JP3869740B2 - 自動変速機用オイルポンプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動変速機のクラッチやブレーキへの高圧作動油及び歯車機構等の潤滑油の供給源であるオイルポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動変速機のオイルポンプは、トルクコンバータのポンプインペラに結合されかつブッシュを介してポンプボデーに回転自在に支承されたポンプドライブハブにより駆動されるドライブギヤと、ドライブギヤの軸心とは偏心して配されかつドライブギヤと噛み合うドリブンギヤとを有す。
これらギヤは、変速機のケースに固定されたポンプボデーと、ポンプボデーに固定されたポンプカバーの側面に配されるとともに、同じくポンプボデーに固定されたポンププレートとにより画定される空間(ポンプ室)内をポンプドライブハブにより回転させられ、吸入口からの低圧(例えば−0.1MPa)オイルを高圧(例えば1.8MPa)オイルとして吐出口より各所へ供給している。
【0003】
ポンプボデーとポンププレート並びにポンププレートと、ポンプカバーとの合わせ面には吐出口に通じる油路が多数形成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ポンプカバーとギヤとの間に配されるポンププレートは、スチール板のプレス成形により製作され、必要形状の油路をその側面に設けるが、該油路を作るためのスチール板のプレス成形はポンププレートに歪みや内部応力を与える。さらに、ポンプ組付時、ポンププレートはポンプボデーに複数本のボルトを用いて固定するが、このポンプ組付作業時、ポンププレートに締付応力による歪みを与える。
【0005】
このようなポンププレートの歪みや内部応力は、ポンププレートの平面度を低下させる。充分な平面度を確保していないポンププレートの使用はオイルポンプのドライブ及びドリブンギヤの側面とポンププレートとの接触を招き、焼付の原因ともなる。
耐摩耗性向上のため、ポンププレートのギヤ側の面にクロムメッキやイオンプレーティング等の表面処理を行うが平面度の改良に寄与していない。
【0006】
それ故、本発明は、前述した従来技術の不具合を解消させることを解決すべき課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述した課題を解決するために、ポンプボデーと対向するインナロータ(例えばドライブギヤ)の側面にステータシャフト側に開口する段部を形成する手段及びポンプカバーとインナロータ(例えばギヤ)との間にポンププレートを配する手段を用いる。
この段部の設置は、インナロータ(例えばドライブギヤ)の両側面に作用する油圧の受圧面を変え、インナロータ(例えばドライブギヤ)をポンプボデー側に押す働きをする。インナロータ(例えばドライブギヤ)のこの動きは回転するインナロータ(例えばドライブギヤ)とポンププレートとの摺接による焼付を防止する。
本発明によれば、ポンププレートへの表面処理も耐摩耗性の通常の処理で良く、コスト面で有利である。
【0008】
本発明によれば、ポンプ室を有するポンプボデーと、ポンプボデーと対向して配されるポンプカバーと、ポンプボデーとポンプカバーとの合わせ面に配されかつポンプ室の開口を閉じるポンププレートと、ポンプ室に配されかつトルクコンバータからの駆動力により回転させられるインナロータを有するポンプと、ポンプカバーとポンププレートとをポンプボデーに固定する手段と、ポンプカバーに支持されるステータシャフトとを備え、前記ポンプ室において、前記インナロータの前記ポンプボデー側のポンプ室の側面と対向する面に、作動油または潤滑油の圧力分布に差を生じさせる段部を形成している自動変速機用オイルポンプが提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1を参照する。自動変速機用オイルポンプ1は、ポンプボデー2の側面に形成されたポンプ室5内に収容されるインナロータとしてのドライブギヤ3と、ドライブギヤ3の軸心とは偏心して配されかつドライブギヤ3と噛み合うアウタロータとしてのドリブンギヤ4を有す。
ポンプ室5はポンププレート8により画定されるが、このポンププレート8はポンプカバー7の側面に配される。ポンプカバー7の内周には、ステータシャフト6が圧入固定されている。ポンプカバー7は、ボルト9を用いてポンププレート8とともに、ポンプボデー2に固定される。
【0010】
ポンププレート8とポンプボデー2との合わせ面及びポンププレート8とポンプカバー7との合わせ面には常法により複数の油路(図示なし)が形成される。知られる如く、これら油路はクラッチやブレーキ、各種バルブに接続される。尚、10はポンプカバー7に支持された調圧バルブを示す。
ステータシャフト6内には、図示しないトルクコンバータからの出力軸11が回転自在に配される。
【0011】
