JP3869728B2 - ライン誘導型競走ゲーム装置における自走体の方向検出方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、上段走行面を走行する模型体を、下段走行面を走行する自走体で磁石を介して牽引して、模型体によるレースを環状トラックで展開するものであって、自走体を誘導線によって誘導し、中央制御装置からの指令によって、誘導線を乗り換えながら自走体が走行する競走ゲーム装置において、中央制御装置からの走行指令に応じて誘導線を追跡走行し、あるいは誘導線を逐次乗り換えるについて、自走体の相互干渉、スリップなどの外乱による走行の不安定さを可及的に低減して、この走行の不安定化によるレースの乱れを回避することができるものである。
【0002】
【従来の技術】
上段の模型体走行面上で模型体を走行させ、下段を走行する自走体で上記模型体を磁石を介して牽引する競走ゲーム装置として、個々の自走体を下段の走行面に敷設したレールで誘導するタイプのものがあり、また、2次元座標上の自走体の位置を逐次検出し、2次元座標上の目標位置と位置検出手段で検出した位置とによってフィードバック制御しながら目標位置を順次追跡走行させるようにして、自走体を無軌道走行させるものもある(特許第2645851号公報)。
また、走行面に密に敷設した誘導レーンを、自走体が備えているレーン検出手段で検出しながら、自走体の走行制御装置で自己完結的にフィードバック制御して、誘導レーンを追跡走行させるものもある(特開平10−232712号公報)。
2次元座標上の目標位置と、逐次検出した位置(2次元座標位置)とでフィードバック制御して、目標位置を順次経由しながら所定の走行経路を走行させる上記従来技術は、2次元座標上の位置を細かく表示する位置表示装置が必要であるとともに、これに対応する自走体の位置を検出する位置検出装置が必要である。また、2次元座標上の目標位置を逐次経由して走行させるために、自走体の向きを検出して、自走体の向きと次の目標位置との関係で、走行速度を勘案しながら操向角度を演算して操向制御することが必要であるので、走行制御のための情報処理が単純でなく、その制御は複雑なものとなる。また2次元座標上の目標位置を順次経由するように、プログラム上、微小間隔で目標位置を定め、これをフィードバック制御するものであるから、走行の円滑性、安定性に問題がある。さらに、ゲーム機本体に設けた中央制御装置は複雑な情報処理を行いながら自走体の走行を位置情報に基づいてフィードバック制御するものであるから制御システムが複雑であり、それだけコスト高になることが避けられない。
【0003】
他方、誘導レーンを追跡走行させるものは、基本的には走行経路を誘導ライン(又は誘導線)で誘導するからその走行の円滑性、安定性において優れている。しかし、走行経路の単純さ、競走の不自然さがあることは否めず、これを解消するために誘導レーンの乗り換えを適宜行わせることが必要である。
また、誘導レーンを追跡走行する自走体の走行制御は、基本的には速度制御と乗り換え制御であるからその走行制御及びその制御システムは単純である。しかし、レースの進行状況からして乗り換えのタイミングがずれると、レースのリアルさが著しく損なわれることになる。したがって、レースの進行状況からして違和感のないように適切なタイミングでの乗り換え制御、速度制御などの走行制御を行って、レースのリアルさを如何に実現するかが残された問題である。
【0004】
特開平10−232712号公報に記載されたものは、レースのスタート段階で、乗り換え位置と乗り換え方向、及び途中の走行速度を、自走体の制御メモリに一括して記憶させ、個々の自走体はこの一括記憶された走行制御指令どおりに、所定の速度で、所定のとおりに誘導レーンを順次乗り換えながらゴールまで走行することになる。しかし、実際には、スタート時に一括記憶させた走行制御指令速度で自走体が走行しない(スリップなどのため)ことが多々あるので、レースが予定どおりに実行されない場合が少なくない。このためにレースの進行状況からすれば乗り換えのタイミングがずれ、不自然な状態で乗り換えが行われ、その結果、レース進行が極めて不自然なものになりかねない。これは、実際のレース状況とは関わり無く、レーススタート時点で一括して入力された走行制御指令によってゴールまで走行制御されるために生じる問題である。
【0005】
ところで、多数の自走体をまとまりのとれた一群のものとして一括して走行制御するには、全ての自走体の散らばりが、ある範囲内にあることが必要である。特定の自走体が予定速度よりも速く走行することはないが、予定よりも大きく遅れることが多々あり、そのためにレースが壊される場合が少なくない。
自走体のメモリに予め一括して記憶させた制御データと、検出した自走体の走行速度を基準にして速度制御するもの、あるいは、予め用意した制御データを中央制御装置から機械的に順次自走体に送信し、検出した走行速度データに基づいて速度制御するものにおいては、少数の自走体の走行遅延によって生じるレースの乱れを修正することはできない。予め用意した制御データを中央制御装置から機械的に順次送信するものについては、自走体からの速度検知データをフィードバックして補正をかけることもできないではないが、走行制御のための中央制御装置と自走体の走行制御装置との間の情報交換の単純さが失われ、ライン誘導型の走行制御装置の利点が失われることになる。
【0006】
【この発明の先行技術】
以上の公知技術の存在を前提として、自走体が誘導レーンを追跡しながら、模型体を磁力を介して牽引する競走ゲーム装置について、自走体の走行制御手段による自走体の走行制御を可及的に単純にするとともに、レース状況に応じた乗り換え制御、速度制御などの走行制御データを適宜送信できるように、レース実行システムを工夫したものがある(特願2001−221752号。以下これを「先行技術」という)。
