JP3868004B2 - 伝播性亜急性海綿状脳症の処置において治療作用を有する物質の選別方法 - Google Patents
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Description
本発明は、伝播性亜急性海綿状脳症(transmissible subacute spongiform encephalopathies:TSSEs)−所謂プリオン病(prion diseases)−の処置において治療作用を有し得る物質の選別(screening)方法であって、脾臓からPrPresを単離する工程を含むものに関し、更に、本発明は、その選別方法に特に適した、PrPresの複数の単離方法と、それら単離方法の、特にPrPresの検出における適用に関するものである。
伝播性亜急性海綿状脳症は、詳細な性質が今日まで未解明のままである非通常性伝播性剤(NCTAs)−プリオンとも呼ばれる−によって惹き起こされる。TSSEsには、主として、ヒトにおけるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ヒツジやヤギにおけるスクレーピ、ウシにおけるウシ海綿状脳症(BSE)が含まれ、他の脳症が、ミンクや、アカシカ、エラジカ等の数種類の野性動物において確認されている。
上記疾病の進行の結果は常に死であり、現在、有効な治療法はない。
伝播性亜急性海綿状脳症においては、異常な形態(PrPres)において、主として中枢神経系において、宿主タンパク質、PrP(プリオンタンパク質)の蓄積が見られる。PrPresは精製によっても感染力を失わず、その蓄積は組織学的な病変に先行して現れる。インビトロにおいて、PrPresは神経細胞カルチャーに対して毒性を示す。
PrPresと正常なPrPとは、2つの生化学的特徴によって区別される。PrPresはプロテアーゼに対して部分的に耐性を有することと、トリトン(Triton)−X100等の陰イオン性洗剤に対して不溶性であることである。
上記脳症の治療に有効である可能性がある新規分子の研究は、有効なインビトロモデルがないことと、インビボ実験モデルを準備するために長時間を要することとによって、阻まれている。例えば、ハムスタのスクレーピ実験では、80〜365日が必要であり、マウスのスクレーピ実験では、180〜550日が必要とされる。
そこで、本発明者らは、現在利用されている実験モデルの問題点を克服し、特に被試験物質の作用の評価を2ヶ月以内で行なうことを可能とした点等、実際の使用上の要請により適した、有効且つ信頼性のある選別方法を提供することを目的として設定した。
上記目的のために、本発明者らは、信頼性のあるマーカを発見し、再現可能なプロトコルを確立した。
本発明の主題とするところは、伝播性亜急性海綿状脳症(TSSEs、所謂プリオン病)の処置において治療作用を有し得る物質の選別方法であって、
a)げっ歯類、マウス、ハムスタ等の少なくとも1匹(好適には、複数匹であって、複数群に分けられる)の実験室動物(laboratory animal)に対して、非通常性伝播性剤(nonconventional transmissible agent:NCTA)乃至プリオンを、時間tAにおいて、何れかの適当な経路によって、接種する工程と、
b)前記実験室動物に対して、選別されるべき物質(テスト動物)または擬薬(負の対照動物)の何れかを、tAの15日前と、前記実験室動物の脾臓においてPrPresのレベルが最高となる時間に対応するtCとの間の期間内において、または、前記実験室動物の脾臓においてPrPresが最初に検出される時間に対応するtBと、tCとの間の期間内において、何れかの適当な経路にて、投与する工程;ここで、tBは、tAとその15日後の間であり、tCは、tAの20日後から30日後の間であって、好適には、tAの25日後から30日後の間であることと、
c)tBとtCとの間の期間内において、好適にはtCにおいて、前記各動物を絶命させ、そしてその脾臓を採取する工程と、
d)採取した各脾臓をホモジナイズ(homogenization)し、次いでその得られたホモジネートから前記PrPresを単一の分離工程によって得る特別な抽出を行なう、場合により該PrPresの精製を行なうこととを含む適当な単離法に従って、前記各脾臓から前記PrPresを単離する工程と、
e)前記(d)工程において得られたPrPresを適当な方法によって検出して、特別な信号を発生させ、次いでその得られた信号を、前記疾病の終末段階にある動物から得られた脳ホモジネート(brain homogenate)からなる正の対照についての希釈の検定シリーズ(calibration series of dilution)と比較することにより、前記PrPresの半定量化(semiquantification)を行なう工程と、
f)前記(e)工程において前記テスト動物の脾臓から得られた前記PrPresのレベルが、同一条件下において前記負の対照動物から得られた前記PrPresのレベルに比較して少なくとも2のファクタ(a factor of 2)まで減少している場合に、前記選別物質を、前記伝播性亜急性海綿状脳症の処置のための候補として選択する工程と
を含むことを特徴とする選別方法である。
前記時間tA、tB、tCは日数で表わされ、tA=D0である。
本発明者らが、図らずも、接種の態様(末梢または大脳内)に拘わらず、感染動物の生存を高める物質が、標準化された条件の下において検出される、脾臓におけるPrPresの蓄積を遅延させる物質でもあることを発見したことは、確かなことである。
標準化された条件とは、本発明の目的にとって、以下のパラメータが選択される条件を意味するものと理解される。
−NCTAの選択
−NCTAの投与経路
−脾臓からのPrPresの単離方法。
所与の動物から選択された株にとって、前記疾病の終末段階において、感染力価は一定である。
脾臓においてPrPresを検出することにより、PrPresの蓄積防止等の被試験分子の効果を、接種(脾臓による接種剤材の捕捉と、tAとtAの1〜2日後の間のPrPresピークの検出)後の数時間内、または、感染後5〜15日の間という、従来より極めて早期に観察することが可能となる。tBは、接種剤の捕捉時期におけるピークの検出と、新たに合成されたPrPresの検出との両者に対応する。そのため、tBは、tAとその15日後の間の時間となる。tB,tCの値は、選択されるNCTAと実験室動物(マウス)次第で、上記の範囲内で変化し得る。例えば、NCTAが、C57BL/6マウスに腹腔内経路にて接種されたマウス株のC506M3に対応する場合には、新たに合成されるPrPresが、感染後(p.i.)5日目(tB)から、100%のケースで検出され得、プラトー(plateau)が、p.i.30日目(tC)から観察される。
従って、このような方法によって、PrPresの蓄積を防止し得る分子を選別することが可能となり、そのような分子は、TSSEsの処置において治療作用を示し得ると考えられる。
本発明によれば、
a)工程においては、
NCTAは、宿主動物において安定化された株、すなわち、複数回の継代を経て宿主動物において安定な特徴を示すに至った株に対応する。特に、以下の特性:例えば、本疾病の発症前期間の同一や、全動物における継代中の病変プロフィール(脳の種々の部分の空胞化の程度)の同一である。それは、上記条件下で安定化され、宿主動物の脾臓においてPrPresの成熟前蓄積を誘導する、如何なる株にも対応する。例えば、スクレーピ株、ウシ脳症株があり、特に、Chandler、ME7、139A(M.E.Bruceら−微生物学と免疫学における今日的論題ににおけるスクレーピ株の変異とその含意:伝播性海綿状脳症、スクレーピ、BSEと関連疾患、1991、172、125−138)、C506M3(C.I.Lasmezasら−J.Gen.Virol.、1996、77、1601−1609)、263K(R.H.Kimberlinら−J.Gen.Virol.、1977、34、295−304及び1978、39、487−496)と呼ばれるスクレーピ株と、4PB1(C.I.Lasmezasら−1996、上掲)、301V(C.F.farquharら−J.Gen.Virol.、1996、77、1941−1946)と呼ばれるBSE株がある。
