JP3867331B2 - 弾性係数測定装置および触診装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、人が手指で物を押圧した際に当該物の弾性係数を検出する弾性係数測定装置、および、これを用いた生体の検出部位に係わる触診装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、人々の健康に対する関心が高まっており、従来の食生活を改善して動脈硬化を予防する試みがなされている。動脈硬化は、血管の内壁にコレステロールが付着することによって、血管の弾性が失われることに起因している。
【0003】
ところで、東洋医学の脈診では、医師が指で橈骨動脈を押圧し、指に感じられる脈によって、生体の状態を診断することが行われる。代表的な脈波形には、平脈、滑脈、弦脈といったものがある。平脈は「平人」すなわち正常な健康人の脈象であり、平脈はゆったりとして緩和であり、リズムが一定で乱れが少ないことが特徴である。一方、滑脈は血流状態の異常に原因するもので、浮腫,肝腎疾患,呼吸器疾患,胃腸疾患,炎症性疾患などの病気で脈の往来が非常に流利,円滑になって生じる。また、弦脈は、血管壁の緊張や老化に原因するもので、肝胆疾患,皮膚疾患,高血圧,疼痛性疾患などの病気で現れる。血管壁の弾力性が減少して、拍出された血液の拍動の影響があらわれにくくなったことに原因すると考えられる。弦脈の波形は急激に立ち上がってすぐに下降せず高圧の状態が一定時間持続するのが特徴であり、指による感触は、真っ直ぐぴんと張った長い脈、という感じである。この脈診では、医師が上記した動脈硬化を弦脈として検知する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、脈診は、上述したように人の指で感じられる微妙な触覚によって生体の状態を診断するものであるから、このような技能を人から伝え学ぶことは難しく、その熟練には長い年月がかかる。
一方、採血された血液中のコレステロールの量を測定し、動脈硬化の指標とする方法が知られているいるが、この方法では、血液成分を分析するのに時間がかかり、また、装置が大掛かりであるといった問題がある。
【0005】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成によって動脈硬化の指標となる血管の弾性係数や各主対象物の弾性係数を測定する弾性係数測定装置、および、これを用いた生体の検出部位に係わる触診装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明にあっては、対象物の弾性係数を検出する弾性係数測定装置において、手指の指尖部に光を照射したときに得られる光を受光して受光信号を検出する受光信号検出手段と、前記指尖部に圧力が加えられていないときの前記受光信号と、前記指尖部に最大圧力が加えられたときの前記受光信号とに基づいて、前記受光信号をグレーディングする際の基準となる閾値を算出する閾値算出手段と、前記閾値を格納する閾値テーブルと、前記受光信号と前記閾値とを比較して、前記受光信号をグレーディングすることにより、前記指尖部の押圧力を定量化した押圧情報を生成する押圧情報生成手段と、前記指尖部の動きを検出する動き検出手段と、前記指尖部で前記対象物を押圧すると、前記指尖部が対象物に触れたことを検出し、この検出時刻から現在の時刻までの前記指尖部の移動距離を示す変位情報を前記動き検出手段の出力に基づいて算出する変位情報算出手段と、測定時刻における前記押圧情報と前記変位情報とに基づいて、前記対象物の弾性係数を算出する弾性係数算出手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明にあっては、対象物の弾性係数を測定する弾性係数測定装置において、手指の指尖部に光を照射したときに得られる光を受光して受光信号を検出する受光信号検出手段と、前記受光信号と前記指尖部に加えられる圧力の関係を予め格納した校正テーブルと、前記指尖部に圧力が加えられていないときの前記受光信号と前記指尖部に最大圧力が加えられたときの前記受光信号を、前記校正テーブルに格納されている前記受光信号と前記指尖部に加えられる圧力の関係と対応付け、前記受光信号をグレーディングする際の基準となる閾値を算出する閾値算出手段と、前記閾値を格納する閾値テーブルと、前記受光信号と前記閾値とを比較して、前記受光信号をグレーディングすることにより、前記指尖部の押圧力を定量化した押圧情報を生成する押圧情報生成手段と、前記指尖部の動きを検出する動き検出手段と、前記指尖部で前記対象物を押圧すると、前記指尖部が対象物に触れたことを検出し、この検出時刻から現在の時刻までの前記指尖部の移動距離を示す変位情報を前記動き検出手段の出力に基づいて算出する変位情報算出手段と、測定時刻における前記押圧情報と前記距離情報とに基づいて、前記対象物の弾性係数を算出する弾性係数算出手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明にあっては、前記閾値算出手段は、前記受光信号の直流レベルに基づいて、記受光信号をグレーディングする際の基準となる閾値を算出し、前記押圧情報生成手段は、前記受光信号の直流レベルと前記閾値とを比較して、前記受光信号をグレーディングすることにより、前記指尖部の押圧力を定量化した押圧情報を生成することを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明にあっては、前記閾値算出手段は、前記受光信号の振幅レベルに基づいて、記受光信号をグレーディングする際の基準となる閾値を算出し、前記押圧情報生成手段は、前記受光信号の振幅レベルと前記閾値とを比較して、前記受光信号をグレーディングすることにより、前記指尖部の押圧力を定量化した押圧情報を生成することを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に記載の発明にあっては、前記閾値算出手段は、前記受光信号の直流レベルと振幅レベルの比に基づいて、記受光信号をグレーディングする際の基準となる閾値を算出し、前記押圧情報生成手段は、前記受光信号の直流レベルと振幅レベルの比と、前記閾値とを比較して、前記受光信号をグレーディングすることにより、前記指尖部の押圧力を定量化した押圧情報を生成することを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明にあっては、予め定められた基準変位情報を記憶する基準変位情報記憶手段を備え、前記弾性係数算出手段は、前記変位情報を前記基準変位情報と比較し、前記変位情報が前記基準変位情報に達した時刻を前記測定時刻とすることを特徴とする。
【0010】
また、請求項7に記載の発明にあっては、対象物の弾性係数を測定する弾性係数測定装置において、手指の指尖部に光を照射したときに得られる光を受光して受光信号を検出する受光信号検出手段と、前記受光信号と前記指尖部に加えられる圧力の関係を予め格納した校正テーブルと、前記指尖部に圧力が加えられていないときの前記受光信号と前記指尖部に最大圧力が加えられたときの前記受光信号を、前記校正テーブルに格納されている前記受光信号と前記指尖部に加えられる圧力の関係とを対応付け、押圧力を示す押圧情報を出力する押圧情報生成手段と、前記指尖部の動きを検出する動き検出手段と、前記指尖部で前記対象物を押圧すると、前記指尖部が対象物に触れたことを検出し、この検出時刻から現在の時刻までの前記指尖部の移動距離を示す変位情報を前記動き検出手段の出力に基づいて算出する変位情報算出手段と、測定時刻における前記押圧情報と前記変位情報とに基づいて、前記対象物の弾性係数を算出する弾性係数算出手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項8に記載の発明にあっては、予め定められた基準押圧情報を記憶する基準押圧情報記憶手段を備え、前記弾性係数算出手段は、前記押圧情報生成手段からの前記押圧情報と前記基準押圧情報を比較し、前記押圧情報が前記基準押圧情報に達した時刻を前記測定時刻とし、該測定時刻における前記変位情報を予め定められた閾値でグレーディングして前記対象物の弾性係数を算出することを特徴とする。
