JP3864109B2 - 亀裂開口変位測定器具およびその材料試験装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば破壊靭性疲労試験など、切欠きを有する試験片の切り欠きからの亀裂の伸長伝播挙動を評価するための亀裂開口変位測定器具およびその材料試験装置に関する。特に、高温又は極低温の高圧または真空下の環境における切欠きを有する試験片の切り欠きからの亀裂の伸長伝播挙動を測定するための亀裂開口変位測定器具およびその材料試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
機械や構造物などはいろいろな大きさや形の振動や応力を繰返し受ける。たとえ小さい応力であっても、その応力を繰返し受けている間に、亀裂が生じ、それが進展し最終的に破壊に至る疲労破壊が生じる場合がある。
原子力プラントや航空機における事故の中には疲労破壊を原因とする物も多く、従って原子力プラントや航空機墜落事故などの原因究明を行う場合には、実際の環境に近い状態で材料の疲労による亀裂の伸長伝播の挙動を測定する必要がある。
【0003】
このような亀裂の伸長伝播の挙動を測定する方法として、破壊靭性疲労試験がある。破壊靭性疲労試験は標準のコンパクトテンション試験片(以下、CT試験片と呼ぶ。また、本明細書中では、試験片とはCT試験片をあらわすものとする。)を用いて行われる。CT試験片はたとえば、米国材料試験協会(ASTM)による基準(たとえば、ASTM E399,E647またはE813)または日本機会学会などによる基準で標準規格により規定される試験片である。図5および図6を用いてASTM E813を例にとってCT試験片について説明する。図6は図5の断面6−6を示している。
【0004】
CT試験片10は一定の厚みを有する長方形の形状をしている。代表的には厚さ25.4mmであって、長手方向の長さ63.5mmおよび幅60.96mmの形状である。CT試験片10はその幅の中線に沿って長手方向に幅2mmの細長い切欠き11を有している。切欠き11の長さ(図2のa0)は特に規定はないが、長さの約半分程度である30mm程度とするのが一般的である。切欠き11の先端は先端角がほぼ30度となるような尖った形状の切欠き先端部11aを有している。一方、CT試験片10の側部側の切欠きの根元は幅13.2mm程度の矩形の開口部12を備え、その開口部12はさらにそこから角度60度の末広の開口部を有している。切欠き11の先端部11a側にあたるCT試験片10の両面には溝深さ1mm程度で先端がほぼ60度の断面が三角形状の溝15aおよび溝15bを有している。溝15aおよび溝15bは試験の際に切欠き2の先端側に生じる亀裂を切欠き2の方向に沿って生ぜしめるため亀裂伸長の方向を誘導するために配置されている。これらの両面はこの溝15aにより上部面10aと上部面10cとに、溝15bにより下部面10bと下部面10dとに区画される。ここで便宜的に、図5および図6において、溝15aおよび溝15bに対し図5および図6の上側にあたる面を上部面10aおよび上部面10bと呼び、一方下側にあたる面を下部面10cおよび下部面10dと呼ぶ。上部面10aおよび1bと下部面10cおよび1dにはほぼ円形の上部貫通孔16および下部貫通孔17がそれぞれ配置されている。上部貫通孔16および下部貫通孔17はそれぞれ引張力を負荷するための挟み治具を取り付けるために使われる。
【0005】
切欠き11の開口部12側には開口部の幅の変位を測定するための第一エッジ13および第二エッジ14が切欠き11の中心線に対して対称に配置されている。第一エッジ13および第二エッジ14は前期列挙の規格では必須の構成として規定されてはいない。しかし、CT試験片10の切欠き11の開口部12の変位を直接測定するために測定器具(たとえばクリップゲージ)を挿入して固定するためには第一エッジ13および第二エッジ14を配置するのが一般的である。第一エッジ13および第二エッジ14は形状およびその位置について規格上限定されるものではない。しかし、図5に示すように、第一エッジ13および第二エッジ14の形状は切欠き11の縁から切欠き11の中心線側に向かって突出する突起状の形状であって、開口部12の幅を検出するための器具のプローブを引っかけるに十分な先端が尖った形状とすることが望ましい。さらに第一エッジ13および第二エッジ14の形状は切欠き11になるべく近く、すなわち2mmの幅を有する切欠き11部分の根元付近に配置するのがよい。ただし、これらは一例であって、切欠き11の開口部12において測定器具を当接させるために使用される限り、開口部12を含め切欠き11のいずれの箇所に配置される第一エッジ13および第二エッジ14も本明細書中で定義するところの第一エッジ13および第二エッジ14に含まれるものとする。なお、一般には、前記の上部貫通孔16の中心とおよび下部貫通孔17の中心とを結んだ線分内に第一エッジ13および第二エッジ14が配置される。引張り力を負荷する方向に第一エッジ13および第二エッジ14を配置させるためである。
【0006】
従来、破壊靭性疲労試験では図7a乃至図7bに示すような方法がとられていた。
