JP2005246240A - 機能性基体製造装置及びそれにより製造される機能性基体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基体14に対して溶液56を噴射する噴射ヘッド11と、その噴射ヘッド11に情報を入力する情報入力手段20とを有し、噴射ヘッド11を保持手段22に搭載されて基体14に相対する位置に配し、情報入力手段20により入力された情報に基づいて基体14の所望の位置に溶液56を噴射するようにする。また、保持手段22にレーザ光照射手段23を搭載し、基体14表面14aに、レーザ光の軌跡に沿って溶液56を付与し、レーザ光照射手段23と噴射ヘッド11とは、両者の間を離間する空隙26を設けて、かつその空隙26の距離LGを基体14表面14aとレーザ光照射部23Eのレーザ光出射面23eとの距離L1より大きくするように保持手段に取り付ける。
【選択図】図16
Description
このような素子形成も、機能材料のパターン化により行われ、一般的にはフォトリソグラフィー法により行われている。たとえば、有機物を用いた有機エレクトロルミネッセンス(以下有機ELと記す)素子としては、低分子を蒸着法で成膜する方法が報告されている(例えば非特許文献1)。
そこでこのような課題に対しても、有機EL素子に代表されるような機能性素子形成のための機能性材料膜の形成およびパターン化にあたり、インクジェット液滴付与手段(例えば特許文献2〜7)によって、真空成膜法とフォトリソグラフィー・エッチング法等によらずに、安定的に歩留まり良くかつ低コストで機能性材料を所望の位置に付与することが実現できる。
また、同様の原理をこのような機能性素子の他に回路基板製作に応用しようという研究もなされている。たとえば、従来から回路基板の製造方法として、次のような方法が知られている。
(1)銅張り積層板上にレジストを被覆し、フォトリソグフィ法によって回路パターンの露光・未露光レジストの溶解除去、レジスト除去部のエッチングにより銅線パターンを形成する方法。
(2)セラミックス基板上にスクリーン印刷により導電ペーストを所望の回路パターンに印刷し、非酸化雰囲気中で熱処理して導電ペースト中の金属微粒子を焼結して導電パターンを形成する方法。
(3)絶縁基板上に導電金属の蒸着により薄膜の導電層を形成し、この導電層上にレジストを被覆し、フォトリソグフィ法によって回路パターンの露光・未露光レジストの溶解除去、レジスト除去部のエッチングにより銅線パターンを形成する方法。
また、同様な基板を製作する際の基板の表面改質処理に関する方法が提案されている(例えば特許文献10)。
そのような課題の1つとして、このような溶液の基板/基体への付着特性がある。すなわち、溶液のドットパターンを基板/基体上の所望の場所に正しく付着/定着させることができるか否かが、より高精細なパターンを形成する際に特に重要な課題である。上記特許文献10には、各種処理手段の提案はあるものの、より具体的な方法についてはまだ未知の部分が多い。
また第2の目的は、このような機能性基体を形成するための他の構成の製造装置を提供することにある。
さらに第3の目的は、このような機能性基体を形成するための他の構成の製造装置において、より効果的に動作できるような構成を提供することにある。
また第4の目的は、このような機能性基体を形成するための製造装置において、その機能を安定して発揮し、かつ高い信頼性で動作できるような構成を提供することにある。
さらに第5の目的は、このような機能性基体を形成するための製造装置において、その機能を安定して発揮し、かつ高い信頼性で動作できるような他の構成を提供することにある。
また第6の目的は、このような製造装置によって製作され、高精細かつ高精度なドットパターンを形成された高品質な機能性基体を提供することにある。
前記基体に対して前記機能性材料を含有する溶液を噴射する噴射ヘッドと、
該噴射ヘッドに溶液付与情報を入力する情報入力手段とを有し、
前記噴射ヘッドは、保持手段に搭載されて前記基体に相対する位置に配されるとともに、前記基体と相対移動を行いながら、前記情報入力手段により入力された前記溶液付与情報に基づいて前記基体の所望の位置に前記溶液を噴射する機能性基体製造装置であって、
前記保持手段に前記基体上にレーザ光を照射するレーザ光照射手段を搭載し、
前記基体表面に、前記レーザ光の軌跡に沿って前記溶液を付与するとともに、