【0012】
また、請求項9に記載の発明にあっては、前記動き検出手段は、前記指尖部の加速度情報を検出する加速度センサからなり、前記変位情報算出手段は、前記加速度情報に基づいて前記変位情報を演算することを特徴とする。
また、請求項10に記載の発明にあっては、前記動き検出手段は、前記指尖部の速度情報を検出する速度センサからなり、前記変位情報算出手段は、前記速度情報に基づいて前記変位情報を演算することを特徴とする。
【0013】
また、請求項11に記載の発明にあっては、前記変位情報算出手段は、前記指尖部が前記対象物に触れた際の前記受光信号のレベルを示す基準レベルを記憶する基準レベル記憶手段と、前記受光信号検出手段からの受光信号のレベルと前記基準レベルとを比較する比較手段とを備え、前記受光信号のレベルが前記基準レベルに達した時刻を前記検出時刻とすることを特徴とする。
【0014】
また、請求項12に記載の発明にあっては、前記受光信号検出手段は、波長が300nmから700nmの光を前記指尖部に照射し、その反射光を受光して受光信号を検出することを特徴とする。
【0015】
また、請求項13に記載した発明にあっては、前記受光信号検出手段は、波長が600nmから1000nmの光を前記指尖部に照射し、その透過光を受光して受光信号を検出することを特徴とする。
また、請求項14に記載の発明にあっては、前記弾性係数算出手段によって算出された前記弾性係数を告知する告知手段を備えたことを特徴とする。
また、請求項15に記載の発明にあっては、弾性係数測定装置を用いた触診装置であって、前記受光信号検出手段と前記動き検出手段を設けた手指の指尖部で、生体の検出部位を押圧し、前記弾性係数算出手段によって、前記測定時刻における前記押圧情報と前記変位情報とに基づいて、前記生体の検出部位に係わる弾性係数を算出することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
A.弾性係数の検出原理
実施形態の説明に先立ち、まず、本発明における弾性係数の検出原理を、血流量の検出と弾性係数の指標とに分かち説明する。
1.血流量の検出
薄い膜に光を照射した場合、入射光と透過光の比は、物質の濃度と光路長に比例した分だけ減少する。このことは、「ランバートベール」の法則として周知のことである。
【0018】
この法則によれば、物質の濃度は以下のようにして求められる。
図11は、ランバートベールの法則を示す説明図である。
図11(a)に示すように、物質Mの濃度をC、微小光路長をΔL、入射光の光量をIin、物質Mの吸光係数をkとすると、次式が成立する。
Iout/Iin=1−kCΔL・・・・・・・・・・・・・・・(1)
【0019】
ここで、図11(b)に示すように、光路長を5倍にすると、式(1)の関係は次のように変化する。
Iout/Iin=(1−kCΔL)5 ・・・・・・・・・・・・(2)
【0020】
これは、例えば、図11(a)に示す入射光量Iinが10のときに、その透過光量が9であるとすると、図11(b)に示す場合には、入射光量10に対して透過光量が5.9となること、すなわち、Iout/Iin=0.95となることである。
【0021】
したがって、任意の距離Lに対する入射光量と透過光量の関係は、式(1)を積分して、
log(Iout/Iin)=(−kCL)・ ・・・・・・・・(3)
となる。この式(3)を変形すると、
Iout=Iin×exp(−kCL)・・・・・・・・・・・・(4)
となる。
【0022】
これから判るように、入射光量Iin、吸光係数kおよび光路長Lが一定であるなら、透過光量Ioutを測定することにより、物質Mの濃度変化を測定することができる。
また、透過光量に代えて物質Mで反射される反射光を測定しても、上述の場合と全く同様の原理で、物質Mの濃度変化を測定することができる。
上記物質Mが血液である場合、上記濃度変化を測定することは、血液の脈動を測定すること、すなわち、血流量を測定することである。
【0023】
図12は、人の血管部分に外部から光を照射したときの吸光度の分布の一例を示す説明図である。
この図において、I2は組織による吸光成分、I3は静脈血による吸光成分、I4は動脈血による吸光成分である。
ここで、組織による吸光成分I2は組織濃度が変化しないため一定である。また、静脈血による吸光成分I3も一定である。これは、静脈には脈動がなく、濃度変化がないためである。図13は、体内各部における血圧の一例を示すグラフである。この図からわかるように、心臓から送り出された血液の脈動は、体内を進むにつれて次第になくなり、静脈においては完全に消えている。一方、動脈血による吸光成分I4(図12参照)は、脈拍に対応した濃度変化があるため、吸光度が変化する。したがって、血管に光を照射して、その透過光または反射光の光量を測定すると、そこには、各成分I2〜I4が含まれていることになる。なお、静脈血による吸光成分I3と動脈血による吸光成分I4の合計を100%とすれば、そこに占める動脈血による吸光成分I4の割合は1%〜2%であり、残りの98%〜99%は静脈血による吸光成分I3である。
【0024】
2.弾性係数の指標
物の弾性係数は、押圧力を変位で除算したものである。人が指先で物を押すと、指の内圧が高くなり血流量が減少するので、血流量の変化は押圧力と一定の関係がある。したがって、血流量と変位に基づいて物の弾性係数を求めることができる。この場合、組織による吸光成分I2は、組織濃度が押圧の前後でほとんど変化しないため、略一定とみなせるが、静脈血による吸光成分I3と動脈血による吸光成分I4は、血流量が減少するため変化する。本発明はこの点に着目してなされたものであり、血管に光を照射して反射光を受光しその光量変化を測定することによって、押圧力を間接的に計測し、これと変位に基づいて弾性係数を算出するものである。
【0025】
受光光量には、静脈血の血流容量に応じた静脈血成分と動脈血の血流容量に応じた動脈血成分とが存在する。このため、受光光量の直流成分は、動脈血成分の平均値と静脈血成分とを加算したものになり、一方、受光光量の交流成分は、動脈血成分の振幅値となる。ここで、動脈血成分は心拍に同期したものであるため、交流成分は被験者の心理状態によって変動する。例えば、緊張した状態では心拍が強くなるため交流成分が大きくなり、逆に、リラックスした状態では交流成分が小さくなる傾向がある。一方、静脈血成分は、被験者の心理状態に影響されないが、被験者のおかれている環境温度等によって変動する。このため、夏と冬あるいは昼と夜では直流成分が変動する。
【0026】
ところで、上述したように静脈血による吸光成分I3は動脈血による吸光成分I4の略50倍〜100倍あるので、受光光量の直流成分に占める動脈血成分は極めて小さい。したがって、受光光量の直流成分を押圧力の指標とすれば、心理的な影響を受けずに押圧力を計測できる。また、交流成分と比較して大きなレベルで検出することができるのでS/Nもよい。このため、本実施形態にあっては、押圧力の指標として受光光量の直流成分を用いている。
【0027】
B.機能構成
次に、以下に述べる各実施形態の機能構成を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態に係わる弾性係数測定装置の機能ブロック図である。
図においてf1は、受光信号検出手段であって、手指の指尖部に光を照射したときに得られる反射光を受光して受光信号を検出する。また、f2は閾値算出手段であって、前記指尖部に圧力が加えられていないときの前記受光信号と、前記指尖部に最大圧力が加えられたときの前記受光信号とに基づいて、記受光信号をグレーディングする際の基準となる閾値を算出する。なお、閾値算出手段f2は、受光信号と前記指尖部に加えられる圧力の関係を予め格納した校正テーブルf9を参照して、指尖部に圧力が加えられていないときの前記受光信号と前記指尖部に最大圧力が加えられたときの前記受光信号を、前記校正テーブルに格納されている前記受光信号と前記指尖部に加えられる圧力の関係と対応付け、前記受光信号をグレーディングする際の基準となる閾値を算出してもよい。
