JP3868855B2 - 接触燃焼式ガスセンサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接触燃焼式ガスセンサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガスセンサとしては、例えば白金等の触媒からなるガス検出素子と温度補償素子とを一対備え、被検出ガスが白金等の触媒に接触した際の燃焼により発生する熱によってガス検出素子が相対的に高温の状態になったときに、例えば雰囲気温度下等の相対的に低温の状態の温度補償素子との間に生じる電気抵抗の差異に応じて、被検出ガスの濃度を検出するガス接触燃焼式のガスセンサが知られている。
そして、このようなガス接触式のガスセンサを、例えば、燃料電池を電気自動車の動力源とした燃料電池自動車において車室内に配置し、車室内に水素ガスが漏洩していないことを確認するために用いることが検討されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したようなガス接触燃焼式の水素センサにおいて、検出素子の触媒は、水素ガスに限らず、例えば一酸化炭素やアルコール等が接触した場合であっても、酸化反応により熱を発生させる場合がある。
このため、例えばガス接触燃焼式の水素センサを上述した燃料電池自動車の車室内に配置した場合には、飲酒者の呼気に含まれるアルコールや、喫煙により発生する一酸化炭素や、車両の排ガス中に含まれる一酸化炭素等によって、水素センサから誤った検出信号が出力され、水素濃度が誤検知される虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、接触燃焼式ガスセンサによる被検出ガスの検出を阻害する阻害ガスの影響を抑制することが可能な接触燃焼式ガスセンサを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の接触燃焼式ガスセンサは、水素ガスを含む検査対象ガスが導入されるガス検出室(例えば、実施の形態でのガス検出室24)と、該ガス検出室内に設けられ、前記水素ガスを検出する検出素子(例えば、実施の形態での検出素子29)と、前記検出素子に接続された補償素子(例えば、実施の形態での温度補償素子30)とを備え、前記検出素子の触媒に接触する前記検査対象ガスに含まれる水素ガスの燃焼に応じて発生する前記検出素子と前記補償素子との抵抗値の変化に基づき、水素ガス燃料自動車の車室内ルーフに配置され、前記水素ガスのガス濃度を検出する接触燃焼式ガスセンサであって、前記補償素子は、前記検出素子による前記水素ガスの検出を阻害するアルコールや一酸化炭素の前記車室内に流入する阻害ガスに対して選択的に触媒反応を発生させる選択触媒(例えば、実施の形態での選択酸化触媒31)を坦持し、前記ガス検出室に配置されて前記ガス検出内を加熱するヒータを備え、該ヒータの放熱面は前記検出素子と前記補償素子とに指向した状態で配置され、前記ヒータは前記検出素子と前記補償素子との間に両者を遮るようにして配置され、前記ヒータは前記ガス検出室に流入する検査対象ガスが前記ヒータにより前記検出素子と前記補償素子とに振り分けられるようにして均等に分配されるように配置されることを特徴としている。
【0005】
上記構成の接触燃焼式ガスセンサによれば、例えば水素等を被検出ガスとして検出する検出素子の触媒に接触して燃焼反応を発生させる阻害ガス(例えば、車両の乗員の喫煙により発生する一酸化炭素や、飲酒した乗員の呼気に含まれるアルコール、車両の排ガス中に含まれる一酸化炭素等)は、補償素子の選択触媒に対しても触媒反応を発生させることから、この補償素子での触媒反応分によって検出素子での燃焼反応分を相殺することができ、接触燃焼式ガスセンサの被検出ガスに対する検出精度を向上させることができる。
さらに、請求項2に記載の本発明の接触燃焼式ガスセンサでは、前記選択触媒は、前記アルコールに対するCuO、または、前記一酸化炭素に対するPt、Rh、Pd、Ir、Ru、Osのうちの何れか1つ或いは適宜の組み合わせであることを特徴としている。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る接触燃焼式ガスセンサについて添付図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る接触燃焼式ガスセンサは、図1に示すように、例えば、動力源として燃料電池10aを搭載する燃料電池車両等の車両10の車室内に配置されたガス接触燃焼式の水素センサ15をなし、車室内の水素を検知できるようになっている。
