JP3868919B2 - リモコンの識別アドレス設定方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コントローラと2台以上のリモコン間で共通の伝送路により半二重通信を行うときの、各リモコンの識別アドレスを自動的に設定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、給湯装置においては、室外に設置された熱源機を遠隔操作するためのリモコンが台所や浴室に備えられ、熱源機のコントローラと各リモコンとは通信線により接続されて種々のデータの送受信を行っている。
【0003】
ここで、コントローラと複数のリモコン間を共通の伝送路で接続し、データの送受信を1本の電線を介して行ういわゆる半二重の通信仕様とする場合、通信プロトコルとしては常時通信タイプと随時通信タイプの2通りが採用可能である。
【0004】
そして、随時通信タイプでは、コントローラと各リモコンは必要に応じて任意のタイミングでデータを送信するため、接続可能なリモコンの種類や個数の制限がなく、リモコンの個数が増えても通信速度が無条件に低下することがない。しかし、コントローラと各リモコンから送信されるデータの衝突を避けるために、通信プロトコルが複雑になるという不都合がある。
【0005】
一方、常時通信タイプでは、コントローラとリモコンに対して予め個別に設定された異なるタイミングでデータを送信する。そのため、コントローラ及び各リモコンから送信されるデータが衝突することはない。しかし、常時通信タイプでは、複数のリモコンを接続する場合に、各リモコンに対して異なる送信タイミングを設定する必要がある。
【0006】
そのため、各リモコンは異なる送信タイミングを設定するためにハード及びソフトの両面でその仕様が相違するものとなり、その結果、同一仕様のリモコンを複数個用いることができないことから、リモコンのコストがアップするという不都合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記不都合を解消し、コントローラと複数のリモコン間で半二重通信を行う場合に、同一仕様のリモコンを使用できるようにするリモコンの識別アドレス設定方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、コントローラと該コントローラを遠隔操作する2以上の所定個数のリモコン間で共通の伝送路によりフレーム単位で半二重通信を行う通信システムであって、各リモコンには前記所定個数分用意された識別アドレスのうちのいずれかが割当てられ、各リモコンは自身に割当てられた識別アドレスに対応して前記フレーム内に別個に設定された送信タイミングでデータを送信する通信システムの改良に関する。
【0009】
そして、前記各リモコンに前記識別アドレスを記憶するための書換え可能な第1のメモリを備え、前記識別アドレスの選択順位を予め設定して、前記コントローラと前記リモコン間の通信を最初に行うときに、前記各リモコンの前記第1のメモリに1番目の選択順位の前記識別アドレスを書き込んで、前記コントローラと前記リモコン間の通信を開始し、前記各リモコンは、前記フレーム毎に、前記第1のメモリに記憶された識別アドレスに対応した送信タイミングをランダムにずらして設定したタイミングで、他のリモコンからデータが送信されているか否かを確認し、他のリモコンからデータが送信されていたときは前記第1のメモリに記憶された識別アドレスを次の選択順位の識別アドレスに書換え、他のリモコンからデータが送信されていなかったときには、前記第1のメモリに記憶された識別アドレスを書換えることなく他のリモコンに対してデータを送信する処理を繰り返して、前記各リモコンの前記第1のメモリに異なる識別アドレスを書き込むことを特徴とする。
【0010】
かかる本発明によれば、前記コントローラと前記リモコン間の通信を最初に行うときに、先ず、1番目の選択順位の前記識別アドレスが前記各リモコンの前記第1のメモリに書き込まれる。そして、前記アドレス変更処理を繰り返し実行することにより、詳細は後述するが、送信タイミングが早いリモコンから順に、選択順位が低い識別アドレスが割当てられて前記第1のメモリに書き込まれていく。そのため、前記複数のリモコンとして予め異なる送信タイミングが設定されたリモコンを用意する必要がなく、同一仕様の複数個のリモコンを用意すればよく、これにより、前記リモコンのコストを下げることができる。
【0011】
また、前記リモコンは商用電源により作動して、前記識別アドレス以外のデータが書き込まれる第2のメモリを備え、該第2のメモリと前記第1のメモリを不揮発性メモリとしたことを特徴とする。
