JP3864026B2 - 生物発光によるアデニンヌクレオチドの検査方法 - Google Patents

生物発光によるアデニンヌクレオチドの検査方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、動植物の代謝・成合成系において生成される、アデノシン三リン酸(ATP)、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン一リン酸(AMP)又はそれらの混合物など、いわゆるアデニンヌクレオチドの検査方法に関するもので、例えば、生物発光によりATPを測定し、食品工場などで目に見えない微生物を検出して清浄度を検査したり、食肉、鮮魚、野菜など食物の鮮度を測定することに応用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、汚れの指標成分であるATPと、触媒となる酵素(例えば、ホタルルシフェラーゼ)とを反応させると、蛍光発光することが知られている。
【化1】
Figure 0003864026
【0003】
しかしながら、上記蛍光発光の測定では、発光の安定性が悪く、発光が非常に短時間に消失するという欠点を有しており、感度と精度を獲得するため、反応時間の厳密な制御と、短時間で消失する発光を捕らえるための特別なルミノメータの使用を必要とする問題点がある。
【0004】
そこで、特開平8-47399号公報には、「ルシフェラーゼにより発生する生物発光を測定する方法において、ポリリン酸化合物又はその塩、及びスルフヒドリル化合物の共存下で生物発光反応を行う」ことを特徴とする技術が開示されている。これにより、生物発光の増強という新規な効果を得られ、一般的なルミノメータの使用により生物発光反応の測定が可能で、普及率が高まるという効果がある。特開平8-47399号でのポリリン酸化合物とは3個程度のリン化物(M P)が結合した化合物である。
【0005】
しかしながら、上記特開平8-47399に開示される方法は、ATPの再生系がないため、ATPが消費されるに従い、経時的に発光が減衰する欠点を有する。従って、発光量をそのまま減衰することがなく安定に持続することは不可能である。
【0006】
ところで、本出願人らは特願2000-7332号によって、以下の反応式で示される生物発光によるアデニンヌクレオチドの検査方法を提案している。
【化2】
Figure 0003864026
【0007】
この検査方法は、ATPをルシフェラーゼ及び溶存酸素の存在下でルシフェリンと反応させてAMP及び発光を生成せしめる反応(1)及び反応(2)において、生成したAMPからATPを新たに再生する系として、汚れ由来ATP(5)と生成したAMPとをアデニレートキナーゼ(ADK)の存在下で反応させてADPに変換せしめる反応(3)と、この生成したADPをポリリン酸キナーゼ(PPK)の存在下でポリリン酸化合物(polyPn)反応させて、ATP及びポリリン酸化合物(polyPn-1)に変換せしめる反応(4)とを備えたことを特徴としている。つまり、反応(1)において、発光する際に生じるAMPがATPまで再生されることにより、発光量の減衰を抑制することができる。すなわち、発光時間を持続させることにより、アデニンヌクレオチドの検出感度を向上させて、食品工場などで目に見えない微生物を検出して清浄度を検査したり、食肉、鮮魚、野菜など食物の鮮度を測定することに応用できるものである。
【0008】
また、このとき予め反応系にAMPを存在させておくことによって、少量のATPから膨大な光を生じさせることもできる。すなわち、予め存在するAMPだけでは、ATPは生じないが、少量のATPが反応系に添加されるとすぐにAMPとATPが反応し、分子のADPに変換され、さらにATPまで変換される。少量のATPが引き金になって、このATPの増幅ともいうべき反応が何度も繰り返し起こることにより、多量のATPが生じるのである。ここで初めてルシフェラーゼを添加し、この多量のATPを生物発光により検出することによって、簡便ではあるが、非常に感度の悪い検出器によっても、アデニンヌクレオチドの検出感度を向上させて、食品工場などで目に見えない微生物を検出して清浄度を検査したり、食肉、鮮魚、野菜など食物の鮮度を測定することに応用できるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、さらに少量のアデニンヌクレオチドの検出を安定に行うためには、克服しなければならない問題があった。
【0010】
