JP3868643B2 - デジタル情報複製制限方法、デジタル情報複製制限装置およびデジタル情報記録装置 - Google Patents

デジタル情報複製制限方法、デジタル情報複製制限装置およびデジタル情報記録装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル映像等のデジタル情報の複製を制限するデジタル情報複製制限方法、デジタル情報複製制限装置およびデジタル情報記録装置に関し、さらに詳しくは、ウォータマークを用いてデジタル情報の複製世代を管理するデジタル情報複製制限方法、デジタル情報複製制限装置およびデジタル情報記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタルテレビ放送の実現により、映像のデジタルによる配信が一般化しつつある。また、映像を光ディスクや磁気テープなどにデジタルで記録する記録装置も普及しつつある。映像をデジタルで記録することができれば、映像を劣化させることなく複製することが可能となる。このため、著作権等の観点から、映像の複製を制限する必要がある。
【0003】
ウォータマーク(電子透かし)技術は、映像の複製を制限する技術の一つである。ウォータマーク技術は、デジタル映像に複製制限に関する情報を埋め込む技術である。以下、デジタル映像に埋め込むための複製制限に関する情報を「ウォーターマーク」と呼ぶ。ウォータマークは、映像中に隠れるように埋め込まれる。このため、ウォータマークを映像中に埋め込んでも、映像の質はほとんど低下しない。また、ウォータマークが埋め込まれた映像を受け取った者は、その映像中にウォータマークが存在することさえ認識することができないであろうから、ウォータマークを映像から除去することは極めて困難である。
【0004】
デジタル映像が記録装置に入力されたとき、記録装置は、まず、その映像中にウォータマークが存在するか否かを判断する。ウォータマークが存在していないときには、記録装置は、その映像は複製許可であると判断し、その映像を例えば光ディスクに記録する。これに対し、ウォータマークが存在しているときには、記録装置は、その映像は何らかの複製制限があると判断し、例えば、その映像の記録を行わない。このように、ウォータマークの有無によってデジタル映像の複製を制限することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、著作権の問題を解消しつつ、デジタルテレビ放送を広く一般に普及させるためには、デジタル映像の複製を許可するか禁止するかだけでなく、複製の世代(複製の回数)を管理する必要がある。例えば、放送局から配信されたデジタル映像を記録装置によって1世代だけ複製することを許可すると共に、2世代以上の複製を禁止することができれば、テレビ放送の受信者は、放送時間に束縛されずに配信された映像を見ることができると共に、著作権の問題も解決できるであろう。
【0006】
このようなデジタル映像の複製の世代管理を、上述したウォータマークを用いて実現するためには、少なくとも、複製禁止を示すウォータマークと1世代複製許可を示すウォータマークを用意する必要がある。また、これら2種類のウォータマークを、記録装置によって識別させる必要がある。さらに、1世代複製許可のデジタル映像を光ディスク等に記録するときには、記録後のデジタル映像が複製禁止のデジタル映像として扱われるように、ウォータマークを変更する必要がある。
【0007】
しかしながら、ウォータマークは、映像の質の低下を抑え、かつ、映像を見る者がウォータマークの存在に気付かないように、映像中に埋め込む必要がある。これらの目的を満たすために、ウォータマーク自体の構造はある程度制限される。この結果、複数種類のウォータマークを用意することや、ウォータマークを変更することは容易でないという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑みなされたものであり、デジタル映像の複製の世代管理をウォータマークを用いて最適に実現することができるデジタル情報複製制限方法、デジタル情報複製制限装置およびデジタル情報記録装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、所定の規則に基づいて生成されたPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報の複製を制限するデジタル情報複製制限方法であって、前記デジタル情報に埋め込まれ、第1の規則に基づいて生成された第1の複製制限を示す第1のPN系列からなるウォータマークを検出する検出手順と、前記第1のPN系列と異なる構造を有し、第2の規則に基づいて第2の複製制限を示す第2のPN系列を生成する生成手順と、前記検出手順により第1のPN系列からなるウォータマークが検出されたとき、第2のPN系列からなるウォータマークを、前記第1のPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報に重ねて埋め込む埋込手順と、を備えている。
【0010】
このデジタル情報複製制限方法では、互いに構造の異なる複製制限を示すPN系列からなる2種類のウォータマークが用いられる。例えば、これら2種類のウォータマークを、複製禁止を示すウォータマークと1世代複製許可を示すウォータマークにそれぞれ対応させれば、デジタル情報の複製の世代管理を実現することができる。
【0011】
さらに、第2のPN系列からなるウォータマークを、第1のPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報に重ねて埋め込むことにより、ウォータマークが示す情報を変更することができる。例えば、第1のPN系列からなるウォータマークが1世代複製許可を示し、第2のPN系列からなるウォータマークが複製禁止を示すこととすれば、デジタル情報に与えられた複製制限を、1世代複製許可から複製禁止に変更することができる。
【0012】
さらに、第2のPN系列からなるウォータマークをデジタル映像に重ねて埋め込むため、デジタル情報に他の付加情報が含まれている場合でも、これらの付加情報が、第2のPN系列からなるウォータマークの埋込によって、壊されたり削除されたりすることはない。
【0015】
請求項2の発明のように、第1のPN系列と異なる構造を有する第2のPN系列からなるウォータマークは、第1のPN系列を生成するときに用いられる生成式と異なる構造を有する生成式を用いて生成することができる。また、請求項3の発明のように、この第2のPN系列からなるウォータマークを、第1のPN系列を生成するときに用いられる生成式と同じ生成式を用い、この生成式に第1のPN系列を生成するときに用いる初期値と異なる初期値を設定することにより生成してもよい。
【0016】
請求項4の発明のように、第2のPN系列からなるウォータマークをデジタル情報に埋め込むとき、デジタル情報に応じて、第2のPN系列からなるウォータマークの強度を変更してもよい。これにより、ウォータマークの埋込によってデジタル情報の質を低下を抑えつつ、ウォータマークの正確な検出または識別が可能となる。
【0017】