【0028】
また、f3は閾値テーブルであって、閾値算出手段f2によって算出された閾値を格納する。また、f4は押圧情報生成手段であって、受光信号と前記閾値とを比較して、前記受光信号をグレーディングすることにより、指尖部の押圧力を定量化した押圧情報を生成する。
【0029】
また、f5は動き検出手段であって、指尖部の動きを検出する。またf6は変位情報算出手段であって、指尖部の変位を算出する。例えば、指尖部で対象物を押圧すると、前記指尖部が対象物に触れたことを検出し、この検出時刻から現在の時刻までの前記指尖部の移動距離を示す変位情報を前記動き検出手段の出力に基づいて算出する。また、f7は、弾性係数算出手段であって、測定時刻における前記押圧情報と前記変位情報とに基づいて、前記対象物の弾性係数を算出する。なお、弾性係数算出手段f7は、基準変位情報記憶手段f10に記憶された基準変位情報を参照して、前記変位情報を前記基準変位情報と比較し、前記変位情報が前記基準変位情報に達した時刻を前記測定時刻としてもよい。また、弾性係数算出手段f7は、基準押圧情報記憶手段f11に記憶された基準押圧情報を参照して、前記押圧情報を前記基準押圧情報と比較し、前記変位情報が前記基準変位情報に達した時刻を前記測定時刻としてもよい。
【0030】
また、f8は告知手段であって、前記弾性係数算出手段f7によって算出された前記弾性係数を告知する。これにより、使用者は対象物の弾性係数を知ることができる。
【0031】
C.第1実施形態
1.第1実施形態の構成
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態の構成を説明する。
1−1:第1実施形態の外観構成
図2は、第1実施形態に係わる弾性係数測定装置の外観構成の例を示す説明図である。図2に示すように、弾性係数測定装置は、腕時計構造を有する装置本体100、この装置本体100に接続されたケーブル101、および検出部1から構成されている。
【0032】
装置本体100には、腕時計の12時方向から使用者の腕に巻き付いて、腕時計の6時方向で固定されるリストバンド103が取り付けられている。この装置本体100は、このリストバンド103によって使用者の腕から着脱自在となっている。リストバンド103の装置本体100側には、腕時計の12時方向に圧力センサ110が設けられている。圧力センサ110はシート状の形状をしており、感圧導電性素材と電極を組み合わせて構成されている。
【0033】
また、検出部1は、センサユニット102とリング状のセンサ固定用バンド104から構成されており、指の指尖部に装着されている。なお、センサユニット102には、加速度センサ9および発光部と受光部が一体化された脈波波検出部10が収納されている(いずれも図示せず)。この場合、センサユニット102は、指の爪の上に位置しているので、指球で物に触れたり物を把持する際に邪魔にならない。したがって、この例によれば、自然な感覚で対象となる物の弾性係数を検出することが可能となる。
【0034】
一方、腕時計の6時の方向の表面側には、コネクタ部105が設けられている。このコネクタ部105にはケーブル101の端部に設けられたコネクタピース106が着脱自在に取り付けられており、コネクタピース106をコネクタ部105から外すことにより、本装置を通常の腕時計やストップウオッチとして用いることができる。また、コネクタ部105には、パーソナルコンピュータとの通信コネクタ(図示せず)を接続できるようになっている。この通信コネクタにはLEDとフォトトランジスタが組み込まれている。また、腕時計の装置本体100の内部には、後述するように光通信のための赤外線インターフェイス部が設けられている。
なお、コネクタ部105を保護する目的から、ケーブル101とセンサユニット102をコネクタ部105から外した状態では所定のコネクタカバーを装着する。このコネクタカバーは、コネクタピース106と同様に構成された部品から電極部などを除いたものが用いられる。
【0035】
このように構成されたコネクタ構造によれば、コネクタ部105が使用者から見て手前側に配置されることとなり、使用者にしてみれば操作が簡単になる。また、コネクタ部105が装置本体100から腕時計の3時の方向に張り出さないために、運動中にも使用者が手首を自由に動かすことができ、使用者が使用中に転んだとしても手の甲がコネクタ部105にぶつからない。
【0036】
また、装置本体100は樹脂製の時計ケース107を具備している。時計ケース107の表面には、現在時刻や日付に加えて、弾性係数をデジタル表示するための液晶表示部108が設けられている。この液晶表示部108は、第1〜第3のセグメント表示領域(図示せず)およびドット表示領域から構成されている。第1のセグメント領域には日付,曜日,現在時刻などが表示され、第2のセグメント領域には各種の時間測定を実施するにあたって経過時間などが表示され、また、第3のセグメント領域には弾性係数の測定において計測された各種の計測値などが表示される。さらに、ドット表示領域には各種の情報をグラフィック表示することが可能であるとともに、ある時点において装置がどのようなモードにあるかを表わすモード表示,脈波波形の表示,棒グラフ表示などの様々な表示が可能である。
なお、ここで言うモードには、時刻や日付を設定するためのモード,ストップウォッチとして使用するためのモード,弾性係数測定装置として使用するための弾性係数検出モードなどがある。
【0037】
1−2:第1実施形態の電気的構成
次に、弾性係数測定装置の電気的構成を図3を参照して説明する。図3は、第1実施形態に係わる弾性係数測定装置のブロック図である。
図3において、2,3,11はA/D変換部であって、これらによって、脈波検出部9からの受光信号LS、圧力センサ110からの圧力信号PS、加速度センサ10からの加速度信号ASが、デジタルデータに各々変換される。この例にあっては、デジタルデータに変換された受光信号LSを受光レベル情報LJと、デジタルデータに変換された圧力信号PSを圧力情報PJと、デジタルデータに変換された加速度信号ASを加速度情報AJと称する。なお、押圧力の指標である受光レベル情報LJの直流成分は相対的なもので足りるため、圧力センサ110は絶対値を検出するような厳密なものでなくともよく、相対値を検出できれば足りる。
【0038】
また、4はCPU(中央演算処理装置)であって、バスを介して本装置各部を制御する。5はRAM(ランダムアクセスメモリ)であって、押圧情報OJを検出する際に用いられる校正テーブル50、押圧情報OJのグレーディングして弾性係数を求める際に用いられる押圧情報閾値テーブル51、および各種のデータを格納するデータレジスタ52等から構成される。なお、CPU4は、受光信号LSをグレーティングして押圧情報OSを生成する際の基準となる閾値を算出し、当該閾値を用いて押圧情報OSを生成する。また、CPU4は加速度情報AJを二重積分して変位情報Xを生成し、この変位情報Xと押圧情報OJに基づいて弾性係数を算出する。
また、6はROM(リードオンリメモリ)であり、そこにはCPU4において用いられる制御用プログラムの他、測定時刻を特定するための基準変位情報Xrが格納される。7は表示制御回路であって、CPU4によって転送される表示データに基づいて、弾性係数や時間情報を液晶表示部108に表示する。8は赤外線インターフェース部であって、パーソナルコンピュータPCとの間で通信を行う。
【0039】
ここで、上述した機能構成(図1参照)と第1実施形態の構成の関係について説明する。まず、脈波検出部9は受光信号検出手段f1に相当する。また、CPU4によって閾値,押圧情報,変位情報および弾性係数が生成されるから、CPU4は、閾値算出手段f2、押圧情報生成手段f4,変位情報検出手段f6および弾性係数算出手段f7に各々相当する。また、押圧情報閾値テーブル51には押圧情報を生成する際の閾値が格納されるから、押圧情報閾値テーブル51は閾値テーブルf3に相当する。また、校正テーブル50は校正テーブルf9に相当し、液晶表示部108は告知手段f8に相当する。また、ROM6には基準変位情報Xrが記憶されているので、ROM6は基準変位情報記憶手段f10に相当する。
