JP3870199B2 - 機能性基体製造装置及びそれにより製造される機能性基体 - Google Patents

機能性基体製造装置及びそれにより製造される機能性基体 Download PDF

Info

Publication number
JP3870199B2
JP3870199B2 JP2004060335A JP2004060335A JP3870199B2 JP 3870199 B2 JP3870199 B2 JP 3870199B2 JP 2004060335 A JP2004060335 A JP 2004060335A JP 2004060335 A JP2004060335 A JP 2004060335A JP 3870199 B2 JP3870199 B2 JP 3870199B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
solution
functional
ejection head
ejection
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004060335A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005246244A (ja
Inventor
卓朗 関谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2004060335A priority Critical patent/JP3870199B2/ja
Publication of JP2005246244A publication Critical patent/JP2005246244A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3870199B2 publication Critical patent/JP3870199B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coating Apparatus (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Description

本発明は、基体上に機能性材料を含有する溶液を噴射付与し、該溶液中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基体上に残留させることによって機能性基体を製造する機能性基体製造装置、詳しくは吐出装置を用いた機能性材料の膜形成、特に膜パターン形成製造装置およびそれによって形成された機能性基体に関する。
近年、微細な微粒子/超微粒子を用いた発光素子/媒体および光プロセシング素子/媒体等の各種素子が研究されている。このような微粒子の素子への応用のためには、固体基板上への微粒子含有材料の膜もしくは層の堆積によって得られる高密度集積が重要である。この微粒子が高密度に集積した薄膜は、具体的には発光素子(LED)(Alivisatos et al.)、光電変換素子(Greenham, N. C., et al., Phys. Rev. B, 54, 17628 (1996) )、超高速ディテクター(Bhargava)、ナノ構造メモリ素子(Chen et al. )、ナノ粒子配列からなる多色デバイス(Dushkin et al.)等への応用が報告されている。
一方、配向性の優れた無機化合物薄膜の形成方法として、分子線エピタキシー法(MBE)、クラスターイオンビーム法、イオンビーム照射真空蒸着法、化学気相成長法(CVD)、物理気相成長法(PVD)、液相エピタキシー法(LPE)等が知られている。また有機化合物薄膜の形成方法として、ラングミュア・ブロジェット法(LB法)等が知られている。一般に量子ドットと呼ばれるものは、前記したMBE法などの真空装置を用いて高真空中で昇華させた原料物質が固体基板上で自己組織的にドットを形成する過程を利用して作製することができる。
しかしながら上記のような方法ではドット間の距離の制御やサイズ分布の制御は困難であり、所望の構造に制御するためには多大なコストがかかるという問題がある。そこでこのような問題を解決できる技術として、インクジェット原理、すなわち液体噴射ヘッドによって、微粒子含有材料の膜を形成することが提案されている。たとえば、ナノ粒子を含有するエマルションを固体基板上にインクジェットコーティングし、フォトルミネッセンス強度を励起光の照射時間もしくは照射量の関数として増加あるいは増加及び記憶させることができる機能を有する超微粒子(ナノ粒子)の集合体からなる薄膜を固体基板上に形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また近年、液晶ディスプレイに替わる自発光型ディスプレイとして有機物を用いた発光素子の開発が加速している。このような素子形成も、機能材料のパターン化により行われ、一般的にはフォトリソグラフィー法により行われている。たとえば、有機物を用いた有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELと記す)素子としては、低分子を蒸着法で成膜する方法が報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。また有機EL素子において、カラー化の手段としては、マスク越しに異なる発光材料を所望の画素上に蒸着し形成する方法が行われている。
しかしながら、このような真空成膜による方法、フォトリソグラフィー法による方法は、大面積にわたって素子を形成するには、工程数も多く、生産コストが高いといった欠点がある。
そこでこのような課題に対しても、このような有機EL素子に代表されるような機能性素子形成のための、機能性材料膜の形成およびパターン化にあたり、インクジェット液滴付与手段(例えば、特許文献2〜7参照。)によって、真空成膜法とフォトリソグラフィー・エッチング法等によらずに、安定的に歩留まり良くかつ低コストで機能性材料を所望の位置に付与することが実現できる。
たとえば機能性素子の一例として有機EL素子を考えた場合、このような有機EL素子を構成する正孔注入/輸送材料ならびに発光材料を溶媒に溶解または分散させた組成物を、インクジェットヘッドから吐出させて透明電極基板上にパターニング塗布し、正孔注入/輸送層ならびに発光材層をパターン形成すれば比較的容易に実現できる。
また同様の原理をこのような機能性素子の他に、回路基板製作に応用しようという研究もなされている。たとえば、従来から、回路基板の製造方法として、次のような方法が知られている。
(1)銅張り積層板上に、レジストを被覆し、フォトリソグラフィ法により、回路パターンの露光、未露光レジストの溶解除去、レジスト除去部のエッチングにより銅線パターンを形成する方法。
(2)セラミックス基板上にスクリーン印刷により導電ペーストを所望の回路パターンに印刷し、非酸化雰囲気中で熱処理して導電ペースト中の金属微粒子を焼結して導電パターンを形成する方法。
(3)絶縁基板上に、導電金属の蒸着により薄膜の導電層を形成し、この導電層上に、レジストを被覆し、フォトリソグラフィ法により、回路パターンの露光、未露光レジストの溶解除去、レジスト除去部のエッチングにより銅線パターンを形成する方法。
これらの方法は、ファインパターンの形成には不向きであるという問題があるため、たとえば、基体上に、インクジェットヘッドを用いて、金属ペーストにより直接回路パターンを描画するようにし、ファインパターンの形成が容易で、廃液処理の必要がなく、生産工程が単純で設備費や生産コストが少なくて済む配線パターンの形成方法および回路基板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献8参照。)。
一方、本発明者も先に、インクジェット原理を利用して、電子源基板製造を行う発明を提案している(例えば、特許文献9参照。)。
さらに、同様な基板を製作する際の基板の表面改質処理に関する方法が提案されている(例えば、特許文献10参照。)。
特開2000−126681号公報 米国特許第3060429号明細書 米国特許第3298030号明細書 米国特許第3596275号明細書 米国特許第3416153号明細書 米国特許第3747120号明細書 米国特許第5729257号明細書 特開2002−134878号公報 特開2001−319567号公報 特開平11−204529号公報 Appl. Phys. Lett. 51(12),21,1987年9月,p.913
しかしながら、インクジェット原理を利用したこのような提案が種々行われ始めているが、このような手段で各種デバイス、あるいはパターン基板/基体、構造物等を製作しようという考えはまだ新しく、やっと開発の途についたという状況である。そしてその実現を妨げる課題の1つとして、このような溶液を微細な吐出口から噴射するという原理そのものに起因する噴射吐出口の目詰まりがある。
本発明は上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、その目的は、このような機能性材料を含有する溶液のドットパターンが形成される機能性基体を形成するための噴射ヘッドの目詰まりのない、信頼性の高い新規な構成の製造装置を提案することにある
また本発明の目的は、このような機能性基体を形成するための製造装置のレーザ光照射手段の機能を損ねないようにすることにある。
さらに本発明の目的は、このような製造装置によって製作され、高精細かつ高精度なドットパターンを形成された高品質な機能性基体を提案することにある。
発明は、基体上に機能性材料を含有する溶液を噴射付与し、該溶液中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基体上に残留させることによって機能性基体を製造する機能性基体製造装置において、前記基体上にレーザ光を照射するレーザ光照射手段と、前記基体上に機能性材料を含有した溶液を噴射する噴射ヘッドと、該噴射ヘッドに溶液付与情報を入力する情報入力手段と、前記噴射ヘッドに備える吐出面をキャップして被うとともに吸引する信頼性維持装置とを有し、前記噴射ヘッドは、前記基体に相対する位置に配されるとともに、前記基体と相対移動を行いながら、前記情報入力手段により入力された前記溶液付与情報に基づいて、前記基体の所望の位置に、前記レーザ光照射手段によって前記基体表面に照射されるレーザ光の軌跡に沿って前記溶液を噴射する機能性基体製造装置であって、前記レーザ光照射手段と前記噴射ヘッドとを保持手段に搭載し、該保持手段は搭載する前記レーザ光照射手段と前記噴射ヘッドの向きを一体的に可変とし、該向きは、前記溶液の噴射方向と異なる向きにして、前記噴射ヘッドに備える吐出面をキャップして被うとともに吸引する信頼性維持装置を装着した場合、前記レーザ光照射手段が前記噴射ヘッドより上方に位置することを特徴とする機能性基体製造装置である
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の機能性基体製造装置において、前記レーザ光照射手段と前記噴射ヘッドとを搭載する保持手段を備え、
該保持手段は搭載する前記レーザ光照射手段と前記噴射ヘッドの向きを可変とし、該向きを一体的に変えることを特徴とする。
また本発明は、前記保持手段によって、前記噴射ヘッドと前記レーザ光照射手段の向きを一体的に変えるとき、該レーザ光照射手段が前記噴射ヘッドに溶液を供給する補助容器より上方に位置することを特徴とする機能性基体製造装置である
そして本発明は、上記機能性基体製造装置によって製造されることを特徴とする機能性基体である。
発明によれば、基体上にレーザ光を照射するレーザ光照射手段と、基体上に機能性材料を含有した溶液を噴射する噴射ヘッドと、その噴射ヘッドに溶液付与情報を入力する情報入力手段とを有し、噴射ヘッドは、基体に相対する位置に配されるとともに、基体と相対移動を行いながら、情報入力手段により入力された溶液付与情報に基づいて、基体の所望の位置に、レーザ光照射手段によって基体表面に照射されるレーザ光の軌跡に沿って溶液を噴射する機能性基体製造装置であって、噴射ヘッドの向きを溶液の噴射方向に対して可変自在とし、噴射ヘッドを溶液の噴射方向と異なる向きにして、噴射ヘッドに備える吐出面をキャップして被うとともに吸引する信頼性維持装置を装着することで、このような機能性材料を含有する溶液を微細な吐出口から噴射するという原理そのものに起因する噴射吐出口の目詰まりが皆無となるとともに,機能性基体製造装置全体をよりコンパクトにすることができる。
また、レーザ光照射手段と前記噴射ヘッドとを搭載する保持手段を備え、その保持手段は搭載するレーザ光照射手段と噴射ヘッドの向きを可変とし、その向きを一体的に変えるとしているので、噴射ヘッドとレーザ光照射手段の相互の位置精度が狂うことなく高精度なドットパターンを形成された機能性基体を得ることができる。
さらに、保持手段によって、噴射ヘッドとレーザ光照射手段の向きを一体的に変えるとき、そのレーザ光照射手段が噴射ヘッドより上方に位置するとしているので、溶液を含有した噴射ヘッドや信頼性維持装置から不慮の事故等によって溶液がリークしたりして、それがレーザ光照射手段を汚したり、破損したりすることがなくなり、信頼性の高い機能性基体製造装置を提供することができる。
また本発明によれば、保持手段によって、噴射ヘッドとレーザ光照射手段の向きを一体的に変えるとき、そのレーザ光照射手段が噴射ヘッドに溶液を供給する補助容器より上方に位置するので、補助容器や信頼性維持装置から不慮の事故等によって溶液がリークしたりして、それがレーザ光照射手段を汚したり、破損したりすることがなくなり、信頼性の高い機能性基体製造装置を提供することができる。
そして本発明によれば、機能性基体が、上記いずれかの効果を奏する機能性基体製造装置によって製造されるので、簡単に高精細かつ高精度なドットパターンを形成された高品質な機能性基体を得ることができる。
図1は、ガラス基板、プラスチック基板、Si等の半導体基板、ガラス・エポキシ基板、フレキシブル基板等に本発明の手法によってパターンを形成する例を示している。なおここでは基板の例で説明を行うが、本発明はシート状の基板のみに適用されるのではなく、ブロック状の基体にも適用される。これは、後述のようにインクジェット噴射原理によって溶液を非接触の状態で付着させることによってなせる業であり、被付着物(基板/基体)が、平板状ではない立体構造のものであっても機能性材料含有溶液を付着させて、機能性基体(構造物)を形成できるのである。