上記の先行技術は、上段走行面を模型体が走行し、下段走行面を自走体が走行し、磁力を介して自走体で模型体を牽引して走行させる、いわば二階建構造の競走ゲーム装置であって、自走体が下段走行面に付設した多数の誘導線を乗り換えながら、指定された誘導線を追跡走行する競走ゲーム装置を基本とするものである。
そして、レース進行管理部(MPU1)のレース作成部で模擬レース(コンピュータ上の模擬レース)を実行し、上記模擬レースに基づいて模型体の走行制御データを作成し、この走行制御データを中継制御装置(MPU2)を介して自走体の走行制御手段(MPU3)に送信し、走行制御手段(MPU3)の自己完結的なフィードバック制御によって指定された誘導線を追跡走行し、乗り換えを行うものである。なお、上記の走行制御データは、目標レーン、目標進度、走行速度などの極めて単純なものである。
自走体は走行している誘導線番号、走行進度を認識し、これらのデータと中央制御装置からの走行制御データとに基づいて、誘導線を逐次乗り換えながら、指令された速度でゴールまで走行する。
【0007】
次いで、上記「先行技術」を図1乃至図7を参照して具体的に説明する。
下段走行面に多数の環状の誘導線1が密に付設されており、また、誘導線1に対して直角方向の進度計測線2が所定間隔で多数設けられている。この実施の形態においては進度計測線2は磁気ラインである。
【0008】
この進度線を赤、青、緑の3本の有色線を組み合わせて用い、進度センサを、赤、青、緑に対して感度の高い3つの受光素子を組み合わせたものとすることもできる。しかし、この場合は、進度線と誘導線との検知が混線しないように、誘導線について別途工夫する必要がある。
また図1に示すように、競走トラックTの一周に、誘導線1に直角方向の位置表示線3が計6個配置されている。この位置表示線3は、光信号(赤外線信号)発信器であって、誘導線番号と正確な進度とを、当該位置表示線3を横切る自走体に送信するものである。この位置表示線3は自走体のメモリに記録された誘導線番号、進度を所定間隔で修正して、走行精度を向上させるものであるから、その個数は適宜選択すればよいことであるが、4個以上であれば実用上支障はない。
【0009】
自走体10の下面前方の中央に3つの受光素子10a,10b,10cを互いに近接して設けており、中央受光素子10aが誘導線1の中心に位置し、左右の受光素子10b,10cで誘導線1を左右から挟む位置関係にある。受光素子は反射光を検知するものであり、自走体が誘導線1の中心からずれると、受光素子10aと、左右の受光素子10bまたは10cのいずれかとの2つが誘導線1を検知するようになるので、自走体の走行制御手段(MPU3)によって、受光素子10aだけで誘導線1が検知されるように自走体の走行が制御される。
自走体の下面に磁気センサ11があって、進度計測線2である磁気線を横切る度に一つのパルス信号が発生する。このパルス信号を上記走行制御装置で加算することで、進度計測線(磁気線)2を横切る度に進度(スタート位置からの進度)が一つ加算されて、その時点での進度が検出されることになる。
【0010】
さらに、自走体の下面に赤外線受信器12が設けられており、誘導線1を追跡しながら走行して上記位置表示線3(赤外線発信器)を横切るときに、そのときの誘導線番号と進度を位置表示線3から受信する。そして、自走体の走行制御装置のメモリに記録されている誘導線番号、進度が位置表示線3から受信した真値に書き換えられる。したがって、走行制御装置のメモリに記録された誘導線番号、進度が位置表示線3から受信した真値と一致しないときはこれで修正されるから、走行中の誘導線、進度に狂いを生じることがあっても、レース全体としては中央制御装置の中継制御装置20からの指令どおりに走行して、指令どおりにレースが実行されることになる。
【0011】
ゲーム機本体の中継制御装置(MPU2)20と自走体の走行制御手段(MPU3)30との間の信号のやり取りは図6に示すとおりである。
中継制御装置(MPU2)20からの走行指令(目標誘導線番号、目標進度、走行速度など)がコマンド送信部から自走体の走行制御手段(MPU3)30に送信される。中継制御装置(MPU2)20の送信部は走行指令を送信したことを契機として受信モードに切り替わり、他方、走行制御手段(MPU3)30の受信部は走行指令の受信を契機として送信モードに切り替わる。そして、メモリに記録されている進度が走行指令中の目標進度と一致しないときは、NG信号を中継制御装置(MPU2)20に返信する。自走体の進度が目標進度に到達するまで同じ走行指令が0.2秒間隔(自走体の数が10個の場合)で繰り返し送信され、進度計測値が走行指令中の進度目標に一致すると、走行制御手段(MPU3)30からOK信号が中継制御装置(MPU2)20に返信される。この走行指令は、走行トラックTを走行方向において多数の区分に区画した1区画毎に、模型体の走行に2〜5区画(段階)ほど先行して、レース進行管理部(MPU1)40のレース作成部で作成され、作成された2〜5区画のそれぞれの走行制御データのうちの最先の区画の走行制御データが中継制御装置(MPU2)20のメモリに順次設定されるが、上記区画は時間にして0.6〜1.0秒(通常走行時の走行距離にして90〜150mm)である。この区画が余り長いとレースが単調になり、他方、短すぎると走行制御が細かくなりすぎる。これらの兼ね合いからして、上記の程度が一つの目安である。
【0012】