【0040】
1−3:脈波検出部の構成
脈波検出部9の詳細な構成を図4に示す回路図を用いて説明する。図4において、抵抗R1とLEDは発光部に相当し、抵抗R2とフォトトランジスタPTは受光部に相当する。この脈波検出部9に電源電圧Vccが印加されると、LEDから光が照射され、血管や組織によって反射された後に、フォトトランジスタPTによって受光される。受光量が増加すると、フォトトランジスタPTのベース電流が増加し、そのコレクタ電圧(受光信号LSのレベル)が減少する。ここで、LEDの発光波長は、血液中のヘモグロビンの吸収波長ピーク付近に選ばれる。このため、受光レベルは血流量に応じて変化し、また、血流量は指に加わる圧力に応じて変化する。したがって、受光レベル情報LJを検出することによって、人が物を押圧する際の押圧情報OSを検知することができる。
【0041】
また、LEDとしては、InGaN系(インジウム−ガリウム−窒素系)の青色LEDが好適である。青色LEDの発光スペクトルは、例えば450nmに発光ピークを有し、その発光波長域は、350nmから600nmまでの範囲にある。この場合には、かかる発光特性を有するLEDに対応させてフォトトランジスタPTとして、GaAsP系(ガリウム−砒素−リン系)のフォトトランジスタPTを用いればよい。このフォトトランジスタPTの受光波長領域は、例えば、主要感度領域が300nmから600nmまでの範囲にあって、300nm以下にも感度領域がある。
【0042】
このような青色LEDとフォトトランジスタPTとを組み合わせると、その重なり領域である300nmから600nmまでの波長領域において、脈波が検出される。この場合には、以下の利点がある。
【0043】
まず、外光に含まれる光のうち、波長領域が700nm以下の光は、指の組織を透過しにくい傾向があるため、外光がセンサ固定用バンド104で覆われていない指の部分に照射されても、指の組織を介してフォトトランジスタPTまで到達せず、検出に影響を与えない波長領域の光のみがフォトトランジスタPTに達する。一方、300nmより低波長領域の光は、皮膚表面でほとんど吸収されるので、受光波長領域を700nm以下としても、実質的な受光波長領域は、300nm〜700nmとなる。したがって、指を大掛かりに覆わなくとも、外光の影響を抑圧することができる。
【0044】
また、血液中のヘモグロビンは、波長が300nmから700nmまでの光に対する吸光係数が大きく、波長が880nmの光に対する吸光係数に比して数倍〜約100倍以上大きい。したがって、この例のように、ヘモグロビンの吸光特性に合わせて、吸光特性が大きい波長領域(300nmから700nm)の光を検出光として用いると、その検出値は、血量変化に応じて感度よく変化するので、血量変化に基づく脈波信号のS/N比を高めることができる。
【0045】
ところで、指を押圧した場合、押圧力と受光レベル情報LJの関係には個人差がある。この点について、図面を参照しつつ説明する。図5は、押圧力と受光レベル情報LJの直流成分の関係を示したグラフである。なお、黒三角は21歳の男性(被験者A)、白三角は41歳の男性(被験者B)、黒四角は44歳の男性(被験者C)の測定結果である。また、受光レベル情報LJの直流成分は、動脈血に同期した血流量の変動に影響されされないように、カットオフ周波数が十分低い低域通過フィルタを介して測定したものである。
【0046】
図5に示すように押圧値を20g/cm2から200g/cm2まで可変させると、被験者Aに係わる直流成分は1.8Vから1.4Vまで変化し、被験者Bに係わる直流成分は1.4Vから0.95Vまで変化し、被験者Cに係わる直流成分は1.0Vから0.65Vまで変化する。このことから、押圧値を増加させると受光レベル情報LJの直流成分は単調減少する傾向があるものの、被験者によって、変動範囲が異なっていることが判る。すなわち、押圧力と受光レベル情報LJの関係には個人差があるといえる。これは、血管の太さ、血液中のヘモグロビンの量、または組織の弾性係数等が各個人によって相違するからである。
【0047】
また、押圧値を増加させると受光レベル情報LJの直流成分が単調減少するのは、次の理由による。すなわち、指が押圧されると、指の内圧が高まり血流量が減少しこれに伴いヘモグロビンによる吸光が減少する。このため、受光部に入射する反射光の光量が増加し、受光レベル情報LJが減少するからである。
【0048】
ところで、上述したように受光レベル情報LJの交流成分は、被験者の心理状態によって変動し、またその直流成分は被験者のおかれている環境温度等によって変動する。したがって、同一個人であっても押圧力と受光レベル情報LJの関係には個人内差が存在する。
【0049】
本実施形態は、受光レベル情報LJの直流成分に基づいて弾性係数をグレーティングするものであるが、上述したように押圧力と受光レベル情報LJの関係には個人間差と個人内差が存在するから、ここで得られる押圧情報OJは相対的なものとなる。また、グレーティングを行う際には、何らかの閾値が必要となるが、上述したように押圧力と受光レベル情報LJの関係には個人間差と個人内差が存在するから、押圧情報OSを計測する度に受光レベル情報LJを校正する必要がある。上述した圧力センサ110はこのために設けられている。
【0050】
2.第1実施形態の動作
次に、第1実施形態の動作を図面を参照しつつ説明する。この例にあっては、左手首の橈骨動脈上の皮膚をセンサユニット102を装着した右手の指で押圧し、血管の弾性係数を測定するものとする。図6は、指で押圧する様子を示したものである。同図(a)に示すように、指尖部で橈骨動脈Dの上の皮膚を触れた状態では、橈骨動脈Dは、変形していないが、押圧力を加えると、同図(b)に示すように橈骨動脈Dは変形する。ここで、橈骨動脈Dの動脈硬化が進んでいるならば、同じ押圧力を加えたとしても橈骨動脈Dの変形の程度は小さい。一方、動脈硬化の程度が軽い場合には、血管が柔らかいので、橈骨動脈Dが大きく変形する。
【0051】
ここで、図7に示す機械的な等価回路を用いて、この点を説明する。図において、K1は橈骨動脈Dの弾性係数、K2は橈骨動脈Dから皮膚までの組織に係わる弾性係数、また、X1は橈骨動脈Dの変位、X2は皮膚の変位、Fは押圧力である。脈診においては、皮膚の上から橈骨動脈Dが透けて見えるような手首の部分を検出部位とするから、橈骨動脈Dと皮膚の間の組織は少ない。したがって、K2の値はK1の値に比較して非常に小さく、また、X1とX2の差は極わずかである。このため、K2は無視することができ、また、X1=X2としてもよい。この結果、血管の弾性係数K1は次式によって算出される。
K1=F/X2
【0052】
以下、順を追って第1実施形態の動作を説明する。
▲1▼校正テーブルの生成
図3に示す弾性係数測定装置にあっては、押圧情報OJの計測を行うのに先立ち、校正テーブル50の生成が行われる。まず、使用者が装置本体100を操作して弾性係数検出モードを選択すると、CPU4は、液晶表示部108に「指バンドを装着し、用意ができたらボタンを押してください。」とのメッセージを表示させる。使用者がメッセージに促され、脈波検出部9を指の指尖部に装着しボタンを押すと、CPU4は、ボタン操作を検出した後、液晶表示部108に「腕時計をはずし、用意ができたらボタンを押してください。」とのメッセージを液晶表示部108に表示させる。
【0053】
使用者がこれに従って装置本体100を腕からはずしボタンを押すと、CPU4は、これを検出した後、デジタルフィルタの演算を実行して受光レベル情報LJからその直流成分を求める。そして、受光レベル情報LJの直流成分をデータレジスタ52に記憶する。この場合、指には圧力が加えられていないから、記憶する受光レベル情報LJの直流成分はその最大値Lmaxを示す。この後、CPU4は「指でパットをゆっくり押し込んでください。」とのメッセージを液晶表示部108に表示させる。そして、使用者がメッセージに促され、指に力を徐々に込めて圧力センサ110を押圧すると、CPU4は、刻々と変化する圧力情報PJと受光レベル情報LJの直流成分との関係を校正テーブル50に格納する。