すなわち、反応(3)において、AMPからADPに変換する際、アデニレートキナーゼ(ADK)及び測定に供されるべき少量の汚れ由来ATPを使用して、2分子のADPが生成される。そして、反応(4)において、生成された2分子のADPからポリリン酸キナーゼ(PPK)によって2分子のATPが生成される。従って、上記反応系では、測定に供されるべき汚れ由来ATPが、測定用(反応(1))と再生系(反応(3)及び反応(5))との両方に寄与するから、極端に希薄なATPを測定しようとする場合は以下の問題点があった。
【0011】
つまり、ATPの量が最初に十分に存在する場合は、蛍光発光の安定性がよく、発光が長時間継続して問題はないが、極端に希薄なATPを測定しようとすると、最初の再生系の反応(反応(5)及び反応(3))がうまくいかず(希薄なATPと希薄なAMPでは出会う確率が低く、反応が起こりにくい)、蛍光発光の安定性が悪く、発光が非常に短時間に消失する虞(おそれ)がある。
【0012】
本発明は、上記問題点にかんがみ、極端に希薄なATPをも検出できるように、再生系に汚れ由来ATPを全く使用することなく、新規なATP再生系を組み入れた生物発光によるアデニンヌクレオチドの検査方法を提供することを技術的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、ATP(アデノシン三リン酸)をルシフェラーゼ及び溶存酸素の存在下でルシフェリンと反応させてAMP(アデノシン一リン酸)及び発光を生成せしめ、生成した発光量を測定することによりアデニンヌクレオチドを検査する方法において、検体中のATPを、ルシフェラーゼ及び溶存酸素の存在下でルシフェリンと反応させてAMP及び発光を生成せしめる第1反応と、該第1反応で生成したAMPを、リン酸基転移酵素であるAPP(AMP−polyPホスホトランスフェラーゼ)の存在下で、化学合成により生成されたポリリン酸化合物であってリン酸基数 n が10〜100個直鎖状に重合したポリリン酸( poly n n =10〜100)又はバクテリア由来のポリリン酸化合物であってリン酸基数 n が10〜1000個直鎖状に重合したポリリン酸( poly n n =10〜1000)と反応させてADP(アデノシン二リン酸)を生成させる第2反応と、該第2反応で生成したADPを、ポリリン酸合成酵素であるPPKの存在下で、前記ポリリン酸と反応させてATPを生成させる第3反応と、からなり、前記第1反応から第3反応を繰り返し実行させることにより、前記第1反応によって消耗したATPを前記第2反応及び第3反応によって再生させ、前記第1反応による発光量を持続させて該発光量を計測するようにしたものである。
【0014】
これにより、AMPからATPに変換せしめる再生反応系において、汚れ由来ATPを使用することなくAMPからADPを経てATPに変換せしめるので、極端に希薄なATP濃度であっても、ATP量に依存せず、ポリリン酸化合物のリン酸基(PO3基)の量に依存して生物発光の光量の増強と発光時間の持続効果が得られるから、アデニンヌクレオチドの検出感度を向上させて、食品工場などで目に見えない微生物を検出して清浄度を検査したり、食肉、鮮魚、野菜など食物の鮮度を測定することができる。さらに、汚れの指標成分であるATPに加え、AMP又はADPを測定することもできる。
【0015】
また、前記ポリリン酸化合物は、化学合成により生成されたポリリン酸化合物の場合には、少なくとも10〜100個のリン酸基が直鎖状に重合したものを用いるとよい。これにより、ポリリン酸化合物の1分子中にリン酸基(PO3基)が少なくとも10〜100個含まれているので、ADPからATPへの変換が容易に行われ、ATPを再生する際の補給が少量となり経済的になる。さらに、ポリリン酸化合物が熱にさらされた場合であっても、リン酸基(PO3基)が直鎖状に重合しているので、耐熱性があり、品温が摂氏60〜70℃程度の被検査物に対しても測定が可能となる。そして、リン酸基(PO3基)が直鎖状に重合しているため、細菌中に存在する酵素によっても分解されにくい。
【0016】
そして、前記ポリリン酸化合物は、バクテリア由来のポリリン酸化合物の場合には、少なくとも10〜1000個のリン酸基が直鎖状に重合したものを用いると、少なくとも10〜1000個のリン酸基が直鎖状に重合しているので、耐熱性、耐菌性が向上する。
【0017】
さらに、前記ポリリン酸化合物は、ポリリン酸合成酵素の触媒作用により、ATPから生合成すれば、ポリリン酸化合物の収率を向上して、ポリリン酸化合物を安価に生成することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。まず、本発明の生物発光反応の測定法は次の反応式で表される。
