JP3870191B2 - 多色画像をプロジェクションスクリーンに投影するための装置 - Google Patents

多色画像をプロジェクションスクリーンに投影するための装置 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は、多色光を放射する光源と、同光源の下流に設けられたカラーユニットと、同カラーユニットの下流に設けられた第1及び第2の光モジュレータと、投影光学系とを有し、カラーユニットは光源から放射された光で照射されることが可能であり、第1の色の光を分離して、それを第1の光モジュレータへと指向させると共に、第2の色の光を分離して、それを第2の光モジュレータへと指向させ、光モジュレータは多色画像のそれぞれについて一つのカラーフレームを生成すべくそれらの上を照らす光を変調し、この変調光は共通の発光ビームを生成すべくカラーユニットによって重ね合わせられ、この発光ビームは投影光学系を照らすようになっている、多色画像をプロジェクションスクリーンに投影するための装置に関する。
【0002】
このような装置においては、例えばEP 0 734 183 A2 に記載されているように、投影光学系と、カラーフレームを設定する光モジュレータとの間に設けられたカラーユニットのために、要求される焦点インターセプトが非常に大きくなる。このことは、きわめて多くのレンズを有する非常に複雑な投影光学系を必要とし、投影光学系が高価かつ重量が大きくなる。更に、カラーユニットは通常、2色性コーティングが施されたガラス素子で構成されているので、長いガラスの路が、光モジュレータと、カラーフレームを生成すべく異色光によって通過されなければならない投影光学系との間に存在することになる。この結果、ガラス素子の分散状態のために横方向の無色収差が生じるので、画素の中の異なるカラー要素がプロジェクションスクリーンの中でもはや重なることはなく互いに隣り合うことになる。この横方向の無色収差は投影光学系によって補償されなければならず、このことは更に、複雑な構造の投影光学系を必要とする。
【0003】
横方向の無色収差を避けるために、光学フリント製のレンズと光学クラウン製のレンズを組み合わせて必要な色消しを行う。ここで蛍石がよく使われるが作業が非常に困難となる。このことは投影光学系の製作を非常に複雑にする。更に、蛍石は、時間が経つにつれて投影光学系の結像特性に逆に悪影響を与えるという不利な吸湿特性を有している。
【0004】
そこで本発明の目的は、多色画像をプロジェクションスクリーンに投影するための上述したような装置を、その設計が簡単になるように改善することにある。
多色画像をプロジェクションスクリーンに投影するための上述したような装置を採用する場合、上記の目的は、共通の発光ビームによって照射され、かつ湾曲ミラーを有する光学システムを、カラーユニットと投影光学系との間に接続することによって完成され、この光学システムは前記投影光学系の正面に設けられた中間像レベル内に多色中間像を生成し、同多色中間像は投影光学系によって多色画像としてプロジェクトスクリーンに投影される。
【0005】
投影光学系の正面に設置された中間像レベル内(中間像レベルは投影光学系の正面に直接好適に設置することも可能である)に中間像(好ましくは、実中間像)を生成する光学システムを設けることによって、投影光学系の要求される焦点インターセプトが、本発明の装置においては上述のような装置におけるよりも相当に小さくなる。このことは言うまでもなく投影光学系の光学的要求を実質的に低くするので、投影光学系の設計が著しく簡単になる。特に投影光学系の必要なレンズの数が少なくなり、このことは重量削減をも可能にする。
【0006】
更に、投影光学系は、装置の残りの部分とは全く独立して設けかつ設計することもできる。というのも、その役割が、中間像レベル内に生成されかつ光モジュレータの映像生成領域に生成されない中間像を、プロジェクションスクリーンに結像させることだからである。
【0007】
また、本発明の装置においては、前記投影光学系は別の投影光学系と容易に置き換えることができるので、本発明の装置は、広角投影、または、投影光学系の光軸が、プロジェクションスクリーンとなす90度と等しくない角度を含む投影などの種々の基本条件に容易に適応可能である。
【0008】