自走体10の走行は、走行制御手段(MPU3)30によって自己完結的にフィードバック制御されるが、基本的には誘導線1を受光素子で検知しながら、中央制御装置の中継制御装置(MPU2)20からの指令に基づいて、指定された誘導線1を追跡しなから上記目標進度まで走行する。目標進度に達すると走行制御手段(MPU3)30からOK信号が送信されるから、このOK信号を受信したことを契機として、中継制御装置(MPU2)20のメモリに設定されている走行指令が次の区画のコマンドに更新され、このコマンドが送信されることになる。なお、走行指令(コマンド)が更新されるときは、次の走行指令を走行制御手段(MPU3)30が受信するまでの間、直前の走行指令における走行速度で走行を継続するので、走行は滑らかに継続される。
受信した走行指令の目標誘導線番号が、自走体の走行制御手段(MPU3)30のメモリに記録されている誘導線番号と一致しない場合は、当該誘導線番号と目標誘導線番号との差がゼロになるように、必要な誘導線の乗り換えを行い、一致したところでその誘導線を追跡走行するようになる。誘導線を一つ乗り換えるとき、中央の受光素子10aの出力が変化するので、この変化をカウントすることで自走体が誘導線を乗り換えた数を検知することができる。
【0013】
また、自走体は誘導線1に対して所定の乗り換え角度(図7参照)で乗り換え走行するが、この乗り換え方向の角度(図7参照)については、中央制御装置から指定してもよく、また、走行速度との関係で走行制御手段(MPU3)30が適宜選択するようにしてもよい。中央制御装置から指令する場合は、自走体の走行制御手段(MPU3)30のメモリに予め多数の乗り換え角度を用意しておいて、乗り換え角度をコード番号で自走体の走行制御手段に送信し、これを受信した自走体が当該コードに対応する乗り換え角度を上記メモリから選択するようにすればよく、また、この乗り換え角度を、自走体の左右の駆動輪の回転速度差として用意しておいてもよい。
さらに、自走体の走行制御手段(MPU3)が走行速度との関係で自ら選択する方式にしてもよい。この場合は、適宜に区分された走行速度範囲毎に乗り換え角度を用意しておいて、個々の走行速度から適宜の乗り換え角度を選択するようにするのもよい。
【0014】
ゲーム機本体のレース進行管理部(MPU1)40のレース作成部は、個々の模擬レースにおける制御条件(出走馬、出走馬それぞれの特性、着順など)等を基礎データとして、個々の出走馬の脚足などの特性による走行を基本としつつ、追突、干渉を避けるために必要な所定の計算条件に従って演算を繰り返して、馬群の纏まりを保ちつつ整然とした模擬レースをコンピュータ内で進行させる。そして、この模擬レースにおける走行制御データから、ライン誘導型競走ゲーム装置における目標誘導線、目標進度、走行速度等の走行制御データを作成して、これを順次バッファメモリに設定する。なお、模擬レースの演算は、自走体走行面の誘導線と進度目盛り線(進度計測線又は進度線と同じ)とによるxy座標と符合するXY座標の下でなされるから、模擬レースが展開されるXY座標上の位置は、自走体走行面の誘導線番号と進度とによる位置との相関関係から、レーン番号と進度とによる走行面上の位置に変換される。また、模擬レースのための演算はこの例では、上記走行区画にして4区画(レース進行の観点からすれば4段階)だけ模型体のレースよりも先行して行われ、模擬レースの制御データがレース進行管理部(MPU1)40のレース作成部のバッファメモリに蓄積され、一区画(レース進行の一段階)分レースが進行する毎に、メモリに蓄積されている制御データが順次更新される。
また、MPU2からのOK信号の返信に応答して、レース進行管理部(MPU1)40のレース作成部のメモリ内の制御データを順に中継制御装置(MPU2)20に送信して、そのメモリに記録されている指令を更新させる。
【0015】
なお、上記MPU1のレース作成部による模擬レースは、スタート時点において制御条件の一つとして与えられた着順になるようにする。
上記レース作成部は各模型体に与えられた馬脚などの特性(模型体の馬脚、年齢、性別などによる特性)によって模擬レースを行うことを基本とし、中継制御装置(MPU2)20が管理するレース進行タイマー50が、模擬レースの制御タイマーを兼ねている。何等かの障害によって、特定の自走体が目標進度に遅れて到達した場合は、その遅れに合わせるように、レース進行タイマー50の計時速度が遅らされ、これによって、上記MPU1のレース作成部で実行される模擬レースの進行速度が遅らされる。他方、中継制御装置(MPU2)20が目標進度への到達が遅れていない他の自走体に対する走行速度を、レース進行タイマー50の計時速度の遅延に応じた割合で減速処理して、当該自走体の走行速度を遅延させ、これによって模型体のレース進行を遅らせる。
【0016】
上記のように中継制御装置(MPU2)20が管理するレース進行タイマー50がMPU1のレース作成部による模擬レースの制御タイマーを兼ねており、かつ、上記中継制御装置(MPU2)20が模型体のレースを遅延させることによって、模擬レースの進行速度と自走体によるレースの進行速度が同期するようになる。
また、実際のレースの進行状況に合わせて上記レース作成部による模擬レースが進行される。
【0017】
【先行技術の問題点】
ライン誘導型の競走ゲーム装置では、誘導線に沿って走行している限り、相互干渉、スリップなどの外乱があっても、誘導線によって走行基準が明確に規定されているので、フィードバック制御によってその走行は安定的に制御される。
ところで、乗り換え走行制御時の乗り換え走行方向を定めるには、走行方向の角度を予め選定してあってその角度方向に走行するように左右の駆動輪を駆動して目標誘導線に向けて走行させる手法、あるいは、指令された次の目標誘導線と目標進度線の交点を目標点として走行方向を算定し、その角度方向に走行するように左右の駆動輪を駆動して目標誘導線に向けて走行させる手法など、種々の手法を採用することができる。
