以下、本発明の実施例を添付図面を参照して説明する。
(第1の実施例)
図1〜図26は、本発明に係る電気掃除機の一実施例を示している。
先ず、この実施例の概要を電気掃除機の外観斜視図を示す図1を参照しながら説明する。
図1において、符号1で総括的に示すのは電気掃除機であり、塵埃を吸い込むための図示しない送風機を備えた電気掃除機本体100と、一端を前記電気掃除機本体100に取付けられて前記送風機に連通する柔軟性のある吸引ホース200と、前記吸引ホース200の他端に取付けられて前記送風機に連通する手元ハンドル300と、前記手元ハンドル300に取付けられて前記吸引ホース200に連通する接続管400と、前記接続管400に取付けられて該接続管400に連通する吸口体500とから構成される。
前記電気掃除機本体100は、内部に使い捨て塵埃袋を備えた集塵室を備え、一対の大車輪101と1個の自在車輪102とで、前記吸引ホース200を介して移動させることができる。また、前記電気掃除機本体100は、図示しない電源コードを介して家庭用コンセントから電源供給を受けて前記送風機を動作させる。そして、この電気掃除機本体100の運転制御は、該電気掃除機本体100の上面に設けた運転表示部内の赤外線受光部103で、手元ハンドル300から発進される操作信号を受けて操作される。
前記吸引ホース200は、前記したように、手元ハンドル300と電気掃除機本体100との電気的接続が赤外線を使った接続であるため、塵埃を前記電気掃除機本体100に搬送するための搬送通路としての機能と、電気掃除機本体100を移動させるための移動引っ張り手段としての機能をもっている。
手元ハンドル300は、前記吸引ホース200と前記接続管400を連通させる機能と、前記電気掃除機本体100の運転制御及び移動させる機能、更に吸口体500の動きを操作する機能を備えている。該手元ハンドル300は、前記吸引ホース200と固着して接続され、前記接続管400と着脱自在に取付けられることで、前記吸引ホース200と前記接続管400を連通させて塵埃の搬送路を形成している。更に、該手元ハンドル300は、前記接続管400の長手方向、即ち、前記接続管400の中心軸Qの延長線上の上端に、前記中心軸Qと110度前後の角度を持ち、その長手方向が吸引ホース200と前記接続管400の接続方向と略一致する位置にハンドル部301を備えている。このハンドル部301により、前記吸引ホース200を介して前記電気掃除機本体100を移動させることができ、更に、吸口体500の動きを操作することができる。特に、このハンドル部301によれば、ひねり動作、即ち中心軸Qを中心とした回転P1を容易に行うことができる。この際、ハンドル部301を上部に設けているので、 下方に設けた吸引ホース200が前記ひねり動作を邪魔することがない。
更に、前記ハンドル部301の近傍には電気掃除機本体100の運転を操作する操作部302が設けられている。該操作部302には赤外線発信部303が設けられており、該赤外線発信部303から前記電気掃除機本体100に設けた前記赤外線受光部103に操作信号を発信し、電気掃除機本体100の電源のON、OFFや各種の制御を行うことができる。なお、手元ハンドル300には図示しない電池等の電源部を備えているため、前記吸引ホース200に電気配線を行うことが不要でる。また、赤外線発信部を2ケ所設けているため、天井や壁面等の反射を利用して確実に操作信号を電気掃除機本体100に伝達できるので誤操作を軽減することができる。
前記接続管400は、前記手元ハンドル300と吸込体500とを連通させ、更に、該手元ハンドル300と吸込体500とを所定の位置で固定することで、手元ハンドル300の動き(移動や回転)を吸込体500の動き(移動や回転)とするように伝達する機能を備えている。この実施例では、大きさの異なる2つの管体401、402を組み合わせて、所定の位置で固定できるように伸縮自在に構成し、一方に手元ハンドル300を、他方に吸口体500を着脱自在に取付けるようにしている。
前記吸口体500は、塵埃を吸い込むための吸口1010(図2参照)を底面に備えた吸口本体1000と、前記吸口本体1000を前記接続管400に連結し、前記接続管400を介して伝達される手元ハンドル300の動きに対して常に吸口本体1000の底面を床面に接するように動作する自在連結部1500とで構成される。
前記吸口本体1000は、床面の塵埃を吸い込むための回転ブラシ1011(図2参照)を備えた吸口1010(図2参照)を底面に備えている。自在連結部1500は、前記吸口本体1000と前記接続管400を連通する柔軟性のある連結ホース1501と、前記連結ホース1501を覆うように設けられ、前記吸口本体1000と前記接続管400を回転可能に連結する自在ヒンジ1502とから構成される。
前記自在ヒンジ1502は、該吸口体500を中心にして、手元ハンドル300の高低方向Yと、左右方向Xに回転可能に連結するとともに、手元ハンドル300のひねり動作の回転P1をそのまま吸口本体1000の回転P2に伝達する機構を備えている。この実施例では、自在ヒンジ1502を、前記吸口本体1000に回転可能に取付けられ高低方向Yの回転を可能にする下腕部1502aと、一端を前記接続管400に取付けられ、他端を前記下腕部1502aと左右方向Xの回転を可能にするように取付けられる上腕部1502bとから構成される。
なお、本実施例では、詳細については後記するが、前記高低方向Yの角度を床面から約90度、左右方向Xについては約180度の範囲に動作可能に設定している。
また、前記吸口体500は、吸口本体1000の周囲に従来のバンパーに変えて滑り部材1100を設けることで、壁際の清掃性を向上するとともに、底面に吸口体1000の長手方向Vの動きをスムーズにする車輪1200を設けている。更に、前記吸口本体1000の底面に設けた吸口1010の前部(先端部との間)に塵埃のガイド手段1300(図8参照)を設けることにより、取り難い壁際の塵埃を効率よく吸込むことができる。
このように、本実施例に係る電気掃除機1によれば、操作信号を赤外線信号を介して伝達しているので、吸引ホース200に配線する必要がないので吸引ホース200の軽量化が図られる。このため、使用者が手に持つ手元ハンドル300の負担が軽減され、電気掃除機本体100の引き回し走行や、吸口体500の操作を向上することができる。特に、この実施例の大きな特徴とするところは、手元ハンドル300を介しての吸口体500の動作、例えば前記手元ハンドルのひねり動作の回転P1をそのまま吸口体500の回転P2とすることができる等、使用者が手元ハンドル300で行う動作を吸口体500の動きとしてスムーズに行うことができる点にある。具体的には、例えば、手元ハンドル300を90度(回転P1)ひねることにより、吸口体500を図1の点線に示すように90度回転させ、壁面に沿って吸口本体1000の長手方向Vの方向に前後移動させながら壁際の床面清掃を行うことができる。この際、滑り部材1100と車輪1200により吸口体500をスムーズに動かすことができるとともに、壁面に傷をつけることを軽減することができ、更に、この取り難い壁際の塵埃を前記ガイド手段1300により効率よく吸込むことができる。
以下、図2〜図4を参照して、前記吸口体500を詳細に説明する。
先ず、吸口体500の部品構成図を示す図2を基に、吸口体500の平面配置構成の断面図を示す図3及び側面配置構成の断面図を示す図4を参照して、吸口体500の概略構造を説明する。
図において、前記したように、吸口体500は、吸口本体1000と自在連結部1500とから構成されている。
吸口本体1000は、吸口本体1000の骨格を成す下ケース1001と、吸口本体1000の前方をカバーする前部上カバー1002と、吸口本体1000の後方をカバーする後部上カバー1003とから構成される。
前記下ケース1001は、やや後方に吸口本体1000を前後に分割する仕切壁1004が設けられ、前部を吸引室1005とし、後部の中央を前記自在連結部1500の取付部1006とし、該取付部1006の両側を後記するダービン1012を駆動するための通風路1007としている。前記仕切壁1004の中央には、切欠部1008が形成され、該切欠部1008に吸引室1005の塵埃を自在連結部1500の前記連結ホース1501に導くためのベルマウス体1009が取付けられる。
後部上カバー1003は、前記自在連結部1500の取付部1006の上部をカバーして、前記ベルマウス体1009と自在連結部1500を前記下ケース1001に固定するものであり、図示しないネジ等で取付けられる。
前部上カバー1002は、前記吸引室1005と通風路1007の上部をカバーし、下ケース1001とともに吸引室1005及び通風路1007を構成するものであり、前部上カバー1002の前部の両側に設けた図示しないリブを下ケース1001に引っ掛けて後方の両側に設けた開閉レバー1022(図7参照)で着脱可能に取付けるようしている。
前記吸引室1005の下方の下ケース1001には吸口1010が形成され、該吸口1010の上の吸引室1005内に、塵埃の掻き上げ等を行う回転ブラシ1011が配設されている。回転ブラシ1011には、塵埃の掻き上げ効果の高い可撓性を持つブレードとナイロン等の拭き効果の高い刷毛をロータリーコアの外周軸線方向に設けた溝部に配設して成形され、その両端にタービン1012が取付けられている。
前記回転ブラシ1011及びタービン1012は、該タービン1012の両端部に設けた回転軸1013を、前記吸引室1005内の両端部に形成した軸受部1014に挿入し、前部上カバー1002の内側に設けた図示しない軸受部で押さえることで、前記回転ブラシ1011及びタービン1012を吸引室1005内に回転可能に配設する。