図7aに示した第一の従来例では、CT試験片10の開口部12内にクリップゲージ80を挿入して測定する。クリップゲージ80は先端がわずかに曲がった板バネ状の第一変位検出レバー81および第二変位検出レバー82を有している。まず、CT試験片10に第一変位検出レバー81および第二変位検出レバー82を挿入し、それぞれをCT試験片10の第一エッジ13と第二エッジ14に係合させる。第一変位検出レバー81および第二変位検出レバー82の外面および内面にはそれぞれひずみゲージが貼り付けられていて、これらのひずみゲージでいわゆるブリッジ回路を組むことにより第一変位検出レバー81および第二変位検出レバー82の変位を測定するものである。ここで図7aの矢印Xで示すように切欠き11を広げる方向に引張力を負荷すれば切欠き11の先端側に引張り力に応じた亀裂が伸長する。亀裂の伸長により切欠き11の開口部12の幅が広がって第一エッジ13と第二エッジ14も広がるように変位する。第一変位検出レバー81と第二変位検出レバー82はその変位に伴って変形し、ひずみゲージの出力電圧が変化する。これにより、切欠き11の開口部の変位を測定することができる。
【0007】
図7bに示す第二の従来例では、第一の従来例と異なり第一エッジ13と第二エッジ14を利用しないクリップゲージ83による測定方法である。第二の従来例ではクリップゲージ83を試験片1の外側に配置する。この変位測定器83は試験片1の側部にクリップゲージ取付金具84を介して固定される。一方、切欠き11に対してクリップゲージ取付金具84を固定した側と反対側の側部に検出金具86を固定する。検出金具は検出ピン86aを有していて、この検出ピン86aをクリップゲージ83の検出レバー85に当接させる。ここで図7bの矢印Xで示すように切欠き11を広げる方向に引張力を負荷すれば切欠き11の先端側に引張り力に応じた亀裂が伸長する。亀裂の伸長により切欠き11の開口部12の幅が広がってクリップゲージ取付金具84と検出金具86との位置が遠ざかるように変位する。検出ピン86aがこれに伴って移動して、検出レバー85が変位する。クリップゲージ83はこの変位に伴った出力電圧を発生し、切欠き11の開口部の変位を測定することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の破壊靭性疲労試験ではでは以下の問題があった。
(1) 図7aに示すように、第一変位検出レバー81および第二変位検出レバー82を有するクリップゲージ80を使用する場合には、次の問題があった。たとえば高温若しくは極低温に、かつ高圧若しくは真空の環境下でCT試験片10を用いて破壊靭性疲労試験を行う際には、CT試験片10を高温若しくは極低温に、又は高圧若しくは真空とすることができる密閉圧力容器内に配置して試験を行う必要がある。この場合、CT試験片10自体は負荷をかける必要があるため圧力容器内に固定されるが、CT試験片10に負荷がかかるに従って位置が変化するため、クリップゲージ80を圧力容器に固定できず、従って第一変位検出レバー81および第二変位検出レバー82をCT試験片10の開口部12に嵌め込むのみでフリーな状態で取り付ける以外にない。しかしながら、このような取り付け方では温度や圧力の変化によりクリップゲージ80の第一変位検出レバー81および第二変位検出レバー82が切欠き11の第一エッジ13および第二エッジ14から容易に外れる問題があった。
【0009】
(2) また図7aのような第一変位検出レバー81および第二変位検出レバー82を有するクリップゲージ80や、図7bのようなクリップゲージ83を用いて測定する場合、CT試験片10のみならずクリップゲージ80またはクリップゲージ83の本体をも高温若しくは極低温の密閉圧力容器内に配置するため、ひずみゲージの抵抗やクリップゲージ内の補償回路が環境温度に依存して変化し正確な電圧を出力できない問題があった。この場合に正確な値を得るためには、出力値を較正するために予めクリップゲージ80またはクリップゲージ83が温度変化により出力値がどのように変動するか、さらには高温にした状態で長時間維持すると出力値がどのように変動するか等の検査・測定を行い、その較正データを取得しておく必要がある。
【0010】
(3) 図7bに示すような第一エッジ13および第二エッジ14を使用しないクリップゲージ83ではクリップゲージ83をCT試験片10に直接取り付ける点でクリップゲージ80が外れやすいという(1)に記載した問題(図7a)は解消できるが、一方で次の問題が生じる。この方法では、クリップゲージ83をCT試験片10に直接取り付けるものであるが、このように直接とりつけるがために切欠き11の変位が直接測定できない。すなわち、クリップゲージ取付金具84と検出金具86の変位を介して開口部12を有する側面側の変位を測定する切欠き11の開口部12の変位を測定するので、測定値には誤差が含まれ、真の開口部変位を直接測定できない問題があった。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記問題を解決するため、CT試験片10の切欠き11の開口部変位を直接測定し、また特には高温若しくは極低温に、かつ高圧若しくは真空の環境下でのCT試験片10の測定を常温大気中で行うのと同等の精度で測定可能にしたものである。
本発明では、さらに、第一エッジと第二エッジとの距離で開口部幅が画定される切欠きを有する試験片に引張力を負荷した際の該開口部幅を測定する亀裂開口変位測定器具であって、一端で該第一エッジに当接する第一検出レバーと、