【化3】
Figure 0003864026
【0019】
上記反応において、(1)のようにATP、ルシフェリン、溶存酸素(図示せず)及び酵素の失活抑制を目的としたマグネシウムイオンなど金属イオン(図示せず)に、ルシフェラーゼを作用させると、AMP、ピロリン酸、オキシルシフェリン、炭酸ガス(図示せず)及び光を生成する第1反応(2)が行われ、このルシフェラーゼにより発生する光を測定することで、汚れの指標成分であるATPを検出し、食品工場などの清浄度判定をすることができる。
【0020】
次に、生成したAMPからATPへの新たな再生系であるが、生成したAMPを、AMP−polyPホスホトランスフェラーゼ(リン酸基転移酵素:APP)の存在下でポリリン酸化合物(polyPn)と反応させてADPに変換せしめる第2反応(3)と、生成したADPを、ポリリン酸キナーゼ(PPK)の存在下で前記ポリリン酸化合物(polyPn −1)と反応させて、ATP及びポリリン酸化合物(polyPn- )に変換せしめる第3反応(4)とからなる。
【0021】
この反応の要点について以下に述べる。まず、反応(1)によりATPが消費されて、発光し、反応(2)でAMPが生成するが、このAMPは反応(3)によりADPに変換された後、反応(4)ではADPがATPに再生される。そして、このATPは再び反応(1)に供され、ATPが消費されて発光する。以下、ATPの消費系となる反応(1)(2)と、ATPの再生系となる反応(3)(4)とが同時に連続的に繰り返し行われる。このATPの再生系においては、汚れ由来ATPを使用することなくAMPからADPを経てATPに変換せしめるので、極端に希薄なATP濃度であっても、ATP量に依存せず、ポリリン酸化合物のリン酸基(PO3基)の量に依存して生物発光の発光時間の持続効果が得られる。
【0022】
ところで、前記AMPからADPに再生する第2反応(3)においては、AMP−polyPホスホトランスフェラーゼ(リン酸基転移酵素:APP)の存在下で、ポリリン酸化合物(polyPn)を前記AMPと反応させると、ポリリン酸化合物からリン酸基(PO3基)が1個消費されて、ADP及びポリリン酸化合物(polyPn-1)に変換される。そして、前記ADPからATPに再生する第3反応(4)においては、ポリリン酸キナーゼ(PPK)の存在下で、ポリリン酸化合物(polyPn −1)と前記ADPとを反応させると、ポリリン酸化合物(polyPn-1)からリン化物(M P)がさらに1個消費されて、ATP及びポリリン酸化合物(polyPn- )に変換される。このとき、ポリリン酸化合物としては、化学合成により生成されたポリリン酸化合物の場合には、少なくとも10以上のリン酸基(PO3基)が直鎖状に重合したものでなければ、反応に寄与しない。
【0023】
つまり、ポリリン酸化合物(polyPn)として10≦n≦100のものを用いると、1分子中にリン化物(M P)が少なくとも10〜100個含まれているから、AMPからADPへの変換、及びADPからATPへの変換の際に、リン酸基(PO3基)が不足することがなく変換がスムーズに行われる。このため、再生系においては、リン酸基(PO3基)の供給が少量でよく、経済的になる。
【0024】
さらに、ポリリン酸化合物が熱にさらされた場合であっても、リン酸基(PO3基)が直鎖状に重合しているので、耐熱性があり、品温が摂氏60〜70℃程度の被検査物に対しても測定が可能となる。そして、リン酸基(PO3基)が直鎖状に重合しているため、細菌中に存在する酵素であっても分解されにくい。
【0025】
例えば、本発明で用いられるポリリン酸化合物(polyPn)は、以下の構造式によって表される。ここで(polyPn)は10≦n≦100の範囲が好ましい。
【化4】
Figure 0003864026
【0026】
前記ポリリン酸化合物は、バクテリア由来のポリリン酸化合物の場合には、少なくとも10〜1000個のリン化物が直鎖状に重合したものを用いると、10〜1000個のリン酸基(PO3基)が重合しているので、耐熱性、耐菌性が向上する。
【0027】
ポリリン酸合成酵素の触媒作用により、ATPから生合成すれば、ポリリン酸化合物の収率を向上して、ポリリン酸化合物を安価に生成することが可能となる。例えば、以下の反応式に示すようにポリリン酸化合物を、ATPから生合成する。
【化5】
Figure 0003864026
【0028】
