JP3869254B2 - ロータリーターンバー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、搬送ラインで搬送される各種ウエブについて、その搬送方向を転換する手段として好適なロータリーターンバーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、紙や金属箔、不織布、樹脂フィルムなどの各種ウエブを、機械から機械に方向変換させて搬送する場合に用いられるターンバー(ロータリーターンバー)は存在する。
図17は、従来のターンバーを用いて表裏反転と呼ばれる方向変換動作をさせているところの例を示すもので、この動作には、水平に配された丸棒状又はパイプ状部材(以下、丸棒状等部材という)100、及び互いに直角をなすように水平面に対し45゜に傾斜して配された丸棒状等部材101,102が用いられ、これら丸棒状等部材100〜102によって、裏面(黒塗りで表示)で搬入されて来たウエブWが同図中の矢印方向に搬送されるに伴い表面(白塗りで表示)に反転して搬出される。この場合、丸棒状等部材101,102は、非回転で用いられる。
この他に、丸棒状等部材101,102をパイプ状部材にした場合に、その部材表面に小孔を多数設け、この小孔からエアを噴出させウエブWを浮揚して搬送したり、或いは、丸棒状等部材101,102に摩擦抵抗の少ない材質の、例えばテープやシート、或いは管状物を巻回しこれにウエブWを巻き付けて搬送したりするものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のターンバーで、丸棒状等部材を非回転で用いる場合には、ウエブとの摩擦が大きくなって摩耗や発熱を生じ易くなるために、丸棒状等部材の交換が増えたり、丸棒状等部材の冷却を要するようになるなどの問題があり、また、摩擦が大きくなると、高速に搬送することができなくなるばかりか、摩擦に抗する引張り力をウエブに与えてやらなければならず、そのため容量の大きなモータや耐荷重の大きな丸棒状等部材を要するなどの問題がある。
また、上記ターンバーで、パイプ状部材表面の小孔からエアを噴出させウエブとの摩擦を軽減するなどして用いる場合には、部材表面に局部的な摩擦の大小が生じてウエブに張力変動が生じてしまう問題があり、特に、このタイプのターンバーを使用する印刷機では色ずれ、即ち見当ずれが発生する問題もある。更に、丸棒状等部材に上述の低摩擦材を巻回しウエブとの摩擦を軽減するなどして用いる場合でも、ウエブに痕跡が付き易く、商品品質上の問題がある。
【0004】
本発明の目的は、各種ウエブを方向変換して搬送する際に、低摩擦でメカニカルロスが小さく、且つ、張力変動が生じないロータリーターンバーを提供することにある。
また、本発明の目的は、上記目的に加え、搬送する、例えばウエブのシワの発生防止、或いは蛇行防止が図れるロータリーターンバーを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るロータリーターンバーは、円周上に複数の凹凸部が設けられ、これら凹凸部同士が重なり合うように配された一対の第1回転体と、その回転軸が第1回転体の回転軸に対し所定角度、例えば90゜或いは45゜等の適宜な角度をなし、且つ、これら凹部の空間内で回動自在にそれぞれ配された第2回転体とによりエレメントを構成するもので、このようなエレメントで構成されたロータリーターンバーによれば、上記ウエブを方向変換して搬送する際に、低摩擦でメカニカルロスが小さく、且つ、ウエブに張力変動が生じない。
【0006】
また、本発明の請求項2に係るロータリーターンバーは、第1回転体間にエレメントを構成する第3回転体を、その凹凸部が当該第1回転体の凹凸部と重なり合うように配するとともに、上記第2回転体の回転軸を、第3回転体の隣接する凸部間に軸架するようにしたもので、第2回転体の回転軸は、当該凸部の両側に配される第1回転体の凸部によって当該第1回転体の回転軸方向への脱落が阻止される。
本ロータリーターンバーによれば、上述同様に、高速搬送においても低摩擦でメカニカルロスが小さく、且つ、張力変動が生じないことに加え、第1回転体や第3回転体のプラスチック成型などによる製作コストがより安価にできる。
【0007】