一端で該第二エッジに当接する第二検出レバーと、該第一検出レバーと該第二検出レバーとの間に挟まれて配置される第一支点部材であって、該第一支点部材と該第一検出レバーとの当接部および該第一支点部材と該第二検出レバーとの当接部をそれぞれ支点として第一検出レバーと第二検出レバーとをそれぞれ傾斜させうる第一支点部材と、該第一検出レバーの該一端と該第二検出レバーの該一端とが離れるように第一検出レバーと該第二検出レバーとを付勢する付勢手段と、該第一検出レバーの他端と該第二検出レバーの他端との間の距離の変化に対応した電気信号を発生する信号発生手段とを備える亀裂開口変位測定器具により解決する。
これにより、第一支点部材を第一検出レバーと第二検出レバーの間に配置することで第一検出レバーと第二検出レバーが第一支点部材を支点として移動可能であり、されにこれに付勢手段を配置することで、より強く該第一検出レバーの一端と該第二検出レバーの一端とが離れ、ひいては第一検出レバーの一端が第一エッジに第二検出レバーの一端が第二エッジに、より追従可能とすることができる。従って、特に常温大気中はもとより、たとえ高温若しくは極低温に、又は高圧若しくは真空の環境下でも亀裂開口変位測定器具の第一検出レバーおよび第二検出レバーを第一エッジと第二エッジとにそれぞれ確実に係合することができる。
【0012】
さらに、本願発明は、信号発生手段として、第一検出レバーの他端と係合して第一検出レバーの他端の移動に従って摺動し第一磁性コアを有する第一検出棒と、第二検出レバーの他端と係合して第二検出レバーの他端の移動に従って摺動し第二磁性コアを有する第二検出棒と、第一磁性コア付近に該第一検出棒に沿って延在する第一トランスと、第二磁性コア付近に該第二検出棒に沿って延在する第二トランスとを備え、第一磁性コアの位置に応じて第一トランスから電気信号を、第二磁性コアの位置に応じて第二トランスからの電気信号をそれぞれ発生することを特徴とする。これにより、温度変化を受けやすい信号発生手段をCT試験片10から遠ざけて配置することができる。
【0013】
本発明は、さらに、試験片を高温若しくは極低温に、または高圧若しくは真空にすることが可能な密閉型圧力容器の内部に配置し、第一磁性コアおよび第一トランスと第二磁性コアおよび第二トランスを密閉型圧力容器の外部に配置して使用することを特徴とする。これにより、特に高温若しくは極低温に、または高圧若しくは真空下の環境下でも常温大気中と同じ精度の測定を可能とする。
【0014】
本発明は、さらに、第一エッジと第二エッジとの距離で開口部幅が画定される切欠きを有する試験片に引張力を負荷した際の該開口部幅を測定する亀裂開口変位測定器具であって、一端で該第一エッジに当接する第一検出レバーと、一端で該第二エッジに当接する第二検出レバーと、該第一検出レバーと該第二検出レバーとの間に挟まれて配置される第一支点部材であって、該第一支点部材と該第一検出レバーとの当接部および該第一支点部材と該第二検出レバーとの当接部をそれぞれ支点として第一検出レバーと第二検出レバーとをそれぞれ傾斜させうる第一支点部材と、該第一検出レバーの該一端と該第二検出レバーの該一端とが離れるように第一検出レバーと該第二検出レバーとを付勢する付勢手段と、該第一検出レバーの他端と該第二検出レバーの他端との間の距離の変化に対応した電気信号を発生する信号発生手段とを備える亀裂開口変位測定器具により前記課題を解決する。
これにより、CT試験片10の切欠き11の開口部12の変位を正確に測定し、その測定値に応じた引張力を正確に負荷することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1乃至図4を参照して、本発明の材料試験装置1および亀裂開口変位測定器具4について説明する。
【0016】
図1は材料試験装置1の断面を示した図である。材料試験装置1は、密閉型圧力容器たる圧力容器部2、荷重負荷手段たる荷重負荷部3、および演算制御手段たる制御部6とを備えており、圧力容器部2の内部にはCT試験片10が配置されている。CT試験片10には亀裂開口変位測定器具4が取り付けられていて、亀裂開口変位測定器具4は信号発生手段たる信号発生部5を含んでいる。
【0017】
まず、圧力容器部2について説明する。圧力容器部2は、容器本体21と蓋22とを備えている。容器本体21はたとえば、鉛直方向下側に開口部を有し開口部の縁全周にわたってフランジ21aを備える内部が中空の容器である。蓋22は円形板状であって、たとえば鉛直方向上方が平面でフランジ21aに当接可能である。蓋22がフランジ21aと当接する箇所にはシール材22aが配置されていて、これにより容器本体21と蓋22とがフランジ21で密着したときには容器内部が高圧または真空にすることができるに十分な密閉性が確保される。蓋22の上面からは鉛直方向に直立する支柱23aおよび支柱23bが備えられている。なお、図1には図面上支柱23aおよび支柱23bの2本のみを示しているが、荷重支持台24を保持するために図3に示すようにさらに支柱23cおよび支柱23dを含めて計4本支柱を備えている。支柱23aおよび支柱23bの上部には荷重支持台24が実質的に水平に配置されている。荷重支持台24はたとえば蓋22の中心部と同心の円形形状をしており、その中心部には貫通孔24aが配置されている。