前記NCTAは、粗組織、好適には、脳、ホモジネート等の形状として、または、粗組織、好適には、脳、ホモジネート等から適当な遠心分離により得られるPrPresペレットの形状として、選択された投与経路に適した緩衝液中において投与される。
前記NCTAは、何れの経路(経口、非経口)、好ましくは腹腔内経路等であっても、NCTAの接種剤に対応する1回の量として0.001%と10%(重量/容積)の間(LD50は103と107の間)において投与され得る。
前記実験室動物は、好適には、げっ歯類(例えば、マウスまたはハムスタ)である。
b)工程においては、
被選別物質は、経口経路または被経口経路にて投与される。
本処置がtBとtCとの間(つまり、脾臓においてPrPresが常に検出され得る時期)において開始される場合には、本発明によるモデルによって、複製サイト乃至は場所(標的細胞)において複製中の接種NCTAに対する被選別物質の作用の研究のみが可能であるのに対して、それがtB以前(例えば、tAの時点)に投与される場合には、本発明によるモデルによって、それに加えて、NCTAが脾臓内の標的細胞に到達する前の被選別物質の作用の研究もが可能である。
d)工程においては、
分子の大きさに基づく方法(例えば、遠心分離)、溶解度差に基づく方法(例えば、塩溶・塩析や、溶媒による分画)、電荷に基づく方法等の、既知のタンパク質単離技術から選択された一連の工程次第で、精製の程度と収率とが異なる。本発明の枠組みの中では、脾臓において検出され得る最高レベルとカットオフとの比が可能な限り大きくなるような、好適には2より大きくなるような、または、得られた最終サンプルの1/2希釈が行なわれる場合でもまだ検出信号が得られるような、検出の閾値を得ることを可能にする、信頼性と感度の高い方法を選択することが必要である。
一連の工程の好適例を以下に述べるが、それらは、従来の単離法に比べて、高い信頼性と高い感度を有する点において優れている。その理由は、前者では実際の抽出が単一の分離工程のみで行なわれることと、それらが一連の工程の特別の選択によっているからである。それに対して、従来の方法(R.E.Raceら−J.Gen.Virol.、1992、73、3319−3323;Doiら−J.Gen.Virol.、1988,69、955−960;T.Muramotoら−Am.J.Pathol.、1993、143、5 1470−1479;Farquhar C.F.ら、Gen.Virol.、1994、75、495−504及びJ.Gen.Virol.、1996、77、1941−1946)では、抽出が複数の分離工程を含むことから、定量に関しては不正確であり、及び/又は、それらの方法の感度が、優れた検出閾値や優れた定量値を得るには不充分であり、特に、PrPresレベルの大きな変化を有効に検出するには不充分である。
e)工程においては、
前記PrPresが、特に、免疫測定法(例えば、ウエスタンブロット法)によって検出される。
本発明の主題は、また、器官または組織、特に脾臓、脳等からのPrPresの単離方法であって、
(i)動物を絶命された後に採取した器官または組織をホモジナイゼーション緩衝液中において機械的に擦りつぶしてホモジナイズし、得られたホモジネートのキャリブレーションを行なって、前記器官または組織を5〜50%(重量/容積)含むホモジネートを得る工程と、
(ii)前記(i)工程において得られたホモジネートに、プロテアーゼと、適当な緩衝液中において前記PrPresの凝集、分離を促進し得る陰イオン性洗剤(界面活性剤)[10〜30%のサルコシル(sarkosyl)(ラウロイルサルコシン)等]とを加えて得られた懸濁液をインキュベートし、48万〜120万g.hによる一回の超遠心分離を、好適には2〜4時間(例えば、24万〜30万gで2〜4h)をかけて、更に、好適には得られた懸濁液が20〜22℃において、行ない、20℃において、1.02〜1.08の密度を有する緩衝液クッション(buffer cushion)で沈殿させ、前記PrPresを含む遠心分離ペレットを回収する、単一の分離工程を含むPrPresの特別な抽出工程と、更に、必要ならば、
(iii)前記(ii)工程において得られた遠心分離ペレットを、1〜5%のSDSを含むレムリ(Laemmli)緩衝液に懸濁させ、その緩衝液中において且つ100℃において2〜10分間インキュベートし、16〜22℃において且つ1万2千〜1万5千gで10〜15分間遠心分離することにより、前記PrPresを精製する工程と
を必須的に含むことを特徴とする単離方法である。
このように精製されたPrPresは、次いで、電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)や免疫捕捉等の適当な方法によって、遠心分離の上澄から分離され得る。
本方法によれば、前記(i)工程における前記ホモジナイゼーション緩衝液(homogenization buffer)は、特に、水等の中性緩衝液、または、5%グルコース等の等張緩衝液である。
また、本方法によれば、前記(ii)工程において、前記遠心分離が、前記PrPresを含む緩衝液を6〜20%の蔗糖クッション(sucrose cushion)で沈殿させた後に行なわれる。
一つの変形として、本発明の主題は、また、抽出がPrPresを準備するための単一の工程を含む方法であり、超遠心分離を必要としない;脾臓、脳等の器官または組織からPrPresを単離する方法であって、
(i)動物を絶命させた後に採取した器官または組織をホモジナイゼーション緩衝液中において機械的に擦りつぶしてホモジナイズし、この得られたホモジネートに、高いイオン強度を有し且つ1:1(v/v)の比において前記PrPresの凝集を促進し得る塩(例えば、10〜30%塩化ナトリウム)を加え、そのホモジネートのキャリブレーション(calibration)を行なって、前記器官または組織を5〜50%(重量/容積)含むホモジネートを得る工程と、
(ii)前記(i)工程において得られたホモジネートに、プロテアーゼと、前記PrPresの凝集を促進し得る陰イオン性洗剤(10〜30%のサルコシル)とを加えて得られた懸濁液のインキュベーションと、更に、2万5千〜6万g.hによる遠心分離(例えば、2万5千〜3万gで1〜2h)を、好適には得られた懸濁液が16〜22℃において、行ない、20℃において、1.02〜1.08の密度を有する緩衝液クッションで沈殿させ、前記PrPresを含む遠心分離ペレットを回収する、PrPresの単一の分離とを含む、PrPresの特別な抽出工程と、更に、必要ならば、
(iii)前記(ii)工程において得られた遠心分離ペレットを、1〜5%のSDSを含むレムリ(Laemmli)緩衝液に懸濁させ、その緩衝液中において且つ100℃において2〜10分間インキュベートし、16〜22℃において且つ1万2千〜1万5千gで10〜15分間遠心分離することにより、前記PrPresを精製する工程と
を必須的に含むことを特徴とする単離方法である。
このように精製されたPrPresは、次いで、電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)や免疫捕捉等の適当な方法によって、遠心分離の上澄から分離され得る。
本方法によれば、前記(i)工程におけるホモジナイゼーション緩衝液は、特に、水等の中性緩衝液、または、5%グルコース等の等張緩衝液である。
また、本発明によれば、
