JP3863664B2 - 基板検査方法および装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層基板の内部の不良を検査する基板検査方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、複雑な回路を高密度に形成するために多層基板が利用されている。この多層基板は、銅、ポリイミド、ガラス、エポキシ、等の各種材料の層膜を一体に積層させた回路基板であり、各層を導通させるスルーホールなども形成されている。
【0003】
このような多層基板を製造する場合、微細な構造を多数の工程で形成するため、微細な異物や配線の欠陥などの不良が発生しやすい。例えば、切削や研磨を実行する工程では、発生する材料の粒子が異物として加工する表面に付着しやすく、フォトエッチングなどの工程では、フォトレジストなどのマスク剤が表面に残存しやすい。
【0004】
このような不良を防止するために各工程ごとに表面を洗浄しているが、それでも不良を完全に防止することは困難である。そこで、完成した多層基板を抜き取り検査するなどして不良を検出し、その発生原因を分析して歩留りを向上させることが肝要である。しかし、多層基板は多数の層膜を順次積層させて形成するために内部にも不良が発生しやすいが、完成した多層基板の内部の不良を検査することは困難である。
【0005】
このような多層基板の不良の有無を検査する場合、従来は完成した多層基板の多数の端子に配線を接続し、実際に多層基板の各部に通電して不良の有無を検査していた。この検査で不良の存在が判定されると、その位置を判定して多層基板を切断し、不良を発見すると材料や構造を分析していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような基板検査方法では、完成した多層基板の多数の端子に配線を接続して実際に各部に通電する必要がある。さらに、存在が判定された不良の位置を判定する必要があり、不良を実際に発見するまでに多層基板を何度も切断する必要がある。
【0007】
このため、従来の基板検査方法は、多層基板の内部の不良の有無を判定する作業と、その位置を判定する作業との負担が過大で時間が必要であり、作業を自動化することも困難である。
【0008】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、多層基板の内部の不良の有無を簡単に判定することができ、その位置を簡単に判定することができる基板検査方法および装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の基板検査装置は、検査対象の多層基板である試験基板と同一構造で良品の多層基板からなる標準基板と、該標準基板の表面に配置される第一の電極板と、前記標準基板の裏面と前記試験基板の表面との間隙に配置される第二の電極板と、前記試験基板の裏面に配置される第三の電極板と、前記第二の電極板から前記第一の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を標準特性として測定するとともに、前記第二の電極板から前記第三の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を試験特性として測定するネットワークアナライザと、該ネットワークアナライザにより測定された標準特性と試験特性とを比較して前記試験基板の良否を判定する良否判定手段と、を具備している。
【0010】
本発明の基板検査装置による基板検査方法では、標準基板と試験基板とを対称に対向させた状態で、第一の電極板と標準基板と第二の電極板と試験基板と第三の電極板とを順番に配置し、ネットワークアナライザにより第二の電極板から第一の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を標準特性として測定するとともに、第二の電極板から第三の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を試験特性として測定し、測定された標準特性と試験特性とを比較して試験基板の良否を判定する。
【0011】
例えば、試験基板の内部に不良が存在する場合、そこでRF電磁波が散乱されるため、ネットワークアナライザによる伝搬特性の測定結果が標準基板とは相違することになり、これで不良の存在が判定される。この場合、ネットワークアナライザは第一から第三の電極板に事前に結線しておけば良く、検査対象である試験基板の多数の端子に配線を接続して実際に各部に通電する必要がない。
【0012】
なお、第一の電極板と標準基板と第二の電極板と試験基板と第三の電極板とを順番に配置する場合、これらを接触させて積層しても良く、微小な間隙を介して非接触に位置させても良い。接触させれば配置が簡単で電磁波も良好に伝搬されるが、非接触の方が試験基板の汚損は防止できるので、これらは必要により選択することが好ましい。
【0013】
上述のような基板検査装置の基板検査方法において、前記第二の電極板は、前記標準/試験基板が配置される中央部分が網目状に形成されるとともに、前記ネットワークアナライザが接続される外側部分が複数に分割されており、前記ネットワークアナライザが前記第二の電極板の複数の外側部分の一個にRF電磁波を入力するとともに少なくとも一個に発生するRF電磁波を測定することも可能である。
【0014】
この場合、第二の電極板の複数の外側部分のRF電磁波が入力される位置と測定される位置との中間に試験基板の不良が存在する場合と存在しない場合とで、ネットワークアナライザの測定結果が相違する。そこで、RF電磁波の入力位置を固定したまま出力位置を順次切り換えることや、出力位置を固定したまま入力位置を順次切り換えることや、第二の電極板に対して標準基板と試験基板とを相対的に回転させることや、これらの組み合わせることなどにより、ネットワークアナライザの測定結果から試験基板の不良の位置が判定される。
【0015】
また、上述のような基板検査装置の基板検査方法において、前記ネットワークアナライザがRF電磁波を測定する前記第二の電極板の一個の外側部分を順次切り換え、前記ネットワークアナライザの測定結果から前記試験基板の不良の分布を前記第二の電極板との相対位置として分析することも可能である。
【0016】