荷重支持台24には挟み治具の一つとしての上部チャック27が取り付けられている。上部チャック27はCT試験片10の上部面10aおよび上部面10bをほぼ当接するような状態でCT試験片10を挟む形状をしている(図4)。CT試験片10の反対側にあたる上部チャック27には螺子部を有する棒状部27aが延在する。この棒状部27aが荷重支持台24の下側から上方に向かって貫通孔24a内に挿入され、荷重支持台24の上方でナット25により固定されている。上部チャック27はCT試験片10を挟んだ状態で棒状のピン27bを上部チャック27の貫通孔を貫通させた上でCT試験片10の上部貫通孔16を貫通させ、再度上部チャック27の貫通孔を貫通させることにより上部チャック27に固定されるように取り付けられる。または、ピン27bの変わりにボルトを用い上部チャック27の一方の貫通孔から貫通させた上で他方の貫通孔側でナットで固定してもよい。支柱23aおよび支柱23bと荷重支持台24は負荷手段により下側に向かう荷重を受けるため十分に剛である必要がある。
容器本体21の外周部には容器内部の温度を上昇させるための加熱ヒータ26を備えている。なお、低温条件下で試験を行う場合には、容器内部の温度を下げるために容器内部にたとえば液体窒素を還流させる管路とシュラウドをもうけることもできる。
蓋22の中心部には負荷手段による引張力をCT試験片10に負荷するためのプルロッドが挿入される貫通孔22bが配置されている。貫通孔22bの内壁にはシール材22cが配置されていて、プルロッド36が挿入された状態でも圧力容器部2の内部を密閉することができる。
蓋22は鉛直方向下方に向かって延在する二本の中空の棒状体たる上部変位検出管29aおよび下部変位検出管29bを備えている。上部変位検出管29aおよび上部変位検出管29bは開口部を蓋22の上面であって容器本体21をかぶせた際に容器の内部となる位置に並んで設けられている。上部変位検出管29aおよび下部変位検出管29bの蓋22側と反対側の端部は閉鎖端となっている。上部変位検出管29aおよび下部変位検出管は29bの内部の構成については信号発生手段6の説明として後述する。実際には図1では上部変位検出管29aは下部変位検出管は29bの奥に隠れる状態の位置関係(図2乃至図4参照)となるが、材料試験装置1の全体の構造の理解を容易にするために図1においては上部変位検出管29aおよび下部変位検出管は29bを仮想的に並べて描いている。
【0018】
続いて荷重負荷部3について説明する。荷重負荷部3は、引張機構部32とサーボモータ33とプルロッド36とを備えている。
引張機構部32は、架台31の下側に配置され、サーボモータ33と連結している。架台31の上面からは十分に剛な支持棒35aおよび支持棒35bが架台31の上面から鉛直方向上方に向かって延在している。支持棒35aおよび支持棒35bは圧力容器部2の蓋22を実質的に水平に支持することで圧力容器部2の全体を支えている。
架台31はほぼ中心部に貫通孔31aを備えていて、引張機構部32のピストン32aは貫通孔31aにより架台31の上側に抜けている。ピストン32aはロードセル39とジョイント34を介してプルロッド36に接続されている。プルロッド36は鉛直方向に延在する細長い棒であってその上部には下部チャック38が固定されている。下部チャック38は上部チャック27と同様に、CT試験片10の下部面10cおよび下部面10dにほぼ当接するような状態でCT試験片10を挟む形状をしている。下部チャック38はCT試験片10の切欠き11に対して上部チャック27とほぼ対称に、CT試験片10を挟んだ状態で棒状のピン38aがCT試験片10の下部貫通孔17を貫通して下部チャック38に固定されるように取り付けられる(図4)。なお、上部チャック27の場合と同様にピン38aの変わりにボルトを用いナットで固定してもよい。
上部チャック27の中心軸とCT試験片10の上部貫通孔16と下部チャック38の中心軸とCT試験片10の下部貫通孔17とプルロッド36はほぼ鉛直方向に向かって一直線上に配置される。CT試験片10の第一エッジ13および第二エッジ14もこの直線状に配置されている状態となる。
【0019】
続いて亀裂開口変位測定器具4について図2乃至図4を参照して説明する。図1に示すように、亀裂開口変位測定器具4はCT試験片10に取り付けられる状態で圧力容器部2内に配置される。図2は、圧力容器部2の内部のうち、特に亀裂開口変位測定器具4および信号発生部5についてわかりやすく取り出した図である。また図3は圧力容器内部における図1の断面3−3を示した図であって、図4は図2の矢視Yから見た図である。なお図4では、CT試験片10と亀裂開口変位測定器具4との位置関係を明確化するために、後述する上部変位検出レバー41と下部変位検出レバー42の間に位置する第一支点部材43を省略している。
図2に示すように、亀裂開口変位測定器具4は第一検出レバーたる上部変位検出レバー41と第二検出レバーたる下部変位検出レバー42を備えている。上部変位検出レバー41および下部変位検出レバー42は細長い棒状体である。