【0054】
▲2▼押圧情報閾値テーブルの生成
そして、所定時間が経過すると、CPU4は、液晶表示部108に「これ以上力は入りませんか。」とのメッセージを液晶表示部108に表示させる。これにより使用者は、圧力センサ110を最大圧力で押圧する。このとき、圧力レベルの最大値Pmaxと直流成分の最小値Lminとが検出され、これらの値はデータレジスタ52に記憶される。
【0055】
次に、CPU4は、データレジスタ52から圧力レベルの最大値Pmaxを読み出し、グレーテイングの数に応じて最大値Pmaxを等分割し、押圧情報OJの各閾値を求める。例えば、最大値Pmax=200g/cm2とし、5段階のグレーテイングを行うものとすれば、押圧情報OJの各閾値は0,40,80,120,160g/cm2となる。
【0056】
この後、CPU4は、校正テーブル50を参照して、押圧情報OJの各閾値に対応する受光レベル情報LJを各々求め、これらの値を受光レベル情報LJの各閾値として押圧情報閾値テーブル51に格納する。すなわち、圧力が加えられていないときの受光レベル情報LJと最大圧力が加えられたときの受光レベル情報LJを、校正テーブル50に格納されている受光レベル情報LJと押圧力との関係と対応付け、前記受光レベル情報LJをグレーディングする際の基準となる閾値を求めている。
【0057】
▲3▼弾性係数の算出
次に、橈骨動脈Dの弾性係数K1を算出する処理について説明する。
上述した押圧情報閾値テーブル51の生成が終了すると、CPU4は、液晶表示部108に「腕に本体をバンドで固定し、ボタンを押してください。」とのメッセージを表示させる。使用者がメッセージに促され、リストバンド103を腕に巻きつけて装置本体100を固定しボタンを押すと、CPU4はこれを検出して、液晶表示部108に「測定モード中」とのメッセージを表示させる。
【0058】
この後、使用者がセンサユニット102を装着した右手の指尖部で、左手の橈骨動脈D上の皮膚に触れると、CPU4はこのことを検知する。具体的には、CPU4が、受光レベル情報LJをその最大値Lmaxと比較し、受光レベル情報LJが最大値Lmaxを下回った時刻t1を指尖部が左手の橈骨動脈D上の皮膚に触れた時点として検知する。するとCPU4は、この時刻t1から、加速度情報AJの二重積分処理を開始し、変位情報Xを生成する。この意味において、指尖部が橈骨動脈D上の皮膚に触れた時点は、検出時刻t1となる。
【0059】
ところで、押圧力によって橈骨動脈Dは変形するが、変位Xが余りに小さいと、測定された変位Xに占めるの誤差の割合が大きくなり、橈骨動脈Dの弾性係数K1を正確に算出することができない。また、変位Xが余りに大きいと、橈骨動脈Dが橈骨に押し当てられてしまい、橈骨動脈Dの弾性係数K1を正確に算出することができない。そこで、本実施形態にあっては、橈骨動脈Dの弾性係数K1が適切に検出できる変位を基準変位情報Xrとして予め定め、変位Xが基準変位情報Xrと一致した時点で弾性係数K1の算出を行っている。
【0060】
具体的には、CPU4が、変位情報Xと基準変位情報Xrとを比較し、変位情報Xが基準変位情報Xrと一致した時刻t2を検知する。そして、受光レベル情報LJに基づいて押圧情報閾値テーブル51を参照して、時刻t2における押圧情報OJを算出する。
【0061】
次に、CPU4は、「K1=OJ/Xr」を演算して弾性係数K1を求める。この場合、Xrは予め定められているので、Xrを考慮して押圧情報閾値テーブル51に格納する閾値を設定すれば、押圧情報OJを弾性係数K1として扱うことができる。弾性係数K1は、押圧情報OJと同様にグレーテイングされるから、この例では、5段階のグレーディングとなる。なお、グレーティングされた弾性係数K1の値を小さいものから順に、K11,K12,…,K15と表すものとする。
【0062】
▲4▼動脈硬化の告知
次に、CPU4は、弾性係数K1に基づいて動脈硬化の程度を告知する。
具体的には、弾性係数K1がK11であれば「柔らかい」と、K12であれば「やや柔らかい」と、K13であれば「普通」と、K14であれば「やや硬い」と、K15であれば「硬い」といった文字で液晶表示部108に測定結果が表示される。この場合、表示制御回路7には、弾性係数K1の値K11〜K15と関連づけれて「柔らかい、やや柔らかい、普通、やや硬い、硬い」といった文字フォントが格納されており、CPU4から弾性係数K1が転送されると、その値に応じた文字フォントが液晶表示部108に出力されるようになっている。
【0063】
このように、第1実施形態によれば、指尖部に装着した脈波検出部9を用いて押圧情報OJを検出し、予め定められた基準変位に達した時点で押圧情報OJと基準変位情報Xrに基づいて弾性係数K1を算出したので、簡易な構成で動脈硬化の程度を知ることができる。
【0064】
また、基準変位情報Xrを橈骨動脈Dの弾性係数K1が適切に検出できるように定めたから、使用者が皮膚を押圧する際に微妙な調整を必要としない。これにより、機器の操作に不慣れな使用者であっても簡単に弾性係数K1を測定することができ、動脈硬化の程度を知ることができる。
【0065】
D.第2実施形態
1.第2実施形態の構成
第2実施形態の外観構成は、図2に示す第1実施形態のものと同様である。また、第2実施形態の電気的構成は、ROM6とデータレジスタ52に格納される内容、および押圧情報閾値テーブル51の替わりに変位情報閾値テーブル51’を用いる点を除いて、図3に示す第1実施形態の電気的構成と同様である。
【0066】
以下、相違点について説明する。第1実施形態においては、基準変位情報Xrを予めROM6に格納しておき、基準変位情報Xrと変位情報Xとを比較して、両者が一致したことを検知し、この時の押圧情報OJと基準変位情報Xrから橈骨動脈Dの弾性係数K1を算出した。
【0067】
これに対して、第2実施形態では、基準変位情報Xrの替わりに基準押圧情報Prがデータレジスタ52に格納される。基準押圧情報Prは、受光レベル情報LJで表され、測定時刻t2を特定するために用いられる。具体的には、皮膚に対する押圧力Fが基準押圧情報Prと一致した時点で橈骨動脈Dの弾性係数K1の測定が行われるようになっている。この意味において、データレジスタ52は基準押圧情報記憶手段f11として機能する(図1参照)。
【0068】
ところで、脈波波形の直流成分による押圧力Fの計測にあっては、指の内圧変化を血流量で検出するので、押圧力Fがあるレベルを越えると検出部位近傍の血液がほとんどなくなってしまい、押圧力Fを正確に検出することが難しくなる。一方、橈骨動脈Dの弾性係数K1は押圧力Fと変位情報Xによって算出されることは上述した通りである。したがって、弾性係数K1を的確に算出しようとすれば、押圧力Fが正確な測定が行える範囲にあることが必要である。
【0069】
上記した基準押圧情報Prは、このことを考慮して算出される。この例にあっては、校正テーブル50を作成する際に計測される押圧力の最大値に基づいて、CPU4はその50%の押圧力に対応する受光レベル情報LJを求め、これを基準押圧情報Prとして用いている。
【0070】
また、変位情報閾値テーブル51’には、変位情報Xをグレーディングするための閾値が格納されている。この例にあっては、変位情報Xを5段階にグレーディングするため、4つの閾値を用いる。変位情報Xをグレーディングするのは、以下の理由による。すなわち、弾性係数K1は、「K1=F/X」によって算出されるが、本実施形態にあっては、測定時刻における押圧力Fは一定であるので、変位情報Xをグレーティングすることによって、弾性係数K1をグレーティングできるからである。
【0071】
2.第2実施形態の動作
以下、図面を参照して第2実施形態の動作を説明する。
▲1▼校正テーブルの生成
まず、校正テーブル50が作成されるが、この動作は第1実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0072】
▲2▼基準押圧情報の生成
