JP2006266961A - 煤検出センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】ガス流路を通過するガスに含まれる煤の量を高精度かつ連続的に検出することが可能な煤検出センサを提供する。
【解決手段】本発明の煤検出センサ1は、煤を含むガスが通過するガス流路内に設置して、このガスに含まれる煤4を検出する煤検出センサ1であって、多孔質の導電性物質から構成された煤検出電極2と、この煤検出電極2に配設され、煤検出電極2の電気抵抗の値を測定するための少なくとも一対の導電性電極3とを備えた煤検出センサ1である。
【選択図】図1(a)

Description

本発明は、煤検出センサに関する。さらに詳しくは、ガス流路を通過するガスに含まれる煤の量を高精度かつ連続的に検出することが可能な煤検出センサに関する。
内燃機関、ボイラー等の排気ガス中の微粒子や有害物質は、環境への影響を考慮して排気ガス中から除去する必要性が高まっている。特に、ディーゼルエンジンから排出される微粒子(以下、PMということがある)の除去に関する規制は欧米、日本国内ともに強化される方向にあり、このPMをディーゼルパティキュレートフィルタ(以下、DPFということがある)と呼ばれるフィルタで捕集して、外部へ排出されるPMの量を低減する技術が開発されている。
このようなDPFとしては、例えば、多孔質の隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成されたハニカム構造のフィルタが用いられており、このセルを交互に目封じすることで、セルを構成する多孔質の隔壁がフィルタの役目を果し、排気ガスを浄化する。
ところで、このようなPMを含むガスを浄化するフィルタは、その使用を継続すると、捕集されたPMが隔壁の表面を閉塞し、圧力損失が大きくなるためにフィルタ性能が低下する。特に、自動車に搭載されるDPFの場合には、フィルタ性能の低下のみならず、圧力損失の増大によってエンジンの性能が低下したり、或いは燃費の悪化を招来する点において好ましくない。従って、フィルタに捕集されたPM量が再生を必要とする量になった際には、フィルタを加熱することによって、捕集されたPMを燃焼させて除去する処理(「再生」と称される)が行われている。
例えば、DPFを再生する方法としては、ポスト噴射(爆発行程後半ないしは排気行程において燃料を噴射することを意味する)により供給された燃料を燃焼させることによって、或いはDPFの上流に加熱ヒーターを配置することによって、排出される排気ガスの温度を上昇させ、その高温の排気ガスを利用してDPFを加熱する再生方法等が知られている。
そして、現在実用化及び提案されているDPFにおいては、フィルタに捕集されたPMの量を検出する方法としては、例えば、DPFのフィルタ前後の排圧の差圧をDPF差圧センサにより検出し、電子制御等でこの差圧の値を所定の判定値と比較することによって行われている(例えば、特許文献1参照)。
また、PMとしての煤(カーボン微粒子)が、電気導電性を有していることを利用したパーティキュレート検出素子も提案されている(例えば、特許文献2参照)。このパーティキュレート検出素子は、導電性微粒子を捕獲する耐熱性電気絶縁部材と、この耐熱性電気絶縁部材に配設され、耐熱性電気絶縁部材の電気抵抗を測定する相対向する一対の電極部とからなるものである。
特開昭60−47937号公報 特開昭59−60018号公報
しかしながら、フィルタ前後の排圧の差圧をDPF差圧センサにより検出する方法に関しては、エンジンの運転条件が変わると、排出される排気ガスの流量や温度が変化して、基準となるフィルタ圧力損失が大きく変化する。このため、上述したフィルタ前後の排圧の差圧を直接検出する方法については、その検出精度が低いという問題があった。
このため、各エンジンの運転条件毎に判定値を設定し、そのデータをマップデータ等にして電子制御装置に予め記憶させておき、そのエンジンの運転条件に対応した判定値を抽出する方法も提案されているが、エンジン性能の経時変化や、エンジンの固体差による変化に対して上述したマップが対応できないという問題があった。
また、導電性微粒子を捕獲する耐熱性電気絶縁部材を備えたパーティキュレート検出素子については、一対の電極部相互間の導通が確保される程度に、耐熱性電気絶縁部材上にパーティキュレート(煤)が堆積するまでは検出感度が得られないため、低濃度に関する感度及び応答性が低いという問題があった。