また、上述のような基板検査装置の基板検査方法において、前記ネットワークアナライザがRF電磁波を入力する前記第二の電極板の一個の外側部分を順次切り換え、前記ネットワークアナライザの測定結果から前記試験基板の不良の分布を前記第二の電極板との相対位置として分析することも可能である。
【0017】
また、上述のような基板検査装置の基板検査方法において、前記第二の電極板に対して前記標準基板と前記試験基板とを相対的に回転させ、前記ネットワークアナライザの測定結果から前記試験基板の不良の分布を前記第二の電極板との相対位置として分析することも可能である。
【0018】
また、上述のような基板検査装置の基板検査方法において、前記ネットワークアナライザが発生するRF電磁波の波長がλ、前記試験基板および前記標準基板の板厚がd、前記試験基板および前記標準基板の平面方向の外寸がaとすると、
a〜λ
d≪λ
なる関係を満足することも可能である。この場合、上述の条件によりRF電磁波を伝搬する平面回路が形成されるので、ネットワークアナライザの測定結果から既存の手法によりRF電磁波の散乱された位置が判定される。
【0019】
なお、本発明で云う各種手段は、その機能を実現するように形成されていれば良く、例えば、専用のハードウェア、適正な機能がプログラムにより付与されたコンピュータ、適正なプログラムによりコンピュータの内部に実現された機能、これらの組み合わせ、等を許容する。また、本発明で云う基板の外寸とは、基板の外周部のサイズを意味しており、例えば、基板が円形の場合には直径、基板が正方形の場合には辺長を許容する。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1および図2を参照して以下に説明する。なお、図1は本実施の形態の基板検査装置による基板検査の実施状態を示す模式図、図2は第二の電極層を示す平面図である。
【0021】
本実施の形態の基板検査装置1では、検査対象の多層基板である試験基板2の構造が事前に特定されており、図1に示すように、これと同一構造で清浄な良品の多層基板からなる標準基板3が事前に用意されている。さらに、第一から第三の電極板4〜6も具備しており、これらの電極板4〜6に一個のネットワークアナライザ7が結線されている。
【0022】
基板2,3は板厚dが5(mm)程度で外寸である直径aが40(cm)の円盤形状に形成されているので、第一第三の電極板4,6は、中央部分が基板2,3と略同形状の金属円盤からなり、これが矩形の樹脂外枠で支持されている。しかし、第二の電極板5は、図2に示すように、中央部分10は基板2,3と略同形状の円形であるが網目状に形成されており、その外側部分にはネットワークアナライザ7に各々接続される四個の接続端子11〜14が形成されている。
【0023】
より詳細には、第二の電極板5の中央部分10は、金属であるAuの“φ0.5(mm)”の細線により“10×10(mm)”程度の網目に形成されており、基板2,3と同一の円形に形成されている。この中央部分10の外側部分に形成された接続端子11〜14は四分の一の円弧状に各々形成されており、一個の矩形の樹脂外枠15で支持されている。
【0024】
このように第二の電極板5は中央部分10が網目構造に形成されているので、実際に電極として機能する部分の表面積が必要最小限とされている。このため、汚染、異物の付着、表面の粗度の影響、が軽減されており、経時変化や測定中の条件変化が防止されている。さらに、RF電磁波の“Skin Depth”も略一定とされており、RF電磁波の電極表面での散乱効果が削減されて安定している。
【0025】
なお、本実施の形態の基板検査装置1は、試験基板2および標準基板3の板厚をd、試験基板2および標準基板3の平面方向の外寸である直径をaとすると、ネットワークアナライザ7は、
a〜λ
d≪λ
なる関係を満足する“20-50(cm)”程度の波長λのRF電磁波を発生するように設定されている。
【0026】
このネットワークアナライザ7にはパーソナルコンピュータ(図示せず)が接続されており、このパーソナルコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/F(Interface)、等のハードウェアを具備している。
【0027】
ROMやRAMには事前に適正なプログラムがソフトウェアとして実装されており、このプログラムに対応してCPUが各種処理を実行することにより、パーソナルコンピュータには、動作制御手段である動作制御機能、良否判定手段である良否判定機能、接続切換手段である接続切換機能、分布分析手段である分布分析機能、等の各種機能が各種手段として実現されている。
【0028】
パーソナルコンピュータの動作制御機能は、I/Fに接続されたネットワークアナライザ7をCPUがROM等に実装されたプログラムに対応して動作制御することに相当し、ネットワークアナライザ7に良否判定モードと位置判定モードとの測定動作を実行させる。
【0029】
より詳細には、標準基板3と試験基板2とを対称に対向させ、第一の電極板4と標準基板3と第二の電極板5と試験基板2と第三の電極板6とを順番に配置した状態で、良否判定モードの設定下では、ネットワークアナライザ7に、第二の電極板5から第一の電極板4へのRF電磁波の伝搬特性を標準特性として測定させるとともに、第二の電極板5から第三の電極板6へのRF電磁波の伝搬特性を試験特性として測定させる。
【0030】
良否判定機能は、I/Fから外部入力されるネットワークアナライザ7の出力データをCPUがROM等に実装されたプログラムに対応して演算処理することに相当し、ネットワークアナライザ7により測定された標準特性と試験特性とを比較し、その一致の有無により試験基板2の良否を判定する。
【0031】
なお、この判定結果として試験基板2の不良が判定されると、前述の動作制御機能により位置判定モードの動作制御が実行される。この場合、ネットワークアナライザ7に、第二の電極板5の四個の接続端子11〜14の一個にRF電磁波を入力させるとともに、他の一個に発生するRF電磁波を測定する。
【0032】
接続切換機能は、上述の状態でネットワークアナライザ7がRF電磁波を測定する第二の電極板5の一個の接続端子11〜14を順次切り換えさせ、この切り換えが完了するごとにネットワークアナライザ7がRF電磁波を入力する第二の電極板5の四個の接続端子11〜14の一個を順次切り換えさせる。
【0033】