図1(a)は、基板上に端子が形成されている状態を示し、図の点線部は後述のような配線パターンが生成される領域である。図1(b)は、機能性材料を含有する溶液を、液滴噴射原理によって、噴射、描画して、配線パターンを形成した例である。
ここで、機能性材料を含有した溶液を付与する手段として本発明では、インクジェットの技術が適用される。以下にその具体的方法を説明する。
図2は、本発明のパターン配線基板、あるいは機能デバイスを形成する製造装置の一実施例を説明するための図で、図中、符号11は吐出ヘッドユニット(噴射ヘッド)、12は噴射ヘッド保持手段であるキャリッジ、13は基板保持台、14は配線基板、あるいは機能デバイスを形成する基板(基体)、15は機能性材料を含有する溶液の供給チューブ、16は信号供給ケーブル、17は噴射ヘッド/レーザ照射ヘッドコントロールボックス(溶液タンク含む)、18はキャリッジ12のX方向スキャンモータ、19はキャリッジ12のY方向スキャンモータ、20はコンピュータ、21はコントロールボックス、22(22X1、22Y1、22X2、22Y2)は基板位置決め/保持手段である。この場合は、基板保持台13に置かれた基板14の前面を噴射ヘッド11がキャリッジ走査により移動し、機能性材料を含有する溶液を噴射付与する例である。なお、本発明においては、基板14上に機能性材料を含有する溶液を噴射付与する前に、レーザ光照射による前処理を行うが、それについては後述する(図11等)。
図3は本発明のパターン配線基板の製造、あるいは機能デバイス形成に適用される液滴付与装置の構成を示す概略図で、図4は図3の液滴付与装置の吐出ヘッドユニットの要部概略構成図である。
図3の構成は図2の構成と異なり、基板(基体)14側を移動させて配線パターン、あるいは機能デバイスを基板に形成するものである。図3及び図4において、符号31はヘッドアライメント制御機構、32は検出光学系、33は噴射ヘッド、34はヘッドアライメント微動機構、36は画像識別機構、37はXY方向走査機構、38は位置検出機構、39は位置補正制御機構、40は噴射ヘッド駆動・制御機構、41は光軸、42は素子電極、43は液滴、44は液滴着弾位置である。
吐出ヘッドユニット11の液滴付与装置(噴射ヘッド33)としては、機能性材料を含有した溶液を吐出できるものであればいかなる機構でも良く、特に0.1pl〜数100pl程度の溶液を噴射できるインクジェット原理の機構が望ましい。
インクジェット方式としては、たとえば米国特許第3683212号明細書に開示されている方式(Zoltan方式)、米国特許第3747120号明細書に開示されている方式(Stemme方式)、米国特許第3946398号明細書に開示されている方式(Kyser方式)のようにピエゾ振動素子に、電気的信号を印加し、この電気的信号をピエゾ振動素子の機械的振動に変え、該機械的振動に従って微細なノズルから液滴を吐出飛翔させるものがあり、通常、総称してドロップオンデマンド方式と呼ばれている。
他の方式として、米国特許第3596275号明細書、米国特許第3298030号明細書等に開示されている方式(Sweet方式)がある。これは連続振動発生法によって帯電量の制御された記録液体の小滴を発生させ、この発生された帯電量の制御された小滴を、一様の電界が掛けられている偏向電極間を飛翔させることで、記録部材上に記録を行うものであり、通常、連続流方式、あるいは荷電制御方式と呼ばれている。
さらに他の方式として、特公昭56−9429号公報に開示されている方式がある。これは液体中で気泡を発生せしめ、その気泡の作用力により微細なノズルから液滴を吐出飛翔させるものであり、サーマルインクジェット方式、あるいはバブルジェット(登録商標)方式と呼ばれている。
このように液滴を噴射する方式は、ドロップオンデマンド方式、連続流方式、サーマルインクジェット方式等あるが、必要に応じて適宜その方式を選べばよい。
本発明ではこのようなパターン配線基板、あるいは機能デバイス(機能素子)を形成した機能性基板/基体を製造する製造装置(図2)において、基板14はこの装置の基板位置決め/保持手段22によってその保持位置を調整して決められる。図2では簡略化しているが、基板位置決め/保持手段22は基板14の各辺に当接されるとともに、X方向およびそれに直交するY方向にサブミクロンオーダーで微調整できるようになっているとともに、噴射ヘッドコントロールボックス17、コンピュータ20、コントロールボックス21等と接続され、その位置決め情報および微調整変位情報等と、液滴付与の位置情報、タイミング等は、たえずフィードバックできるようになっている。
さらに本発明のパターン配線基板/基体、あるいは機能デバイスを形成した機能性基板/基体を製造する製造装置では、X、Y方向の位置調整機構の他に図示しない(基板14の下に位置するために見えない)、回転位置調整機構を有している。これに関連して先に本発明のパターン配線基板/基体、あるいは機能デバイス形成基板/基体の形状および形成される機能デバイス群の配列等に関して説明する。
本発明のパターン配線基板/基体、あるいは機能デバイス形成基板/基体は、その目的、用途に応じて、ガラス基板、セラミックス基板、PETを始めとする各種プラスチック基板、Si等の半導体基板、ガラス・エポキシ基板、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム等の高分子フィルムよりなるフレキシブル基板等が好適に用いられる。たとえば各種プラスチック基板や高分子フィルムは軽量化が要求されるパターン配線基板/基体、あるいは機能デバイスに効果的である。
本発明のパターン配線基板/基体、あるいは機能デバイス形成基板/基体に使用する各種プラスチック基板や高分子フィルムの形状は、このような基板を経済的に生産、供給する、あるいは最終的に製作される機能デバイス形成基板の用途から、矩形である。つまり、その矩形形状を構成する縦2辺、横2辺はそれぞれ、縦2辺が互いに平行、横2辺が互いに平行であり、かつ縦横の辺は直角をなすような基板である。
このような基板に対して本発明では、形成される機能デバイス群をマトリックス状に配列し、このマトリックスの互いに直交する2方向が、この基板の縦方向の辺あるいは横方向の辺の方向と平行であるように機能デバイス群を配列する。このように機能デバイス群をマトリックス状に配列する理由および、基板の縦横の辺をそのマトリックスの直交する2方向と平行になるようにする理由を以下に述べる。
図2あるいは図3に示したように、本発明では、最初に基板14と吐出ヘッドユニット11の溶液噴射口面の位置関係が決められた後は、特に位置制御を行うことはない。つまり、吐出ヘッドユニット11は基板14に対して一定の距離を保ちながら機能デバイス群の形成面に対して平行にX、Y方向の相対移動を行いつつ、上記溶液の噴射を行う。つまりこのX方向及びY方向は互いに直交する2方向であり、基板の位置決めを行う際に、基板の縦辺あるいは横辺をそのY方向あるいはX方向と平行になるようにしておけば、形成される機能デバイス群もそのマトリックス状配列の2方向がそれぞれ平行であるため、相対移動を行いつつ噴射する機構のみで高精度のデバイス群形成を行うことができる。言い換えるならば、本発明のような基板形状、機能デバイス群のマトリックス状配列、直交するX、Yの2方向の相対移動装置にすれば、デバイス形成の液滴噴射を行う前の基板の位置決めを正確に行えば、高精度な機能デバイス群のマトリックス状配列が得られるということである。
ここで、先ほどの回転位置調整機構に戻って説明する。前述のように本発明では、デバイス形成の液滴噴射を行う前の基板の位置決めを正確に行い、XおよびY方向の相対移動のみを行い、他の制御を行わず、高精度な機能デバイス群のマトリックス状配列を得ようというものである。その際問題となるのは、最初に基板の位置決めを行う際の回転方向(X、Yの2方向で決定される平面に対して垂直方向の軸に対する回転方向)のズレである。
この回転方向のズレを補正するために本発明では、前述のように図示しない(基板14の下に位置して見えない)、回転位置調整機構を有している。これにより回転方向のズレも補正し、基板の辺を位置決めすると、本発明の装置では、XおよびY方向のみの相対移動で、高精度な機能デバイス群のマトリックス状配列が得られる。
以上はこの回転位置調整機構を、図2の基板位置決め/保持手段で22(22X1、22Y1、22X2、22Y2)とは別物の機構として説明した(基板14の下に位置して見えない)が、基板位置決め/保持手段22に回転位置調整機構を持たせることも可能である。例えば、基板位置決め/保持手段22は、基板14の辺に当接され、基板位置決め/保持手段22全体が、X方向あるいはY方向に位置を調整できるようになっているが、基板位置決め/保持手段22の基板14の辺に当接される部分において、距離をおいて設けられた2本のネジが独立に動くようにしておけば、角度調整が可能である。なお、この回転位置制御情報も上記のX、Y方向の位置決め情報および微調整変位情報等と同様に噴射ヘッドコントロールボックス17、コンピュータ20、コントロールボックス21等と接続され、液滴付与の位置情報、タイミング等が、たえずフィードバックできるようになっている。
以上の説明は、本発明に好適に使用される基板が、基本的に矩形形状であるということを前提としたものであるが、例外としてSi等の半導体基板は丸いウエハとして供給されるので、その場合は、結晶方位軸の方向を示すオリフラ(オリエンテーションフラット)と呼ばれる直線状の1辺を上記基板位置決め/保持手段22に当接させればよい。
次に本発明の位置決めの他の手段、構成について説明する。上記の説明は基板位置決め/保持手段22は、基板14の辺に当接され、基板位置決め/保持手段22全体が、X方向あるいはY方向に位置を調整できるようにしたものであるが、ここでは、基板14の辺ではなく、基板上に互いに直交する2方向に帯状パターンを設けるようにした例について説明する。前述のように本発明では基板上に機能デバイス群をマトリックス状に配列して形成されるが、ここでは、前記のような互いに直交する2方向の帯状パターンをこのマトリックスの互いに直交する2方向と平行になるように形成しておく。このようなパターンは、基板上にフォトファブリケーション技術によって容易に形成できる。
本発明は、マトリックス状に配列された多数の機能デバイス群を形成する場合の他に、図1に示したような配線パターンを形成する場合にも適用されるが、このような配線パターンも、この例のように直交する2方向に形成し、それが、それぞれ基板の縦、横方向(X方向、Y方向)に平行になるように形成する。この配線パターンは、本発明の基板の本来の機能を阻害しない位置に、このような位置決めの目的のためのパターンとして形成してもよいし、また、素子電極42(図4)や、各デバイスのX方向配線やY方向配線等の配線パターンを本発明の互いに直交する2方向の帯状パターンとみなしてもよい。このような帯状パターンを設けておけば、図4で後述するような、CCDカメラとレンズとを用いた検出光学系32によってパターン検出ができ、位置調整にフィードバックできる。
次に上記X、Y方向に対して垂直方向であるZ方向であるが、本発明では、最初に基板14と吐出ヘッドユニット11の溶液噴射口面の位置関係が決められた後は、特に位置制御を行うことはない。つまり、吐出ヘッドユニット11は基板14に対して一定の距離を保ちながらX、Y方向の相対移動を行いつつ、機能性材料を含有する溶液の噴射を行うが、その噴射時には、吐出ヘッドユニット11のZ方向の位置制御は特に行わない。その理由は、噴射時にその制御を行うと、機構、制御システム等が複雑になるだけではなく、基板14への液滴付与による機能デバイスの形成が遅くなり、生産性が著しく低下するからである。
かわりに本発明では基板14の平面度やその基板14を保持する部分の装置の平面度、さらに吐出ヘッドユニット11をX、Y方向に相対移動を行わせるキャリッジ機構等の精度を高めるようにすることで、噴射時のZ方向制御を行わず、吐出ヘッドユニット11と基板14のX、Y方向の相対移動を高速で行い、生産性を高めている。一例をあげると、本発明の溶液付与時(噴射時)における基板14と吐出ヘッドユニット11の溶液噴射口面の距離の変動は2mm以下におさえられている(基板14のサイズが100mm×100mm以上、4000mm×4000mm以下の場合で)。
なお、通常X、Y方向の2方向で決まる平面は水平(鉛直方向に対して垂直な面)に維持されるように装置構成されるが、基板14が小さい場合(例えば500mm×500mm以下の場合)には必ずしもX、Y方向の2方向で決まる平面を水平にする必要はなく、その装置にとってもっとも効率的な基板14の配置の位置関係になるようにすればよい。
次に図4により吐出ヘッドユニット11の構成を説明する。図4において、符号32は基板14上の画像情報を取り込む検出光学系であり、液滴43を吐出させる噴射ヘッド33に近接し、検出光学系32の光軸41および焦点位置と、噴射ヘッド33による液滴43の着弾位置44とが一致するよう配置されている。
この場合、図3に示す検出光学系32と噴射ヘッド33との位置関係はヘッドアライメント微動機構34とヘッドアライメント制御機構31により精密に調整できるようになっている。また、検出光学系32には、CCDカメラとレンズとを用いている。
図3において、符号36は先の検出光学系32で取り込まれた画像情報を識別する画像識別機構であり、画像のコントラストを2値化し、2値化した特定コントラスト部分の重心位置を算出する機能を有したものである。具体的には(株)キーエンス製の高精度画像認識装置、VX−4210を用いることができる。これによって得られた画像情報に機能性素子基板14上における位置情報を与える手段が位置検出機構38である。これには、XY方向走査機構37に設けられたリニアエンコーダ等の測長器を利用することができる。また、これらの画像情報と機能性素子基板14上での位置情報をもとに、位置補正を行うのが位置補正制御機構39であり、この機構によりXY方向走査機構37の動きに補正が加えられる。また、噴射ヘッド制御・駆動機構40によって噴射ヘッド33が駆動され、液滴が機能性素子基板14上に付与される。これまで述べた各制御機構は、制御用コンピュータ35により集中制御される。