請求項6の発明のように、第1のPN系列と第2のPN系列とを、互いに直交した関係を有するように生成することが望ましい。これにより、デジタル情報に埋め込まれたウォータマークが第1のPN系列からなるものか、それとも第2のPN系列からなるものかを明確に識別することができる。
【0018】
また、上述した課題を解決するために、請求項7の発明は、所定の規則に基づいて生成された信号からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報の複製を制限するデジタル情報複製制限装置であって、前記デジタル情報に埋め込まれ、第1の規則に基づいて生成された第1の複製制限を示す第1のPN系列からなるウォータマークを検出する検出手段と、前記第1のPN系列と異なる構造を有し、第2の規則に基づいて第2の複製制限を示す第2のPN系列を生成する生成手段と、前記検出手順により第1のPN系列からなるウォータマークが検出されたとき、第2のPN系列からなるウォータマークを、前記第1のPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報に重ねて埋め込む埋込手段と、を備えている。
【0019】
このデジタル情報複製制限装置によれば、互いに構造の異なる信号からなる2種類のウォータマークを、複製禁止を示すウォータマークと1世代複製許可を示すウォータマークにそれぞれ対応させれば、デジタル情報の複製の世代管理を実現することが可能となる。また、第2のPN系列からなるウォータマークを、第1のPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報に重ねて埋め込むことにより、ウォータマークが示す情報を変更することができる。さらに、第2のPN系列からなるウォータマークをデジタル映像に重ねて埋め込むため、デジタル情報に他の付加情報が含まれている場合でも、これらの付加情報が、第2のPN系列からなるウォータマークの埋込によって、壊されたり削除されたりすることはない。
【0022】
請求項8の発明のように、第1のPN系列と異なる構造を有する第2のPN系列からなるウォータマークは、第1のPN系列を生成するときに用いられる生成式と異なる構造を有する生成式を用いて生成することができる。また、請求項9の発明のように、この第2のPN系列からなるウォータマークを、第1のPN系列を生成するときに用いられる生成式と同じ生成式を用い、この生成式に第1のPN系列を生成するときに用いる初期値と異なる初期値を設定することにより生成してもよい。
【0023】
請求項10の発明のように、第2のPN系列からなるウォータマークをデジタル情報に埋め込むとき、デジタル情報に応じて、第2のPN系列からなるウォータマークの強度を変更してもよい。これにより、ウォータマークの埋込によってデジタル情報の質を低下を抑えつつ、ウォータマークの正確な検出または識別が可能となる。
【0024】
請求項12の発明のように、第1のPN系列と第2のPN系列とを、互いに直交した関係を有するように生成する。これにより、デジタル情報に埋め込まれたウォータマークが第1のPN系列からなるものか、それとも第2のPN系列からなるものかを明確に識別することができる。
【0025】
さらに、上述した課題を解決するために、請求項13の発明は、所定の規則に基づいて生成された信号からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報を記録媒体に記録するデジタル情報記録装置であって、前記デジタル情報を入力する入力手段と、前記デジタル情報に埋め込まれ、第1の規則に基づいて生成された第1の複製制限を示す第1のPN系列からなるウォータマークを検出する検出手段と、前記第1のPN系列と異なる構造を有し、第2の規則に基づいて第2の複製制限を示す第2のPN系列を生成する生成手段と、前記検出手順により第1のPN系列からなるウォータマークが検出されたとき、第2のPN系列からなるウォータマークを、前記第1のPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報に重ねて埋め込む埋込手段と、前記埋込手段により第2のPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報を前記記録媒体に記録する記録手段と、を備えている。
【0026】
このデジタル情報記録装置は、入力されたデジタル情報に埋め込まれた第1のPN系列からなるウォータマークが検出されたとき、まず、第1のPN系列と異なる構造を有する第2のPN系列からなるウォータマークを、第1のPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報に重ねて埋め込む。次に、このデジタル情報記録装置は、第2のPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報を記録媒体に記録する。例えば、第1のPN系列からなるウォータマークが1世代複製許可を示し、第2のPN系列からなるウォータマークが複製禁止を示すこととすれば、入力された1世代複製許可のデジタル情報を、複製禁止のデジタル情報として記録媒体に記録することができる。即ち、デジタル情報を記録する際に、デジタル情報に与えられた複製制限を1世代複製許可から複製禁止に変更することができる。これにより、デジタル情報の複製の世代管理を実現することが可能となる。
【0027】
さらに、第2のPN系列からなるウォータマークをデジタル映像に重ねて埋め込むため、デジタル情報に他の付加情報が含まれている場合でも、これらの付加情報が、第2のPN系列からなるウォータマークの埋込によって、壊されたり削除されたりすることはない。
【0028】
また、請求項24の発明は、所定の規則に基づいて生成された信号からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報を記録媒体に記録するデジタル情報記録装置であって、デジタル情報を入力する入力手段と、入力手段により入力されたデジタル情報に埋め込まれ、第1の規則に基づいて生成された第1の信号からなるウォータマークを検出する検出手段と、検出手段により第1の信号からなるウォータマークが検出されたとき、デジタル情報に埋め込まれた第1の信号からなるウォータマークを、第2の規則に基づいて生成され、第1の信号と異なる構造を有する第2の信号からなるウォータマークによって書き換える書換手段と、書換手段によりウォータマークが書き換えられたデジタル映像を前記記録媒体に記録する記録手段とを備えている。
【0029】
このデジタル情報記録装置では、デジタル情報に埋め込まれた第1の信号からなるウォータマークを、この第1の信号と異なる構造を有する第2の信号からなるウォータマークによって書き換えることにより、ウォータマークが示す情報を変更する。したがって、ウォータマークを埋め込むことによってデジタル情報の質が低下する度合いを一層小さくすることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。以下に説明する実施形態では、本発明をデジタル映像を記録するビデオレコーダに適用した場合を例に挙げる。