また、前記タービン1012の後方となる前記仕切壁1004の両側には開口部1015が形成され、更に前記通風路1007をカバーする前部上カバー1002の両側の後方には通風穴1016が形成され、該通風穴1016から吸気された空気が前記通風路1007を通って前記開口部1015から前記タービン1012に吹き付けられ、該タービン1012に取付けられた回転ブラシ1011が回転するようになっている。
ここで回転ブラシ1011の駆動について図3で詳細に説明すると、本実施例ではタービン1012を採用しているので、タービン1012に向って空気を吹付けるための図示しない多数のノズルからなる多翼ノズルをタービン1012の外周をほぼ覆うように配設している。この多翼ノズルは、上下に二分割されて配置されており、上側の多翼ノズルを前部上カバー1002裏面に固定し、また、下側の多翼ノズルを下ケース1001にネジを介して固定している。
タービン1012に吹付けられた空気は、タービン1012を回転させ、吸口1010から吸込まれる回転ブラシ1011によって巻き上げられた塵埃を含んだ空気流とともに、旋回流となって高速で回転する回転ブラシ1011に巻き付きながら中央に集まり、ベルマウス体1008、自在連結部1500を通って電気掃除機本体100へ導かれる。
このように、本実施例によれば、吸口体500は、通気穴1016によってタービン1012と回転ブラシ1011を回転させ、さらに吸口1010内で発生する旋回流の相乗効果により、掃除面の塵埃を巻き上げながら吸塵できるので、集塵性能を大幅に向上できる。
図2に戻り、前記回転ブラシ1011の上方に位置する前部上カバー1002の前部中央には覗き窓1017が設けられている。この覗き窓1017は、透明な樹脂材料、例えば傷付に強いアクリル樹脂を使用する。良好なものとしては、覗き窓1017の吸引室1005の内表面に回転ブラシ1011によって放出される塵埃による傷付を軽減するためにコーテング、例えばUV塗装を施したり、更には、内部を拡大して見易くするために凸レンズとなるように形成することで、回転ブラシ1011の汚れを外から知ることができる。また、該覗き窓1017を介して回転ブラシ1011の動作状況を目視できるので、例えば運転音や異常音等が聞こえにくい聴覚障害者が、電気掃除機1の動作状況、あるいは運転中における異物混入にともなう回転ブラシ1011の停止等のトラブルを知ることができる。したがって、この実施例によれば、電気配線が必要な電気的表示がなくとも動作状態の確認を容易に行うことができる。
一方、自在連結部1500は、下腕部1502aと、上腕部1502bと、連結ホース1501とで構成される。筒状の下腕部1502aは一端の両側に回転軸1503が形成され、該回転軸1503が前記下ケース1001の取付部1006に形成した軸受部1018と、後部上カバー1003に形成した軸受部1019に挟まれて上下方向(図面上の上下方向)に回転可能に取付けられる。
また、下腕部1502aの他端は、前記回転軸1503と90度交差した位置となる上下に回転軸穴1504が設けられている。一方、筒状の上腕部1502bは、一端に前記回転軸穴1504に取付けられる回転軸穴1505が形成される。該上腕部1502bと前記下腕部1502aは、前記回転軸穴1504と前記回転軸穴1505を合せてピン1506を挿入することで、左右方向(図面上の左右方向)に回転可能に取付けられる。
また、前記上腕部1502bの他端は、前記連結管402に着脱可能に連結する連結部1507が形成される。前記連結ホース1501は、ベルマウス体1009の後端部1009aと、上腕部1502bの連結部1507とを連結し、下腕部1502aと上腕部1502b内に取付けられる。
このように、本実施例に係る自在連結部1500によれば、連結ホース1501を下腕部1502aと上腕部1502bの内部に配設したので、連結ホース1501の遊びを少なくして最短距離とすることができるとともに、外部から連結ホース1501を保護することができる。
また、下ケース1001の上部周囲、特に吸口体500の前部となる自在連結部1500が取付けられる取付部1006と対向する長辺側には、他の周側より外側に張り出た肉厚部1020を形成することで全体の鋼性を高めるとともに、該肉厚部1020にナイロン等の植毛を施した滑り部材1100をインサート成形して設けている。
このように、本実施例に係る吸口体500は、電気掃除機本体100に設けた送風機の吸い込み気流によって回転するタービン1012を駆動源として回転ブラシ1011を回転させるので、吸口体500の軽量化が図れる。しかも、吸引室1005の後方中央に自在連結部1500の取付部1006、該取付部1006の両側に通風路1007を配置しているので、全高を低くしてコンパクトな形態にすることができる。また、鋼性と密閉が必要な自在連結部1500の取り付けを後部上カバー1003を取り付けることで解決しているので部品点数を減らして、組立性を向上することができる。また、前記後部上カバー1003以外の部分を前部上カバー1002を通り外すだけで開放でき、更に回転ブラシ1011も簡単に取り外せるので、分解性と清掃性を向上させることができる。加えて、回転ブラシ1011を簡単に装着して前部上カバー1002を取付けるだけで組立てを完了できるので取扱性を向上させることができる。
次に、吸口体500の外観を、図5〜図12を参照して詳細に説明する。図5は外観斜視図、図6は外観側面図、図7は外観背面図、図8及び図9は底面図、図10は滑り部材の要部断面図、図11は滑り部材の他の応用説明図、図12は車輪の断面図である。
先ず、図5において、本実施例の吸口体500は、その外観を薄形とするとともに吸口本体1000の前部を両側に張り出し、後部中央に配置した前記自在連結部1500の取付部1006を後方に張り出した「略T字形」の平面形状としている。そして、その上面全体をアール形状を主体とした形状とすることで清掃性を向上するとともに、各角部をアール形状とすることで、家具等へ傷を付けないように配慮している。
更に、図6及び図4に示すように、吸口本体1000の先端の側面形状を上面が凸円弧状の略クサビ形状とすることにより、回転ブラシ1011の回転域を確保しながら吸引室1005を空気流がベルマウス体1009に導入されやすい形状とするとともに、全体をコンパクトな形態としている。
また、図5に戻り、この実施例では、肉厚部1020を、吸口体500が家具等にあたりやすい部分、即ち吸口本体1000の両側に張り出した4つの角部を含んだ長手方向の両側と前部及び裏面の一部に連続して形成される帯状でかつ凸状の形態で形成している。そして、該肉厚部1020に滑り部材1100を連続して設けている。図10に示すように、滑り部材1100は、ナイロン材料の毛足の短い刷毛1101を刷毛台1102に植毛し、該肉厚部1020に形成した溝部1021に刷毛台1020を挿入することにより、刷毛1101を肉厚部1020に固定している。ここで、前記刷毛台1102は、一体のものを前記溝部1021に取付けることで部品点数を減らすことができるが、分割して取付けることで成形を容易にしてもよい。更に、前記刷毛台1102は、肉厚部1020に一体成形して組立性を向上してもよいが、接着や、樹脂材料の弾性等を利用した圧入による嵌合で設備のコストを下げてもよい。
更に、この滑り部材1100を採用する狙いは、吸口体500の前部を壁面等に沿って長手方向V(図1参照)に移動しやすくすることにある。したがって、前記滑り部材1100は滑りを向上させるものであればよく、例えば、図11に示すようにローラー1103を採用してもよい。より良好なものは、ローラー1103の周囲に、例えばゴムやビロード等の弾性材料を備えたり、タイヤとすることにより、滑りを良くしてバンパー機能としての効果を得ることができる。この場合、ローラー1103の取付け位置は、(b)図に示すように少なくとも吸口体500の前部の両側に前方に突出して設ければよい。更に良好なものは、吸口体500の前部両側の角部に取付けることで滑りやすさを向上させることができる。更に(a)図に示すように、吸口体500の前部両側の角部に加えて、前部の中央にも設けることで、壁面の凹凸を吸収し易くすることができる。より良好なものは、吸口本体1000の両側に張り出した4つの角部と前部の中央に設けることにより、移動性を高めることができる。この滑り部材1100の配置は前記図5に示す実施例も同様の配置にしてもよい。
加えて、図5に示す実施例では、滑り部材1100として刷毛1101を採用したが、ビロードや繊維材料を接着するなどして取付けて、製造コストを低減してもよい。これらの滑り材料1100は、厚めのものを採用することによりバンパー機能としての効果も期待できる。
また、図5に示す実施例では、強度のある下ケース1001の圧肉部1020に滑り部材1100を設けることで鋼性を高めているが、前記圧肉部1020を別部品のゴムや軟質樹脂等の弾性材料に変えて、該弾性材料に滑り部材1100を設けることで、家具等への傷付きを防止する衝撃吸収機能を備えながら滑りを向上させることができる。この場合、前記弾性材料を下ケース1001と前部上カバー1002とが接触する位置の外周に設けることで吸引室1005の気密を向上させることができる。
次に、図5において、この実施例では、吸口体500の大きさを、自在連結部1500を伸ばした状態で、奥行Dを304mm、吸口本体の奥行きD1、両側に張り出した根元部分の奥行きD2、両側端部の奥行D3をそれぞれ152mm、97mm、83mmに設定している。なお、この実施例では、連結部1507の長さD4を50mmに設定しているので、接続管400に取付けられた際の奥行を254mmに設定している。更に図6と図8に示すように、吸口本体1000の高さH63.5mm、横幅Wを280mm、吸口1010の横幅W1を226mmに設定している。
