JP3863730B2 - マルチカラー記録媒体、第1の温度範囲の設定方法及びマルチカラー記録システム - Google Patents

マルチカラー記録媒体、第1の温度範囲の設定方法及びマルチカラー記録システム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は少なくとも2色を発色し得るように構成されたマルチカラー(多色発色)記録媒体に関し、また本発明はそのマルチカラー記録媒体に利用し得る感圧感熱発色媒体にも関する。
【0002】
【従来の技術】
上述したようなマルチカラー記録媒体として、2色以上を発色し得るようになった加色型マルチカラー感熱紙が既に知られている。例えば、このような加色型感熱紙で2色を発色させる場合には、シート紙上に感熱発色層が形成され、この感熱発色層が単層構造となっているときには、2種類のロイコ染料(即ち、第1のロイコ染料及び第2のロイコ染料)と顕色剤とが均一に分布させられ、該感熱発色層が多層構造(2層構造)となっているときには、各層にそれぞれ1種類のロイコ染料と顕色剤とが均一に分布させられる。顕色剤については、第1のロイコ染料の発色温度が第2のロイコ染料の発色温度より低くなるように適宜選択され、また必要に応じてそれらロイコ染料の発色温度を調整するために感熱発色層には適宜増感剤が加えられる。
【0003】
周知のように、ロイコ染料自体は通常は乳白色或いは半透明の粉体であり、このようなロイコ染料は顕色剤との化学的な発色反応により発色して所定の色を呈する。ロイコ染料と顕色剤とに化学的な発色反応を引き起こさせて十分な濃度の発色を得るためには、そのロイコ染料と顕色剤とが共に熱溶融状態となっていることが条件となる。
【0004】
従って、感熱発色層に第1のロイコ染料の熱溶融温度が加えられると、第1のロイコ染料が発色して第1の色を呈し、感熱発色層に第2のロイコ染料の熱溶融温度が加えられると、第1及び第2のロイコ染料の双方がそれぞれ発色して第1及び第2の色から成る混色を呈する。要するに、感熱発色層に低温度と高温度とを選択的に加えることにより、第1のロイコ染料による発色と第1及び第2のロイコ染料の発色による混色とが得られる。例えば、第1及び第2のロイコ染料がそれぞれマゼンタ及びシアンを発色するものとして選ばれた場合、低温側でマゼンタの発色が得られ、高温側でマゼンタとシアンの混色即ちブルーの発色が得られる。
【0005】
また、従来の加色型のマルチカラー感熱記録媒体では、第1及び第2のロイコ染料のうちの低温側発色ロイコ染料(即ち、上述の例では、マゼンタ発色用ロイコ染料)の発色温度については一般的には少なくとも100℃以上に設定される。というのは、マルチカラー感熱記録媒体については、日常下で100℃前後の温度に晒される機会が屡々あり得るからである。即ち、もし低温側発色ロイコ染料の発色温度を例えば80℃に設定した場合には、マルチカラー感熱記録媒体が80℃以上の温度に不用意に晒されると、そこに下地汚れ等の誤発色が生じることとなるからである。一方、低温側発色ロイコ染料の発色温度を少なくとも100℃に設定した場合には、高温側発色ロイコ染料(即ち、上述の例では、シアン発色用ロイコ染料)の発色温度については低温側ロイコ染料の発色温度(少なくとも100℃)を十分に越える高温度に設定することが必要となる。というのは、低温側発色ロイコ染料の発色温度と高温側発色ロイコ染料の発色温度と間の温度差が十分に離れていないと、低温側発色ロイコ染料の発色時に高温側発色ロイコ染料が低濃度で発色する現象、所謂カブリが生じ得るからである。その結果、従来のマルチカラー感熱記録媒体に対する全体的な必要印字エネルギは相当に大きなものとなる。
【0006】
特開平08-282115号公報及び特開平09-76634号公報には、上述したような加色型マルチカラー感熱記録媒体において、低温側発色ロイコ染料の発色温度と高温側発色ロイコ染料の発色温度との間の温度差が比較的接近していてもカブリの発生を防止するために高温側発色ロイコ染料を感熱マイクロカプセルに封入することが開示されている。即ち、感熱マイクロカプセルが所定温度(高温側発色ロイコ染料の発色温度)で熱溶融したとき、その高温側発色ロイコ染料が流出して顕色剤と発色反応するようにされているので、感熱マイクロカプセルが熱溶融するまでは、高温側発色ロイコ染料の発色が防止され得るので、低温側発色ロイコ染料の発色時でのカブリの発生が阻止されることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような加色型マルチカラー記録媒体においては、2つの基本色のうちの一方だけが独立して発色し得るけれども、その他方の基本色については独立して発色することはできない。例えば、上述の例のように、基本色として、マゼンタとシアンとが選ばれた場合、そのうちの一方の色、例えばマゼンタを独立して発色させたとすると、マゼンタとシアンとの混色によるブルーは得られても、シアンについては独立して発色させることはできない。かくして、従来の加色型マルチカラー記録媒体は発色機能及び効率の面で劣ったものとなる。
【0008】
また、以上に述べた従来のマルチカラー感熱紙の別の問題点として、所望の色が得られない場合があるということが指摘されている。例えば、マゼンタ系の色にも種々のタイプのものが知られているが、そのマゼンタ系の色はロイコ染料で得られるものに限定され、しかも他の色のロイコ染料との組合せを勘案した場合には温度条件との兼ね合いでマゼンタ系の色の選択幅は更に狭められることになる。マルチカラー感熱記録媒体のユーザの中には、少なくとも1色については所望の色合いの発色が得られるようにしたいという要望があるが、しかしその所望の色合いが一種類のロイコ染料だけで得られない限り、そのようなユーザの要望に応えることはできない。一方、マゼンタ系のロイコ染料を適当に混ぜあわて所望の色合いのマゼンタ色が得られたとしても、その混ぜ合わされたロイコ染料について所望の熱溶融温度が得られるとは限らない。更に、3色以上の発色を得ようとした場合には、ロイコ染料の選択の幅は一層狭められ、或る色について所望の色合いを得ることは殆ど不可能と言ってもよい。
【0009】
従って、本発明の目的は、2つの基本色のそれぞれについて独立した発色を得ると共にその2つの基本色による混色の発色も得られるように構成されたマルチカラー記録媒体を提供することである。
【0010】
また、本発明の別の目的は、2つの基本色のそれぞれについて独立した発色を得ると共にその2つの基本色による混色の発色も得られるように構成されたマルチカラー記録媒体であって、更に2つの基本色のうちのいずれか一方については任意の色合いの色相を実現し得るようになったマルチカラー記録媒体を提供することである。
【0011】
更に、本発明は上述したようなマルチカラー記録媒体に利用される感圧感熱発色媒体を提供することも目的とする。
【0012】
一方、従来の加色型マルチカラー感熱記録媒体に対する全体的な必要印字エネルギが大きい点も問題点となる。特開平08-282115号公報及び特開平09-76634号公報に開示されたような加色型マルチカラー感熱記録媒体では、高温側発色ロイコ染料の発色温度が比較的低温側に設定し得たとしても、低温側発色ロイコ染料の下地汚れ等の誤発色を防止するためには、その発色温度については相変わらず少なくとも100℃以上の高温に設定する必要がある。
【0013】
従って、本発明の更に別な目的は、上述したようなタイプのマルチカラー記録媒体であって、基本色のうちの1色の発色温度を100℃以下に設定しても下地汚れ等の誤発色を防止し得ると共に、他色とのカブリを効果的に防止可能なマルチカラー記録媒体を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の一局面によれば、マルチカラー記録媒体が提供され、このマルチカラー記録媒体は支持体と、この支持体の表面に形成された発色層とから成り、この発色層は少なくとも1つの感熱発色成分と、所望の色相を持つ色材を封入すると共に均一に分布させられた多数の感圧マイクロカプセルとを包含する。感圧マイクロカプセルには所定の圧力下でしかも第1の温度範囲内で破壊されて発色するようになった圧力温度発色特性が与えられ、感熱発色成分には第1の温度範囲内に含まれる第1の温度と該第1の温度範囲の上限温度を越える第2の温度との間の第2の温度範囲内で該色材とは異なった色相で発色するようになった温度発色特性が与えられる。
【0015】
このようなにマルチカラー記録媒体においては、第1の温度と第1の温度範囲の上限温度との間で感圧マイクロカプセルの色材による発色と感熱発色成分による発色との混色が得られ、また第1の温度範囲の上限温度と第2の温度との間で感熱発色成分による発色のみが得られる。