光線の経路の屈折以外に湾曲ミラーは結像過程にも寄与するので、光学システムの光学素子の数を更に減らすことが可能である。
(非常にコンパクトな装置の実現を有利に可能にする)反射光モジュレータであるのが好適な光モジュレータは、互いに独立して選択可能な画素の大部分を有する画像生成領域(例えば、長方形)を有し、そこから入力光が反射され、(その反射角または偏光方向などについて)変調され、第1の変調状態にある反射光が明画素のための用いられ、かつ第2の変調状態にある反射光が暗画素のために用いられるので、これによって映像(またはカラーフレーム)が光モジュレータ上またはその画像生成領域上に生成される。光モジュレータは、もちろん、光が明画素によってのみ反射され、暗画素からは、入射光がそこで吸収されるために、何の光も発散されないように設計することができる。
【0009】
本発明の装置の好適な実施態様においては、光学システムは1:1結合光学系である。このことは好適には、中間像がカラーフレームと同一寸法を有することを意味し、即ち投影光学系のレンズの直径を小さくできることを意味する。また、この光学システムの結像特性は最善のものである。
【0010】
特に、この光学システムは、中間像レベルにおけるカラーフレームが縮小されて結像されるように構成することができる。その結果、有利に、投影光学系の口径、従ってその光学素子をも、もっと小さく設計することができ、このことは投影光学系を更に費用効率よく簡単に製作できることを意味する。また、重量削減を達成できるので本発明の装置全体が軽くなる。
【0011】
本発明の装置の光学システムは好適にはミラーに関して対称的に構成される。この結果、光学システム内の必要な光学素子は2度通過されるため、その数を減らすことができる。他方、光学システムが対称的な1:1結像光学系であるならば、その光学システムによって生じる画像ゆがみは非常に小さく、最善の場合には実質的にゼロとなるため、基本的には存在しない。
【0012】
本発明の装置の好適な実施態様は、光学システムのミラーが球面の湾曲を有するようになっている。この場合、ミラーは製作が簡単であり、このことによって、多色画像の投影のための費用効率のよい光学システム、従って費用効率のよい装置が可能となる。
【0013】
更に、本発明の装置の光学システムは反射屈折光学系(少なくとも一つの結像ミラーと少なくとも一つの結像レンズを有する光学系)とすることができる。そのような光学系は、光学要素を少ししか持たずに小さな寸法で特別良好な結像特性を可能にするので、有利な重量削減を達成することも可能である。
【0014】
本発明の装置の好適なもう一つの実施態様においては、光学システムのミラーは、その光学システムと反対方向を指向した透明光学要素の湾曲境界面上の反射コーティングからなることが可能である。その利点は、調節すべき光学システムの要素の数が減るために速く製作できることである。また、反射コーティングが境界面上に施されており、従って、簡単に汚染される開放され銀コートされた境界面を備えていない。これによって確実に光学システムの反射特性と結像特性が一定に保たれる。
【0015】
本発明の装置の特に好適なもう一つの実施態様は、第3の光モジュレータをカラーユニットの下流に設けることであり、このカラーユニットは、光源によって放射された光から第3のカラーを分離し、それを第3のモジュレータへと指向させるので、第3のカラーフレームをその上に設定することができる。3つの光モジュレータを3つの異なるカラーフレームのために設けるので、重ね合わされたカラーフレームからなる鮮やかなカラー画像を問題なく生成することができる。
【0016】
原色の赤、緑、青のカラーフレームが光モジュレータによって好適に生成され、そのカラーフレームから高度な色の輝きを有した好適な多色画像を生成することができる。
【0017】
本発明の装置の一実施態様においては、光モジュレータは、好適には直線的に偏光されたそれらの上を照射する光の偏光状態、特に偏光方向を変調するようになっており、この光モジュレータは反射または伝達LCDモジュレータによって好適に実現される。
【0018】
このことは光モジュレータによる偏光変調されたカラーフレームの生成を可能にする。そのような場合には、中間像レベルの正面に配置されたアナライザが設けられ、このアナライザは光モジュレータからの変調された光によって照射されることができるので、所定の偏光状態を有した光だけを中間像レベルへ通過させる。これにより、光モジュレータによって明るくされた画素からの光だけが、好ましく中間像レベルへ通過させられた後、投影光学系によってプロジェクションスクリーンに投影される。
