JP3864087B2 - 熱可塑性樹脂組成物および該組成物からなる成形体 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および該組成物からなる成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂と、1分子あたりの平均として1個より多い水酸基を有する特定のブロック共重合体を含有する熱可塑性樹脂組成物および該熱可塑性樹脂組成物からなる成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂は、その優れた靭性、力学的強度、耐摩耗性、耐油性などを活かして各種包装材料、自動車部品、ゴルフボール、スキー靴などに利用されている。
【0003】
しかしながら、かかるアイオノマー樹脂を用いた成形体は一般に硬度が高い。例えばα−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂のカバーを有するゴルフボールは、高反発性、耐摩耗性等の点でメリットを有するが、カバーの硬度が高く、ボールのコントロール性、スピンのかかり易さあるいは打球感が悪いという問題点がある。このため、靭性、力学的強度、耐摩耗性、耐油性、さらには反発性を損なうことなく、α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂に柔軟性を付与することが望まれている。
【0004】
α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂に柔軟性を付与する試みとしては、例えば(1)軟質アイオノマー樹脂、すなわちオレフィン系化合物、不飽和モノカルボン酸およびアクリル酸エステルなどの不飽和モノマーからなる3元共重合体の塩を配合する方法(特開平1−308577号、特開平11−323045号公報など参照);(2)特定のエチレン−アクリル酸エチル共重合体のケン化物を配合する方法(特開平5−345051号公報参照);(3)芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水添物およびエチレンとα,β−エチレン型不飽和カルボン酸からなる共重合体を配合する方法(特開昭49−11943号公報参照);(4)無水マレイン酸等によって変性された熱可塑性エラストマーを配合する方法(米国特許第4,986,545号明細書参照);(5)アイオノマー樹脂の金属イオン源として2種類以上の金属イオン源を併用する方法(特開平05−277208号公報、特開平10−231399号など参照);(6)ポリエステル系熱可塑性エラストマーとスチレン系ブロック共重合体を配合する方法(特開平11−342229号公報参照)が提案されている。
【0005】
しかしながら、上記(1)および(2)に記載されたα−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂組成物から得られる成形物は柔軟性と反発性のバランスが悪く、十分に満足できるものではない。また、これらの組成物からなるカバーを有するゴルフボールはカバーに柔軟性が付与されるものの、反発性が悪く実用性が失われる。上記(3)に記載された樹脂組成物は柔軟性に優れた成形物を与えるが、α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂と芳香族ビニル化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の水添物との相溶性が悪く、靭性、力学的強度、耐摩耗性、耐油性といったα−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂の持つ特性が損なわれるため、実用上満足のいく成形体が得られない。上記(4)に記載されている無水マレイン酸等によって変性された熱可塑性エラストマーを配合した樹脂組成物では、用いる熱可塑性エラストマーのゲル化や樹脂組成物から得られる成形物の着色等の問題を有する。上記(5)の方法は反発性の大きな材料が得られるものの、充分な柔軟性を付与することができない等の問題を有する。さらに、上記(6)の方法は高価なポリエステル系熱可塑性エラストマーを用いる上、配合組成が複雑であるため、物性を安定させにくいなどの問題を有する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の問題点を解決するため、本出願人は、α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂と、芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックを少なくとも1個および共役ジエン化合物からなる重合体ブロックを少なくとも1個有し、末端に水酸基を有するブロック共重合体またはその水素添加物からなる樹脂組成物を開発し、先に出願した(特開平9−124862号公報、特開平10−57527号公報参照)。
【0007】
しかしながら、かかる樹脂組成物においては、ゴルフボールカバー用途などに要求される高い反発性、柔軟性を付与する目的はある程度達成できているが、α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂の有する靭性、力学的強度、耐摩耗性、耐油性などの特性を活かす観点からは、なお改良の余地があることが判明した。
しかして、本発明の目的は、柔軟性を有するとともに、反発性、靭性、力学的強度、耐摩耗性、耐油性などに優れた成形体を与えるα−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックを少なくとも1個および共役ジエン化合物からなる重合体ブロックを少なくとも1個有するブロック共重合体の任意の位置に、1分子あたりの平均として2〜10個の水酸基を導入することにより、かかる変性されたブロック共重合体とα−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂との親和性をさらに増大させ、α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂の有する靭性、力学的強度、耐摩耗性、耐油性などの特性をさらに改善し、かつ、柔軟性を付与できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明は、