【0012】
かかる本発明によれば、前記商用電源の停電が生じても、前記第1のメモリに書き込まれた前記識別アドレスと、前記第2のメモリに記憶された前記識別アドレス以外のデータは消失しない。そのため、前記商用電源の停電が生じても、各リモコンに割付けられた前記識別アドレスと該リモコンに記憶された前記識別アドレス以外のデータとの対応関係を保持することができる。
【0013】
また、前記各リモコンは前記アドレス変更処理において所定データを送信し、前記コントローラは、前記各リモコンからの該所定データの送信を監視し、前記各リモコンから該所定データが送信されなくなったときに、前記各リモコンに対する前記識別アドレスの割当てが完了したと判断して、前記リモコンによる遠隔操作の指示の受付を開始することを特徴とする。
【0014】
かかる本発明によれば、前記コントローラが、前記アドレス変更処理の実行中に各リモコンから送信されるデータを、遠隔操作の指示と誤認識することを防止することができる。
【0015】
また、前記識別アドレスのうちの少なくとも1つを所定の付加機能をもたせた前記リモコンとの間で通信を行なうための予約アドレスとし、該予約アドレス以外の識別アドレスを対象として前記選択順位を設定して、前記各リモコンの第1のメモリに1番目の選択順位の識別アドレスを書き込んだ後に、前記アドレス変更処理を繰り返し実行し、前記各リモコンの前記第1のメモリに前記予約アドレス以外の識別アドレスが書き込まれた状態で、いずれかのリモコンに対して所定操作がなされたときに、該リモコンの前記第1のメモリに書き込まれた識別アドレスを前記予約アドレスに書換えることを特徴とする。
【0016】
かかる本発明によれば、前記リモコンの設置作業者は、複数のリモコンを設置した後に、前記付加機能を有するリモコンに対して前記所定操作を行うことにより、該リモコンの識別アドレスを前記予約アドレスに設定することができる。そして、これにより、該リモコンと前記コントローラとの間で、前記付加機能に応じた通信が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1〜図5を参照して説明する。図1はコントローラとリモコンを備えた給湯器の構成図、図2は第1の実施の形態におけるコントローラとリモコン間の通信仕様の説明図、図3は第1の実施の形態における各リモコンに異なる識別アドレスを割当てる処理の説明図、図4は第2の実施の形態におけるコントローラとリモコン間の通信仕様の説明図、図5は第2の実施の形態における各リモコンに識別アドレスを割当てる処理の説明図である。
【0018】
先ず、第1の実施の形態について説明する。図1を参照して、給湯装置1に備えられたコントローラ2と、コントローラ2を遠隔操作する4個(本発明の所定個数に相当する)のリモコン(メインリモコン3、風呂リモコン4、第1サブリモコン5、第2サブリモコン6)は、通信ケーブル10により接続されている。そして、コントローラ2は商用電源により作動し、メインリモコン3、風呂リモコン4、第1サブリモコン5、及び第2サブリモコン6は、コントローラ2から通信ケーブル10を介して供給される電力により作動する。
【0019】
また、コントローラ2と、メインリモコン3、風呂リモコン4、第1サブリモコン5、及び第2サブリモコン6とは、通信ケーブル10に備えられた1本の通信線(本発明の共通の伝送路に相当する)により双方向の通信を行ういわゆる半二重方式によりフレーム単位でデータの送受信を行う。
【0020】
図2は、コントローラ2と、メインリモコン3、風呂リモコン4、第1サブリモコン5、及び第2サブリモコン6との間で、所定のフレーム(t〜t12)単位で半二重通信を行うために定められたデータの送信タイミングを示したものであり、B(t〜t)とC(t〜t)がコントローラ2の送信タイミング、A(t〜t)がメインリモコン3の送信タイミング、A(t〜t)が風呂リモコン4の送信タイミング、A(t〜t)が第1サブリモコン5の送信タイミング、A(t10〜t11)が第2サブリモコン6の送信タイミングである。
【0021】
このように、コントローラ2、メインリモコン3、風呂リモコン4、第1サブリモコン5、及び第2サブリモコン6の送信タイミングをフレーム内に別個に設定することによって、送信データの衝突の発生を防止することができる。しかし、このように、各リモコン(メインリモコン3、風呂リモコン4、第1サブリモコン5、及び第2サブリモコン6)が異なるタイミングでデータを送信するためには、各リモコンが異なるタイミングでデータを送信する仕様としなければならない。
【0022】