また、我が国では、環境への影響を考慮して、例えば、DPFを備えた排出ガス浄化システム等の機能を車上で自己診断する装置(OBD:On−Board Diagnostic System)の導入が検討され、2008年モデル以降の車両において装着義務付けの方針が示されている。この場合には、DPFを通過して排出される微量の煤等の検出に関しても検討されているが、上述した従来の方法に関しては検出精度や応答性が低いため、OBDの検出センサとして使用することは困難である。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、ガス流路を通過するガスに含まれる煤の量を高精度かつ連続的に検出することが可能な煤検出センサを提供する。
本発明は、以下の煤検出センサを提供するものである。
[1] 煤を含むガスが通過するガス流路内に設置して、前記ガスに含まれる前記煤を検出する煤検出センサであって、多孔質の導電性物質から構成された煤検出電極と、前記煤検出電極に配設され、前記煤検出電極の電気抵抗の値を測定するための少なくとも一対の導電性電極とを備えた煤検出センサ。
[2] 前記煤検出電極を構成する前記導電性物質の電気抵抗の値が、1k〜100MΩである前記[1]に記載の煤検出センサ。
[3] 前記煤検出電極を構成する前記導電性物質が、金属とセラミックとを含むサーメットである前記[1]又は[2]に記載の煤検出センサ。
[4] 前記煤検出電極を構成する前記導電性物質が、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、及びタングステンからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む前記[1]〜[3]のいずれかに記載の煤検出センサ。
[5] 前記煤検出電極を構成する前記導電性物質の気孔率が、3〜70%である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の煤検出センサ。
[6] 前記ガス流路内の前記ガスの温度を測定する温度測定部をさらに備えた前記[1]〜[5]のいずれかに記載の煤検出センサ。
[7] 二つ以上の前記一対の導電性電極が、前記煤検出電極に配設された前記[1]〜[6]のいずれかに記載の煤検出センサ。
[8] 前記煤検出電極及び前記一対の導電性電極が配設されたセラミック基板をさらに備え、前記セラミック基板上の前記一対の導電性電極が電気絶縁性の絶縁層によって覆われた前記[1]〜[7]のいずれかに記載の煤検出センサ。
[9] 前記セラミック基板の内部又はその表面に、煤検出電極を加熱するための加熱手段をさらに備えた前記[8]に記載の煤検出センサ。
[10] 前記煤検出電極及び前記一対の導電性電極が、前記セラミック基板上にパターン印刷されて形成されたものである前記[8]又は[9]に記載の煤検出センサ。
本発明の煤検出センサは、ガス流路を通過するガスに含まれる煤の量を高精度かつ連続的に検出することができる。このため、本発明の煤検出センサは、微量の煤等も検出することが可能であるため、DPFの再生時期を判断するセンサとして用いるだけでなく、DPFの性能低下や破損等を検知するためのOBDの検出センサとしても好適に用いることができる。
以下、図面を参照して、本発明の煤検出センサの実施の形態について詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
図1(a)は、本発明の煤検出センサの一の実施の形態を模式的に示す平面図であり、図1(b)は、図1(a)におけるA−A線断面図である。本実施の形態の煤検出センサ1は、煤を含むガスが通過するガス流路内に設置して、このガスに含まれる煤を検出する煤検出センサ1であって、多孔質の導電性物質から構成された煤検出電極2と、この煤検出電極2に配設され、煤検出電極2の電気抵抗の値を測定するための少なくとも一対の導電性電極3とを備えた煤検出センサ1である。
本実施の形態の煤検出センサ1は、上述した煤検出電極2が、所定の電気抵抗の値を有する多孔質の導電性物質から構成されており、この煤検出電極2に煤4が付着することによる電気抵抗の値の変化を、一対の導電性電極3によって測定し、得られた電気抵抗の値からガスに含まれる煤4の量を検出するものである。