前記レーザ光照射手段と噴射ヘッドとは、両者の間を離間する空隙を設けて、かつ該空隙を前記基体表面とレーザ光照射部のレーザ光出射面との距離より大きくするように前記保持手段に取り付けたことを特徴とする。
前記基体に対して機能性材料を含有した溶液を噴射する噴射ヘッドと、
該噴射ヘッドに溶液付与情報を入力する情報入力手段とを有し、
前記噴射ヘッドは、保持手段に搭載されて前記基体に相対する位置に配されるとともに、前記基体と相対移動を行いながら、前記情報入力手段により入力された前記溶液付与情報に基づいて前記基体の所望の位置に前記溶液を噴射する機能性基体製造装置であって、
前記保持手段に前記基体上にレーザ光を照射するレーザ光照射手段を搭載し、
前記基体表面に、前記レーザ光の軌跡に沿って前記溶液を付与するとともに、
前記レーザ光照射手段と噴射ヘッドとは、両者の間を離間する離間部材を介して設けられるとともに、該離間部材による離間幅を、前記基体表面とレーザ光照射部のレーザ光出射面との距離より大きくするように前記保持手段に取り付けたことを特徴とする。
図1は、ガラス基板、プラスチック基板、Si等の半導体基板、ガラス・エポキシ基板、フレキシブル基板等に本発明の手法によってパターンを形成する例を示している。なおここでは基板の例で説明を行うが、本発明はシート状の基板のみに適用されるのではなく、ブロック状の基体にも適用してもよい。後述するようにインクジェット噴射原理によって溶液を非接触の状態で付着させることによって可能となるものであり、被付着物(基板/基体)が平板上ではない立体構造のものであっても機能性材料含有溶液を付着させて、機能性基体(構造物)を形成できる。
ここで、機能性材料を含有した溶液を付与する手段として本発明では、インクジェットの技術が適用される。
以下にその具体的方法を説明する。
この場合、基板保持台13に置かれた基板14の前面を噴射ヘッド11がキャリッジ走査により移動し、機能性材料を含有する溶液を噴射付与する例である。なお、本発明においては基板14上に機能性材料を含有する溶液を噴射付与する前に、レーザ光照射による前処理を行うが、それについては図11などにおいて後述する。
図3の構成は図2の構成と異なり、基板(基体)14側を移動させて配線パターン、または機能デバイスを基板に形成するものである。図3及び図4において、符号31はヘッドアライメント制御機構、32は検出光学系、33は噴射ヘッド、34はヘッドアライメント微動機構、36は画像識別機構、37はXY方向走査機構、38は位置検出機構、39は位置補正制御機構、40は噴射ヘッド駆動・制御機構、41は光軸、42は素子電極、43は液滴、44は液滴着弾位置である。
インクジェット方式としては、たとえば米国特許第3683212号明細書に開示されている方式(Zoltan方式)、米国特許第3747120号明細書に開示されている方式(Stemme方式)、米国特許第3946398号明細書に開示されている方式(Kyser方式)のようにピエゾ振動素子に電気的信号を印加し、この電気的信号をピエゾ振動素子の機械的振動に変え、該機械的振動に従って微細なノズルから液滴を吐出飛翔させるものがあり、通常、総称してドロップオンデマンド方式と呼ばれている。
さらに他の方式として、特公昭56−9429号公報に開示されている方式がある。これは液体中で気泡を発生せしめ、その気泡の作用力により微細なノズルから液滴を吐出飛翔させるものであり、サーマルインクジェット方式またはバブルジェット(登録商標)方式と呼ばれている。
本発明では、このようなパターン配線基板または機能デバイス(機能素子)を形成した機能性基板/基体を製造する製造装置(図2)において、基板14はこの装置の基板位置決め/保持手段22によってその保持位置を調整して決められる。図2では簡略化しているが、基板位置決め/保持手段22は基板14の各辺に当接されるとともに、X方向およびそれに直交するY方向にサブミクロンオーダーで微調整できるようになっているとともに、噴射ヘッドコントロールボックス17、コンピュータ20、コントロールボックス21等と接続され、その位置決め情報および微調整変位情報等と、液滴付与の位置情報、タイミング等はたえずフィードバックできるようになっている。