ところで、図4で液滴が基板面に斜めに噴射する図を示したが、これは検出光学系32と、噴射ヘッド33を併せて図示するためにこのように液滴が斜めに飛翔している図としたが、実際には基板に対してほぼ垂直に当たるように噴射付与するようにする。
なお、以上の説明は、吐出ヘッドユニット11は固定で、機能性素子基板14がXY方向走査機構37により任意の位置に移動することで吐出ヘッドユニット11と機能性素子基板14との相対移動を実現しているが、図2のように、機能性素子基板14を固定とし、吐出ヘッドユニット11がXY方向に走査するような構成としてもよいことはいうまでもない。特に200mm×200mm程度の中型基板〜2000mm×2000mmあるいはそれ以上の大型基板の製作に適用する場合には、後者のように機能性素子基板14を固定とし、吐出ヘッドユニット11が直交するX、Yの2方向に走査するようにし、溶液の液滴の付与をこのような直交する2方向に順次行うようにする構成としたほうがよい。
また、基板サイズが200mm×200mm程度以下の場合には、液滴付与のための吐出ヘッドユニットを200mmの範囲をカバーできるラージアレイマルチノズルタイプとし、吐出ヘッドユニットと基板の相対移動を直交する2方向(X方向、Y方向)に行うことなく、1方向のみ(例えばX方向のみ)に相対移動させて行うことも可能であり、量産性も高くすることができるが、基板サイズが200mm×200mm以上の場合には、そのような200mmの範囲をカバーできるラージアレイマルチノズルタイプの吐出ヘッドユニットを製作することは技術的/コスト的に実現困難であり、本発明のように吐出ヘッドユニット11が直交するX、Yの2方向に走査するようにし、溶液の液滴の付与をこのような直交する2方向に順次行うようにする構成としたほうがよい。
特に最終的な基板としては、200mm×200mmより小さいものを製作する場合であっても、大きな基板から複数個取りして製作するような場合には、その元の基板は、400mm×400mm〜2000mm×2000mmあるいはそれ以上のものを使用することになるので、吐出ヘッドユニット11が直交するX、Yの2方向に走査するようにし、溶液の液滴の付与をこのような直交する2方向に順次行うようにする構成としたほうがよい。
液滴43の材料は機能性材料を含有した溶液であり、例えば、微細な導電性微粒子を含有した溶液が使用される。具体的には、Au、Pt、Ag、Cu、Ni、Cr、Rh、Pd、Zn、Co、Mo、Ru、W、Os、Ir、Fe、Mn、Ge、Sn、Ga、In等の金属微粒子を含有した溶液が好適に使用される。
特に、Au、Ag、Cuのような金属微粒子を用いると、電気抵抗が低く、かつ腐食に強い微細回路パターンを形成することができる。なお、このような回路パターンの他に、例えば、Ptやニクロム材料の微粒子を含有した溶液を使用することによって、抵抗素子を作製したり、Pd、Pt、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属、PdO、SnO2、In23、PbO、Sb23等の酸化物、HfB2、ZrB2、LaB6、CeB6、YB4、GdB4等の硼化物、TiC、ZrC、HfC、TaC、SiC、WC等の炭化物、TiN、ZrN、HfN等の窒化物、Si、Ge等の半導体、カーボン等の微粒子含有した溶液を使用することによって、電子放出素子を作製したりすることができる。
本発明において、このような微細な導電性微粒子を含有した溶液は、水性系溶液と油性系溶液がある。
このような微細な導電性微粒子を、水を主体とする分散媒に分散せしめてなる水性系溶液は、例えば、次のような方法で調整することができる。
すなわち、塩化金酸や硝酸銀のような金属イオンソース水溶液に水溶性の重合体を溶解させ、撹拌しながらジメチルアミノエタノールのようなアルカノールアミンを添加する。数10秒〜数分で金属イオンが還元され、平均粒径0.5μm(500nm)以下の金属微粒子が析出する。塩素イオンや硝酸イオンを限外ろ過などの方法で除去した後、濃縮・乾燥することにより濃厚な導電性微粒子含有溶液が得られる。この導電性微粒子含有溶液は、水やアルコール系溶媒、テトラエトキシシランやトリエトキシシランのようなゾルゲルプロセス用バインダーに安定に溶解・混合することが可能である。
微細な導電性微粒子を油を主体とする分散媒に分散せしめてなる油性系溶液は、例えば、次のような方法で調整することができる。
すなわち、油溶解性のポリマーをアセトンのような水混和性有機溶媒に溶解させ、この溶液を金属イオンソース水溶液と混合する。混合物は不均一系であるが、これを撹拌しながらアルカノールアミンを添加すると金属微粒子は重合体中に分散した形で油相側に析出してくる。これを濃縮・乾燥させると水性系と同様の濃厚な導電性微粒子含有溶液が得られる。この導電性微粒子含有溶液は、芳香族系、ケトン系、エステル系などの溶媒やポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等に安定に溶解・混合することが可能である。
導電性微粒子含有溶液の分散媒中における導電性微粒子の濃度は、最大80重量%とすることが可能であるが、用途に応じて適宜稀釈して使用する。
通常、導電性微粒子含有溶液における導電性微粒子の含有量は2〜50重量%、界面活性剤および樹脂の含有量は0.3〜30重量%、粘度は3〜30センチポイズが適当である。
液滴43の材料として他には、たとえば、CuCl等のI−VII族化合物半導体、CdS、CdSe等のII−VI族化合物半導体、InAs等のIII−V族化合物半導体、及びIV族半導体のような半導体結晶、TiO、SiO、SiO等の金属酸化物、蛍光体、フラーレン、デンドリマー等の無機化合物、フタロシアニン、アゾ化合物等の有機化合物からなるもの、またはそれらの複合材料等のナノ粒子を含有した溶液があげられる。
本発明において対象となるナノ粒子としては、通常、粒径が0.0005〜0.2μm(0.5〜200nm)、好ましくは0.0005〜0.05μm(0.5〜50nm)の微粒子があげられるが、より厳密には、溶液製造上の微粒子分散安定性や、噴射時の目詰まり発生、さらにはパターン形成される基板の表面粗さなどを考慮して決められる。
なお、本発明の目的を損なわない範囲で、これらナノ粒子の表面を化学的あるいは物理的に修飾しても良く、また界面活性剤や分散安定剤や酸化防止剤などの添加剤を加えても良い。このようなナノ粒子はコロイド化学的な手法、例えば逆ミセル法(Lianos, P.et al., Chem. Phys. Lett., 125, 299 (1986))やホットソープ法(Peng, X. et al., J. Am. Chem. Soc., 119, 7019 (1997))によって合成することができる。
本発明に好適に使用できるナノ粒子含有溶液は、上記ナノ粒子を連続相が水相であり分散相が油相であるエマルション(O/Wエマルション)に分散させた分散液である。
上記水相は水を主体とするが、水に水溶性有機溶剤を添加して用いてもよい。水溶性有機溶剤としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール(#200、#400)、グリセリン、前記グリコール類のアルキルエーテル類、N−メチルピロリドン、1、3−ジメチルイミダゾリノン、チオジグリコール、2−ピロリドン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。水性分散媒体中の水溶性有機溶剤の使用量は、通常30重量%以下が好ましく、さらには20重量%とするのがより好ましい。
分散液中のナノ粒子の含有量は、所望の膜(層)構造または粒子配列構造及び膜(層)厚により異なるが分散液の全重量に対し、通常0.01〜15重量%の範囲で用いられるが、0.05〜10重量%の範囲とするのがより好ましい。ナノ粒子の含有量が少な過ぎるとデバイス機能を充分に発現することが出来なくなる可能性があり、逆に多過ぎるとインクジェット原理で液滴を噴射する際の吐出安定性が損なわれる。
また本発明に好適に使用され、インクジェット原理で噴射されるナノ粒子含有溶液は、分散液中に、界面活性剤、及びナノ粒子の分散用溶媒を共存させるのが好ましい。界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤(ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、ノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)があげられ、これらを単独または二種以上混合して用いることができる。
界面活性剤の量は溶液の全重量に対し、通常、0.1〜30重量%の範囲で用いられるが、5〜20重量%の範囲とするのがより好ましい。界面活性剤がこの範囲よりも少な過ぎると水性分散体中で油水分離が生じ、液滴噴射付与による均一なパターンのコーティングができない場合がある。逆にこの範囲より多過ぎると水性分散媒体の粘度が高くなりすぎる傾向がある。
ナノ粒子の分散用溶媒としては、通常トルエン、ヘキサン、ピリジン、クロロホルムなどの液体であり、揮発性であることが望ましい。分散用溶媒の量は通常、0.1〜20重量%程度の範囲で用いられるが、1〜10重量%の範囲がより好ましい。分散用溶媒がこの範囲よりも少な過ぎると水性媒体中に含有させることのできる超微粒子の量が少なくなる。逆にこの範囲より多過ぎると水性分散媒体中で油水分離が生じる場合がある。
さらに、分散液中に有機化合物を溶解させておくこともできる。このような有機化合物としては、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)、チオフェノール、フォトクロミック化合物(スピロピラン、フルギド等)、電荷移動型錯体、電子受容性化合物等があげられ、常温で固体であるものが好ましい。この場合、分散液中の前記有機化合物の量は、ナノ粒子の重量に対し、1/10000以上、好ましくは1/1000〜10倍程度である。
なお本発明の目的を損なわない範囲で、懸濁液に界面活性剤や分散安定剤や酸化防止剤などの添加剤、またはポリマー、塗布・乾燥過程でゲル化する材料などのバインダーを加えても良い。
このようなナノ粒子含有溶液をインクジェット原理によって基板上に液滴付与し、乾燥させてパターン配線形成、あるいは機能デバイス形成を行う。本発明においては、たとえば、先ず大気圧中において、−20〜200℃、好ましくは0〜100℃程度で1時間以上、好ましくは3時間以上風乾し、その後必要に応じて減圧乾燥を行っても良い。この際の減圧度は1×10Pa以下であればよいが、好ましくは1×10Pa以下程度であり、温度は通常−20〜200℃、好ましくは0〜100℃である。また、減圧時間は1〜24時間程度である。
上記の方法により得られるナノ粒子薄膜の厚さは特に限定されるものではないが、通常、ナノ粒子の直径〜1mm、好ましくはナノ粒子の直径〜100μm程度である。また、ナノ粒子薄膜内において、ナノ粒子はある程度以上の密度で存在するのが好ましい。その意味からナノ粒子の集合体における個々のナノ粒子間の平均粒子間距離は、通常粒子直径の10倍以内の範囲であり、さらには粒子直径の2倍以内の範囲であることが好ましい。この平均粒子間距離が大き過ぎるとナノ粒子は集団的機能を示さなくなる。
他の機能性材料を含有した溶液としては、有機EL材料を溶解した溶液が好適に使用される。例えば赤、緑、青に発色する有機EL材料を溶解した溶液として、以下のような組成のものがある。
溶媒:ドデシルベンゼン/ジクロロベンゼン(1/1,体積比)
赤色発色の場合の組成物:ポリフルオレン /ペリレン染料(98/2,重量比)
緑色発色の場合の組成物:ポリフルオレン/クマリン染料(98.5/1.5,重量比)
青色発色の場合の組成物:ポリフルオレン
さらに他の機能性材料としては、先に述べた有機EL材料の他に、例えばポリフェニレンビニレン系(ポリパラフェニリレンビニレン系誘導体)、ポリフェニレン系誘導体、その他、ベンゼン誘導体に可溶な低分子系有機EL材料、高分子系有機EL材料、ポリビニルカルバゾール等の材料を用いることができる。有機EL材料の具体例としては、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。また、有機EL表示における周辺材料である電子輸送性、ホール輸送性材料も本発明の機能性素子を製作する機能材料として使用される。
他の本発明の機能性素子を製作する機能材料としては、この他に半導体等に多用される層間絶縁膜のシリコンガラスの前駆物質であるか、シリカガラス形成材料を挙げることができる。かかる前駆物質として、ポリシラザン(例えば東燃製)、有機SOG材料等が挙げられる。また有機金属化合物を用いても良い。
さらに他の例として、カラーフィルター用材料が挙げられる。具体的には、スミカレッドB(商品名、住友化学製染料)、カヤロンフアストイエローGL(商品名、日本化薬製染料)、ダイアセリンフアストブリリアンブルーB(商品名、三菱化成製染料)等の昇華染料等を用いることができる。
本発明の溶液組成物において、ベンゼン誘導体の沸点が150℃以上であることが好ましい。このような溶媒の具体例としては、O−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、1,2,3−トリクロロベンゼン、O−クロロトルエン、p−クロロトルエン、1−クロロナフタレン、ブロモベンゼン、O−ジブロモベンゼン、1−ジブロモナフタレン等が挙げられる。これらの溶媒を用いることにより、溶媒の揮散が防げるので好適である。これらの溶媒は芳香族化合物に対する溶解度が大きく好適である。また、本発明の溶液組成物ドデシルベンゼンを含むことが好ましい。ドデシルベンゼンとしてはn−ドデシルベンゼン単一でも良く、また異性体の混合物を用いることもできる。
この溶媒は沸点300℃以上、粘度6cp以上(20℃)の特性を有し、この溶媒単一でももちろん良いが、他の溶媒に加えることにより、溶媒の揮散を効果的に防げ、好適である。また上記溶媒のうちドデシルベンゼン以外は粘度が比較的小さいため、この溶媒を加えることにより粘度も調整できるため非常に好適である。本発明によれば、上述したような溶液組成物を吐出装置により基板上に吐出により供給した後、基板を吐出時温度より高温で処理して膜化する機能膜形成法が提供される。吐出温度は室温であり、吐出後基板を加熱することが好ましい。このような処理をすることにより、吐出時溶媒の揮散、温度の低下により析出した内容物が再溶解され、均一、均質な機能膜を得ることができる。上述の機能膜の作製法において、吐出組成物を吐出装置により基板上に供給後、基板を吐出時温度より高温に処理する際に、加圧しながら加熱することが好ましい。このように処理することにより、加熱時の溶媒の揮散を遅らすことができ、内容物の再溶解が更に促進される。その結果均一、均質な機能膜を得ることができる。また、上述の機能膜の作製法において、前記基板を高温処理後直ちに減圧にし、溶媒を除去することが好ましい。このように処理することにより、溶媒の濃縮時の内容物の相分離を防ぐことができる。