従来の煤検出センサとしては、図2(a)に示すように、例えば、耐熱性電気絶縁部材22と、耐熱性電気絶縁部材22の電気抵抗を測定する相対向する一対の電極部23とからなり、耐熱性電気絶縁部材22上に煤24が堆積した際の電気抵抗の値を測定する煤検出センサ21が提案されているが、この煤検出センサ21において測定される電気抵抗の値は、一対の電極部23の相互間に実際に堆積した煤24の電気抵抗の値を測定するものであり、ある程度の量の煤24が堆積して始めて電気抵抗値の変化を確認することができる。例えば、図2(b)に示すように、一対の電極部23の相互間に隙間があるように煤24が堆積したとしても、一対の電極部23相互間は依然として電気絶縁状態であり、煤24の検出を確認することができない。また、耐熱性電気絶縁部材22の表面に煤24が均一に堆積してしまうと、一対の電極部23が短絡して、これ以降の電気抵抗値の変化を確認することができない。
図1(a)に示す本実施の形態の煤検出センサ1に用いられる煤検出電極2は、所定の電気抵抗値を有する導電性物質から構成されており、図3に示すように、初期段階、即ち、煤が煤検出電極に付着していない状態でも一対の導電性電極相互間に微量の電流が流れている。ガス流路内に、ガス(例えば、排気ガス)が通過して煤検出電極に煤が堆積し始めると、この煤検出電極の電気抵抗の値は徐々に低下するため、ガスに含まれる煤の量を高精度かつ連続的に検出することができる。これに対し、従来の煤検出センサは、図4に示すように、ある一定量の煤が堆積するまでは、耐熱性電気絶縁部材の電気抵抗の値に変化はなく、煤の検出が不可能である。また、電気抵抗の値が低下する際には急激に低下してしまうため、継続的に煤の量を検出する用途に用いることは困難である。ここで、図3は、本実施の形態の煤検出センサを構成する煤検出電極に堆積する煤の量と、検出される電気抵抗の値との関係の一例を示すグラフであり、図4は、従来の煤検出センサを構成する耐熱性電気絶縁部材に堆積する煤の量と、検出される電気抵抗の値との関係の一例を示すグラフである。
また、図1(b)に示すように、煤検出電極2は、多孔質の導電性物質から構成されていることから、その気孔の内部にも煤を捕捉することもでき、煤検出電極2による煤4の捕捉量が多く、様々な量(又は濃度)の煤4の検出が可能となる。図5に示すように、例えば、エンジン直後のガス流路5a内に設置して、エンジンから排出された直後の煤4の検出に用いて、DPF6を再生する時期を判断することに使用することもできるし、また、例えば、DPF6等のフィルタ直後のガス流路5b内に設置して、DPF6を通過した微量若しくはほとんど含まれない煤4の検出に用いて、排出ガス浄化システム等の機能を車上で自己診断する装置に使用することもできる。ここで、図5は、本実施の形態の煤検出センサをガス流路内に設置した状態を模式的に示す説明図である。なお、図5に示す矢印は排気ガスの流れを示すものである。
図1(a)に示す本実施の形態の煤検出センサ1に用いられる煤検出電極2については、上述したように、多孔質の導電性物質から構成されたものであるが、具体的な煤検出電極2の電気抵抗の値としては、煤4が付着することにより、一対の導電性電極3相互間の電気抵抗の値が良好に変化し得るように、例えば、1k〜100MΩであることが好ましく、10k〜10MΩであることがさらに好ましく、100k〜1MΩであることが特に好ましい。このように構成することによって、煤検出電極2に煤4が付着した際の電気抵抗の値の変化を良好に検出することが可能となり、検出精度を向上させることができる。
煤検出電極2を構成する導電性物質としては、例えば、金属とセラミックとを含むサーメットを好適に用いることができる。さらに具体的には、この導電性物質が、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、及びタングステン(W)からなる群から選択される少なくとも一種の金属を含むことが好ましく、例えば、上述した金属の単体や、白金−金(Pt−Au)合金、パラジウム−金(Pd−Au)合金等の合金も好適に用いることができる。このような金属を含む材料は、耐熱性、及び耐食性に優れ、高温或いは腐食性ガス雰囲気下において使用されることのある煤検出センサ1の煤検出電極2として好適に用いることができる。
また、この煤検出電極2を構成する導電性物質は多孔質体であり、その気孔率としては特に制限はないが、比較的に高気効率であることが好ましい。煤検出電極2の表面に所定量以上の煤4が堆積し、かつその気孔の内部にも煤4が堆積した場合には、煤4が煤検出電極2にこれ以上堆積しても、煤検出電極2の電気抵抗の値がほとんど変化しなくなることがあり、このような場合には煤検出センサ1の検出感度が低下してしまう。上述したように、煤検出電極2が比較的に高気効率であると、この気孔の内部に堆積可能な煤4の量が多くなり、より長時間安定した煤4の検出が可能となる。具体的な気孔率の値については、検出対象となるガスの通気条件や含まれる煤4の量等によって適宜選択することができるが、例えば、気孔率が3〜70%であることが好ましく、20〜50%であることがさらに好ましい。なお、上述した気孔率の値は、水銀ポロシメーターにより測定した値である。