〔1〕(a)α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂および(b)芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックAを少なくとも1個および共役ジエン化合物からなる重合体ブロックBを少なくとも1個有し、かつ分子内に1分子あたりの平均として2〜10個の水酸基を有するブロック共重合体またはその水素添加物、を含有する熱可塑性樹脂組成物、および
〔2〕上記の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体、である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において用いるα−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂(a)とは、エチレン、プロピレンなどのα−オレフィンとアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチルなどの不飽和カルボン酸またはそのエステルとからなる共重合体、またはα−オレフィン、不飽和カルボン酸もしくはそのエステルからなる共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部がナトリウム、カリウム、リチウム、銅、マグネシウム、亜鉛、アルミニウムなどの金属陽イオンとの塩を形成している樹脂のことを意味する。
【0011】
本発明にあっては、かかるα−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂として公知のものを特に制限なく用いることができ、例えば、デュポン社製の商品名「サーリン(SURLYN)」、三井・デュポンポリケミカル(株)製の商品名「ハイミラン(HIMILAN)」、エクソン社製の商品名「イオテック(IOTEK)」などの市販のものが好適に使用される。α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂(a)は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0012】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成するもう一方の成分は、芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックAを少なくとも1個および共役ジエン化合物からなる重合体ブロックBを少なくとも1個有し、かつ分子内に1分子あたりの平均として2〜10個の水酸基を有するブロック共重合体またはその水素添加物[以下、これらをブロック共重合体(b)と略称することがある]である。
【0013】
本発明で使用するブロック共重合体(b)における重合体ブロックAを構成する芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどが挙げられ、中でもスチレンおよびα−メチルスチレンが好ましい。重合体ブロックAはこれらの化合物の1種類のみから構成されていてもよいし、2種以上から構成されていてもよい。
【0014】
ブロック共重合体(b)における芳香族ビニル化合物の含有率は5〜75質量%が好ましく、より好ましくは10〜65質量%、更に好ましくは15〜45質量%である。芳香族ビニル化合物の含有率が5質量%未満では、熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体の機械的強度が十分ではない。逆に75質量%を超えると熱可塑性樹脂組成物から得られる成形体の柔軟性が損なわれる傾向となる。
【0015】
一方、ブロック共重合体(b)における重合体ブロックBを構成する共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられ、中でもブタジエン、イソプレンが好ましい。重合体ブロックBはこれらの化合物の1種類のみから構成されていてもよいし、2種以上から構成されていてもよい。なお、重合体ブロックBのミクロ構造(ビニル結合)の含有量、および2種以上の化合物を併用した場合の化合物間の連鎖分布等は特に限定されない。
【0016】
ブロック共重合体(b)における重合体ブロックAと重合体ブロックBの結合様式は線状、分岐状あるいはこれらの任意の組み合わせであってもよい。また、ブロック共重合体(b)が有する水酸基は、それぞれ相当する重合体ブロックAおよび重合体ブロックBのいずれの部分(ブロック内部およびブロック末端)に付加されていてもよい。なお、ブロック共重合体(b)が分子内に有する水酸基数は1分子あたりの平均として2〜10個の範囲であり、好ましくは3〜5個の範囲である
【0017】
本発明において使用するブロック共重合体(b)の数平均分子量は特に制限されないが、好ましくは30,000〜1,000,000の範囲であり、より好ましくは40,000〜300,000の範囲である。なお、ここでいう数平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で求めたポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。
【0018】
ブロック共重合体(b)の製造方法としては、例えば、まずn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ペンチルリチウムなどのアルキルリチウム化合物等を開始剤として、n−ヘキサンやシクロヘキサンなどの重合に不活性な有機溶媒中で、芳香族ビニル化合物、共役ジエン化合物を逐次重合させるアニオン重合法によって、所望の分子構造および分子量を有する、芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックAを少なくとも1個および共役ジエン化合物からなる重合体ブロックBを少なくとも1個有するブロック共重合体を含む反応液(重合停止操作は行わない)を得る。