分布分析機能は、上述の切換動作によるネットワークアナライザ7の12(=4×3)個の測定結果から、試験基板2の不良の分布を第二の電極板5との相対位置として分析する。本実施の形態では前述の“a〜λ,d≪λ”なる関係によりRF電磁波を伝搬する平面回路が二次元分布の定数回路として形成されるので、これを利用した既存の演算処理により不良の位置が判定される。
【0034】
上述のような構成において、本実施の形態の基板検査装置1による基板検査方法では、標準基板3と試験基板2とを対称に対向させた状態で、第一の電極板4と標準基板3と第二の電極板5と試験基板2と第三の電極板6とを順番に配置しる。
【0035】
このような状態でネットワークアナライザ7により第二の電極板5から第一の電極板4へのRF電磁波の伝搬特性を標準特性として測定するとともに、第二の電極板5から第三の電極板6へのRF電磁波の伝搬特性を試験特性として測定する。このように測定された標準特性と試験特性とがパーソナルコンピュータにより比較され、その一致の有無により試験基板2の良否が判定される。
【0036】
例えば、試験基板2の内部に不良が存在する場合、そこでRF電磁波が散乱されるため、ネットワークアナライザ7による伝搬特性の測定結果が標準基板3とは相違することになり、これで不良の存在が判定される。このように不良の存在が判定されると、本実施の形態の基板検査装置1による基板検査方法では、自動的に不良の位置を判定する作業が開始される。
【0037】
その場合、ネットワークアナライザ7が、第二の電極板5の四個の接続端子11〜14の一個にRF電磁波を入力させるとともに他の一個に発生するRF電磁波を測定し、このようにRF電磁波を測定する接続端子11〜14の一個が順次切り換えられる。
【0038】
これで一個の入力に対する三個の出力の測定結果が獲得されるので、これが完了するごとにRF電磁波を入力させる接続端子11〜14の一個も順番に切り換える。これでネットワークアナライザ7の12(=4×3)個の測定結果が獲得されるので、この測定結果から既存の演算処理により試験基板2の不良の分布が第二の電極板5との相対位置として分析される。
【0039】
本実施の形態では、RF電磁波を伝搬する平面回路が二次元分布の定数回路として形成されており、このような平面回路でのRF電磁波の伝搬は、振動数ωの正弦波が入力されるときに二次元のヘルムホルツ方程式により記述される。つまり、基板2,3の盤面と平行な方向にx/y軸を想定すると、
(∇2 2+k2)V(x,y)=[jω/(δ+jεω)]ρ(x′,y′) …(1)
k2=εμω2−jμδω …(2)
∇2 2=(∂2/∂x2)+(∂2/∂y2) …(3)
k=2π/λ …(4)
となる。
【0040】
V(x,y)は、第二の電極板5に対する第一第三の電極板4,6の電位を示し、“V(x,y)=dEz(x,y)”なる関係を満足する面内の座標(x,y)の関数である。数式(1)の右辺は不良の電荷分布ρ(x′,y′)による電磁波の散乱効果を示す。
【0041】
試験基板2の誘電率εと透磁率μとは不良の存在により変化するので、原理的に数式(1)-(4)により不良を計測できるが、その変化は微小であることも予想される。基板表面の有機汚染物や無機微粒子は湿度が低いと帯電しやすいので、このような不良が試験基板2に存在すると数式(1)の右辺の効果が大きい。
【0042】
数式(1)の解法は解明されており、電荷のない場合(均一場内の電磁波の伝搬)の解答をV0とすると、
(∇2 2+k2)V0(x,y)=0 …(5)
となる。
【0043】
このV0を利用すると前述の数式(1)は、
V(x,y)=V0(x,y)+∬G(x,y|x′,y′)ρ(x′,y′)dx′dy′ …(6)
G(x,y|x′,y′)=ln{1/√[(x-x′)2+(y-y′)2]} …(7)
となる。
【0044】
なお、上述のようなV0の解法は“電子通信学会論文誌、Vol55-B、p.441、大越、三好、(1972)”や、“Method of theoretical physics, part2, p.1361, P. M. Morse and H. Feshback, McGrow - Hill(1953)”に詳述されている。
【0045】
上述の数式(7)により、不良の分布の関数として回路網常数を算出することができる。例えば、試験基板2の共鳴周波数は“(εμ)−1/2”に比例するので、不良の分布により試験基板2の誘電率εが分布すると共鳴周波数(点)は拡大される。
【0046】
また、試験基板2のキャパシタンスCは誘電率εに直接に比例するので、不良の分布によりキャパシタンスCの二次元的な分布が観測されると予想される。しかし、試験基板2のインダクタンスLは透磁率μに比例するので、不良が分布してもインダクタンスLの変化は微小と予想される。
【0047】
そこで、本実施の形態の基板検査装置1では、図1に示すように、ネットワークアナライザ7により第二の電極板5の四個の接続端子11〜14の一個にRF電磁波a1を入力させて、他の一個に発生するRF電磁波a2と、第一第三の電極板4,6に発生するRF電磁波“b1 0,b2 0,b1,b2”を測定する。これらの測定結果から、
【0048】
【数1】
として散乱パラメータ“S11 0,S12 0,S21 0,S22 0”“S11,S12,S21,S22”が算出される。
【0049】
この散乱パラメータから誘電率や位相変化や共鳴周波数などが算出され、前述のように誘電率や共鳴周波数は不良の分布を良好に反映しているので、接続端子11〜14のRF電磁波を入力する一個や測定する一個を順次切り換えて誘電率や共鳴周波数を観察すれば、試験基板2に存在する不良の位置を良好に判定することができる。
【0050】
なお、このように試験基板2の不良の位置を判定する場合でも、試験基板2は内部構造が複雑でネットワークアナライザ7による測定結果は一様とならないので、本実施の形態の基板検査装置1では、標準基板3の測定結果との比較結果から不良の位置を判定する。
【0051】
本実施の形態の基板検査装置1では、上述のようにネットワークアナライザ7を利用して多層基板である試験基板2と標準基板3とのRF電磁波の伝搬特性を比較することにより、試験基板2の内部の不良の有無を判定することができ、その不良の位置も判定することができる。
【0052】
その場合、検査対象である試験基板2の多数の端子に配線を接続して実際に各部に通電する必要がないので、その作業の負担が軽減されており時間を短縮することができる。しかも、試験基板2を切断することなく不良の位置を判定することができ、実際に試験基板2を切断して不良を発見する場合も作業を迅速に実行することができる。