なお機能性素子として有機トランジスタなども本発明の手法を利用して好適に製作される。さらに、噴射溶液としてレジスト材料などを用いることによって、レジストパターンやレジスト材料による3次元構造体を形成する場合にも適用され、本発明でいうところの機能性素子とは、このようなレジスト材料のような樹脂材料によって形成される膜パターンあるいは3次元構造体も含むものである。
いずれの材料においても、本発明は溶液中の揮発成分を揮発させ、固形分を基板上に残留させることによってパターン配線形成、あるいは機能デバイス形成等を行うものである。この固形物がそれぞれのパターンあるいはデバイスの機能を発生させるものであり、溶媒(揮発成分)はインクジェット原理で液滴を噴射付与するための手段(vehicle)である。
次に本発明に好適に適用される液体噴射ヘッドについて、図5、図6を用いて説明する。この例は7ノズルの例である。
この液体噴射ヘッドは、溶液56が導入される流路45内にエネルギー作用部としてピエゾ素子46を設けたものである。ピエゾ素子46にパルス状の信号電圧を印加して図5(a)に示すようにピエゾ素子46を歪ませると、流路45の容積が減少すると共に圧力波が発生し、その圧力波によってノズル1から液滴43が吐出する。図5(b)はピエゾ素子46の歪がなくなって流路45の容積が増大した状態である。
ここでノズル1直前の流路45に導入される溶液56は、フィルター57を通過してきたものである。本発明ではこのように、フィルター57を噴射ヘッド内に設け、ノズル1の最近傍にフィルター除去機能を持たせている。こうすることにより、本発明の溶液中の導電性微粒子あるいはナノ粒子とは別のそれらよりもっと大きな異物粒子をトラップし、基板上に形成されるパターンあるいはデバイスの性能低下を起こさないようにしている。このようなフィルター57は小型の簡易フィルターとすることによって、図6に示したように噴射ヘッド11内に組み込むことが可能となっている。そして噴射ヘッド11そのものもコンパクト化を実現できている。
このようなフィルター57は、たとえばステンレスメッシュフィルターが好適に用いられ、その孔径(フィルターメッシュサイズ)は、0.8μm〜2μmとされる。
次に本発明に好適に適用される液体噴射ヘッドの他の例について、図7を用いて説明する。この例はサーマル方式(バブル方式)の液体噴射ヘッドの例であり、液滴噴射の原動力は、溶液中で瞬時に発生する膜沸騰気泡の成長作用力である。
ここで示した液体噴射ヘッドは、溶液が流れる流路短部から液滴が噴射するタイプのものであり、エッジシューター型と呼ばれるものである。
ここでは、液体噴射ヘッドのノズル数を4個とした例を示している。この液体噴射ヘッドは、発熱体基板66と蓋基板67とを接合させることにより形成されており、発熱体基板66は、シリコン基板68上にウエハプロセスによって個別電極69と共通電極70とエネルギー作用部である発熱体71とを形成することによって構成されている。
一方前記蓋基板67には、機能性材料を含有する溶液が導入される流路を形成するための溝74と、流路に導入される前記溶液を収容する共通液室を形成するための凹部領域75とが形成されており、これらの発熱体基板66と蓋基板67とを図7に示すように接合させることにより、前記流路及び前記共通液室が形成される。なお、発熱体基板66と蓋基板67とを接合させた状態においては、前記流路の底面部に前記発熱体71が位置し、流路の端部にはこれらの流路に導入された溶液の一部を液滴として吐出させるための前記ノズル65が形成されている。なおここでは、ノズル形状は矩形であるが、これは丸形状であってもよい。なお前記蓋基板67には、供給手段(図示せず)によって前記供給液室内に溶液を供給するための溶液流入口76が形成されている。
本発明では複数の液滴により1つの機能性素子を形成する、あるいは、複数滴によって、機能性素子などを形成するパターンをドットを重ね打ちしたり接触させたりして形成する。よって、このようなマルチノズル型の液体噴射ヘッドを用いると大変効率的に機能性素子を形成することができる。なおこの例では4ノズルの液体噴射ヘッドを示しているが、必ずしも4ノズルに限定されるものではなく、ノズル数が多ければ多いほど機能性素子の形成が効率的になることは言うまでもない。ただし、単純に多くすればよいということではなく、多くすれば液体噴射ヘッドも高価になり、また噴射ノズルの目詰まりによる確率も高くなるので、それらも考慮し装置全体のバランス(装置コストと機能性素子の製作効率のバランス)を考えて決められる。
図8はこのようにして製作されたマルチノズル型の液体噴射ヘッドをノズル側から見た図を示している。本発明では、このようなマルチノズル型の液体噴射ヘッドを図9に示すように、噴射する溶液ごとに設け、キャリッジ搭載される。図10はその斜視図である。
図9、図10にはそれぞれのマルチノズル型の液体噴射ヘッドをA、B、C、Dと符号をつけているが、それぞれ各液体噴射ヘッドA、B、C、Dはノズル部分が各液体噴射ヘッドごとに離間して構成されるとともに各液体噴射ヘッドごとに異なる種類の導電性微粒子含有溶液、ナノ粒子含有溶液、あるいは有機EL材料含有溶液等を噴射することができる。
本発明は、導電性微粒子含有溶液あるいはナノ粒子含有溶液などを噴射付与して、機能デバイスや配線パターンを製作するものであるが、単一の溶液のみを噴射するのみならず、この例のように、複数種類の溶液を噴射することができるので、たとえば、電極パターンを形成する溶液と機能デバイス形成する溶液を組み合わせたデバイス構造体を簡単に形成することができる。
次に本発明のさらに他の特徴について説明する。ここでは溶液の基板/基体への付着特性の向上について説明する。本発明においては、より高精細なパターンを形成するために、溶液のドットパターンを基板/基体上の所望の場所に正しく付着/定着させるために、基板/基体上に前処理を行うようにしている。
図11は図2に示した本発明のパターン配線基板、あるいは機能デバイスを形成する製造装置を模式的に示した図である。ここでは図2において説明を省略した前述の前処理機能について説明するが、図11は必ずしも全ての構成を示しているわけではない。
図中、符号11は吐出ヘッドユニット(噴射ヘッド)、12はキャリッジ、13は基板保持台、14は機能性素子を形成する基板、15は機能性材料を含有する溶液の供給チューブ、23はレーザ光照射ヘッドユニット、24はレーザ光制御信号ケーブル、25はコントロールユニット、49は補助容器、50は補助容器液面、51は溶液56を貯える液容器、52は容器保持部材、53は容器保持部材の縁、54はポンプである。なおコントロールユニット25は、噴射ヘッド11の溶液噴射部や液容器51より上方に位置するように配置しているが、これは不慮の事故によって、コントロールユニット25に電気系統に溶液がかからないようにするためである。
本発明においては、キャリッジ12上に、噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23を併設し、両者はキャリッジ12の動きにあわせて同時に移動する。
本発明では、機能性材料を含有する溶液を基板14に噴射付与する前に、その噴射付与領域に、先にレーザ光照射ヘッドユニット23によってレーザ光照射を行い、溶液の付着特性を向上させるために前処理を行うようにする。例えばエキシマレーザやYAGレーザ、半導体レーザ等を照射し、基板表面の溶液付着力改質を行い、その後、機能性材料を含有する溶液を噴射付与する。
図11の例では、レーザ光照射ヘッドユニット23として、レーザダイオードとレーザ光を集光するためのレンズ群およびレンズ群を駆動して適正にレーザ光を基板上に集光するためのアクチュエータ装置等を備えたものとした。
レーザダイオードとしては例えば波長426nm(青色)〜650nm(赤色)〜780nm(赤外)等のものが使用できるが、今回は波長650nm、出力50mWのものを使用した。
本発明ではこのようなレーザ光照射ヘッドユニット23により、基板上のレーザ光を所望のサイズに絞り、レーザ光を照射してなる軌跡にならって溶液を付与する。
なお、ここでの説明は、基板を固定してキャリッジが移動するようにしているが、前述の図3の構成のように、基板側を移動させてレーザ光を照射、溶液噴射付与を行ってもよい。すなわち、噴射ヘッドとレーザ光照射ヘッドユニットを搭載したキャリッジは、基板(基体)に対して相対的に移動しながら、レーザ光を照射、溶液噴射付与を行う。
図12はこのようにして製作されるパターン配線の1例である。ここではPET基板上にITO膜によって形成した2つの電極パターン(端子)を、機能性材料を含有する溶液を噴射付与し、丸いドットによるパターンをつなぎ合わせて配線パターンを形成した。
機能性材料を含有する溶液としては以下のものを使用した。すなわち、硝酸銀に水溶性の重合体を溶解させ、撹拌しながらジメチルアミノエタノールを添加し、3分で金属イオンを還元し、平均粒径0.5μm(500nm)以下のAg微粒子を析出させた。その後、限外ろ過膜により、塩素イオンや硝酸イオンなどを除去し、濃縮・乾燥することにより濃厚なAg微粒子含有溶液を得た。
さらにこのAg微粒子含有溶液をアセトンに溶解させ、さらに撹拌しながらアルカノールアミンを添加し、Ag微粒子を重合体中に分散した形で油相側に析出させた。これを濃縮・乾燥させた濃厚なAg微粒子含有溶液を水、アルコールならびにエチレングリコールの混合溶媒に溶解・混合させて噴射溶液とした。溶液中のAg微粒子の含有量は10重量%、溶液中の樹脂分含有量は20重量%とした。またエチレングリコール添加量を調整し、各溶液の粘度は20センチポイズに統一した。なお、溶液中のAg微粒子の平均粒子径は、遠心分離機を使用して0.0005μmになるようにした。
図12に示したパターン配線のより詳しい製作方法を以下に説明する。図13は、PET基板上に形成したITO膜による電極パターン(端子)である。ここではITO薄膜をフォトリソグラフィー、エッチング等によって、図示のような矩形パターン形状とした。次に、図14に示したように、キャリッジ上に噴射ヘッドとともに搭載されたレーザ光照射手段によって、キャリッジ走査を行いつつレーザ光スポット照射を順次行い、図示のような照射パターンとした。
丸いパターンは照射したレーザスポットを模式的に示したものであり、このスポットサイズは、ここではΦ10μmとし後述の溶液によって形成される単独ドットの大きさ以下としている。
なお、この時、隣接するレーザスポットは互いに重なり合うようにするのがよい。好ましくは、スポット径半径以上重なり合うようにして照射する。
また、この時、レーザ光スポットのパルス発振周波数は、例えば20kHz以上とし、後述の溶液噴射頻度以上とする。これは、本発明のようにレーザ光照射を行ってこのようなパターン配線を行う際に、レーザ光照射手段の単位時間当たりの発光回数を、噴射ヘッドから噴射される溶液の液滴の単位時間当たりの噴射個数より大とすることにより、レーザ光照射が原因となって生産性低下を引き起こすことのないようにするためである。
図15は、図14に示したレーザスポット照射パターンの軌跡にならって、Ag微粒子含有溶液を噴射付与して形成したAg微粒子含有溶液による配線パターンである。なおこのような溶液ドットによる配線パターンは、完成後、あるいはその後の使用時に発生する断線不良を考慮して、隣接ドットは、互いに重なり合うようにして打ち込まれる。より好ましくは、ドット径半径以上重なり合うように打ち込むのがよい。
使用した噴射ヘッドは、図5、図6に示したようなピエゾ素子を液滴吐出の原動力とするものである。すなわち電気−機械変換素子であるピエゾ素子の機械的変位を液室の振動板の変位とし、その変位作用力で、微細な吐出口から液滴を噴射するものである。
なお、図には示していないが、ノズル1面に別途ノズル孔を穿孔したノズルプレートを設けた構造とした噴射ヘッドを使用した。またそのノズル数も、図では簡略化した7ノズルの例を示しているが、実際に使用したのはノズル(吐出口)の数が64個で、その配列密度が100dpiのものである。液滴噴射の駆動電圧は18V、駆動周波数は16kHzとした。吐出口径はΦ10μmとし、またそのノズルプレートはNiのエレクトロフォーミングによって形成したものであり、吐出口部分の板厚は15μmとした。
形成される溶液の単独のドットは約Φ15μmの大きさであり、これはレーザスポット径(Φ10μm)より大きな値であるが、レーザスポット照射によって基板上の表面改質が行われ、溶液の付着性が向上しているので、多少の溶液噴射の着弾位置精度が悪くても、表面の改質部がガイドとなって、レーザスポット照射パターンに沿った良好な溶液パターン形成が実現する。
なお、本発明では、レーザスポット照射1回につき、溶液の1ドットが対応するのではなく、レーザスポット照射回数は、噴射ヘッドから噴射される溶液の噴射回数以上としている。これはレーザパルス発振能力が溶液噴射頻度よりも高いのみならず、レーザスポット照射回数を増やすことにより、表面改質性能が向上し、より効果的に前処理(溶液付着性能向上)を行うことができるからである。
次にこのような本発明の製造装置を用いて機能性素子として有機EL素子を形成した場合の条件の1例を以下に示す。
使用した噴射ヘッドならびにレーザ光照射ヘッドユニットは上記配線パターン形成時と同じものを使用し、パルス照射条件や噴射条件も同じである。
使用した溶液は、O−ジクロロベンゼン/ドデシルベンゼンの混合溶液にポリヘキシルオキシフェニレンビニレンを0.1重量パーセント混合した溶液である。
1対のITO電極パターンを形成し、その間に、レーザスポット照射、ならびに上記溶液のドットパターンを形成したところ、高精度なパターンの有機EL素子ができた。その後、ITO電極にアルミニウムよりリード線を引き出し、10Vの電圧を印加したところ、良好に橙色の発光が得られた。
次に本発明の他の特徴について説明する。図16は、図11に示した本発明の製造装置の溶液非噴射時の様子を示したものである。