【0031】
I.デジタル映像の記録とその複製制限
まず、本発明の実施形態によるビデオレコーダを用いたデジタル映像の記録とその複製制限について図1および図2に従って説明する。
【0032】
図1に示すように、デジタル映像は、テレビ放送局400から配信される。例えば映画のように、著作権等の観点から複製を制限する必要があるデジタル映像には、テレビ放送局400から配信される以前の段階で、そのデジタル映像にウォータマーク(電子透かし)が埋め込まれる。
【0033】
本実施形態におけるウォータマークには、1世代複製許可を示すウォータマークと、複製禁止を示すウォータマークとがある。1世代複製許可を示すウォータマークが埋め込まれたデジタル映像については、1世代に限り複製することが許されるが、2世代以上の複製は許されない。複製禁止を示すウォータマークが埋め込まれたデジタル映像については、一切の複製が許されない。なお、デジタル映像中にウォータマークが埋め込まれていない場合には、そのデジタル映像ついては、自由に複製することが許される。
【0034】
通常、テレビ放送局400から配信されるデジタル映像には、1世代複製許可を示すウォータマークが埋め込まれる。これにより、デジタル映像の受信者は、配信されたデジタル映像を1回だけ光ディスク120に記録することが許されるので、放送時間に束縛されずに配信された映像を見ることができる。
【0035】
テレビ放送局400から配信されたデジタル映像は、セットトップボックス500によって受信され、セットトップボックス500からビデオレコーダ100に送られる。ビデオレコーダ100は、デジタル映像に埋め込まれたウォータマークが1世代複製許可を示していることを検出し、そのデジタル映像を光ディスク120に記録する。このとき、ビデオレコーダ100は、デジタル映像に埋め込まれた1世代複製許可を示すウォータマークを複製禁止を示すウォータマークに変更する。即ち、ビデオレコーダ100は、1世代複製許可を示すウォータマークを複製禁止を示すウォータマークに変更してから、そのデジタル映像を光ディスク120に記録する。
【0036】
また、図2に示すように、ビデオレコーダ100は、テレビ放送局400から配信されたデジタル映像が記録された光ディスク120から、そのデジタル映像を読み出して再生することができると共に、そのデジタル映像を、ビデオレコーダ100と同様の構成を有する他のビデオレコーダ200に向けてデジタルで出力することができる。しかしながら、ビデオレコーダ100によって光ディスク120に1度記録されたデジタル映像には、複製禁止を示すウォータマークが埋め込まれているため、ビデオレコーダ200は、このデジタル映像を他の光ディスク130に記録することができない。即ち、ビデオレコーダ200は、デジタル映像に埋め込まれたウォータマークが複製禁止を示していることを検出し、そのデジタル映像の記録を行わない。このようにして、デジタル映像の複製が制限され、デジタル映像の複製の世代管理が行われる。
【0037】
II.PN系列からなるウォータマーク
次に、デジタル情報に埋め込まれるウォータマークについて図3ないし図6に従って説明する。
【0038】
デジタル映像には、このデジタル映像を構成する各画像の輝度を表す情報が含まれている。この輝度を表す情報は、例えば4〜8ビット程度の数値であり、画像を構成する画素にそれぞれ対応している。即ち、各画素毎に輝度を表す数値が個別的に設定されている(以下、画素の輝度を表す数値を「輝度値」という)。これについて、図3を用いて具体的に説明すると、図3中の画像P1はデジタル映像を構成する画像の1つであり、画像P1中のa,b,c,d,…はそれぞれの画素に設定された輝度値を示している。
【0039】
ウォータマークは、所定の規則に基づいて生成された信号、例えば、PN(Pseudorandom Noise)系列によって構成されており、PN系列の各符号を画素の輝度値にそれぞれ加算することによって画像中に埋め込まれる。例えば、図3中の「0011……」はウォータマークを構成するPN系列をである。このPN系列を画像P1中の輝度値a,b,c,d,…に加算することにより、輝度値が図4に示すように、a,b,c+1,d+1,…となる。このようして、ウォータマークがデジタル映像を構成する各画像に埋め込まれる。
【0040】
ウォータマークを構成するPN系列は、例えばM系列のような疑似ランダム符号のシーケンスであり、PN系列を生成するための多項式(生成式)に初期値を与えることにより生成される。本実施形態において、PN系列を生成するための多項式(生成式)は、例えば、図5に示すようなPN系列生成回路1として具現化される。PN系列生成回路1は、シフトレジスタ1A〜1Dおよび加算器1Eにより構成されている。
【0041】
また、本実施形態では、互いに異なる2種類のPN系列を生成し、これらのうちの一方を1世代複製許可を示すウォータマークとして用い、他方を複製禁止を示すウォータマークとして用いる。PN系列は、多項式および初期値のうちのいずれか一方または双方を変更することによってランダム符号の配列が変化する。従って、多項式および初期値のうちのいずれか一方または双方を変更することによって異なるPN系列を生成することができる。
【0042】
例えば、1世代複製許可を示すウォータマークとして用いられるPN系列を、図5に示すPN系列生成回路1によって生成する。一方、複製禁止を示すウォータマークとして用いられるPN系列を、図6に示すPN系列生成回路2によって生成する。図6に示すPN系列生成回路2は、PN系列生成回路1に対応する多項式(生成式)と異なる多項式(生成式)を具現化したものであり、シフトレジスタ2A〜2Dおよび加算器2Eにより構成されている。PN系列生成回路1に対応する多項式とPN系列生成回路2に対応する多項式が異なることは、シフトレジスタおよび加算器の接続が、PN系列生成回路1とPN系列生成回路2とで異なることから明らかである。このように、接続または構成が異なる2つのPN系列生成回路(即ち、構造が異なる2つの多項式)を用いることにより、1世代複製許可を示すウォータマークと複製禁止を示すウォータマークをそれぞれ生成することができる。
【0043】
また、図5に示すPN系列生成回路1のみを用いて、1世代複製許可を示すウォータマークと複製禁止を示すウォータマークをそれぞれ生成することも可能である。この場合には、PN系列生成回路1に与える初期値を2種類用意する。これら2種類の初期値のうちの一方の初期値をPN系列生成回路1に与えることによって、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列を生成し、他方の初期値を同じPN系列生成回路1に与えることによって、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列を生成することができる。例えば、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列を生成するときには、シフトレジスタ1Aないし1Dに初期値「0011」を入力する。一方、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列を生成するときには、シフトレジスタ1Aないし1Dに初期値「0101」を入力する。