【0053】
しかも、第二の電極板5の中央部分10が網目構造に形成されているので、その実際に電極として機能する部分の汚染等が軽減されており、RF電磁波の“Skin Depth”も略一定とされて電極表面での散乱効果も削減されているので、試験基板2の検査を安定に実行することができる。
【0054】
なお、本発明は上記形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では別個に形成された第一から第三の電極板4〜6と標準基板3とを試験基板2に手作業で組み合わせて作業を実行することを想定した。
【0055】
しかし、上記形態の基板検査装置1による基板検査方法では、前述のように多数の端子に配線を接続して実際に各部に通電する必要がないので、製造ラインから試験基板2を自動的に抜き取って上述のように組み合わせ、作業を自動的に実行する機構をロボットアーム等で実現することも可能である。
【0056】
また、上記形態では第二の電極板5に四個の接続端子11〜14を設けて順番に切り換えることを例示したが、その個数は任意に設定することが可能である。第二の電極板5の接続端子の個数を増加させると不良の位置の判定の分解能は向上するが、第二の電極板5の構造は複雑となりネットワークアナライザ7との結線も煩雑となる。
【0057】
一方、第二の電極板5の接続端子の個数を減少させると不良の位置の判定の分解能は低下するが、第二の電極板5の構造は簡単となりネットワークアナライザ7との結線も容易となるので、その個数は要求性能などの各種条件を考慮して決定することが好ましい。
【0058】
さらに、上記形態では第二の電極板5のRF電磁波を入力する位置と測定する位置とを切り換えて試験基板2の不良の位置を判定することを例示したが、例えば、第二の電極板5に対して標準基板3と試験基板2とを相対的に回転させて不良の位置を判定することも可能である。
【0059】
このような基板検査方法を自動的に実行する基板検査装置(図示せず)を実現する場合には、例えば、第一の電極板4と標準基板3と試験基板2と第三の電極板6とを固定的に保持したまま、第二の電極板5のみ回転させる機構を相対回転手段として形成すれば良い。
【0060】
さらに、このように基板2,3に対して第二の電極板5を相対的に回転させる手法と、前述のように第二の電極板5のRF電磁波の入力および測定の位置を切り換える手法とを組み合わせることも可能であり、この場合は構造が複雑となるが不良位置の判定精度を向上させることができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
【0062】
本発明の基板検査装置による基板検査方法では、標準基板と試験基板とを対称に対向させた状態で、第一の電極板と標準基板と第二の電極板と試験基板と第三の電極板とを順番に配置し、ネットワークアナライザにより第二の電極板から第一の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を標準特性として測定するとともに、第二の電極板から第三の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を試験特性として測定し、測定された標準特性と試験特性とを比較して試験基板の良否を判定することにより、
検査対象である試験基板の多数の端子に配線を接続して実際に各部に通電することなく、試験基板の不良の有無を簡単に判定することができる。
【0063】
上述のような基板検査装置の基板検査方法において、第二の電極板は、標準/試験基板が配置される中央部分が網目状に形成されるとともに、ネットワークアナライザが接続される外側部分が複数に分割されており、ネットワークアナライザが第二の電極板の複数の外側部分の一個にRF電磁波を入力するとともに少なくとも一個に発生するRF電磁波を測定することにより、
ネットワークアナライザの測定結果から試験基板の不良の位置を判定することが可能となる。
【0064】
このように試験基板の不良の位置を判定する具体的な手法としては、ネットワークアナライザがRF電磁波を測定する第二の電極板の一個の外側部分を順次切り換え、ネットワークアナライザの測定結果から試験基板の不良の分布を第二の電極板との相対位置として分析することが可能であり、
この場合、試験基板の不良の位置を良好に判定することができ、この判定のために各基板や電極板を移動させる必要もない。
【0065】
また、ネットワークアナライザがRF電磁波を入力する第二の電極板の一個の外側部分を順次切り換え、ネットワークアナライザの測定結果から試験基板の不良の分布を第二の電極板との相対位置として分析することも可能であり、
この場合、試験基板の不良の位置を良好に判定することができ、この判定のために各基板や電極板を移動させる必要もない。
【0066】
また、第二の電極板に対して標準基板と試験基板とを相対的に回転させ、ネットワークアナライザの測定結果から試験基板の不良の分布を第二の電極板との相対位置として分析することも可能であり、
この場合、試験基板の不良の位置を良好な精度で判定することができる。
【0067】
なお、上述のような基板検査装置の基板検査方法において、ネットワークアナライザが発生するRF電磁波の波長がλ、試験基板および標準基板の板厚がd、試験基板および標準基板の平面方向の外寸がaとすると、
a〜λ
d≪λ
なる関係を満足することにより、
RF電磁波を伝搬する平面回路を形成できるので、既存の演算処理により試験基板の不良の位置を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の基板検査装置による基板検査の実施状態を示す模式図である。
【図2】第二の電極層を示す平面図である。
【符号の説明】
1 基板検査装置
2 試験基板
3 標準基板
4 第一の電極板
5 第二の電極板
6 第三の電極板
7 ネットワークアナライザ
10 中央部分
11〜14 複数の外側部分である四個の接続端子
【発明の属する技術分野】
本発明は、多層基板の内部の不良を検査する基板検査方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、複雑な回路を高密度に形成するために多層基板が利用されている。この多層基板は、銅、ポリイミド、ガラス、エポキシ、等の各種材料の層膜を一体に積層させた回路基板であり、各層を導通させるスルーホールなども形成されている。