【0019】
アナライザは好適には中間像レベルと光学システムの間に設置され、そのことによって、反射光モジュレータを照射する、光源によって放射された光の照射光線の通過と、光学システムへ重ねあわされるべく、中間像レベル内へ結像される、反射光モジュレータによって反射された光の投影光線の通過とを可能にする。このことは本発明の装置の非常にコンパクトな構造を可能にする。
【0020】
特に、光モジュレータは行と列に設けられた数多くの傾斜ミラーを有する傾斜ミラーマトリックスであることも可能であり、これらのミラーは第1と第2の傾斜位置に互いに独立に傾けることを可能とさせる。この場合、本発明の装置は、第1の傾斜位置のミラーによって反射される光が中間像レベルに到達し、第2の傾斜位置のミラーによって反射される光が中間像レベルに到達しないように設けられる。前記傾斜ミラーは本発明の装置の実現を有利に可能にし、前記傾斜ミラーマトリックスを照射する光は特別に偏光される必要はないので、光の偏光によって被る損失を避けることができる。
【0021】
本発明の装置はまた、光学システムが平凸レンズと銀コートしたメニスカスレンズとからなるように更に有利に発展させることもでき、前記平凸レンズから反対方向を指向したメニスカスレンズの境界面が銀コートされる。レンズの直径は各レンズが1回の反射で2回通過されるのに十分な大きさに選択される。この場合、光学システムは二つだけの光学素子を有し、このことは製作コストと必要な調節が最小限であることを意味する。従って、全体として非常に費用効率よく製造できる本発明の装置が提供される。
【0022】
一つの平凸レンズをより小さい直径の二つの平凸レンズで置き換えることももちろん可能であり、この二つの平凸レンズは各画像に対して一度だけ通過される。このような場合、光学システムは三つの素子を有するが、二つの平凸レンズの製作は、それらの直径が明らかに小さいので、大きい直径の平凸レンズの製作よりも簡単である。
【0023】
本発明の装置のもう一つの有利な実施態様においては、光学システムは凹面ミラーのみならず凸面ミラーも有する。従って、光学システムは反射ミラーだけで実現することができるので、複雑な方法でしかも高価な材料から製造されるレンズを必要としない。このこともまた、本発明の装置の更に費用効率のよい実現を可能にする。
【0024】
更に、本発明の装置の光学システムは、光モジュレータ上に光源からの光をもって生成された照射領域を結像するのみならず、中間像レベルにカラーフレームを結像する。この場合、光学システムは、照射領域と光モジュレータの間に設けられかつ光モジュレータを照射するようになっている別の離れた照射光学系の機能を完全に果たすので、照射光学系を本発明の装置に含める必要はない。このことは本発明の装置のコンパクトな実現を可能にする。
【0025】
本発明の装置はまた、光モジュレータによって希望するカラーフレームを生成するために所定の画像データに基づいて光モジュレータを作動させる制御ユニットを有するように更に発展させることができる。
【0026】
以下、例としての下記図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1から分かるように、プロジェクションスクリーンに多色画像を投影する目的の第1の実施携帯で本発明による装置は、(ハロゲンまたはアーク灯などの)光源1を有し、その白色光が絞り2によって受容され、照明領域3が絞り2のアパーチャ内に生成され、その形状が、アパーチャの形状によってあらかじめ決められる。ここに示される例において、照明領域3は、矩形形状を含む。照明領域3の光は、偏光ビームスプリッタコーティング5を含有する偏光ビームスプリッタキューブ4の上を照らす。
【0027】
偏光ビームスプリッタキューブ4の偏光ビームスプリッタコーティング5は、その偏光された方向が投影面に対して垂直(図1で、偏光された左側)である線形偏光光であるように、第1の方向に線形に偏光される(投影面に垂直に偏光される、s偏光)照明領域3から受容される光を反射する。それと反対に、第2の方向で偏光される光(投影面に平行、p偏光)は、偏光ビームスプリッタコーティング5内を通過し、光線トラップ6の上を照らす。