CPU4は、校正テーブル50にアクセスして、受光レベル情報LJの最大値Lmaxと最小値Lminを読に出し、次式に基づいて中間値L50%を算出する。
L50%=(Lmax+Lmin)/2
そして、中間値L50%を基準押圧情報Prとしてデータレジスタ52に格納する。
【0073】
▲3▼変位情報閾値テーブルの生成
次に、CPU4は、変位情報Xをグレーディングするための閾値を、ROM6に格納されている弾性係数K1の各閾値と基準押圧情報Prに基づいて算出し、これを変位情報閾値テーブル51’に格納する。
この場合、弾性係数K1の各閾値は、「柔らかい、やや柔らかい、普通、やや硬い、硬い」といったグレーディングができるように選定されている。ここで、「柔らかい」と「やや柔らかい」を判別するための閾値をKa、「やや柔らかい」と「普通」を判別するための閾値をKb、「普通」と「やや硬い」を判別するための閾値をKc、「やや硬い」と「硬い」を判別するための閾値をKdとすると、変位情報Xの閾値Xa,Xb,…Xdは、Xa=Pr/Ka、Xb=Pr/Kb、Xc=Pr/Kc、Xd=Pr/KdをCPU4が演算することによって算出される。
【0074】
▲4▼弾性係数の算出
次に、橈骨動脈Dの弾性係数K1を算出する処理について説明する。
上述した変位情報閾値テーブル51’の生成が終了すると、CPU4は、液晶表示部108に「腕に本体をバンドで固定し、ボタンを押してください。」とのメッセージを表示させる。使用者がメッセージに促され、リストバンド103を腕に巻きつけて装置本体100を固定しボタンを押すと、CPU4はこれを検出して、液晶表示部108に「測定モード中」とのメッセージを表示させる。
【0075】
この後、使用者がセンサユニット102を装着した右手の指尖部で、左手の橈骨動脈D上の皮膚に触れると、CPU4はこのことを検知する。具体的には、CPU4が、受光レベル情報LJをその最大値Lmaxと比較し、受光レベル情報LJが最大値Lmaxを下回った時刻t1を指尖部が左手の橈骨動脈D上の皮膚に触れた時点として検知する。するとCPU4は、この時刻t1から、加速度情報AJの二重積分処理を開始し、変位情報Xを生成する。この意味において、指尖部が橈骨動脈D上の皮膚に触れた時点は、検出時刻t1となる。
【0076】
この後、指尖部によって橈骨動脈Dが徐々に押圧されていくと、CPU4は、刻々と変化する受光レベル情報LJと基準押圧情報Pr(中間値L50%)とを比較し、両者が一致した際の変位情報Xを取得する。
次に、CPU4は、変位情報閾値テーブル51を参照して、取得した変位情報Xをグレーディングし、弾性係数K1を生成する。なお、グレーティングされた弾性係数K1は、第1実施形態と同様に、その値を小さいものから順に、K11,K12,…,K15と表すものとする。
【0077】
▲5▼動脈硬化の告知
次に、CPU4は、弾性係数K1に基づいて動脈硬化の程度を告知する。
具体的には、弾性係数K1がK11であれば「柔らかい」と、K12であれば「やや柔らかい」と、K13であれば「普通」と、K14であれば「やや硬い」と、K15であれば「硬い」といった文字で液晶表示部108に測定結果が表示される。この場合、表示制御回路7には、弾性係数K1の値K11〜K15と関連づけれて「柔らかい、やや柔らかい、普通、やや硬い、硬い」といった文字フォントが格納されており、CPU4から弾性係数K1が転送されると、その値に応じた文字フォントが液晶表示部108に出力されるようになっている。
【0078】
このように、第2実施形態によれば、押圧情報OJが基準押圧情報Prと一致した時点で、橈骨動脈Dの弾性係数K1を測定するから、押圧力Fを正確に計測することができ、弾性係数K1を高い精度で測定することが可能となる。
【0079】
E.変形例
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に述べる各種の変形が可能である。
(1)上述した各実施形態に係わる弾性係数測定装置では、弾性係数の測定の対象として橈骨動脈Dを一例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、どのような物を対象として弾性係数を測定してもよい。
例えば、医師は患者の体を押圧する触診を行うが、この場合に上述した弾性係数測定装置を触診装置として使用することができる。具体的には、受光信号検出手段と動き検出手段を設けた手指の指尖部で、患者の生体の検出部位を押圧し、弾性係数算出手段によって、測定時刻における押圧情報と変位情報とに基づいて検出部位の弾性係数を算出すればよい。これにより、患部のむくみやこわばりの程度を客観的に知ることができ、腹診等をより正確に行うことが可能となる。
また、食品関連の分野にも弾性係数測定装置は応用することができ、例えば、うどんの生地やそばの生地の弾性を計測することが可能であり、従来、耳たぶのような弾力といった表現をしていたものを定量化することもできる。
【0080】
(2)上述した各実施形態において、変位情報Xは加速度センサ10によって検出される加速度情報AJを二重積分することによって算出したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ポテンショメータによって変位情報Xを直接検出してもよい。また、加速度センサ10の替わりに速度センサを用い、これによって検出される速度情報を積分して変位情報Xを算出してもよい。
【0081】
(3)また、上述した各実施形態においては、加速度センサ10は爪の上に配置されるセンサユニット102に設けられていたが(図2参照)、図8に示すように指尖部の腹の部分にセンサユニット102を設けるようにしてもよい。この場合には、上述した各実施形態と比較して、物に触れる際の自然な感覚が多少犠牲になるが、変位情報Xを正確に検出することが可能になる。
【0082】
(4)また、上述した各実施形態においては、押圧する指の角度によって、変位方向が相違し誤差が生ずるが、実際の変位とセンサで検出される変位との関係を補正テーブルに格納しておき、この補正テーブルを参照して、変位情報を補正するようにしてもよい。また、補正テーブルの替わりに補正式を用いてもよい。この場合、補正式の係数は、変位情報Xを代入すると補正された変位情報が算出されるように係数が実測によって算出される。
【0083】
(5)また、上述した各実施形態において、受光レベル情報LJの直流成分は、相対的なもので足りるため、圧力センサ103は厳密なものでなくともよいことを前提に説明したが、精密に圧力を測定できる圧力センサ103を使用して受光レベル情報LJと押圧力の関係を校正テーブル50に予め格納し、押圧情報OJを絶対圧として検出してもよい。
【0084】
(6)また、上述した各実施形態において、押圧力の指標として受光レベルの直流成分を用いたが、その替わりに動脈血成分に対応する受光レベルの交流成分を用いてもよい。具体的には、CPU4によって受光信号LSの高域周波数成分を交流成分として分離し、交流成分と押圧力の関係を校正テーブル50に格納し、これに基づいて押圧情報閾値テーブル51を生成すればよい。この場合には、被験者のおかれている環境の影響を受けることなく押圧力を定量化することができる。
また、受光レベルの直流成分と交流成分の比を押圧力の指標としてもよい。この場合には、上記比をCPU4で算出し、比と押圧力の関係を校正テーブル50に格納し、これに基づいて押圧情報閾値テーブル51を生成すればよい。
さらに、受光レベルの直流成分と交流成分といったように、各種の指標を適宜組み合わせて使用してもよく、要は受光レベルに基づいて得られる指標であればどのようなものであってもよい。
【0085】
(7)また、上述した各実施形態では、校正テーブル50を参照して、押圧情報OJを生成する際の基準となる各閾値を算出したが、これを参照することなく各閾値を求めてもよい。この場合には、指に圧力が加えられていないときの受光レベル情報LJ(最大値Lmax)と最大圧力が加えられたときの受光レベル情報LJ(最小値Lmin)との間を、必要とされるグレーティングの数に応じて分割し、これを各閾値として押圧情報閾値テーブル51に格納すればよい。この変形例では、受光レベル情報LJの最小値Lminと最大値Lmaxを求めることができれば押圧力をグレーディングできるので、圧力センサ110を省略し、指で何も押圧していない場合の受光レベル情報LJを最大値Lmaxとして検出し、指で物を最大圧力で押圧した場合の受光レベル情報LJを最小値Lminとして検出すればよい。