【0003】
このような多層基板を製造する場合、微細な構造を多数の工程で形成するため、微細な異物や配線の欠陥などの不良が発生しやすい。例えば、切削や研磨を実行する工程では、発生する材料の粒子が異物として加工する表面に付着しやすく、フォトエッチングなどの工程では、フォトレジストなどのマスク剤が表面に残存しやすい。
【0004】
このような不良を防止するために各工程ごとに表面を洗浄しているが、それでも不良を完全に防止することは困難である。そこで、完成した多層基板を抜き取り検査するなどして不良を検出し、その発生原因を分析して歩留りを向上させることが肝要である。しかし、多層基板は多数の層膜を順次積層させて形成するために内部にも不良が発生しやすいが、完成した多層基板の内部の不良を検査することは困難である。
【0005】
このような多層基板の不良の有無を検査する場合、従来は完成した多層基板の多数の端子に配線を接続し、実際に多層基板の各部に通電して不良の有無を検査していた。この検査で不良の存在が判定されると、その位置を判定して多層基板を切断し、不良を発見すると材料や構造を分析していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような基板検査方法では、完成した多層基板の多数の端子に配線を接続して実際に各部に通電する必要がある。さらに、存在が判定された不良の位置を判定する必要があり、不良を実際に発見するまでに多層基板を何度も切断する必要がある。
【0007】
このため、従来の基板検査方法は、多層基板の内部の不良の有無を判定する作業と、その位置を判定する作業との負担が過大で時間が必要であり、作業を自動化することも困難である。
【0008】
本発明は上述のような課題に鑑みてなされたものであり、多層基板の内部の不良の有無を簡単に判定することができ、その位置を簡単に判定することができる基板検査方法および装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の基板検査装置は、検査対象の多層基板である試験基板と同一構造で良品の多層基板からなる標準基板と、該標準基板の表面に配置される第一の電極板と、前記標準基板の裏面と前記試験基板の表面との間隙に配置される第二の電極板と、前記試験基板の裏面に配置される第三の電極板と、前記第二の電極板から前記第一の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を標準特性として測定するとともに、前記第二の電極板から前記第三の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を試験特性として測定するネットワークアナライザと、該ネットワークアナライザにより測定された標準特性と試験特性とを比較して前記試験基板の良否を判定する良否判定手段と、を具備している。
【0010】
本発明の基板検査装置による基板検査方法では、標準基板と試験基板とを対称に対向させた状態で、第一の電極板と標準基板と第二の電極板と試験基板と第三の電極板とを順番に配置し、ネットワークアナライザにより第二の電極板から第一の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を標準特性として測定するとともに、第二の電極板から第三の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を試験特性として測定し、測定された標準特性と試験特性とを比較して試験基板の良否を判定する。
【0011】
例えば、試験基板の内部に不良が存在する場合、そこでRF電磁波が散乱されるため、ネットワークアナライザによる伝搬特性の測定結果が標準基板とは相違することになり、これで不良の存在が判定される。この場合、ネットワークアナライザは第一から第三の電極板に事前に結線しておけば良く、検査対象である試験基板の多数の端子に配線を接続して実際に各部に通電する必要がない。
【0012】
なお、第一の電極板と標準基板と第二の電極板と試験基板と第三の電極板とを順番に配置する場合、これらを接触させて積層しても良く、微小な間隙を介して非接触に位置させても良い。接触させれば配置が簡単で電磁波も良好に伝搬されるが、非接触の方が試験基板の汚損は防止できるので、これらは必要により選択することが好ましい。
【0013】
上述のような基板検査装置の基板検査方法において、前記第二の電極板は、前記標準/試験基板が配置される中央部分が網目状に形成されるとともに、前記ネットワークアナライザが接続される外側部分が複数に分割されており、前記ネットワークアナライザが前記第二の電極板の複数の外側部分の一個にRF電磁波を入力するとともに少なくとも一個に発生するRF電磁波を測定することも可能である。
【0014】
この場合、第二の電極板の複数の外側部分のRF電磁波が入力される位置と測定される位置との中間に試験基板の不良が存在する場合と存在しない場合とで、ネットワークアナライザの測定結果が相違する。そこで、RF電磁波の入力位置を固定したまま出力位置を順次切り換えることや、出力位置を固定したまま入力位置を順次切り換えることや、第二の電極板に対して標準基板と試験基板とを相対的に回転させることや、これらの組み合わせることなどにより、ネットワークアナライザの測定結果から試験基板の不良の位置が判定される。
【0015】
また、上述のような基板検査装置の基板検査方法において、前記ネットワークアナライザがRF電磁波を測定する前記第二の電極板の一個の外側部分を順次切り換え、前記ネットワークアナライザの測定結果から前記試験基板の不良の分布を前記第二の電極板との相対位置として分析することも可能である。
【0016】
また、上述のような基板検査装置の基板検査方法において、前記ネットワークアナライザがRF電磁波を入力する前記第二の電極板の一個の外側部分を順次切り換え、前記ネットワークアナライザの測定結果から前記試験基板の不良の分布を前記第二の電極板との相対位置として分析することも可能である。
【0017】
また、上述のような基板検査装置の基板検査方法において、前記第二の電極板に対して前記標準基板と前記試験基板とを相対的に回転させ、前記ネットワークアナライザの測定結果から前記試験基板の不良の分布を前記第二の電極板との相対位置として分析することも可能である。
【0018】