【0044】
III.ウォータマークの検出
次に、ウォータマークの検出について説明する。上述したように、ビデオレコーダ100は、受け取ったデジタル映像を光ディスク120に記録する前に、デジタル映像にウォータマークが埋め込まれているか否か、および、デジタル映像に埋め込まれているウォータマークが1世代複製許可および複製禁止のうちいずれを示すのかを判断する。ビデオレコーダ100は、このようなウォータマークの検出および判断を次のような方法によって行う。
【0045】
まず、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列を生成する。そして、そのPN系列を構成する各符号のうち、その値が「1」の符号を選択し、その符号のPN系列内における位置を特定する。さらに、その符号の位置に対応する画素を特定し、その画素に設定されている輝度値を読み出す。例えば、図3において、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列が「0011……」であるとすると、画像P1中の輝度値cおよびdをそれぞれ読み出す。このような処理を画像全体について行い、これによって読み出されたすべての輝度値の合計値α1を演算する。
【0046】
次に、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列の各符号のうち、その値が「0」の符号を選択して、その符号のPN系列内における位置を特定する。さらに、その符号の位置に対応する画素を特定し、その画素に設定されている輝度値を読み出す。例えば、図3において、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列が「0011……」であるとすると、画像P1中の輝度値aおよびbをそれぞれ読み出す。このような処理を画像全体について行い、これによって読み出されたすべての輝度値の合計値β1を演算する。
【0047】
次に、前記合計値α1とβ1との差を演算する。もし、画像中に1世代複製許可を示すウォータマークが埋め込まれている場合には、合計値α1とβ1との差は比較的大きい値となる。なぜなら、1世代複製許可を示すウォータマークが埋め込まれたことによって値が1増加したすべての輝度値の合計値がα1であり、1世代複製許可を示すウォータマークが埋め込まれたことによっても値が何ら変化しなかった輝度値の合計値がβ1だからである。一方、画像中にウォータマークが埋め込まれていない場合、または、画像中に複製禁止を示すウォータマークが埋め込まれている場合には、合計値α1とβ1との差は比較的小さい値となる。従って、合計値α1とβ1との差が所定のしきい値以上のときには、画像中に1世代複製許可を示すウォータマークが埋め込まれていると判断することができる。
【0048】
次に、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列を生成する。そして、そのPN系列を構成する各符号のうち、その値が「1」の符号を選択し、その符号のPN系列内における位置を特定する。さらに、その符号の位置に対応する画素を特定し、その画素に設定されている輝度値を読み出す。このような処理を画像全体について行い、これによって読み出されたすべての輝度値の合計値α2を演算する。
【0049】
次に、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列の各符号のうち、その値が「0」の符号を選択して、その符号のPN系列内における位置を特定する。さらに、その符号の位置に対応する画素を特定し、その画素に設定されている輝度値を読み出す。このような処理を画像全体について行い、これによって読み出されたすべての輝度値の合計値β2を演算する。
【0050】
次に、前記合計値α2とβ2との差を演算する。もし、画像中に複製禁止を示すウォータマークが埋め込まれている場合には、合計値α2とβ2との差は比較的大きい値となる。なぜなら、複製禁止を示すウォータマークが埋め込まれたことによって値が1増加したすべての輝度値の合計値がα2であり、複製禁止を示すウォータマークが埋め込まれたことによっても値が何ら変化しなかった輝度値の合計値がβ2だからである。一方、画像中にウォータマークが埋め込まれていない場合、または、画像中に1世代複製許可を示すウォータマークが埋め込まれている場合には、合計値α2とβ2との差は比較的小さい値となる。従って、合計値α2とβ2との差が所定のしきい値以上のときには、画像中に複製禁止を示すウォータマークが埋め込まれていると判断することができる。
【0051】
また、上記検出を行った結果、合計値α1とβ1の差および合計値α2とβ2との差のいずれもが前記しきい値よりも小さいときには、その画像中にウォータマークは埋め込まれていないと判断することができる。
【0052】
なお、このウォータマークの検出方法では、PN系列に1シーケンス内おいて、値が「1」の符号の総数と、値が「0」の符号の総数がほぼ等しいという性質を利用している。さらに、PN系列において、「1」の符号と「0」の符号は平均的にばらついているため、PN系列の符号が「1」か「0」かによって1画像を構成する全画素の輝度値を2つのグループに分別すると、輝度値がそれぞれのグループに平均的にばらつくことを利用している。
【0053】
また、このウォータマークの検出方法において、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列と、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列とを正確に識別するためには、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列と、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列とが直交していることが望ましい。両PN系列が直交していると、例えば、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列が埋め込まれた画像を構成する全画素の輝度値を、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列に基づいて、2つのグループに分別した場合、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列の符号がそれぞれのグループに平均的にばらつく。この結果、前記合計値α1とβ1との差は比較的小さい値となる。同様に、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列が埋め込まれた画像を構成する全画素の輝度値を、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列に基づいて、2つのグループに分別した場合、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列の符号がそれぞれのグループに平均的にばらつく。この結果、前記合計値α2とβ2との差は比較的小さい値となる。