また、本発明の請求項3に係るロータリーターンバーは、エレメントを、第1回転体の回転軸方向に、又は第1回転体及び第3回転体の回転軸方向に密接して場合により所定間隔を隔てて、第2回転体が互いに隣接し合わないように複数個配列して組み立てられるもので、当該エレメントの第2回転体と、これに隣接するエレメントの第2回転体とは、互いに隣接せずに円周角方向に位相差をもたせた状態にして組み立てられる。
【0008】
また、本発明の請求項4に係るロータリーターンバーは、エレメントの配列において、その中央から一方側に属する複数列中の、第2回転体の回転軸線と、その他方側の列に属する複数列中の、第2回転体の回転軸線とが直交する態様をなすようにしたもので、本ロータリーターンバーによれば、このように配列された第2回転体の回転が、上記ウエブに対しその幅方向で相反する方向の張力をも与えることになるために、ウエブのシワ取りロータリーターンバーとして有用である。
【0009】
また、本発明の請求項5に係るロータリーターンバーは、第1回転体の回転軸と第2回転体の回転軸とが90゜をなすとき、第2回転体が、第1回転体とは独立して回転駆動されるようにしたもので、第2回転体を回転させて搬送方向に垂直な方向への動きを可能にすることにより、第1回転体で搬送される上記ウエブの蛇行防止ができる。
【0010】
本発明の請求項6に係るロータリーターンバーは、第2回転体を回転駆動するための具体的な態様で、第2回転体をねじ歯車の被駆動歯車とするときに、第2回転体を、一対の第1回転体間に配し、且つ、この第1回転体を貫き当該第1回転体の回転軸に平行なサブドライブシャフトに軸着されるねじ歯車の駆動歯車により、第1回転体とは独立して回転駆動するようにしたものである。
ところで、ねじ歯車は、駆動歯車のねじれ角を大きくして被駆動歯車のねじれ角を小さくしたねじ状の歯車であるが、ウエブは、被駆動歯車とはその歯先円上で接触して搬送方向に垂直な方向への動きが与えられるので、上述のように第1回転体で搬送されるウエブの蛇行防止ができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態に係るロータリーターンバーを図1〜4を参照して説明する。
本ロータリーターンバー1は、図1に示すように、第1回転体のラジアルローラ2a,2b及び第2回転体のスラストローラ3で構成されるエレメント(図2)の複数個、本実施の形態では14個を、第1回転体の回転軸方向に密接してスラストローラ3が互いに隣接し合わないように配列し、各エレメントのそれぞれをドライブシャフト(第1回転体の回転軸)4にキー(図示せず)止めして組み立てられるものである。
【0012】
このようなロータリーターンバー1のエレメントの詳細構成を図3を参照して説明する。
当該エレメントのうち第1回転体は、中空円板形状をなす一対の上記ラジアルローラ2a,2bで構成されており、各ラジアルローラ2a,2bには、その外周に等分に、本実施の形態では10個の凹部5及び凸部6が交互に設けられ、ラジアルローラ2a,2bの凹部5同士及び凸部6同士がそれぞれ重なり合うように配されてエレメントとしての第1回転体が構成される。そして、ラジアルローラ2a,2bの各凸部6には、その外周端寄りで両者の対向面側に略半円柱溝6a,6bがそれぞれ設けられ、これら略半円柱溝6a,6bは、半円形をなす当該溝6a,6bの一方端が当該凸部6に隣接する凹部5に開口される態様でそれぞれ設けられており、ラジアルローラ2a,2bが重なり合うように配されるときに、これら溝6a同士及び溝6b同士が合わさって、下記スラストローラ3の短軸3bを支持する所謂すべり軸受を形成するようになっている。尚、ラジアルローラ2a,2bは、同一成形型でプラスチック成形、金属プレス成形等されるもので、実質的には同一のものであるが、説明の都合上区別されている。
【0013】
ここで、7a,7bは、ラジアルローラ2aをドライブシャフト4に取り付けるためのキー溝で、また、8a,8bは、ラジアルローラ2bをドライブシャフト4に取り付けるためのキー溝であるが、キー溝7aとキー溝8bとは、上述のようにラジアルローラ2a,2bが同一成形品であるために、凹部5及び凸部6が重なり合うように配されて第1回転体2を構成するとき、位相差が180゜の位置態様となる。
【0014】