前記抽出工程(ii)において、抽出のために使用される前記溶液が、前記PrPresの凝集を促進し得る陰イオン性洗剤と、スルホベタイン(好適には、1〜2%のスルホベタインSB3−14)等の両イオン性洗剤等の、タンパク質復元特性(protein-renaturing properties)を有する洗剤とを、1:1(v/v)の比で含んでいる。
また、前記抽出工程(ii)において、前記遠心分離の前に、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤が加えられる。
さらに、前記抽出工程(ii)において、前記遠心分離が、好ましくは、前記PrPresを含む懸濁液を、6〜20%の蔗糖クッション、または、6〜20%の蔗糖クッションとスルホベタインとで沈殿させた後に、行なわれる。
前記PrPresは、次いで、何れかの適切な方法で検出され得る。
驚くべきことに、脾臓からPrPresを単離する上記の方法は、単一の工程による抽出を含み、PrPresの累積的な損失がなく、PrPresを他の組織から抽出するために何らの修正を加えないで直接に使用され得る。
上記の特徴に加えて、本発明は他の特徴を含み、それら全ての特徴は、以下の記載から明らかになるであろう。以下の記載は、本発明の主題である方法の例示的な具体例に関し、添付の図面が参照される。
そこにおいて、図1は、本発明に従う選別方法において使用されるプロトコルを示す図である。
図2は、C506M3株に感染させ且つアンホテリシンB(AmB)で処置したマウスの脾臓におけるPrPresの蓄積の阻害を示すポリアクリルアミドゲルを表わす図である[分子量の程度は、アマーシャム・プレステインド・マーカー(Amersham prestained markers)で確定された]。
図3は、アンホテリシンBまたはABLC▲R▼(AmB Lipid Complex)で処置後の同じマウスにおけるPrPresの蓄積の阻害を、擬薬で処置した負の対照動物(かかる蓄積の阻害のない)との比較において示すヒストグラムである。
図4と図5とは、何れも、C506M3株をi.p.にて接種したC57BL/6マウスの脾臓におけるPrPresの蓄積の動力学(接種後0〜28日)を示す図である。
図6は、PrPresの精製の収率における抽出緩衝液の成分の役割を示す図である。
図7は、デキストラン硫酸(DS500)を試験するために実施される処置プロトコルを示す図である。
図8は、C506M3株に腹腔内経路にて感染させ且つ接種2時間前にデキストラン硫酸DS500で処置したC57BL/6マウスの脾臓におけるPrPresの蓄積を示す図である。
ここで、以下の実施例は、本発明の主題を説明するための例示として記載されるものであって、本発明をいかなる意味においても限定するものではないことが理解されるべきである。
実施例1:C506M3株を腹腔内(ip)経路にて感染させ、且つ、接種後tA+15日目から1〜2週(6日/週)の間アンホテリシンB(AmB)とその誘導体で処置したC57BL/6マウスの脾臓におけるPrPresの蓄積の研究;前記したように、超遠心分離(ultracentrifugation)を含む単離法による脾臓に存在するPrPresの単離。
・選別方法のa)工程:接種
tAで、C57BL/6マウスに、実験的スクレーピ(C506M3株)の終末段階にある感染マウスからの、5%グルコース中の2%脳ホモジネート100μlを、腹腔内経路にて接種する。
・選別方法のb)工程:治療作用を有し得る物質の投与又は擬薬の投与
tA+15日目(→tBとtCの間の期間)に、C57BL/6マウスを複数の群に分けて、以下のように処置する:
−1mg/kg(AmB)の割合で、アンホテリシンBで処置するか、
−図1に従って、6日(1)または12日(2)の間、10mg/kgの割合で、ABLC▲R▼で処置するか、または、
−擬薬で処置するか、
である。
・選別方法のc)工程:動物の絶命
tA+21日目(→tBとtCの間の期間)またはtA+28日目(→tCに相当)に、マウスを、その頸椎を骨折させて絶命させる;図1に従って、脾臓を直ちに採取し、−80℃で保存するか、または新鮮な状態で使用する。
・選別方法のd)工程:PrPresの単離
採取された脾臓を、5%グルコース溶液中において擦り潰して、10%(重量/容積)にホモジナイズする。得られたホモジネートを適当な注射器を通過させてキャリブレートする。
次いで、その10%ホモジネート(200μl)を、37℃において1時間、プロテナーゼK(10μg/ml)で処理する;消化は、5mMのフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)を加えて阻止する。pH7.4の10mMトリス中の20%サルコシルを加えた後、試料を、室温において15分間インキュベートする。その後、10%蔗糖クッション(100〜300μl)で、20℃において4時間、24万5千gで遠心分離する(Beckman TL100超遠心分離器)。
得られたペレットをレムリ(Laemmli)緩衝液に再懸濁させ、100℃において5分間インキュベートした後、得られた試料を、16℃において15分間、1万5千gによる遠心分離にかける。
・本発明の選別方法のe)工程:試料中のPrPresの検出
得られた試料を、Towbinら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1979、76、4350−4354)またはC.I.Lasmezasら(J.Gen.Virol.、1996、前掲)が記載した条件下において、SDS−PAGE電気泳動(10mgの脾臓に相当する量が負荷された12%ポリアクリルアミドゲル)にかけて、ニトロセルロース膜に移す。PrPresの免疫検出が、1/2500でマウスPrPのペプチド90−108に対して向けられた、抗血清007JB(R.Demaimayら、「ジャーナル・オブ・ヴィロロジ」、1997、71、12、9685−9689)と、パーオキシダーゼ接合抗ラビットヤギIg’s(1/2500)とを用いて行なわれる。免疫反応性を、化学ルミネッセンス(ECL、Amersham)によって検出して、図2に示すように、オートラジオグラフィ・フィルム上に定量化し且つ視覚化する。図2は、非処置の動物と、1mg/kgの割合のAmBで6日間処置し且つtA+28日目、即ち処置の終了後1週間目に絶命させた動物についての結果を示す。
抗体は、前記ペプチド(Neosystem、Strasbourg)をKLHにカップリングさせ、そのカップルされたペプチドを含むエマルジョンと完全フロイントアジュバント(Freund's adjuvant)とを“ニュージーランド”ラビットの背側部に皮下注射することによって得られる(R.Demaimayら、「ジャーナル・オブ・ヴィロロジ」、1997、71、12、9685−9689)。
・本発明に従う選別方法のf)工程:選別物質の選択
図3は、非処置動物と、AmB、1mg/kgで処置し且つtA+21日目またはtA+28日目に絶命させた動物と、ABLC▲R▼で6日(1)または12日(2)処置し且つtA+21日目またはtA+28日目に絶命させた動物とから得られた結果を示す:AmBで処置した動物とABLC▲R▼で処置した動物の両者について、PrPresの蓄積の顕著な阻害が見られる;このヒストグラムは、脾臓において検出されたPrPresの量を、本疾病の終末段階にある動物の脳ホモジネートから上記の方法と同一の方法によって精製したPrPresの線型の一群の希釈物と比較することにより得た(正の対照)。
図4と図5とは、上記の条件と同一の条件下においてC506M3株をtAで接種し且つ処置をしなかったC57BL/6マウスの脾臓におけるPrPresの28日間の蓄積の動態を示す。tA+30日目(→tCに相当)まで段階的な増加が見られ、tA+30日目にプラトーが見られる。
実施例2:C506M3株を腹腔内(ip)経路にて感染させ、且つ接種後tA+15日目から1〜2週(6日/週)の間、アンホテリシンB(AmB)とその誘導体で処置したC57BL/6マウスの脾臓におけるPrPresの蓄積の研究:超遠心分離を含まない方法によるそのPrPresの単離。