また、上述のような基板検査装置の基板検査方法において、前記ネットワークアナライザが発生するRF電磁波の波長がλ、前記試験基板および前記標準基板の板厚がd、前記試験基板および前記標準基板の平面方向の外寸がaとすると、
a〜λ
d≪λ
なる関係を満足することも可能である。この場合、上述の条件によりRF電磁波を伝搬する平面回路が形成されるので、ネットワークアナライザの測定結果から既存の手法によりRF電磁波の散乱された位置が判定される。
【0019】
なお、本発明で云う各種手段は、その機能を実現するように形成されていれば良く、例えば、専用のハードウェア、適正な機能がプログラムにより付与されたコンピュータ、適正なプログラムによりコンピュータの内部に実現された機能、これらの組み合わせ、等を許容する。また、本発明で云う基板の外寸とは、基板の外周部のサイズを意味しており、例えば、基板が円形の場合には直径、基板が正方形の場合には辺長を許容する。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態を図1および図2を参照して以下に説明する。なお、図1は本実施の形態の基板検査装置による基板検査の実施状態を示す模式図、図2は第二の電極層を示す平面図である。
【0021】
本実施の形態の基板検査装置1では、検査対象の多層基板である試験基板2の構造が事前に特定されており、図1に示すように、これと同一構造で清浄な良品の多層基板からなる標準基板3が事前に用意されている。さらに、第一から第三の電極板4〜6も具備しており、これらの電極板4〜6に一個のネットワークアナライザ7が結線されている。
【0022】
基板2,3は板厚dが5(mm)程度で外寸である直径aが40(cm)の円盤形状に形成されているので、第一第三の電極板4,6は、中央部分が基板2,3と略同形状の金属円盤からなり、これが矩形の樹脂外枠で支持されている。しかし、第二の電極板5は、図2に示すように、中央部分10は基板2,3と略同形状の円形であるが網目状に形成されており、その外側部分にはネットワークアナライザ7に各々接続される四個の接続端子11〜14が形成されている。
【0023】
より詳細には、第二の電極板5の中央部分10は、金属であるAuの“φ0.5(mm)”の細線により“10×10(mm)”程度の網目に形成されており、基板2,3と同一の円形に形成されている。この中央部分10の外側部分に形成された接続端子11〜14は四分の一の円弧状に各々形成されており、一個の矩形の樹脂外枠15で支持されている。
【0024】
このように第二の電極板5は中央部分10が網目構造に形成されているので、実際に電極として機能する部分の表面積が必要最小限とされている。このため、汚染、異物の付着、表面の粗度の影響、が軽減されており、経時変化や測定中の条件変化が防止されている。さらに、RF電磁波の“Skin Depth”も略一定とされており、RF電磁波の電極表面での散乱効果が削減されて安定している。
【0025】
なお、本実施の形態の基板検査装置1は、試験基板2および標準基板3の板厚をd、試験基板2および標準基板3の平面方向の外寸である直径をaとすると、ネットワークアナライザ7は、
a〜λ
d≪λ
なる関係を満足する“20-50(cm)”程度の波長λのRF電磁波を発生するように設定されている。
【0026】
このネットワークアナライザ7にはパーソナルコンピュータ(図示せず)が接続されており、このパーソナルコンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/F(Interface)、等のハードウェアを具備している。
【0027】
ROMやRAMには事前に適正なプログラムがソフトウェアとして実装されており、このプログラムに対応してCPUが各種処理を実行することにより、パーソナルコンピュータには、動作制御手段である動作制御機能、良否判定手段である良否判定機能、接続切換手段である接続切換機能、分布分析手段である分布分析機能、等の各種機能が各種手段として実現されている。
【0028】
パーソナルコンピュータの動作制御機能は、I/Fに接続されたネットワークアナライザ7をCPUがROM等に実装されたプログラムに対応して動作制御することに相当し、ネットワークアナライザ7に良否判定モードと位置判定モードとの測定動作を実行させる。
【0029】
より詳細には、標準基板3と試験基板2とを対称に対向させ、第一の電極板4と標準基板3と第二の電極板5と試験基板2と第三の電極板6とを順番に配置した状態で、良否判定モードの設定下では、ネットワークアナライザ7に、第二の電極板5から第一の電極板4へのRF電磁波の伝搬特性を標準特性として測定させるとともに、第二の電極板5から第三の電極板6へのRF電磁波の伝搬特性を試験特性として測定させる。
【0030】
良否判定機能は、I/Fから外部入力されるネットワークアナライザ7の出力データをCPUがROM等に実装されたプログラムに対応して演算処理することに相当し、ネットワークアナライザ7により測定された標準特性と試験特性とを比較し、その一致の有無により試験基板2の良否を判定する。
【0031】
なお、この判定結果として試験基板2の不良が判定されると、前述の動作制御機能により位置判定モードの動作制御が実行される。この場合、ネットワークアナライザ7に、第二の電極板5の四個の接続端子11〜14の一個にRF電磁波を入力させるとともに、他の一個に発生するRF電磁波を測定する。
【0032】
接続切換機能は、上述の状態でネットワークアナライザ7がRF電磁波を測定する第二の電極板5の一個の接続端子11〜14を順次切り換えさせ、この切り換えが完了するごとにネットワークアナライザ7がRF電磁波を入力する第二の電極板5の四個の接続端子11〜14の一個を順次切り換えさせる。
【0033】
分布分析機能は、上述の切換動作によるネットワークアナライザ7の12(=4×3)個の測定結果から、試験基板2の不良の分布を第二の電極板5との相対位置として分析する。本実施の形態では前述の“a〜λ,d≪λ”なる関係によりRF電磁波を伝搬する平面回路が二次元分布の定数回路として形成されるので、これを利用した既存の演算処理により不良の位置が判定される。
【0034】
上述のような構成において、本実施の形態の基板検査装置1による基板検査方法では、標準基板3と試験基板2とを対称に対向させた状態で、第一の電極板4と標準基板3と第二の電極板5と試験基板2と第三の電極板6とを順番に配置しる。
【0035】