【0019】
続いて、上記で得られたブロック共重合体を含む反応液に、米国特許第3976628号に記載された方法に準じて、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;N,N,N’N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチルアミンなどの3級アミン類;カリウムtert−ブトシキドなどのアルカリ金属アルコキシドなどの極性金属化促進剤を添加した後、tert−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、n−ブチルリチウムなどのアルキルリチウムを添加することによって、共役ジエン化合物からなる重合体ブロックのアリル位および/または芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックの芳香環を金属化する。なお、アルキルリチウムの添加による、共役ジエン化合物からなる重合体ブロックのアリル位および/または芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックの芳香環の金属化は、ブロック共重合体中の該当部位の任意の位置で起こりうる。この金属化操作に続いて、エチレンオキサイドなどのエポキシドを反応液に添加し、最後にメタノールなどの活性水素を有する化合物を加えて反応を停止することで、上記のブロック共重合体の任意の位置に水酸基を導入することができる。
【0020】
かかる反応により、上記で得られたブロック共重合体に2〜10個の水酸基を導入するには、極性金属化促進剤の量はブロック共重合体100質量部あたり0.01〜5質量部の範囲で用いるのが好ましく、0.1〜2質量部の範囲で用いるのがより好ましい。なお、極性金属化促進剤としては、最も金属化促進効果が大きい観点からテトラヒドロフランを用いるのが特に好ましい。また、上記で得られたブロック共重合体に2〜10個の水酸基を導入するには、アルキルリチウムの添加量は極性金属添加促進剤に対して0.5〜2モル倍の範囲で用いるのが好ましく、0.8〜1モル倍の範囲で用いるのがより好ましい。なお、アルキルリチウムとしては、反応性の観点からtert−ブチルリチウムを用いるのが特に好ましい。tert−ブチルリチウムを用いる場合、その添加量に対しての、共役ジエン化合物からなる重合体ブロックのアリル位および/または芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックの芳香環部分の金属化率を70〜95%の範囲とすることができる。本発明では、かかる方法で得られた、分子内に1分子あたりの平均として2〜10個の水酸基を有するブロック共重合体を、本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する成分として用いることができる。
【0021】
また、上記で得られた、分子内に1分子あたりの平均として2〜10個の水酸基を有するブロック共重合体は、必要に応じてさらに水素添加される。かかる水素添加反応は、例えば、上記で得られた、分子内に1分子あたりの平均として2〜10個の水酸基を有するブロック共重合体を、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素系有機溶媒中で、Ziegler系触媒などの水素添加触媒の存在下で、通常、反応温度として40〜90℃の範囲で、水素圧力4〜10MPaの範囲の条件下で行うことができ、分子内に1分子あたりの平均として2〜10個の水酸基を有するブロック共重合体の水素添加物を得ることができる。水素添加率は、本発明の熱可塑性樹脂組成物に要求される物性に応じて適宜調整することができるが、耐熱性、耐候性および耐オゾン性を重視する場合、かかるブロック共重合体を構成する重合体ブロックBの共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の70%以上が水素添加されていることが好ましく、85%以上が水素添加されていることがより好ましく、95%以上が水素添加されていることがさらに好ましい。なお、重合体ブロックBの共役ジエン化合物に由来する炭素−炭素二重結合の水素添加率は、ヨウ素価滴定、赤外分光光度計、核磁気共鳴などの測定手段により水素添加反応前後における重合体ブロックB中の炭素−炭素二重結合の量を測定し、その測定値から算出することができる。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂組成物において、α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂(a)とブロック共重合体(b)との組成比は、その使用目的に応じて任意に決定することができるが、通常(a)/(b)=98/2〜2/98(質量比)の範囲内であり、(a)/(b)=95/5〜5/95(質量比)の範囲内であることが好ましく、(a)/(b)=90/10〜10/90(質量比)の範囲内であることがより好ましい。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その特性を損なわない範囲で、スチレン系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などの熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーなどをさらに配合することができる。また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その特性を損なわない範囲で、プロセスオイル、低分子量ポリエチレン、ポリエチレングリコールなどの可塑剤を配合することもできる。これらを配合する場合、その配合量は熱可塑性樹脂組成物100質量部あたり概ね20質量部以下であるのが好ましい。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その特性を損なわない範囲で、カーボンブラック、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタンなどの無機充填剤を含有していてもよい。無機充填剤を配合する場合、その配合量は熱可塑性樹脂組成物100質量部あたり5〜300質量部の範囲であるのが好ましい。