上部変位検出レバー41および下部変位検出レバー42はほぼ平行に並んで配置される。上部変位検出レバー41の一端41aおよび下部変位検出レバー42の一端42aはそれぞれかぎ状突起を有していて、その突起によりそれぞれCT試験片10の第一エッジ13と第二エッジ14と係合している。上部変位検出レバー41および下部変位検出レバー42はCT試験片10と反対側に向かって延在するように配置され、好ましくはCT試験片10の面の方向に沿って、かつ切欠き11の延在する方向に沿って配置される。上部変位検出レバー41の他端41bおよび下部変位検出レバー42の他端42b側は図3に示すように直角外側に突出して第一検出棒固定部41cと第二検出棒固定部42cを構成する。上部変位検出レバー41および下部変位検出レバー42の間には第一支点部材43が配置されている。第一支点部材43はたとえば断面が菱形形状で長さが上部変位検出レバー41または下部変位検出レバー42の幅とほぼ同じ形状の部材である。第一支点部材43が配置される箇所の上部変位検出レバー41および下部変位検出レバー42にはそれぞれ溝41dおよび溝42dが配置されていて、第一支点部材43の菱形断面の頂点が溝41dおよび溝42dのそれぞれに当接している。これにより上部変位検出レバー41および下部変位検出レバー42が第一支点部材43を中心に傾斜可能となる。第一支点部材43に対しCT試験片10と反対側には上部変位検出レバー41および下部変位検出レバー42を連結するスプリング46が配置されている。スプリング46は上部変位検出レバー41および下部変位検出レバー42を引っ張るようにその強さが選択されていて、これにより上部変位検出レバー41の一端41aおよび下部変位検出レバー42の一端42aが互いに離れる方向に付勢されている。
上部変位検出レバー41と下部変位検出レバー42は荷重支持台24から下方に向かって固定された治具支持ロッド45により保持される。治具支持ロッド45は螺子部を有する棒状部45aを荷重支持台24にナットにより固定したものである。治具支持ロッド45の下側先端に上部変位検出レバー41が位置し、治具支持ロッド45と上部変位検出レバー41との間には第二支点部材44が配置される。第二支点部材44も第一支点部材43とほぼ同じ形状で、断面が菱形形状で長さがほぼ上部変位検出レバー41または下部変位検出レバー42の幅と同じ部材である。第一支点部材44が配置される箇所の上部変位検出レバー41および治具支持ロッド45には、上部変位検出レバー41または下部変位検出レバー42と同様にそれぞれ溝41eおよび溝45bが配置されていて、第二支点部材44の菱形断面の頂点が溝41eおよび溝45bのそれぞれに当接する。これにより上部変位検出レバー41が第二支点部材44を中心としても傾斜可能となる。下部変位検出レバー42は治具支持ロッド45からスプリング47aおよび47bを介してぶら下がるように取り付けらている。すなわち、上部変位検出レバー41と下部変位検出レバー42との間には第一支点治具43が、上部変位検出レバー41と支持ロッド45との間には第二支点治具44が挟まれた状態で、下部変位検出レバー42と治具支持ロッド45とはスプリング47aおよび47bにより引っ張られた状態で、全体が治具支持ロッド45を介して荷重支持台24にぶら下がるように上部変位検出レバー41と下部変位検出レバー42が水平状態で固定されている。
ここで上部変位検出レバー41の一端41aと第一支点部材43の距離(図2に示すように仮にL0と呼ぶ)を上部変位検出レバー41の他端41bと第一支点部材43との距離(L0)に等しくとり、下部変位検出レバー42の一端42aと第一支点部材43の距離(L0)を下部変位検出レバー42の他端42bと第一支点部材43との距離(L0)に等しくとることが好ましい。
また、上部変位検出レバー41の一端41aと第二支点部材44の距離(L0)を上部変位検出レバー41の他端41bと第二支点部材44との距離(L0)に等しくとることが好ましい。
これにより、上部変位検出レバー41の一端41aおよび下部変位検出レバー42の一端42aの変位は、上部変位検出レバー41の他端41bおよび下部変位検出レバー42の他端42bの変位と等価とすることができる。
【0020】
続いて信号発生手段5について図3および図4を参照して説明する。
信号発生手段5は第一検出棒たる上部変位検出棒51と第二検出棒たる下部変位検出棒52とを有している。上部変位検出棒51と下部変位検出棒52は細長い形状の棒であり、それぞれは一端が上部変位検出レバー41の第一検出棒固定部41cと下部変位検出レバー42の第二検出棒固定部42cとに固定され、鉛直方向下方に延在するように配置される。さらに上部変位検出棒51は上部変位検出管29a内に、下部変位検出棒52は下部変位検出管29b内に挿入されるように配置されていて、上部変位検出レバー41の第一検出棒固定部41cと下部変位検出レバー42の反対側にあたる上部変位検出棒51と下部変位検出棒52のそれぞれの端部には第一磁性コア53と第二磁性コア54が取り付けられている。上部変位検出レバー41と下部変位検出レバー42の傾斜に伴って上部変位検出レバー41の他端41bまたは下部変位検出レバー42の他端42bが変位し、上部変位検出棒51は上部変位検出管29a内で下部変位検出棒52は下部変位検出管29b内でそれぞれ上方または下方に摺動する。上部変位検出管29aと下部変位検出管29bの下方側先端の外周にはそれぞれ第一トランス55と第二トランス56が配置されている。上部変位検出レバー41と下部変位検出レバー42がまったく傾斜していない初期の状態で第一磁性コア53と第二磁性コア54がそれぞれ第一トランス55と第二トランス56のほぼ中央部に位置するように上部変位検出棒51と下部変位検出棒52の長さが設定されている。