一対の導電性電極3は、煤検出電極2の電気抵抗の値を測定するための電極リードであり、それぞれの導電性電極3(電極リード)の一方の端部が煤検出電極2に電気的に接続され、他方に端部は図示は省略するが電源や電気抵抗の値を測定する計器等に電気的に接続されている。この一対の導電性電極3を構成する材料については、電気抵抗の値が低く、高い導電性を有していれば特に制限はないが、例えば、耐熱性に優れた、金属とセラミックとを含むサーメットを好適に用いることができる。サーメットに含まれる金属としては、正の抵抗温度係数が高い金属が好ましく、例えば、白金、ロジウム、銀、タングステン、ニッケル等を挙げることができるが、この中でも、耐熱性に優れた白金、ロジウム、及びタングステンを好適例として挙げることができる。
なお、図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施の形態の煤検出センサ1は、煤検出電極2及び一対の導電性電極3が配設されたセラミック基板7をさらに備え、このセラミック基板7上の一対の導電性電極3が電気絶縁性の絶縁層8によって覆われたものであることが好ましい。このように構成することによって、煤検出センサ1をガス流路5a,5b(図5参照)内に設置した場合に、一対の導電性電極3は絶縁層8によって、ガス流路5a,5b(図5参照)を通過するガスと隔離され、煤検出電極2のみがガスに曝されることとなる。一対の導電性電極3にも煤4が付着してしまった場合には、得られる電気抵抗の値に誤差を生じ易くなることがあり、また、煤検出センサ1は高温或いは腐食性ガス雰囲気下においても使用することがあるため、一対の導電性電極3を絶縁層8によって保護しつつ、煤検出電極2のみが有効にガスに曝されるような構成にすることにより、より正確な検出を実現することができる。
上述したセラミック基板7は、煤検出電極2及び一対の導電性電極3を所定の配置で固定するための基板であり、例えば、セラミックシートを用いて成形することによって形成することができる。このセラミック基板7は、温度変化等によって生ずる熱膨張により、煤検出電極2及び一対の導電性電極3の配置が変化することがないように、電気絶縁性が高く、熱伝導率の低いセラミック材料から構成されたものであることが好ましく、例えば、アルミナ、ステアタイト、ムライト、シリコンナイトライド、ジルコニア等を好適例として挙げることができる。
また、上述した絶縁層8は、煤検出電極2に対応する部分に孔が開いた電気絶縁性のシートをセラミック基板7に配設することによって形成することができる。このような絶縁層8は、例えば、アルミナ、ステアタイト、ムライト等を用いることができる。
また、煤検出電極2の電気抵抗の値は温度によって変化することがあるため、本実施の形態の煤検出センサ1においては、ガス流路5a,5b(図5参照)内のガスの温度を測定する温度測定部9をさらに備えたものであることが好ましい。このように構成することによって、煤検出電極2の電気抵抗の値の温度補正を行うことができ、より高精度の検出を実現することができる。この温度測定部9については、従来公知の温度計や熱電対等を用いてもよいし、また、一対の導電性電極3に定電流を流している場合には、この一対の導電性電極3の一部に、所定の電気抵抗値の温度測定用抵抗9aを配設して、この温度測定用抵抗9aに流れる電流値の変化を温度測定用電気リード9bによって測定し、得られた電流値から温度への換算を行ってもよい。
また、図6に示すように、本実施の形態の煤検出センサ1においては、二つ以上の一対の導電性電極3a,3bが、煤検出電極2に配設されたものであってもよい。このように構成することによって、二つ以上の一対の導電性電極3a,3bからそれぞれ得られる電気抵抗の値を元に、煤4の量を検出することが可能となり、検出精度を向上させることができる。