【0016】
第1の温度範囲の設定については、発色層の層厚、発色層中の填料含有量、感圧マイクロカプセルの平均粒径、感圧マイクロカプセルの耐圧強度、支持体の材質及び支持体の表面粗から成るパラメータ群から選ばれた少なくとも1つのパラメータを変えることによって行い得る。第1の温度範囲の下限温度については、好ましくは100℃以下に設定される。
【0017】
本発明によるマルチカラー記録媒体においては、発色層には感熱発色成分に加えて別の感熱発色成分を更に包含させてよく、この別の感熱発色成分には第2の温度以上の第3の温度範囲で前記2つの色相とは異なった色相で発色するようになった温度発色特性が与えられる。
【0018】
好ましくは、2つの感熱発色成分はロイコ染料から成り、このとき発色層にはロイコ染料の顕色剤成分が包含させられる。この場合、第1の温度は第2の温度範囲によって規定される感熱発色特性を持つロイコ染料の発色開始温度となり、第2の温度は第3の温度範囲によって規定される感熱発色特性を持つロイコ染料の発色開始温度となる。また、好ましくは、第3の温度範囲によって規定される感熱発色特性を持つロイコ染料についてはブラック発色用ロイコ染料とされる。感圧マイクロカプセルに封入される色材についてはロイコ染料をベースとする色材としてよく、このとき顕色剤は第1の温度範囲の下限温度で熱溶融を受けることになる。
【0019】
本発明によるマルチカラー記録媒体にあっては、発色層については前記感圧マイクロカプセルを包含する感圧感熱発色層と感熱発色成分を包含する感熱発色層とから成る二層構造とすることができる。感圧マイクロカプセルに封入される色材がロイコ染料をベースとする色材とされるとき、感圧感熱発色層には該ロイコ染料の顕色剤成分が包含させられ、この顕色剤成分は第1の温度範囲の下限温度で熱溶融を受けることになる。
【0020】
感圧感熱発色層には感熱発色層に包含させられた感熱発色成分とは異なった別の感熱発色成分を包含させてよく、この別の感熱発色成分には第2の温度以上の第3の温度範囲で2つの色相とは異なった色相で発色するようになった温度発色特性が与えられる。2つの感熱発色成分がロイコ染料から成るとき、感圧感熱発色層及び感熱発色層のそれぞれにはロイコ染料の顕色剤成分が包含させられる。この場合には、第1の温度は感熱発色層に包含させられたロイコ染料の発色開始温度とされ、第2の温度が感圧感熱発色層に包含させられたロイコ染料の発色開始温度とされる。感圧感熱発色層に包含させられたロイコ染料についてはブラック発色用ロイコ染料とすることができる。
【0021】
本発明の別の局面によれば、感圧感熱発色媒体が提供され、この感圧感熱発色媒体は支持体と、この支持体上に形成された感圧感熱発色層とから成る。感圧感熱発色層はバインダ材料中に多数の感圧マイクロカプセルを均一に分布させたものとして形成され、感圧マイクロカプセルには所望の色相を持つ色材が封入される。感圧マイクロカプセルには所定の圧力下でしかも所定の温度範囲内で破壊されて発色するようになった圧力温度発色特性が与えられ、温度範囲の設定については感圧感熱発色層の層厚、感圧感熱発色層中の填料含有量、感圧マイクロカプセルの平均粒径、感圧マイクロカプセルの耐圧強度、支持体の材質及び支持体の表面粗から成るパラメータ群から選ばれた少なくとも1つのパラメータを変えることによって行われる。
【0022】
本発明による感圧感熱発色媒体において、感圧マイクロカプセルに封入される色材がロイコ染料をベースとする色材とされるとき、バインダ材料は該色材の顕色剤とされ、この顕色剤は所定の温度範囲の下限温度で熱溶融を受けることになる。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して、本発明によるマルチカラー記録媒体の一実施形態について説明する。
【0024】
先ず、図1を参照すると、本発明によるマルチカラー記録媒体の第1の実施形態が参照符号10で全体的に示され、このマルチカラー記録媒体10は適当な支持体例えばポリエチレンレフタレート樹脂(PET)で作られたシート12と、このシート12の一方の表面に塗布された発色層14とから成る。発色層14は、シート12の表面に形成された感圧感熱発色層16Pと、この感圧感熱発色層16P上に形成された感熱発色層16Tとから成る二層構造として構成される。
【0025】
感圧感熱発色層16Pはロイコ染料の顕色剤を主成分とする顕色剤層中に多数の感圧マイクロカプセル18を均一に分布させたものとして形成され、該顕色剤層の顕色剤成分が図1では記号“×”で便宜的に示されている。このような顕色剤は例えば旭電化工業社製のK-5として入手可能であり、このK-5は熱溶融温度約145℃を示す。なお、図1には示されないが、顕色剤層中には増感剤としてアセトアセトアニリドが適宜加えられる。
【0026】
感圧マイクロカプセル18には例えばマゼンタ系色材が封入され、このマゼンタ系色材としては、適当なビヒクルにマゼンタ発色用ロイコ染料を溶解したものが用いられる。本実施形態では、ビヒクルとしては、適当な透明オイルが使用され、そのような透明オイルは例えばRKS(Rutgers Kureha Solvents Gmbh)社製のKMC-113(2,7ジイソプロピルナフタリン)として入手可能である。また、マゼンタ発色用ロイコ染料としては、例えば、山本化成社製のRed-3が使用可能である。即ち、本実施形態おいては、感圧マイクロカプセル18に封入されるべきマゼンタ系色材として、KMC-113にRed-3を溶解させたものが用いられる。なお、図1では、感圧マイクロカプセル18内に封入したマゼンタ系色材がマゼンタを表す“M”で示されている。
【0027】
感圧マイクロカプセル18の壁膜は適当なアミノ樹脂(熱硬化性樹脂)から形成される。このような感圧マイクロカプセル18は周知のマイクロカプセル製造法例えばインサイト(in situ)重合法等によって製造することが可能であり、その平均粒径については約5μmないし6μm程度とされ、その壁膜の膜厚については感圧マイクロカプセル18が剪断力の伴う0.35MPa以上の圧力下で破壊され得るようなものとされ、更にその耐熱温度は無負荷状態下で約300℃とされる。
【0028】
以下に剪断力の伴う0.35MPa以上の圧力下で破壊され得るようになった感圧マイクロカプセル18(平均粒径約5μm〜約6μm)の製造のための実施例を示す。
1)先ず、以下の3つの溶液が調製される。
(A) マゼンタ色材溶液
KMC-113(2,7ジイソプロピルナフタリン) … 100g
Red-3 … 3g
(B) 保護コロイド水溶液
ポリビニルベンゼンスルホン酸の一部ナトリウム塩 … 5g
精製水 … 95g
(C) メラミン-ホルマリンプレポリマー水溶液
メラミン … 14g
ホルマリン … 36g
精製水 … 50g
(なお、ホルマリンは、2%水酸化ナトリウム水溶液でpH9に調製した37%ホルムアルデヒドが使用される。このホルマリン36gとメラミン14gとを混合して70℃に加熱し、メラミンが溶解した後に精製水50gを加えて攪拌し、(C)メラミン-ホルマリンプレポリマー水溶液を得た)
【0029】
2)次いで、(A)マゼンタ色材溶液と(B)保護コロイド水溶液とを混合し、この混合液をホモジナイザーで攪拌し、(D)乳化分散液(O/Wエマルジョン)を調製する。このとき該乳化分散液は(A)マゼンタ色材溶液が平均粒径約4.5μmの液滴となるようホモジナイザーの回転数及び攪拌時間を調整し分散した。
【0030】
3)次に、上記乳化分散液に(C)メラミン-ホルマリンプレポリマー水溶液を加えて混合し、その混合液を温度30℃に保ちながらゆっくり攪拌し、20%酢酸水溶液を適宜加えて、該混合液をpH3ないしpH6に設定する。続いて、この状態のままで混合液の温度を60℃まで上昇させて、約1時間攪拌しながら縮重合反応を進行させることにより、平均粒径約5μmの感圧マイクロカプセル18を得た。
【0031】
このようにして得られた感圧マイクロカプセル18の壁膜の膜厚はそれが剪断力の伴う0.35MPa以上の圧力下で破壊され得るようなものとなる。なお、感圧マイクロカプセル18の壁膜の膜厚については、主にメラミン-ホルマリンプレポリマー水溶液中のメラミンの量に依存し、その量が多くなればなる程、その膜厚は厚くなる。
【0032】