a)、b)、c)、e)及びf)工程は、実施例1のそれらと同一である。
マウスの脾臓からPrPresを単離するd)工程を、以下のようにして行なう。
採取された脾臓を、5%グルコースを含む溶液中において擦り潰して、20%(重量/容積)にホモジナイズし、20%塩化ナトリウム200μlを、得られたホモジネート200μlに加える(1:1、v/v)。その得られたホモジネートを適当な注射器を通過させてキャリブレートする。
次いで、20%ホモジネート200μlに、洗剤(20%サルコシルと2%スルホベタイン(SB3.14 Calbiochem)200μlと10μg/mlのプロテナーゼKとを加え、そしてその混合物を、37℃において1時間、インキュベートする。
その後、最終濃度で10%の蔗糖と0.1%のスルホベタインとを含むクッション200μlで、22℃において2時間、3万gで遠心分離する(ロータ;ALC4239R遠心分離器)。
図6は、種々の抽出緩衝液組成を使用して得られた精製収率を示す(ウエスタンブロット法により、ヒストグラムで表わす)。図6において、1は、収率の対照(全てホモジネート)であり、2は、10%サルコシルと10%塩化ナトリウムと10mMトリスと1%SB3−14であり、3は、10%サルコシルと10%塩化ナトリウムと10mMトリスであり、4は、10%サルコシルと10%塩化ナトリウムであり、5は、10%サルコシルである。
得られたペレットをレムリ(Laemmli)緩衝液に再懸濁させ、100℃において5分間インキュベートした後、得られた試料を、16℃において15分間、1万5千gによる第2の遠心分離にかける。
実施例3:C506M3株を腹腔内経路にて感染させ、且つ、tA−2時間においてデキストラン硫酸(DS500)で処置したC57BL/6マウスの脾臓におけるPrPresの蓄積の研究
この処置プロトコルは、図7に要約されている。
・選別方法のb)工程:治療作用を有し得る物質の投与
tA−2時間(すなわち、感染性株の接種前2時間)において、C57BL/6マウスを複数の群に分けて、
−処置をしないマウスと、
−25mg/kgでのデキストラン硫酸(DS500)で処置(tA−2時間における一回の注射による)したマウスと
に分ける。
・選別方法のa)工程:接種
tAで、C57BL/6マウスに、実験的スクレーピ(C506M3株)の終末段階にある感染マウスからの、5%グルコース中の2%脳ホモジネート100μlを、腹腔内経路にて接種する。
・選別方法のc)工程:動物の絶命
tA+2時間と、tA+7日目と、tA+22日目とに、マウスを、その頸椎を骨折させて絶命させ、その脾臓を直ちに採取する。
・選別方法のd)工程:PrPresの単離
実施例2のd)工程と同一である。
・本発明に従う選別方法のe)工程:試料中のPrPresの検出
得られた試料を、Towbinら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1979、76、4350−4354)またはC.I.Lasmezasら(J.Gen.Virol.、1996、前掲)が記載した条件下において、SDS−PAGE電気泳動(2時間後と7日目との場合には40mgの脾臓の等価物を、また、22日目の場合には10mgの脾臓の等価物を、負荷された12%ポリアクリルアミドゲル)にかけて、ニトロセルロース膜に移す。PrPresの免疫検出を、1/5000での抗血清007JB(R.Demaimayら、J.Virol.、1997、71、12、9685−9689)と、パーオキシダーゼ接合抗ラビットヤギIg’s(1/2500)とを用いて行なう。免疫反応性を、化学ルミネッセンス(ECL、Amersham)によって検出して、図8に示すように、オートラジオグラフィ・フィルム上に定量化し且つ視覚化する。図8は、非処置の動物と、接種前2時間においてDS500で処置し且つtA+2時間と、tA+7日目と、tA+22日目とに絶命させた動物についての結果を示す。
・本発明に従う選別方法のf)工程:選別物質の選択
図8は得られた結果を示す。処置を受けた動物において、PrPresの蓄積の顕著な阻害が見られる。
以上から明らかなように、本発明は、明示的に記載されたその具体例、実施態様、適用例に何等限定されるものではなく、本発明の枠組み乃至範囲を逸脱しない限りにおいて、本分野の専門家が想到し得るあらゆる変更例をも含むものである。
伝播性亜急性海綿状脳症は、詳細な性質が今日まで未解明のままである非通常性伝播性剤(NCTAs)−プリオンとも呼ばれる−によって惹き起こされる。TSSEsには、主として、ヒトにおけるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ヒツジやヤギにおけるスクレーピ、ウシにおけるウシ海綿状脳症(BSE)が含まれ、他の脳症が、ミンクや、アカシカ、エラジカ等の数種類の野性動物において確認されている。
上記疾病の進行の結果は常に死であり、現在、有効な治療法はない。
伝播性亜急性海綿状脳症においては、異常な形態(PrPres)において、主として中枢神経系において、宿主タンパク質、PrP(プリオンタンパク質)の蓄積が見られる。PrPresは精製によっても感染力を失わず、その蓄積は組織学的な病変に先行して現れる。インビトロにおいて、PrPresは神経細胞カルチャーに対して毒性を示す。
PrPresと正常なPrPとは、2つの生化学的特徴によって区別される。PrPresはプロテアーゼに対して部分的に耐性を有することと、トリトン(Triton)−X100等の陰イオン性洗剤に対して不溶性であることである。
上記脳症の治療に有効である可能性がある新規分子の研究は、有効なインビトロモデルがないことと、インビボ実験モデルを準備するために長時間を要することとによって、阻まれている。例えば、ハムスタのスクレーピ実験では、80〜365日が必要であり、マウスのスクレーピ実験では、180〜550日が必要とされる。
そこで、本発明者らは、現在利用されている実験モデルの問題点を克服し、特に被試験物質の作用の評価を2ヶ月以内で行なうことを可能とした点等、実際の使用上の要請により適した、有効且つ信頼性のある選別方法を提供することを目的として設定した。
上記目的のために、本発明者らは、信頼性のあるマーカを発見し、再現可能なプロトコルを確立した。
本発明の主題とするところは、伝播性亜急性海綿状脳症(TSSEs、所謂プリオン病)の処置において治療作用を有し得る物質の選別方法であって、
a)げっ歯類、マウス、ハムスタ等の少なくとも1匹(好適には、複数匹であって、複数群に分けられる)の実験室動物(laboratory animal)に対して、非通常性伝播性剤(nonconventional transmissible agent:NCTA)乃至プリオンを、時間tAにおいて、何れかの適当な経路によって、接種する工程と、
b)前記実験室動物に対して、選別されるべき物質(テスト動物)または擬薬(負の対照動物)の何れかを、tAの15日前と、前記実験室動物の脾臓においてPrPresのレベルが最高となる時間に対応するtCとの間の期間内において、または、前記実験室動物の脾臓においてPrPresが最初に検出される時間に対応するtBと、tCとの間の期間内において、何れかの適当な経路にて、投与する工程;ここで、tBは、tAとその15日後の間であり、tCは、tAの20日後から30日後の間であって、好適には、tAの25日後から30日後の間であることと、
c)tBとtCとの間の期間内において、好適にはtCにおいて、前記各動物を絶命させ、そしてその脾臓を採取する工程と、
d)採取した各脾臓をホモジナイズ(homogenization)し、次いでその得られたホモジネートから前記PrPresを単一の分離工程によって得る特別な抽出を行なう、場合により該PrPresの精製を行なうこととを含む適当な単離法に従って、前記各脾臓から前記PrPresを単離する工程と、