図16において、符号Aは信頼性維持装置、11は吐出ヘッドユニット(噴射ヘッド)、12はキャリッジ(保持手段)、13は基板保持台、14は基板、14aはその表面、15は機能性材料を含有する溶液の供給チューブ、16は信号供給ケーブル、23はレーザ光照射ヘッドユニット(レーザ光照射手段)、24はレーザ光制御信号ケーブル、25はコントロールユニット、49は補助容器、51は液容器、52は容器保持部材、53はその縁、54はポンプを示す。
本発明では、機能性材料を含有する溶液を基板14の表面14aに噴射付与する前に、その噴射付与領域に、先にレーザ光照射ヘッドユニット23によってレーザ光照射を行い、溶液の付着特性を向上させるために前処理を行うようにする。そしてそのレーザ光照射部にならって溶液の液滴を噴射して所望のパターン形成をする。
また信頼性維持装置Aは、機能性基体の設置領域以外に設けられるとともに、図の矢印方向に上下することにより、噴射ヘッド11の溶液噴射口面をキャップ、吸引するものである。なお、図ではキャップして被った状態を示している。
図16は、本発明の製造装置における信頼性維持装置Aの位置関係を示した模式図であるが、このような信頼性維持装置Aの溶液を吸引、排出、溶液噴射口面をキャップする機能、構造を、図17(a)、(b)により説明する。この図面において、符号131はキャリッジ132に装着された噴射ヘッドであり、符号133は噴射ヘッド131の先端に取付けたノズルである。キャリッジ132の噴射ヘッド131側の左右の外壁(図17(a)では上下の外壁)に面取り部132aを設け、また噴射ヘッド131の先端部を切り欠いて凹部131aを設けている。134はキャップスライド、135はスライド134をキャリッジ132に向けて押し付ける電動レバーである。キャップスライド134のうち、噴射ヘッド131と対向するキャップ部分には、溶液吸収体136を充填した深孔137をあける。溶液吸収体136の中心部には通路136aを設ける。
キャップ部分の先端には、キャリッジ132に対向して、その面取り部132aを嵌合可能な凹部138を形成する。この凹部138の中央部には吸収体136を覆蓋して、噴射ヘッド131の凹部131aに圧接嵌合されるように形成した凸状弾性キャップ139を嵌着する。この弾性キャップ139の中心部には、通路136aに連通する孔139aをあけておく。
一方、キャップスライド134には、図17(b)に示すように、深孔137と平行に軸孔140をあけ、この軸孔140に軸141を嵌入する。軸141は、装置本体に取付けたキャップ固定板142にスナップリング143等で固定される。軸141の他端には、軸孔140内に係合してボス144を嵌挿して、軸141の他端部をスナップリング145によりボス144の先端部に固着する。
従って、キャップスライド134を記録ヘッド131に向けて移動させるときに、軸孔140が軸141の軸線方向にボス144に沿って摺動可能となる。そして、軸孔140とボス144との間には圧縮ばね146を装着し、かかる摺動時にキャップスライド134が固定板142に向けて偏倚されるようにする。符号147は電動レバー135が反時計方向に回動したときに、このレバー135をロックするためのばね性ロック部材である。符号170はノズル吸引装置の吸引ポンプ本体であり、165は通路136aとポンプ本体170とを連結する吸引管である。これらの吸引ポンプ本体170、吸引管165の詳細について、引続き図18により説明する。
図18は、本発明における信頼性維持装置Aに設けたノズル吸引装置の一例を示し、ここで170は台座151に固着された円筒状の吸引ポンプ本体である。吸引ポンプ本体150は太径の吸引室152と、この吸引室152と隔てて上端部に設けた環状封止溝153とを有し、ポンプ本体170のうち、この封止溝153の上方に開口150aをあけておく。この封止溝153には、Oリング154を嵌装する。ポンプ本体170内には、台座151に固着した軸155を封止溝153の先端付近まで上方に延在させる。符号171は吸引ポンプのピストンであり、このピストン171は開口150a及び封止溝153を嵌入して摺動可能な形状の細径部158を有し、その上端部を前述のレバー135に固着する。
ピストン171の下端部は吸引室152に嵌合する太径部157を有し、この太径部157のうち細径部158より張出している周縁部には、太径部157を軸方向に貫通する通路159をあけ、この通路159の吸引室152側の下端側には通路159の両端の開口部における圧力差変動に応動して開閉する弁160を装着する。また、太径部157の外壁にはOリング161を装着して、かかる外壁と吸引室152との間のシールを行う。更に、ピストン171の太径部157の吸引室側底面には、凹部162を切り欠いて、この凹部162と台座151との間に圧縮ばね163を取り付ける。この圧縮ばね163は、所要時に手動にてピストン171を下方に押し込んだ後に、ピストン171が上方に自動復帰するためのものである。
吸引室152の上部側壁には連通孔164をあけ、この連通孔164に吸引管165を接続する。吸引管165の他端は、図17(b)に示すように、溶液吸引体136の通路136aに連通している。従って、ピストン171を下方に押し下げたときに、ピストン171の太径部157とポンプ本体170の上端部との間に形成される負圧状態の空所166に対して、連通孔164から吸引管165を経由して通路136aが負圧状態に吸引される。更に、ポンプ本体170の下方部の一側壁(図18では左側壁)には、空所166が下方まで拡がったときにその空所166の負圧を逃し、しかも、溶液排出を行うことができる孔167をあけておく。
次に、以上のように構成したヘッド信頼性維持装置Aの作動を、図19(a)、(b)及び図20を参照して説明する。図19(a)、(b)は、レバー135を電動で反時計方向(図17(a)の矢印方向)に回動させ、ロック部材147によりレバー135をロックした状態を示し、キャップスライド134の先端の弾性キャップ139が噴射ヘッド131に圧接されて、そのノズル133を密封する。それと共に、ノズル133は孔139aに嵌入してキャップ139の後方の溶液吸引体136と対向する。
そして、溶液を吸引排出する場合には、図20に示すように、ピストン171を下方へ押下げることにより、空所166内に負圧を発生させ、その負圧によりノズル133の先端を吸引して、溶液をノズル133から外方に吐出させる。そのためには、先ず、図19(a)、(b)に示すように、キャップスライド134の先端の弾性キャップ139を噴射ヘッド131に圧接させ、その状態でレバー135をキャップ固定板142とキャップスライド134との間を摺動させるようにして下方へ押下げて、ピストン171を押下げる。このとき、ピストン171の太径部157とポンプ本体170の上端部との間に形成される空所166は、ピストン171の押下げによる体積膨張により負圧になるから、この空所166に繋がる通路136a内も負圧となる。また、噴射ヘッド131に溶液を供給するタンク(図示せず)は常時大気開放型であるため、ノズル133内の溶液はノズル133の前後の圧力差により、ノズル133から外方へ吐出する。
次いで、ピストン171を離すと、圧縮ばね163によりピストン171は図12に矢印で示すように、上方へ復帰する。このとき、弁160は厚み数10μmのフイルムで構成されているので、上下の圧力差に変動に敏感に応動し、弁160は開放状態となり、空所166に吸い込まれた溶液は通路159を経てポンプ本体170の下方に設けた孔167から外部へ排出される。なお、通路159の管路抵抗を吸引管165の管路抵抗より小さくしておくことにより、空所166に溜まっている溶液を通路159から容易に排出することができる。
なお、キャリッジ132の先端の側壁132aを面取りし、これと当接するキャップスライド134にも凹部138を設け、弾性キャップ139にも凸状先端部を設けたから、キャリッジ132とスライド134との間に位置のずれが多少あっても、これらの凹凸部により、両者の位置関係のずれは修正されて、噴射ヘッド131はキャップスライド134により確実に密封される。
前述のように本発明において、信頼性維持装置Aは機能性素子基板設置領域以外に設けられる。
これは、本発明においては、吐出ヘッドユニット(噴射ヘッド)11は機能性素子基板14に対して一定の距離(たとえば1mm〜3mm)を保ちながら平行にX方向(あるいはY方向、もしくはX、Yの2方向)にキャリッジ移動を行いつつ溶液の噴射を行い、機能性素子群を形成するため、噴射ヘッド11と機能性素子基板14の間に信頼性維持装置Aを設けることがはなはだ難しいからである。
信頼性維持装置Aに噴射ヘッドの噴射ノズル面の単なるキャップとしての機能を持たせるだけであるならば、噴射ノズル面と機能性素子基板14の距離である1mm〜3mmという狭い範囲に薄い板状のキャップを挿入させることも不可能ではないが、それでも、高精度な薄い板状のキャップ挿入技術を必要とし、一歩間違えば噴射ノズル面を傷つけ、破損させてしまい、製造装置の機能性素子基板製造機能を損ねてしまうことになる。
仮に、機能性素子基板14の下、すなわち基板保持台13に内臓するような構造とすれば、可能ではあるが、キャップ、吸引を行うたびに、機能性素子基板14をはずしたり、移動させたりしなければならず、大変能率が悪い。また、機能性素子基板14を破損させたりする危険性もある。
本発明の信頼性維持装置Aを機能性素子基板設置領域以外に設けた理由は、この点を考慮した結果である。本発明はこのように、信頼性維持装置Aを機能性素子基板設置領域以外に設けることにより、このような製造装置の機能性素子基板製造機能を損ねたり、製造効率を低下させることなく、噴射ヘッドの目詰まりを防止し、安定した稼動できるようにすることができたものである。
図21は、本発明の図16に示した本発明の製造装置のキャリッジ12に搭載した噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23を部分的に抜き出した図である。(a)は、キャップ状態を示しており、この状態で吸引を行い吐出口から溶液を吸引する。(b)は、信頼性維持装置Aを矢印方向に移動させた状態を示している。
ここで本発明では、噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23を空間Bを確保した状態で離間して配置している。その理由は、本発明では信頼性維持装置Aによる噴射ヘッド11の吐出口面をキャップするためである。これも単にキャップするというだけであれば、このキャリッジ12領域全体を覆うような構成とするだけで特別な工夫は必要としない。しかしながら本発明では、噴射ヘッド11の吐出口面を近傍を完全に密閉系として覆い、そのあと吐出口から溶液を吸引するという構成をとるため、このキャップ部分の機密性が重要となる。そのため、キャップが吐出口面近傍に接触する部分はゴムのような弾性体によって押し付けられて完全な機密性を確保するようにしている。そしてこのような機密性を確保した良好なキャップを行うためには、噴射ヘッド11の周囲にはそれ相応の空間を必要とするため、本発明では、その空間Bを確保した状態で、レーザ光照射ヘッドユニット23を配置するようにしている。
つまり、本発明においては、キャップ機構の弾性体が充分に接触できるだけの空間Bを有した状態で噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23を離間して配置している。
図22は、本発明のさらに他の特徴を説明するための図であり、ここでは図21等に示した信頼性維持装置Aにさらに機能を加えたレーザ光照射ヘッドユニット23のレーザ光照射部、言い換えるならば、レーザ光学系の先端部をほこり等が付着しないようにカバーする機能を付け加えた信頼性維持装置A’を有した構成とした。そしてそのレーザ光照射部をカバーする部材は、図21等に示した信頼性維持装置Aと一体的に構成し、噴射ヘッド11の吐出口から溶液を吸引し、キャップするという機能とレーザ光照射部23Eをカバーする機能を兼ね備えたものとした。
なお、このレーザ光照射部をカバーする本発明の信頼性維持装置A’は、レーザ光照射ヘッドユニット23の光学系を空気中に浮遊するごみ等の不純物による堆積から守り、清浄な状態に保つことにより、光学的性能をいつも一定の高い水準に維持するのみならず、不慮の事故により、そのような光学系を保護する機能も併せ持つ。すなわちこのような光学系は、狙いの基体上にフォーカスを合わせるために精密かつ精巧なアクチュエータ機構等を備えており、例えば何かが衝突する等の物理的な衝撃があった場合に、それを保護するという機能も併せ持つものである。
本発明ではこのような構成とすることにより、吐出口部11Eのキャップ、吸引機能と、レーザ光学系のカバーという両機能を部品点数をそれほど増やすことなく実現している。
次に本発明のさらに他の例について説明する。本発明では例えば、図11等に示すように、噴射ヘッドの下に配置された基板/基体に対して下向きに溶液噴射を行う。そして非噴射時には、図16等で説明したような手段によって信頼性維持装置Aによって、噴射吐出口の目詰まり防止を行うこともできるが、ここでは他の方法によって信頼性を確保する例を説明する。
すなわち本発明では、噴射ヘッドは溶液噴射方向(今ここでは下向きとして説明している)に対して配置の向きを可変としている。図23(a),(b)はその1例で、噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23を一体的に搭載したキャリッジ12は、図23(a)において、回転軸Cを中心に矢印の方向に跳ね上がるように回転可能としている。図23(b)は、そのキャリッジ12が上部に跳ね上がった状態を示した。なお、この図ではキャリッジ12が時計回りに90°跳ね上がった状態である。
そして図24に示すようにこの状態において、信頼性維持装置Aを図の矢印方向(今この例では水平方向)から装着し、キャップ、溶液吸引等の一連の信頼性維持作業を行うのである。