感熱発色層16Tはロイコ染料成分及び顕色剤成分とから成り、図1では、ロイコ染料成分については記号“□”で、顕色剤成分については記号“×”で示される。ロイコ染料成分“□”としては、約147℃の熱溶融温度(発色温度)を持つシアン発色用ロイコ染料が用いられ、このようなシアン発色用ロイコ染料は例えば山田化学社製のBlue220として入手可能である。顕色剤成分“×”は熱溶融温度約145℃の顕色剤から成り、このような顕色剤は旭電化工業社製のK-5として入手可能である。なお、図1には示されないが、感熱発色層16Tには増感剤としてステアリン酸アミドが適宜加えられる。
【0033】
次に本発明のシートの製造実施例を以下に示す。
感圧感熱発色層16Pの形成のために、以下の表に示す組成から成る組成液Aが用意される。
Figure 0003863730
ここで、
組成(1)は精製水に感圧マイクロカプセル18を25重量パーセント加えて分散(懸濁)させたものである。
組成(2)は精製水にK-5(顕色剤)を20重量パーセント加えて分散(懸濁)させたものであり、この顕色剤は平均粒径1μm以下の粉体である。
組成(3)は精製水にアセトアセトアニリド(増感剤)を16重量パーセント加えて分散(懸濁)させたものであり、この増感剤も平均粒径1μm以下の粉体である。
組成(4)は精製水にPVA(ポリビニルアルコール)を20重量パーセント加えて溶解したものである。
【0034】
以上の組成液AをマイヤーバーNo.3でもってシート(PET)12上に塗布して乾燥させることにより、図1に示すような感圧感熱発色層16Pが得られる。マイヤーバーNo.3を用いて上記組成液Aを塗布した場合には、1平方メートル当たり約1ないし3グラムの塗布量が得られる。なお、シート(PET)12としては、厚さ0.188mmのものが使用される。
【0035】
このようにして得られた感圧感熱発色層16Pには増感剤としてアセトアセトアニリドが含まれるので、顕色剤(K-5)の熱溶融温度は約145℃から約90℃まで低下させられる。なお、組成(4)のポリビニルアルコール(PVA)はバインダとして機能し、これにより感圧感熱発色層16Pは一体化されると共にシート12に固着させられる。
【0036】
感熱発色層16Tの形成のために、以下の表に示す組成から成る組成液Bが用意される。
Figure 0003863730
ここで、
組成(1)は精製水にBlue220(シアン発色用ロイコ染料)を17重量パーセント加えて分散(懸濁)させたものであり、Blue220自体は平均粒径1μm以下の粉体である。
組成(2)は精製水にK-5(顕色剤)を20重量パーセント加えて分散(懸濁)させたものである。
組成(3)は精製水にステアリン酸アミド(増感剤)を16重量パーセント加えて分散(懸濁)させたものであり、この増感剤自体も平均粒径1μm以下の粉体である。
組成(4)は精製水にPVA(ポリビニルアルコール)を20重量パーセント加えて溶解したものである。
【0037】
以上の組成液BをマイヤーバーNo.3でもって感圧感熱発色層16P上に塗布して乾燥させることにより、図1に示すような感熱発色層16Tが得られる。なお、感圧感熱発色層16Pの形成の場合と同様に、マイヤーバーNo.3を使用して上記組成液Bを塗布した場合も、1平方メートル当たり約1ないし3グラムの塗布量が得られる。
【0038】
このようにして得られた感熱発色層16Tには増感剤としてステアリン酸アミドが含まれるので、シアン発色用ロイコ染料(Blue220)の発色開始温度は共融作用により約105℃まで低下させられる。
【0039】
図2を参照すると、以上のように構成されたマルチカラー記録媒体10にカラー画像記録を行う画像記録装置が概略的に示され、この画像記録装置はサーマル・ライン・プリンタとして構成される。このようなサーマル・ライン・プリンタによれば、マルチカラー記録媒体10に対して2つの基本色であるマゼンタ及びシアンのそれぞれによるカラー画像と、マゼンタとシアンとから成る混色即ちブルーによるカラー画像とを記録することが可能である。
【0040】
図2に示すように、記録装置は略直方形の形態となったハウジング20を具備し、このハウジング20の上側壁にはマルチカラー記録媒体10を導入する導入口22が形成される。また、ハウジング20の側壁の1つにはマルチカラー記録媒体10を排出する排出口24が形成される。図2にはマルチカラー記録媒体10の移動通路が一点鎖線26で示され、画像記録時、マルチカラー記録媒体10は導入口22に導入され、移動通路26に沿って移動させられた後に排出口24から排出される。
【0041】
ハウジング20内にはサーマルヘッド支持体28が所定位置に設けられ、このサーマルヘッド支持体28により、移動経路26の一部が規定される。サーマルヘッド支持体28にはサーマルヘッド30が搭載され、このサーマルヘッド30はマルチカラー記録媒体10の移動経路を横切る方向に延在し、しかもその延在方向に沿って多数の電気抵抗素子即ち発熱素子が一直線上にn個配列される。
【0042】
図3を参照すると、サーマルヘッド30に含まれるn個の発熱素子の一部が参照符号R1、R2及びR3で示される。同図に示されるように、n個の発熱素子R1、R2、R3、…Rnはサーマルヘッド駆動回路31に接続され、このサーマルヘッド駆動回路31により、n個の発熱素子R1、R2、R3、…Rnは一ライン分のカラー画素データに従って選択的に通電させられて発熱させられる。例えば、カラー画素データがマゼンタ画素データであるときには、その該当発熱素子(R1、R2、R3、…Rn)の発熱温度は約90℃とされ、カラー画素データがマゼンタとシアンの両方を含む画素データ、つまりブルー画素データであるときには、その該当発熱素子(R1、R2、R3、…Rn)の発熱温度は約120℃とされる。さらに、本発明の特徴的印字制御として、カラー画素データがシアン画素データのみであるときには、その該当発熱素子(R1、R2、R3、…Rn)の発熱温度は約180℃とされ発色制御される。その発色プロセスについては後に詳述する。
【0043】
図2に示すように、サーマルヘッド30にはプラテンローラ32が適用され、このプラテンローラ32には圧力付与ばね手段34が組み合わされる。圧力付与ばね手段34はプラテンローラ32に対して例えば約1.4MPaを及ぼすように構成され、これによりプラテンローラ32は約1.4MPaの圧力でサーマルヘッド30に対して押圧される。
【0044】
マルチカラー記録媒体10の発色層14に対するカラー画像の記録時、上述した発熱素子のそれぞれは該カラー画像の画素単位(即ち、ドット)に対応した寸法形状を備える。即ち、後述するように、各発熱素子の発熱により発色層14上に画素単位としてのドットが生じさせられるが、本実施形態では、そのドットサイズについては約50μmないし100μmとなるような寸法形状が各発熱素子に与えられる。
【0045】
なお、図2において、参照符号36はサーマルヘッド駆動回路31(図3)の動作を制御する制御回路基板を示し、また参照符号38は電源装置を示し、この電源装置38により、サーマルヘッド30の発熱素子や制御回路基板36等に対する給電が行われる。
【0046】
上述したように、カラー画像記録時、マルチカラー記録媒体10は導入口22に導入されるが、このときマルチカラー記録媒体10の向きについては、その発色層14側がサーマルヘッド30の発熱素子R1、R2、R3、…Rnに対して接触するようにされる。
【0047】
次に、上述した記録装置を用いてマルチカラー記録媒体10の発色層14上にカラー画像を記録する際の発色プロセスについて説明する。
【0048】
マルチカラー記録媒体10がサーマルヘッド30とプラテンローラ32との間を通過させられるとき、マルチカラー記録媒体10の発色層14は圧力付与ばね手段34のためにサーマルヘッド30の発熱素子R1、R2、R3、…Rnから剪断力の伴う約1.4MPaの圧力を受けることになるが、各発熱素子が通電されていないとき、即ち各発熱素子が常温とされているとき、その約1.4MPaの圧力は固体相を呈している発色層14に阻まれてマイクロカプセル18に直接及ぼされることはない。
【0049】
ところが、サーマルヘッド30の発熱素子R1、R2、R3、…Rnのいずれかがマゼンタ画素データに基づいて通電されると、その通電された発熱素子は上述したように約90℃まで加熱させられる。このとき感熱発色層16T中の顕色剤成分“×”は増感剤(ステアリン酸アミド)との共融作用のために熱軟化させられ、このため発熱素子は図4に示すように発色層14に侵入する。また、発熱素子の約90℃の加熱温度は感圧感熱発色層16Pにも及び、このため感圧感熱発色層16P中の顕色剤成分“×”も増感剤(アセトアセトアニリド)との共融作用のために溶融させられる。かくして、感圧マイクロカプセル18にはその破壊圧力0.35MPaを大巾に上回る約1.4MPaの圧力が発熱素子によって加えられ、これにより感圧マイクロカプセル18は破壊されて、そこからマゼンタ系色材が放出される。