【0054】
IV.ビデオレコーダの構成と動作
次に、本発明の実施形態によるビデオレコーダ100の具体的な構成と動作について図7ないし図11に従って説明する。
【0055】
まず、ビデオレコーダ100の構成を説明する。ビデオレコーダ100は、図7に示すように、入力部10、処理部20および記録部50を備えている。また、処理部20は、図8に示すように、検出用のPN系列生成部21、輝度検出部22、合計値演算部23、ウォータマーク判断部24、埋込用のPN系列生成部25、強度設定部26および加算器27を備えている。さらに、PN系列生成部21は、図5に示すPN系列生成回路1と図6に示すPN系列生成回路2を有しており、PN系列生成部25は図6に示すPN系列生成回路2を有している。また、合計演算部23は、2つの累算器23Aおよび23Bを有している。
【0056】
次に、ビデオレコーダ100の動作を説明する。デジタル映像がセットトップボックス500からビデオレコーダ100に送られると、入力部10は、図7に示すようにそのデジタル映像を受け取る。そして、入力部10は、このデジタル映像を、このデジタル映像を構成する各画像(各画面)毎に処理部20に出力する。
【0057】
処理部20に画像が入力されると、図8に示すPN系列生成部21、輝度値検出部22、合計値演算部23およびウォータマーク判断部24は、上述したウォータマーク検出方法を用いて、画像にウォータマークが埋め込まれているか否か、および、画像に埋め込まれているウォータマークが1世代複製許可および複製禁止のうちいずれを示すのかを判断する。
【0058】
さらに詳しく説明すると、まず、合計値演算部23は、累算器23Aおよび23Bのそれぞれの内部値を初期化する。次に、PN系列生成部21は、PN系列生成回路1に所定の初期値を入力し、PN系列生成回路1によって、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列を生成する。そして、PN系列生成部21は、これを輝度値検出部22に出力する。
【0059】
輝度値検出部22は、PN系列生成部21から出力されたPN系列を受け取り、このPN系列を構成する各符号のうちその値が「1」の符号を選択し、その符号のPN系列内における位置を特定する。さらに、輝度値検出部22は、その符号の位置に対応する画素を特定し、その画素に設定されている輝度値を読み出す。そして、輝度値検出部22は、読み出された輝度値を合計値演算部23に出力する。合計値演算部23は、輝度値検出部22から出力された輝度値を第1累算器23Aに累算する。
【0060】
さらに、輝度値検出部22は、PN系列生成部21から出力されたPN系列を構成する各符号のうちその値が「0」の符号を選択し、その符号のPN系列内における位置を特定する。さらに、輝度値検出部22は、その符号の位置に対応する画素を特定し、その画素に設定されている輝度値を読み出す。そして、輝度値検出部22は、読み出された輝度値を合計値演算部23に出力する。合計値演算部23は、輝度値検出部22から出力された輝度値を第2累算器23Bに累算する。
【0061】
デジタル映像の1画像(1画面)を構成するすべての画素の輝度値が輝度値検出部22から出力された後、合計値演算部23は、第1累算器23Aに累算された輝度値の合計値α1と、第2累算器23Bに累算された輝度値の合計値β1を、ウォータマーク判断部24に出力する。その後、合計値演算部23は、累算器23Aおよび23Bの値を初期化する。
【0062】
ウォータマーク判断部24は、合計値α1とβ1との差を演算し、その差が所定のしきい値以上か否かを判定する。その差がしきい値以上のときには、ウォータマーク判断部24は、デジタル映像の記録を許可する制御信号Sc1を記録部50に出力すると共に、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列の生成を指示する制御信号SgをPN系列生成部25に出力する。
【0063】
一方、合計値α1とβ1との差がしきい値よりも小さいときには、PN系列生成部21は、さらに、PN系列生成回路2に所定の初期値を入力し、PN系列生成回路2によって、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列を生成する。そして、PN系列生成部21は、これを輝度値検出部22に出力する。
【0064】
輝度値検出部22は、PN系列生成部21から出力されたPN系列を受け取り、このPN系列を構成する各符号のうちその値が「1」の符号を選択し、その符号のPN系列内における位置を特定する。さらに、輝度値検出部22は、その符号の位置に対応する画素を特定し、その画素に設定されている輝度値を読み出す。そして、輝度値検出部22は、読み出された輝度値を合計値演算部23に出力する。合計値演算部23は、輝度値検出部22から出力された輝度値を第1累算器23Aに累算する。
【0065】
さらに、輝度値検出部22は、PN系列生成部21から出力されたPN系列を構成する各符号のうちその値が「0」の符号を選択し、その符号のPN系列内における位置を特定する。さらに、輝度値検出部22は、その符号の位置に対応する画素を特定し、その画素に設定されている輝度値を読み出す。そして、輝度値検出部22は、読み出された輝度値を合計値演算部23に出力する。合計値演算部23は、輝度値検出部22から出力された輝度値を第2累算器23Bに累算する。
【0066】
デジタル映像の1画像(1画面)を構成するすべての画素の輝度値が輝度値検出部22から出力された後、合計値演算部23は、第1累算器23Aに累算された輝度値の合計値α2と、第2累算器23Bに累算された輝度値の合計値β2を、ウォータマーク判断部24に出力する。その後、合計値演算部23は、累算器23Aおよび23Bの値を初期化する。
【0067】
ウォータマーク判断部24は、合計値α2とβ2との差を演算し、その差が所定のしきい値以上か否かを判定する。その差がしきい値以上のときには、ウォータマーク判断部24は、デジタル映像の記録を禁止する制御信号Sc2を記録部50に出力する。このとき、ウォータマーク判断部24は、PN系列生成部25に向けて制御信号Sgを出力しない。
【0068】
一方、前回演算した合計値α1とβ1との差がしきい値よりも小さく、かつ、今回演算した合計値α2とβ2との差がしきい値よりも小さいときには、ウォータマーク判断部24は、デジタル映像の記録を許可する制御信号Sc1を記録部50に出力する。このとき、ウォータマーク判断部24は、PN系列生成部25に向けて制御信号Sgを出力しない。
【0069】
PN系列生成部25は、ウォータマーク判断部24から制御信号Sgが出力されたときに限り、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列を、PN系列生成回路2によって生成する。そして、PN系列生成部25は、これを強度設定部26に出力する。
【0070】