本発明のパターン配線基板/基体、あるいは機能デバイス形成基板/基体は、その目的、用途に応じて、ガラス基板、セラミックス基板、PETを始めとする各種プラスチック基板、Si等の半導体基板、ガラス・エポキシ基板、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム等の高分子フィルムよりなるフレキシブル基板等が好適に用いられる。たとえば各種プラスチック基板や高分子フィルムは軽量化が要求されるパターン配線基板/基体、あるいは機能デバイスに効果的である。
このような基板に対して本発明では、形成される機能デバイス群をマトリックス状に配列し、このマトリックスの互いに直交する2方向が、この基板の縦方向の辺あるいは横方向の辺の方向と平行であるように機能デバイス群を配列する。このように機能デバイス群をマトリックス状に配列する理由および基板の縦横の辺をそのマトリックスの直交する2方向と平行になるようにする理由を以下に述べる。
換言すると、本発明のような基板形状、機能デバイス群のマトリックス状配列、直交するX、Yの2方向の相対移動装置にすれば、デバイス形成の液滴噴射を行う前の基板の位置決めを正確に行えば、高精度な機能デバイス群のマトリックス状配列が得られるということである。
この回転方向のズレを補正するために本発明では、前述のように図示しない(基板14の下に位置して見えない)回転位置調整機構を有している。これにより回転方向のズレも補正し基板の辺を位置決めすると本発明の装置ではXおよびY方向のみの相対移動で高精度な機能デバイス群のマトリックス状配列が得られる。
次に本発明の位置決めの他の手段、構成について説明する。上記の説明は基板位置決め/保持手段22は、基板14の辺に当接され、基板位置決め/保持手段22全体がX方向またはY方向に位置を調整できるようにしたものであるが、ここでは基板14の辺ではなく基板上に互いに直交する2方向に帯状パターンを設けるようにした例について説明する。前述のように本発明では基板上に機能デバイス群をマトリックス状に配列して形成されるが、ここでは前記のような互いに直交する2方向の帯状パターンをこのマトリックスの互いに直交する2方向と平行になるように形成しておく。このようなパターンは、基板上にフォトファブリケーション技術によって容易に形成できる。
次に図4により吐出ヘッドユニット11の構成を説明する。図4において、符号32は基板14上の画像情報を取り込む検出光学系であり、液滴43を吐出させる噴射ヘッド33に近接し、検出光学系32の光軸41および焦点位置と、噴射ヘッド33による液滴43の着弾位置44とが一致するよう配置されている。
この場合、図3に示す検出光学系32と噴射ヘッド33との位置関係はヘッドアライメント微動機構34とヘッドアライメント制御機構31により精密に調整できるようになっている。また、検出光学系32には、CCDカメラとレンズとを用いている。
なお、以上の説明は、吐出ヘッドユニット11は固定で、機能性素子基板14がXY方向走査機構37により任意の位置に移動することで吐出ヘッドユニット11と機能性素子基板14との相対移動を実現しているが、図2のように、機能性素子基板14を固定とし、吐出ヘッドユニット11がXY方向に走査するような構成としてもよいことはいうまでもない。
また、基板サイズが200mm×200mm程度以下の場合には、液滴付与のための吐出ヘッドユニットを200mmの範囲をカバーできるラージアレイマルチノズルタイプとし、吐出ヘッドユニットと基板の相対移動を直交する2方向(X方向、Y方向)に行うことなく、1方向のみ(例えばX方向のみ)に相対移動させて行うことも可能であり、量産性も高くすることができるが、基板サイズが200mm×200mm以上の場合には、そのような200mmの範囲をカバーできるラージアレイマルチノズルタイプの吐出ヘッドユニットを製作することは技術的/コスト的に実現困難であり、本発明のように吐出ヘッドユニット11が直交するX、Yの2方向に走査するようにし、溶液の液滴の付与をこのような直交する2方向に順次行うようにする構成としたほうがよい。
液滴43の材料は機能性材料を含有した溶液であり、例えば、微細な導電性微粒子を含有した溶液が使用される。具体的には、Au、Pt、Ag、Cu、Ni、Cr、Rh、Pd、Zn、Co、Mo、Ru、W、Os、Ir、Fe、Mn、Ge、Sn、Ga、In等の金属微粒子を含有した溶液が好適に使用される。
このような微細な導電性微粒子を水を主体とする分散媒に分散せしめてなる水性系溶液は、例えば、次のような方法で調整することができる。