すなわち、基体14上に機能性材料を含有する溶液56を噴射付与し、その溶液56中の揮発成分を揮発させ、固形分を基体14の表面14a上に残留させることによって機能性基体を製造する機能性基体製造装置において、基体14の表面14a上にレーザ光を照射するレーザ光照射ヘッドユニット(レーザ光照射手段)23と、基体14の表面14a上に機能性材料を含有した溶液56を噴射する吐出ヘッドユニット(噴射ヘッド)11と、その吐出ヘッドユニット11に溶液付与情報を入力するコンピュータ(情報入力手段)20とを有し、吐出ヘッドユニット11は、基体14に相対する位置に配されるとともに、基体14と相対移動を行いながら、情報入力手段により入力された溶液付与情報に基づいて、基体14の所望の位置に、レーザ光照射ヘッドユニット23によって基体14の表面14aに照射されるレーザ光の軌跡に沿って溶液56を噴射する機能性基体製造装置であって、吐出ヘッドユニット11の向きを溶液56の噴射方向に対して可変自在とし、吐出ヘッドユニット11を溶液56の噴射方向と異なる向きにして、吐出ヘッドユニット11に備える吐出面11eをキャップして被うとともに吸引する信頼性維持装置Aを装着する。
なお、図23(a),(b)において、図11と同一の符号については、構成の説明を省略する。
このように本発明では、噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23を一体的に搭載したキャリッジ12は、溶液噴射時の噴射の向きと異なる向きに回転可能として配置されているので、図16に示したような信頼性維持装置Aを機能性素子基板設置領域以外に置く必要がない。すなわち、信頼性維持装置Aを機能性素子基板設置領域の上方に置くことも可能となる。よって本発明においては、製造装置全体の床投影面積を小さくでき、コンパクト化が実現するという利点がある。
すなわち、レーザ光照射ヘッドユニット(レーザ光照射手段)23と吐出ヘッドユニット(噴射ヘッド)11とを搭載するキャリッジ(保持手段)12を備え、そのキャリッジ12は搭載するレーザ光照射ヘッドユニット23と吐出ヘッドユニット11の向きを可変とし、その向きを一体的に変える。
なお以上の説明では、図23(a)において、溶液噴射方向が図中上から下へ、つまり鉛直方向へなされるように吐出ヘッドユニット11を配置し、図24(a),(b)に示すように、信頼性維持装置Aが水平方向から移動、装着するようにしたが、本発明における吐出ヘッドユニット11や信頼性維持装置Aの配置は、必ずしもこの方向に限定されるものではない。
より好ましくは、上記説明のように、吐出ヘッドユニット11の溶液噴射方向に対して回転軸Cを回転中心として時計回りに回転して跳ね上がる場合の角度を他の角度ではなく、直角(90°)、あるいは180°とする方がよい。これは跳ね上がった後に、信頼性維持装置Aを移動させてキャップを行う(あるいは噴射ヘッド側が移動してきてキャップを行う)場合に、信頼性維持装置Aと吐出ヘッドユニット11の相対的な移動を行う機構を簡単な構成で実現できるからである。
つまり、機構学的にみて、ある物(今ここでは噴射ヘッドあるいは信頼性維持装置A)を移動させる場合に、単純な直線運動の組み合わせ、すなわちある直線方向に移動する、またはその垂直方向に移動する、としたほうが、移動機構の構造が単純化され設計が容易だからである。よって本発明では、噴射時の溶液噴射方向に対して、非噴射時に90°回転して吐出ヘッドユニット11を跳ね上がらせ、信頼性維持装置Aを作動させ、キャップ、溶液吸引を行うようにしている。
非噴射時に回転軸Cを回転中心として180°回転する場合も同様である。要するに90°の倍数の角度で回転(跳ね上がる)するようにすることにより、その後の信頼性維持装置Aの運動方向も、直線運動の組み合わせ、つまり移動方向としては90°の倍数の方向への単純な直線運動とすることができるということが本発明のポイントである。
すなわち、吐出ヘッドユニット11の向きを溶液56の噴射方向と異なる向きとするときの角度は、溶液56の噴射方向に対して90°または180°である。
次に本発明のさらに他の特徴について説明する。
図23、図24等に示したように、本発明の吐出ヘッドユニット11とレーザ光照射ヘッドユニット23を一体的に搭載したキャリッジ12は、溶液非噴射時に信頼性維持装置Aを作動させるために、キャリッジ(保持手段)12を回転軸Cを回転中心として時計回りに90度回転して一体的に向きを変えたときに、レーザ光照射ヘッドユニット23が噴射ヘッド11の上部に位置するように配置する。また、図11、図23等に示したように、吐出ヘッドユニット11に溶液56を供給する補助容器49も吐出ヘッドユニット11に近接して、キャリッジ12に一体的に搭載されているため、レーザ光照射ヘッドユニット23は、この補助容器49よりも上部に位置するように配置する。
これは、本発明では、溶液を含有した噴射ヘッド11あるいはそれに溶液を供給する補助容器49等が、不慮の事故により、溶液漏れ(リーク)を起こしたりしたような場合に、レーザ光照射ヘッドユニット23のレーザ素子を破損させたり、制御のための電気系統を破損させたり、光学系を汚染させたりしないようにするためである。
すなわち、キャリッジ(保持手段)12によって、吐出ヘッドユニット(噴射ヘッド)11とレーザ光照射ヘッドユニット(レーザ光照射手段)23の向きを一体的に変えるとき、そのレーザ光照射ヘッドユニット23が吐出ヘッドユニット11より上方に位置する。
本発明では、図23、図24等に示したように、キャリッジ(保持手段)12を回転軸Cを回転中心として時計回りに90度回転したとき、レーザ光照射ヘッドユニット23が噴射ヘッド11や補助容器49より上の位置にくるように配置、構成しているので、万が一そのような溶液リークという事故がおきた場合にも、高価なレーザ光照射ヘッドユニット23等を破損することなく、溶液汚れを清浄化するだけで問題を解決できるという利点がある。
すなわち、キャリッジ(保持手段)12によって、吐出ヘッドユニット(噴射ヘッド)11とレーザ光照射ヘッドユニット(レーザ光照射手段)23の向きを一体的に変えるとき、そのレーザ光照射ヘッドユニット23が吐出ヘッドユニット11に溶液56を供給する補助容器49より上方に位置する。
なお、本発明においては、このように信頼性維持装置Aを機能させる際に、噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23を一体的に搭載したキャリッジ12の向きを一体的に変えるようにしているが、これは本発明がレーザ光照射によって前処理を行い、その処理部分に高精度に溶液の液滴を噴射、付与するという原理上、噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23の互いの位置精度を保つ必要があるからである。もし仮に、噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23をばらばらに可動とし、上記のような跳ね上がり機構としたならば、前処理部に溶液の液滴を高精度に噴射、付与することが困難となるであろう。
図25は本発明のさらに他の例である。この例は図22で説明したものと同様に、レーザ光照射部をカバーする部材も一体的に構成した信頼性維持装置A’としたものであり、その機能、効果は、図22の信頼性維持装置A’と同様である。
ところで、図3、図4で液滴が基板面に斜めに噴射する図を示したが、これは検出光学系32と、噴射ヘッド33を併せて図示するためにこのように液滴が斜めに飛翔している図としたが、実際には基板に対してほぼ垂直に当たるように噴射付与するようにしている。
また、実施例で説明した噴射ヘッドはピエゾ素子を利用した噴射ヘッドであるが、サーマル方式(バブル方式)の噴射ヘッド、あるいは他の方式であってもいいのはいうまでもない。この場合、高密度なマルチノズル配列(例えば400dpi〜1200dpiで100〜2000ノズル配列)が簡単に実現でき、高精細化を必要とする機能性デバイス、配線パターン等を高速で実現できる。
なお、機能性素子として発光素子を形成した場合、形成された発光素子基板はその後、ガラスあるいはプラスチック等の透明カバープレートを対向配置、ケーシング(パッケージング)することにより、ディスプレイ装置して活用される。
また、単にディスプレイ装置に適用するのみならず、機能性素子として有機トランジスタなども本発明の手法を利用して好適に製作される。さらに、噴射溶液としてレジスト材料などを用いることによって、レジストパターンやレジスト材料による3次元構造体を形成する場合にも適用され、本発明でいうところの機能性素子とは、このようなレジスト材料のような樹脂材料によって形成される膜パターンあるいは3次元構造体も含むものである。
さらに、実施例であげた端子(電極パターン)はITOによって形成されるものに限定されるものではなく、通常のAl、Au等の金属薄膜であってもよい。
また、これらの電極パターンは、通常は蒸着等の薄膜形成プロセスおよびフォトリソグラフィー、エッチング等のパターン形成によって形成されるが、これらの電極パターン形成においても本発明を適用して、レーザ光照射ならびに金属微粒子を分散させた溶液の噴射によって形成するのもよい方法である。
(a),(b)は本発明の機能性基体製造装置によって形成されるパターン配線の例を説明するための図である。 本発明のパターン配線基板またはデバイス基板を製造する機能性基体製造装置の一実施例を説明するための図である。 本発明のパターン配線基板またはデバイス基板を製造する機能性基体製造装置の他の実施例を説明するための図である。 (a),(b)は、本発明のパターン配線基板またはデバイス基板の製造に適用される液滴付与装置を示す概略構成図である。 (a),(b)は、本発明に好適に使用されるピエゾ素子利用の噴射ヘッドの液滴噴射原理を説明する図である。 本発明に好適に使用されるピエゾ素子利用の噴射ヘッドの構造を示す図である。 (a)〜(c)は、本発明に好適に適用されるサーマル方式(バブル方式)の液体噴射ヘッドの例である。 マルチノズル型の液体噴射ヘッドをノズル側から見た図である。 マルチノズル型の液体噴射ヘッドを噴射する溶液ごとに積層し、ユニット化した図である。 図9のユニット化したヘッドの斜視図ある。 本発明のレーザ光照射手段を搭載したパターン配線基板またはデバイス基板を製造する機能性基体製造装置の模式図である。 本発明の機能性基体製造装置によって形成されるパターン配線基板の形成されたパターンの図である。 本発明の機能性基体製造装置によって形成されるパターン配線基板のパターンを形成する形成方法を説明するための図であり、1対の端子電極を示している。 本発明の機能性基体製造装置によって形成されるパターン配線基板のパターンを形成する形成方法を説明するための図であり、レーザ光照射により前処理を行った場合の照射パターン(照射領域)を示している。 本発明の機能性基体製造装置によって形成されるパターン配線基板のパターンを形成する形成方法を説明するための図であり、レーザ光照射により前処理を行った領域に溶液を噴射付与してパターン形成を行ったことを示す図である。 本発明の機能性基体製造装置に適用される信頼性維持装置Aの位置関係を示す概略構成図である。 本発明の溶液を吸引排出するための信頼性維持装置Aの一例を示し、(a)は一部断面を示した側面図であり、(b)はその正面断面図である。 本発明に適用される信頼性維持装置Aに設けたノズル吸引装置の断面図を示す。 図17の信頼性維持装置Aにおいて、溶液吸引排出状態を示す図であり(a)は一部断面を示した側面図であり、(b)はその正面断面図である。 図18の信頼性維持装置Aに設けたノズル吸引装置において、溶液吸引排出状態を示す図である。 本発明の機能性基体製造装置に適用される信頼性維持装置Aの機能、構成を示すとともに噴射ヘッド等との配置の関係を説明する概略構成図であり、(a)は信頼性維持装置Aを噴射ヘッドに取り付けた状態、(b)は信頼性維持装置Aを噴射ヘッドから取り外した状態を示す図である。 本発明の機能性基体製造装置に適用される信頼性維持装置A’の機能、構成を説明する概略構成図である。 本発明の機能性基体製造装置に適用される噴射ヘッドとレーザ光照射ヘッドユニットを一体的に搭載したキャリッジが向きをかえる機構を説明するための図であり、(a)はキャリッジが水平な状態を示した図、(b)はキャリッジが90度時計回りに回転した図である。 本発明の機能性基体製造装置に適用される信頼性維持装置Aと噴射ヘッド等との配置の関係を説明する概略構成図であり、(a)は信頼性維持装置Aを外したとき、(b)は信頼性維持装置Aを取り付けたときの状態を示す図である。 本発明の機能性基体製造装置に適用される信頼性維持装置A’の機能、構成、配置を説明する概略構成図である。
符号の説明
1 ノズル(液体噴射ヘッド)
11 吐出ヘッドユニット(噴射ヘッド)
11E 吐出口部
11e 吐出面
12 キャリッジ(保持手段)
13 基板保持台
14 基板(基体)
14a 表面
15 機能性材料を含有する溶液の供給チューブ
16 信号供給ケーブル
17,21 コントロールボックス
18 X方向スキャンモータ
19 Y方向スキャンモータ
20 コンピュータ
22 基板位置決め/保持手段
23 レーザ光照射ヘッドユニット(レーザ光照射手段)
23E レーザ光照射部
24 レーザ光制御信号ケーブル
25 コントロールユニット
26 空隙
28 空気層
31 ヘッドアライメント制御機構
32 検出光学系
33 噴射ヘッド
34 ヘッドアライメント微動機構
36 画像識別機構
37 XY方向走査機構
38 位置検出機構
39 位置補正制御機構
40 噴射ヘッド駆動・制御機構
41 光軸
42 素子電極
43 液滴
44 液滴着弾位置
45 流路
46 ピエゾ素子
49 補助容器
51 液容器
52 容器保持部材
53 容器保持部材の縁
54 ポンプ
56 溶液
57 フィルター
65 ノズル
66 発熱体基板
67 蓋基板
68 シリコン基板
69 個別電極
70 共通電極
71 発熱体
74 溝
75 凹部領域
76 溶液流入口
131 噴射ヘッド
131a,138,162 凹部
132 キャリッジ(保持手段)
132a 側壁面取り部
133 ノズル
134 キャップスライド
135 レバー
136 溶液吸収体
136a,159 通路
137 深孔
139 キャップ
139a,167 孔
140 軸孔
141,155 軸
142 キャップ固定板
143,145 スナップリング
144 ボス
146,163 圧縮ばね
147 ばね性ロック部材
150a 開口
151 台座
152 吸引室
153 環状封止溝
154,161 Oリング
157 太径部
158 細径部
160 弁
164 連通孔
165 吸引管
166 空所
170 吸引ポンプ本体
171 ピストン
A,A’ 信頼性維持装置
C 回転軸