e)前記(d)工程において得られたPrPresを適当な方法によって検出して、特別な信号を発生させ、次いでその得られた信号を、前記疾病の終末段階にある動物から得られた脳ホモジネート(brain homogenate)からなる正の対照についての希釈の検定シリーズ(calibration series of dilution)と比較することにより、前記PrPresの半定量化(semiquantification)を行なう工程と、
f)前記(e)工程において前記テスト動物の脾臓から得られた前記PrPresのレベルが、同一条件下において前記負の対照動物から得られた前記PrPresのレベルに比較して少なくとも2のファクタ(a factor of 2)まで減少している場合に、前記選別物質を、前記伝播性亜急性海綿状脳症の処置のための候補として選択する工程と
を含むことを特徴とする選別方法である。
前記時間tA、tB、tCは日数で表わされ、tA=D0である。
本発明者らが、図らずも、接種の態様(末梢または大脳内)に拘わらず、感染動物の生存を高める物質が、標準化された条件の下において検出される、脾臓におけるPrPresの蓄積を遅延させる物質でもあることを発見したことは、確かなことである。
標準化された条件とは、本発明の目的にとって、以下のパラメータが選択される条件を意味するものと理解される。
−NCTAの選択
−NCTAの投与経路
−脾臓からのPrPresの単離方法。
所与の動物から選択された株にとって、前記疾病の終末段階において、感染力価は一定である。
脾臓においてPrPresを検出することにより、PrPresの蓄積防止等の被試験分子の効果を、接種(脾臓による接種剤材の捕捉と、tAとtAの1〜2日後の間のPrPresピークの検出)後の数時間内、または、感染後5〜15日の間という、従来より極めて早期に観察することが可能となる。tBは、接種剤の捕捉時期におけるピークの検出と、新たに合成されたPrPresの検出との両者に対応する。そのため、tBは、tAとその15日後の間の時間となる。tB,tCの値は、選択されるNCTAと実験室動物(マウス)次第で、上記の範囲内で変化し得る。例えば、NCTAが、C57BL/6マウスに腹腔内経路にて接種されたマウス株のC506M3に対応する場合には、新たに合成されるPrPresが、感染後(p.i.)5日目(tB)から、100%のケースで検出され得、プラトー(plateau)が、p.i.30日目(tC)から観察される。
従って、このような方法によって、PrPresの蓄積を防止し得る分子を選別することが可能となり、そのような分子は、TSSEsの処置において治療作用を示し得ると考えられる。
本発明によれば、
a)工程においては、
NCTAは、宿主動物において安定化された株、すなわち、複数回の継代を経て宿主動物において安定な特徴を示すに至った株に対応する。特に、以下の特性:例えば、本疾病の発症前期間の同一や、全動物における継代中の病変プロフィール(脳の種々の部分の空胞化の程度)の同一である。それは、上記条件下で安定化され、宿主動物の脾臓においてPrPresの成熟前蓄積を誘導する、如何なる株にも対応する。例えば、スクレーピ株、ウシ脳症株があり、特に、Chandler、ME7、139A(M.E.Bruceら−微生物学と免疫学における今日的論題ににおけるスクレーピ株の変異とその含意:伝播性海綿状脳症、スクレーピ、BSEと関連疾患、1991、172、125−138)、C506M3(C.I.Lasmezasら−J.Gen.Virol.、1996、77、1601−1609)、263K(R.H.Kimberlinら−J.Gen.Virol.、1977、34、295−304及び1978、39、487−496)と呼ばれるスクレーピ株と、4PB1(C.I.Lasmezasら−1996、上掲)、301V(C.F.farquharら−J.Gen.Virol.、1996、77、1941−1946)と呼ばれるBSE株がある。
前記NCTAは、粗組織、好適には、脳、ホモジネート等の形状として、または、粗組織、好適には、脳、ホモジネート等から適当な遠心分離により得られるPrPresペレットの形状として、選択された投与経路に適した緩衝液中において投与される。
前記NCTAは、何れの経路(経口、非経口)、好ましくは腹腔内経路等であっても、NCTAの接種剤に対応する1回の量として0.001%と10%(重量/容積)の間(LD50は103と107の間)において投与され得る。
前記実験室動物は、好適には、げっ歯類(例えば、マウスまたはハムスタ)である。
b)工程においては、
被選別物質は、経口経路または被経口経路にて投与される。
本処置がtBとtCとの間(つまり、脾臓においてPrPresが常に検出され得る時期)において開始される場合には、本発明によるモデルによって、複製サイト乃至は場所(標的細胞)において複製中の接種NCTAに対する被選別物質の作用の研究のみが可能であるのに対して、それがtB以前(例えば、tAの時点)に投与される場合には、本発明によるモデルによって、それに加えて、NCTAが脾臓内の標的細胞に到達する前の被選別物質の作用の研究もが可能である。
d)工程においては、
分子の大きさに基づく方法(例えば、遠心分離)、溶解度差に基づく方法(例えば、塩溶・塩析や、溶媒による分画)、電荷に基づく方法等の、既知のタンパク質単離技術から選択された一連の工程次第で、精製の程度と収率とが異なる。本発明の枠組みの中では、脾臓において検出され得る最高レベルとカットオフとの比が可能な限り大きくなるような、好適には2より大きくなるような、または、得られた最終サンプルの1/2希釈が行なわれる場合でもまだ検出信号が得られるような、検出の閾値を得ることを可能にする、信頼性と感度の高い方法を選択することが必要である。
一連の工程の好適例を以下に述べるが、それらは、従来の単離法に比べて、高い信頼性と高い感度を有する点において優れている。その理由は、前者では実際の抽出が単一の分離工程のみで行なわれることと、それらが一連の工程の特別の選択によっているからである。それに対して、従来の方法(R.E.Raceら−J.Gen.Virol.、1992、73、3319−3323;Doiら−J.Gen.Virol.、1988,69、955−960;T.Muramotoら−Am.J.Pathol.、1993、143、5 1470−1479;Farquhar C.F.ら、Gen.Virol.、1994、75、495−504及びJ.Gen.Virol.、1996、77、1941−1946)では、抽出が複数の分離工程を含むことから、定量に関しては不正確であり、及び/又は、それらの方法の感度が、優れた検出閾値や優れた定量値を得るには不充分であり、特に、PrPresレベルの大きな変化を有効に検出するには不充分である。
e)工程においては、
前記PrPresが、特に、免疫測定法(例えば、ウエスタンブロット法)によって検出される。
本発明の主題は、また、器官または組織、特に脾臓、脳等からのPrPresの単離方法であって、
(i)動物を絶命された後に採取した器官または組織をホモジナイゼーション緩衝液中において機械的に擦りつぶしてホモジナイズし、得られたホモジネートのキャリブレーションを行なって、前記器官または組織を5〜50%(重量/容積)含むホモジネートを得る工程と、
(ii)前記(i)工程において得られたホモジネートに、プロテアーゼと、適当な緩衝液中において前記PrPresの凝集、分離を促進し得る陰イオン性洗剤(界面活性剤)[10〜30%のサルコシル(sarkosyl)(ラウロイルサルコシン)等]とを加えて得られた懸濁液をインキュベートし、48万〜120万g.hによる一回の超遠心分離を、好適には2〜4時間(例えば、24万〜30万gで2〜4h)をかけて、更に、好適には得られた懸濁液が20〜22℃において、行ない、20℃において、1.02〜1.08の密度を有する緩衝液クッション(buffer cushion)で沈殿させ、前記PrPresを含む遠心分離ペレットを回収する、単一の分離工程を含むPrPresの特別な抽出工程と、更に、必要ならば、