また、当該エレメントのスラストローラ3は、外周にクラウニング加工が施された円筒形状のローラ3aと、この部材の両円筒端面からそれぞれ突出した短軸(回転軸)3bで構成されている。そして、この短軸3bを、ラジアルローラ2a,2bが重なるように配されたときに、上記凸部6とこれに隣接する凸部6の間に形成される上記すべり軸受に軸架するようにすれば、短軸3bはドライブシャフト4に対し90゜をなして軸支され、スラストローラ3は、ラジアルローラ2a,2bの凹部5の空間内で回動自在に配されることになる。
ところで、各エレメントは、上述のように、シャフト4に沿って密接して、且つ、スラストローラ3が互いに隣接し合わないように配列されている。本実施の形態では、各エレメント同士間のスラストローラ3が隣接し合わないようにするために、一つのエレメントのスラストローラ3と、これに隣接するエレメントのスラストローラ3とは、円周角方向に位相差18゜をもたせた状態にして組み立てられている(図1参照)。
【0015】
このようなラジアルローラ2a,2b、スラストローラ3でエレメントが構成されるロータリーターンバー1を用いて、例えば、図4(A),(B)のような方向変換動作をさせることができる。
図4(A)はUターンと呼ばれる方向変換動作であり、二つの回転するロータリーターンバー1を互いに直角をなすように水平面に対し45゜に傾斜して配し、ウエブWを、両ロータリーターンバー1を介して機械Aから機械BにUターンさせるものである。また、図4(B)は従来例でも挙げた表裏反転と呼ばれる方向変換動作であり、水平に配された丸棒状等部材100、及び互いに直角をなすように水平面に対し45゜に傾斜して配された二つの回転するロータリーターンバー1が用いられ、これらによって、裏面(黒塗りで表示)で搬入されて来たウエブWが同図中の矢印方向に搬送されるに伴い表面(白塗りで表示)に反転して搬出されるものである。いずれの場合にも、ウエブWは、ロータリーターンバー1とは、そのドライブシャフト4の軸方向において各スラストローラ3のローラ3a部と局部的に接触し、且つ、均一に接触するために、低摩擦でメカニカルロスを小さく、且つ、ウエブに張力変動を生じないようにできる。
【0016】
ところで、上述のロータリーターンバー1は、ラジアルローラ2a,2b及びスラストローラ3でエレメントを構成するものであったが、図6に示すような第1回転体のラジアルローラ11a,11b、第2回転体の上記スラストローラ3及び第3回転体のラジアルローラ12でエレメントを構成し、各エレメントのそれぞれをドライブシャフト4にキー止めして組み立てられる、図5のようなロータリーターンバー10を構成してもよい。
このロータリーターンバー10のエレメントの詳細構成を図7を参照して説明する。尚、同図において、図3と同一部材には同一番号を付し、その説明は割愛する。
かかるエレメントのうち、中空円板形状をなすラジアルローラ12には、その外周に等分に、本実施の形態では10個の凹部13及び凸部14が交互に設けられ、更に、この凸部14には、その両側端で外周端寄りのところに断面視略コ字状溝14a,14bがそれぞれ設けられ、これら略コ字状溝14a,14bは、ラジアルローラ12の中空軸方向を溝方向とし、且つ、当該凸部14に隣接する凹部13に開口する態様で設けられている。
【0017】
一方、第1回転体は、第1の実施の形態に係る第1回転体2とほぼ同様な形態をなす一対の上記ラジアルローラ11a,11bで構成され、それらの外周に等分に10個の凹部5及び凸部6が交互に設けられているが、第1回転体2と異なるところは、当該凸部6には溝6a,6bが設けられていない点である。
このようなラジアルローラ11a,11b及びラジアルローラ12は、ラジアルローラ11a,11bがラジアルローラ12をその両側から挟み込むように配され、ラジアルローラ11a,11bのそれぞれの凹部5及び凸部6とラジアルローラ12の凹部13及び凸部14がそれぞれ重なり合うように配されてエレメントとしての第1回転体及び第3回転体を構成している。このとき、凸部14の略コ字状溝14a,14bと、当該凸部14の両側面からそれぞれ密接するラジアルローラ11a,11bの各凸部6との間に空間がそれぞれ形成されるので、スラストローラ3の短軸3bを、上記凸部14の溝14aとこれに隣接する凸部14の溝14bとに軸架するようにすれば、この短軸3bは、これら溝14a,溝14b(及びラジアルローラ11a,11bの凸部6)で形成される上記空間、即ちすべり軸受に、ドライブシャフト4に対し90゜をなして軸支され、スラストローラ3は、ラジアルローラ11a,11bの凹部5及びラジアルローラ12の凹部13の空間内で回動自在に配されることになる。