【0028】
偏光ビームスプリッタコーティング5で偏光される光(s偏光)は、偏光ビームスプリッタ4の下流に設けられた光学システム7によって、カラーユニット8の上で反射される。
【0029】
カラーユニット8は、それぞれ90°の角度で交差し、光学システム7から受容される白色光をその赤色、緑色および青色の成分に分割する第1と第2のカラービームスプリッタコーティング10,11を有するカラービームスプリッタキューブ9からなり、前記色成分は異なるカラーチャンネル内へと指向される。加えて、カラーユニット8は、3個の反射光モジュレータ(LCDモジュレータ)12,13,14を含み、そのそれぞれがカラーチャンネルの内の1つの中に配され、各色の光で照明されることが可能である。光モジュレータ12,13,14は、あらかじめ決められた画像データに基づいてトリガユニット15によって制御され、光モジュレータ12〜14によって反射された光が、変調される画像のカラーフレームに応じて変調される。かくして、偏光変調された光が、光モジュレータ12〜14によって放射され、各カラーフレームが光モジュレータ12〜14の上にそれぞれ生成される。
【0030】
光モジュレータ12,13,14によって変調された光と、したがってカラーフレームは、光モジュレータ12,13,14によってカラービームスプリッタキューブ9に反射し返され、カラービームスプリッタキューブ9により重ね合わされ、次に、光学システム7によって、(以下に詳述されるように)偏光ビームスプリッタキューブ4の下流に設けられた中間像レベルZE内に映され、次に、中間像レベルZEの下流に設けられた投影光学系16によってプロジェクションスクリーン17に投影される。絞り18は中間像レベルZE内に配され、中間像はそのアパーチャ内に位置され、それは、中間像のための外側境界を含む。
【0031】
光学システム7は、照明領域7が光モジュレータ12,13,14及び/またはそれらの画像生成領域と結合されるように設けられる。加えて、光モジュレータ12,13,14の画像生成領域は中間像レベルZEと結合され、光学システム7は対称形の1:1像光学システムである。これは、そのアパーチャと、したがって照明領域3が、光モジュレータ12,13,14の等しく実施される画像生成領域のそれぞれと同一寸法と形状を持つよう、絞り2が選択された理由である。
【0032】
図1に図示される実施例において、光学システム7は、その平面側が偏光ビームスプリッタキューブ4とカラービームスプリッタキューブ9に対して指向される平凸レンズ19と、その側面106が平凸レンズ19とは反対方向に指向され、光学システム7内の光線路が折り返される銀コートされたコーティング22を含むメニスカスレンズ20を含む。
【0033】
光学システムの装置は、図1に関連して以下の表1に示される。
【表1】
Figure 0003870191
【0034】
屈折率と波長に対するアッベ係数はここでは587.6mmで与えられ、偏光ビームスプリッタキューブは長手方向の長さが65.00mmであり、中間像レベルZEは、投影光学系16に向かって指向される面から2.00mm離れている。光モジュレータ12,14のカラービームスプリッタキューブ9の各面までの距離も2.00mmである。
【0035】
図1に図示される光学システム7は、一方でLCDモジュレータ12〜14上に照明領域3の1:1像を生成し、他方でLCDモジュレータ12〜14の1:1像を中間像レベルZEに生成する反射屈折光学系である(結像ミラーとレンズを含む)。平凸レンズ19の直径は、偏光ビームスプリッタキューブ4の長手方向の長さと、カラービームスプリッタキューブ7の長手方向の長さの合計と少なくとも同じだけ大きいものであり、平凸レンズ19は、与えられる像の間で2回通過される。平凸レンズ19は、より小さい直径を有する2個の平凸レンズ(図示せず)によって有利に取り換えられてもよい。
【0036】