この先行技術は後者の手法による場合についてのものである。後者の手法による場合は、上記先行技術によれば、誘導線の乗換え変更がない場合は、自走体はそのままの誘導線を単純に追跡走行するが、誘導線の乗換え変更が指令された場合は、指令された目標進度と目標誘導線との交点を目標位置にして、その方向への走行角度を算定し、この算定した走行角度を基にして必要な転向操作を行い、やがて目標誘導線に乗せる(乗り継がせる)ことになる。
走行速度については、走行指令として与える手法、所定の時間に到達すべき進度を走行指令として与え、これを基に自走体の走行制御手段(MPU3)が逐次必要な走行速度を演算して設定する手法等が採られる。この先行技術は後者の手法による場合のものであるが、前者の手法によることもできる。
【0018】
ところが、誘導線追跡走行中、あるいは誘導線の乗り換え走行中のいずれにおいても、車輪のスリップ、自走体相互の干渉などの外乱によって自走体の向きが大きく変えられることがある。自走体は誘導線に対する角度を検出することなしに、誘導線を追跡しながら走行し、あるいは所定の方向に向かって乗り換え走行することを基本としているので、外乱によって誘導線に対する自走体の角度が大きく変えられた場合は、速やかに誘導線に復帰させ、あるいは目標誘導線に向かう所定の方向に復帰させることが必要であり、この復帰が遅いと、その間に自走体の走行経路が大きく乱れ、走行遅延が増大してレース進行が乱れることになる。これを回避するには、誘導線に対する自走体の角度方向を常時検出して、自走体の角度方向の変化を迅速に検出することが必要である。この角度方向の変化を電磁器的な検出システムによって検出することは、システムの重複化の回避、コスト増大の回避の観点から現実的でない。このために誘導線を追跡走行するための光学的追跡システムを活用した光学的な角度方向検出システムを構築することが是非とも望まれるところである。
【0019】
【解決しようとする課題】
そこで、この発明は、ライン誘導型競走ゲーム装置について、誘導線に対する自走体のおおよその角度方向を常時検出することによって、自走体の誘導線に対する角度方向(角度及び方向)の変化を速やかに検出し、自走体の誘導線に対する角度方向の変更に迅速、的確に対応できるように、自走体の走行方向を簡便に検出できる、光学的誘導線追跡システムを活用した自走体の角度方向検出システムを構築することをその課題とするものである。
【0020】
【課題解決のために講じた手段】
(請求項2に対応)
上記課題解決のための手段は、上段走行面を走行する模型体を、下段走行面を走行する自走体で磁石を介して牽引して、模型体によるレースを環状トラックで展開するものであって、自走体を誘導ラインによって誘導し、中央制御装置からの指令によって、誘導ラインを乗り換えながら自走体が走行するライン誘導型競走ゲーム装置における自走体の誘導線に対する角度方向検出システムを次のように構成したことである。
(イ)自走体の下面に誘導線検知用の多数の受光素子を設けたこと、
(ロ)一つの受光素子を中心として他の受光素子を対称に配置し、かつ、中央の受光素子とその左右の受光素子とを横一列に配置したこと、
(ハ)上記受光素子の誘導線検出出力を所定の敷居値を基準として2値化して、2値化した検出データによる全受光素子の出力分布を求めること、
(ニ)上記全受光素子の出力分布の形態を、誘導線に対する自走体の所定角度毎に区分けすること、
(ホ)区分けしたパターン毎に、上記出力分布の形態をパターンテーブルに格納してしていること、
(ホ)検出データによる全受光素子の出力分布を、上記パターンテーブルに格納された出力分布と照合して該当パターンを判別すること、
(ヘ)判別された上記パターンと記憶手段から読み出した直前の角度方向とに基づいて、誘導線に対する自走体の角度方向を判定すること、
(ト)全受光素子の出力分布の検出、及び検出された出力分布が該当するパターンの判別、誘導線に対する自走体の角度方向判別を短時間間隔で繰り返すこと、
(チ)判定された自走体の角度方向を上記順次記憶手段に順次記憶させること。
【0021】
【作用】
多数の受光素子のうちの中央受光素子とその左右の受光素子とによって、誘導線を追跡し、その左右の受光素子の出力の変化に基づいて、自走体の走行制御手段でフィードバック制御して誘導線を追跡走行させることは、先行技術と変わりはない。
他方、一つの中央受光素子と当該中央受光素子を中心として対称に配置された他の受光素子の出力を所定の敷居値を基準として2値化することで、全受光素子の出力分布が求められる。
他方、自走体が特定の角度のままで誘導線に対して取り得る位置は、例えば、誘導線に対して直角の方向に変移した様々な位置、その特定の角度方向に変移した様々な位置など、様々である。逆にいえば、これらの様々な位置で、自走体は誘導線に対して同じ特定の角度を取り得る。
この特定角度の下で取り得る様々な位置での全受光素子の出力分布を一纏めにし、例えばこれをパターンAとしてパターンテーブルに格納する。特定角度についても様々な出力分布の形態を一纏めにし、これを例えばパターンBとしてパターンテーブルに格納する。このようにして多数の特定角度についての様々な出力分布の形態を一纏めにして上記パターンテーブルに格納する。
なお、上記パターン(例えばパターンA,B)は、誘導線に対する自走体の特定の角度を表すことになる。
実際に検出された全受光素子の出力分布を、パターンテーブルに格納された全てのパターンの出力分布と照合して、符合する出力分布が存在するパターンを該当パターンと判別することによって、自走体の誘導線に対する自走体の角度が判別される。
なお、上記パターンA,B・・・毎の角度の区切りは、中央受光素子を中心として対称に配置された受光素子の配置の間隔によるが、例えば6つの場合は30度毎のパターンになる。