【0021】
続いて演算制御手段6について図1を参照して説明する。演算制御手段6は二位置演算変位測定器アンプ61を含んでいる。第一トランス55と第二トランス56からの出力ラインは二位置演算変位測定器アンプ61に接続されている。さらに、二位置演算変位測定器アンプ61の出力ラインは試験機コントローラ62に接続されサーボアンプ63を介してサーボモータ33に接続されている。
【0022】
次に、上記構成の材料試験装置1および亀裂開口変位測定器具4についてどのように動作するかについて説明する。
試験開始前の初期状態では、上部変位検出レバー41と下部変位検出レバー42はCT試験片10の切欠き10に沿って切欠き10と反対方向に実質的に水平状態を保って配置されている。この状態で上部変位検出棒51の先端の第一磁性コア53は上部変位検出管29aの第一トランス55のほぼ中央に位置し、下部変位検出棒52の第二磁性コア54は下部変位検出管29bの第二トランス56のほぼ中央に位置する状態である。
ここでまず、サーボモータ33を駆動する。これに従って、ピストン31aが鉛直方向下方に引き込まれるように移動し、ロードセル39とジョイント34を介してピストン31aに接続されているプルロッド36が下方に移動する。プルロッド36に接続されている下部チャック38がCT試験片10の下部面10cおよび下部面10d側を下側に引っ張る。CT試験片10の上部面10aおよび上部面10b側は上部チャック27により荷重支持台24に固定されているので、その反力によりCT試験片10は相対的に切欠き11が広がるような引張力を受ける。引張力を受けたCT試験片10の切欠き11が広がることにより切欠き11の先端部11aに亀裂が伸長し始める。亀裂の伸長とともに切欠き11の開口部12が開き、第一エッジ13および第二エッジ14がそれぞれ変位する。
上部変位検出レバー41の一端41aと下部変位検出レバー42の一端42aはスプリング46により第一支持部材43を支点として第一エッジ13および第二エッジ14に追従して移動する。この移動の際には、上部変位検出レバー41の一端41aと下部変位検出レバー42の一端42aはスプリング46により常に互いに離れる方向に付勢されているので、たとえ高温若しくは極低温、または高圧若しくは真空の環境下でも第一エッジ13と第二エッジ14と係合を常に確保されている。
【0023】
一方、上部変位検出レバー41の他端41bと下部変位検出レバー42の他端42bは第一支点部材43によって逆に互いに近づく方向に移動をする。これに伴って第一検出棒固定部41cと第二検出棒固定部42cがそれぞれ変位する。第一検出棒固定部41cが下がることで上部変位検出棒51が上部変位検出管29a内部で下方に摺動し、第二検出棒固定部42cが下がることで下部変位検出棒52が下部変位検出管29b内で上方に摺動する。その結果、上部変位検出棒51の先端の第一磁性コア53は上部変位検出管29a内における第一トランス55の当初の位置から移動して第一トランス55内のずれた地点に位置する。下部変位検出棒52の第二磁性コア54は下部変位検出管29bにおける第二トランス56の当初の位置から移動して第二トランス56内の当初の位置からずれた地点に位置する。それぞれの位置ずれに対応する相対移動量から第一トランス55と第二トランス56とがそれぞれ電気信号を発生させる。発生したそれぞれの電気信号は二位置演算変位測定器アンプ61に出力される。
【0024】
電気信号を受け取った二位置演算変位測定器アンプ61はそれぞれの電気信号から差分演算を行い上部変位検出レバー41の他端41bと下部変位検出レバー42の他端42bの相対変位量を表す電気信号を得る。ここで上部変位検出レバー41の一端41aと第一支点部材43の距離を上部変位検出レバー41の他端41bと第一支点部材43との距離に等しくとり、下部変位検出レバー42の一端42aと第一支点部材43の距離を下部変位検出レバー42の他端42bと第一支点部材43との距離に等しくとっているので、ここで得た上部変位検出レバー41の他端41bと下部変位検出レバー42の他端42bの相対変位量を表す電気信号は上部変位検出レバー41の一端41aと下部変位検出レバー42の一端42aの相対変位量をそのまま表す。すなわちこの相対変位量を表す電気信号はCT試験片10の切欠き11の開口部12の変形量に相当する信号と考えることができる。
【0025】
さらにこの変形量に相当する信号を試験機コントローラ62を介してサーボアンプ63に送りサーボモータ33の駆動量を制御する。これによりサーボモータ33はCT試験片10の切欠き11の歪変形速度が一定となるような適切な引張力を与えるように駆動できる。
【0026】