次に、図6及び図7において、この実施例に係る吸口体500は、上面を丸みのあるフラットな形態とすることで上面の汚れを拭き取り易くするとともに、上面を構成する前部上カバー1002を簡単に取り外せる等、清掃性が良好な形態としている。
この効果を実現するために、本実施例に係る吸口体500は、自在接続部1500の取付部1006以外の吸口体500の上面を前部上カバー1002で覆い、該前部上カバー1002に設けられる前部上カバー1002の横方向にスライドする一対の開閉レバー1022と通気穴1016を前部上カバー1002の背面壁の両側に集中して設け、前部上カバー1002を取り外すための手掛凹部1023を前部上カバー1002の両側面に設けている。
前記通気穴1016は、吸口体500の長手方向に沿って複数に分割されたスリット部1016aから構成され、該スリット部1016aは周囲から一段低くなるように凹状に形成され、該凹状内にパンチング状の開口部が前部上カバー1002と一体成形されている。この通気穴1016の構造によれば、強度的に弱くなるパンチング状の開口部を周囲より一段低く形成して、しかもスリット状に複数に分割しているので、衝撃に対し強くすることができる。
本実施例によれば、開閉レバー1022と通気穴1016を衝撃の受け難い背面部に設けるとともに、仮に、掃除中に家具等に接触した場合においても外力から損傷を受け難い構造としている。また、吸口体500(前部上カバー1002)の側面に手掛凹部1023を設けるようにしているので、人差指あるいは中指をこの手掛凹部1023に挿入し、親指を開閉レバー1022に掛け、開閉レバー1022を外側に向かってスライドさせて係合を外し、親指と人差指(中指)とで摘み、前部上カバー1002を吸口体500から容易に外すことができる。
更に、汚れの溜まり易い前記開閉レバー1022と通気穴1016及び手掛凹部1023は、垂直面に設けられているので汚れが溜まりにくい。しかも、前部上カバー1002に設けられているので、該前部上カバー1002を外して裏表から洗えるので清掃性を向上することができる。加えて、前部上カバー1002を簡単に装着でき、更に装着した吸口体500の上面は前部上カバー1002と後部上カバー1003が連続した丸みのあるフラット形状となっているので、汚れを簡単に拭き取ることができる。
図8及び図9において、下ケース1001には、吸口体500全体を前後方向並びに左右方向Vに移動させるとともに、吸口体500の底面部と掃除面との間に一定間隔を保つように複数の車輪1200が配置される。車輪1200は、吸口体500の底面の前部両側に配置される一対の前車輪1201と、その後方に配置される一対の後車輪1202、及び電気電気掃除機1の使用中における掃除面に対する圧力を受けるための一対の最後部車輪1203が配設されている。
ここで、前車輪1201と後車輪1202は互いに相向き合う位置に配置されている。即ち、下ケース1001のタービン1012の径方向延長部には前述したように、一対の前車輪1201と一対の後車輪1202が位置し、タービン1012の下部の吸口1010と清掃床面の間のすきまを一定に保つようにしている。更に、自在連結部1500の下方に、該自在連結部1500を挟むように一対の最後部車輪1203を設けることで、手元ハンドル300から力を受けても、該最後部車輪1203で受けて、清掃床面との前記すきまを一定に保つようにしている。しかも、該自在連結部1500を挟むように設けているので、自在連結部1500の高低方向Yの動作範囲、特に最低角度Θ1に支障をきたさない。
さて、本実施例に係る吸口体500は、前記したように、前後方向の動きに加えて左右方向Vに移動させることを大きな特徴としている。この左右方向Vの動きを達成するために、この実施例では、図12に示すような、前記車輪1200の周囲に滑り部材1210を設けている。車輪1200は通常の車輪のように回転軸1211を備え、床面との接触面となる周側面に前記滑り部材1210が取付けられる凹部1212を形成し、その両端面に左右方向Vの障害物の乗り越えを向上するCカット面1213を形成している。滑り部材1210は、前記吸口体500の周囲に設けた滑り部材1100と同様なものであり、ナイロン材料の毛足の短い刷毛1214を刷毛台1215に植毛し、該車輪1200に形成した凹部1212に刷毛台1215を挿入することにより、刷毛1214を車輪1200に固定している。この実施例では、刷毛台1215をリング状のものを2つに分割して、前記車輪1200を挟み込むようにして取付ける。この取付け方法は前記滑り部材1100と同様である。そして、前記車輪1200を吸口体500の底面部の前記所定の位置に形成した車輪収納部の軸受けに圧入して取付ける。
なお、この実施例では、前後方向の動きに加えて左右方向Vにも移動させるために車輪1200を採用したが、これに限定されるものではない。例えば、自在車輪でもよく、あるいは吸口体500の前記車輪1200が配置された所定の位置に突起部を形成し、該突起部に前記滑り部材1210を設けることでもよい。
このように、この実施例に係る吸口体500の底面部には、前車輪1201と後車輪1202がそれぞれ左右に、また後方中央部に最後部車輪1203が配設されるように5点(基本的な配置)車輪としている。この車輪構成によれば、前後方向の走行性に優れ、更に左右方向Xはもちろんのこと斜め移動や回転性にも優れた走行性を得ることができる。特に、最後部車輪1203は、使用時に自在連結部1500の回転軸1503より使用者側に位置しているので、前後方向の動き、特に後退させる時の吸口体500の先端の浮き上がりを軽減できる。更に、前記自在連結部1500の回転軸1503を前記5点車輪の中に設けたので、手元ハンドル300を介して吸口体500を回転させても吸口体500の傾き(角部の浮き上がり)を軽減できる。しかも、各車輪1200は吸口体500の角部に配置されているので回転時の引っ掛かりを軽減できる。
次に、吸口体500の底面部に設けた吸口1010の前部には塵埃のガイド手段1300が設けられ、吸口1010の後部に圧力制御板1301が設けられている。ガイド手段1300は、吸口1010と吸口体500の先端部との間に形成されている平面部1302により吸い込みづらい塵埃を効率よく吸込む機能をそなえたものである。例えば、従来の吸口体では、吸口体の先端部を壁面に接触させた場合、前記平面部1302の下方の床面に存在する塵埃は吸込まれる空気流の勢いでしか吸い取ることができない。
本実施例に係る前記ガイド手段1300は、この吸い込みづらい塵埃を効率よく吸込むためのものである。本実施例では、前記課題を解決するために、毛足の長いナイロン等の刷毛の束1310を前後方向に列を成すように配設した刷毛列1311を前記平面部1302に左右方向に複数配列してガイド手段1300を構成する。この実施例では、図8に示すように、前記刷毛列1311が中央を中心に左右対称となり、各刷毛列1311が吸口1010側に収束するように斜めに配置している。前記刷毛の束1310は、直接前記平面部1302に埋め込んで植毛してもよく、あるいは前記印毛列1311を1グループとして刷毛台に植毛し、該刷毛台を前記平面部1302に埋め込ん取付けてもよい。
このガイド手段1300によれば、各刷毛列1311の間に空気流の流路1312が形成されるから、該流路1312を介して空気流の流れを加速して塵埃を吸い込み易くすることができる。また、吸口体500を移動させることにより、前記平面部1302にある塵埃が前記刷毛の束1310でかきあげられて、吸い込み易くすることができる。つまり、前記平面部1302にある塵埃を吸口体500を移動させることにより、前記刷毛の束1310でかきあげて、前記流路1312で吸口1010に導くことができる。
なお、圧力制御板1301は、前記流路1312で勢いあまって後方に飛び出した塵埃を受け止めて、吸口1010に再度吸込ませるものである。
図9は、図8で説明した実施例の他の応用例である。この実施例に係る吸口体500は、最も手元ハンドル300の力を受ける自在連結部1500の下部に大きな最後部車輪1203aを設けて、鋼性と走行性を高めている。また、この実施例のガイド手段1300は、刷毛台1313に刷毛1314を植毛して、該刷毛台1313を平面部1302の長手方向に沿って間隔を持って埋め込んでいる。この実施例によれば、流路1315を少なくしているので流速を高めることができるとともに、刷毛1314を密集して設けているので床面を拭く効果を高めることができる。
また、この実施例では、自在連結部1500を、点線で図示するように、柔軟性のあるシートでカーバーしてもよい。前記シートとしては、筒状に形成したゴム材料や、ジャバラ状に形成した軟質樹脂、あるいは織物でもよく、自在連結の動作範囲を阻害しないものであればよい。また、清掃性を考慮して着脱自在にするとよい。このようにすれば、自在連結部1500で指を挟むことなどを防いで安全性を高めることができる。
次に、図13〜図16を基に自在連結部1500について詳細に説明する。図13は自在連結部の外観斜視図、図14は自在連結部の平面図、図15は自在連結部の組立工程図、図16図は他の自在連結部の応用例の説明図である。
図13、図14において、先ず、この実施例に係る吸口体500は、2つの腕(下腕部1502aと上腕部1502b)を互いに直行する2つ回転軸で回転可能とした関節形のヒンジを採用している。