そのため、本第1の実施の形態においては、各リモコンは、コントローラ2と最初に通信を開始するとき(給湯器1の設置時等)に、送信タイミングA,A,A,Aに対応した識別アドレスのうちのいずれかを自身に割当てる処理(以下、識別アドレス割当て処理という)を実行する。以下、この識別アドレス割当て処理について説明する。
【0023】
なお、本第1の実施の形態では、送信タイミングと識別アドレスの関係は以下の表1に示したように割当てられている。そして、各リモコンは、自身に割当てられた識別アドレスに対応した送信タイミングでデータを送信する。また、識別アドレスの選択順位は、(001)→(010)→(011)→(100)に設定されている。
【0024】
【表1】
Figure 0003868919
図3は、識別アドレス割当て処理の実行手順を時系列的に表したものである。各リモコンは不揮発性の書換え可能なメモリ(図示しない、本発明の第1のメモリに相当する)を備え、給湯器1に電源が投入されてコントローラ2から通信ケーブル10を介して電力が供給されると作動を開始し、先ず、該メモリに自身の識別アドレスとして(001)を書き込む。
【0025】
そして、各リモコンは、送信タイミングの開始時点をランダムにずらす処理を行う。具体的には、各リモコンは、所定の時間間隔でカウントアップするカウンタを備えて作動開始時に該カウンタを起動し、該カウンタのカウント値の3の剰余(0,1,2)をランダム数とする処理(以下、ランダム数設定処理という)を行う。そして、自身の識別アドレスに対応した送信タイミングを該ランダム数により、以下の表2に示したように2msの範囲でずらす。
【0026】
【表2】
Figure 0003868919
図3に示した例では、コントローラ2と各リモコンの通信が開始された1フレーム目では、全てのリモコンの識別アドレスは(001)であり、メインリモコン3と風呂リモコン4のランダム数が「0」、第1サブリモコン5のランダム数が「1」、第2サブリモコン6のランダム数が「2」となっている。
【0027】
そのため、各リモコンのメモリに記憶された識別アドレスに対応した送信開始タイミングは、メインリモコン3と風呂リモコン4が「t−2」、第1サブリモコン5が「t−1」、第2サブリモコン6が「t」となる。
【0028】
そして、各リモコンは、自身の送信開始タイミングとなったときに、他のリモコンからデータが出力されているかを確認し、他のリモコンからデータが出力されていないことを認識した(他のリモコンから送信されたデータを受信していない)リモコンは、識別アドレスの割当て中であることをコントローラ2に認識させるための所定データを含むデータを通信ケーブル10を介して他のリモコンとコントローラ2に送信する。
【0029】
一方、他のリモコンからデータが送信されていることを認識した(他のリモコンから送信されたデータを受信している)リモコンは、データを送信することなく自身の識別アドレスを次の選択順位の識別アドレスに書換える。
【0030】
その結果、1フレーム目では、送信開始タイミングが「t−2」と早く、他のリモコンからのデータ送信を認識しないメインリモコン3と風呂リモコン4がデータを送信し、送信開始タイミングが「t−1」の第1サブリモコン5と「t」の第2サブリモコン6は、メインリモコン3と風呂リモコン4からの送信データを認識するので、データを送信することなくメモリに記憶された識別アドレス(001)を次の選択順位の識別アドレス(010)に書換える。
【0031】
次に、2フレーム目では、上述したランダム数設定処理により、メインリモコン3のランダム数が「0」、風呂リモコン4のランダム数が「1」、第1サブリモコン5のランダム数が「0」、第2サブリモコン6のランダム数が「0」となっている。
【0032】
そのため、各リモコンのメモリに記憶された識別アドレスに対応した送信開始タイミングは、メインリモコン3が「t−2」、風呂リモコン4が「t−1」、第1サブリモコン5が「t−2」、第2サブリモコン6が「t−2」となる。
【0033】
その結果、2フレーム目では、識別アドレス(001)に対応した送信タイミングでは、送信開始タイミングが「t−2」と早いメインリモコン3がデータを送信し、送信開始タイミングが「t−1」と遅い風呂リモコン4はデータを送信することなくメモリに記憶された識別アドレス(001)を次の選択順位の識別アドレス(010)に書換える。
【0034】
また、識別アドレス(010)に対応した送信タイミングでは、第1サブリモコン5と第2サブリモコン6の送信開始時点が共に「t−2」であるため、第1サブリモコン5と第2サブリモコン6は共にデータを送信して識別アドレスは変更しない。
【0035】