【0086】
(8)また、上述した各実施形態においては、受光レベル情報LJの直流成分はCPU4で求めることとしたが、脈波検出部9とA/D変換部2の間に低域通過フィルタを設け、その直流成分を直接デジタル信号に変換するようにしてもよい。また、押圧力の指標として、受光レベル情報LJの交流成分を用いる場合には、脈波検出部9とA/D変換部2の間に高域通過フィルタとアンプを設ければよい。この場合には、A/D変換部2のダイナミックレンジを有効に活用し、高いS/Nで交流成分を押圧情報OJとして用いることができる。
【0087】
(9)また、上述した各実施形態において、CPU4は橈骨動脈Dの弾性係数K1を算出した。ところで、弾性係数K1は橈骨動脈Dに血液が流れている状態で検出されるから、弾性係数K1は血管内の平均血圧を含めた直流的な弾性係数の他、血流によって生じる内圧変化を含めた交流的な弾性係数を包含している。したがって、弾性係数K1の時間変化は、脈波波形を表しており、これをCPU4によって検出してもよい。
この場合には、基準変位情報Xrと基準変位Xとが一致した時点、あるいは基準押圧情報Prと押圧情報OSとが一致した時点のみで弾性係数K1を算出するのではなく、受光レベル情報LJに基づいて指尖部が皮膚に触れていることが検出されている期間中、弾性係数K1の検出を継続し、その交流成分をCPU4で抽出し、これを脈波波形として出力すればよい。
【0088】
(10)また、上述した各実施形態においては、液晶表示部108を告知手段の一例として説明したが、装置から人間に対して告知をするための手段としては以下説明するようなものが挙げられる。これら手段は五感を基準に分類するのが適当かと考えられる。なお、これらの手段は、単独で使用するのみならず複数の手段を組み合わせても良いことは勿論である。そして、以下説明するように、例えば視覚以外に訴える手段を用いれば、視覚障害者であっても告知内容を理解することができ、同様に、聴覚以外に訴える手段を用いれば聴覚障害者に対して告知を行うことができ、障害を持つ使用者にも優しい装置を構成できる。
【0089】
まず、聴覚に訴える告知手段としては、脈波の分析結果,診断結果などを知らせるための目的でなされるものなどがある。例えば、ブザー、圧電素子、スピーカが該当する。また、特殊な例として、告知の対象となる人間に携帯用無線呼出受信機を持たせ、告知を行う場合にはこの携帯用無線呼出受信機を装置側から呼び出すようにすることが考えられる。また、これらの機器を用いて告知を行うにあたっては、単に告知するだけではなく、何らかの情報を一緒に伝達したい場合も多々ある。そうした場合、伝えたい情報の内容に応じて、以下に示す音量等の情報のレベルを変えれば良い。例えば、音高、音量、音色、音声、音楽の種類(曲目など)である。
【0090】
次に、視覚に訴える告知手段が用いられるのは、装置から各種メッセージ,測定結果を知らせる目的であったり、警告をするためであったりする。そのための手段として以下のような機器が考えられる。例えば、ディスプレイ装置、CRT(陰極線管表示装置),LCD(液晶表示ディスプレー)、プリンタ、X−Yプロッタ、ランプなどがある。なお、特殊な表示装置として眼鏡型のプロジェクターがある。また、告知にあたっては以下に示すようなバリエーションが考えられる。例えば、数値の告知におけるデジタル表示,アナログ表示の別、グラフによる表示、表示色の濃淡、数値そのまま或いは数値をグレード付けして告知する場合の棒グラフ表示、円グラフ、フェイスチャート等である。6個のグレード付けを想定すれば、フェースチャートは例えば、図9に示すものとなる。
例えば、弾性係数測定装置を触診装置として使用する場合には、検出部位の弾性係数をグレーディングして、「こわばりがある」、「ややこわばりがある」、「普通」、「やや柔らかい」、「柔らかい」といった文字をLCD等に表示してもよい。また、この場合、「こわばりがある」に記号Aを、「ややこわばりがある」に記号Bを、「普通」に記号Cを、「やや柔らかい」に記号Dを、「柔らかい」に記号Eを対応させ、これらの記号をLCD等に表示してもよい。
【0091】
次に、触覚に訴える告知手段は、警告の目的で使用されることがあると考えられる。そのための手段として以下のようなものがある。まず、腕時計等の携帯機器の裏面から突出する形状記憶合金を設け、この形状記憶合金に通電するようにする電気的刺激がある。また、腕時計等の携帯機器の裏から突起物(例えばあまり尖っていない針など)を出し入れ可能な構造としてこの突起物によって刺激を与える機械的刺激がある。
次に、嗅覚に訴える告知手段は、装置に香料等の吐出機構を設けるようにして、告知する内容と香りとを対応させておき、告知内容に応じた香料を吐出するように構成しても良い。ちなみに、香料等の吐出機構には、マイクロポンプなどが最適である。
【0092】
(11)上述した各実施形態において脈波検出部9は反射光を利用していたが、透過光を利用するするものであってもよい。この場合、脈波検出部9は、例えば図10(A)に示すように構成すればよい。同図(A)において、発光部50と受光部51とはリング状のベルト52で連結されたおり、発光部50から照射された光は、指尖部の組織および血管を透過して、受光部51に入射するようになっている。また、同図(B)に示すように発光部50と受光部51を指尖部の側面に設けてもよい。この場合には指尖部の腹の部分にリング52や発光部50および受光部51が位置しないので、使用者は対象物の触感を自然に感じつつ、弾性係数を測定することが可能となる。なお、この場合には照射光は組織を透過する必要があるため、その波長は600nm〜1000nmであることが望ましい。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように本実施形態によれば、動脈効果の指標となる血管の弾性係数の他、各種の弾性係数を測定することができる。特に、測定の対象となるものが極めて柔らかい場合であっても弾性係数を定量化することができ、しかも、構成が簡単であり、被験者の負担とならないといった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係わる弾性係数測定装置の機能ブロック図である。
【図2】 同実施形態に係わる弾性係数測定装置の外観構成の例を示す説明図である。
【図3】 同実施形態に係わる弾性係数測定装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】 同実施形態に用いられる脈波検出部9の詳細な構成を示す回路図である。
【図5】 3人の被験者に対して測定した圧力と受光レベルの関係を示したグラフである。
【図6】 同実施形態において、血管の弾性係数を測定する様子を示した説明図である。
【図7】 同実施形態における機械的な等価回路を示す図である。
【図8】 変形例におけるセンサユニットの装着態様を示す説明図である。
【図9】 変形例における告知手段の一態様であるフェースチャートを示した図である。
【図10】 変形例における脈波検出部の装着態様を示す説明図である。
【図11】 ランバートベールの法則を示す説明図である。
【図12】 人の血管部分に外部から光を照射したときの吸光度の分布の一例を示す説明図である。
【図13】 体内各部における血圧の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
4 CPU(閾値算出手段、押圧情報生成手段、変位情報算出手段、弾性係数算出手段)
6 ROM(基準変位情報記憶手段)
9 脈波検出部(受光信号検出手段)
10 加速度センサ(動き検出手段)
50 校正テーブル
51 押圧情報閾値テーブル(閾値テーブル)