なお実際の試験においては、プルロッド36の移動でCT試験片10は下側にひかれることになり、下部変位検出レバー42の一端42aが第二エッジ14に従って下方に移動する移動量のほうが上部変位検出レバー41の一端41aが第一エッジ14に従って上方に移動する移動量より厳密には大きい。ただし、この試験全般にわたって、亀裂開口変位測定器具4は全体として治具支持ロッド45により常に当初の位置に保たれるため、下部変位検出レバー42の一端42aの移動量と上部変位検出レバー41の一端41aの移動量の総和は切欠き11の開口部12の変位を表し、そしてその変位は上部変位検出レバー41の他端41bの移動量と下部変位検出レバー42の他端42bの移動量の総和と等しくなるので、上部変位検出レバー41の他端41bの移動量と下部変位検出レバー42の他端42bの移動量をそれぞれ測定することで、CT試験片10の切欠き11の開口部12の変位として正確に測ることができる。
【0027】
(実施例2)
実施例1ではスプリング46は第一支点部材43に対しCT試験片10と反対側に上部変位検出レバー41および下部変位検出レバー42を連結するように配置したが、図8aに示すようにスプリング46を上部変位検出レバー41の上方に設けることもできる。すなわち、第一支点部材43に対しCT試験片10と反対側の下部変位検出レバー42から上部変位検出レバー41の内部を貫通して上方に延在するシャフト421を配置し、シャフト421の下部変位検出レバー42と反対側の端部にスプリング止め422を固定する。ここでスプリング46の一端が上部変位検出レバー41にスプリング46の他端がスプリング止め422に当接するように配置して、上部変位検出レバー41がスプリング止め422に対して押されるようにスプリング46の強さを選択することができる。この場合でも、実施例1と同様に、上部変位検出レバー41の一端41aおよび下部変位検出レバー42の一端42aが互いに離れる方向に付勢することができる。
【0028】
(実施例3)
また、図8bに示すように、実施例3として、スプリング46を第一支点部材43とCT試験片10との間であって、上部変位検出レバー41および下部変位検出レバー42の間に配置することもできる。この場合にはスプリング46は逆に上部変位検出レバー41および下部変位検出レバー42を押し返すような強さをもつスプリング46が選択される。すなわち、この場合も、上部変位検出レバー41の一端41aおよび下部変位検出レバー42の一端42aが互いに離れる方向に付勢される。
【0029】
(実施例4)
実施例1では上部変位検出レバー41の一端41aと第一支点部材43の距離(L0)を上部変位検出レバー41の他端41bと第一支点部材43との距離(L0)に等しくとり、下部変位検出レバー42の一端42aと第一支点部材43の距離(L0)を下部変位検出レバー42の他端42bと第一支点部材43との距離(L0)に等しくとり、さらに上部変位検出レバー41の一端41aと第二支点部材44の距離(L0)を上部変位検出レバー41の他端41bと第二支点部材44との距離(L0)に等しくとっているが、この比率は第一トランス55および第二トランス56からの出力を補正する限り、任意に取ることができる。すなわち、図8bに示すように、上部変位検出レバー41の一端41aと第一支点部材43の距離(L0)に対し上部変位検出レバー41の他端41bと第一支点部材43との距離をその二倍(2L0)にとり、一方下部変位検出レバー42の一端42aと第一支点部材43の距離(L0)に対し下部変位検出レバー42の他端42bと第一支点部材43との距離をその二倍(2L0)にとることもできる。さらに上部変位検出レバー41の一端41aと第二支点部材44の距離(L0)に対し上部変位検出レバー41の他端41bと第二支点部材44との距離をその二倍(2L0)に等しくとることができる。この場合、上部変位検出レバー41の一端41aと下部変位検出レバー42の一端42aとが移動する距離に対し、上部変位検出レバー41の他端41bおよび下部変位検出レバー42の他端42bの間の距離も2倍になるが、第一トランス55および第二トランス56からの出力値を逆に1/2に補正することで実施例1と同様の効果を奏するものである。
【0030】
【発明の効果】
本願発明により高温若しくは極低温に、または高圧若しくは真空の環境下でCT試験片の破壊靭性疲労試験を行うことができる有利な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の材料試験装置の全体を表した全体図である。
【図2】図1に示した材料試験装置のうちCT試験片と亀裂開口変位測定器具の部分を拡大して示した図である。
【図3】図1の断面3―3を示した図である。
【図4】図2の矢視Yから見たCT試験片と亀裂開口変位測定器具を示した図である。
【図5】本願発明を適用するCT試験片を示した図である。
【図6】図5の断面6−6を示した図である。
【図7a】従来のCT試験片の測定に利用したクリップゲージをCT試験片との関係で示した図である。
【図7b】従来のCT試験片の測定に利用したクリップゲージをCT試験片との関係で示した図である。
【図8a】実施例2における亀裂開口変位測定器具の部分を拡大して示した図である。
【図8b】実施例3および4における亀裂開口変位測定器具の部分を拡大して示した図である。
【符号の説明】
1 材料試験装置
2 圧力容器部
3 荷重負荷部
4 亀裂開口変位測定器具
5 信号発生部
6 制御部
10 CT試験片
11 切欠き
12 開口部
13 第一エッジ
14 第二エッジ
41 上部変位検出レバー
42 下部変位検出レバー
51 上部変位検出棒
52 下部変位検出棒
53 第一磁性コア