【0025】
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、その特性を損なわない範囲で、ガラス繊維、カーボン繊維、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐電防止剤、離型剤、難燃剤、発泡剤、顔料、染料、増白剤、抗菌剤などを含有していてもよい。
【0026】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールなどの混練機を用いて調製することができる。
【0027】
このようにして得られた熱可塑性樹脂組成物は、従来公知の各種成形法、例えば、射出成形、ブロー成形、プレス成形、押出成形、カレンダー成形などにより成形し、成形体を得ることができる。
【0028】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、柔軟性を有するとともに、反発性、靭性、力学的強度、耐摩耗性、耐油性などに優れた成形体を与えるので、かかる特徴を活かして、例えば、機械部品、自動車部品、電気部品、玩具、工業用部品、ベルト、ホース、履物、医療用具、防振ゴム、日用品、雑貨、建材、シート、フィルム、ゴルフボール、スポーツ用品、中空成形品等の各種成形品、積層品の接着層の素材などの各種分野に利用できる。
特に、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記した特徴を活かして、ゴルフボールカバーとしての成形体用途に特に好適に使用することができる。
【0029】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、以下の参考例において、スチレン含有量、1分子あたりの水酸基含有量、水素添加率およびビニル結合含有量はH−NMRによって測定した。
【0030】
また、以下の実施例および比較例では、次の方法により、得られた熱可塑性樹脂組成物の硬度、反発性、破断強度、破断伸度、靭性および曲げ白化の評価を行った。
【0031】
(硬度)
JIS K6253に記載された方法に従って測定した。すなわち、実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物より、シート状成形片(11cm×11cm×0.2cm)を作製し、ASTM D硬度計を用いて測定し、柔軟性を評価する上での指標とした。
【0032】
(反発性)
JIS K6255に記載された方法に従って測定した。すなわち、実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物より、JIS K6255の4.1に規定された円柱状の試験片を作製し、リュプケの振り子を使用して、23(±2)℃で反発性を測定した。
【0033】
(破断強度、破断伸度および靭性)
JIS K6251に記載された方法に従って試験した。すなわち、実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物より、JIS K6251に規定されたダンベル状5号形の試験片を作製し、インストロン万能試験機を使用して23(±2)℃で、引張速度500mm/minで引張試験を行い、破断強度(MPa)、破断伸度(%)及び靭性(MPa)を測定した。破断強度及び靭性の測定値は力学的強度を評価するうえでの指標とした。なお、ここで靭性とは、単位体積あたりの破断強度のことであり、破断強度の値を試験片のつかみ具間体積で除算したものである。
【0034】
(曲げ白化)
実施例および比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物より、試験片(寸法;128mm×12.7m×6.2mm)を作製し、JIS K7203に準じて曲げ試験を行い、曲げた状態での試験片の透明度の変化の状態を目視で下記のように評価した。
◎:無色透明である
○:白さはあるが透明である
△:白濁する
【0035】
参考例1
撹拌装置付き耐圧容器中に、シクロヘキサン50kg、sec−ブチルリチウム(11質量%、シクロヘキサン溶液)250mlを加え、この溶液にスチレン1270gを30分かけて加えて50℃で30分間重合し、次に、イソプレンとブタジエンの混合物(イソプレン/ブタジエン=50/50:質量比)6460gを60分かけて加え、50℃で90分間重合した後、さらにスチレン1270gを30分かけて加え、50℃で30分間重合し、スチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体を含む反応混合液を得た。
得られた反応混合液に、引き続いて、テトラヒドロフラン66gおよびtert−ブチルリチウム(1.6mol/l、ペンタン溶液)190mlを加えて50℃で4時間攪拌した後、エチレンオキサイド45gを加え、最後にメタノールを加えて反応を停止し、1分子あたりの平均として3個の水酸基を有するスチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体を含む反応液を得た。得られたブロック共重合体の数平均分子量は53,000であり、スチレン含有量は28質量%であった。
さらに、かかる反応液に、オクチル酸ニッケル(64質量%、シクロヘキサン溶液)230gにトリイソプロピルアルミニウム(20質量%、シクロヘキサン溶液)1170gを加えて別途調製した水素添加触媒(Ziegler系触媒)を添加し、80℃、1MPaの水素雰囲気下で水素添加反応を行うことで、水酸基を有するスチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体の水素添加物(以下、これをブロック共重合体(b)−1と略称する)を得た。得られたブロック共重合体(b)−1の数平均分子量は55,000であり、スチレン含有量は28質量%であり、1分子あたりの水酸基の数は3個であり、水素添加率は97%であった。