このような状態でネットワークアナライザ7により第二の電極板5から第一の電極板4へのRF電磁波の伝搬特性を標準特性として測定するとともに、第二の電極板5から第三の電極板6へのRF電磁波の伝搬特性を試験特性として測定する。このように測定された標準特性と試験特性とがパーソナルコンピュータにより比較され、その一致の有無により試験基板2の良否が判定される。
【0036】
例えば、試験基板2の内部に不良が存在する場合、そこでRF電磁波が散乱されるため、ネットワークアナライザ7による伝搬特性の測定結果が標準基板3とは相違することになり、これで不良の存在が判定される。このように不良の存在が判定されると、本実施の形態の基板検査装置1による基板検査方法では、自動的に不良の位置を判定する作業が開始される。
【0037】
その場合、ネットワークアナライザ7が、第二の電極板5の四個の接続端子11〜14の一個にRF電磁波を入力させるとともに他の一個に発生するRF電磁波を測定し、このようにRF電磁波を測定する接続端子11〜14の一個が順次切り換えられる。
【0038】
これで一個の入力に対する三個の出力の測定結果が獲得されるので、これが完了するごとにRF電磁波を入力させる接続端子11〜14の一個も順番に切り換える。これでネットワークアナライザ7の12(=4×3)個の測定結果が獲得されるので、この測定結果から既存の演算処理により試験基板2の不良の分布が第二の電極板5との相対位置として分析される。
【0039】
本実施の形態では、RF電磁波を伝搬する平面回路が二次元分布の定数回路として形成されており、このような平面回路でのRF電磁波の伝搬は、振動数ωの正弦波が入力されるときに二次元のヘルムホルツ方程式により記述される。つまり、基板2,3の盤面と平行な方向にx/y軸を想定すると、
(∇2 2+k2)V(x,y)=[jω/(δ+jεω)]ρ(x′,y′) …(1)
k2=εμω2−jμδω …(2)
∇2 2=(∂2/∂x2)+(∂2/∂y2) …(3)
k=2π/λ …(4)
となる。
【0040】
V(x,y)は、第二の電極板5に対する第一第三の電極板4,6の電位を示し、“V(x,y)=dEz(x,y)”なる関係を満足する面内の座標(x,y)の関数である。数式(1)の右辺は不良の電荷分布ρ(x′,y′)による電磁波の散乱効果を示す。
【0041】
試験基板2の誘電率εと透磁率μとは不良の存在により変化するので、原理的に数式(1)-(4)により不良を計測できるが、その変化は微小であることも予想される。基板表面の有機汚染物や無機微粒子は湿度が低いと帯電しやすいので、このような不良が試験基板2に存在すると数式(1)の右辺の効果が大きい。
【0042】
数式(1)の解法は解明されており、電荷のない場合(均一場内の電磁波の伝搬)の解答をV0とすると、
(∇2 2+k2)V0(x,y)=0 …(5)
となる。
【0043】
このV0を利用すると前述の数式(1)は、
V(x,y)=V0(x,y)+∬G(x,y|x′,y′)ρ(x′,y′)dx′dy′ …(6)
G(x,y|x′,y′)=ln{1/√[(x-x′)2+(y-y′)2]} …(7)
となる。
【0044】
なお、上述のようなV0の解法は“電子通信学会論文誌、Vol55-B、p.441、大越、三好、(1972)”や、“Method of theoretical physics, part2, p.1361, P. M. Morse and H. Feshback, McGrow - Hill(1953)”に詳述されている。
【0045】
上述の数式(7)により、不良の分布の関数として回路網常数を算出することができる。例えば、試験基板2の共鳴周波数は“(εμ)−1/2”に比例するので、不良の分布により試験基板2の誘電率εが分布すると共鳴周波数(点)は拡大される。
【0046】
また、試験基板2のキャパシタンスCは誘電率εに直接に比例するので、不良の分布によりキャパシタンスCの二次元的な分布が観測されると予想される。しかし、試験基板2のインダクタンスLは透磁率μに比例するので、不良が分布してもインダクタンスLの変化は微小と予想される。
【0047】
そこで、本実施の形態の基板検査装置1では、図1に示すように、ネットワークアナライザ7により第二の電極板5の四個の接続端子11〜14の一個にRF電磁波a1を入力させて、他の一個に発生するRF電磁波a2と、第一第三の電極板4,6に発生するRF電磁波“b1 0,b2 0,b1,b2”を測定する。これらの測定結果から、
【0048】
【数1】
として散乱パラメータ“S11 0,S12 0,S21 0,S22 0”“S11,S12,S21,S22”が算出される。
【0049】
この散乱パラメータから誘電率や位相変化や共鳴周波数などが算出され、前述のように誘電率や共鳴周波数は不良の分布を良好に反映しているので、接続端子11〜14のRF電磁波を入力する一個や測定する一個を順次切り換えて誘電率や共鳴周波数を観察すれば、試験基板2に存在する不良の位置を良好に判定することができる。
【0050】
なお、このように試験基板2の不良の位置を判定する場合でも、試験基板2は内部構造が複雑でネットワークアナライザ7による測定結果は一様とならないので、本実施の形態の基板検査装置1では、標準基板3の測定結果との比較結果から不良の位置を判定する。
【0051】
本実施の形態の基板検査装置1では、上述のようにネットワークアナライザ7を利用して多層基板である試験基板2と標準基板3とのRF電磁波の伝搬特性を比較することにより、試験基板2の内部の不良の有無を判定することができ、その不良の位置も判定することができる。
【0052】
その場合、検査対象である試験基板2の多数の端子に配線を接続して実際に各部に通電する必要がないので、その作業の負担が軽減されており時間を短縮することができる。しかも、試験基板2を切断することなく不良の位置を判定することができ、実際に試験基板2を切断して不良を発見する場合も作業を迅速に実行することができる。
【0053】
しかも、第二の電極板5の中央部分10が網目構造に形成されているので、その実際に電極として機能する部分の汚染等が軽減されており、RF電磁波の“Skin Depth”も略一定とされて電極表面での散乱効果も削減されているので、試験基板2の検査を安定に実行することができる。
【0054】
なお、本発明は上記形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で各種の変形を許容する。例えば、上記形態では別個に形成された第一から第三の電極板4〜6と標準基板3とを試験基板2に手作業で組み合わせて作業を実行することを想定した。