上記反応式によるポリリン酸化合物の生合成は、例えば、特開平5-153993号公報などに開示された従来のポリリン酸の製造方法を利用すればよい。本実施形態では、ポリリン酸合成酵素を触媒として、ポリリン酸合成酵素とATPと酵素の失活抑制を目的としたマグネシウムなどの金属イオンとを反応させ、ポリリン酸化合物を生合成する。本実施形態に使用されるポリリン酸合成酵素はポリリン酸化合物を生合成し得るものであればよい。
【0029】
なお、本実施の形態においては、ATPの検査方法を主として述べたが、これに限定されることはなく、ADP、AMP又はそれらの混合物など、いわゆるアデニンヌクレオチドの検査方法に応用されるものである。これにより、食肉、鮮魚、野菜など食物の鮮度を測定することにも応用することができる。
【0030】
【実施例1】
ポリリン酸によるATPの再生反応に際し、ポリリン酸キナーゼ(PPK)及びAMP−polyP ホスホトランスフェラーゼ(APP)の2つの酵素を使用することで、ATPの再生反応にどのように寄与するかを実験した。
【0031】
I.供試材料
(イ)ポリリン酸キナーゼ緩衝液(PPKbuffer)3μl
(ロ)0.1mM(濃度)アデノシン1リン酸(AMP)3μl
(ハ)30 mM(濃度)ポリリン酸化合物(PolyP)3μl
(ニ)イオン交換水19μl
(ホ)ポリリン酸キナーゼ(PPK)1μl
(へ)AMP−polyP ホスホトランスフェラーゼ(APP)1μl
合計 30μl(容量)
上記(イ)〜(へ)の供試材料を、温度30℃の条件でインキュベートし、反応後5分、15分、60分に10μlずつサンプリングを行った。そして、10μlルシフェリン及び5μlルシフェラーゼを添加済みの測定用ウェルに全量を添加し、生成する発光量をルミノメータ(ARVO社製)にて測定した。
【0032】
発光量からそれぞれの経過時間におけるATP容量を知ることが可能であり、これを図1に示す。これにより、反応後5分、15分、60分と時間を経るとともにATP容量が増加していることが分かる。この実験からポリリン酸キナーゼ(PPK)及びAMP−polyP ホスホトランスフェラーゼ(APP)の2つの酵素によりAMPからATPを生成することができることが示された。従って、これらの反応はATP再生系として使うことが可能であるとともに、AMPを生物発光により検出することも可能であることが分かった。
【0033】
【実施例2】
ポリリン酸によるATPの再生反応系あり(本発明)と、ATPの再生反応系なし(従来技術)とを比較するため、以下の条件で発光の経時的変化を調べた。
【0034】
I.ポリリン酸によるATPの再生反応系ありの場合
(イ)ポリリン酸キナーゼ緩衝液(PPKbuffer)3μl
(ロ)0.1mM(濃度)アデノシン1リン酸(AMP)3μl
(ハ)30 mM(濃度)ポリリン酸化合物(PolyP)3μl
(ニ)イオン交換水19μl
(ホ)ポリリン酸キナーゼ(PPK)1μl
(へ)AMP−polyP ホスホトランスフェラーゼ(APP)1μl
合計 30μl(容量)
【0035】
II.ATPの再生反応系なし(コントロール)の場合
(ト)1.65μM(濃度)アデノシン3リン酸(ATP)3μl
(チ)イオン交換水27μl
合計 30μl(容量)
【0036】
上記(イ)〜(へ)の再生反応系ありの試料と、上記(ト)〜(チ)の再生反応系なしの試料とを、それぞれ温度30℃の条件の下、20分間インキュベートし、それぞれ10μlルシフェリン及び5μlルシフェラーゼを添加済みの測定用ウェルに全量を添加した。そして、生成する発光量をルミノメータ(ARVO社製)にて測定し、発光の経時的変化を調べた。発光量の測定は、反応開始後14分間にわたって、反応直後、6分経過後、13分経過後の発光量を測定する方法により行った。
【0037】
上記I.の結果及びII.の結果を図2に示す。この結果から、ATPの再生反応なしの場合、反応直後ピークに達した発光量が、6分経過後には6分の1以下に減少し、以下、経時的に徐々に減少する。従って、従来の測定法では精巧なルミノメータが必要となることが分かる。これに対し、ポリリン酸によるATPの再生反応系ありの場合、反応直後ピークに達した発光量が、6分経過後は発光量の減衰が抑えられ、高水準のまま安定していることが分かる。従って、本発明では、精巧なルミノメータを用いれば、わずかな量のATPでも検出することができ、食品検査、衛生検査の精度を向上することが可能である。一方、食品検査、衛生検査において、従来のATPの検出範囲内で基準を満たしてあれば、高価な高精度ルミノメータを使用するのではなく、安価でかつ簡単なルミノメータによりATPを検出することができる。
【0038】