(iii)前記(ii)工程において得られた遠心分離ペレットを、1〜5%のSDSを含むレムリ(Laemmli)緩衝液に懸濁させ、その緩衝液中において且つ100℃において2〜10分間インキュベートし、16〜22℃において且つ1万2千〜1万5千gで10〜15分間遠心分離することにより、前記PrPresを精製する工程と
を必須的に含むことを特徴とする単離方法である。
このように精製されたPrPresは、次いで、電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)や免疫捕捉等の適当な方法によって、遠心分離の上澄から分離され得る。
本方法によれば、前記(i)工程における前記ホモジナイゼーション緩衝液(homogenization buffer)は、特に、水等の中性緩衝液、または、5%グルコース等の等張緩衝液である。
また、本方法によれば、前記(ii)工程において、前記遠心分離が、前記PrPresを含む緩衝液を6〜20%の蔗糖クッション(sucrose cushion)で沈殿させた後に行なわれる。
一つの変形として、本発明の主題は、また、抽出がPrPresを準備するための単一の工程を含む方法であり、超遠心分離を必要としない;脾臓、脳等の器官または組織からPrPresを単離する方法であって、
(i)動物を絶命させた後に採取した器官または組織をホモジナイゼーション緩衝液中において機械的に擦りつぶしてホモジナイズし、この得られたホモジネートに、高いイオン強度を有し且つ1:1(v/v)の比において前記PrPresの凝集を促進し得る塩(例えば、10〜30%塩化ナトリウム)を加え、そのホモジネートのキャリブレーション(calibration)を行なって、前記器官または組織を5〜50%(重量/容積)含むホモジネートを得る工程と、
(ii)前記(i)工程において得られたホモジネートに、プロテアーゼと、前記PrPresの凝集を促進し得る陰イオン性洗剤(10〜30%のサルコシル)とを加えて得られた懸濁液のインキュベーションと、更に、2万5千〜6万g.hによる遠心分離(例えば、2万5千〜3万gで1〜2h)を、好適には得られた懸濁液が16〜22℃において、行ない、20℃において、1.02〜1.08の密度を有する緩衝液クッションで沈殿させ、前記PrPresを含む遠心分離ペレットを回収する、PrPresの単一の分離とを含む、PrPresの特別な抽出工程と、更に、必要ならば、
(iii)前記(ii)工程において得られた遠心分離ペレットを、1〜5%のSDSを含むレムリ(Laemmli)緩衝液に懸濁させ、その緩衝液中において且つ100℃において2〜10分間インキュベートし、16〜22℃において且つ1万2千〜1万5千gで10〜15分間遠心分離することにより、前記PrPresを精製する工程と
を必須的に含むことを特徴とする単離方法である。
このように精製されたPrPresは、次いで、電気泳動(例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動)や免疫捕捉等の適当な方法によって、遠心分離の上澄から分離され得る。
本方法によれば、前記(i)工程におけるホモジナイゼーション緩衝液は、特に、水等の中性緩衝液、または、5%グルコース等の等張緩衝液である。
また、本発明によれば、
前記抽出工程(ii)において、抽出のために使用される前記溶液が、前記PrPresの凝集を促進し得る陰イオン性洗剤と、スルホベタイン(好適には、1〜2%のスルホベタインSB3−14)等の両イオン性洗剤等の、タンパク質復元特性(protein-renaturing properties)を有する洗剤とを、1:1(v/v)の比で含んでいる。
また、前記抽出工程(ii)において、前記遠心分離の前に、少なくとも1つのプロテアーゼ阻害剤が加えられる。
さらに、前記抽出工程(ii)において、前記遠心分離が、好ましくは、前記PrPresを含む懸濁液を、6〜20%の蔗糖クッション、または、6〜20%の蔗糖クッションとスルホベタインとで沈殿させた後に、行なわれる。
前記PrPresは、次いで、何れかの適切な方法で検出され得る。
驚くべきことに、脾臓からPrPresを単離する上記の方法は、単一の工程による抽出を含み、PrPresの累積的な損失がなく、PrPresを他の組織から抽出するために何らの修正を加えないで直接に使用され得る。
上記の特徴に加えて、本発明は他の特徴を含み、それら全ての特徴は、以下の記載から明らかになるであろう。以下の記載は、本発明の主題である方法の例示的な具体例に関し、添付の図面が参照される。
そこにおいて、図1は、本発明に従う選別方法において使用されるプロトコルを示す図である。
図2は、C506M3株に感染させ且つアンホテリシンB(AmB)で処置したマウスの脾臓におけるPrPresの蓄積の阻害を示すポリアクリルアミドゲルを表わす図である[分子量の程度は、アマーシャム・プレステインド・マーカー(Amersham prestained markers)で確定された]。
図3は、アンホテリシンBまたはABLC▲R▼(AmB Lipid Complex)で処置後の同じマウスにおけるPrPresの蓄積の阻害を、擬薬で処置した負の対照動物(かかる蓄積の阻害のない)との比較において示すヒストグラムである。
図4と図5とは、何れも、C506M3株をi.p.にて接種したC57BL/6マウスの脾臓におけるPrPresの蓄積の動力学(接種後0〜28日)を示す図である。
図6は、PrPresの精製の収率における抽出緩衝液の成分の役割を示す図である。
図7は、デキストラン硫酸(DS500)を試験するために実施される処置プロトコルを示す図である。
図8は、C506M3株に腹腔内経路にて感染させ且つ接種2時間前にデキストラン硫酸DS500で処置したC57BL/6マウスの脾臓におけるPrPresの蓄積を示す図である。
ここで、以下の実施例は、本発明の主題を説明するための例示として記載されるものであって、本発明をいかなる意味においても限定するものではないことが理解されるべきである。
実施例1:C506M3株を腹腔内(ip)経路にて感染させ、且つ、接種後tA+15日目から1〜2週(6日/週)の間アンホテリシンB(AmB)とその誘導体で処置したC57BL/6マウスの脾臓におけるPrPresの蓄積の研究;前記したように、超遠心分離(ultracentrifugation)を含む単離法による脾臓に存在するPrPresの単離。
・選別方法のa)工程:接種
tAで、C57BL/6マウスに、実験的スクレーピ(C506M3株)の終末段階にある感染マウスからの、5%グルコース中の2%脳ホモジネート100μlを、腹腔内経路にて接種する。
・選別方法のb)工程:治療作用を有し得る物質の投与又は擬薬の投与
tA+15日目(→tBとtCの間の期間)に、C57BL/6マウスを複数の群に分けて、以下のように処置する:
−1mg/kg(AmB)の割合で、アンホテリシンBで処置するか、
−図1に従って、6日(1)または12日(2)の間、10mg/kgの割合で、ABLC▲R▼で処置するか、または、
−擬薬で処置するか、
である。
・選別方法のc)工程:動物の絶命
tA+21日目(→tBとtCの間の期間)またはtA+28日目(→tCに相当)に、マウスを、その頸椎を骨折させて絶命させる;図1に従って、脾臓を直ちに採取し、−80℃で保存するか、または新鮮な状態で使用する。
・選別方法のd)工程:PrPresの単離
採取された脾臓を、5%グルコース溶液中において擦り潰して、10%(重量/容積)にホモジナイズする。得られたホモジネートを適当な注射器を通過させてキャリブレートする。