具体的には、筒状に形成された下腕部1502aは、回転軸1503を中心に上下部に切欠部1510、1511を形成して、円弧状に切り欠かれることで、回転軸1503を中心とした下腕部1502aの回転をスムーズにするとともに高低方向Yの角度を決定している。つまり、下腕部1502aの下部切欠部1510は、下ケース1001の取付部軸1006の後方に形成した切欠部1024(図2参照)とともに、高低方向Yの角度の最低角度Θ1を決定している。この実施例では、5度程度にすることで、自在連結部1500や接続管400に取付けたアダプタ等が床面と接触しないようにしている。上部切欠部1511は、後部上カバー1003の後部に形成された切欠部1025(図2参照)とともに、高低方向Yの角度の最高角度Θ2を決定している。この実施例では、95度程度とすることで、吸口体500と接続管400及び手元ハンドル300を連結した状態で縦収納を可能にしている。
一方、下腕部1502aと上腕部1502bは、回転軸穴1504、1505の両側に切欠部1512、1513を形成することで、左右方向Xの角度Θ3を決定している。この実施例では、角度Θ3を左右に90度づつ合計180度の動作範囲となるように形成している。
この関節形の構造によれば、高低方向Y及び左右方向Xの回転を可能とするとともに、手元ハンドル300のひねり動作の回転P1を同じ回転角度として伝達して、吸口体500の回転P2を得ることができる。この高低方向Yと左右方向X及び回転P1、P2は下腕部1502aと吸口本体1000の回転を左右方向Xとし、上腕部1502bで高低方向Yの回転を行うことでも可能である。しかしながら、吸口体500の直進性を良好にするためには、下腕部1502aと吸口本体1000の回転を高低方向Yの回転とする方がよい。なお、下腕部1502aと吸口本体1000の回転を左右方向Xの回転とする場合は、左右方向Xの回転を所定の位置で固定するロック手段を設けるようにする。
また、本実施例では、上腕部1502bと下腕部1502aを前記ピン1506で回転可能に連結しているが、この構造に限定されるものではない。例えば、図13の(b)図に示すように、前記実施例の上腕部1502bの回転穴1504に変えて凸軸1504aを形成し、下腕部1502aの回転穴1505に変えて前記凸軸1504aを受ける凹受軸1505aを形成して、該前記凸軸1504aと凹受軸1505aを回転可能に嵌合するようにする。この構造によれば、樹脂材料の弾性を利用して凸軸1504aと凹受軸1505aの嵌合を強固なものすることができるとともに、大きな圧力、例えば自在連結部1500に大きなねじれの力が加わった場合に、前記樹脂材料の弾性力により、自在連結部1500を破損させることなく、前記嵌合を外して、破損を回避することができる。もちろん、前記弾性力により、もとの嵌合状態に戻すことも容易であり、組立性が向上する。
また、図14において、回転軸1503の中心と回転軸穴1504、1505の中心の距離L1は、連結ホース1501の最小曲げ半径Rを考慮して決定される。つまり、連結ホース1501が下腕部1502aと上腕部1502bに固定されて伸縮が制限される1514と1515の位置間の距離L2が前記最小曲げ半径Rの2倍となるように決定する。そして、前記距離L2の1/2を距離L1とするように決定する。したがって、下腕部1502aと上腕部1502bの内径に対して細い連結ホース1501であれば、L1を短くでき、連結ホース1501を太くすればL1を長くする。
なお、連結ホース1501の最小曲げ半径Rは、本実施例では、後記理由により連結ホース1501をやや引っ張りぎみに設定した状態のものを採用しているが、これに限定されるものではない。通常の状態での連結ホース1501を採用してもよい。
加えて、この実施例では、連結ホース1501を下腕部1502aと上腕部1502bでカバーしているので、連結ホース1501と下腕部1502aと上腕部1502bとの接触する部分に補強部材を設けるようにすることで、連結ホース1501がすれて穴があくなどのトラブルを軽減して耐久性を高めることができる。前記補強材料は、位置1514と1515を中心とした下腕部1502aと上腕部1502bの内側に施したり、あるいは連結ホース1501全体を耐久性と伸縮性のある補強シートで覆ってもよい。特に補強シートに色彩を施せば、塵埃による汚れを軽減して、多彩な機種展開を図って意匠性をも向上することができる。
また、この実施例では、左右方向Xの回転を90度の位置で一時的にロック状態とするロック機構1516を備えている。例えば、この実施例では回転軸穴1504と1505がピン1506で嵌合した状態で、下腕部1502aと上腕部1502bの摺動面に、下腕部1502aと上腕部1502bが直線状となる位置で嵌合する凸部1517と凹部1518を設けている。なお、凸部1517と凹部1518の嵌合の強さは、樹脂材料の弾性を考慮して、回転軸からの距離及び凹凸の大きさを適宜決定する。
このロック機構1516によれば、下腕部1502aと上腕部1502bが直線状となる状態では、左右方向Xの回転が固定されるために、吸口体500の直進性が向上して前後方向の移動が容易となる。一方、手元ハンドル300を介して吸口体300を回転させようとすると、樹脂材料で形成された凸部1517と凹部1518の嵌合が弾性により外れるので、僅かな力でロック機構1516を外すことができる。なお、この実施例では、吸口体500の直進性を高めるために凸部1517と凹部1518を1ケ所設けているが、例えば、凹部1518を頻度の高い所定角度(45度、90度等)に複数個設けてもよい。
次に、図15により、自在連結部1500の組立工程を説明する。先ず、この実施例の連結ホース1501は、ベルマウス体1009と上腕部1502bに引っ張るように取付けらている。この引っ張り力により、連結ホース1501が真っ直ぐな状態ではその状態を維持し、曲げの力が加われば曲がる方向に強く作用するようにしている。このため、前記ロック機構1516がロック状態では、よりロック状態を維持して直進性を高め、ロック状態が外れれば吸口体500の旋回を楽に行うことができる。なお、この実施例では、吸口体500の直進性を良好にする一手段として、連結ホース1501の引っ張り力を利用しているが、例えば、両側にバネやゴム等の引っ張り部材を左右対称に設けて、直進性を高めてもよい。
本実施例では、前記連結ホース1501を自在ヒンジ1502の中に配設しているので、図15に示すような工程で組立てを行う。特に、この工程は、連結ホース1501を引っ張りぎみに取付ける際に有効である。
先ず、(a)図に示すように、連結ホース1501を、下腕部1502a内に通し、連結ホース1501の一端をベルマウス体1009の後端部1009aに取付け、該ベルマウス体1009を前記仕切壁1004の中央に設けた切欠部1008に取付けるとともに、下腕部1502aの回転軸1503を下ケース1001の取付部1006の軸受部1018に取付け、後部上ケース1003を取付けて、前記ベルマウス体1009と下腕部1502aを固定する。この際、連結ホース1501の他端には、上腕部1502bに設けた嵌合穴1519と嵌合して連結ホース1501と上腕部1502bと を連結する凸リブ1520と、上腕部1502bと連結ホース1501との気密性を保つパッキン1521bとを備えた連結部1521を取付けておく。
次に、(b)図に示すように、上腕部1502bと下腕部1502aとを交差させて、連結部1521を上腕部1502bに挿入して、前記嵌合穴1519と凸リブ1520を嵌合して、連結ホース1501と下腕部1502aを連結する。
次に、(c)図に示すように、上腕部1502bをひぱって回転軸穴1504と1505を合せ、ピン1506を挿入することで、上腕部1502bと下腕部1502aを連結して自在連結部1500の組立てを終了することができる。
なお、前記図13(b)図で説明した凸軸1504aと凹受軸1505aを採用した場合は、樹脂材料の弾性を利用して嵌合する。この組立工程は、一実施例であり、他の工程で組み立ててもよい。
次に、図16は、自在連結部1500の組立性と分解性を向上した他の実施例である。図16中、(a)図は前記連結ホース1501の他端に取付けた連結部1521の部分拡大図と部分断面図、(b)図は連結ホース1501の他端を取り外した状態の外観図である。
図16において、連結ホース1501の他端には、前記実施例と同様なパッキン1521bを備えた連結部1521aを取付ける。この連結部1521aに切れ込みを入れて内側に押し込み可能な凸リブ1520aを設け、上腕部1502bには前記凸リブ1520aと嵌合し、切れ込みを入れて外側に張り出すことが可能な嵌合穴1519aを備えた離脱ボタン1519bを設ける。この構造によれば、前記15に示す実施例と同様に、連結部1521aを上腕部1502bに挿入して、凸リブ1520aと前記嵌合穴1519bを嵌合して、連結ホース1501と下腕部1502aを連結することができる。一方、離脱ボタン1519bを矢印にように押し込めば、前記嵌合が外れ連結ホース1501の一端を取り外すことができる。
このため、吸口体500を清掃する際に、汚れやすい連結ホース1501の内側を清掃し易くすることができる。加えて、連結ホース1501とベルマウス体1009の取付部1009aとの取付けを着脱可能な取付け、例えば、取付部1009aに連結ホース1501をねじ込むような取付け構造にすれば、前記嵌合が外れ連結ホース1501を回転させるて、連結ホース1501を簡単に取り外すことができる。したがって、後部上カバー1002を取り外さなくてもよい。このような構造とすれば、連結ホース1501のメンテナンス時の交換が容易であり、また、吸口体500の清掃性を向上することができる。特に吸口体500を丸洗いした時に、連結ホース1501の洗浄や乾燥が容易となる。
次に、使用状態図を示す図17〜図20を参照して本実施例に係る電気掃除機1の操作方法を説明する。