【0022】
また、この受光素子は中央受光素子を中心にして対称に配置されているので、全受光素子の出力分布は、誘導線に対して特定の角度方向に向いている場合と、それから180度反転した方向に向いている場合とで違いがない。したがって、上記の特定の角度だけでは自走体がどちら向きに向いているかは判別されない。
この解決手段は、記憶手段から読み出した直前の角度方向を参照し、自走体の向きを直前に判定され、記憶手段に記憶されている直前の角度方向との関係を参酌して、直前の角度方向に近い方向に自走体は向いているものと判定するものである。なお、これは、極めて短時間で角度方向の検出が繰り返されること、この短時間での自走体の角度方向の変更量は、実際問題として極めて小さいことを勘案すれば、このように判定するのが適切であるとの考えによるものである。
【0023】
【実施態様1】
(請求項3に対応)
実施態様1は、上記の多数の受光素子の数が7個であり、6つの受光素子を中央受光素子を中心とする円周上に等間隔で配置されていることである。
【作用】
中央受光素子以外の素子が6個であるので、全受光素子の出力分布を6つのパターンに区分けして、誘導線に対する自走体の角度を30度間隔の角度毎にパターンを設定することができる。
全受光素子の出力分布のパターンを30度間隔毎に定めることで、自走体の角度方向検知幅を実用上支障のない程度の角度検知幅とすることができる。
【0024】
【実施態様2】
(請求項4に対応)
実施態様2は、受光素子の出力を2値化する基準を、出力増加方向について0.6、出力減少方向について0.4としたことである。
【作用】
受光素子の出力を2値化する基準を、出力増大方向に変化して敷居値を越える場合と、出力減少方向に変化して敷居値を越える場合とで違え、その値を0.6,0.4としたことで十分なヒステリシスを与えられて、自走体の角度方向の敷居値近傍での微小な変動による出力分布の変動が抑制され、角度方向の判定を安定性させることができる。
なお、各受光素子の出力を微分回路で微分することによって、その出力が増大方向に変化しているか、減少方向に変化しているかを判別し、あるいは各受光素子の出力の変遷から増加方向か減少方向かを判別すればよく、そのために手段は適宜選択すればよい。
【0025】
【実施態様3】
(請求項5に対応)
実施態様3は、誘導線に対する自走体の角度方向判別の繰り返し時間を、4/1000〜1/1000秒にしたことである。
【作用】
誘導線に対する自走体の角度をパターンテーブルに格納された出力分布のパターンによって判別し、当該角度がどちらの方向であるか判別は、記憶手段に記憶された直前の角度方向を参照して、これに近い方向にあるものと判定するが、自走体の相互干渉によって急激に向きが変わる場合でも、4/1000秒での角度変化量は実際上極めて小さい。したがって、4/1000秒前の角度方向判定による角度方向を参照して自走体の向きを判別することで、ほぼ正確に自走体の向きを判別することができる。他方、この時間間隔を、1/1000秒にしても、2/1000秒の場合に比して判定精度はほとんど違いがない。
【0026】
【実施の形態】
次いで、この発明の実施例を説明する。ただし、先行技術については従来技術の項において詳細に説明したので、前提技術の部分の説明は省略する。
誘導線1は幅6mmの黒色線であり、この誘導線1,1間の非誘導線1bは幅6mmの白色線である。
まず、図8を参照してこの実施例の受光素子の配置と、受光素子の出力特性について説明する。
横一列に配列した3つの受光素子10a,10b,10cのうちの左右の受光素子10b、10cの中心間距離は誘導線1の幅に等しく、中央受光素子10aの他の6つの受光素子10d〜10gは、中央受光素子10aの中心を中心とする半径3mmの円周上に等間隔(中心角度60度)で配置されている。そして、中央の受光素子10aは自走体10の裏面の幅方向の中心線上にあり、左右の受光素子10b,10cの検知範囲の中心は、受光素子10aが検知する誘導線1の左右の縁線e,eにそれぞれ一致している。
したがって、中央の受光素子10aは誘導線の全幅をカバーし、左右の受光素子は、誘導線1の半分と隣接する非誘導線1bの幅の半分とをカバーしている。
他方、その他の光学素子10d〜10gの検知幅は、受光素子10a,10b,10cと同様であり、一対の受光素子10d,10eが受光素子10a,10b,10cの前方にあり、また他の一対の受光素子10f,10gが後方に配置されている。受光素子10d,10eと受光素子10f,10gとは、受光素子10a,10b,10cの横方向中心線に対して前後の対称位置にあり、受光素子10d、10fと、10e、10gとは誘導線1の中心線sに対して左右対称の位置にある。
以上の配置においては受光素子10d,10a,10g、受光素子10e,10a,10fは、それぞれ60度間隔の傾斜線上に配置されていることになる。
【0027】
受光素子10a乃至10fが誘導線を追跡しているときの受光量は小さいので、これを反転させて電気量に変換して検出出力としている。
受光素子10a,10b,10cの照射光の強さは等しいので、受光素子10aが誘導線を追跡しているとき、中央の受光素子10aの検出出力vは、左右受光素子10b,10cの検出出力の2倍となる。
この出力の変化を基準として、その変化分をフィードバックしながら、受光素子10aは誘導線1の中心線sをなぞるように自走体の走行が制御される。
【0028】
次いで、自走体が誘導線1に対して旋回する場合の各受光素子10a〜10gの検出出力の変化を説明する。