すなわち、塩化金酸や硝酸銀のような金属イオンソース水溶液に水溶性の重合体を溶解させ、撹拌しながらジメチルアミノエタノールのようなアルカノールアミンを添加する。数10秒〜数分で金属イオンが還元され、平均粒径0.5μm(500nm)以下の金属微粒子が析出する。塩素イオンや硝酸イオンを限外ろ過などの方法で除去した後、濃縮・乾燥することにより濃厚な導電性微粒子含有溶液が得られる。この導電性微粒子含有溶液は、水やアルコール系溶媒、テトラエトキシシランやトリエトキシシランのようなゾルゲルプロセス用バインダーに安定に溶解・混合することが可能である。
すなわち、油溶解性のポリマーをアセトンのような水混和性有機溶媒に溶解させ、この溶液を金属イオンソース水溶液と混合する。混合物は不均一系であるが、これを撹拌しながらアルカノールアミンを添加すると金属微粒子は重合体中に分散した形で油相側に析出してくる。これを濃縮・乾燥させると水性系と同様の濃厚な導電性微粒子含有溶液が得られる。この導電性微粒子含有溶液は、芳香族系、ケトン系、エステル系などの溶媒やポリエステル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等に安定に溶解・混合することが可能である。
導電性微粒子含有溶液の分散媒中における導電性微粒子の濃度は、最大80重量%とすることが可能であるが、用途に応じて適宜稀釈して使用する。
通常、導電性微粒子含有溶液における導電性微粒子の含有量は2〜50重量%、界面活性剤および樹脂の含有量は0.3〜30重量%、粘度は3〜30センチポイズが適当である。
本発明において対象となるナノ粒子としては、通常、粒径が0.0005〜0.2μm(0.5〜200nm)、好ましくは0.0005〜0.05μm(0.5〜50nm)の微粒子があげられるが、より厳密には、溶液製造上の微粒子分散安定性や、噴射時の目詰まり発生、さらにはパターン形成される基板の表面粗さなどを考慮して決められる。
本発明に好適に使用できるナノ粒子含有溶液は、上記ナノ粒子を連続相が水相であり分散相が油相であるエマルション(O/Wエマルション)に分散させた分散液である。
また本発明に好適に使用され、インクジェット原理で噴射されるナノ粒子含有溶液は、分散液中に、界面活性剤、及びナノ粒子の分散用溶媒を共存させるのが好ましい。界面活性剤としては、例えばアニオン系界面活性剤(ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩など)、ノニオン系界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなど)があげられ、これらを単独または二種以上混合して用いることができる。
ナノ粒子の分散用溶媒としては、通常トルエン、ヘキサン、ピリジン、クロロホルムなどの液体であり、揮発性であることが望ましい。分散用溶媒の量は通常、0.1〜20重量%程度の範囲で用いられるが、1〜10重量%の範囲がより好ましい。分散用溶媒がこの範囲よりも少な過ぎると水性媒体中に含有させることのできる超微粒子の量が少なくなる。逆にこの範囲より多過ぎると水性分散媒体中で油水分離が生じる場合がある。
なお本発明の目的を損なわない範囲で、懸濁液に界面活性剤や分散安定剤や酸化防止剤などの添加剤、またはポリマー、塗布・乾燥過程でゲル化する材料などのバインダーを加えても良い。
他の機能性材料を含有した溶液としては、有機EL材料を溶解した溶液が好適に使用される。例えば赤、緑、青に発色する有機EL材料を溶解した溶液として、以下のような組成のものがある。
赤色発色の場合の組成物:ポリフルオレン /ペリレン染料(98/2、重量比)
緑色発色の場合の組成物:ポリフルオレン/クマリン染料(98.5/1.5、重量比)
青色発色の場合の組成物:ポリフルオレン
さらに他の例として、カラーフィルター用材料が挙げられる。具体的には、スミカレッドB(商品名、住友化学製染料)、カヤロンフアストイエローGL(商品名、日本化薬製染料)、ダイアセリンフアストブリリアンブルーB(商品名、三菱化成製染料)等の昇華染料等を用いることができる。
いずれの材料においても、本発明は溶液中の揮発成分を揮発させ、固形分を基板上に残留させることによってパターン配線形成、あるいは機能デバイス形成等を行うものである。この固形物がそれぞれのパターンあるいはデバイスの機能を発生させるものであり、溶媒(揮発成分)はインクジェット原理で液滴を噴射付与するための手段(vehicle)である。