赤色、緑色、青色のカラーフレームは、以下のようにLCDモジュレータ12に生成される。照明領域2から発する光(好適には白色光)は、投影面に垂直に線形に偏光される光を光学システム7上に指向させる偏光ビームスプリッタキューブ4の偏光ビームスプリッタコーティング5の上を照らし、光学システム7が次にカラーユニット8上に前記光を指向させる。この光は、第1のカラービームスプリッタコーティング10が青色光を反射し、それをLCDモジュール14上に指向させるべく、カラービームスプリッタキューブ9内で赤色、緑色および青色成分に分割される。残りの色成分はカラービームスプリッタコーティング10を通過する。第2のカラービームスプリッタコーティング11は赤色光を反射し、LCDモジュール12上にそれを指向させ、残りの色成分は通過させ、緑色光はLCDモジュール13に達する。
【0037】
LCDモジュレータ12〜14は同一に構築され、18.5mm×13.9mmまたは26.4mm×19.8mmの矩形画像生成領域からなり、たとえば、トリガユニット15を用いた互いから独立して始動されることが可能な、行と列に設けられる多数の画素を有し、少なくとも2つの異なる状態が各画素に設定され得る。第1の状態において、各画素の上を照らす光はその偏光方向を変えることなく反射され、一方、第2の状態において、反射光の偏光方向は入射光の偏光に対して90°回転される。
【0038】
画素を明るい絵素として駆動するため、第2の状態は、偏光が90°回転され、前記反射光がp偏光を含むように設定される。画素が暗い画像要素として始動されると想定される場合、光を反射できるが、その偏光は変えない第1の状態に必ず設定される。これは、偏光変調カラーフレームをLCDモジュレータ(または画像生成領域)上に設定させる。これらの偏光変調カラーフレームは、光学システム7を用いて、カラービームスプリッタ9を介して中間像レベルZEに結像され、光は、ここでアナライザとして作用し、p偏光の光のみを通過させ、s偏光の光を光源1とは反対方向に反射させる偏光ビームスプリッタキューブ4も通過し、明るい設定の画素の光のみが中間像レベルZEに結像されるようになる。
【0039】
かくして中間像レベルZEに映される中間像は、次に、投影光学系16によってプロジェクションスクリーン17に投影される。
図2は、プロジェクションスクリーンに画像を投影する目的のための、本発明による装置の別の実施例を図示し、本装置は、光学システム7の代わりに光学システム23を有している点で、図1に図示されるものとは異なっている。その他の要素はすべて図1のものと対応しており、同じ図面参照番号を与えられている。これらの要素の説明については、図1のそれぞれの説明を参照すること。
【0040】
光学システム23は、共通の光軸を構成し、その曲率中心が、中間像レベルZEに位置する点Kで接するよう設けられる第1と第2の球面ミラー24,25を含む、第1ミラー24は凹面で、第2ミラー25は凸面である。ミラー24,25は、偏光ビームスプリッタキューブ4から受容される光が第1のミラー24の上を照らし、そこで第2のミラー25に反射され、第2のミラー25が次に前記光を第1ミラー24に反射し返し、そこで、前記光がカラーユニット8に指向されるよう設けられる(かくして、光学システム内での光線の経路はW字型になる)。
【0041】
2個のミラー24,25の曲率半径R1,R2は、第1のミラー24の曲率半径R1が、第2のミラー25の曲率半径R2の2倍の大きさであるよう選択される。かくして、光学システム23は2個のミラー24,25のみを含み、非常にコンパクトな投影装置を実現でき、しかも高い送光強度を有する光線の多数に折りたたまれた経路を有する2個だけのコンポーネントからなる1:1結像システムを提供する。
【0042】
図2に図示される投影装置のさらなる実施例を図3に図示し、ここで2個のミラーは、ガラスブロック28の湾曲し、銀コートされた境界面26、27によって実現される。加えて、図2に図示される実施例とは異なり、偏光ビームスプリッタキューブ4をガラスブロック28に光学的に接続する第1ガラスアダプタ29と、カラービームスプリッタキューブ9をガラスアダプタ28に光学的に接続する第2のガラスアダプタ30とが設けられる。ガラスアダプタ29と30は、ガラスブロック28と、偏光ビームスプリッタキューブ4と、カラービームスプリッタ9とに好適に接着されるが、一緒にねじられてもよい。
【0043】
ガラスブロック28とガラスアダプタ29,30(設けられている場合)を使用する別の利点は、ガラス体内の照射ビーム1のビーム広がり角度が空中でよりも小さく、システム全体がよりコンパクトにできる点にある。
【0044】