次に、3フレーム目では、上述したランダム数設定処理により、メインリモコン3のランダム数が「1」、風呂リモコン4のランダム数が「1」、第1サブリモコン5のランダム数が「1」、第2サブリモコン6のランダム数が「2」となっている。
【0036】
そのため、各リモコンのメモリに記憶された識別アドレスに対応した送信開始タイミングは、メインリモコン3が「t−1」、風呂リモコン4が「t−1」、第1サブリモコン5が「t−1」、第2サブリモコン6が「t」となる。
【0037】
その結果、3フレーム目では、識別アドレス(001)に対応した送信タイミングではメインリモコン3がデータを送信する。また、識別アドレス(010)に対応した送信タイミングでは、送信開始タイミングが「t−1」と早い風呂リモコン4と第1サブリモコン5がデータを送信し、送信開始タイミングが「t」と遅い第2サブリモコン6はデータを送信することなくメモリに記憶された識別アドレス(010)を次の順位の識別アドレス(011)に書換える。
【0038】
次に、4フレーム目では、上述したランダム数設定処理により、メインリモコン3のランダム数が「1」、風呂リモコン4のランダム数が「1」、第1サブリモコン5のランダム数が「2」、第2サブリモコン6のランダム数が「2」となっている。
【0039】
そのため、各リモコンのメモリに記憶された識別アドレスに対応した送信開始タイミングは、メインリモコン3が「t−1」、風呂リモコン4が「t−1」、第1サブリモコン5が「t」、第2サブリモコン6が「t」となる。
【0040】
その結果、4フレーム目では、識別アドレス(010)に対応した送信タイミングにおいて、送信開始タイミングが「t−1」と速い風呂リモコン4がデータを送信し、送信開始タイミングが「t」と遅い第1サブリモコン5はデータを送信することなくメモリに記憶された識別アドレス(010)を次の選択順位の識別アドレス(011)に書換える。
【0041】
次に、5フレーム目では、上述したランダム数設定処理により、メインリモコン3のランダム数が「0」、風呂リモコン4のランダム数が「1」、第1サブリモコン5のランダム数が「1」、第2サブリモコン6のランダム数が「2」となっている。
【0042】
そのため、各リモコンのメモリに記憶された識別アドレスに対応した送信開始タイミングは、メインリモコン3が「t−2」、風呂リモコン4が「t−2」、第1サブリモコン5が「t−1」、第2サブリモコン6が「t」となる。
【0043】
その結果、5フレーム目では、識別アドレス(011)に対応した送信タイミングにおいて、送信開始タイミングが「t−1」と早い第1サブリモコン5がデータを送信し、送信開始タイミングが「t」と遅い第2サブリモコン6はデータを送信することなくメモリに記憶された識別アドレス(011)を次の選択順位の識別アドレス(100)に書換える。
【0044】
このように、5フレーム分の通信を行った結果、各リモコンのメモリには異なる識別アドレスが書き込まれ、図2に示したように、各リモコンに対して異なる送信タイミング(A,A,A,Aのうちのいずれか)が設定される。
【0045】
そのため、給湯器1の設置時に、予め異なる識別アドレスが割付けされたリモコンを用意する必要がなく、同一使用の複数個のリモコンを設置した後に各リモコンに異なる識別アドレスを割当てることができる。したがって、予め異なる識別アドレスを割付けたリモコンを用意するために生じるリモコンのコストアップを削減することができる。
【0046】
そして、コントローラ2は、前記アドレス変更処理の実行中に各リモコンから送信される前記所定データを監視し、該所定データの送信を受信しなくなったときに、各リモコンに識別アドレスが割当てられたと判断して、各リモコンからの遠隔操作の指示の受付を開始する。これにより、前記アドレス変更処理の実行中に各リモコンから送信されるデータを、コントローラ2が遠隔操作の指示として認識し、給湯器が誤動作することを防止することができる。
【0047】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本第2の実施の形態における給湯器の構成は上述した第1の実施の形態(図1参照)と同様であり、メインリモコン3が他のリモコン4,5,6にはない付加機能を有する点のみが相違する。
【0048】
具体的には、メインリモコン3の付加機能として、給湯温度の設定範囲の上限を他のリモコンよりも高く(例えば70℃)している。そして、これにより、台所に設置されることを想定したメインリモコン3に対してのみ、給湯温度を高く設定することを可能として、調理の利便性の向上を図ると共に、風呂リモコン4等の他のリモコンにより給湯温度が高温に設定されることを防止している。