ところで、自走体は4輪で走行し、車体の外側に位置する瞬間中心を中心として旋回走行を行うものであるから、中央受光素子10aの中心を中心として旋回することは有り得ないことである。しかし、各受光素子10a〜10gの検出出力の変化の説明を単純化する都合から、自走体が誘導線に対して中央受光素子10aの中心を中心として旋回することを想定し、この場合の上記検出出力の変化を定性的に説明することにする。
誘導線1に対する旋回角度が0度の場合、すなわち誘導線上にあって、誘導線と平行であるとき、左右の受光素子10b,10cの出力は受光素子10aの出力Vの1/2である。
自走体を右方向(図8における矢印A方向)に旋回させると、左右の受光素子10b,10cの出力はv/2から増大し、90度旋回したときvになり、その後減少して180度旋回したとき再びv/2になる。また、受光素子10d,10gの出力は増大して30度旋回したときvになり、その後減少して120度旋回したとき最小のv/2になる。他方、受光素子10e,10fの出力は減少して60度旋回したとき最小となり、150度旋回したときvになる。
自走体を右方向(矢印A方向)に旋回させると、受光素子10b〜10fの出力の変化は上記の場合と全く反対になる。実際の旋回走行中は自走体が誘導線に対して左右へ移動しながら旋回するので、受光素子の出力は、0〜vの間で変化することになる。
各受光素子の検出出力が増大傾向にあるときの敷居値を0.6v、減少傾向にあるときの敷居値を0.4vとして各受光素子の出力を2値化して0又は1に変換する。
各受光素子の出力を0,1で表することによって、全受光素子の出力分布が得られる。
【0029】
次いで、誘導線に対する自走体の角度と全受光素子の出力分布との関係について説明する。
自走体の誘導線に対する傾斜角度が同じであっても、例えば、図9(a)、(b)に示すように、受光素子と誘導線との位置関係は様々に異なる。
ただし、図9(a)における受光素子L,M,Rは左側、中央、右側の受光素子をそれぞれ表し、自走体が誘導線1に対して左方向に傾斜した状態で左斜めに位置を変化する(移動する)ときの受光素子L,M,Rの誘導線に対する位置の変化を示している。図9(b)は自走体が誘導線1に対して右方向に傾斜した状態で右斜めに移動するときの受光素子L,M,Rの誘導線に対する位置の変化を示している。図9(a)に示す様々な位置にあるとき、あるいは図9(b)に示す様々な位置にあるとき、自走体の誘導線に対する傾斜角度はそれぞれにおいて同じである。以上のことから、同じ角度方向の下であっても全受光素子の出力分布は様々な形態で出現すること、様々な角度方向(例えば、右30度、右60度、右90度等)をとるとき、それぞれの角度方向毎に出力分布が様々の形態で出現することが明らかである。
【0030】
次に、全受光素子の出力分布と自走体の向き(前方か、後方かの向き)との関係について説明する。
誘導線に対する自走体の角度が同じでも、例えば図10(a)〜(f)に示すように、一方(例えば前方)に向いている場合と、その180度反転した方向(後方)に向いている場合とがある。
すなわち、誘導線と平行で、誘導線上にある状態(図10(a))には、前方を向いている場合と、後方を向いている場合とがあり、また、誘導線との角度が右に30度の状態(図10(b))には、右に30度旋回した状態と、左に150度旋回した状態とがある。同様に、図10(c)の状態には右に60度旋回した状態と左に120度旋回した状態とがあり、図10(d)の状態には右に90度旋回した状態と左に90度旋回した状態とがあり、さらに、図10(e)の状態には、右に120度旋回した場合と左に60度旋回した場合があり、さらに、図10(f)の状態には右に150度旋回した状態と左に30度旋回した状態とがある。このように7個の受光素子の出力分布だけからでは、誘導線に対する自走体の角度は検出されても、自走体の向きを判定することはできない。
この実施例は、上記の図10(a)乃至10(f)に示す状態(自走体の誘導線に対する図示の角度にある状態)をそれぞれパターンA、パターンB、パターンC、パターンD、パターンE、パターンFとしている。
したがって、自走体の誘導線に対する角度方向を判定するには、このパターンの判別によって誘導線に対する角度を判別するとともに、向きを判別することが必要である。
以上、本発明による角度方向の判別方法を説明する上で前提として必要な技術的事項を説明した。以上説明したことを前提として、次に、上記受光素子の配置による自走体の誘導線に対する角度方向の判定システムの例を説明する。
【0031】
誘導線1と自走体の各受光素子の位置関係を0,1で表すときの、角度0度又は180度における様々な形態の出力分布を図11のとおりに纏め、これをパターンAとしてパターンテーブルに格納している。
同様に、右30度又は左150度、右60度又は左120度、右90度又は左90度、左60度又は右120度、左30度又は右150度における出力分布の形態を図12、図13、図14、図15、図16のとおりにそれぞれ纏めて、これをそれぞれパターンB,C,D,E,Fとして、パターンテーブルに格納している。
さらに、角度の判別が不可能な形態の出力分布(パターンを特定し得ないもの、あるいは上記パターンのいずれにも属しない出力分布など)は図17のとおりであり、これをパターンGとしてパターンテーブルに格納している。
なお、上記出力分布における@マークが上記の基準に基づいて2値化した出力1を、無印のものが出力0をそれぞれ表す。
この実施例においては、角度方向判別を2/1000秒間隔で繰り返して行う。そのときの全受光素子の出力分布を求め、これを、パターンA〜Gの全てと照合して、符合する形態の出力分布が属するパターンを該当パターンと判別する。なお、判別された該当パターンの角度(例えば0度又は180度、右30度又は左150度等の各パターンの角度)が自走体の誘導線に対する角度と判定されることになる。
