キャリアガスを供給すると共に、流量が調節された前記キャリアガスの温度が所定の温度となるように加熱し、
    前記分析用試料供給工程では、前記多重反射光学吸収セル内の圧力が所定の圧力となるように調整すると共に、前記多重反射光学吸収セルの温度が所定の温度となるように加熱することを特徴とする請求項6ないし10のうち、いずれか1項記載の酸素同位体濃度分析方法。
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