また、図7に示すように、本実施の形態の煤検出センサ1においては、セラミック基板7の内部又はその表面に、煤検出電極2を加熱するための加熱手段10をさらに備えたものであることが好ましい。煤4の検出を継続して行い、煤4が煤検出電極2に大量に堆積すると、煤検出電極2に堆積した煤4の量に対する煤検出電極2の電気抵抗の値の変化量が徐々に小さくなり、煤検出センサ1の検出感度が低下することがある。このため、加熱用のヒーター等の加熱手段10をセラミック基板7の内部又はその表面に配設し、例えば、所定量の煤4が煤検出電極2に堆積した際に、この加熱手段10によって煤検出電極2を加熱し、堆積した煤4を燃焼させて検出感度を回復する。上述したように、この加熱手段10は、煤検出電極2に堆積した煤4を燃焼させるための加熱手段であることから、少なくとも煤検出電極2が配設された領域を加熱することができるように配設することが好ましい。また、図7においては、加熱手段10として加熱用のヒーターを用いた場合を示しているが、その他の加熱手段であってもよい。例えば、煤検出電極2を直接加熱するのではなく、煤検出電極2の上流側において、ガス流路5(図5参照)を通過するガスを加熱し、加熱された高温のガスを煤検出電極2に接触させることによって煤検出電極2を加熱するような加熱手段であってもよい。ここで、図6及び図7は、本実施の形態の煤検出センサの他の例を模式的に示す平面図であり、図6及び図7において、図1(a)に示す煤検出センサと同様に構成されている各要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
ここで、本実施の形態の煤検出センサを用いて煤の検出を行う方法の一例を、図8に示す本実施の形態の煤検出センサの回路図を参照しつつ説明する。図8は、図7に示す煤検出センサの回路図である。まず、煤検出センサをガス流路内に設置し、一対の導電性電極3に定電流Iを流す。図8においては、一対の導電性電極3に、煤検出電極2と温度測定部9とが直列に接続されている。温度測定部9を構成する温度測定用抵抗9aは、予め電気抵抗の値と温度との関係式が得られているものであり、温度測定部9を構成する温度測定用抵抗9aの電気抵抗の値を測定することにより、温度に換算することができる。また、煤検出電極2においは、この煤検出電極2に煤が堆積していない状態での電気抵抗の値を、初期状態の値として確認しておく。
実際の測定においては、煤検出電極2の電気抵抗の値は、V0−V1における電圧を連続測定して、得られた電圧値を、電気抵抗の値に換算することによって得る。同様に、温度測定部9の電気抵抗の値は、V1−V2における電圧を連続測定して、得られた電圧値を、電気抵抗の値に換算することによって得る。なお、得られた温度測定部9の電気抵抗の値は、所定の関係式によりさらに温度に換算する。
また、使用する煤検出電極2に関しては、予め、周囲の温度変化と電気抵抗の値との関係について求めておき、温度測定部9によって得られた温度により、煤検出電極2の電気抵抗の値を補正することができるようにしておく。
ガス流路をガスが通過し、煤検出電極2に煤が堆積すると、煤検出電極2の電気抵抗の値が変化するので、この変化した煤検出電極2の電気抵抗の値を測定し、必要に応じて上述した温度補正を行う。このようにして得られた現時点の煤検出電極2の電気抵抗の値と、初期状態における電気抵抗の値とを比較し、電気抵抗の値の差から煤検出電極2に堆積した煤の量を算出する。このように、図8に示す回路図の煤検出センサ1は、得られた現時点の電気抵抗の値と初期状態における電気抵抗の値との差から煤検出電極2に堆積した煤の量を算出するため、予め、実験等を行って、煤検出電極2に堆積する煤の量と、この煤検出電極2の電気抵抗の値若しくは煤検出電極2の電気抵抗の変化量との関係を調べておく。以上のようにして、ガス流路内を通過するガスに含まれる煤の量を検出することができる。
このため、例えば、図5に示すように、煤検出センサ1をDPF6等のフィルタの上流側のガス流路5a内に設置した場合には、ガス流路5a内を通過した煤4の総量が所定量を超えた段階で、DPF6の再生制御を開始するように制御して用いることができる。この際、図8に示すように、煤検出センサ1が加熱手段10を備えている場合には、例えば、DPF6の再生制御時に、加熱手段10に所定の電圧VHを印加し、この加熱手段10を加熱させることによって、煤検出電極2に堆積した煤4を燃焼して除去する。
また、図5に示すように、煤検出センサ1を、DPF6等のフィルタの下流側のガス流路5b内に設置した場合には、DPF6による煤4の捕集が正常に行われているかについて検査することができる。例えば、DPF6等のフィルタが正常な状態での煤4の検出量を予め特定しておき、得られた検出結果と比較することにより実現することができる。