54 第二磁性コア
55 第一トランス
56 第二トランス
Claims (3)
- 第一エッジと第二エッジとの距離で開口部幅が画定される切欠きを有し、内部が高温の密閉型圧力容器内に設置される試験片に引張力を負荷した際の該開口部幅を測定する亀裂開口変位測定器具であって、
該密閉型圧力容器内に設置され、前記引張力を負荷しない状態でほぼ水平に配置され、一端で該第一エッジに当接し、溝を備える第一検出レバーと、
該密閉型圧力容器内に設置され、前記引張力を負荷しない状態でほぼ水平に配置され、一端で該第二エッジに当接し、溝を備える第二検出レバーと、
一の頂点と他の頂点を有し、該第一検出レバーの該溝に該一の頂点が、該第二検出レバーの該溝に該他の頂点とが当接して、該第一検出レバーと該第二検出レバーとの間に挟まれて配置される支点部材であって、該支点部材と該第一検出レバーとの当接箇所および該支点部材と該第二検出レバーとの当接する箇所をそれぞれ支点として第一検出レバーと第二検出レバーとをそれぞれ傾斜させうる支点部材と、
該第一検出レバーの該一端と該第二検出レバーの該一端とが離れる方向に第一検出レバーと該第二検出レバーとを付勢する付勢手段と、
該第一検出レバーの他端と該第二検出レバーの他端との間の距離の変化に対応した電気信号を発生する信号発生手段と、
該信号発生手段は、
一端が該第一検出レバーの他端と係合し、該第一検出レバーの該他端の移動に従って摺動可能な、ほぼ鉛直方向に延在する第一検出棒であって、該第一の検出棒の他端が該密閉型圧力容器の外部に設置される第一磁性コアと結合する第一検出棒と、
一端が該第二検出レバーの他端と係合し、該第二検出レバーの該他端の移動に従って摺動可能な、ほぼ鉛直方向に延在する第二検出棒であって、該第二の検出棒の他端が該密閉型圧力容器の外部に設置される第二磁性コアと結合する第二検出棒と、
該密閉型圧力容器の外部に設置され、該第一磁性コア付近に該第一検出棒に沿って延在する第一トランスと、
該密閉型圧力容器の外部に設置され、該第二磁性コア付近に該第二検出棒に沿って延在する第二トランスとを備え、
該第一磁性コアの位置に応じて該第一トランスから電気信号を、該第二磁性コアの位置に応じて該第二トランスからの電気信号をそれぞれ発生することを特徴とする亀裂開口変位測定器具。 - 請求項1に記載の亀裂開口変位測定装置であって、
該第一検出レバーの該一端と該支点部材の距離は該第一検出レバーの該他端と該支点部材との距離にほぼ等しく、
該第二検出レバーの該一端と該支点部材の距離は該第二検出レバーの該他端と該支点部材との距離にほぼ等しいことを特徴とする亀裂開口変位測定器具。 - 内部を高温にすることが可能な密閉型圧力容器を備え、第一エッジと第二エッジとの距離で開口部幅が画定される切欠きを有し、該密閉型圧力容器内に設置される試験片に引張力を負荷した際の該開口部幅を測定する亀裂開口変位測定器具により該開口部幅を測定するとともにその測定値に応じた引張力を負荷する材料試験装置であって、
該亀裂開口変位測定器具は、
該密閉型圧力容器内に設置され、前記引張力を負荷しない状態でほぼ水平に配置され、一端で該第一エッジに当接し、溝を備える第一検出レバーと、
該密閉型圧力容器内に設置され、前記引張力を負荷しない状態でほぼ水平に配置され、一端で該第二エッジに当接し、溝を備える第二検出レバーと、
一の頂点と他の頂点を有し、該第一検出レバーの該溝に該一の頂点が、該第二検出レバーの該溝に該他の頂点とが当接して、該第一検出レバーと該第二検出レバーとの間に挟まれて配置される支点部材であって、該支点部材と該第一検出レバーとの当接箇所および該 支点部材と該第二検出レバーとの当接する箇所をそれぞれ支点として第一検出レバーと第二検出レバーとをそれぞれ傾斜させうる支点部材と、
該第一検出レバーの該一端と該第二検出レバーの該一端とが離れる方向に第一検出レバーと該第二検出レバーとを付勢する付勢手段と、
該第一検出レバーの他端と該第二検出レバーの他端との間の距離の変化に対応した電気信号を発生する信号発生手段と、
該信号発生手段は、
一端が該第一検出レバーの他端と係合し、該第一検出レバーの該他端の移動に従って摺動可能な、ほぼ鉛直方向に延在する第一検出棒であって、該第一の検出棒の他端が該密閉型圧力容器の外部に設置される第一磁性コアと結合する第一検出棒と、
一端が該第二検出レバーの他端と係合し、該第二検出レバーの該他端の移動に従って摺動可能な、ほぼ鉛直方向に延在する第二検出棒であって、該第二の検出棒の他端が該密閉型圧力容器の外部に設置される第二磁性コアと結合する第二検出棒と、
該密閉型圧力容器の外部に設置され、該第一磁性コア付近に該第一検出棒に沿って延在する第一トランスと、
該密閉型圧力容器の外部に設置され、該第二磁性コア付近に該第二検出棒に沿って延在する第二トランスとを備え、
該第一磁性コアの位置に応じて該第一トランスから電気信号を、該第二磁性コアの位置に応じて該第二トランスからの電気信号をそれぞれ発生し、
該材料試験装置は、該信号発生手段が発生したそれぞれの電気信号から該第一エッジと該第二エッジの変位を計算する演算制御手段と、
該変位に基づいて該切欠きと垂直方向に試験片に引張力を負荷する負荷手段とを備えることを特徴とする材料試験装置。
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