ただし、パターンGが該当パターンである場合は、パターンGは角度判別が不能なものであるから、この場合は、直前の角度方向と同じと見做して、次の角度方向の判定を行う。
【0032】
次に、判別された角度が各パターンにおける2つの角度のうちのどちらであるかを判別する。この判別は、検出された角度の方向は直前に判定した角度方向に最も近い方向であるとの仮定に基づいて行われる。
そして、直前の角度方向判定結果及び判別された該当パターンと、判定すべき向きとの関係をマップ(図18)にして、これを角度方向テーブルに格納してある。
なお、図18のマップにおける「現在の方向」は直前の角度方向を意味し、「新しい方向」は判定される角度方向を意味する。また、同マップは、直前の角度方向が「不明」であるときは、判別した該当パターンの角度(例えば0度又は180度、右30度又は左150度等のような2つの角度)のうちの誘導線との角度が小さい方を選択するというルールの下で作成されている。
また、判別された該当パターンが「パターンG」(不明パターン)であるときは、直前の角度方向(図18における「現在方向」)を選択するというルールの下で作成されている。
直前の角度方向は角度方向メモリに順次記憶してあり、該当パターンが判別されたとき、この該当パターンと角度方向メモリから呼び出された直前の角度方向とから、図18に示すマップによって角度方向が判定される。
以上のようにして、誘導線に対する自走体の角度方向が判定されて、走行制御手段(MPU3)に出力されるととともに、上記角度方向メモリに記憶される。
【0033】
以上の判別手順を図19に模式的に示してある。
この図19における矢印A〜Fは図18のテーブルにおけるパターンA〜Fをそれぞれ示し、矢印の起点の角度表示が角度方向メモリに記憶されている直前の角度方向(「不明」を含む)を示し、矢印の先の角度表示は判定される角度方向を示している。
例えば、検出された出力分布の形態を含むパターンAが該当パターンと判別され、直前の角度方向が右60度であった場合は、「右60度」の表示を起点とする矢印Aの先の「0度」が判定される角度方向である。また、パターンCが該当パターンと判別され、直前の角度方向が「不明」の場合は、中央位置にある「不明」の表示を起点とする矢印Cの先の「右60度」が判定される角度方向である。
以上のような角度方向の判定を2/1000秒間隔で繰り返して行うことで、30度毎の角度方向が極めて短時間の間に繰り返し検出される。
【0034】
以上の手順をさらに具体的に説明すれば次のとおりである(図20参照)。
例えば、直前の角度方向が右60度で、検出された出力分布が、例えば図12において矢印xで指し示すものであるとき、パターン判別手段がパターンテーブルに格納されているパターンA〜Gと照合して、該当パターンをパターンBと判別する。パターンBが判別されると、パターンBと角度方向メモリから読み出された直前の角度方向、「右60度」とに基づいて、角度方向判定手段が角度方向テーブル(図18のテーブル)から、「右30度」の角度方向を読取り、現在の角度方向を「右30度」と判定する。このとき、誘導線に対する直前角度が0度であれば、角度方向テーブルにおける「現在の方向」の欄の「0度」と該当パターンと判別されたパターンB(角度方向テーブルにおける「新しい方向」の欄の「パターンB」)から、「右30度」と判定される。また、角度方向メモリから読み出された直前の角度方向が「不明」の場合は、角度方向テーブルにおける「現在の方向」の欄の「不明」と、新しい方向」の欄の「パターンB」とから、「右30度」が判定される。
また、出力分布から該当パターンとして「パターンG」すなわち不明パターンが判別された場合は、角度方向テーブルの「パターンG」が選択され、結局、直前の角度方向(角度方向テーブルにおける「現在の方向」の欄の角度方向)と同じ角度方向と判定される。この場合は、新たな角度方向は判定されないけれども、極めて短時間にこの判定が繰り返し行われる。誘導線に対する自走体の角度は変化するので、一瞬のうちに出力分布が変わり、他のパターンが該当パターンと判別されることになり、その結果、新たな角度方向が判定されることになる。したがって、該当「パターンG」すなわち不明パターンと判別されても、ほとんどの場合、千分の数秒のうちには現在の角度方向が新たに検出されることになるので、自走体の走行制御に対する応動の遅れを勘案すれば、実質的には角度方向がほとんど常時検出されているのに等しく、実際上は全く支障がない。
【0035】
誘導線を追跡走行中に誘導線に対する角度方向が右30度と判定されると、走行制御手段は、自走体の向きを角度30度に見合った転向角度で左方へ旋回させて、速やかに誘導線に復帰させることができる。誘導線への復帰走行中も角度方向の判定が逐次なされるので、誘導線に対する方向のずれ角度の大きさに応じた転向制御がなされ、したがって、自走体は極めて速やかにかつ円滑に誘導線へ復帰する。
乗り換え走行は、基本的には目標誘導線へ向かって所定の方向に走行するように制御されるので、この制御を基本としながら、自走体の角度方向のずれ分を補正するように操行制御がなされ、所定の方向へ速やかに復帰して、目標誘導線へ向かう走行に速やかにかつ確実に移行することができる。
【0036】
【発明の効果】