【0018】
このようなラジアルローラ11a,11b、スラストローラ3及びラジアルローラ12でエレメントが構成されるロータリーターンバー10を用いて、例えば上述した図4(A),(B)のような方向変換動作をさせることができる。このロータリーターンバー10においても、ウエブWは、当該ロータリーターンバー1とは、そのドライブシャフト4の軸方向において各スラストローラ3のローラ3a部と局部的に接触し、且つ、均一に接触するために、低摩擦でメカニカルロスを小さく、且つ、張力変動を生じないようにできる。
【0019】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るロータリーターンバーを図8〜10を参照して説明する。
本ロータリーターンバー20は、図9に示すような第1回転体のラジアルローラ21a,21b及び第2回転体の上記スラストローラ3で構成されるエレメントの複数個、本実施の形態では10個を、第1回転体の回転軸方向に密接してスラストローラ3が互いに隣接し合わないように配列するとともに、第2回転体の回転軸を第1回転体の回転軸に対し、本実施の形態では45゜をなして回動自在に配して、各エレメントのそれぞれをドライブシャフト4にキー止めして組み立てられるものである(図8参照)。但し、本ロータリーターンバー20では、ラジアルローラ21a,21bは非回転で用いられ、ドライブシャフト4は回転しない。
【0020】
このようなロータリーターンバー20のエレメントの詳細構成を図10を参照して説明する。
当該エレメントのうち第1回転体は、粉末成形或いはインジェクション成形された中空略円板形状をなす一対のラジアルローラ21a,21bで構成されており、各ラジアルローラ21a,21bには、これらの対向面側の外周に等分に設けられた、本実施の形態では、直角3角柱溝22で、その下面22aに対向する上面、及びその側面22b,22cの直交角に対向する側面が開口するように形成されたものが10個それぞれ設けられ、ラジアルローラ21a,21bは、これらの側面22b同士及び側面22c同士がそれぞれ対向するように重ね合わされてエレメントとしての第1回転体が構成される。そして、ラジアルローラ21a,21bの各溝22の側面22bには、その略中央に有底の小孔23が設けられ、小孔23は、このラジアルローラ21a,21bが重ね合わせて配されるときに、スラストローラ3の短軸(回転軸)3bを支持するすべり軸受を形成するようになっている。したがって、この短軸3bを、上記すべり軸受に軸架するようにすれば、短軸3bはドライブシャフト4に対し45゜をなして軸支され、スラストローラ3は、ラジアルローラ21a,21bの溝22の空間内で回動自在に配されることになる。ところで、各エレメントは、ドライブシャフト4に沿って密接して、且つ、スラストローラ3が互いに隣接し合わないように配列されることは、上述同様である。また、ラジアルローラ21a,21bが同一成形型でプラスチック成形等されるもので、実質的には同一のものであることも、上述同様である。
【0021】
このようなラジアルローラ21a,21b、スラストローラ3でエレメントが構成されるロータリーターンバー20を用いて、上述した図4(A),(B)のような方向変換動作をさせることができ、低摩擦でメカニカルロスを小さく、且つ、張力変動を生じないようにできることは上述同様である。但し、ロータリーターンバー20を用いて、例えば図4(A)のような方向変換動作をさせる場合には、二つのロータリーターンバー20のうち一方を、例えば水平面に平行に配した場合、他方をこれに対し直角をなすように配する必要があるが、ウエブWの、ロータリーターンバー20に対する巻き掛け方がロータリーターンバー1のそれとは異なること、及び二つのロータリーターンバー20において、これらスラストローラ3の短軸3bの、ドライブシャフト4に対する傾斜角を勝手違いにすること、即ち、一方のロータリーターンバー20を図8のものとすると、他方のロータリーターンバー20は、そのスラストローラ3の短軸3bが図8のスラストローラ3の短軸3bに対し直角をなすように配されるものにすること、に留意しなければならない。