ポンプ室5内のインナロータとしてのドライブギヤ3は、図示しないトルクコンバータのポンプインペラに接続されたポンプドライブハブ12に結合される。ポンプドライブハブ12の円筒部13は、ポンプボデー2のボス部とステータシャフト6との間を延在しかつポンプボデー2の内周に配されるブッシュ26により支承され、その先端の2面幅を、図2に示す如く、ドライブギヤ3の中央内周面の対向突部14に係合させる。かくして、ポンプドライブハブ12の回転は、ドライブギヤ3に直接伝達され、ドライブギヤ3を同回転させる。
ドライブギヤ3の回転は、これと噛み合いかつ歯数の異なるドリブンギヤ4を回転させ、両ギヤ間の回転数の差により両ギヤ間の空間に充満するオイルを昇圧させる。
図2に仮想線で示す吸入口15からポンプ室5に入ったオイルは吐出口16から昇圧して外部へ送り出される。吸入口15はポンプボデー2とポンプカバー7とにより画定される油路17に通じ、この油路17はオイルパン(図示なし)に接続される。
図示例ではオイルポンプとして対のギヤからなるポンプを用いたが、他の形式の公知のポンプを用いても良い。
【0012】
図3に、ポンププレート8に設けた吸入口15と吐出口16を示す。開口部18は油路17に通じる。
図4にポンプボデー2に設けた吸入口15と吐出口16を示す。開口部19はオイルパン(図示なし)に通じる。
ドライブギヤ3とステータシャフト6とで画定される空間21(図1と図5参照)はトルクコンバータへの潤滑油を供給する油路を構成するとともに、オイル回収油路20を介してオイルパンに通じ、オイル室5から該空間21に洩れたオイルはオイルパンに回収される。
【0013】
図5に詳細に示すように、ポンプボデー2側のポンプ室5の側面と対向するインナロータとしてのドライブギヤ3の側面に段部22を形成する。段部22は、好ましくは、環状に設けられる。段部22は、ステータシャフト6側即ち内周側に開口しており、ドライブギヤ3の側面(歯の部分を除く)の径方向の略半分程の高さとする。
【0014】
吐出口16の内周側縁23と空間21との間のポンププレート8とドライブギヤ3の側面との間並びにドライブギヤ3とポンプボデー2側のポンプ室5の側面との間に油膜(例えば2〜5μm)を作るが、段部22の設置により両油膜の油圧分布24,25に差を作る(図5参照)。
ポンププレート8とドライブギヤ3との間の油圧分布24は、ドライブギヤ3とポンプ室5の側面との間の油圧分布25より径方向内方へ向けて長く延び、受圧面が大となっている。この油圧分布の違いは、段部22の存在により生じるが、ドライブギヤ3をポンプ室5の側面方向に押す力を作る。これにより、ポンププレート8とドライブギヤ3との摺接力を弱め、油膜切れにより両者の焼付を防止できる。吐出口16より送り出される油圧は一般には1.8MPaであるのに対し、空間21の油圧は0.5MPaであり、一方に段部22を設けることで、その圧力分布に差が作られる(図5参照)。
尚、吸入口15側では圧力が低いので図5に示した如き圧力分布は生じない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動変速機用オイルポンプの一例の断面図である。
【図2】ドライブギヤとドリブンギヤとの噛み合いを示す平面図である。
【図3】ポンププレートに設けた吸入口と吐出口とを示す平面図である。
【図4】ポンプボデーに設けた吸入口と吐出口とを示す平面図である。
【図5】ドライブギヤに設けた段部を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1 オイルポンプ
2 ポンプボデー
3 ドライブギヤ
4 ドリブンギヤ
5 ポンプ室
6 ステータシャフト
7 ポンプカバー
8 ポンププレート
12 ポンプドライブハブ
15 オイル吸入口
16 オイル吐出口
20 オイル回収油路
21 空間
22 段部
24,25 油圧分布
ブッシュ 26

Claims (5)

  1. ポンプ室を有するポンプボデーと、ポンプボデーと対向して配されるポンプカバーと、ポンプボデーとポンプカバーとの合わせ面に配されかつポンプ室の開口を閉じるポンププレートと、ポンプ室に配されかつトルクコンバータからの駆動力により回転させられるインナロータを有するポンプと、ポンプカバーとポンププレートとをポンプボデーに固定する手段と、ポンプカバーに支持されるステータシャフトとを備え、前記ポンプ室において、前記インナロータの前記ポンプボデー側のポンプ室の側面と対向する面に、作動油または潤滑油の圧力分布に差を生じさせる段部を形成している自動変速機用オイルポンプ。
  2. ポンプがドライブギヤとドリブンギヤとからなるギヤポンプであり、インナロータがドライブギヤである請求項1に記載の自動変速機用オイルポンプ。
  3. 段部が環状であり、ステータシャフト側に開放されている請求項1又は2に記載の自動変速機用オイルポンプ。
  4. 段部により、ポンププレートとドライブギヤとの間の油圧分布(24)をドライブギヤと前記ポンプボデー側のポンプ室側面との間の油圧分布(25)より大とさせ、ドライブギヤをポンプ室側面方向に押す力を作る請求項3に記載の自動変速機用オイルポンプ。
  5. 油圧分布が吐出口とドライブギヤの内周側との間の油膜により作られる請求項4に記載の自動変速機用オイルポンプ。
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