図17において、先ず、本実施例に係る電気掃除機1では、使用者は立ち姿勢で手元ハンドル300を保持することにより、接続管400を介して吸口体500を操作して床面の掃除を行うことができる。この際、吸引ホース200を介して手元ハンドル300に連結される電気掃除機本体100には一対の大車輪101と1個の自在車輪102が備えられているので、移動しながら清掃を行うことができる。一般に、日本女性の平均身長は157センチであるが、この使用者が自然に手元ハンドル300を持った状態で、接続管400を介し吸口体500を前後させて掃除をしようとした場合には、手元ハンドル300と床面との垂直方向の距離が78センチ以下であれば手や腕に負担をかけることなく掃除をすることができる。その角度は垂直方向に45度とする使用者の最も操作される動作範囲に設定され、45度以上であれば逆に手や腕に負担をかけることになる。
そこで、本実施例では、延長管10の角度が45度となるように延長管10の長さを設定している。そして、手元ハンドル300のハンドル部301を110度前後に設定しているので、該ハンドル部301を把持する使用者は前記延長管10の角度が45度の状態で前後方向の動きを楽にすることができる。また、吸口体500の吸口1010が設けられた底面部は、自在連結部1500の下腕部1502aが高低方向Yに回転するので、吸口体500が前後方向に移動しても前記吸口体500の底面部を床面から浮き上がらせることがない。この際、左右方向Xの回転は、延長管10が45度に傾いているために、上腕部1502bの左右方向Xの回転軸が45度傾いているため、上腕部1502bの左右方向Xの回転がしにくく、吸口体500を前後方向に移動させても吸口体500の左右方向Xのぶれを軽減することができる。更に、この実施例では、ロック機構1516及び引っ張りぎみに設けた連結ホース1501を備えているので、より吸口体500の直進性を良好なものとすることができる。加えて、吸口体500の底面部に設けた車輪1200は回転軸1211を中心とした通常の車輪としての回転を行って直進性を高める。特に最後部車輪1203により前後移動における吸口体500の先端部の浮き上がりを軽減して良好な直進性が得られる。加えて、この実施例では、前記ガイド手段1300の刷毛1214と、回転ブラシ1011のダブルブラシで床面の塵埃を2重にかきあげて吸い込み効率を高めることができる。
ここで、この実施例では、下腕部1502aで高低方向Yの回転を行い、上腕部1502bで左右方向Xの回転を行うことで、前記通常姿勢となる延長管10が45度の状態での直進性を高めることができる。なお、下腕部1502aで左右方向Xの回転を行い、上腕部1502bで高低方向Yの回転を行う構造では、後記する吸口体500の回転動作を前記実施例と同様に行うことができるが、直進性に課題が残るので、左右方向Xの回転を阻止する前記ロック機構1516を設ける必要がある。
図18において、この実施例では、手元ハンドル300のハンドル部301をひねる動作で吸口体400の向きを、前記手元ハンドル300の回転にリンクして変えることができる。図18中、(a)図はハンドル部301を真っ直ぐにした状態、(b)図はハンドル部301を45度ひねった状態、(c)図はハンドル部を90度ひねった状態の手元ハンドル300と吸口体500の状態図である。なお、図18では、説明の都合上3つの角度で説明するが、手元ハンドル300のひねり動作の角度と吸口体500の角度は動作範囲のどの角度でもリンクして動作する。
先ず、(a)図では、ハンドル部301及び吸口体500とも、真っ直ぐに正対して直進走行に適した状態である。
一方、(b)図に示すように、ハンドル部301を45度ひねると自在連結部1500の作用により吸口体500の向きも45度傾けることができる。この状態では、吸口体500の車輪1200が横スベリするので、吸口体500を傾けたまま前後方向の動きを行うことができる。例えば、前方に障害部があって幅が狭くなっている部分を清掃する際などに極めて有効である。また、吸口体500の向きを変えることで車輪1200の向きを変わるので、自動車のハンドルを回すように吸口体500のコース変更が容易となる。
また、(c)図に示すように、ハンドル部301を90度ひねると自在連結部1500の作用により吸口体500の向きも90度傾けた横方向にすることができる。この状態では、吸口体500の車輪1200が横スベリするので、吸口体500を真横にした状態で前後方向(前記左右方向V)に移動させることができる。この姿勢では、壁際の清掃の際に極めて有効である。この壁際の清掃を図19で説明する。
図19において、(a)図は、吸口体500を真横にした状態で壁際を清掃する状態を示し、(b)図は壁に沿って肩幅程度の余裕を持って吸口体500を真横に近い状態で壁際を清掃する状態を示している。更に(c)図は本実施例の180度の動作範囲より広い動作範囲を設定することで、狭いすきま清掃がより最適になる点を示した図である。例えば、このような広い動作範囲とすることで、接続管400や、ハンドル部301をひねった際に横に向く吸引ホース200が壁等に接触することを軽減することができる。
さて、前記19図に示す状態では、何れも吸口体500の先端部を壁面に当てた状態で、真横の吸口体500を前後方向(左右方向V)に移動させることができる。この状態では、吸口体500の周囲に設けた滑り部材1100により、壁面に傷を付けることなく移動させることができ、しかも、底面部に設けたガイド手段1300により、吸口1010と壁面の間の塵埃を効率よく吸込むことができる。
次に、図20において、この実施例に係る吸口体500は、前記吸口体500の旋回性能を備えながら全高Hを低くすることができるので、家具の下等の高さの低い部分の清掃性に優れている。図20図中、(a)(b)図が従来例の使用状態の側面図と平面図、(c)(d)図が本実施例の使用状態の側面図と平面図である。
(a)図と(c)図の対比から明らかなように、本実施例によれば、手元ハンドル300を低くすることにより、低いすきまにむぐり込ますことができるが、従来例では屈曲した継手を採用しているので、手元ハンドル300を低くすると、吸口体500の底面を浮かしてしまう。従来例は、(b)図のように、手元ハンドル300をひねる動作で屈曲した継手を横にして全高Hを低くすることができるが、吸口体500が斜めに向いてしまうので、すきまの奥の清掃性に課題が残る。一方、本実施例では、(d)図に示すように、ひねる動作を行うことなく、吸口体500をすきま奥の壁面に正対させることができる。しかも、ロック機構1516により、この正対させた状態を維持することができる。
(第2の実施例)
次に、図21から図25を参照して、本発明に係る電気掃除機の他の実施例を説明する。この第2の実施例は、前記第1の実施例の吸口体500を、搬送通路となる連結ホース1630と、吸口体500の支持部材とを分離した吸口体510に変更した点で相違し、他の電気掃除機本体100等は同様なものを採用している。ここでは、吸口体510について説明し、他の部分の説明を省略する。また、同様な構造や部位または矢印等は同一の符号を示し、その説明を省略する。
先ず、外観斜視図を示す図21を参照してこの第2の実施例の概要を説明する。この実施例に係る吸口体510は、塵埃を吸い込むための吸口1010(図22参照)を底面に備えた吸口本体1050と、前記吸口本体1050を前記接続管400に連結し、前記接続管400を介して伝達される手元ハンドル300の動きに対して常に吸口本体1050の底面を床面に接するように動作する自在連結部1600とで構成される。
前記吸口本体1050は、床面の塵埃を吸い込むための回転ブラシ1011(図22参照)を備えた吸口1010(図22参照)を底面に備えている。自在連結部1600は、前記接続管400を連通する接続部1601と、前記接続管400の長手方向、即ち、前記接続管400の中心軸Qの延長線上の下端に取付けられて、吸口本体1050と接続部1601を回転可能に連結する自在ヒンジ1602と、前記吸口本体1050と前記接続部1601を連通する柔軟性のある連結ホース1603とから構成される前記自在ヒンジ1602は、該吸口体510を中心にして、手元ハンドル300の高低方向Yと、左右方向Xに回転可能に連結するとともに、手元ハンドル300のひねり動作の回転P1をそのまま吸口本体1050の回転P2に伝達する機構を備えている。この実施例では、吸口本体1050に設けられた第1のY字体1604と、前記接続部1601に取付けられた第2のY字体1605と、前記第1のY字体1604及び第2のY字体1605に回転軸を直行させて、その交わる交点S1を中心に回転可能に取付けられて両Y字体1604、1605を連結する連結体1606とから構成している。
なお、本実施例では、詳細については後記するが、前記高低方向Yの角度を床面から約90度以上、左右方向Xについては180度以上の範囲で動作可能である。
また、前記吸口体510は、吸口本体1050の周囲に滑り部材1100を設けることで、壁際の清掃性を向上するとともに、底面に吸口体1050の長手方向Vの動きをスムーズにする自在車輪1250(図24参照)を設けている。更に、前記吸口本体1050の底面に設けた吸口1010の前部(先端部との間)に塵埃のガイド手段1300(図24参照)を設けることにより、取り難い壁際の塵埃を効率よく吸込むことができる。なお、滑り部材1100は第1の実施例と同様につき説明を省略する。
このように、本実施例に係る吸口体510によれば、前記第1実施例と同様な効果を備えるとともに、塵埃を搬送する機能を備えた連結ホース1603を、吸口体510を回転可能に支持する自在ヒンジ1602から分離した構造としているので、構造を簡単にして、製造コストの低減を図ることができる。
以下、図22〜図26を参照して、前記吸口体510を詳細に説明する。図22は部品構成図、図23は自在ヒンジの構造図、図24は外観底面図、図25は概略断面図、図26は使用状態の説明図である。