【0007】
例えば図2に示すように、水素センサ15は車両のルーフ11の前後方向等に沿って長い直方形状のケース19を備えている。ケース19は、例えばポリフェニレンサルファイド製であって、長手方向両端部にフランジ部20を備えている。フランジ部20にはカラー17を取り付けてあり、例えば図3に示すように、このカラー17内にボルト21を挿入して、前記ルーフ11の内面上に設けられた取付座16に締め付け固定されるようになっている。
【0008】
例えば図3に示すように、ケース19の下面には筒状部22が形成され、筒状部22の内部はガス検出室24として形成され、筒状部22の端部がガス導入部25として開口形成されている。ケース19内には図示しない回路基板が設けられ、この回路基板に後述する検出素子29と温度補償素子30が接続されている。
検出素子29と温度補償素子30は回路基板に接続されガス検出室24内で同一高さで所定間隔を隔てて一対設けられたものである。また、ガス検出室24にはガス検出室24内の温度を検出する温度センサ28が取り付けられている。
検出素子29は周知の素子であって、例えば図4に示すように、電気抵抗に対する温度係数が高い白金等を含む金属線のコイル29aの表面を、被検出ガスとされる水素に対して活性な貴金属等からなる触媒29bを坦持するアルミナ等の坦体で被覆されて形成されている。
温度補償素子30は、被検出ガスに対して不活性とされ、例えば検出素子29と同等のコイル30aを備え、このコイル30aの表面を、被検出ガスである水素の検出を阻害する阻害ガス、例えばアルコールを選択的に酸化するCuO等の選択酸化触媒31を坦持するアルミナ等の坦体で被覆されて構成されている。
そして、被検出ガスである水素および阻害ガスであるアルコールが検出素子29の触媒29bに接触した際に生じる燃焼反応の発熱により高温となった検出素子29と、被検出ガスによる燃焼反応は発生せず、阻害ガスであるアルコールによる燃焼反応が発生した温度補償素子30との間に電気抵抗値の差が生ずることを利用し、阻害ガスであるアルコールの燃焼反応による電気抵抗値の変化分を相殺して水素濃度を検出することができるようになっている。
【0009】
例えば図4に示すように、検出素子29(抵抗値R4)及び温度補償素子30(抵抗値R3)が直列接続されてなる枝辺と、固定抵抗41(抵抗値R1)及び固定抵抗42(抵抗値R2)が直列接続されてなる枝辺とが、電源43に対して並列に接続されてなるブリッジ回路において、検出素子29と温度補償素子30同志の接続点PSと、固定抵抗41,42同志の接続点PRとの間に電圧計44が接続されている。
ここで、被検出ガスである水素が存在しないときには、阻害ガスであるアルコールの有無に関わらず、ブリッジ回路はバランスしてR1×R4=R2×R3の状態にあり、電圧計44の出力がゼロとなる。一方、水素が存在すると、検出素子29の触媒29bにおいて水素が燃焼し、コイル29aの温度が上昇し、抵抗値R4が増大する。これに対して温度補償素子30においては水素は燃焼せず、抵抗値R3は変化しない。これにより、ブリッジ回路の平衡が破れて電圧計44に、水素濃度の増大変化に応じて増大傾向に変化する適宜の電圧が印加される。この電圧計44から出力される電圧の検出値は、例えば制御装置(図示略)等へ入力され、この電圧の検出値の変化に応じて予め設定された水素濃度のマップ等に基づいて、水素濃度が算出される。
【0010】
また、例えば図2に示すように、上記ガス検出室24には検出素子29と温度補償素子30との間に、両者を遮るようにして検査対象ガスの流入方向に沿って立てられた状態で矩形板状のヒータ27が配置されている。このヒータ27はガス検出室24内を加熱するもので、放熱面27cを検出素子29と温度補償素子30とに指向した状態で配置されている。つまりヒータ27は各面が放熱面27cとして構成されている。このヒータ27により流入する検査対象ガスが検出素子29と温度補償素子30とに振り分けられるようにして均等に分配される。
また、ガス検出室24にはガス検出室24内の温度を検出する温度センサ28が取り付けられている。
【0011】