【0050】
以上の記載から明らかなように、感圧感熱発色層16Pの圧力発色特性については感圧マイクロカプセル18の壁膜によって得られ、その温度発色特性については発色層14中の顕色剤成分及び増感剤成分の温度特性によって得られる。
【0051】
感圧マイクロカプセル18から放出されたマゼンタ系色材のマゼンタ発色用ロイコ染料は上述したように透明オイル(KMC-113)に溶解されているために顕色剤成分“×”と直ちに発色反応してマゼンタを発色し、このため発色層14にはマゼンタ発色ドットが形成される。なお、サーマルヘッド30の発熱素子の加熱温度が約90℃であるとき、その温度は感熱発色層16T中のシアン発色用ロイコ染料成分“□”の発色開始温度(105℃)以下であるので、シアン発色が引き起こされることはない。
【0052】
サーマルヘッド30の発熱素子R1、R2、R3、…Rnのいずれかがブルー画素データに基づいて通電されると、その通電された発熱素子は上述したように約120℃まで加熱させられ、このとき感熱発色層16T及び感圧感熱発色層16Pの双方の顕色剤成分“×”が熱溶融させられる。発熱素子の約120℃の発熱温度はシアン発色用ロイコ染料成分“□”の発色温度105℃以上であるから、この場合にはシアン発色用ロイコ染料成分“□”は顕色剤(K-5)と増感剤(ステアリン酸アミド)との共融作用のために熱溶融させられて、該顕色剤との発色反応によりシアンを発色する。一方、感圧マイクロカプセル18にもその破壊圧力0.35MPaを大巾に上回る約1.4MPaの圧力が発熱素子によって直接的に加えられるので、該感圧マイクロカプセル18は破壊され、その結果マゼンタ系色材によるマゼンタ発色が得られる。かくして、発色層14にはシアンとマゼンタとの混色によるブルー発色ドットが形成される。
【0053】
本発明の特徴的な発色制御としてサーマルヘッド30の発熱素子R1、R2、R3、…Rnのいずれかがシアン画素データに基づいて通電されると、その通電された発熱素子は上述したように約180℃まで加熱させられ、このときも感熱発色層16T及び感圧感熱発色層16Pの双方の顕色剤成分“×”が熱溶融させられる。発熱素子の約180℃の発熱温度はシアン発色用ロイコ染料成分“□”の発色温度105℃以上であるから、この場合にもシアン発色用ロイコ染料成分“□”は顕色剤(K-5)と増感剤(ステアリン酸アミド)との共融作用のために熱溶融させられて、該顕色剤との発色反応によりシアンを発色する。一方、感圧マイクロカプセル18にもその破壊圧力0.35MPaを大巾に上回る約1.4MPaの圧力が発熱素子によって加えられるので、該感圧マイクロカプセル18は破壊される筈である。しかしながら、驚くべきことにサーマルヘッド30の発熱素子が所定温度を超える温度(ここでは180℃)まで瞬時に加熱させられると、感圧マイクロカプセル18はそこに約1.4MPaの圧力が及ぼされているにも拘わらず破壊から免れて、マゼンタの発色が確認されなくなる。かくして、サーマルヘッド30の発熱素子が180℃まで加熱されたときには、発色層14にはシアン発色ドットだけが形成される。
【0054】
サーマルヘッド30の発熱素子が180℃まで加熱された場合になぜ感圧マイクロカプセル18が約1.4MPaの圧力下で破壊から免れ得るのかという理由については、本発明者の実験により次のように推察される。即ち、発熱素子が比較的低温の場合は発色層14への熱はおもに熱伝導により伝搬されるがマルチカラー記録媒体10の発色層14にサーマルヘッド30の発熱素子によって瞬時に高温度が及ぼされると、発熱素子による発色層14への熱の伝搬形態は熱伝導よりも熱輻射の割合が増大し、増感剤、顕色剤及びシアン発色用ロイコ染料はそれぞれ瞬間的に高熱溶融状態となって、感圧マイクロカプセル18の周辺で流動性が高まるために、シート12と発熱素子との間に挟まれた感圧マイクロカプセル18には十分な圧力が加わらず、該マイクロカプセル18は破壊されることなくそこから滑り抜け、或いは流動化した発色層中に潜り込んで十分な破壊剪断圧力が働かないためではないかと考えられる。
【0055】
図5のグラフには、本発明者によって行われた実験結果が示される。この実験では、上述の記録装置の圧力付与ばね手段34の設定圧力を0.35MPaと2.8MPaとの間で変化させると共にサーマルヘッド30の発熱素子R1、R2、R3、…Rnの個々の発熱温度を80℃と200℃との間で変化させた際に発色層14上で得られる発色ドットの色について調べられた。
【0056】
図5に示すグラフにおいて、“MA”で示される斜線領域はマゼンタ発色領域を示し、“CY”で示される斜線領域はシアン発色領域を示し、マゼンタ発色領域“MA”とシアン発色領域“CY”との重なり合う交差領域“MA/CY”はブルー発色領域を示す。同グラフから明らかなように、圧力付与ばね手段34の設定圧力が0.35MPaであるとき、即ちサーマルヘッド30の発熱素子によってマルチカラー記録媒体10の発色層14に及ぼされる圧力が0.35MPaであるとき、マゼンタ発色ドットが得られる温度範囲については温度T1と温度T2との間の温度範囲として規定され、またシアン発色ドットが得られる温度範囲については温度t1以上の温度範囲として規定され、このときブルー発色ドットの得られる温度範囲については温度t1と温度T2との間の温度範囲として規定される。ここで、T1及びT2はそれぞれ90℃及び165℃に相当し、t1及びt2はそれぞれ105℃及び200℃に相当する。なお、温度t2はシアン発色ドットが得られる温度範囲の上限を便宜的に規定した温度である。
【0057】
図5のグラフから明らかなように、サーマルヘッド30の発熱素子の加熱温度が165℃を超えると、発色層14に及ぼされる圧力を幾ら大きくしても、感圧マイクロカプセル18の破壊が起こり難くなっていることが分かる。かくして、増感剤、顕色剤及びシアン発色用ロイコ染料がそれぞれ瞬間的に高熱溶融状態となって流動性が高まると、それが潤滑剤のように作用し、その結果、シート12と発熱素子と間に挟まれた感圧マイクロカプセル18には十分な圧力が加わらず、該感圧マイクロカプセル18は破壊されることなくそこから滑り抜け、または潜り込んでいると推察せざるを得ない。
【0058】
上述の記録装置における種々の制御パラメータについては図5のグラフに基づいて決められたものである。即ち、圧力付与ばね手段34の設定圧力1.4MPaに対するマゼンタ発色温度の設定温度90℃(t1)、ブルー発色温度の設定温度120℃及びシアン発色温度の設定温度180℃は図5のグラフに基づくものである。
【0059】
また、発明者は上述したような感圧マイクロカプセル18の滑り抜け現象の確証を得るために、発色層14の層厚を上述したものよりも厚くしたマルチカラー記録媒体を比較例として作成し、その比較例のマルチカラー記録媒体について上述の実験と同様な実験を行った。即ち、上述のマルチカラー記録媒体の感圧感熱発色層16P及び感熱発色層16TはそれぞれマイヤーバーNo.3を用いて既述の組成液A及び組成液Bを1平方メートル当たり約1ないし3グラムの塗布量で形成されたものであるが、比較例のマルチカラー記録媒体の感圧感熱発色層及び感熱発色層はそれぞれマイヤーバーNo.6を用いて既述の組成液A及び組成液Bを1平方メートル当たり約4ないし6グラムの塗布量で形成されたものである。比較例のマルチカラー記録媒体についての実験結果は図6のグラフに示す。
【0060】
図6のグラフにおいても、図5のグラフの場合と同様に、“MA”、“CY”及び“MA/CY”はそれぞれマゼンタ発色領域、シアン発色領域及びブルー発色領域を示す。同図から明らかなように、発色層14が厚くなると、感圧マイクロカプセル18が破壊され得る領域、即ちマゼンタ発色領域“MA”が一層狭められることが分かる。これは発色層14が厚くなると、感圧マイクロカプセル18がシート12と発熱素子と間に挟み込まれる前に高熱溶融状態で流動状態となった周囲の顕色剤等と共にその間から一層逃れ易くなるためであると考えられる。かくして、マルチカラー記録媒体10の3色(マゼンタ、ブルー及びシアン)の発色特性については、発色層14の層厚を適宜調節することにより制御可能となる。
【0061】
本発明者は更に上述のマルチカラー記録媒体の3色の発色特性を制御し得るパラメータについて調査実験を行った。その調査実験結果について以下に述べる。
【0062】