先ず、吸口体510の部品構成を図22と図25を基に説明する。図において、前記したように、吸口体510は、吸口本体1050と自在連結部1600とから構成されている。吸口本体1050は、吸口本体1050の骨格を成す下ケース1051と、吸口本体1050の前方をカバーする前部上カバー1052と、吸口本体1050の後方をカバーする後部上カバー1053とから構成される。
後部上カバー1053は、下ケース1051にネジを介して取付けられ、両側後方に配設した図示しない通風路1007を形成する。そして、上面前部中央に前記連結ホース1603の取付部1055を配置し、該取付部1055の後方に自在連結部1600の第1のY字体1604が設けられる。また、後部上カバー1053の前部中央には、前記連結ホース1603の取付部1055と連通するベルマウス体1009、その両側には、前記通風路1007と連通する開口部1015が設けられている。
前部上カバー1052は下ケース1051に着脱可能に取付けられて、集塵室1005を構成する。集塵室1005の底面には吸口1010が形成され、該集塵室1005内に両側にダービン1012を備えた回転ブラシ1011が配設される。この実施例も前記第1の実施例と同様に通気穴1016によってタービン1012と回転ブラシ1011を回転させ、さらに吸口1010内で発生する旋回流の相乗効果により、掃除面の塵埃を巻き上げながら吸塵できる。
自在連結部1600は、接続部1601と自在ヒンジ1602と連結ホース1603とから構成される。接続部1601は、一端に接続管400と着脱可能に取付けられる連結部1507を備え、他端に前記自在ヒンジ1602の第2のY字体1605が取付けられて、該第2のY字体1605と連結部1507とが中心軸Qの延長線上にほぼ位置するようにしている。また、図25に示すように、連結部1507に形成される集塵路1607は、緩やかに屈曲して前記第2のY字体1605の前方に配設されており、第2のY字体1605の前部に前記集塵路1607と連通する連結ホース1603の取付部1608が形成されている。このことにより、集塵路1607のめづまりを軽減している。連結ホース1603は、前記取付部1608と吸口本体1050の取付部1055と着脱可能に取付けられる。
次に、図23に基づいて、自在ヒンジ1602について説明する。図において、前記自在ヒンジ1602は、高低方向Yを回転可能にする回転軸Y1と、左右方向Xを回転可能とする回転軸X1を交点S1の1点で直行させて両軸での回転を可能にする構造としている。
吸口本体1050に設けられた第1のY字体1604、及び、前記接続部1601に取付けられた第2のY字体1605の先端の内側には、回転軸1604a、1405aがそれぞれ設けられて、連結体1606の図示しない軸受穴に回転可能に取付けられている。また、この自在ヒンジ1602は回転軸Y1と回転軸X1が交点S1の1点で直行させてはいるものの、前記第1の実施例と同様、関節形のヒンジである。このため、この実施例でも、高低方向Yと左右方向Xに加えて、手元ハンドル300の回転P1の回転角度と同じ回転角度を吸口本体1050に伝達して、吸口体510を旋回させることができる。したがって、前記回転軸Y1と回転軸X1は交点S1の一点で交差しなくともよい。ただ、交点Sで交差することにより、自在ヒンジ1602を非常にコンパトにすることができる。
次に、図24に基づいて、吸口体510の底面の構造を説明する。図において、この実施例は走行性、特に旋回性に優れた自在車輪1250を採用している。該自在車輪1250は、底面後方の両側(図面下部)に設けた一対の後車輪1251と、底面中央の両側に設けた一対の前車輪1252とからなる4輪構成としている。この4輪の配置は、接続管400が45度の角度となる使用頻度の高い使用状態で、接続管400の中心軸Qの延長線上に吸口体510の旋回中心S2がほぼ位置するように配置したものである。この配置により、手元ハンドル300のひねり動作が行い易くスムーズに行うことができる。更に、この後方に片寄った車輪配置は、手元ハンドル300から伝達される移動動作にともなう付加が加わり易い吸口体510の後部をカバーするものであり、吸口体510の姿勢維持に効果がある。
なお、この実施例では、前記自在車輪1250を凹部内に設けることで、吸口1010と床面のすきまが大きくならないようにするとともに、デッドスペースとなる底面の後方中央を凹状とすることで、吸口体510の強度を高めるとともに軽量化を図ている。
更に、この実施例では、吸口体510の底面の前部にガイド手段1300を設けることで、前車輪1252とガイド手段1300との間に配置される吸口1010と清掃床面の間のすきまを一定に保つようにしている。これにより、ガイド手段1300に方向性のない車輪のような機能を持たせることができるので、旋回性能を向上しながら吸い込み効率を維持することができる。
また、この実施例のガイド手段1300は、刷毛の束1310を吸口体510の長手方向に列を成すように配設した刷毛台1215を平面部1302の先端部に取付けている。
図25、図26において、この実施例では、連結ホース1630を高低方向Yの角度が0度の状態で、吸口体510の先端が上がらない程度に張りぎみとなるように取付ける。これにより、図25に示すような机の下などの低いすきまに吸口体510を挿入しても先端部があがることがなく、また、接続管400が45度となる使用頻度の高い姿勢や、図25に示すような左右方向Xの角度が90度になる姿勢でも、あまった連結ホース1630が姿勢維持を邪魔をしたり、手元ハンドルのひねり動作等に付加をかけたり、あるいは連結ホース1630が折れてめづまりをおこすのを軽減している。
また、この実施例では、塵埃の搬送通路をなす連結ホース1630と、吸口体510の支持部材とを分離したので、例えば、図26に示すように、吸口本体1050の取付部1055に取付けられた連結ホース1603を取り外して、別体のすきまノズルを付けることで、取りづらいすきまの清掃を接続管400を分解することなく、行うことができる。なお、この際すきまノズルを吸口体510の近傍に、例えば接続部1601に取付用機器具を設けてすきまノズルを取付けるようにすると前記作業の効率化が図れる。
また、前記実施例の応用例として、第2のY字体1605の長さを長くして接続管400を短くしたり、あるいは接続管400を取り除いて手元ハンドル300に直接柄の長い第2のY字体1605を取付けたりするなどして、連結ホース1630の長さを長くすることで、すきまノズルを備えた連結ホース1630の動作範囲を広くすることができる。この場合、連結ホース1630が前記姿勢維持等の邪魔をしたりしないように、第2のY字体1605に連結ホース1630が着脱可能に保持されるようにし、第2のY字体1605の柄の適当な間隔位置に保持部材を備えるようにするとよい。
更に、この実施例によれば、塵埃の搬送通路と吸口体510の支持部材とを分離したので、左右方向Xの動作範囲を180度以上に、高低方向Yを90度以上に容易に設定することができる。
このように、前記第2の実施例によれば、前記第1実施例と同様な効果が期待できるとともに、塵埃の搬送通路と吸口体510の支持部材とを分離したので、自在ヒンジ1602を簡単な構造でしかも小型にすることができ、製造コストの低減が図れる。しかも、搬送通路となる連結ホース1630を一端を外せば他の補助吸口として、更に両端を外せばメンテナンス性や清掃性を向上することができる。更に、自在連結部1600の動作範囲を広くすることができる。
(第3の実施例)
次に、図27を参照して、本発明に係る電気掃除機の他の実施例を説明する。この第3の実施例は、前記第1の実施例の吸口体500と、自在連結部1500の取り付け位置が違う点で相違し、他の電気掃除機本体100等は同様なものを採用している。図27中、(a)図は概略外観斜視図、(b)図は構造概念図である。ここでは、吸口体520について説明し、他の部分の説明を省略する。また、同様な構造や部位または矢印等は同一の符号を示し、その説明を省略する。
この実施例の吸口体520は、平面形状を略直方体とする吸口本体1060と、該吸口本体1060の上面中央に取付けられる自在連結部1700とから構成される。前記自在連結部1700は、前記第1の実施例で説明した自在ヒンジ1502内に連結ホース1501を備えた自在連結部1500と同様な構造を備えている。
吸口本体1060は、下ケース1061と上ケース1062とから構成され、吸引室1050を構成する。該吸引室1050には、下ケース1061に形成される2本の吸口1010a、1010bが吸口体520の前後(短手方向)に配設され、該吸口1010a、1010b に回転ブラシ1011が設けられている。この実施例では、前記回転ブラシ1011を吸口1010aと吸口1010bの間に設けた電動モータ1063でベルトを介して回転するようにしている。電動モータ1063の電源は、電気掃除機本体100から吸引ホース200、手元ハンドル300接続管400、自在連結部1700に沿って、または内蔵して設けた配線で行うようにしている。なお、前記実施例と同様にエアータービン駆動のものを採用してもよい。また、電動モータ1063を前記自在連結部1700の取付部の下方に配置して、全体のバランスを良好なものとしている。
上ケース1062は、側面形状が凸の半円形状で長手方向に長い、いわいるかまぼこ型に形成され、その上面中央に連結ホース1501が取付けられるホース取付部1064が設けられ、該ホース取付部1064の両側、即ち吸口体520の長手方向側に、前記自在ヒンジ1502を構成する下腕部1502aの回転軸1503が取付けられ一対の軸受台1065が形成され、前記自在連結部1700が回転可能に取付けられている。