また、ロータリーターンバー20では、ラジアルローラ21a,21bが非回転であり、ロータリーターンバー20の、ウエブWとの接触範囲にスラストローラ3が配されていればよく、したがって、図8のようにロータリーターンバー20の全周に渡ってスラストローラ3を配する必要はない。しかるに、ロータリーターンバー20の全周に渡ってスラストローラ3を配したものにあっては、スラストローラ3の摩耗状態を見て、ウエブWと接触するスラストローラ3を変えるべくロータリーターンバー20を適宜回転させながら用いることもできる。
【0022】
ところで、上述のロータリーターンバー20は、ラジアルローラ21a,21b及びスラストローラ3でエレメントを構成するものであったが、上記ロータリーターンバー10のように、ラジアルローラ21a,21b及びスラストローラ3に加えて、ラジアルローラ21a,21bの間に配される第3回転体のラジアルローラでエレメントを構成するもので、スラストローラ3の短軸3bを、第3回転体のラジアルローラの溝(及びラジアルローラ21a,21bの凸部)で形成されるすべり軸受に軸支し、ラジアルローラ21a,21b及び第3回転体のラジアルローラのそれぞれをドライブシャフト4にキー止めして組み立てられるものをエレメントとするロータリーターンバーであってもよいことはもちろんである。
【0023】
次に、本発明の第3の実施の形態に係るロータリーターンバーを図11,12を参照して説明する。
本ロータリーターンバー30は、図11に示すように、上述した第1回転体のラジアルローラ21a,21b及び第2回転体のスラストローラ3で構成されるエレメントの複数個、本実施の形態では5個を当該ロータリーターンバー30の中央から同図では左側に配し、その中央から右側に、第1回転体のラジアルローラ31a,31b及び第2回転体のスラストローラ32で構成されるエレメントの複数個、本実施の形態では同数の5個を配するようにしたもので、スラストローラ3の回転軸線とスラストローラ32の回転軸線とは直交する関係にある。尚、スラストローラ32は、スラストローラ3と同一であり、説明の都合上スラストローラ3と区別している。
【0024】
このようなロータリーターンバー30のエレメントの詳細構成を図12を参照して説明する。
本ロータリーターンバー30のエレメントのうち、同図中の左側のものは、上述したロータリーターンバー20のエレメントと同一のものであるので、同図の右側のものについて説明する。
同図の右側のエレメントは、ラジアルローラ31a,31b及びスラストローラ32で構成されるが、上述のようにスラストローラ32はスラストローラ3と同一であり、ラジアルローラ31a,31bもまた、基本形状においてラジアルローラ21a,21bと同一である。かかるラジアルローラ31a,31bがラジアルローラ21a,21bと異なるところは、上記小孔23(同図では描かれていない)がラジアルローラ31a,31bの各直角3角柱溝22の側面22cに設けられている点である。かかる小孔23は、このラジアルローラ31a,31bが重ね合わせて配されるときに、上述同様にスラストローラ32の短軸32bを支持するすべり軸受を形成するので、この短軸32bをこのすべり軸受に軸架するようにすれば、短軸32bは、ドライブシャフト4に対し45゜をなして軸支され、スラストローラ32は、ラジアルローラ31a,31bの両溝22の空間内で回動自在に配されることになる。このとき、スラストローラ32の短軸32bの軸線は、スラストローラ3の短軸3bの軸線と直交する関係にある。
【0025】
このようなエレメントで構成されるロータリーターンバー30は、シワ取り装置として有用である。即ち、図11において、ドライブシャフト4の回転に従ってロータリーターンバー30が回転しているが(これら回転を、同図中の矢印で示す)、このラジアルローラ21a,21b及びラジアルローラ31a,31bとウエブWとの間に速度差が生ずるように、例えばドライブシャフト4をブレーキ装置等で駆動制御するなどすると、このスラストローラ3及びスラストローラ32の回転が、ウエブWに対しその幅方向に相反する張力(同図中、矢印Tで示す)をも与えることになるために、ウエブWのシワ取り装置として有用である。
【0026】
ところで、上述のロータリーターンバー30は、その中央から左側を、ラジアルローラ21a,21b及びスラストローラ3に加えて、ラジアルローラ21a,21bの間に配される第3回転体のラジアルローラによるエレメントで構成するとともに、その中央から右側を、ラジアルローラ31a,31b及びスラストローラ32に加えて、ラジアルローラ31a,31bの間に配される第3回転体のラジアルローラによるエレメントで構成し、これらエレメントのそれぞれをドライブシャフト4にキー止めして組み立てられるようにしたものであってもよいことはもちろんである。