先ず、既述の組成液Aに填料成分を加えたものを用意した。即ち、填料成分として5W%アエロジル200(日本アエロジル社製)の水分散液を調製し、この填料分散液2.0重量部を既述の組成液Aに加えて組成液A1を得た。シート(PET)12上にマイヤーバーNo.6でもって組成液A1を1平方メートル当たり約4ないし6グラムの塗布量で塗布して感圧感熱発色層16Pを形成し、次いで感圧感熱マイクロカプセル層16P上にマイヤーバーNo.6でもって組成液Bを1平方メートル当たり約4ないし6グラムの塗布量で塗布して感熱発色層16Tを形成し、マルチカラー記録媒体が作成された。このようなマルチカラー記録媒体についても上述した実験と同様な実験を行った。その実験結果は図7のグラフに示す。なお、このマルチカラー記録媒体は発色層14に填料が含まれる点を除けば上述した比較例のマルチカラー記録媒体(図6)と同じものである。
【0063】
図7のグラフにおいても、図5のグラフの場合と同様に、“MA”、“CY”及び“MA/CY”はそれぞれマゼンタ発色領域、シアン発色領域及びブルー発色領域を示す。同図から明らかなように、発色層14に填料が加えられると、図6に示した場合よりも、マゼンタ発色領域“MA”が広がることが分かる。その理由としては、シート12と発熱素子との間からの感圧マイクロカプセル18の滑り抜けが発色層14中の填料によって抑えられるためであると考えられる。かくして、マルチカラー記録媒体10の3色(マゼンタ、ブルー及びシアン)の発色特性については、発色層14中の填料の含有量を適宜調節することにより制御可能となる。
【0064】
また、既述の組成液A中の平均粒径5μmの感圧マイクロカプセル18を平均粒径3μmのものに代えて組成液A2を得た。シート(PET)12上にマイヤーバーNo.6でもって組成液A2を1平方メートル当たり約4ないし6グラムの塗布量で塗布して感圧感熱発色層16Pを形成し、次いでその感圧感熱発色層16P上にマイヤーバーNo.6でもって既述の組成液Bを1平方メートル当たり約4ないし6グラムの塗布量で塗布して感熱発色層16Tを形成し、これによりマルチカラー記録媒体が作成された。このようなマルチカラー記録媒体についても上述した実験と同様な実験を行った。その実験結果は図8のグラフに示す。なお、このマルチカラー記録媒体は使用された感圧マイクロカプセルの平均粒径の違いを除けば上述した比較例のマルチカラー記録媒体(図6)と同じものである。
【0065】
図8のグラフにおいても、図5のグラフの場合と同様に、“MA”、“CY”及び“MA/CY”はそれぞれマゼンタ発色領域、シアン発色領域及びブルー発色領域を示す。同図から明らかなように、感圧感熱発色層16P中の感圧マイクロカプセル18の平均粒径が小さくなると、図6に示した場合よりも、マゼンタ発色領域“MA”が一層狭められることが分かる。その理由としては、感圧マイクロカプセル18の平均粒径が小さくなればなる程、シート12と発熱素子との間から感圧マイクロカプセル18が滑り抜け易くなるだけでなく発熱素子からの破壊圧力を受け難くなるためであると考えられる。かくして、マルチカラー記録媒体10の3色(マゼンタ、ブルー及びシアン)の発色特性については、感圧マイクロカプセル18の平均粒径を適宜調節することにより制御可能となる。
【0066】
更に、シート(PET)12を厚さ0.072mmのコート紙(ベック平滑度1000以上)に代えてマルチカラー記録媒体を作成した。即ち、コート紙上にマイヤーバーNo.6でもって既述の組成液Aを1平方メートル当たり約4ないし6グラムの塗布量で塗布して感圧感熱発色層16Pを形成し、次いでその感圧感熱発色層16P上にマイヤーバーNo.6を用いて既述の組成液Bを1平方メートル当たり約4ないし6グラムの塗布量で塗布して感熱発色層16Tを形成し、これによりマルチカラー記録媒体が作成された。このようなマルチカラー記録媒体についても上述した実験と同様な実験を圧力を4.2MPaまで行った。その実験結果は図9のグラフに示す。なお、このマルチカラー記録媒体は支持体としてシート(PET)12の代わりにコート紙を使用した点を除けば上述した比較例のマルチカラー記録媒体(図6)と同じものである。
【0067】
図9のグラフにおいても、図5のグラフの場合と同様に、“MA”、“CY”及び“MA/CY”はそれぞれマゼンタ発色領域、シアン発色領域及びブルー発色領域を示す。同図から明らかなように、シート(PET)12の代わりにコート紙を使用すると、図6に示した場合よりも、マゼンタ発色領域“MA”が一層狭められることが分かる。その理由としては、コート紙の材質はシート(PET)12に比べて柔らかく、感圧マイクロカプセル18が発熱素子から圧力を受けたときコート紙の繊維組織内に入り込んで破壊から免れやすくなるのではないかと考えられる。かくして、マルチカラー記録媒体10の3色(マゼンタ、ブルー及びシアン)の発色特性については、支持体の材質を適宜変えることにより制御可能となる。
【0068】
更にまた、感圧マイクロカプセル18の破壊強度を代えた場合についても調査実験を行った。詳述すると、上述した感圧マイクロカプセル18の製造例では、メラミン-ホルマリンプレポリマー水溶液中の壁膜材料即ちメラミンの量は14gとされたが、そのメラミンの量を20%減の11.2gとして感圧マイクロカプセルを製造した。この感圧マイクロカプセルの壁膜は上述の感圧マイクロカプセル18よりも薄く、その分だけ耐圧強度は弱いものとなる。既述の組成液A中の感圧マイクロカプセル18を強度の弱い感圧マイクロカプセルに代えて組成液A3を得た。厚さ0.072mmのコート紙(ベック平滑度1000)上にマイヤーバーNo.6でもって組成液A3を1平方メートル当たり約4ないし6グラムの塗布量で塗布して感圧感熱発色層16Pを形成し、次いでその感圧感熱発色層16P上にマイヤーバーNo.6を用いて既述の組成液Bを1平方メートル当たり約4ないし6グラムの塗布量で塗布して感熱発色層16Tを形成し、これによりマルチカラー記録媒体が作成された。このようなマルチカラー記録媒体についても上述した実験と同様な実験を行った。その実験結果は図10のグラフに示す。なお、このマルチカラー記録媒体は感圧感熱発色層16Pに耐圧強度の弱い感圧マイクロカプセルが使用されている点を除けば図9に示すような発色特性を持つマルチカラー記録媒体と同じものである。
【0069】
図10のグラフにおいても、図5のグラフの場合と同様に、“MA”、“CY”及び“MA/CY”はそれぞれマゼンタ発色領域、シアン発色領域及びブルー発色領域を示す。同図から明らかなように、耐圧強度の弱い感圧マイクロカプセルが使用されると、図9に示した場合よりも、マゼンタ発色領域“MA”が大巾に広がることが分かる。その理由としては、当然、感圧マイクロカプセルの耐圧強度が弱まれば、その感圧マイクロカプセルは一層破壊を受け易くなるという点を挙げることができる。かくして、マルチカラー記録媒体10の3色(マゼンタ、ブルー及びシアン)の発色特性については、感圧マイクロカプセルの耐圧強度を適宜変えることにより制御可能となる。
【0070】
更にまた、マルチカラー記録媒体10の支持体12の表面荒さを変化させた場合についても調査実験を行った。詳述すると、ベック平滑度300ないし400程度の熱転写紙(厚さ0.072mm)上にマイヤーバーNo.6でもって既述の組成液Aを1平方メートル当たり約4ないし6グラムの塗布量で塗布して感圧感熱発色層16Pを形成し、次いでその感圧感熱発色層16P上にマイヤーバーNo.6を用いて既述の組成液Bを1平方メートル当たり約4ないし6グラムの塗布量で塗布して感熱発色層16Tを形成し、これによりマルチカラー記録媒体が作成された。このようなマルチカラー記録媒体についても上述した実験と同様な実験を行った。その実験結果は図11のグラフに示す。なお、このマルチカラー記録媒体は支持体12としてベック平滑度300ないし400程度の熱転写紙が使用されている点を除けば図9に示すような発色特性を持つマルチカラー記録媒体と同じものである。
【0071】
図11のグラフにおいても、図5のグラフの場合と同様に、“MA”、“CY”及び“MA/CY”はそれぞれマゼンタ発色領域、シアン発色領域及びブルー発色領域を示す。同図から明らかなように、支持体12(熱転写紙)の表面が粗い方が図9に示した場合よりもマゼンタ発色領域“MA”が大巾に広がることが分かる。その理由としては、当然、支持体12の表面が粗ければ粗い程、感圧マイクロカプセル18がシート12と発熱素子との間から逃げ難くなるという点を挙げることができる。かくして、マルチカラー記録媒体10の3色(マゼンタ、ブルー及びシアン)の発色特性については、支持体12の表面粗さを適宜変えることにより制御可能となる。
【0072】
要するに、上述の種々の制御パラメータを適宜選択することにより、マルチカラー記録媒体10の3色(マゼンタ、ブルー及びシアン)に対して所望の発色特性を与えることが可能であり、かくして2色の基本色即ちマゼンタ及びシアンのそれぞれの発色だでなく、それらの混色であるブルーまでも発色することができる。