軸受台1065の軸受中心1065aは、上ケース1062の上からH1の位置に設定され、該高さH1は自在連結部1700の高低方向Yの角度が0度となる高さに設定している。この実施例では、上ケース1062の側面形状を半円形状とすることで、前記高さH1を低くして、吸口体520の先端部(図27、28の左側)の浮き上がりを軽減している。
なお、この実施例では、連結ホース1501と自在連結部1700を上ケース1062の真上に前後左右対称に設けているが、上ケース1062の中央に後方に斜めに傾いて設けてもよい。このようにすれば、高さH1を低くすることができるとともに、高低方向Yの角度が小さい状態での自在連結部1700の動きが良好となる。この場合、自在連結部1700を左右方向Xの角度を90度にした状態で、自在連結部1700の横幅(吸口体520の前後)が吸口体520の投影面積からはみ出さないようにするとよい。
また、吸口体520の側面の周囲には、前記実施例と同様な滑り部材1100が帯状に形成されている。更に、吸口体520の底面の周囲には、前記実施例と同様なガイド手段1300が設けられ、塵埃のまきあげと吸口1010への案内、及び吸口1010と床面のすきまを一定にする車輪と同様な機能を持たせている。もちろん、底面の四隅や、最も手元ハンドル300の力を受ける底面後方の中央または両側に前記実施例と同様な車輪1200や自在車輪1250等の前後、左右、旋回が可能なものを設けてもよい。
以上述べたように、この第3の実施例によれば、自在連結部1700を吸口本体1060の上部に設けたので、吸口体520の設置面積を小さくすることができる。このため、図19(c)図に示したような狭いすきまの清掃性が向上する。しかも、吸口体520の側面周囲には滑り部材1100が設けられているので正面性がないから、前記狭いすきまでも周囲の家具や壁面に沿わせて清掃することが可能であり、また、家具や壁面に傷を付けることを軽減できる。また、この実施例によれば、高低方向Yの角度が90度以上に設定できるので、例えば、上り斜面でも無理な姿勢を取ることなく清掃することができる。
(第4の実施例)
次に、機構概念図を示す図28を参照して、本発明に係る第4の実施例を説明する。この実施例は、前記実施例の塵埃の搬送路の機能を備えた連結ホース1501と、自在ヒンジ1502を一体的に構成したものである。図において、この実施例の吸口体503は、吸口本体1070と、樹脂材料で形成される自在連結部1800とから構成される。該自在連結部1800は、前記吸口本体1070に回転可能に取付けられ高低方向Yの回転を可能にする筒状の下腕部1801aと、一端を前記接続管400に取付けられ、他端を前記下腕部1801aと左右方向Xの回転を可能にするように取付けられる筒状の上腕部1801bとから構成される。
吸口本体1070は、その後方中央に吸引室に連通する開口部1071を備え、該開口部1071の両側に一対の軸受台1072が形成される。下腕部1801aの一端は、側面形状が円弧状に形成され、両側の側面に回転軸1802が設けられ、前記軸受台1072に回転可能に取付けられる。前記開口部1071の周辺形状は、前記下腕部1801aの一端の円弧形状と合うように形成され、空気のもれがないようになっている。また、前記下腕部1801aの一端に形成される開口部1803は、前記吸口本体1070の開口部1071より上下方向が狭く形成され、高低方向Yの動作範囲において、該開口部1071と11803が連通するようにしている。一方、下腕部1801aの他端は、上形状が両側が切り欠かれた形状に形成され、その先端の上下内側に回転軸受1804が設けられている。
また、上腕部1801bの一端は、上面形状が円弧状に形成され、上下面に回転軸1805が設けられ、前記回転軸受1804に回転可能に取付けられる。前記下腕部1801aの開口部1806の周辺形状は、前記上腕部1801bの一端の円弧形状と合うように形成され、空気のもれがないようになっている。また、前記上腕部1801bの一端に形成される開口部1807は、前記下腕部1801aの開口部1806より左右方向が狭く形成され、左右方向Xの動作範囲において、該開口部1806と1807が連通するようにしている。一方、上腕部1801bの他端は、接続管400と着脱可能に接続される連結部1521が形成されている。
この実施例によれば、部品点数を少なくして、しかも簡単な構造で前記実施例と同様な効果を得ることができる。しかも、各部材の結合は樹脂材料の弾性を使った接続とすることで、外部から応力が加わっても、連結部が外れ、再度結合することができるから装置の破壊を軽減して、しかも組立性を向上することができる。
(第5の実施例)
次に、図29から図31を参照して、本発明にかかる第5の実施例を説明する。この実施例は、前記実施例の塵埃の搬送路の機能を備えた連結ホース1501に動作ガイド手段を設けて、自在ヒンジ1502の省略を図ったものである。図29は概略外観斜視図、図30は自在連結ホースの拡大図、図31は他の応用例の構造概念図である。
先ず、図29、図30において、この実施例の吸口体540は、吸口本体1080と、自在連結ホース1900とから構成される。前記自在連結部1900はその外観が凹部1901と凸部1902が管方向に交互に連続するホース体であり、一端は吸口本体1080の取付部1801に取付けられ、他端は接続管400に取付けるための連結部1507が取付けられている。
また、前記自在連結ホース1900は、吸口本体1080の取付け側1/2の両側に上下動作ガイドリブ1903が一体成形されている。一方、連結部1507の取付け側1/2には、前記上下動作ガイドリブ1903の取付け位置と直行するように、上下に左右動作ガイドリブ1904が一体成形されている。
前記上下動作ガイドリブ1903は、自在連結ホース1900を左右方向Xの屈曲を阻止し、高低方向Yの屈曲を可能とするように、前記凹部1901を埋めるように凸状に形成される。また同様に、左右動作ガイドリブ1904は、自在連結ホース1900を高低方向Yの屈曲を阻止し、左右方向Xの屈曲を可能とするように、前記凹部1901を埋めるように凸状に形成される。そして、前記上下動作ガイドリブ1903と左右動作ガイドリブ1904は前記自在連結ホース1900のねじれを軽減することができる。
前記上下動作ガイドリブ1903と左右動作ガイドリブ1904の幅Z1と突出量Z2及び断面形状、あるいは長さ等は、吸口本体1080の大きさや重量等を考慮して適宜決定する。例えば、図31に示すように、前記上下動作ガイドリブ1903と左右動作ガイドリブ1904を別部材のバッジ1905で代用して、該バッジ1905をネジやビスで適宜ホース材に固定するようにしてもよい。この構造によれば、既存のホース材料を利用して同様な効果を得ることできる。しかも、前記バッジ1905に装飾や色彩を施せば、機種数の展開や意匠性を向上することができる。
以上述べたように、この実施例によれば、部品点数を少なくして、しかも簡単な構造で前記実施例と同様な効果を得ることができる。しかも、軽量化が図られるので、図29に示すような、回転ブラシを使わない簡単な構造の吸口体や、軽量化が必要なハンデイ掃除機の吸口体に好適である。
(その他の実施例)
図32及び図33は手元ハンドルに関する他の実施例である。図32及び図33は動作概念図である。
図32において、この実施例は、手元ハンドル310と接続管410との接続を、接続管400の中心軸Q方向に回転可能に取付けたものである。(a)は接続管400の上端にすべり止めのグリップ411を設け、(b)図は接続管400の上端に回転用ハンドル412を設けた設けたものである。
この実施例によれば、片手で手元ハンドル310のハンドル部301を保持し、他の片手で前記グリップ411または回転用ハンドル412を操作することで、手元ハンドル310を回転させることなく吸口体を旋回させることができる。しかも、手元ハンドル310を回転させないから、吸口体の左右方向Xの回転P2を180度以上にしても、操作に支障をきたすことがない。
次に、図33は手元ハンドルのハンドル部に関する他の実施例である。この実施例に係る手元ハンドル320は、接続管400と吸引ホース200を屈折して取付けるように形成され、前記屈折部321の位置で、かつ接続管400の中心軸Qとほぼ直行するハンドル部322を設けている。また、前記ハンドル部322の後方の吸引ホース200側には手首保持体323を設けている。
この実施例によれば、前記ハンドル部322を片手で保持し、該保持した片手の手首を前記手首保持体323で安定させることができるから、手元ハンドル320でのひねり動作が容易であるとともに、手元ハンドル320をひじを中心とした動作で操作することができるので手首に係る負担を軽減できる。特に、この実施例では、従来の手元ハンドルでは手首に係る負担が大きいために、片手では吸口体を持ち上げることが困難であったが、この実施例では、手首が手首保持体323で固定されるので、ひじを中心に吸口体を持ち上げる動作が容易となる。また、前記ハンドル部322に赤外線発信部303を設ければ天井を介しての送信が良好となり、誤操作を軽減することができる。
さて、以上述べた実施例においては、回転ブラシを採用した吸口体を中心に説明したが、この発明ではこれに限定されるものではない。また、回転ブラシの駆動方法もエアータービン方式に限定されるものではない。
更に、前記実施例では、車輪を備えた電気掃除機本体と吸引ホースと手元ハンドルと接続管と吸口体とからなる電気掃除機で説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、塵埃を吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、前記電気掃除機本体の長手方向の一端に取付けられて前記送風機に連通する吸口体と、前記電気掃除機本体の長手方向の他端に取付けられる手元ハンドルとから構成し、前記吸口体を、塵埃を吸い込むための吸引口を備えた吸口本体と、前記吸口本体を前記電気掃除機本体に連結し、前記電気掃除機本体を介して伝達される手元ハンドルの回転角度と吸口体の回転角度を同期させる自在連結部を備えているようにしてもよい。