強度設定部26は、処理部20に入力された画像の状態を検出し、その検出結果に基づいてウォータマークの強度を変更する。具体的に説明すると、強度設定部26は、1画像を構成する画素にそれぞれ設定された輝度値が大きく変化しているか、それとも、小さく変化しているかを検出する。輝度値が大きく変化しているときには、その画像は、例えば複雑な模様を有しているので、ウォータマークを埋め込んでも、ウォータマークが目立たない。そこで、輝度値が大きく変化しているときには、強度設定部26は、ウォータマークの強度を高める処理を、PN系列生成部25から出力されたPN系列に施す。例えば、PN系列が「0101……」である場合には、これを「0202……」または、「0303……」に変更する。そして、強度設定部26は、強度を高めたウォータマーク(即ちPN系列)を加算器27に出力する。
【0071】
一方、1画像を構成する画素にそれぞれ設定された輝度値が小さく変化しているときには、その画像は、例えばフラットな画像であるため、ウォータマークが目立ちやすい。そこで、輝度値が小さく変化しているときには、強度設定部26は、PN系列生成部25から出力されたPN系列をそのまま加算器27に出力する。
【0072】
加算器27は、強度設定部26から出力されたPN系列と、処理部20に入力された画像とを加算する。これにより、1世代複製許可を示すウォータマークが埋め込まれた画像上に、複製禁止を示すウォータマークが重ねて埋め込まれる。例えば、図9に示すように、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列「0011……」が加算された画像P2(図3および図4参照)に、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列「0101……」をさらに加算すると、画像P3の輝度値は「a,b+1,c+1,d+2,……」となる。そして、加算器27は、複製禁止を示すウォータマークが重ねて埋め込まれた画像を記録部50に出力する。
【0073】
一方、PN系列生成回路25は、ウォータマーク判断部24から制御信号Sgが出力されないときには、PN系列の生成を行わない。この結果、PN系列生成回路25から何の信号も出力されないため、加算器27には何の信号の入力されない。従って、処理部20に入力された画像は、加算器27をそのまま通過して記録部50に出力される。
【0074】
このように、処理部20は、入力された画像にウォータマークが埋め込まれていないとき、または、入力された画像に複製禁止を示すウォータマークが埋め込まれているときには、その画像をそのまま記録部50に出力する。一方、処理部20は、入力された画像に1世代複製許可を示すウォータマークが埋め込まれているときには、入力された画像上に複製禁止を示すウォータマークを重ねて埋め込んだ後、その画像を記録部50に出力する。
【0075】
図7に示す記録部50は、処理部20からデジタル映像の記録を許可する制御信号Sc1が出力されたときに限り、処理部20から出力された画像を光ディスク120に記録する。即ち、記録部50は、処理部20からデジタル映像の記録を禁止する制御信号Sc2が出力されたときには、処理部20から出力された画像を光ディスク120に記録しない。この結果、記録部50は、処理部20に入力された画像にウォータマークが埋め込まれていないとき、または、その画像に1世代複製許可を示すウォータマークが埋め込まれているときには、処理部20から出力された画像を光ディスク120に記録する。一方、記録部50は、処理部20に入力された画像に複製禁止を示すウォータマークが埋め込まれているときには、処理部20から出力された画像を光ディスク120に記録しない。
【0076】
かくして、本発明の実施形態によるビデオレコーダ100によれば、互いに異なるPN系列からなるウォータマークを用いて、デジタル映像に与えられた複製制限が1世代複製許可かそれとも複製禁止かを識別することができる。さらに、デジタル映像に埋め込まれたウォータマークが1世代複製許可を示す場合には、そのデジタル映像に複製禁止を示すウォータマークを埋め込むことにより、そのデジタル映像に与えられた複製制限を1世代複製許可から複製禁止に変更することができる。これにより、ウォータマークに求められる基本的な必要性、即ち、▲1▼映像の質の低下を抑えられること、▲2▼映像を見る者にウォータマークの存在を気付かせないこと、▲3▼複製制限を容易かつ低コストで実現できること、を満たしながら、1世代複製許可と複製禁止との識別および1世代複製許可から複製禁止への変更を実現することができる。従って、デジタル映像の複製の世代管理を最適に実現することができる。
【0077】
また、本発明の実施形態によるビデオレコーダ100によれば、1世代複製許可のウォータマークが埋め込まれたデジタル映像に、複製禁止を示すウォータマークを重ねて埋め込むことにより、デジタル映像に埋め込まれたウォータマーク以外の他の付加情報を維持したまま、デジタル映像の複製制限を1世代複製許可から複製禁止に変更することができる。
【0078】
例えば、デジタル映像に、その映像に関する付加情報(例えば、映画、ドラマ、スポーツ中継といった映像の素材に関する情報)等をウォータマークとほぼ同様に画像中に隠しもたせる場合がある。このような場合に、画像中の輝度値を書き換えてしまうと、この付加情報が壊されてしまったり消されてしまったりする可能性がある。しかしながら、本発明の実施形態によるビデオレコーダ100によれば、図9に示すように、複製禁止を示すウォータマークを画像中の輝度値に加算するのみであるため、付加情報が壊されてしまったり消されてしまったりすることはない。
【0079】
さらに、本発明の実施形態によるビデオレコーダ100によれば、互いに異なる2種類の多項式にそれぞれ対応するPN系列生成回路1および2を用いて、複製禁止を示すウォータマークと1世代複製許可を示すウォータマークを生成することにより、第1のPN系列と構造が明確に相違する第2のPN系列からなるウォータマークを容易に生成することができる。また、これにより、1世代複製許可を示すウォータマークと複製許可を示すウォータマークとの識別の明確化を図ることができる。
【0080】
さらに、本発明の実施形態によるビデオレコーダ100によれば、デジタル映像に埋め込むウォータマークの強度を画像に応じて変更することにより、ウォータマークの埋込によってデジタル情報の質を低下を抑えつつ、ウォータマークの正確な検出または識別が可能となる。また、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列と複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列とが互いに直交した関係を有することにより、デジタル情報に埋め込まれたウォータマークが1世代複製許可を示すのか、それとも複製禁止を示すのかを明確に識別することができる。
【0081】
また、上述したビデオレコーダ100の処理部20では、複製禁止を示すウォータマークを1世代複製許可を示すウォータマークが埋め込まれたデジタル映像に重ねて埋め込む場合を例に挙げたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、デジタル映像に埋め込まれた1世代複製許可を示すウォータマークを複製禁止を示すウォータマークに書き換えてもよい。