【0073】
図12を参照すると、本発明によるマルチカラー記録媒体の第2の実施形態が参照符号40で全体的に示され、このマルチカラー記録媒体40は適当な支持体例えば厚さ0.072mmの熱転写紙(ベック平滑度400)42と、この熱転写紙42の一方の表面に塗布された発色層44とから成る。発色層44は、熱転写紙42の表面に形成された感圧感熱発色層46Pと、この感圧感熱発色層46P上に形成された感熱発色層46Tとから成る二層構造として構成される。
【0074】
感圧感熱発色層46Pはブラック系ロイコ染料成分とその顕色剤成分とから成る感熱発色層中に多数の感圧マイクロカプセル48とを均一に分布させたものとして形成され、図12ではブラック系ロイコ染料成分が“△”で、また顕色剤成分が記号“×”で便宜的に示されている。ブラック系ロイコ染料は例えば山田化学社製のETACとして入手可能であり、このETACの熱溶融温度は約208℃である。また、顕色剤は例えば旭電化工業社製のK-5として入手可能であり、このK-5は熱溶融温度約145℃を示す。なお、図12には示されないが、顕色剤層中には増感剤として精製度が比較的低い低融点ステアリン酸アミドが適宜加えられる。
【0075】
感圧マイクロカプセル48は第1の実施形態で用いられた感圧マイクロカプセル18と同じものである。即ち、感圧マイクロカプセル48KMC-113にRed-3を溶解させたマゼンタ色材を封入したものであり、その平均粒径については約5μmないし6μm程度とされ、その壁膜の膜厚については感圧マイクロカプセル48が剪断力の伴う0.35MPa以上の圧力下で破壊され得るようなものとされる。
【0076】
感熱発色層46Tはロイコ染料成分及び顕色剤成分とから成り、図12では、ロイコ染料成分については記号“○”で、顕色剤成分については記号“×”で示される。ロイコ染料成分“○”としては、約243℃の熱溶融温度を持つエメラルドグリーン発色用ロイコ染料が用いられ、このようなエメラルドグリーン発色用ロイコ染料は例えば山本化成社製のGREEN118として入手可能である。また、顕色剤成分“×”としては、感圧感熱発色層46Pの場合と同様、K-5が使用される。なお、図1には示されないが、感圧感熱発色層46Pの場合と同様、感熱発色層46Tには増感剤としてステアリン酸アミドが適宜加えられる。
【0077】
感圧感熱発色層46Pの形成のために、以下の表に示す組成から成る組成液Cが用意される。
Figure 0003863730
ここで、
組成(1)は精製水に感圧マイクロカプセル18を25重量パーセント加えて分散(懸濁)させたものである。
組成(2)は精製水にETAC(ブラック発色用ロイコ染料)を17重量パーセント加えて分散(懸濁)させたものであり、ETAC自体は平均粒径1μm以下の粉体である。
組成(3)は精製水にK-5(顕色剤)を20重量パーセント加えて分散(懸濁)させたものであり、この顕色剤は平均粒径1μm以下の粉体である。
組成(4)は精製水に低融点ステアリン酸アミド(増感剤)を16重量パーセント加えて分散(懸濁)させたものであり、この増感剤も平均粒径1μm以下の粉体である。
組成(5)は精製水にPVA(ポリビニルアルコール)を20重量パーセント加えて溶解したものである。
【0078】
以上の組成液CをマイヤーバーNo.6でもってコート紙42上に塗布して乾燥させることにより、図12に示すような感圧感熱発色層46Pが得られる。マイヤーバーNo.6を用いて上記組成液Cを塗布した場合には、1平方メートル当たり約4ないし6グラムの塗布量が得られる。
【0079】
このようにして得られた感圧感熱発色層46Pには増感剤として低融点ステアリン酸アミドが含まれるので、顕色剤(K-5)の熱溶融温度は約145℃から約90℃まで低下させられ、さらにブラック発色用ロイコ染料(ETAC)の発色開始温度は共融作用により約180℃まで低下させられる。なお、組成(5)のポリビニルアルコール(PVA)はバインダとして機能し、これにより感圧感熱発色層46Pは一体化されると共に熱転写紙42に固着させられる。
【0080】
感熱発色層46Tの形成のために、以下の表に示す組成から成る組成液Dが用意される。
Figure 0003863730
ここで、
組成(1)は精製水にGREEN118(エメラルドグリーン発色用ロイコ染料)を17重量パーセント加えて分散(懸濁)させたものであり、GREEN118自体は平均粒径1μm以下の粉体である。
組成(2)は精製水にK-5(顕色剤)を20重量パーセント加えて分散(懸濁)させたものである。
組成(3)は精製水にステアリン酸アミド(増感剤)を16重量パーセント加えて分散(懸濁)させたものであり、この増感剤自体も平均粒径1μm以下の粉体である。
組成(4)は精製水に PVA(ポリビニルアルコール)を20重量パーセント加えて溶解したものである。
【0081】
以上の組成液DをマイヤーバーNo.6でもって感圧感熱発色層46P上に塗布して乾燥させることにより、図12に示すような感熱発色層46Tが得られる。なお、感圧感熱発色層46Pの形成の場合と同様に、マイヤーバーNo.6を使用して上記組成液Dを塗布した場合も、1平方メートル当たり約4ないし6グラムの塗布量が得られる。
【0082】
このようにして得られた感熱発色層46Tには増感剤としてステアリン酸アミドが含まれるので、エメラルドグリーン発色用ロイコ染料(GREEN118)の発色開始温度は共融作用により約105℃まで低下させられる。
【0083】
図12に示すマルチカラー記録媒体40についても、図2及び図3に示すような記録装置を用いてその発色特性について調べられた。即ち、圧力付与ばね手段34の設定圧力を0.35MPaと2.8MPaとの間で変化させると共にサーマルヘッド30の発熱素子R1、R2、R3、…Rnの個々の発熱温度を80℃と200℃との間で変化させた際に発色層44上で得られる発色ドットの色について調べられた。その結果は図13のグラフに示す。
【0084】
図13に示すグラフにおいて、 “MA”で示される斜線領域はマゼンタ発色領域を示し、“EG”で示される斜線領域はエメラルドグリーン発色領域を示し、マゼンタ発色領域“MA”とエメラルドグリーン発色領域“EG”との重なり合う交差領域“MA/EG”は濃紺発色領域を示し、“BK”はブラック発色領域を示す。
【0085】
図13のグラフから明らかなように、サーマルヘッド30の発熱素子によってマルチカラー記録媒体40の発色層44に及ぼされる圧力が0.5MPaであるとき、マゼンタ発色ドットが得られる温度範囲については温度TT1と温度TT2との間の温度範囲として規定される。また、エメラルドグリーン発色ドットが得られる温度範囲については温度tt1以上の温度範囲として規定され、このとき濃紺発色ドットの得られる温度範囲については温度tt1と温度TT2との間の温度範囲として規定される。更に、ブラック発色ドットが得られる温度範囲については温度tt2以上の温度範囲として規定される。なお、温度tt2以上の温度範囲では、エメラルドグリーン発色ドットも得られるが、そのエメラルドグリーン発色ドットはブラック発色ドットに吸収されて視認し得ない。
【0086】
かくして、マルチカラー記録媒体40には上述の記録装置を用いてマゼンタ、エメラルドグリーン、濃紺及びブラックの4色から成るマルチカラー画像を記録することが可能となる。即ち、圧力付与ばね手段34の設定圧力を1.4MPaとして設定した場合には、例えば、マゼンタ発色温度及び濃紺発色温度のそれぞれに対しては、温度TT1(95℃)及び温度TT2(110℃)を設定することが可能であり、またエメラルドグリーン発色温度及びブラック発色温度のそれぞれに対しては、165℃及び200℃を設定することができる。
【0087】
次に、マルチカラー記録媒体40の発色層44上にカラー画像を記録する際の発色プロセスについて説明する。
【0088】
マルチカラー記録媒体10の場合と同様に、マルチカラー記録媒体40がサーマルヘッド30とプラテンローラ32との間を通過させられるとき、マルチカラー記録媒体40の発色層44は圧力付与ばね手段34のためにサーマルヘッド30の発熱素子R1、R2、R3、…Rnから剪断力の伴う約1.4MPaの圧力を受けることになるが、各発熱素子が通電されていないとき、即ち各発熱素子が常温とされているとき、その約1.4MPaの圧力は固体相を呈している発色層44に阻まれてマイクロカプセル48に直接及ぼされることはない。
【0089】