以下、本実施の形態の煤検出センサの製造方法について説明する。図9は、本実施の形態の煤検出センサを製造する工程を模式的に示す斜視図である。図9に示すように、本実施の形態の煤検出センサを製造する際には、まず、煤検出電極2と一対の導電性電極3とを配設するためのセラミック基板7(7a)を作製する。このセラミック基板7は、従来公知のセラミックシートを所定の形状に成形して形成することができる。セラミック基板7の材料としては、例えば、アルミナ、ステアタイト、ムライト、シリコンナイトライド、ジルコニア等を好適例として挙げることができる。
次に、このセラミック基板7上に、一対の導電性電極3を配設する。この一対の導電性電極3は、煤検出電極2の電気抵抗の値を測定するための電極リードであるため、煤検出電極2に接続する側の、それぞれの一方の端部を所定距離離した状態でセラミック基板7上に配設する。それぞれの他方の端部については、図示は省略するが電源や電気抵抗の値を測定する計器等に接続することができるように配線する。一対の導電性電極3をセラミック基板7上に配設する際には、例えば、所定の形状に形成された一対の導電性電極3を配設してもよいし、例えば、ペースト状の導電性材料をパターン印刷して一対の導電性電極3を形成してもよい。
一対の導電性電極3の材料としては、例えば、耐熱性に優れた、金属とセラミックとを含むサーメットを好適に用いることができる。サーメットに含まれる金属としては、正の抵抗温度係数が高い金属が好ましく、例えば、白金、ロジウム、銀、タングステン、ニッケル等を挙げることができるが、この中でも、耐熱性に優れた白金、ロジウム、及びタングステンを好適例として挙げることができる。
次に、煤検出電極2を、一対の導電性電極3の一方の端部を覆うように配設する。上述したように一対の導電性電極3のそれぞれの一方の端部は所定距離離した状態で配設されているため、一対の導電性電極3の相互間の導通を確保するように煤検出電極2を配設する。
煤検出電極2は、多孔質の導電性物質から構成されたものであり、例えば、金属とセラミックと消失性固体材料とを含むサーメットペーストを用い、パターン印刷により配設される。消失性個体材料はサーメットペーストの焼成により得られるサーメットの電極の内部にその消失による気孔を形成することを目的として配合される。サーメットペーストの金属、セラミック及び消失性固体材料の体積配合比率を好適にすることにより目的の電気抵抗、気孔率を持つ煤検出電極2を作製することができる。
次に、必要に応じて、セラミック基板7上に、一対の導電性電極3を覆い、煤検出電極2が露出するように構成された絶縁層8を配設する。これにより、一対の導電性電極3が絶縁層8によって保護され、煤検出電極2のみが有効にガスに曝される煤検出センサ1とすることができる。
また、一対の導電性電極3の他方の端部については、上述したように電源や電気抵抗の値を測定する計器等に接続することができるように接続端子11を配設してもよい。
また、煤検出センサ1に加熱手段10、例えば、加熱用のヒーターを設ける場合には、例えば、一対の導電性電極3等を配設したセラミック基板7aと略同形状のセラミック基板7bを別途作製し、一対の導電性電極3等を配設したセラミック基板7aと、別途作製したセラミック基板7bとの間に加熱手段10(例えば、加熱用のヒーター)を配設して、これらのセラミック基板7a,7bを積層してもよい。このようにセラミック基板7a,7bを積層して加熱手段10を配設する場合には、どちらかのセラミック基板7(図9においては、別途作製したセラミック基板7b)に貫通孔12を形成し、加熱手段10と電気的に接続する接続端子13を配設してもよい。
また、図10に示すように、温度測定部9を備えた煤検出センサを製造する場合には、一対の導電性電極3をセラミック基板7上に配設する際に、一対の導電性電極3のリード内に温度測定用抵抗9aを配設し、さらに、温度測定用抵抗9aに流れる電流値の変化を測定するための温度測定用電気リード9bを配設する。このように構成することによって、温度測定部9を備えた煤検出センサ1を簡便に製造することができる。なお、一対の導電性電極3や温度測定用電気リード9bの配線については、例えば、図8に示す回路図のような配線を行うことができる。ここで、図10は、温度測定部を備えた煤検出センサを製造する工程を模式的に示す斜視図である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図7に示すような、多孔質の導電性物質から構成された煤検出電極2と、煤検出電極2に配設され、煤検出電極2の電気抵抗の値を測定するための一対の導電性電極3とを備えた煤検出センサ1を製造した。なお、煤検出電極2は、白金を用いて作製し、その初期状態における電気抵抗の値が約1300kΩであり、その気孔率が約50%である。煤検出電極2の表面の大きさは約10mm×15mmであり、その厚さは約20μmである。一対の導電性電極3は、白金を用いて作製した。また、本実施例の煤検出センサ1としては、セラミック基板7上に煤検出電極2と一対の導電性電極3とを配設し、さらに、この一対の導電性電極3を覆い、煤検出電極2が露出するように構成された絶縁層8を配設した。また、ミック基板7上の内部には、加熱手段10として、加熱用のヒーターを配設した。