52 データレジスタ(基準押圧情報記憶手段)
LS 受光信号
AS 加速度情報
Claims (15)
- 対象物の弾性係数を検出する弾性係数測定装置において、
手指の指尖部に光を照射したときに得られる光を受光して受光信号を検出する受光信号検出手段と、
前記指尖部に圧力が加えられていないときの前記受光信号と、前記指尖部に最大圧力が加えられたときの前記受光信号とに基づいて、前記受光信号をグレーディングする際の基準となる閾値を算出する閾値算出手段と、
前記閾値を格納する閾値テーブルと、
前記受光信号と前記閾値とを比較して、前記受光信号をグレーディングすることにより、前記指尖部の押圧力を定量化した押圧情報を生成する押圧情報生成手段と、
前記指尖部の動きを検出する動き検出手段と、
前記指尖部で前記対象物を押圧すると、前記指尖部が対象物に触れたことを検出し、この検出時刻から現在の時刻までの前記指尖部の移動距離を示す変位情報を前記動き検出手段の出力に基づいて算出する変位情報算出手段と、
測定時刻における前記押圧情報と前記変位情報とに基づいて、前記対象物の弾性係数を算出する弾性係数算出手段と
を備えることを特徴とする弾性係数測定装置。 - 対象物の弾性係数を測定する弾性係数測定装置において、
手指の指尖部に光を照射したときに得られる光を受光して受光信号を検出する受光信号検出手段と、
前記受光信号と前記指尖部に加えられる圧力の関係を予め格納した校正テーブルと、
前記指尖部に圧力が加えられていないときの前記受光信号と前記指尖部に最大圧力が加えられたときの前記受光信号を、前記校正テーブルに格納されている前記受光信号と前記指尖部に加えられる圧力の関係と対応付け、前記受光信号をグレーディングする際の基準となる閾値を算出する閾値算出手段と、
前記閾値を格納する閾値テーブルと、
前記受光信号と前記閾値とを比較して、前記受光信号をグレーディングすることにより、前記指尖部の押圧力を定量化した押圧情報を生成する押圧情報生成手段と、
前記指尖部の動きを検出する動き検出手段と、
前記指尖部で前記対象物を押圧すると、前記指尖部が対象物に触れたことを検出し、この検出時刻から現在の時刻までの前記指尖部の移動距離を示す変位情報を前記動き検出手段の出力に基づいて算出する変位情報算出手段と、
測定時刻における前記押圧情報と前記距離情報とに基づいて、前記対象物の弾性係数を算出する弾性係数算出手段と
を備えることを特徴とする弾性係数測定装置。 - 前記閾値算出手段は、前記受光信号の直流レベルに基づいて、記受光信号をグレーディングする際の基準となる閾値を算出し、
前記押圧情報生成手段は、前記受光信号の直流レベルと前記閾値とを比較して、前記受光信号をグレーディングすることにより、前記指尖部の押圧力を定量化した押圧情報を生成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の弾性係数測定装置。 - 前記閾値算出手段は、前記受光信号の振幅レベルに基づいて、記受光信号をグレーディングする際の基準となる閾値を算出し、
前記押圧情報生成手段は、前記受光信号の振幅レベルと前記閾値とを比較して、前記受光信号をグレーディングすることにより、前記指尖部の押圧力を定量化した押圧情報を生成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の弾性係数測定装置。 - 前記閾値算出手段は、前記受光信号の直流レベルと振幅レベルの比に基づいて、記受光信号をグレーディングする際の基準となる閾値を算出し、前記押圧情報生成手段は、前記受光信号の直流レベルと振幅レベルの比と、前記閾値とを比較して、前記受光信号をグレーディングすることにより、前記指尖部の押圧力を定量化した押圧情報を生成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の弾性係数測定装置。 - 予め定められた基準変位情報を記憶する基準変位情報記憶手段を備え、
前記弾性係数算出手段は、前記変位情報を前記基準変位情報と比較し、前記変位情報が前記基準変位情報に達した時刻を前記測定時刻とする
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の弾性係数測定装置。 - 対象物の弾性係数を測定する弾性係数測定装置において、
手指の指尖部に光を照射したときに得られる光を受光して受光信号を検出する受光信号検出手段と、
前記受光信号と前記指尖部に加えられる圧力の関係を予め格納した校正テーブルと、
前記指尖部に圧力が加えられていないときの前記受光信号と前記指尖部に最大圧力が加えられたときの前記受光信号を、前記校正テーブルに格納されている前記受光信号と前記指尖部に加えられる圧力の関係とを対応付け、押圧力を示す押圧情報を出力する押圧情報生成手段と、
前記指尖部の動きを検出する動き検出手段と、
前記指尖部で前記対象物を押圧すると、前記指尖部が対象物に触れたことを検出し、この検出時刻から現在の時刻までの前記指尖部の移動距離を示す変位情報を前記動き検出手段の出力に基づいて算出する変位情報算出手段と、
測定時刻における前記押圧情報と前記変位情報とに基づいて、前記対象物の弾性係数を算出する弾性係数算出手段と
を備えることを特徴とする弾性係数測定装置。 - 予め定められた基準押圧情報を記憶する基準押圧情報記憶手段を備え、
前記弾性係数算出手段は、前記押圧情報生成手段からの前記押圧情報と前記基準押圧情報を比較し、前記押圧情報が前記基準押圧情報に達した時刻を前記測定時刻とし、該測定時刻における前記変位情報を予め定められた閾値でグレーディングして前記対象物の弾性係数を算出する
ことを特徴とする請求項7に記載の弾性係数測定装置。 - 前記動き検出手段は、前記指尖部の加速度情報を検出する加速度センサからなり、前記変位情報算出手段は、前記加速度情報に基づいて前記変位情報を演算する
ことを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の弾性係数測定装置。 - 前記動き検出手段は、前記指尖部の速度情報を検出する速度センサからなり、前記変位情報算出手段は、前記速度情報に基づいて前記変位情報を演算する
ことを特徴とする請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の弾性係数測定装置。 - 前記変位情報算出手段は、
前記指尖部が前記対象物に触れた際の前記受光信号のレベルを示す基準レベルを記憶する基準レベル記憶手段と、
前記受光信号検出手段からの受光信号のレベルと前記基準レベルとを比較する比較手段とを備え、
前記受光信号のレベルが前記基準レベルに達した時刻を前記検出時刻とする
ことを特徴とする請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の弾性係数測定装置。 - 前記受光信号検出手段は、波長が300nmから700nmの光を前記指尖部に照射し、その反射光を受光して受光信号を検出する
ことを特徴とする請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の弾性係数測定装置。 - 前記受光信号検出手段は、波長が600nmから1000nmの光を前記指尖部に照射し、その透過光を受光して受光信号を検出することを特徴とする請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の弾性係数測定装置。
- 前記弾性係数算出手段によって算出された前記弾性係数を告知する告知手段を備えた
ことを特徴とする請求項1〜13のうちいずれか1項に記載した弾性係数測定装置。 - 請求項1〜14のうちいずれか1項に記載した弾性係数測定装置を用いた触診装置であって、
前記受光信号検出手段と前記動き検出手段を設けた手指の指尖部で、生体の検出部位を押圧し、
前記弾性係数算出手段によって、前記測定時刻における前記押圧情報と前記変位情報とに基づいて、前記生体の検出部位に係わる弾性係数を算出する
ことを特徴とする触診装置。
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