ここで、例えば飲酒した乗員の呼気にアルコールが含まれる場合、アルコールは検出素子29の触媒および温度補償素子30の選択酸化触媒31の両方で燃焼する。これにより、検出素子29および温度補償素子30の両者の温度が上昇することに伴い、両者の電気抵抗が増大するため、水素センサ15に対するアルコールの影響を相殺することができる。一方、水素は温度補償素子30の選択酸化触媒31に接触しても燃焼反応を起こさず、検出素子29の触媒に接触した場合にのみ燃焼反応を起こすことから、水素センサ15により水素のみを精度良く検出することができる。
【0012】
上述したように、本実施の形態による接触燃焼式ガスセンサによれば、ガス接触燃焼式の水素センサ15が、水素以外の阻害ガス、例えばアルコールに対して適宜の感度を有する場合であっても、この阻害ガスは温度補償素子30においても選択的に酸化されることから、この温度補償素子30での酸化反応分によって検出素子29での燃焼反応分を相殺することができ、車室内雰囲気ガス中に含まれる水素に対する水素センサ15の検出精度を向上させることができる。
【0013】
なお、上述した本実施の形態において、選択酸化触媒31はアルコールを選択的に酸化する触媒に限らず、その他の阻害ガス、例えば乗員の喫煙により発生する一酸化炭素や、例えば廃棄物処理施設等の近傍を走行中に車室内に流入するメタンや、プロパンやブタン等の可燃性ガス等を選択的に酸化する触媒であってもよい。例えば一酸化炭素に対する触媒金属は、Pt,Rh,Pd,Ir,Ru,Os等の貴金属、あるいは、これらの貴金属の適宜の組み合わせによる合金等により形成される。
また、この場合、選択酸化触媒31を阻害ガスの種類に応じて互いに異なる複数の触媒から構成してもよいし、阻害ガスの種類に応じて互いに異なる触媒を選択酸化触媒31として坦持する複数の温度補償素子30,…,30をガス検出室24内に備えてもよい。
【0014】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の接触燃焼式ガスセンサによれば、ガス検出室に導入される検査対象ガスに阻害ガスが含まれている場合であっても、検出素子での阻害ガスの燃焼反応分を、補償素子での阻害ガスの触媒反応分によって相殺することができ、接触燃焼式ガスセンサの被検出ガスに対する検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る接触燃焼式ガスセンサを車室内に備えた車両を示す図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る接触燃焼式ガスセンサの平面図である。
【図3】 図2に示すA−A線に沿う概略断面図である。
【図4】 検出素子および温度補償素子が接続されてなるブリッジ回路を示す図である。
【符号の説明】
10 車両
15 水素センサ(接触燃焼式ガスセンサ)
24 ガス検出室
29 検出素子
30 温度補償素子(補償素子)
31 選択酸化触媒(選択触媒)
Claims (2)
- 水素ガスを含む検査対象ガスが導入されるガス検出室と、該ガス検出室内に設けられ、前記水素ガスを検出する検出素子と、前記検出素子に接続された補償素子とを備え、前記検出素子の触媒に接触する前記検査対象ガスに含まれる水素ガスの燃焼に応じて発生する前記検出素子と前記補償素子との抵抗値の変化に基づき、水素ガス燃料自動車の車室内ルーフに配置され、前記水素ガスのガス濃度を検出する接触燃焼式ガスセンサであって、
前記補償素子は、前記検出素子による前記水素ガスの検出を阻害するアルコールや一酸化炭素の前記車室内に流入する阻害ガスに対して選択的に触媒反応を発生させる選択触媒を坦持し、前記ガス検出室に配置されて前記ガス検出内を加熱するヒータを備え、該ヒータの放熱面は前記検出素子と前記補償素子とに指向した状態で配置され、前記ヒータは前記検出素子と前記補償素子との間に両者を遮るようにして配置され、前記ヒータは前記ガス検出室に流入する検査対象ガスが前記ヒータにより前記検出素子と前記補償素子とに振り分けられるようにして均等に分配されるように配置されることを特徴とする接触燃焼式ガスセンサ。 - 前記選択触媒は、前記アルコールに対するCuO、または、前記一酸化炭素に対するPt、Rh、Pd、Ir、Ru、Osのうちの何れか1つ或いは適宜の組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の接触燃焼式ガスセンサ。
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