ガラスアダプタ29,30がない構成と比較して、ガラスと空気の境界面の数が減少される点で、本実施例は有利である。ガラスと空気の境界面は汚染されやすい。加えて、ミラーは、銀コートされた境界面26,27によって形成され、これらの銀コートされた領域が、空中でいかなる境界面も持たず、したがって汚染され得ないことを意味する。図3に図示される実施例は、ガラスアダプタ29,30なしにも当然実現されることが可能である。
【0045】
図4は、本発明の投影装置のもう一つの実施態様を示す。ここでは、これまで述べられた実施態様とは異なり、光学システム31は、LCDモジュレータ12〜14上に照射領域3’を形成せず、中間像レベルZE内にLCDモジュレータ12〜14の画像生成領域を結像するだけであるので、光学システム31はただ1回だけ通過されるだけである。
【0046】
図4に示す実施態様においては、絞り2は直線的に偏光された光(矢印A)によって照射されるので、照射領域3が、既に偏光されていて、偏光ビームスプリッタコーティング33を有する偏光ビームスプリッタキューブ32を照らす光によって生成され、この光は、偏光ビームスプリッタコーティング33において、図4の上方向に向きを変えられて、カラーユニット34を照らし、このカラーユニット34には、入射光のカラーをその赤、緑、および青の要素に分離するためのプリズム構造35が設けられている。この光はLCDモジュレータ12〜14を照らすと共に偏光変調され、偏光変調されたカラーフレームがLCDモジュレータ12〜14上で設定され、変調された光が反射されてプリズム構造35に戻る。この変調された光はプリズム構造35によって重ね合わされるので、希望するカラー画像のカラー情報を含む共通の偏光変調照射ビームが、偏光ビームスプリッタキューブ32の偏光ビームスプリッタコーティング33を照らし、この偏光ビームスプリッタキューブ33が暗画素を絞り2に向かって反射する一方、明画素の光が偏光ビームスプリッタキューブ33を通過する。
【0047】
リターダ36が偏光ビームスプリッタキューブ32の下流に設けられており、このリターダ36はそれを照らす光の直線偏光を円偏光に変換する(リターダを通過するこの円偏光された光の2回目の通過において、円偏光は直線偏光に変換され、この円偏光の偏光の方向は最初にリターダを照らす光の偏光の直線方向と比べて90度回転している)。そして、光学システム31がリターダ36の下流に設けられている。この光学システム31は図1に示す光学システムと同じである。
【0048】
リターダ36を通過する光は平凸レンズ19を通過し、メニスカスレンズ20を照らし、銀コーティング22上で反射され、これにより、その光は更に、メニスカスレンズ20、平凸レンズ19、およびリターダ36を逆方向に通過する。明画素のLCDモジュレータ12〜14によって反射された光は、リターダ36を2度通過するため、偏光方向が90度回転し、そのため、偏光ビームスプリッタキューブ32の偏光ビームスプリッタコーティング33で(図4の)左方向へ反射され、ガラスキューボイド37に入射する。このガラスキューボイド37は、LCDモジュレータ12〜14と光学システム31の銀コーティング22との間の光路長を銀コーティング22と中間像レベルZEとの間の光路長と同じにするために設けられている。更に、絞り18が、結像された中間像の側面境界を形成する中間像レベルZEの中に設けられている。投影光学系16が中間像レベルZEの下流に設けられており、この投影光学系16は中間像をプロジェクションスクリーン17に投影する。
【0049】
プリズム構造35における色の分離と統合は以下のように起こる。偏光された光が第1プリズム38に入射し、青色要素が偏光ビームスプリッタキューブの反対方向のプリズム38の側面に施されたコーティング39で反射され、プリズム38の中で、(偏光ビームスプリッタ32に対するプリズム38の境界面での)全反射によってLCDモジュレータ12に向けられる。残りの光はコーティング39を通過して、間隙(図示せず)によって第1プリズム38から隔てられた第2プリズム40に入射し、赤色要素が第1プリズム38の反対方向の第2プリズム40の側面に設けられたコーティング41によって反射される。この赤色の光はプリズム40内の全反射によってLCDモジュレータ14に向けられる。残りの光、すなわち緑の光は、コーティング41を通過し、第3プリズム42に入射し、それを通過したのちLCDモジュレータ13を照らす。これらの光はLCDモジュレータ12〜14において偏光変調され反射されるので、それぞれのカラーフレームがその上に生成される。反射された光はそれぞれの態様でプリズム構造35を通過し、そのことによって組合わされて、偏光ビームスプリッタコーティング33を照らす共通カラービームを形成し、その偏光ビームスプリッタコーティング33によって暗画素が反射される。明画素の光は偏光ビームスプリッタコーティング33を通過し、上述した方法で光学システムによって中間像レベル内に結像される。