【0049】
そして、コントローラ2は、識別アドレス(001)が割当てられたリモコンから送信される給湯温度の設定信号については70℃までの設定を許可し、他のリモコンから送信される給湯温度の設定信号については43℃までの設定を許可する。
【0050】
そのため、台所に設置されたメインリモコン3による給湯温度の設定範囲の上限を70℃とするためには、メインリモコン3の識別アドレスを(001)に割当てる処理を行う必要がある。以下、かかる処理について説明する。
【0051】
先ず、本第2の実施の形態では、送信タイミングと識別アドレスの関係は以下の表3に示したように割当てられている。そして、各リモコンは、自身に割当てられた識別アドレスに対応した送信タイミングでデータを送信する。また、識別アドレスの選択順位は、(010)→(011)→(100)に設定されている。
【0052】
【表3】
Figure 0003868919
そして、各リモコンは、給湯器1に電源が投入されてコントローラ2から通信ケーブル10を介して電力が供給されたときに、予約アドレスとして設定された識別アドレス(001)を除いた(010),(011),(100)を対象として、上述した第1の実施の形態と同様に識別アドレス割当て処理を実行する。
【0053】
図5は、識別アドレス割当て処理の実行手順を時系列的に表したものである。各リモコンは、給湯器1に電源が投入されてコントローラ2から通信ケーブル10を介して電力が開始されると作動を開始し、先ず、メモリに自身の識別アドレスとして(010)を書き込む。
【0054】
そして、各リモコンは、前記ランダム数設定処理により、自身の識別アドレスに対応した送信タイミングを以下の表4に示したように2msの範囲でずらす。
【0055】
【表4】
Figure 0003868919
図5に示した例では、コントローラ2と各リモコンの通信が開始された1フレーム目では、全てのリモコンの識別アドレスは(010)であり、上述した第1の実施の形態と同様に識別アドレス割当て処理を実行した結果、5フレームで第2サブリモコン6の識別アドレスを次の順位の識別アドレスに書き込むことができなくなって、第2サブリモコン6の識別アドレスが不定となっている。
【0056】
この状態で、リモコンの設置作業者や使用者が、台所に設置されたメインリモコン3のスイッチを特殊操作(複数スイッチの同時押し等)すると、メインリモコン3は、メモリに記憶されていた識別アドレス(010)を(001)に書換える。これにより、以後、メインリモコン3の送信タイミングがMとなり、メインリモコン3とコントローラ2間で、70℃を上限温度とする給湯温度の設定が可能になる。
【0057】
また、メインリモコン3は、識別アドレス(010)が空いたことを通知する信号を送信タイミングMで送信し、該信号を受信した識別アドレスが不定の状態にある第2サブリモコン6は、空いた識別アドレス(010)を自身のメモリに記憶する。これにより、全てのリモコンに対して識別アドレスが割当てられ、各リモコンとコントローラ2間の通信が可能となる。
【0058】
なお、アドレス変更処理の結果、メインリモコン3の識別アドレスが不定となったときには、メインリモコン3は、前記特殊操作がなされたときに、自身のメモリに識別アドレス(001)を書き込めばよく、上述した識別アドレスが空いたことを通知する信号を送信する必要はない。
【0059】
また、本第2の実施の形態では、メインリモコン1台に対して予約アドレスを割当てて付加機能を持たせたが、予約アドレスを複数個設定して、複数のリモコンに付加機能を持たせるようにしてもよい。
【0060】
なお、上述した識別アドレス変更処理を繰り返す回数は、ランダム数の発生分布から確率的に決定する。また、前記第1及び第2の実施の形態では、各リモコンの送信タイミングをカウンタによるカウント値の3の剰余により生成したランダム数を、予め定められたタイミング(t、t、t、t10)から減じることにより変更したが、送信タイミングを変更する方法はこれに限られず、送信タイミングをランダムにずらすことができる方法であればよい。
【0061】
また、各リモコンに、給湯器1の運転条件を設定するためのデータ(給湯温度、タイマ運転時刻等、本発明の識別アドレス以外のデータに相当する)が記憶された不揮発性のメモリ(本発明の第2のメモリに相当する)が備えられている場合には、識別アドレスも不揮発性メモリに記憶されているため、商用電源の停電が生じても、各リモコンにおける運転条件を設定するためのデータと識別アドレスとの対応関係が失われることがない。
【0062】
ただし、揮発性のメモリに識別アドレスを記憶させる場合であっても本発明の効果を得ることができる。