また、例えば、濃度が100nM以上の高濃度のATPを測定する場合、従来の特願2000-7332であっても、ATPが豊富に存在して発光量が強く測定に影響を受けることがないが、例えば、濃度が100nM以下の極端に希薄なATPを測定しようとする場合、本発明のようにATP濃度に左右されずに再生系が安定的に働く検査方法のほうが適している。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、生成したAMPを、リン酸基転移酵素(AMP-PolyPホスホトランスフェラーゼ:APP)の存在下でポリリン酸化合物と反応させてADPを生成させる反応と、ポリリン酸合成酵素の存在下で、前記ADPをポリリン酸化合物と反応させてATPを生成させる反応とからなるATPの再生反応系を備えるので、AMPからATPに変換せしめる再生反応系において、汚れ由来ATPを使用することなくAMPからADPを経てATPに変換せしめるので、極端に希薄なATP濃度であってATP量に依存せず、ポリリン酸化合物のリン酸基(PO3基)の量に依存して生物発光の光量の増強と発光時間の持続効果が得られるから、アデニンヌクレオチドの検出感度を向上させて、食品工場などで目に見えない微生物を検出して清浄度を検査したり、食肉、鮮魚、野菜など食物の鮮度を測定することができる。本発明は、予めAMPを存在させておいてATPを合成するATPの増幅(特願2000-7332)には使えない。しかし、極微量のアデニンヌクレオチドに対して、連続した生物発光の光量を得ることができる。
【0040】
また、前記ポリリン酸化合物は、化学合成により生成されたポリリン酸化合物であって、少なくとも10〜100個のリン化物が直鎖状に重合したものを用いるとよい。これにより、ポリリン酸化合物の1分子中にリン酸基(PO3基)が少なくとも10〜100個含まれているので、ADPからATPへの変換が容易に行われ、ATPを再生する際の補給が少量となり経済的になる。さらに、ポリリン酸化合物が熱にさらされた場合であっても、リン酸基(PO3基)が直鎖状に重合しているので、耐熱性があり、品温が摂氏60〜70℃程度の被検査物に対しても測定が可能となる。そして、リン酸基(PO3基)が直鎖状に重合しているため、細菌中に存在する酵素によっても分解されにくい。
【0041】
そして、前記ポリリン酸化合物は、バクテリア由来のポリリン酸化合物であって、少なくとも10〜1000個のリン酸基が直鎖状に重合したものを用いると、少なくとも10〜1000個のリン酸基(PO3基)が直鎖状に重合しているので、耐熱性、耐菌性が向上する。
【0042】
さらに、前記ポリリン酸化合物は、ポリリン酸合成酵素の触媒作用により、ATPから生合成すれば、ポリリン酸化合物の収率を向上して、ポリリン酸化合物を安価に生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ATP再生の経過時間におけるATP容量変化を示す
【図2】本発明と従来のものとの相対発光量の経時的変化を示す。

Claims (1)

  1. ATP(アデノシン三リン酸)をルシフェラーゼ及び溶存酸素の存在下でルシフェリンと反応させてAMP(アデノシン一リン酸)及び発光を生成せしめ、生成した発光量を測定することによりアデニンヌクレオチドを検査する方法において、
    検体中のATPを、ルシフェラーゼ及び溶存酸素の存在下でルシフェリンと反応させてAMP及び発光を生成せしめる第1反応と、
    該第1反応で生成したAMPを、リン酸基転移酵素であるAPP(AMP−polyPホスホトランスフェラーゼ)の存在下で、化学合成により生成されたポリリン酸化合物であってリン酸基数 n が10〜100個直鎖状に重合したポリリン酸( poly n ;n=10〜100)又はバクテリア由来のポリリン酸化合物であってリン酸基数 n が10〜1000個直鎖状に重合したポリリン酸( poly n n =10〜1000)と反応させてADP(アデノシン二リン酸)を生成させる第2反応と、
    該第2反応で生成したADPを、ポリリン酸合成酵素であるPPKの存在下で、前記ポリリン酸と反応させてATPを生成させる第3反応と、からなり、
    前記第1反応から第3反応を繰り返し実行させることにより、前記第1反応によって消耗したATPを前記第2反応及び第3反応によって再生させ、前記第1反応による発光量を持続させて該発光量を計測することを特徴とする生物発光によるアデニンヌクレオチドの検査方法。
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