【0082】
この場合には、ビデオレコーダの処理部を図10に示すように構成する。即ち、図10中の処理部40は、埋込用のPN系列生成部45を除き、図8に示す処理部20とほぼ同様の構成を有する。処理部40のPN系列生成部45は、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列を生成するPN系列生成回路1と、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列を生成するPN系列生成回路2と、PN系列生成回路2によって生成されたPN系列から、PN系列生成回路1によって生成されたPN系列を引く引算回路3とを有している。
【0083】
このPN系列生成部45の動作を具体的に説明すると、PN系列生成部45は、ウォータマーク判断部24から制御信号Sgが出力されたとき、PN系列生成回路2によって、例えば、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列「0101……」を生成する。続いて、PN系列生成部45は、PN系列生成回路1によって、例えば、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列「0011……」を生成する。さらに、PN系列生成部45は、引算回路3によって、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列「0101……」から、1世代複製許可を示すウォータマークを構成するPN系列「0011……」を引き、PN系列「0,1,-1,0……」を生成する。そして、PN系列生成部45は、これを強度設定部26に出力する。PN系列生成部45から出力されたPN系列「0,1,-1,0……」は、強度設定部26において必要に応じて強度が変更され、図11に示すように加算器27において処理部40に入力された画像の輝度値に加算される。
【0084】
この結果、画像中に埋め込まれていた1世代複製許可を示すウォータマークが画像中から除去されると共に、複製禁止を示すウォータマークが画像中に埋め込まれる。このような構成を有するビデオレコーダによれば、デジタル映像に埋め込まれた1世代複製許可を示すウォータマークを複製禁止を示すウォータマークに書き換えることができる。ウォータマークを書き換えるため、ウォータマークの埋込によって輝度値が変化する度合いを小さくすることできる。従って、デジタル情報の質の低下を抑えながら、1世代複製許可を示すウォータマークを複製禁止を示すウォータマークに変更することができる。
【0085】
なお、上述した実施形態では、ウォータマークを構成するPN系列を、画像の画素にそれぞれ設定された輝度値に加算する構成としたが、本発明はこれに限るものではなく、ウォータマークを構成するPN系列を、画素にそれぞれ設定された他の値に加算してもよい。
【0086】
また、ウォータマークを構成するPN系列は、M系列に限らない。ウォータマークを構成するPN系列として、例えばゴールド(Gold)符号のような他のランダム系列を用いてもよい。
【0087】
また、前記実施形態では、ウォータマークをPN系列によって構成する場合を例に挙げたが、本発明はこれに限るものではない。例えば、ランダム若しくはランダムに近い符号または符号の配列に規則性があってもその規則性を容易に判断することができないような符号が配列された他の信号によってウォータマークを構成することも可能である。
【0088】
さらに、前記実施形態では、PN系列を構成する符号と画像の画素とを一対一に対応させる場合を例に挙げたが、本発明はこれに限らない。例えば、画像を互いに隣接した複数の画素からなる複数の領域に分割し、この領域に、PN系列を構成する符号を一対一に対応させてもよい。ここで、複製禁止を示すウォータマークを構成するPN系列「0101……」を、互いに連接する4つの画素からなる正方形の領域に分割された画像に埋め込む場合を例に挙げる。この場合、この画像の第1番目に配置された領域に含まれる4つの画素の輝度値には、すべて「0」が加算される。さらに、この画像の第2番目に配置された領域に含まれる4つの画素の輝度値には、すべて「1」が加算される。このように、PN系列を構成する符号と複数の画素からなる領域とを一対一に対応させることにより、デジタル映像がフィルタにかけられたり圧縮されたりしてもウォータマークをデジタル映像中に残存させることができる。
【0089】
また、上述した実施形態では、本発明をデジタル映像の記録を行うビデオレコーダに適用した場合を例に挙げたが、本発明はこれに限らず、デジタル音声を記録する記録装置にも適用することができる。
【0090】
【発明の効果】
以上詳述したように、本願発明によれば、第2のPN系列からなるウォータマークを、第1のPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報に重ねて埋め込むことにより、ウォータマークが示す情報を変更することができる。これにより、例えば、1世代複製許可を示すウォータマークを、複製禁止を示すウォータマークに変更することができ、デジタル情報の複製の世代管理を実現することができる。
【0091】
さらに、第2のPN系列からなるウォータマークをデジタル情報に重ねて埋め込むため、デジタル情報に他の付加情報が含まれている場合でも、これらの付加情報が、第2のPN系列からなるウォータマークの埋込によって、壊されたり削除されたりすることはない。従って、付加情報を維持させながら、1世代複製許可を示すウォータマークを複製禁止を示すウォータマークに変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるビデオレコーダ等によって、テレビ放送局から配信されるデジタル映像を受信している状態を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態によるビデオレコーダ同士を接続した状態を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態においてデジタル映像を構成する画像にウォータマークを埋め込む例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態においてデジタル映像を構成する画像にウォータマークが埋め込まれた状態を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるPN系列生成回路を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態における他のPN系列生成回路を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態によるビデオレコーダの構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるビデオレコーダの処理部を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態においてウォータマークを画像に重ねて埋め込む例を示す説明図である。