このような煤検出センサ1を、軽油燃料を用いたバーナーから排出される排気ガスが通過するガス流路の内部に、少なくとも煤検出電極2が排気ガスに接するように配設した。上述したバーナーを燃焼させて、ガス流路を通過する排気ガスの流量が2Nm3/minとなるように調節した。なお、この排気ガスには20mg/m3の煤が含まれている。約35時間、ガス流路に排気ガスを通気し、その間の煤検出電極2の電気抵抗の値を測定した。図11は、本実施例の煤検出センサにおいて測定された電気抵抗の値を示すグラフである。
(比較例1)
実施例1における煤検出電極の変わりに、耐熱性電気絶縁部材を用いた煤検出センサを製造した。本比較例の煤検出センサを、実施例1と同様に構成されたガス流路の内部に配設し、約35時間、実施例1と同様の排気ガスを通気し、一対の導電性電極相互間、即ち、耐熱性電気絶縁部材の電気抵抗の値を測定した。図12は、本比較例の煤検出センサにおいて測定された電気抵抗の値を示すグラフである。なお、図11及び図12に示すグラフの横軸は、排気ガスを通気した時間(hr)を示し、縦軸は、電気抵抗の値(kΩ)を示す。
図11及び図12に示すように、実施例1の煤検出センサにおいて測定された煤検出電極の電気抵抗の値は、試験開始直後から徐々に低下することによって、比較的堆積煤量が少ない場合においても電気抵抗の値より煤量を連続的に検出することができる。また、比較例1の煤検出センサにおいて測定された耐熱性電気絶縁部材の電気抵抗の値は、試験開始から5時間後まではほとんど低下せず、かつ、5時間後からは実施例1に比べて急激に低下するために、堆積した煤量の検出することは困難である。
(実施例2)
実施例1における煤検出電極の気孔率を10%にした以外は、実施例1の煤検出センサと同様に構成された煤検出センサを製造した。本実施例の煤検出センサを、実施例1と同様に構成されたガス流路の内部に配設し、約35時間、実施例1と同様の排気ガスを通気し、一対の導電性電極相互間の電気抵抗の値を測定した。図13は、本実施例の煤検出センサにおいて測定された電気抵抗の値を示すグラフである。なお、図13に示すグラフの横軸は、排気ガスを通気した時間(hr)を示し、縦軸は、電気抵抗の値(kΩ)を示す。
図11に示す実施例1の煤検出センサにおいて測定された電気抵抗の値と、図13に示す実施例2の煤検出センサにおいて測定された電気抵抗の値とを比較すると、気孔率が高い煤検出電極(気孔率50%)を用いた実施例1の煤検出センサの方が、長時間、例えば、20〜30時間排気ガスを通気した状態において、煤検出電極の電気抵抗の値の変化量が大きく、ガス流路を通過するガスに含まれる煤の量をより高精度かつ連続的に検出することができた。
(実施例3)
実施例1の煤検出センサに、図6に示すような、温度測定用抵抗9aと温度測定用電気リード9bを有する温度測定部をさらに備えた煤検出センサを製造した。この煤検出センサをプロパンバーナの排気ガスが通過するガス流路に配設し、10Nm3/minの排気ガスを通気した。なお、プロパンバーナから排出される排気ガスには煤は含まれていない。プロパンバーナから排出される排気ガスの温度を変化させながら煤検出センサの煤検出電極の電気抵抗の値を測定した。図14は、本実施例の煤検出センサにおいて測定された電気抵抗の値を示すグラフである。なお、図14に示すグラフの横軸は、排気ガスの温度(℃)を示し、縦軸は、電気抵抗の値(kΩ)を示す。また、図14におけるグラフにおいて、丸印で示す点は、温度補正を行わない状態での電気抵抗の値を示し、三角印で示す点は、温度測定部によって得られた温度によって温度補正を行った電気抵抗の値を示す。本実施例においては、排気ガスには煤が含まれていないため、排気ガスの温度が変化しても、得られる測定値(電気抵抗の値)としては変化しないことが好ましい。本実施例のように温度測定部によって得られた温度によって温度補正を行うことにより、より高精度な検出が可能であることが判明した。なお、温度補正を行わない状態での電気抵抗の値であっても煤の検出は可能であり、さらに、バーナーの運転状態等を別途確認することによっても、検出精度を向上させることはできる。