次いで、その10%ホモジネート(200μl)を、37℃において1時間、プロテナーゼK(10μg/ml)で処理する;消化は、5mMのフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)を加えて阻止する。pH7.4の10mMトリス中の20%サルコシルを加えた後、試料を、室温において15分間インキュベートする。その後、10%蔗糖クッション(100〜300μl)で、20℃において4時間、24万5千gで遠心分離する(Beckman TL100超遠心分離器)。
得られたペレットをレムリ(Laemmli)緩衝液に再懸濁させ、100℃において5分間インキュベートした後、得られた試料を、16℃において15分間、1万5千gによる遠心分離にかける。
・本発明の選別方法のe)工程:試料中のPrPresの検出
得られた試料を、Towbinら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1979、76、4350−4354)またはC.I.Lasmezasら(J.Gen.Virol.、1996、前掲)が記載した条件下において、SDS−PAGE電気泳動(10mgの脾臓に相当する量が負荷された12%ポリアクリルアミドゲル)にかけて、ニトロセルロース膜に移す。PrPresの免疫検出が、1/2500でマウスPrPのペプチド90−108に対して向けられた、抗血清007JB(R.Demaimayら、「ジャーナル・オブ・ヴィロロジ」、1997、71、12、9685−9689)と、パーオキシダーゼ接合抗ラビットヤギIg’s(1/2500)とを用いて行なわれる。免疫反応性を、化学ルミネッセンス(ECL、Amersham)によって検出して、図2に示すように、オートラジオグラフィ・フィルム上に定量化し且つ視覚化する。図2は、非処置の動物と、1mg/kgの割合のAmBで6日間処置し且つtA+28日目、即ち処置の終了後1週間目に絶命させた動物についての結果を示す。
抗体は、前記ペプチド(Neosystem、Strasbourg)をKLHにカップリングさせ、そのカップルされたペプチドを含むエマルジョンと完全フロイントアジュバント(Freund's adjuvant)とを“ニュージーランド”ラビットの背側部に皮下注射することによって得られる(R.Demaimayら、「ジャーナル・オブ・ヴィロロジ」、1997、71、12、9685−9689)。
・本発明に従う選別方法のf)工程:選別物質の選択
図3は、非処置動物と、AmB、1mg/kgで処置し且つtA+21日目またはtA+28日目に絶命させた動物と、ABLC▲R▼で6日(1)または12日(2)処置し且つtA+21日目またはtA+28日目に絶命させた動物とから得られた結果を示す:AmBで処置した動物とABLC▲R▼で処置した動物の両者について、PrPresの蓄積の顕著な阻害が見られる;このヒストグラムは、脾臓において検出されたPrPresの量を、本疾病の終末段階にある動物の脳ホモジネートから上記の方法と同一の方法によって精製したPrPresの線型の一群の希釈物と比較することにより得た(正の対照)。
図4と図5とは、上記の条件と同一の条件下においてC506M3株をtAで接種し且つ処置をしなかったC57BL/6マウスの脾臓におけるPrPresの28日間の蓄積の動態を示す。tA+30日目(→tCに相当)まで段階的な増加が見られ、tA+30日目にプラトーが見られる。
実施例2:C506M3株を腹腔内(ip)経路にて感染させ、且つ接種後tA+15日目から1〜2週(6日/週)の間、アンホテリシンB(AmB)とその誘導体で処置したC57BL/6マウスの脾臓におけるPrPresの蓄積の研究:超遠心分離を含まない方法によるそのPrPresの単離。
a)、b)、c)、e)及びf)工程は、実施例1のそれらと同一である。
マウスの脾臓からPrPresを単離するd)工程を、以下のようにして行なう。
採取された脾臓を、5%グルコースを含む溶液中において擦り潰して、20%(重量/容積)にホモジナイズし、20%塩化ナトリウム200μlを、得られたホモジネート200μlに加える(1:1、v/v)。その得られたホモジネートを適当な注射器を通過させてキャリブレートする。
次いで、20%ホモジネート200μlに、洗剤(20%サルコシルと2%スルホベタイン(SB3.14 Calbiochem)200μlと10μg/mlのプロテナーゼKとを加え、そしてその混合物を、37℃において1時間、インキュベートする。
その後、最終濃度で10%の蔗糖と0.1%のスルホベタインとを含むクッション200μlで、22℃において2時間、3万gで遠心分離する(ロータ;ALC4239R遠心分離器)。
図6は、種々の抽出緩衝液組成を使用して得られた精製収率を示す(ウエスタンブロット法により、ヒストグラムで表わす)。図6において、1は、収率の対照(全てホモジネート)であり、2は、10%サルコシルと10%塩化ナトリウムと10mMトリスと1%SB3−14であり、3は、10%サルコシルと10%塩化ナトリウムと10mMトリスであり、4は、10%サルコシルと10%塩化ナトリウムであり、5は、10%サルコシルである。
得られたペレットをレムリ(Laemmli)緩衝液に再懸濁させ、100℃において5分間インキュベートした後、得られた試料を、16℃において15分間、1万5千gによる第2の遠心分離にかける。
実施例3:C506M3株を腹腔内経路にて感染させ、且つ、tA−2時間においてデキストラン硫酸(DS500)で処置したC57BL/6マウスの脾臓におけるPrPresの蓄積の研究
この処置プロトコルは、図7に要約されている。
・選別方法のb)工程:治療作用を有し得る物質の投与
tA−2時間(すなわち、感染性株の接種前2時間)において、C57BL/6マウスを複数の群に分けて、
−処置をしないマウスと、
−25mg/kgでのデキストラン硫酸(DS500)で処置(tA−2時間における一回の注射による)したマウスと
に分ける。
・選別方法のa)工程:接種
tAで、C57BL/6マウスに、実験的スクレーピ(C506M3株)の終末段階にある感染マウスからの、5%グルコース中の2%脳ホモジネート100μlを、腹腔内経路にて接種する。
・選別方法のc)工程:動物の絶命
tA+2時間と、tA+7日目と、tA+22日目とに、マウスを、その頸椎を骨折させて絶命させ、その脾臓を直ちに採取する。
・選別方法のd)工程:PrPresの単離
実施例2のd)工程と同一である。
・本発明に従う選別方法のe)工程:試料中のPrPresの検出
得られた試料を、Towbinら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1979、76、4350−4354)またはC.I.Lasmezasら(J.Gen.Virol.、1996、前掲)が記載した条件下において、SDS−PAGE電気泳動(2時間後と7日目との場合には40mgの脾臓の等価物を、また、22日目の場合には10mgの脾臓の等価物を、負荷された12%ポリアクリルアミドゲル)にかけて、ニトロセルロース膜に移す。PrPresの免疫検出を、1/5000での抗血清007JB(R.Demaimayら、J.Virol.、1997、71、12、9685−9689)と、パーオキシダーゼ接合抗ラビットヤギIg’s(1/2500)とを用いて行なう。免疫反応性を、化学ルミネッセンス(ECL、Amersham)によって検出して、図8に示すように、オートラジオグラフィ・フィルム上に定量化し且つ視覚化する。図8は、非処置の動物と、接種前2時間においてDS500で処置し且つtA+2時間と、tA+7日目と、tA+22日目とに絶命させた動物についての結果を示す。
・本発明に従う選別方法のf)工程:選別物質の選択
図8は得られた結果を示す。処置を受けた動物において、PrPresの蓄積の顕著な阻害が見られる。