ところが、サーマルヘッド30の発熱素子R1、R2、R3、…Rnのいずれかがマゼンタ画素データに基づいて通電されると、その通電された発熱素子は約95℃(TT1)まで加熱させられる。このとき感熱発色層46T中の顕色剤成分“×”は増感剤(ステアリン酸アミド)との共融作用のために熱軟化させられ、このため発熱素子は発色層44に侵入する。また、発熱素子の約95℃の加熱温度は感圧感熱発色層46Pにも及び、このため感圧感熱発色層46P中の顕色剤成分“×”も増感剤(低融点ステアリン酸アミド)との共融作用のために溶融させられる。かくして、感圧マイクロカプセル48にはその破壊圧力0.35MPaを大巾に上回る約1.4MPaの圧力が発熱素子によって加えられ、これにより感圧マイクロカプセル48は破壊されて、そこからマゼンタ系色材が放出される。
【0090】
なお、第1の実施形態の場合と同様に、感圧感熱発色層46Pの圧力発色特性については感圧マイクロカプセル48の壁膜によって得られ、その温度発色特性については発色層44中の顕色剤成分及び増感剤成分の温度特性によって得られる。
【0091】
感圧マイクロカプセル48から放出されたマゼンタ系色材のマゼンタ発色用ロイコ染料は上述したように透明オイル(KMC-113)に溶解されているために顕色剤成分“×”と直ちに発色反応してマゼンタを発色し、このため発色層44にはマゼンタ発色ドットが形成される。なお、サーマルヘッド30の発熱素子の加熱温度が約95℃であるとき、その温度は感熱発色層46T中のエメラルドグリーン発色用ロイコ染料成分“○”の熱溶融温度即ち発色開始温度(105℃)以下であるので、エメラルドグリーン発色が引き起こされることはない。
【0092】
サーマルヘッド30の発熱素子R1、R2、R3、…Rnのいずれかが濃紺画素データに基づいて通電されると、その通電された発熱素子は約110℃(TT2)まで加熱させられ、このとき感熱発色層46T及び感圧感熱発色層46Pの双方の顕色剤成分“×”が熱溶融させられる。発熱素子の約110℃の発熱温度はエメラルドグリーン発色用ロイコ染料成分“○”の発色温度105℃以上であるから、この場合にはエメラルドグリーン発色用ロイコ染料成分“○”は顕色剤(K-5)と増感剤(ステアリン酸アミド)との共融作用のために熱溶融させられて、該顕色剤との発色反応によりエメラルドグリーンを発色する。一方、感圧マイクロカプセル48にもその破壊圧力0.35MPaを大巾に上回る約1.4MPaの圧力が発熱素子によって直接的に加えられるので、該感圧マイクロカプセル48は破壊され、その結果マゼンタ系色材によるマゼンタ発色が得られる。かくして、発色層44にはエメラルドグリーンとマゼンタとの混色による濃紺発色ドットが形成される。
【0093】
サーマルヘッド30の発熱素子R1、R2、R3、…Rnのいずれかがエメラルドグリーン画素データに基づいて通電されると、その通電された発熱素子は約165℃まで加熱させられ、このとき感熱発色層46T及び感圧感熱発色層46Pの双方の顕色剤成分“×”が熱溶融させられる。発熱素子の約165℃の発熱温度はエメラルドグリーン発色用ロイコ染料成分“○”の発色温度105℃以上であるから、この場合にはエメラルドグリーン発色用ロイコ染料成分“○”は顕色剤(K-5)と増感剤(ステアリン酸アミド)との共融作用のために熱溶融させられて、該顕色剤との発色反応によりエメラルドグリーンを発色する。一方、感圧マイクロカプセル48にもその破壊圧力0.35MPaを大巾に上回る約1.4MPaの圧力が発熱素子によって加えられるので、該感圧マイクロカプセル48は破壊される筈であるが、しかし上述したような理由により感圧マイクロカプセル48は破壊から免れることになる。かくして、サーマルヘッド30の発熱素子が165℃まで加熱されたときには、発色層44にはエメラルドグリーン発色ドットだけが形成される。なお、サーマルヘッド30の発熱素子の加熱温度が約165℃であるとき、その温度は感圧感熱発色層46P中のブラック発色用ロイコ染料成分“△”の熱溶融温度即ち発色開始温度(180℃)以下であるので、ブラック発色が引き起こされることはない。
【0094】
サーマルヘッド30の発熱素子R1、R2、R3、…Rnのいずれかがブラック画素データに基づいて通電されると、その通電された発熱素子は約200℃まで加熱させられ、このときも感熱発色層46T及び感圧感熱発色層46Pの双方の顕色剤成分“×”が熱溶融させられる。発熱素子の約200℃の発熱温度はブラック発色用ロイコ染料成分“△”の発色温度180℃以上であるから、ブラック発色用ロイコ染料成分“△”は顕色剤(K-5)と増感剤(低融点ステアリン酸アミド)との共融作用のために熱溶融させられて、該顕色剤との発色反応によりブラックを発色する。一方、発熱素子の約200℃の発熱温度はエメラルドグリーン発色用ロイコ染料成分“○”の発色温度105℃以上であるので、エメラルドグリーン発色用ロイコ染料成分“○”も顕色剤(K-5)と増感剤(ステアリン酸アミド)との共融作用のために熱溶融させられて、該顕色剤との発色反応によりエメラルドグリーンを発色する。しかしながら、エメラルドグリーンはブラックによって吸収されるので、サーマルヘッド30の発熱素子が200℃まで加熱されたときには、発色層44にはブラック発色ドットが形成されることになる。
【0095】
図14を参照すると、本発明によるマルチカラー記録媒体の第2の実施形態の変形実施形態が示される。なお、同図において、図12に示す構成要件と同じ構成要件については同じ参照符号が使用され、図12に示す構成要件に対応した同様な構成要件については同じ参照符号にダッシュ“′”を付したものが使用される。
【0096】
図14に示すマルチカラー記録媒体40′でも、熱転写紙42上に二層構造の発色層44′が形成されるが、しかし発色層44′は熱転写紙42に直接形成された感熱発色層46T′と、この感熱発色層46T′上に形成された感圧感熱発色層46Pとから成る。また、図14の変形実施形態では、感熱発色層46T′側にブラック系ロイコ染料成分“△”が含まれ、感圧感熱発色層46P′側にエメラルドグリーン発色用ロイコ染料成分“○”が含まれる。しかしながら、この変形実施形態によるマルチカラー記録媒体40′の3色(マゼンタ、エメラルドグリーン及びブラック)の発色特性は図13のグラフに示したものとほぼ同じである。
【0097】
図1に示す第1の実施形態、図12に示す第2の実施形態及び図14に示すその変形実施形態のいずれにおいても、発色層14、44及び44′は共に二層構造とされているが、各発色層(14、44、44′)については単層構造とすることもできる。例えば、第2の実施形態において発色層14を単層構造とする場合には、既述の組成液C及び組成液Dを1:1で混ぜ合わせて熱転写紙42上に塗布すればよく、このとき塗布量については、1平方メートル当たり約5ないし7グラム程度とすることができる。
【0098】
また、ブラック発色を行う場合には、発色層を三層構造として形成することも可能であり、このときは例えば、熱転写紙42上に図14に示す第2の実施形態の変形実施形態のブラック感熱発色層46T′、図12に示す第2の実施形態のエメラルドグリーン感熱発色層46T、図1に示す第1の実施形態の感圧感熱マゼンタ発色層16Pを下から順次それぞれ1平方メートル当たり約2ないし4グラム程度塗布すればよい。このような三層構造とすることでそれぞれの発色への他色の混入、所謂カブリが効果的に軽減できる。
【0099】
上述の実施形態においては、感圧マイクロカプセル(18、48)にはロイコ染料をベースとした色材が封入されているが、ロイコ染料自体を固体のまま該感圧マイクロカプセルに封入することも可能であるが、しかしその場合には該ロイコ染料の発色温度を必要に応じて増感剤等の添加により適宜調整することができる。
【0100】
また、感圧マイクロカプセル(18、48)中の色材は常温で溶融状態として、その破壊時に直ちに発色するようにすることも可能であり、この場合には、各色の混色(色調)制御やプリンタの発熱制御が容易に行い得ることになる。即ち、ロイコ染料の温度発色特性は顕色剤と増感剤との共融点で決定されるが、しかしロイコ染料を常温発色し得るようにすれば、ロイコ染料の選択がその融点にかかわらず任意に行い得る。
【0101】
更に、感熱マイクロカプセル(18、48)に封入されるべき色材については必ずしもロイコ染料を用いる必要はなく、種々の発色済みの染料及び色素等を用いることも可能であるが、その場合には感圧マイクロカプセルの壁膜については白色化することが必要となる。またこの場合、感圧感熱発色層についてはそこに含まれる顕色剤及び増感剤成分の代わりに適当な熱溶融温度のワックス等のバインダ材料で感圧マイクロカプセル層を形成することができる。
【0102】