ライン誘導型競走ゲーム装置における走行制御は、誘導線の追跡走行を基本とし、誘導線を乗り換えることによって、その走行経路を様々に変化させることができるものであるから、その走行制御は単純であり、走行体の走行は比較的安定し、スムーズである。しかし、誘導線の追跡走行中は、自走体の角度方向の微小な乱に対しては光学素子のライン検出信号に基づくフィードバック制御によって迅速に対応することができる。しかし、外乱によって自走体の角度方向が大きく乱されれば、自走体の誘導線に対する角度方向を検出していないために、所定方向へ復帰させるための制御が困難であり、結局、走行が著しく乱れ、走行遅延を生じ、スムーズにレースを進行させることができなくなる。この発明によれば、誘導線に対する自走体の概略の角度方向を常時検知して、所定方向とのずれを認識することができるので、所定方向に復帰させるための転向方向および適切な転向角度を演算するなどして、迅速、適切に必要な転向制御を行うことができる。そして、極めて短時間(例えば2/1000秒)の間隔で角度方向を検出することができるので、自走体の誘導線に対する自走体の走行方向を実質的にほぼ常時検出することできる。したがって、外乱による走行方向の変化に対して迅速に対応して走行方向の乱れを可及的に抑制しつつ、所要の転向制御を迅速、的確に行って、本来の誘導線の追跡走行、所定方向での乗り換え走行に迅速に復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は自走体走行面の誘導線及び位置表示線の配置を示す平面図である。
【図2】は自走体走行面の進度計測線の配置を示す平面図である。
【図3】は自走体の光学センサと誘導線との関係を模式的に示す断面図である。
【図4】は自走体の磁気センサと進度計測線との関係を模式的に示す断面図である。
【図5】は自走体の赤外線受信器と位置表示線との関係を模式的に示す断面図である。
【図6】は中央制御装置と自走体の走行制御装置との交信の順序を模式的に示す図である。
【図7】は自走体が誘導線を乗り換える様子を模式的に示す平面図である。
【図8】は受光素子の誘導線に対する配置を示す平面図である。
【図9】は誘導線に対する自走体の角度と受光素子の誘導線に対する位置関係を模式的に示す平面図である。
【図10】は各パターンA〜Fにおける自走体の向きを平面的に示す模式図である。
【図11】はパターンAの図である。
【図12】はパターンBの図である。
【図13】はパターンCの図である。
【図14】はパターンDの図である。
【図15】はパターンEの図である。
【図16】はパターンFの図である。
【図17】はパターンGの図である。
【図18】は誘導線に対する自走体の角度方向の判定用テーブルの図である。
【図19】は図18のテーブルを用いた角度方向判定手順を平面的に示す模式図である。
【図20】は誘導線に対する自走体の角度方向判定手順のフローを示す図である。
【符号の説明】
1:誘導線
1b:非誘導線
2:進度計測線
3:位置表示線
10:自走体
10a〜10g:受光素子
11:磁気センサ
12:赤外線受信器
20:中継制御装置
30:走行制御手段
40:レース進行管理部
50:レース進行タイマー
Claims (5)
- 上段走行面を走行する模型体を、下段走行面を走行する自走体で磁石を介して牽引して、模型体によるレースを環状トラックで展開するものであって、自走体を誘導線によって誘導し、中央制御装置からの指令によって、誘導線を乗り換えながら自走体が走行するライン誘導型競走ゲーム装置における自走体の方向検出方法において、
自走体の下面に誘導線検知用の多数の受光素子を設け、
上記受光素子の誘導線検出出力を2値化した検出データによる全受光素子の出力分布を求め、
上記全受光素子の出力分布の形態を誘導線に対する自走体の角度毎に区分けし、区分けされたパターン毎に上記出力分布の形態をパターンテーブルに格納してあり、
検出出力による全受光素子の出力分布を、上記パターンテーブルに格納されている多数の出力分布と照合して該当パターンを判別し、
判別された上記該当パターンと、記憶手段から読み出した直前の角度方向とに基づいて、誘導線に対する自走体の角度方向を判定する、ライン誘導型競走ゲーム装置における自走体の方向検出方法。 - 上段走行面を走行する模型体を、下段走行面を走行する自走体で磁石を介して牽引して、模型体によるレースを環状トラックで展開するものであって、自走体を誘導線によって誘導し、中央制御装置からの指令によって、誘導線を乗り換えながら自走体が走行するライン誘導型競走ゲーム装置における誘導線に対する自走体の方向検出方法において、
自走体の下面に誘導線検知用の多数の受光素子を設け、
一つの受光素子(中央受光素子)を中心として他の受光素子を対称に配置し、かつ、中央受光素子とその左右の受光素子とを横一列に配置し、
上記受光素子の誘導線検出出力を所定の敷居値を基準として2値化して、2値化した検出データによる全受光素子の出力分布を求め、
上記全受光素子の出力分布の形態を、誘導線に対する自走体の所定角度毎に区分けし、
区分けされたパターン毎に上記出力分布の形態をパターンテーブルに格納してあり、
検出データによる全受光素子の出力分布を、上記パターンテーブルに格納された出力分布と照合して該当パターンを判別し、
判別された上記該当パターンと記憶手段から読み出した直前の角度方向とに基づいて、誘導線に対する自走体の角度方向を判定し、
全受光素子の出力分布の検出、及び検出された出力分布が該当するパターンの判別、誘導線に対する自走体の角度方向判別を短時間間隔で繰り返し、
判定された自走体の角度方向を上記順次記憶手段に順次記憶させる、ライン誘導型競走ゲーム装置における自走体の方向検出方法。 - 上記の多数の受光素子の数が7個であり、6つの受光素子が中央受光素子を中心とする円周上に等間隔で配置されている、請求項1又は請求項2の自走体の方向検出方法。
- 上記全受光素子の出力を2値化する基準を、出力増加方向について0.6、出力減少方向について0.4とした請求項1又は請求項2の自走体の方向検出方法。
- 上記誘導線に対する自走体の角度方向判別の繰り返し時間を、4/1000〜1/1000秒にした請求項2の自走体の方向検出方法。
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