Claims (3)

  1. 基体上に機能性材料を含有する溶液を噴射付与し、該溶液中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基体上に残留させることによって機能性基体を製造する機能性基体製造装置において、
    前記基体上にレーザ光を照射するレーザ光照射手段と、
    前記基体上に機能性材料を含有した溶液を噴射する噴射ヘッドと、
    該噴射ヘッドに溶液付与情報を入力する情報入力手段と
    前記噴射ヘッドに備える吐出面をキャップして被うとともに吸引する信頼性維持装置とを有し、
    前記噴射ヘッドは、前記基体に相対する位置に配されるとともに、前記基体と相対移動を行いながら、前記情報入力手段により入力された前記溶液付与情報に基づいて、前記基体の所望の位置に、前記レーザ光照射手段によって前記基体表面に照射されるレーザ光の軌跡に沿って前記溶液を噴射する機能性基体製造装置であって、
    前記レーザ光照射手段と前記噴射ヘッドとを保持手段に搭載し、
    該保持手段は搭載する前記レーザ光照射手段と前記噴射ヘッドの向きを一体的に可変とし、該向きは、前記溶液の噴射方向と異なる向きにして、前記噴射ヘッドに備える吐出面をキャップして被うとともに吸引する信頼性維持装置を装着した場合、前記レーザ光照射手段が前記噴射ヘッドより上方に位置することを特徴とする機能性基体製造装置。
  2. 前記保持手段によって、前記噴射ヘッドと前記レーザ光照射手段の向きを一体的に変えるとき、該レーザ光照射手段が前記噴射ヘッドに溶液を供給する補助容器より上方に位置することを特徴とする請求項に記載の機能性基体製造装置。
  3. 請求項1または2に記載の機能性基体製造装置によって製造されることを特徴とする機能性基体。
JP2004060335A 2004-03-04 2004-03-04 機能性基体製造装置及びそれにより製造される機能性基体 Expired - Fee Related JP3870199B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004060335A JP3870199B2 (ja) 2004-03-04 2004-03-04 機能性基体製造装置及びそれにより製造される機能性基体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004060335A JP3870199B2 (ja) 2004-03-04 2004-03-04 機能性基体製造装置及びそれにより製造される機能性基体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005246244A JP2005246244A (ja) 2005-09-15
JP3870199B2 true JP3870199B2 (ja) 2007-01-17