【0050】
図5は遠近法による本発明の装置のもう一つの実施態様の組立図を示す。本実施態様において、光学システム7と、偏光ビームスプリッタキューブ43およびカラーユニット44の配置とは図1に示す実施態様と同じであり、プリズム構造45が、図4に示すプリズム構造35に相当するカラービームスプリッタキューブの代わりに設けられている。図1に示す装置とは異なり、偏差プリズム46が偏光ビームスプリッタキューブ43と中間像レベルZEとの間に設けられており、この偏差プリズム46は光線の通路を90度曲げ、また、偏差が発生するプリズム46の側面47は銀コートすることができる。しかしながら、全内部反射(全反射)を利用するのが好ましく、その場合には、境界表面47は銀コートされない。最後に、ガラスブロック48が絞り2と偏光ビームスプリッタキューブ43との間に設けられており、このガラスブロック48の寸法は、照射領域3からLCDモジュレータ12〜14に到達するガラス路が、LCDモジュレータ12〜14から中間像レベルZEに到達するガラス路と等しくなるように選択される。図5に示す装置においては、光学システム7は、LCDモジュレータ12〜14の画像生成領域上の照射領域のみならず、中間像レベルZE内のLCDモジュレータ12〜14の画像生成領域も備えている。従ってその有効性は図1に示す実施態様のそれと同じであり、図5に示す実施態様は偏差プリズム46による偏差の故に非常にコンパクトな装置とすることができる。そのような偏差を達成することができる他の如何なる光学素子も当然、偏差プリズム46の代わりに用いることができる。
【0051】
図6は投影光学系16の可能な実施態様を示し、これは上述の実施態様のいずれとも一緒に使用することができる。それぞれのレンズのデータは以下の表から得ることができ、ここでの屈折率とアッベ係数は波長587.6mmに対するものである。
【0052】
【表2】
Figure 0003870191

【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の装置の第1実施態様の概略を示す断面図。
【図2】 光学システムが凹面ミラーと凸面ミラーを備えている、本発明の装置の第2実施態様の概略を示す断面図。
【図3】 本発明の装置の別の実施態様の概略を示す断面図。
【図4】 本発明の装置の別の実施態様の概略を示す断面図。
【図5】 本発明の装置の別の実施態様の組立図。
【図6】 本発明の装置の投影光学系の断面図。

Claims (16)

  1. 多色光を放射するための光源(1)と、カラーユニット(9,35)と、同カラーユニット(9,35)の下流に設けられた第1及び第2の光モジュレータ(12,13,14)と、投影光学系(16)とを有し、前記カラーユニット(9,35)は前記光源(1)からの光で照射されることが可能であるとともに、この光から第1の色の光を分離し及び第1の光モジュレータ(12)へと指向させ及び、第2の色の光を分離し及び第2の光モジュレータ(13)へと指向させ、前記光モジュレータ(12,13,14)は多色画像のそれぞれについて1つのカラーフレームを生成すべくそれらの上を照らす光を変調し、前記変調光は共通の発光ビームを生成すべく前記カラーユニットによって重ね合わせられ、同共通発光ビームによって前記投影光学系(16)が照射される、多色画像をプロジェクションスクリーンに投影するための装置において、前記共通発光ビームによって照射され、かつ湾曲ミラー(21,24,26)を有した光学システム(7,23,28,31)が前記カラーユニット(9,35)と前記投影光学系(16)との間に設けられ、同光学システム(7,23,28,31)は前記投影光学系(16)の正面に設けられた中間像レベル(ZE)に多色中間像を生成し、同多色中間像は前記投影光学系(16)によって前記多色画像として前記プロジェクションスクリーン(17)に投影されることを特徴とする、多色画像をプロジェクションスクリーンに投影するための装置。