この液体噴射ヘッドは、溶液56が導入される流路45内にエネルギー作用部としてピエゾ素子46を設けたものである。ピエゾ素子46にパルス状の信号電圧を印加して図5(a)に示すようにピエゾ素子46を歪ませると、流路45の容積が減少すると共に圧力波が発生し、その圧力波によってノズル1から液滴43が吐出する。図5(b)はピエゾ素子46の歪がなくなって流路45の容積が増大した状態である。
次に本発明に好適に適用される液体噴射ヘッドの他の例について、図7を用いて説明する。この例はサーマル方式(バブル方式)の液体噴射ヘッドの例であり、液滴噴射の原動力は、溶液中で瞬時に発生する膜沸騰気泡の成長作用力である。
ここで示した液体噴射ヘッドは、溶液が流れる流路短部から液滴が噴射するタイプのものであり、エッジシューター型と呼ばれるものである。
一方前記蓋基板67には、機能性材料を含有する溶液が導入される流路を形成するための溝74と、流路に導入される前記溶液を収容する共通液室を形成するための凹部領域75とが形成されており、これらの発熱体基板66と蓋基板67とを図7(a)〜(c)に示すように接合させることにより、前記流路及び前記共通液室が形成される。
なお、発熱体基板66と蓋基板67とを接合させた状態においては、前記流路の底面部に前記発熱体71が位置し、流路の端部にはこれらの流路に導入された溶液の一部を液滴として吐出させるための前記ノズル65が形成されている。なおここでは、ノズル形状は矩形であるが、これは丸形状であってもよい。なお前記蓋基板67には、供給手段(図示せず)によって前記供給液室内に溶液を供給するための溶液流入口76が形成されている。
図9、図10にはそれぞれのマルチノズル型の液体噴射ヘッドをA、B、C、Dと符号をつけているが、それぞれ各液体噴射ヘッドA、B、C、Dはノズル部分が各液体噴射ヘッドごとに離間して構成されるとともに各液体噴射ヘッドごとに異なる種類の導電性微粒子含有溶液、ナノ粒子含有溶液、あるいは有機EL材料含有溶液等を噴射することができる。
本発明は、導電性微粒子含有溶液あるいはナノ粒子含有溶液などを噴射付与して、機能デバイスや配線パターンを製作するものであるが、単一の溶液のみを噴射するのみならず、この例のように、複数種類の溶液を噴射することができるので、たとえば、電極パターンを形成する溶液と機能デバイス形成する溶液を組み合わせたデバイス構造体を簡単に形成することができる。
図11は図2に示した本発明のパターン配線基板、あるいは機能デバイスを形成する製造装置を模式的に示した図である。ここでは図2において説明を省略した前述の前処理機能について説明するが、図11は必ずしも全ての構成を示しているわけではない。
図中、符号11は吐出ヘッドユニット(噴射ヘッド)、12はキャリッジ、13は基板保持台、14は機能性素子を形成する基板、15は機能性材料を含有する溶液の供給チューブ、23はレーザ光照射ヘッドユニット、24はレーザ光制御信号ケーブル、25はコントロールユニット、49は補助容器、50は補助容器液面、51は液容器、52は容器保持部材、53は容器保持部材の縁、54はポンプである。なおコントロールユニット25は、噴射ヘッド11の溶液噴射部や液容器51より上方に位置するように配置しているが、これは不慮の事故によって、コントロールユニット25に電気系統に溶液がかからないようにするためである。
本発明では、機能性材料を含有する溶液を基板14に噴射付与する前に、その噴射付与領域に、先にレーザ光照射ヘッドユニット23によってレーザ光照射を行い、溶液の付着特性を向上させるために前処理を行うようにする。例えばエキシマレーザやYAGレーザ、半導体レーザ等を照射し、基板表面の溶液付着力改質を行い、その後、機能性材料を含有する溶液を噴射付与する。
レーザダイオードとしては例えば波長426nm(青色)〜650nm(赤色)〜780nm(赤外)等のものが使用できるが、今回は波長650nm、出力50mWのものを使用した。
本発明ではこのようなレーザ光照射ヘッドユニット23により、基板上のレーザ光を所望のサイズに絞り、レーザ光を照射してなる軌跡にならって溶液を付与する。
なおここでの説明は、基板を固定してキャリッジが移動するようにしているが、前述の図3の構成のように、基板側を移動させてレーザ光を照射、溶液噴射付与を行ってもよい。すなわち、噴射ヘッドとレーザ光照射ヘッドユニットを搭載したキャリッジは、基板(基体)に対して相対的に移動しながら、レーザ光を照射、溶液噴射付与を行う。