この他、住宅に配管された塵埃搬送路に吸引ホースと手元ハンドルと接続管と吸口体を接続するセントラルクリーナと呼ばれるものや、長手方向の電気掃除機本体の一端に吸口体を取付け、他端にハンドルを設けたハンドクリーナ等の電気掃除機に応用することも可能である。
更に、以上述べた実施例によれば、手元ハンドルの回転動作で吸口体を効率良く回転動作させることができる電気掃除機用吸口体及び該吸口体を備えた電気掃除機を提供することができる。
具体的には、塵埃を吸い込むための送風機を備えた電気掃除機本体と、一端を前記電気掃除機本体に取付けられて前記送風機に連通する柔軟性のある吸引ホースと、前記吸引ホースの他端と取付けられて前記送風機に連通する手元ハンドルと、前記手元ハンドルに取付けられて前記吸引ホースに連通する接続管と、前記接続管に取付けられて該接続管に連通する吸口体とから構成し、前記吸口体を、塵埃を吸い込むための吸引口を備えた吸口本体と、前記吸口本体を前記接続管に連結し、前記接続管を介して伝達される手元ハンドルの回転角度と吸口体の回転角度を同期させる自在連結部を備えたので、手元ハンドルの回転動作で吸口体を効率良く回転動作させることができる。
また、前記自在連結部を、複数の間接ヒンジ部から構成したので、手元ハンドルの回転動作をそのまま吸口体の回転動作に変換することができる。また、前記自在連結部を、前記吸口本体と前記接続管を連通する柔軟性のある連結ホースと、前記連結ホースを包むように設けられる複数の間接ヒンジ部とから構成したので、自在連結部全体をコンパクトにできるとともに、連結ホースを最短にすることができ、更に連結ホースを間接ヒンジで保護することができる。
また、前記自在連結部を、第1の間接ヒンジで回転可能に取付けられる第1の自在連結部(上腕部)と第2の自在連結部(下腕部)とから構成し、前記第1の自在連結部を前記接続管に固定するように取付け、前記第2の自在連結部を前記第1間接ヒンジの軸方向と直行する軸方向を備えた第2間接ヒンジで前記吸口本体に回転可能に取付けているので、直進性と左右への移動及び旋回性を向上することができる。更に、前記第1間接ヒンジで手元ハンドルの左右方向の動作を可能とし、前記第2間接ヒンジで手元ハンドルの高さ方向の動作を可能とすることができる。
また、前記第1間接ヒンジの動作範囲を180度の範囲以上に設定することにより、狭いすきまの清掃性を向上することができる。また、第2間接ヒンジの動作範囲を90度以上に設定することにより、手元ハンドルと接続管と吸口体を接続した状態で、立て姿勢で収納することができる。更に、前記第1の第2の間接ヒンジの動作範囲の組合わせで、吸口体を90度以上に旋回することができる。
また、前記自在連結部の長さを吸口ホースの許容曲げ円弧の直径以上に設定することにより、吸口体の旋回性能を向上させることができる。更に、前記複数の間接ヒンジ部で構成される自在連結部を自由端を、連結ホース等の引っ張り部材で引っ張って連結することで、直進性と旋回性を向上させることができる。
また、前記複数の間接ヒンジ部で構成される自在連結部を前記間接ヒンジ部に所定角度を保持する姿勢保持機構(ロック機構)を設けることで、直進性や姿勢維持を向上させることができる。更に、左右方向の回転を可能とする間接ヒンジ部に前記姿勢保持機構を備えれば直進性を向上することができる。
また、前記自在連結部を吸口本体の短手方向の片側に取付けることで、全体の薄形化が図れる。更に吸口体を90度旋回させた状態で、自在連結部を吸口体の投影面積からはみ出さないように、吸口本体の上面に取付けることにより、吸口体の設置面積を小さくしてすきまの清掃性を向上することができる。
また、前記吸口本体の重心位置を前記接続管の略延長線上に位置するように自在連結部を設けることで、吸口体の旋回性能を向上することができる。
前記吸口本体の底面に、塵埃を吸い込むための塵埃吸引口を設け、少なくとも底面前部(前記自在連結部が取付けられた短手方向の対向位置の底面端部)に、塵埃を吸込む吸口に塵埃を案内するためのガイド手段、例えば、ブラシや溝等を設けることで、壁際の清掃性を向上することができる。
少なくとも前記自在連結部が取付けられた短手方向の対向位置の前記吸口本体の周側に刷毛材やタイヤあるいは車輪等の摺動部材を設けることで、壁面等に沿って吸口体を移動させることができるとともに、前記壁面等を傷つけることを軽減することができる。
更に、底面に、前後に加えて左右方向への移動性に優れた車輪または摩擦係数の低い突起等の移動手段を設けることにより、吸口体の直進性や左右方向及び旋回性を向上させることができる。特に、吸口本体の重心位置近傍、あるいは前記接続管の略延長線上の近傍を中心とする前記移動手段の配置をとれば、前記効果をいっそう向上することができる。また、自在連結部の取付位置より後方に前記移動手段を設ければ、吸口体の先端部の浮き上がりを軽減して前記走行性の効果を向上させることができる。
また、前記吸口体を、下面に吸込口を有する下ケースに上ケースを配設して形成された吸口本体と、該吸口本体の吸込口に配設された回転清掃体と、該回転清掃体を駆動するため駆動手段と、前記吸口本体の後部に配設される吸込通路有するケーシングを備えた第2の自在連結部と、前記第2の自在連結部の後方に配設され後端部に接続管継手を備えた第2の自在連結部と、前記ケーシングの後端部と前記接続管継手とを連通する柔軟性のある吸口ホースとを有する吸口体とから構成し、前記吸口ホースを、前記第1の自在連結部及び前記第2の自在連結部の内側に配設し、前記第2の自在連結部を両側が前記吸口本体に支持される第2ヒンジを介して上下方向に揺動可能に取付け、前記第1の自在連結部は前記第2の自在連結部の後部に前記第2ヒンジの回転軸方向と直行する回転軸方向を備えた第1ヒンジを介して左右方向に揺動可能に設けることで、エアータービン機構を備えて、旋回性に優れたコンパクトな吸口体を提供することができる。
また、吸口体を、塵埃を吸い込むための吸引口を備えた吸口本体と、自在連結部とから構成し、前記自在連結部を、手元ハンドルに直接または間接的に接続するため接続部と、一端を前記吸口本体と接続し、他端を前記接続部に接続して塵埃の搬送通路を構成する接続ホースと、前記接続部と前記吸口本体を連結し、前記接続部を介して伝達される手元ハンドルの回転角度と吸口体の回転角度を同期させる自在ヒンジ部とから構成することにより、自在ヒンジ部をコンパクトにした旋回性能に優れた吸口体を提供することができる。
この際、前記自在ヒンジ部を、吸口本体に設けられた第1のY字体と、前記接続継手に取付けられた第2のY字体と、前記第1のY字体及び第2のY字体に回転軸を直行させて、その交わる交点を中心に回転可能に取付けられて両Y字体を連結する連結体とから構成することで、旋回性に優れたヒンジ部の小型化を図ることができる。
また、吸口体を、吸口本体と、自在連結部とから構成し、該自在連結部を前記吸口本体に回転可能に取付けられ高低方向の回転を可能にする筒状の下腕部と、一端を前記接続管に取付けられ、他端を前記下腕部と左右方向の回転を可能にするように取付けられる筒状の上腕部とから構成し、該下腕部と上腕部を自在連結部の動作範囲において連通するように構成することにより、部品点数を少なくし、 しかも簡単な構造で旋回性能を向上させることができる。
吸口体を、吸口本体と、一端が前記吸口本体と接続され、他端に接続管に取付けるための連結部が取付けられた自在連結ホースとから構成し、該自在連結ホースを凹部と凸部が管方向に交互に連続するホース体で構成するとともに、吸口本体の取付側の両側に上下動作ガイド手段を設け、連結部側に前記上下動作ガイド手段の取付け位置と直行する上下部に左右動作ガイド手段を設けることにより、ホース体のねじれ防止が図られ、部品点数を少なくして軽量化が図れ、しかも簡単な構造で旋回性能を向上することができる。
1… 電気掃除機、100… 電気掃除機本体、200… 吸引ホース、300… 手元ハンドル、301… ハンドル部、400… 接続管、500… 吸口体、1000… 吸口本体、1001… 下ケース、1002… 前部上カバー、1003… 後部カバー、1005… 吸引室、1006… 取付部、1007… 通風路、1010… 吸口、1011… 回転ブラシ、1012… タービン、1016… 通風穴、1017… 覗き窓、1020… 肉厚部、1021… 溝部、1022… 開閉レバー、1023… 手掛凹部、1100… 滑り部材、1101…刷毛、1102… 刷毛台、1103… ローラー、1200… 車輪、1201… 前車輪、1202… 後車輪、1203… 最後部車輪、1203a… 最後部車輪、1210… 滑り部材、1211… 回転軸、1212… 凹部、1213… Cカット面、1214… 刷毛、1215… 刷毛台、1300… ガイド手段、1302… 平面部、1310… 刷毛の束、1311… 印毛列、1312…流路、1313… 刷毛台、1314… 刷毛、1315… 流路、1500… 自在連結部、1501… 連結ホース、1502… 自在ヒンジ、1502a… 下腕部、1502b… 上腕部、15、03… 回転軸、1504… 回転軸、1505… 回転軸穴、1506… ピン、1507… 連結部、1510…切欠部、1511…切欠部、1512…切欠部、1513… 切欠部、1516… ロック機構、1517… 凸部、1518… 凹部、1519… 嵌合穴、1520… 凸リブ、1521… 連結部、Q… 前記接続管の中心軸、P1… 手元ハンドルのひねり回転、P2… 吸口体の旋回、X… 左右方向、Y… 高低方向、Θ1… 最低角度、Θ2… 最高角度、Θ3… 左右方向の角度。