【0027】
次に、本発明の第4の実施の形態に係るロータリーターンバーを図13〜16を参照して説明する。
本ロータリーターンバー40は、第1回転体の回転軸と第2回転体の回転軸とが90゜をなすとき、第2回転体が、本実施の形態では第1回転体とは独立して回転駆動されるようにしたもので、図14に示すようなラジアルローラ(第1回転体)41a,41b及びスラストギヤ(第2回転体)42で構成されるエレメントを、ドライブシャフト4に沿って密接して、且つ、スラストギヤ42が互いに隣接し合わないように、本実施の形態では14個配列し、ラジアルローラ41a,41bの回転とは独立してスラストギヤ42が回転するようにしたものである(図13参照)。
【0028】
このようなロータリーターンバー40のエレメントの詳細構成を図15,16を参照して説明する。尚、図15,16中の構成部材で図3中の部材と同一のものには同一番号が付されている。
本ロータリーターンバー40のエレメントのうち、ラジアルローラ41a,41bは、上記ラジアルローラ2a,2bにおいて、これらの各凹部5及び凸部6の下方中央に位置し、且つ、当該ラジアルローラ2a,2bの同一円周上に位置するところに、その中心線がラジアルローラ41a,41bの回転軸に平行になるような貫通孔41a,41bをそれぞれ設けているものである(ラジアルローラ41a,41bに、貫通孔41a,41bがそれぞれ20個ずつ設けられる)。また、スラストギヤ42は、上記スラストローラ3において、このローラ3aの円筒面に、本実施の形態では当該ローラ3aの回転軸方向にほぼ平行に歯筋を設けているものであり、ねじ歯車の被駆動歯車を構成する。
【0029】
そして、本ロータリーターンバー40では、スラストギヤ42に歯合し、その歯筋が当該スラストギヤ42の歯筋とほぼ直角をなすように設けられたスラストドライブギヤ(ねじ歯車の駆動歯車)43が、ラジアルローラ41a,41b間に配され、且つ、上記貫通孔41a,41bに緩やかに挿通された長尺のサブドライブシャフト44に軸着されるようにして、スラストギヤ42がスラストドライブギヤ43によって回転駆動されるようになっている。このとき、サブドライブシャフト44は、ラジアルローラ41a,41bの凹部5の下方に位置する貫通孔41a,41bに挿通する。したがって、各サブドライブシャフト44は、図15のように、これら貫通孔41a,41bをそれぞれ一つおきに挿通する態様をなす。
【0030】
しかるに、本ロータリーターンバー40においても、スラストギヤ42を互いに隣接し合わないように配列しており、したがって、例えば図16において一つのエレメント(これをエレメントAと呼ぶことにする)とそれに隣接するエレメント(これをエレメントBと呼ぶことにする)では、エレメントAの、スラストドライブギヤ43を軸着したサブドライブシャフト44は、エレメントBの、ラジアルローラ41a,41bの貫通孔41a,41bを緩やかに挿通する態様をなす一方、エレメントBの、スラストギヤ42を軸着したサブドライブシャフト44は、エレメントAの、ラジアルローラ41a,41bの貫通孔41a,41bを緩やかに挿通する態様をなす。
【0031】
そして、各サブドライブシャフト44の一方端には、図16に示すように、スレイブギヤ45がそれぞれ軸着され、このスレイブギヤ45がリング状のマスタギヤ46にそれぞれ歯合している。かかるマスタギヤ46は、アウターロータモータのロータに嵌合されて当該ロータと一体をなし、このロータに対向する態様でアウターロータモータのステータ47がドライブシャフト4に軸着されている(図13参照)。したがって、このようなアウターロータモータでは、ステータ47とロータ、即ちマスタギヤ46との間に相対運動を生ぜしめるべく、例えばステータ47に励磁用の電流を供給すると、当該ステータ47に対しロータ、即ちマスタギヤ46が回転し、これにより、マスタギヤ46に歯合するスレイブギヤ45を介してスラストドライブギヤ43に歯合するスラストギヤ42が回転することになり、スラストギヤ42は、ラジアルローラ41a,41bとは独立して回転駆動されることになる。
【0032】