機能性材料を含有する溶液としては以下のものを使用した。すなわち、硝酸銀に水溶性の重合体を溶解させ、撹拌しながらジメチルアミノエタノールを添加し、3分で金属イオンを還元し、平均粒径0.5μm(500nm)以下のAg微粒子を析出させた。その後、限外ろ過膜により、塩素イオンや硝酸イオンなどを除去し、濃縮・乾燥することにより濃厚なAg微粒子含有溶液を得た。
丸いパターンは照射したレーザスポットを模式的に示したものであり、このスポットサイズは、ここではΦ10μmとし後述の溶液によって形成される単独ドットの大きさ以下としている。
またこの時、レーザ光スポットのパルス発振周波数は、例えば20kHz以上とし、後述の溶液噴射頻度以上とする。これは、本発明のようにレーザ光照射を行ってこのようなパターン配線を行う際に、レーザ光照射手段の単位時間当たりの発光回数を、噴射ヘッドから噴射される溶液の液滴の単位時間当たりの噴射個数より大とすることにより、レーザ光照射が原因となって生産性低下を引き起こすことのないようにするためである。
使用した噴射ヘッドは、図5、図6に示したようなピエゾ素子を液滴吐出の原動力とするものである。すなわち電気−機械変換素子であるピエゾ素子の機械的変位を液室の振動板の変位とし、その変位作用力で、微細な吐出口から液滴を噴射するものである。
形成される溶液の単独のドットは約Φ15μmの大きさであり、これはレーザスポット径(Φ10μm)より大きな値であるが、レーザスポット照射によって基板上の表面改質が行われ、溶液の付着性が向上しているので、多少の溶液噴射の着弾位置精度が悪くても、表面の改質部がガイドとなって、レーザスポット照射パターンに沿った良好な溶液パターン形成が実現する。
使用した噴射ヘッドならびにレーザ光照射ヘッドユニットは上記配線パターン形成時と同じものを使用し、パルス照射条件や噴射条件も同じである。
使用した溶液は、O−ジクロロベンゼン/ドデシルベンゼンの混合溶液にポリヘキシルオキシフェニレンビニレンを0.1重量パーセント混合した溶液である。
1対のITO電極パターンを形成し、その間に、レーザスポット照射、ならびに上記溶液のドットパターンを形成したところ、高精度なパターンの有機EL素子ができた。その後、ITO電極にアルミニウムよりリード線を引き出し、10Vの電圧を印加したところ、良好に橙色の発光が得られた。
例えば、レーザ光照射ヘッドユニット23から発生する熱が噴射ヘッド11に伝達し、ノズル部を乾燥させて、目詰まりを生じさせることがある。あるいは、補助容器49から噴射ヘッド11に溶液を供給する機能性材料を含有する溶液の供給チューブあるいはその接続部等が不慮の事故により液漏れを起こしたりした場合、レーザ光照射ヘッドユニット23を破損させたりすることもある。さらには、噴射ヘッド11から噴射される溶液がレーザ光照射ヘッドユニット23のレーザ光照射部等を汚染するおそれもある。
またその空隙26の距離LGを本発明では基体14とレーザ光照射部23Eのレーザ光出射面23eとの距離L1より大(LG>L1)としている。単にレーザ光照射ヘッドユニット23が発生させる熱が噴射ヘッド11へ行かないようにするためであれば、空気の断熱能力は高いため、わずかの空隙を形成しておけばいいが、本発明では、他の課題も解決するために、この空隙の距離LGを基体14とレーザ光出射面23eとの距離L1より大きくしている。
よって本発明では噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23の間の空隙26の距離LGをレーザ光照射による揮発によって発生した浮遊物が水平方向に浮遊する距離と同等である基体とレーザ光照射部23Eの距離L1より大としている。
なおより厳密には、後述する図17に示すように、噴射ヘッド11の吐出面11eとレーザ光照射部23Eのレーザ光出射面23eの中心間距離L4を基体14とレーザ光照射部23Eの距離L1より大きくすれば、上記レーザ光照射による揮発によって発生した浮遊物による不具合を解決できるが、これ以外にも前述の熱の課題もあるので、図16に示したような空隙26を基体14とレーザ光出射面23eとの距離L1より大きくすればより安全である。すなわち本発明においては、噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23のそれぞれのユニットの外壁間距離LGである空隙26を基体14とレーザ光出射面23eとの距離L1より大とすることにより、噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23が互いに及ぼす悪影響を回避できる。