【図10】本発明の実施の形態におけるビデオレコーダの処理部の変形例を示すブロック図である。
【図11】本発明の実施の形態においてウォータマークを書き換える例を示す説明図である。
【符号の説明】
1,2 PN系列生成回路(生成式)
10 入力部(入力手段)
20 処理部(デジタル情報複製制限装置、検出手段、埋込手段)
21 PN系列生成部
22 輝度値検出部
23 合計値演算部
24 ウォータマーク判断部
25 PN系列生成部(生成手段)
26 強度設定部(強度変更手段)
27 加算部(ウォータマーク埋込手段、ウォータマーク書換手段)
40 処理部(デジタル情報複製制限装置、検出手段、書換手段)
45 PN系列生成部(生成手段)
50 記録部(記録手段)
100,200 ビデオレコーダ(デジタル情報記録装置)

Claims (13)

  1. 所定の規則に基づいて生成されたPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報の複製を制限するデジタル情報複製制限方法であって、
    前記デジタル情報に埋め込まれ、第1の規則に基づいて生成された第1の複製制限を示す第1のPN系列からなるウォータマークを検出する検出手順と、
    前記第1のPN系列と異なる構造を有し、第2の規則に基づいて第2の複製制限を示す第2のPN系列を生成する生成手順と、
    前記検出手順により第1のPN系列からなるウォータマークが検出されたとき、第2のPN系列からなるウォータマークを、前記第1のPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報に重ねて埋め込む埋込手順と、
    を備えたことを特徴とするデジタル情報複製制限方法。
  2. 前記生成手順は、前記第1のPN系列を生成するときに用いられる生成式と異なる構造を有する生成式を用いて前記第2のPN系列を生成することを特徴とする請求項1に記載のデジタル情報複製制限方法。
  3. 前記生成手順は、前記第1のPN系列を生成するときに用いられる生成式と同じ生成式を用い、この生成式に前記第1のPN系列を生成するときに用いられる初期値と異なる初期値を設定することにより前記第2のPN系列を生成することを特徴とする請求項1に記載のデジタル情報複製制限方法。
  4. 前記埋込手順は、前記第2のPN系列からなるウォータマークを前記デジタル情報に埋め込むとき、前記デジタル情報に応じて、前記第2のPN系列からなるウォータマークの強度を変更することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のデジタル情報複製制限方法。
  5. 前記第1のPN系列からなるウォータマークは、前記デジタル情報の複製を1世代だけ許可することを示すウォータマークであり、前記第2のPN系列からなるウォータマークは、前記デジタル情報の複製を禁止することを示すウォータマークであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載のデジタル情報複製制限方法。
  6. 前記第1のPN系列と前記第2のPN系列とは、互いに直交していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のデジタル情報複製制限方法。
  7. 所定の規則に基づいて生成された信号からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報の複製を制限するデジタル情報複製制限装置であって、
    前記デジタル情報に埋め込まれ、第1の規則に基づいて生成された第1の複製制限を示す第1のPN系列からなるウォータマークを検出する検出手段と、
    前記第1のPN系列と異なる構造を有し、第2の規則に基づいて第2の複製制限を示す第2のPN系列を生成する生成手段と、
    前記検出手段により第1のPN系列からなるウォータマークが検出されたとき、第2のPN系列からなるウォータマークを、前記第1のPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報に重ねて埋め込む埋込手段と、
    を備えたことを特徴とするデジタル情報複製制限装置。
  8. 前記生成手段は、前記第1のPN系列を生成するときに用いられる生成式と異なる構造を有する生成式を用いて前記第2のPN系列を生成することを特徴とする請求項7に記載のデジタル情報複製制限装置。
  9. 前記生成手段は、前記第1のPN系列を生成するときに用いられる生成式と同じ生成式を用い、この生成式に前記第1のPN系列を生成するときに用いられる初期値と異なる初期値を設定することにより前記第2のPN系列を生成することを特徴とする請求項7に記載のデジタル情報複製制限装置。
  10. 前記埋込手段は、前記デジタル情報に応じて、前記第2のPN系列からなるウォータマークの強度を変更する強度変更手段を有することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか一項に記載のデジタル情報複製制限装置。
  11. 前記第1のPN系列からなるウォータマークは、前記デジタル情報の複製を1世代だけ許可することを示すウォータマークであり、前記第2のPN系列からなるウォータマークは、前記デジタル情報の複製を禁止することを示すウォータマークであることを特徴とする請求項7ないし10のいずれか一項に記載のデジタル情報複製制限装置。
  12. 前記第1のPN系列と前記第2のPN系列とは、互いに直交していることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか一項に記載のデジタル情報複製制限装置。
  13. 所定の規則に基づいて生成された信号からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報を記録媒体に記録するデジタル情報記録装置であって、
    前記デジタル情報を入力する入力手段と、
    前記デジタル情報に埋め込まれ、第1の規則に基づいて生成された第1の複製制限を示す第1のPN系列からなるウォータマークを検出する検出手段と、
    前記第1のPN系列と異なる構造を有し、第2の規則に基づいて第2の複製制限を示す第2のPN系列を生成する生成手段と、
    前記検出手順により第1のPN系列からなるウォータマークが検出されたとき、第2のPN系列からなるウォータマークを、前記第1のPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報に重ねて埋め込む埋込手段と、
    前記埋込手段により第2のPN系列からなるウォータマークが埋め込まれたデジタル情報を前記記録媒体に記録する記録手段と、
    を備えたことを特徴とするデジタル情報記録装置。
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