  2. 前記光学システム(8,23,28,31)は1:1結像光学系であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  3. 前記光学システムは縮小光学系として設けられることを特徴とする請求項1に記載の装置。
  4. 前記光学システム(7,23,28,31)は前記ミラー(21,24,26)に対して対称的に設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
  5. 前記光学システム(7,23,28,31)の前記ミラー(21,24,26)は球面の湾曲を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
  6. 前記光学システム(7,30)は反射屈折光学系であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
  7. 前記光学システムの前記ミラー(21,26)は前記カラーユニット(9,35)と反対方向を指向した透明光学要素(28)の湾曲境界面上の反射コーティングであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
  8. 前記装置は前記カラーユニット(9,35)の下流に設けられた第3の光モジュレータ(14)をさらに有し、前記多色画像の第3のカラーフレームを生成すべく前記カラーユニット(9,35)はそれが照射されている光から第3の色の光を分離し、かつそれを第3の光モジュレータ(14)へと指向させ、同第3の光モジュレータ(14)はその上を照らす光を変調し、前記3つの光モジュレータ(12,13,14)の変調光は共通の発光ビームを生成すべく前記カラーユニット(9,35)によって重ね合わされることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
  9. 前記第1の光モジュレータ(12)には赤色カラーフレームを生成可能であり、前記第2の光モジュレータ(13)には緑色カラーフレームを生成可能であり、前記第3の光モジュレータ(14)には青色カラーフレームを生成可能であることを特徴とする請求項8に記載の装置。
  10. 前記光モジュレータ(12,13,14)はそれらの上を照射する光の偏光状態を変調させ、前記装置には前記中間像レベル(ZE)の正面に配置された前記アナライザ(4,32)が設けられ、同アナライザは前記中間像レベル(ZE)に受容されるべき所定の偏光状態をもって変調された光のみを生じることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
  11. 前記アナライザ(4,32)は前記中間像レベル(ZE)と前記光学システムとの間に設けられる請求項10に記載の装置。
  12. 前記光学システムは平凸レンズ(18)と銀コートしたメニスカスレンズ(19)とからなることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
  13. 前記光学システムは凹面ミラーと凸面ミラーとを有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
  14. 前記凹面ミラー及び凸面ミラーはガラス体の銀コートされた外面によって実現されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
  15. 前記光モジュレータ(12,13,14)は反射光モジュレータであることを請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
  16. 前記光学システム(7,23,31)は前記光モジュレータ(12,13,14)上に前記光源(1)からの光をもって生成された照明領域(2)を結像することを特徴とする請求項15に記載の装置。
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