次に本発明のさらに他の特徴について説明する。図17は、噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23の間を離間させるために離間部材27を設けた例である。またその離間部材27による噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23との離間幅LG1も上記説明と同様に、基体14とレーザ光出射面23eとの距離L1より大きくしたものである。なお、この離間部材27は、キャリッジ12を構成する部材と別物として設けてもよいし、また、キャリッジ12を構成する部材と一体的に形成してもよい。材料も成型加工などが簡単にできるポリカーボネート、アクリル樹脂等でよい。要するに、噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23の間を離間させればよい。
なおより効果的な構成とするには、この離間部材27は、噴射ヘッド11とレーザ光照射ヘッドユニット23のそれぞれとわずかの間隙d1,d2を有するようにし、間に薄いながらも空気層28を形成した構成とすればよい。空気層28の存在により、断熱効果が表れ、より効果的である。またその厚さは0.5mm以上であれば充分である。
本発明では図17に示したように、離間部材27を、噴射ヘッド11の吐出面11eに対して垂直方向に基板14側にL2の長さだけ突き出した構造、あるいはレーザ光照射ヘッドユニット23のレーザ光出射面23eに対して垂直方向に基板14側にL3の長さだけ突き出した構造とした。これらL2あるいはL3の長さは、最大でも3mm程度である。より現実的には2mmとされるが、前述の浮遊物等を遮断する物理的な障壁としての機能は絶大なものがある。
またこのレーザ光照射ヘッドユニット23は、狙いの基体上にフォーカスを合わせるために精密かつ精巧なアクチュエータ機構を備えるものであるため、例えば不慮の事故による衝突等の物理的な衝撃などからも守る必要がある。
図19はこのようなキャップ29を実際の使用する場合の1実施例である。例えば図19(a)に示したように、キャリッジ12に設けた回転軸30を機軸にして、キャリッジ12を90度右に回転させ(図19(b))、レーザ光出射面近傍をキャップ29により被覆する。このキャップ29は図示しないキャップ移動機構によって運ばれてきてもよいし、単に人がキャップをしてもよい。
また実施例で説明した噴射ヘッドは全てピエゾ素子を利用した噴射ヘッドであるが、サーマル方式(バブル方式)の噴射ヘッド、あるいは他の方式であってもいいのはいうまでもない。
また単にディスプレイ装置に適用するのみならず、機能性素子として有機トランジスタなども本発明の手法を利用して好適に製作される。さらに、噴射溶液としてレジスト材料などを用いることによって、レジストパターンやレジスト材料による3次元構造体を形成する場合にも適用され、本発明でいうところの機能性素子とは、このようなレジスト材料のような樹脂材料によって形成される膜パターンあるいは3次元構造体も含むものである。
またこれらの電極パターンは、通常は蒸着等の薄膜形成プロセスおよびフォトリソグラフィー、エッチング等のパターン形成によって形成されるが、これらの電極パターン形成においても本発明を適用して、レーザ光照射ならびに金属微粒子を分散させた溶液の噴射によって形成するのもよい方法である。
11 吐出ヘッドユニット(噴射ヘッド)
11E 吐出口部
11e 吐出面
12 キャリッジ
13 基板保持台
14 基板(基体)
14a 表面
15 機能性材料を含有する溶液の供給チューブ
16 信号供給ケーブル
17,21 コントロールボックス
18 X方向スキャンモータ
19 Y方向スキャンモータ
20 コンピュータ
22 基板位置決め/保持手段
23 レーザ光照射ヘッドユニット
23E レーザ光照射部
23e レーザ光出射面
24 レーザ光制御信号ケーブル
25 コントロールユニット
26 空隙
27 離間部材
28 空気層
29 キャップ
30 回転軸
31 ヘッドアライメント制御機構
32 検出光学系
33 噴射ヘッド
34 ヘッドアライメント微動機構
36 画像識別機構
37 XY方向走査機構
38 位置検出機構
39 位置補正制御機構
40 噴射ヘッド駆動・制御機構
41 光軸
42 素子電極