本発明によるマルチカラー記録媒体の種々の実施形態は、適当な支持体(12、42、42)上に感圧感熱発色層(16P、46P、46P′)を形成した感圧感熱発色媒体により実現可能とされるものであり、このような感圧感熱発色媒体も本発明の主要な特徴の1つを構成するものである。
【0103】
【発明の効果】
以上の記載から明らかなように、本発明にあっては、2つの基本色の混色による発色だけでなくそれら基本色のそれぞれを独立して発色し得るという点で、本発明によるマルチカラー記録媒体は従来の加色型マルチカラー感熱紙に比べて発色機能及び効率の点で一層優れたものとなる。また、本発明によれば、感圧マイクロカプセルを使用することにより、基本色の少なくとも一方については、発色温度等の制約を受けることなく任意に選択することが可能である。更に、本発明によるマルチカラー記録媒体あっては、感圧マイクロカプセルの使用によりそこに封入された色材の発色温度を100℃以下としても、不用意な加熱に起因する誤発色を阻止できるので、その全体的な印字エネルギを低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるマルチカラー記録媒体の第1の実施形態の一部を模式的に示す概略断面図である。
【図2】図1に示すマルチカラー記録媒体にカラー画像を記録するための画像記録装置の一例を示す概略断面図である。
【図3】図2の画像記録装置に含まれるサーマルヘッドの制御ブロック図である。
【図4】図3に示す記録装置のサーマルヘッドの発熱素子で図1のマルチカラー記録媒体の発色層に所定の色の発色ドットを発色させる状態を模式的に示す概略断面図である。
【図5】図1に示すマルチカラー記録媒体の発色特性を示すグラフである。
【図6】図1に示すマルチカラー記録媒体でその発色層の層厚を変化させた際の発色特性を示すグラフである。
【図7】図1に示すマルチカラー記録媒体でその発色層中の填料を加えた際の発色特性を示すグラフである。
【図8】図1に示すマルチカラー記録媒体でその感圧マイクロカプセルの平均粒径を変化させた際の発色特性を示すグラフである。
【図9】図1に示すマルチカラー記録媒体でその支持体の材質を変えた際の発色特性を示すグラフである。
【図10】図1に示すマルチカラー記録媒体でその感圧マイクロカプセルの耐圧強度を変化させた際の発色特性を示すグラフである。
【図11】図1に示すマルチカラー記録媒体でその支持体の表面粗さを変化させた際の発色特性を示すグラフである。
【図12】本発明によるマルチカラー記録媒体の第2の実施形態の一部を模式的に示す概略断面図である。
【図13】図12に示すマルチカラー記録媒体の発色特性を示すグラフである。
【図14】図12に示す第2の実施形態の変形実施形態の一部を模式的に示す概略断面図である。
【符号の説明】
10 マルチカラー記録媒体
12 支持体(シート)
14 発色層
16P 感圧感熱発色層
16T 感熱発色層
18 感圧マイクロカプセル

Claims (14)

  1. 支持体と、この支持体の表面に形成され、感熱発色成分、及び均一に分布させられた多数の感圧マイクロカプセルを含む発色層とから成り、前記感圧マイクロカプセルは第1のロイコ染料をベースとする色材が封入されるマルチカラー記録媒体において、
    前記感熱発色成分は第2のロイコ染料から成り、
    前記発色層には顕色剤が含有され、
    前記発色層が、第1の温度範囲内に加熱され、前記顕色剤が溶融されるとともに、前記発色層が所定の圧力に加圧されると、前記感圧マイクカプセルが破壊され、前記色材が放出され、前記第1のロイコ染料が前記顕色剤と発色反応することにより第1の色が発色し、
    前記発色層が、前記第1の温度範囲内に含まれる第1の温度以上に加熱されることにより、前記第2のロイコ染料は前記顕色剤と発色反応し、前記第1の色とは異なる第2の色を発色し、
    前記発色層が、第1の温度範囲の上限温度を超えて加熱されると、前記発色層の流動性が第1の温度範囲のときより高まり、前記発色層が前記所定の圧力に加圧されても、前記感圧マイクカプセルの非破壊状態が維持されることを特徴とするマルチカラー記録媒体。
  2. 請求項1に記載のマルチカラー記録媒体において、前記発色層が前記第1の温度と前記第1の温度範囲の上限温度との間に加熱されると、前記第1及び第2の色との混色が得られることを特徴とするマルチカラー記録媒体。
  3. 請求項1からまでのいずれか1項に記載のマルチカラー記録媒体において、前記第1の温度範囲の下限温度が100℃以下に設定されることを特徴とするマルチカラー記録媒体。
  4. 請求項1から3までのいずれか1項に記載のマルチカラー記録媒体において、前記第2のロイコ染料の発色開始温度は前記第1の温度であること特徴とするマルチカラー記録媒体。
  5. 請求項1からまでのいずれか1項に記載のマルチカラー記録媒体において、前記発色層には、さらに増感剤が含有され、前記顕色剤は、前記増感剤との共融作用により、前記第1の温度範囲の下限温度以上で溶融されることを特徴とするマルチカラー記録媒体。
  6. 請求項1からまでのいずれか1項に記載のマルチカラー記録媒体において、前記発色層が前記感圧マイクロカプセルを包含する感圧感熱発色層と、前記感熱発色成分を包含する感熱発色層とから成る二層構造とされることを特徴とするマルチカラー記録媒体。
  7. 請求項に記載のマルチカラー記録媒体において、前記感圧マイクロカプセルに封入される色材が第1のロイコ染料をベースとする色材であり、前記感熱発色成分が第2のロイコ染料から成り、かつ前記感圧感熱発色層及び前記感熱発色層それぞれが前記顕色剤を含有し、前記第1のロイコ染料が前記顕色剤と発色反応し、第1の色を発色し、前記第2のロイコ染料は、前記顕色剤と発色反応することにより、前記第2の色を発色することを特徴とするマルチカラー記録媒体。
  8. 請求項1からまでのいずれか1項に記載のマルチカラー記録媒体において、前記発色層には前記感熱発色成分に加えて別の感熱発色成分が更に包含させられ、この別の感熱発色成分は前記上限温度より所定の温度だけ高い第3の温度以上に加熱されると、第1及び第2の色それぞれと異なる第3の色を発色することを特徴とするマルチカラー記録媒体。
  9. 請求項に記載のマルチカラー記録媒体において、前記別の感熱発色成分は第3のロイコ染料から成り、前記第3のロイコ染料は前記第3の温度以上に加熱されると、前記顕色剤と発色反応することにより、前記第3の色を発色することを特徴とするマルチカラー記録媒体。
  10. 請求項からまでのいずれか1項に記載のマルチカラー記録媒体において、前記第3の色は、ブラックであることを特徴とするマルチカラー記録媒体。
  11. 請求項1から1までのいずれか1項に記載のマルチカラー記録媒体における第1の色の発色する温度範囲を設定する設定方法であって、
    前記第1の温度範囲の設定が、前記発色層の層厚を変えることにより行なわれ、前記発色層の層厚を大きくすることにより、前記第1の温度範囲が狭められることを特徴とする設定方法。
  12. 請求項1から1までのいずれか1項に記載のマルチカラー記録媒体における第1の色の発色する温度範囲を設定する設定方法であって、
    前記第1の温度範囲の設定が、前記感圧マイクロカプセルの平均粒径を変えることにより行なわれ、前記感圧マイクロカプセルの平均粒径を小さくすることにより、前記第1の温度範囲が狭められることを特徴とする設定方法。
  13. 請求項1から1までのいずれか1項に記載のマルチカラー記録媒体を用いて、前記第1乃至第2の色を発色させるためのマルチカラー記録システムであって、
    前記発色層を所定圧力で加圧させつつ、加熱するための加熱・加圧手段を備え、
    前記第1の色を発色するとき、前記発色層は、前記加熱・加圧手段によって前記所定の圧力で加圧されるとともに、第1の温度範囲内で、かつ第1の温度より低く加熱され、
    前記第2の色を発色するとき、前記発色層は、前記加熱・加圧手段によって前記所定の圧力が加圧されるとともに、第1の温度範囲の上限温度を超える温度に加熱され、
    前記第1及び第2の温度の混色を発色するとき、前記発色層は、前記加熱・加圧手段によって、前記所定の圧力が加圧されるとともに、前記第1の温度と前記第1の温度範囲の上限温度の間の温度に加熱されることを特徴とするマルチカラー記録システム。
  14. 請求項1に記載のマルチカラー記録システムであって、前記加熱・加圧手段はサーマルヘッドであることを特徴とするマルチカラー記録システム。
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