以上から明らかなように、本発明は、明示的に記載されたその具体例、実施態様、適用例に何等限定されるものではなく、本発明の枠組み乃至範囲を逸脱しない限りにおいて、本分野の専門家が想到し得るあらゆる変更例をも含むものである。
Claims (14)
- 伝播性亜急性海綿状脳症(TSSEs)の処置において治療作用を有し得る物質の選別方法であって、
a)げっ歯類によって構成される群から選択された少なくとも1匹の実験室動物に対して、非通常性伝播性剤(NCTA)を、時間tAにおいて、何れかの適当な経路にて、接種する工程と、
b)前記実験室動物に対して、選別されるべき物質(テスト動物)または擬薬(負の対照動物)の何れかを、tAの15日前と、前記実験室動物の脾臓においてPrPresのレベルが最高になる時間に対応するtCとの間の期間内において、または、前記実験室動物の脾臓においてPrPresが最初に検出される時間に対応するtBと、tCとの間の期間内において、何れかの適当な経路にて、投与する工程;tBは、tAとその15日後の間であり、tCは、tAの25日後から30日後の間であることと、
c)tBとtCとの間の期間内において、好適にはtCにおいて、前記各動物を絶命させ、そしてその脾臓を採取する工程で、tA、tB、tCはそれぞれ日数で表わされることと、
d)採取した各脾臓からPrPresを分離する工程にして、該脾臓をホモジナイズし、次いでその得られたホモジネートから前記PrPresを単一の分離工程において得る特別な抽出を行ない、そして場合によりそのPrPresの精製を行なうことを含む適当な単離法に従って実施することと、
e)前記(d)工程において得られたPrPresを何れかの適当な方法によって検出して、特別な信号を発生させ、次いでその得られた信号を、前記疾病の終末段階にある動物から得られた脳ホモジネートからなる正の対照についての希釈の検定シリーズと比較することによって、前記PrPresの半定量化を行なう工程と、
f)前記(e)工程において前記テスト動物の脾臓から得られた前記PrPresのレベルが、同一条件下で前記負の対照動物から得られたレベルに比較して少なくとも2のファクタまで減少している場合に、前記選別物質を、前記伝播性亜急性海綿状脳症の処置のための候補として選択する工程と
を含むことを特徴とする選別方法。 - 前記(a)工程において、前記NCTAが、脳、ホモジネート等の粗組織として、または、脳、ホモジネート等の粗組織から適当な遠心分離によって得られたPrPresペレットの何れかの形態で、選択された投与経路に適した緩衝液中において投与されることを特徴とする請求項1の選別方法。
- 前記(a)工程において、前記NCTAが、腹腔内経路にて、NCTAの接種剤に対応する量として、0.001%と10%(重量/容積)の間(LD50は103と1O7の間)において、投与されることを特徴とする請求項1または請求項2の選別方法。
- 前記(d)工程において、前記単離法が、脾臓で検出され得る最高レベルとカットオフとの比が2より大きくなるように、または、得られる最終サンプルの1/2希釈が検出信号を発生させるように、選択されることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一つの選別方法。
- 前記(d)工程において、前記PrPresの前記単離法が、単一の工程における分離を含むことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一つの選別方法。
- 前記(e)工程において、前記PrPresが、免疫測定法によって検出されることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一つの選別方法。
- 請求項1から請求項6の何れか一つの方法において採用され得る、脾臓、脳等の器官または組織からのPrPresの単離方法であって、
(i)動物を絶命させた後に採取される器官または組織をホモジナイゼーション緩衝液中で機械的に擦りつぶしてホモジナイズし、得られるホモジネートの検定を行なって、前記器官または組織を5〜50%(重量/容積)含むホモジネートを得る工程と、
(ii)前記(i)工程において得られたホモジネートに、プロテアーゼと、適当な緩衝液中で前記PrPresの凝集、分離を促進し得る陰イオン性洗剤とを加えて得られる懸濁液をインキュベートし、48万〜120万g.hによる単一の超遠心分離を、好適には2〜4時間(例えば、24万〜30万gで2〜4h)かけて、更に、好適には懸濁液が20〜22℃において、行ない、20℃において、1.02〜1.08の密度を有する緩衝液クッションで沈殿させ、前記PrPresを含む遠心分離ペレットを回収する、単一の分離工程を含むPrPresの特別な抽出工程と、更に、必要ならば、
(iii)前記(ii)工程において得られた遠心分離ペレットを、1〜5%のSDSを含むレムリ緩衝液に懸濁させ、その緩衝液中において100℃で2〜10分間インキュベートし、そして16〜22℃において1万2千〜1万5千gで10〜15分間遠心分離することにより、前記PrPresを精製する工程と、
を含むことを特徴とする単離方法。 - 請求項1乃至請求項6の何れか一つの方法において採用され得る、脾臓、脳等の器官または組織からのPrPresの単離方法であって、
(i)動物を絶命させた後に採取した器官または組織をホモジナイゼーション緩衝液中において機械的に擦りつぶしてホモジナイズし、得られたホモジネートに、高いイオン強度を有し且つ1:1(v/v)の比において前記PrPresの凝集を促進し得る塩を加え、次いでそのホモジネートの検定を行ない、前記器官または組織を5〜50%(重量/容積)含むホモジネートを得る工程と、
(ii)前記(i)工程において得られたホモジネートに、プロテアーゼと、前記PrPresの凝集を促進し得る陰イオン性洗剤とを含む溶液を加えて得られた懸濁液のインキュベーションと、更に、2万5千〜6万g.hによる遠心分離(例えば、2万5千〜3万gで1〜2h)を、好適には懸濁液が16〜22℃において、行ない、20℃において、1.02〜1.08の密度を有する緩衝液クッションで沈殿させ、前記PrPresを含む遠心分離ペレットを回収する、PrPresの一回の分離とを含む、PrPresの特別な抽出工程と、更に、必要ならば、
(iii)前記(ii)工程において得られた遠心分離ペレットを、1〜5%のSDSを含むレムリ緩衝液に懸濁させて、その緩衝液中において100℃で2〜10分間インキュベートし、16〜22℃において1万2千〜1万5千gで10〜15分間遠心分離することにより、前記PrPresを精製する工程と
を含むことを特徴とする単離方法。 - 前記(i)工程のホモジナイゼーション緩衝液が、特に、水等の中性の緩衝液、または、5%グルコース等の等張緩衝液であることを特徴とする請求項7または請求項8の方法。
- 前記(ii)工程において、前記遠心分離の前に、少なくとも1種類のプロテアーゼ阻害剤が、加えられることを特徴とする請求項7または請求項8の方法。
- 前記(ii)工程において、前記遠心分離が、好ましくは、前記PrPresを含む懸濁液を6〜20%の蔗糖クッションで沈殿させた後に行なわれることを特徴とする請求項7または請求項8の方法。
- 前記抽出工程(ii)において、前記抽出のために使用される溶液が、前記PrPresの凝集を促進し得る陰イオン性洗剤と、スルホベタイン(好適には、1〜2%のスルホベタインSB3−14)等の両イオン性洗剤とを、1:1(v/v)の比で含むことを特徴とする請求項8の方法。
- 前記抽出工程(ii)において、前記遠心分離が、好ましくは、前記PrPresを含む懸濁液を6〜20%の蔗糖とスルホベタインとを混合状態で含むクッションで沈殿させた後に行なわれることを特徴とする請求項8の方法。
- 請求項7乃至請求項13の何れか一つの方法の、器官または組織中のPrPresの検出への適用。
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