このようなエレメントで構成されるロータリーターンバー40を用いてウエブWの蛇行防止ができる。即ち、搬送されるウエブWの、本実施の形態では片側に例えば近接センサ48を設け、かかる近接センサ48からの信号を受けてアウターロータモータの回転制御を行い、スラストギヤ42の回転速度や回転方向を調節することによってウエブWが蛇行せず一様な流れ状態で搬送されるようにできる。
【0033】
【発明の効果】
本発明のロータリーターンバーによれば、各種ウエブを方向変換して搬送する際に、低摩擦でメカニカルロスが小さく、且つ、ウエブに張力変動が生じない。また、本発明のロータリーターンバーによれば、搬送する、例えばウエブのシワの発生防止、或いは蛇行防止が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係るロータリーターンバーの構成図である。
【図2】 図1のエレメントの構成図である。
【図3】 図1のエレメントの斜視分解図である。
【図4】 図1のロータリーターンバーの動作説明図である。
【図5】 図1のロータリーターンバーに新たなエレメントを加えてなるロータリーターンバーの構成図である。
【図6】 図5のエレメントの構成図である。
【図7】 図5のエレメントの斜視分解図である。
【図8】 本発明の第2の実施の形態に係るロータリーターンバーの構成図である。
【図9】 図8のエレメントの構成図である。
【図10】 図8のエレメントの斜視分解図である。
【図11】 本発明の第3の実施の形態に係るロータリーターンバーの構成図である。
【図12】 図11のエレメントの構成図である。
【図13】 本発明の第4の実施の形態に係るロータリーターンバーの構成図である。
【図14】 図13のエレメントの構成図である。
【図15】 図13のエレメントの斜視分解図である。
【図16】 図13のエレメントの斜視分解図である。
【図17】 従来のロータリーターンバーの動作説明図である。
【符号の説明】
1,,10,20,30,40 ロータリーターンバー
2a,2b ラジアルローラ(第1回転体)
3,32 スラストローラ(第2回転体)
4 ドライブシャフト(第1回転体の回転軸)
5,13 凹部
6,14 凸部
11a,11b ラジアルローラ(第1回転体)
12 ラジアルローラ(第3回転体)
21a,21b ラジアルローラ(第1回転体)
31a,31b ラジアルローラ(第1回転体)
41a,41b ラジアルローラ(第1回転体)
42 スラストギヤ(第2回転体,ねじ歯車の被駆動歯車)
43 スラストドライブギヤ(ねじ歯車の駆動歯車)
44 サブドライブシャフト

Claims (6)

  1. 円周上に複数の凹凸部が設けられ、該凹凸部同士が重なり合うように配された一対の第1回転体と、その回転軸が前記第1回転体の回転軸に対し所定角度をなし、且つ、前記凹部の空間内で回動自在にそれぞれ配された第2回転体とによりエレメントを構成してなることを特徴とするロータリーターンバー。
  2. 前記第1回転体間にエレメントを構成する第3回転体を、当該第3回転体の凹凸部が前記第1回転体の凹凸部と重なり合うように配するとともに、前記第2回転体の回転軸を、前記第3回転体の隣接する凸部間に軸架することを特徴とする請求項1に記載のロータリーターンバー。
  3. 前記エレメントを、前記第1回転体の回転軸方向に、又は前記第1回転体及び第3回転体の回転軸方向に、前記第2回転体が互いに隣接し合わないように複数個配列してなることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリーターンバー。
  4. 前記配列において、その中央から一方側に属する複数列中の、前記第2回転体の回転軸線と、その他方側の列に属する複数列中の、前記第2回転体の回転軸線とが直交することを特徴とする請求項3に記載のロータリーターンバー。
  5. 前記所定角度が90゜をなすとき、前記第2回転体は、前記第1回転体とは独立して回転駆動されることを特徴とする請求項1又は3に記載のロータリーターンバー。
  6. 前記第2回転体がねじ歯車の被駆動歯車を構成するとき、前記第2回転体は、前記一対の第1回転体間に配され、且つ、この第1回転体を貫き当該第1回転体の回転軸に平行なサブドライブシャフトに軸着されるねじ歯車の駆動歯車によって回転駆動されることを特徴とする請求項5に記載のロータリーターンバー。
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