本発明の煤検出センサは、ガス流路を通過するガスに含まれる煤の量を高精度かつ連続的に検出することができることから、例えば、エンジン直後のガス流路内に設置して、エンジンから排出された直後の煤の検出に用いて、DPFを再生する時期を判断することに使用することもできるし、また、例えば、DPF等のフィルタ直後のガス流路内に設置して、フィルタを通過した微量若しくはほとんど含まれない煤の検出に用いて、排出ガス浄化システム等の機能を車上で自己診断する装置に使用することもできる。
本発明の煤検出センサの一の実施の形態を模式的に示す平面図である。 図1(a)におけるA−A線断面図である。 従来の煤検出センサにおける、煤を検出する方法を説明する耐熱性電気絶縁部材の拡大断面図である。 従来の煤検出センサにおける、煤を検出する方法を説明する耐熱性電気絶縁部材の拡大断面図である。 本発明の煤検出センサの一の実施の形態を構成する煤検出電極に堆積する煤の量と、検出される電気抵抗の値との関係の一例を示すグラフである。 従来の煤検出センサを構成する耐熱性電気絶縁部材に堆積する煤の量と、検出される電気抵抗の値との関係の一例を示すグラフである。 本発明の煤検出センサをガス流路内に設置した状態を模式的に示す説明図である。 本発明の煤検出センサの一の実施の形態の他の例を模式的に示す平面図である。 本発明の煤検出センサの一の実施の形態の他の例を模式的に示す平面図である。 図7に示す煤検出センサの回路図である。 本発明の煤検出センサの一の実施の形態を製造する工程を模式的に示す斜視図である。 温度測定部を備えた煤検出センサを製造する工程を模式的に示す斜視図である。 実施例1の煤検出センサにおいて測定された電気抵抗の値を示すグラフである。 比較例1の煤検出センサにおいて測定された電気抵抗の値を示すグラフである。 実施例2の煤検出センサにおいて測定された電気抵抗の値を示すグラフである。 実施例3の煤検出センサにおいて測定された電気抵抗の値を示すグラフである。
符号の説明
1…煤検出センサ、2…煤検出電極、3…一対の導電性電極、3a,3b…導電性電極、4…煤、5a,5b…ガス流路、6…DPF、7…セラミック基板、8…絶縁層、9…温度測定部、9a…温度測定用抵抗、9b…温度測定用電気リード、10…加熱手段、11…接続端子、12…貫通孔、13…接続端子、21…煤検出センサ、22…耐熱性電気絶縁部材、23…一対の電極部、24…煤。

Claims (10)

  1. 煤を含むガスが通過するガス流路内に設置して、前記ガスに含まれる前記煤を検出する煤検出センサであって、
    多孔質の導電性物質から構成された煤検出電極と、前記煤検出電極に配設され、前記煤検出電極の電気抵抗の値を測定するための少なくとも一対の導電性電極とを備えた煤検出センサ。
  2. 前記煤検出電極を構成する前記導電性物質の電気抵抗の値が、1k〜100MΩである請求項1に記載の煤検出センサ。
  3. 前記煤検出電極を構成する前記導電性物質が、金属とセラミックとを含むサーメットである請求項1又は2に記載の煤検出センサ。
  4. 前記煤検出電極を構成する前記導電性物質が、白金、ロジウム、パラジウム、イリジウム、及びタングステンからなる群から選択される少なくとも一種の金属を含む請求項1〜3のいずれかに記載の煤検出センサ。
  5. 前記煤検出電極を構成する前記導電性物質の気孔率が、3〜70%である請求項1〜4のいずれかに記載の煤検出センサ。
  6. 前記ガス流路内の前記ガスの温度を測定する温度測定部をさらに備えた請求項1〜5のいずれかに記載の煤検出センサ。
  7. 二つ以上の前記一対の導電性電極が、前記煤検出電極に配設された請求項1〜6のいずれかに記載の煤検出センサ。
  8. 前記煤検出電極及び前記一対の導電性電極が配設されたセラミック基板をさらに備え、前記セラミック基板上の前記一対の導電性電極が電気絶縁性の絶縁層によって覆われた請求項1〜7のいずれかに記載の煤検出センサ。
  9. 前記セラミック基板の内部又はその表面に、煤検出電極を加熱するための加熱手段をさらに備えた請求項8に記載の煤検出センサ。
  10. 前記煤検出電極及び前記一対の導電性電極が、前記セラミック基板上にパターン印刷されて形成されたものである請求項8又は9に記載の煤検出センサ。
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