【0036】
参考例2
撹拌装置付き耐圧容器中に、シクロヘキサン50kg、sec−ブチルリチウム(11質量%、シクロヘキサン溶液)250mlを加え、この溶液にスチレン1270gを30分かけて加えて50℃で30分間重合し、次にイソプレンとブタジエンの混合物(イソプレン/ブタジエン=50/50:質量比)6460gを60分かけて加え、50℃で90分間重合し、さらにスチレン1270gを30分かけて加えて、50℃で30分間重合した後、エチレンオキサイド12.1gを加え、最後にメタノールを加えて反応を停止して、末端に水酸基を有するスチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体を含む反応混合液を得た。得られたブロック共重合体の数平均分子量は53,000であり、スチレン含有量は28質量%であり、1分子あたりの水酸基の数は0.9個であった。
さらに、上記反応混合液に、オクチル酸ニッケル(64質量%、シクロヘキサン溶液)230gにトリイソプロピルアルミニウム(20質量%、シクロヘキサン溶液)1170gを加えて別途調製した水素添加触媒(Ziegler系触媒)を添加し、80℃、1MPaの水素雰囲気下で水素添加反応を行い、末端に水酸基を有するスチレン−イソプレン/ブタジエン−スチレン型ブロック共重合体の水素添加物(以下、これをブロック共重合体(b)−2と略称する)を得た。得られたブロック共重合体(b)−2の数平均分子量は55,000であり、スチレン含有量は28質量%であり、1分子あたりの水酸基の数は0.9個であり、水素添加率は97%であった。
【0037】
実施例1
α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂(a)としてハイミラン1705(商品名、三井・デュポンポリケミカル(株)社製)を使用し、ブロック共重合体(b)−1と表1に示す割合で配合して、二軸押出機で200℃にて溶融混合し、熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を成形温度200℃の条件で射出成形し、所定形状の試験片を作製し、各種物性を評価した。結果を表1に併せて示す。本実施例1の熱可塑性樹脂組成物は反発性を損なうことなく、充分な柔軟性、力学的強度を有した熱可塑性樹脂組成物であることが分かる。
【0038】
実施例2
α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂(a)としてハイミラン1705(商品名、三井・デュポンポリケミカル(株)社製)を使用し、ブロック共重合体(b)−1と表1に示す割合で配合した以外、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た、得られた熱可塑性樹脂組成物から実施例1と同様にして各種試験片を作成し、各種物性評価を行った。結果を表1に併せて示す。本実施例2の熱可塑性樹脂組成物は反発性を損なうことなく、柔軟性および優れた力学的強度を有した熱可塑性樹脂組成物であることが分かる。
【0039】
比較例1
ハイミラン1705(商品名、三井・デュポンポリケミカル(株)社製)単独での物性を示す。反発性および曲げ白化において優れているが、柔軟性に劣ることがわかる。
【0040】
比較例2
実施例1において、ブロック共重合体(b)−1の代わりにブロック共重合体(b)−2を表1に示す割合で配合して用いた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た、得られた熱可塑性樹脂組成物から実施例1と同様にして各種試験片を作成し、各種物性評価を行った。結果を表1に併せて示す。本比較例2の熱可塑性樹脂組成物は、ハイミラン1705(商品名、三井・デュポンポリケミカル(株)社製)単独と比較すると柔軟性が付与されている。しかしながら、例えばゴルフボールのカバー用途を考慮してかかる熱可塑性樹脂組成物の性能を評価した場合、コントロール性、打球感を改善するための柔軟化効果は十分満足できるものではない。また、曲げ白化において試験結果が劣る。
【0041】
比較例3
実施例2において、ブロック共重合体(b)−1の代わりにブロック共重合体(b)−2を表1に示す割合で配合して用いた以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂組成物を得た、得られた熱可塑性樹脂組成物から実施例1と同様にして各種試験片を作成し、各種物性評価を行った。結果を表1に併せて示す。本比較例3の熱可塑性樹脂組成物は、ハイミラン1705(商品名、三井・デュポンポリケミカル(株)社製)単独と比較するとやや柔軟性が付与されているものの、実施例2および比較例1と比較すると破断伸度、破断強度等の力学的強度に劣る。
【0042】
【表1】
Figure 0003864087
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、柔軟性を有するとともに、反発性、靭性、力学的強度、耐摩耗性、耐油性などに優れた熱可塑性樹脂組成物およびかかる熱可塑性樹脂組成物からなる成形体を提供することができる。

Claims (4)

  1. (a)α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂および(b)芳香族ビニル化合物からなる重合体ブロックAを少なくとも1個および共役ジエン化合物からなる重合体ブロックBを少なくとも1個有し、かつ分子内に1分子あたりの平均として2〜10個の水酸基を有するブロック共重合体またはその水素添加物、を含有する熱可塑性樹脂組成物。
  2. α−オレフィン−不飽和カルボン酸共重合体系アイオノマー樹脂(a)と、ブロック共重合体(b)との組成比が(a)/(b)=98/2〜2/98(質量比)である請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
  4. ゴルフボールカバーである請求項3に記載の成形体。
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