Family

ID=35027241

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004060335A Expired - Fee Related JP3870199B2 (ja) 2004-03-04 2004-03-04 機能性基体製造装置及びそれにより製造される機能性基体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3870199B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5597331B2 (ja) * 2010-01-20 2014-10-01 株式会社ミマキエンジニアリング パターン形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005246244A (ja) 2005-09-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2005095787A (ja) 膜形成方法、デバイス製造方法および電気光学装置
JP2005081159A (ja) 機能性基体製造装置ならびに製造される機能性基体
JP3870199B2 (ja) 機能性基体製造装置及びそれにより製造される機能性基体
JP4010854B2 (ja) 機能性素子基板、その製造装置、および画像表示装置
JP2005246243A (ja) 機能性基体製造装置及びそれにより製造される機能性基体
JP2005085474A (ja) 機能性基体製造装置ならびに製造される機能性基体
JP4773691B2 (ja) フレキシブル機能性素子基板及びその製造装置
JP2005246240A (ja) 機能性基体製造装置及びそれにより製造される機能性基体
JP2005246241A (ja) 機能性基体製造装置及びそれにより製造される機能性基体
JP2005246242A (ja) 機能性基体製造装置及びそれにより製造される機能性基体
JP2004202292A (ja) 液滴噴射製造装置及び該装置によって製作される基板
JP4312036B2 (ja) 溶液噴射型製造装置、微粒子含有溶液、パターン配線基板及びデバイス基板
JP3896348B2 (ja) 液滴噴射製造装置、およびそれにより製造されるパターン配線基板、ならびにデバイス基板
JP2004202296A (ja) 液滴噴射製造装置及びそれによって製作される基板
JP2004207336A (ja) 溶液噴射製造装置及びその溶液ならびに製作される基板
JP2004356128A (ja) 溶液噴射製造装置ならびに製造される基板,デバイス
JP2003264068A (ja) 機能性素子基板、画像表示装置およびその製造装置
JP2004207321A (ja) 液滴噴射製造装置及びその溶液ならびに製作される基板
JP2003264078A (ja) 機能性素子基板、画像表示装置およびその製造装置
JP2004081923A (ja) 機能性素子基板、画像表示装置およびその製造装置
JP2004259852A (ja) 溶液噴射製造装置ならびに製造されるパターン配線基板及びデバイス基板
JP2004356390A (ja) 溶液噴射製造装置、およびそれにより製造されるパターン配線基板、ならびにデバイス基板
JP2004349505A (ja) 溶液噴射製造装置、およびそれにより製造されるパターン配線基板、ならびにデバイス基板
JP2004356283A (ja) 溶液噴射製造装置、およびそれにより製造されるパターン配線基板、ならびにデバイス基板
JP2004221445A (ja) 液滴噴射製造装置及びその溶液ならびに製作される基板

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20060620

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060627

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060817

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20061010

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20061016

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101020

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111020

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121020

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131020

Year of fee payment: 7

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees