JP3869057B2 - 低密度モリブデン焼結体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,低密度モリブデン(Mo)焼結体とその製造方法に関し,詳しくは,焼成炉用の敷き皿,放電電極,流体のフィルター等に用いられる低密度モリブデン焼結体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高融点金属であるモリブデン(以下,Moと示す)製品の要求項目として空孔度の高い(低密度の)製品の利用法がある。例えば,焼成炉用の敷き皿としての利用法がある。この際問題となるのは,Moと被焼成物の接触面では,被焼成物からのガス抜けが良くなく,その結果,被焼成物にソリ等の欠陥が発生する場合がある。これを解決する為に空孔度の高いMo製品が要求されている。
【0003】
また,別用途としては,電子部品として,低密度のMo焼結体の空孔にBa等の物質を含漫させ,放電電極として用いられたり,流体のフィルターとしての金属焼結体が用いられる。これらの場合は,適度な空孔率と高強度が要求される。
【0004】
純Moの理論密度は10.2g/cm3 であるのに対し,一般的な粉末冶金法で得られる焼結体の密度は,8.7〜9.9g/cm3 である。特に,焼結体を次工程で塑性加工を行う場合は塑性加工時に割れが生じる場合が多い為,9.6g/cm3 以上の密度が必要である。ここで言う一般的な粉末冶金法とは,粒径3〜10μmのMo粉末をプレス成型し,それを真空もしくは水素雰囲気で焼結し焼結体を得るものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
焼結部品で低密度のものを作る場合には,プレス圧をなるべく低くする方が低密度の焼結体が得られるので,バインダを添加したものでプレスする。その後,脱バインダ工程を施すことで相対密度で約70〜90%のMo焼結製品を作成することは可能であった。
【0006】
しかし,バインダを添加する場合は,バインダ添加による純度の問題があった。更に,これらの製品は,相対密度で約85%以下になると強度的にもろくなる問題があった。
【0007】
そこで,本発明の一技術的課題は,低密度かつ高強度の製品を安価で純度良く作成することができる低密度モリブデン焼結体及びその製造方法を提供することにある。
【0008】
また,本発明の他の技術的課題は,前記低密度モリブデン焼結体を用いた焼成炉用敷皿,放電電極,及び流体フィルター等の製品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、低密度モリブデン焼結体の製造方法であって、60〜150μmの目開きのふるいで分けられたMo凝集粉を、1200〜1800℃での真空もしくは水素雰囲気中で高温熱処理し、次いで、解砕し、粒径60〜150μmの粗粒粉を得て、次いで、2〜5トン/cm 2 でプレス成形し,真空又は水素雰囲気にて焼結温度での真空又は水素雰囲気で焼結することを特徴とする低密度モリブデン焼結体の製造方法が得られる。ここで、本発明において、焼結温度は、1800℃であることが好ましい。
【0010】
また、本発明によれば、前記低密度モリブデン焼結体の製造方法で作製される低密度モリブデン焼結体であって、前記焼結体は70〜85%の相対密度と、60kg/mm 2 以上の曲げ強度と,を有することを特徴とする低密度モリブデン焼結体が得られる。
【0014】
また,本発明によれば,前記低密度モリブデン焼結体から実質的になることを特徴とする焼成炉用敷皿が得られる。
【0015】
また,本発明によれば,前記低密度モリブデン焼結体を基部に用い,前記基部に形成された空孔に,Ba化合物を含浸してなることを特徴とする放電電極が得られる。
【0016】
さらに,本発明によれば,前記低密度モリブデン焼結体を用いたことを特徴とする流体フィルターが得られる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
まず,本発明の低密度モリブデン焼結体の製造の原理について,図1を参照して説明する。
【0019】
図1(a)は本発明の実施の形態による低密度モリブデン焼結体の構造を説明するための概略図であり,左図は粗粒Mo粉プレス体を示し,右図はこの粗粒Mo粉プレス体を焼結した後の粗粒Mo粉焼結体を夫々示している。
【0020】
また,図1(b)は比較のために従来のモリブデン焼結体の構造を説明するための概略図であり,左図は通常のMo粉プレス体を示し,右図はこの通常のMo粉プレス体を焼結した後の通常Mo粉焼結体を夫々示している。
【0021】
本発明においては,粒度の粗い粉末(以下,Mo粗粒粉と呼ぶ)を使用する。
【0022】
即ち,本発明において使用されるMo粗粒粉とは,60〜150μmの目開きのふるいで分けられたMo凝集粉を約1200〜1800℃で真空もしくは水素雰囲気にて高温熱処理し,更にそれを解砕した粒径60〜150μmMo純度99.9%以上の粉末である。
【0023】
このMo粗粒粉は,通常のMo粉とMo粗粒粉との焼結のされ方が若干異なる。つまり,本発明で用いるMo粗粒粉は,プレス前に熱処理を施す事により,その粒子自体が焼結している。その為,図1(a)に示すようにプレス体の状態で密度は同一でも,図1(b)に示す通常のMo粉より大きな空孔20を有する。これらのプレス体を焼結すると通常のMo粉のプレス体はlつ1つの粒子10が小さい為,粒子10同士の接触面積が大きくなり,図中の×印で示される空孔20が消滅していく。
【0024】
しかし,本発明で用いるMo粗粒粉プレス体は粒子10同士の接触が,通常のMo粉に比べ少ない為,接触している部分のみが焼結され結果的に焼結体中に図中の×印で示されるような大きな空孔20が残る。
【0025】
次に,本発明のモリブデン焼結体を得るために,上述のように作製されたMo粗粒粉をプレス圧力2〜5トン/cm2 でプレス成型し,更に約1800℃の真空もしくは水素雰囲気で焼結する。ここで,通常のMo粉からの焼結体で低密度品を得ようとすれば焼結を途中で止める状態になり,焼結体の強度は低下する。
【0026】
しかし,本発明によるMo粗粒粉からの焼結体は,粒子自体がある程度焼結されている為,高温で焼結しても収縮が起こりにくく,そのため高強度で低密度のMo焼結体を得る事ができる。
【0027】
以下,本発明の低密度モリブデン焼結体の製造の具体例について説明する。
【0028】
(第1の実施の形態)
ふるい目開き60〜150μmでふるい分けられたMo凝集粉を1200℃,1400℃,1600℃,1800℃にて熱処理を行い,それらを解砕して平均粒径約100μmのMo粗粒粉を作製した。さらに,直径60mmの金型にて圧力を変えてプレス成形しその後1800℃にて焼結した。
【0029】
また,市販の4μmのMo粉,即ち,非熱処理Mo粉でも,バインダーを混合後,同様の方法で作製し,両者を比較した。但し,市販のMo粉のプレス体は焼結の前に400℃で脱バインダーを行った。それぞれの密度の変化を調べた結果を図2に示す。
【0030】
焼結体の密度は熱処理温度が上昇するとともに低<なった。また,プレス圧を増加することにより,焼結体密度は高くなった。
【0031】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態で作製したMo粗粒粉を用い,10×30mmの金型を使って,厚さ約6mmのプレス体を作り,1600〜1800℃で焼結したときの密度の変化を図3に示す。また,この時のプレス体の強度を超硬工具協会規格CIS 026に基づき三点曲げ試験で測定した.その結果を図4に示す。
【0032】
密度については,焼結温度が高くなる程,高くなり,また熱処理温度の低いもののほうが,高くなった。曲げ強度についても,焼結温度が高くなるほど高くなり熱処理温度の低いものが高くなった。
【0033】
市販のMo粉を用い,このテストと同様の密度を出すため,3トン/cm2 でプレスし,400℃で脱バインダを行った後,1600℃で焼結体を得た。その焼結体の相対密度は,85.3%であった。また,上記と同様に三点曲げ試験を行い,曲げ強度を測定したところ,52kg/mm2 であった。この焼結体密度は1200℃熱処理品の1800℃焼結体とほぼ同様であるが,曲げ強度は明らかに低かった。Mo粗粒粉の焼結体は,粒子自身がある程度まで焼結されて密度が上がっている為,図1(b)に示すように空孔20を内包した状態になる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明では,いままでに不可能であった多孔質のMo焼結体を作製する事が出来る低密度モリブデン焼結体及びその製造方法を提供することができる。
【0035】
また,本発明によれば,相対密度約70〜85%の低密度焼結製品がバインダを添加せず作製することができる低密度モリブデン焼結体及びその製造方法を提供することができる。
【0036】
また,本発明によれば,前処理(熱処理)されたMo粗粒粉を使用する事により,低密度で高強度のMo焼結製品ができ,その前処理の温度によって密度をコントロールする事も可能である低密度モリブデン焼結体及びその製造方法を提供することができる。
【0037】
また,本発明によれば,従来の粉末冶金法を用いたモリブデン製品の製造工程を利用することができ,特別の装置や機械を必要としないので安価かつ容易に製造できる低密度モリブデン焼結体及びその製造方法を提供することができる。
【0038】
さらに,本発明によれば,前記低密度モリブデン焼結体を用いた焼成炉用敷皿,放電電極,及び流体フィルター等の製品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の実施の形態による低密度モリブデン焼結体の構造を説明するための概略図である。
(b)比較の為に,通常のMo粉を用いたモリブデン焼結体の構造を説明するための概略図である。
【図2】本発明の実施の形態によるMo粗粒粉の密度変化を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態による焼結体の相対密度と焼結温度との関係を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態による焼結体の強度と焼結温度との関係を示す図である。
【符号の説明】
10 粒子
20 空孔
Claims (5)
- 低密度モリブデン焼結体の製造方法であって、60〜150μmの目開きのふるいで分けられたMo凝集粉を、
1200〜1800℃での真空もしくは水素雰囲気中で高温熱処理し、次いで、解砕し、
粒径60〜150μmの粗粒粉を得て、次いで、2〜5トン/cm 2 でプレス成形し,焼結温度で、真空又は水素雰囲気で焼結することを特徴とする低密度モリブデン焼結体の製造方法。 - 請求項1記載の低密度モリブデン焼結体の製造方法で作製される低密度モリブデン焼結体であって、前記焼結体は70〜85%の相対密度と、60kg/mm 2 以上の曲げ強度と,を有することを特徴とする低密度モリブデン焼結体。
- 請求項2記載の低密度モリブデン焼結体から実質的になることを特徴とする焼成炉用敷皿。
- 請求項2記載の低密度モリブデン焼結体を基部に用い,前記基部に形成された空孔に,Ba化合物を含浸してなることを特徴とする放電電極。
- 請求項2記載の低密度モリブデン焼結体を用いたことを特徴とする流体フィルター。
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