【0063】
また、前記第1及び第2の実施の形態では、コントローラと接続された4個のリモコンに対して識別アドレスを割当てる例を示したが、2個以上のリモコンを接続する場合であれば、本発明の適用が可能である。
【0064】
また、本実施の形態では、有線によりコントローラとリモコンを接続する例を示したが、無線により通信を行う場合であっても単一の周波数帯(本発明の共通の伝送路に相当する)により通信を行う場合には、本発明の適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコントローラとリモコンを備えた給湯器の構成図。
【図2】第1の実施の形態におけるコントローラとリモコン間の通信仕様の説明図。
【図3】第1の実施の形態における各リモコンに識別アドレスを割当てる処理の説明図。
【図4】第2の実施の形態におけるコントローラとリモコン間の通信仕様の説明図。
【図5】第2の実施の形態における各リモコンに識別アドレスを割当てる処理の説明図。
【符号の説明】
1…給湯器、2…コントローラ、3…メインリモコン、4…風呂リモコン、5…第1サブリモコン、6…第2サブリモコン

Claims (4)

  1. コントローラと該コントローラを遠隔操作する2以上の所定個数のリモコン間で共通の伝送路によりフレーム単位で半二重通信を行う通信システムであって、各リモコンには前記所定個数分用意された識別アドレスのうちのいずれかが割当てられ、各リモコンは自身に割当てられた識別アドレスに対応して前記フレーム内に別個に設定された送信タイミングでデータを送信する通信システムにおいて、
    前記各リモコンに前記識別アドレスを記憶するための書換え可能な第1のメモリを備え、前記識別アドレスの選択順位を予め設定して、
    前記コントローラと前記リモコン間の通信を最初に行うときに、
    前記各リモコンの前記第1のメモリに1番目の選択順位の前記識別アドレスを書き込んで、前記コントローラと前記リモコン間の通信を開始し、
    前記各リモコンは、前記フレーム毎に、前記第1のメモリに記憶された識別アドレスに対応した送信タイミングをランダムにずらして設定したタイミングで、他のリモコンからデータが送信されているか否かを確認し、他のリモコンからデータが送信されていたときは前記第1のメモリに記憶された識別アドレスを次の選択順位の識別アドレスに書換え、他のリモコンからデータが送信されていなかったときには、前記第1のメモリに記憶された識別アドレスを書換えることなく他のリモコンに対してデータを送信するアドレス変更処理を繰り返して、前記各リモコンの前記第1のメモリに異なる識別アドレスを書き込むことを特徴とするリモコンの識別アドレス設定方法。
  2. 前記リモコンは商用電源により作動して、前記識別アドレス以外のデータが書き込まれる第2のメモリを備え、
    該第2のメモリと前記第1のメモリを不揮発性メモリとしたことを特徴とする請求項1記載のリモコンの識別アドレス設定方法。
  3. 前記各リモコンは前記アドレス変更処理において所定データを送信し、
    前記コントローラは、前記各リモコンからの該所定データの送信を監視し、前記各リモコンから該所定データが送信されなくなったときに、前記各リモコンに対する前記識別アドレスの割当てが完了したと判断して、前記リモコンによる遠隔操作の指示の受付を開始することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のリモコンの識別アドレス設定方法。
  4. 前記識別アドレスのうちの少なくとも1つを所定の付加機能を有する前記リモコンとの間で該付加機能に応じた通信を行なうための予約アドレスとし、該予約アドレス以外の識別アドレスを対象として前記選択順位を設定して、前記各リモコンの第1のメモリに1番目の選択順位の識別アドレスを書き込んだ後に、前記アドレス変更処理を繰り返し実行し、
    前記各リモコンの前記第1のメモリに前記予約アドレス以外の識別アドレスが書き込まれた状態で、いずれかのリモコンに対して所定操作がなされたときに、該リモコンの前記第1のメモリに書き込まれた識別アドレスを前記予約アドレスに書換えることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載のリモコンの識別アドレス設定方法。
JP2003105764A 2002-05-16 2003-04-09 リモコンの識別アドレス設定方法 Expired - Lifetime JP3868919B2 (ja)

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