43 液滴
44 液滴着弾位置
45 流路
46 ピエゾ素子
49 補助容器
50 補助容器液面
51 液容器
52 容器保持部材
53 容器保持部材の縁
54 ポンプ
56 溶液
57 フィルター
65 ノズル
66 発熱体基板
67 蓋基板
68 シリコン基板
69 個別電極
70 共通電極
71 発熱体
74 溝
75 凹部領域
76 溶液流入口
d1,d2 間隙
Claims (6)
- 基体上に機能性材料を含有する溶液を噴射付与し、該溶液中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基体上に残留させることによって機能性基体を製造する機能性基体製造装置において、
前記基体に対して前記機能性材料を含有する溶液を噴射する噴射ヘッドと、
該噴射ヘッドに溶液付与情報を入力する情報入力手段とを有し、
前記噴射ヘッドは、保持手段に搭載されて前記基体に相対する位置に配されるとともに、前記基体と相対移動を行いながら、前記情報入力手段により入力された前記溶液付与情報に基づいて前記基体の所望の位置に前記溶液を噴射する機能性基体製造装置であって、
前記保持手段に前記基体上にレーザ光を照射するレーザ光照射手段を搭載し、
前記基体表面に、前記レーザ光の軌跡に沿って前記溶液を付与するとともに、
前記レーザ光照射手段と噴射ヘッドとは、両者の間を離間する空隙を設けて、かつ該空隙を前記基体表面とレーザ光照射部のレーザ光出射面との距離より大きくするように前記保持手段に取り付けたことを特徴とする機能性基体製造装置。 - 基体上に機能性材料を含有する溶液を噴射付与し、該溶液中の揮発成分を揮発させ、固形分を前記基体上に残留させることによって機能性基体を製造する機能性基体製造装置において、
前記基体に対して機能性材料を含有した溶液を噴射する噴射ヘッドと、
該噴射ヘッドに溶液付与情報を入力する情報入力手段とを有し、
前記噴射ヘッドは、保持手段に搭載されて前記基体に相対する位置に配されるとともに、前記基体と相対移動を行いながら、前記情報入力手段により入力された前記溶液付与情報に基づいて前記基体の所望の位置に前記溶液を噴射する機能性基体製造装置であって、
前記保持手段に前記基体上にレーザ光を照射するレーザ光照射手段を搭載し、
前記基体表面に、前記レーザ光の軌跡に沿って前記溶液を付与するとともに、
前記レーザ光照射手段と噴射ヘッドとは、両者の間を離間する離間部材を介して設けられるとともに、該離間部材による離間幅を、前記基体表面とレーザ光照射部のレーザ光出射面との距離より大きくするように前記保持手段に取り付けたことを特徴とする機能性基体製造装置。 - 前記離間部材は前記レーザ光照射手段と噴射ヘッドの間に空気層を介して設けられたことを特徴とする請求項2に記載の機能性基体製造装置。
- 前記離間部材は前記レーザ光照射手段のレーザ光出射面及び噴射ヘッドの吐出面より前記基板側に突き出した構造であることを特徴とする請求項2または3に記載の機能性基体製造装置。
- 前記レーザ光照射部は非使用時に被覆手段によってカバーされることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の機能性基体製造装置。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の機能性基体製造装置によって製造されることを特徴とする機能性基体。
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JP2004060331A JP2005246240A (ja) | 2004-03-04 | 2004-03-04 | 機能性基体製造装置及びそれにより製造される機能性基体 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011514853A (ja) * | 2008-02-22 | 2011-05-12 | セラドロ | 印刷ヘッドを取り付けるための装置 |
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2004
- 2004-03-04 JP JP2004060331A patent/JP2005246240A/ja active Pending
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