【0055】
しかし、上記形態の基板検査装置1による基板検査方法では、前述のように多数の端子に配線を接続して実際に各部に通電する必要がないので、製造ラインから試験基板2を自動的に抜き取って上述のように組み合わせ、作業を自動的に実行する機構をロボットアーム等で実現することも可能である。
【0056】
また、上記形態では第二の電極板5に四個の接続端子11〜14を設けて順番に切り換えることを例示したが、その個数は任意に設定することが可能である。第二の電極板5の接続端子の個数を増加させると不良の位置の判定の分解能は向上するが、第二の電極板5の構造は複雑となりネットワークアナライザ7との結線も煩雑となる。
【0057】
一方、第二の電極板5の接続端子の個数を減少させると不良の位置の判定の分解能は低下するが、第二の電極板5の構造は簡単となりネットワークアナライザ7との結線も容易となるので、その個数は要求性能などの各種条件を考慮して決定することが好ましい。
【0058】
さらに、上記形態では第二の電極板5のRF電磁波を入力する位置と測定する位置とを切り換えて試験基板2の不良の位置を判定することを例示したが、例えば、第二の電極板5に対して標準基板3と試験基板2とを相対的に回転させて不良の位置を判定することも可能である。
【0059】
このような基板検査方法を自動的に実行する基板検査装置(図示せず)を実現する場合には、例えば、第一の電極板4と標準基板3と試験基板2と第三の電極板6とを固定的に保持したまま、第二の電極板5のみ回転させる機構を相対回転手段として形成すれば良い。
【0060】
さらに、このように基板2,3に対して第二の電極板5を相対的に回転させる手法と、前述のように第二の電極板5のRF電磁波の入力および測定の位置を切り換える手法とを組み合わせることも可能であり、この場合は構造が複雑となるが不良位置の判定精度を向上させることができる。
【0061】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
【0062】
本発明の基板検査装置による基板検査方法では、標準基板と試験基板とを対称に対向させた状態で、第一の電極板と標準基板と第二の電極板と試験基板と第三の電極板とを順番に配置し、ネットワークアナライザにより第二の電極板から第一の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を標準特性として測定するとともに、第二の電極板から第三の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を試験特性として測定し、測定された標準特性と試験特性とを比較して試験基板の良否を判定することにより、
検査対象である試験基板の多数の端子に配線を接続して実際に各部に通電することなく、試験基板の不良の有無を簡単に判定することができる。
【0063】
上述のような基板検査装置の基板検査方法において、第二の電極板は、標準/試験基板が配置される中央部分が網目状に形成されるとともに、ネットワークアナライザが接続される外側部分が複数に分割されており、ネットワークアナライザが第二の電極板の複数の外側部分の一個にRF電磁波を入力するとともに少なくとも一個に発生するRF電磁波を測定することにより、
ネットワークアナライザの測定結果から試験基板の不良の位置を判定することが可能となる。
【0064】
このように試験基板の不良の位置を判定する具体的な手法としては、ネットワークアナライザがRF電磁波を測定する第二の電極板の一個の外側部分を順次切り換え、ネットワークアナライザの測定結果から試験基板の不良の分布を第二の電極板との相対位置として分析することが可能であり、
この場合、試験基板の不良の位置を良好に判定することができ、この判定のために各基板や電極板を移動させる必要もない。
【0065】
また、ネットワークアナライザがRF電磁波を入力する第二の電極板の一個の外側部分を順次切り換え、ネットワークアナライザの測定結果から試験基板の不良の分布を第二の電極板との相対位置として分析することも可能であり、
この場合、試験基板の不良の位置を良好に判定することができ、この判定のために各基板や電極板を移動させる必要もない。
【0066】
また、第二の電極板に対して標準基板と試験基板とを相対的に回転させ、ネットワークアナライザの測定結果から試験基板の不良の分布を第二の電極板との相対位置として分析することも可能であり、
この場合、試験基板の不良の位置を良好な精度で判定することができる。
【0067】
なお、上述のような基板検査装置の基板検査方法において、ネットワークアナライザが発生するRF電磁波の波長がλ、試験基板および標準基板の板厚がd、試験基板および標準基板の平面方向の外寸がaとすると、
a〜λ
d≪λ
なる関係を満足することにより、
RF電磁波を伝搬する平面回路を形成できるので、既存の演算処理により試験基板の不良の位置を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態の基板検査装置による基板検査の実施状態を示す模式図である。
【図2】第二の電極層を示す平面図である。
【符号の説明】
1 基板検査装置
2 試験基板
3 標準基板
4 第一の電極板
5 第二の電極板
6 第三の電極板
7 ネットワークアナライザ
10 中央部分
11〜14 複数の外側部分である四個の接続端子
Claims (13)
- 検査対象の多層基板である試験基板と同一構造で良品の多層基板からなる標準基板を用意しておき、
この標準基板と前記試験基板とを対称に対向させた状態で、第一の電極板と前記標準基板と第二の電極板と前記試験基板と第三の電極板とを順番に配置し、
ネットワークアナライザにより前記第二の電極板から前記第一の電極板へのRF(Radio Frequency)電磁波の伝搬特性を標準特性として測定するとともに、前記第二の電極板から前記第三の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を試験特性として測定し、
測定された標準特性と試験特性とを比較して前記試験基板の良否を判定するようにした基板検査方法。 - 前記第二の電極板は、前記標準/試験基板が配置される中央部分が網目状に形成されるとともに、前記ネットワークアナライザが接続される外側部分が複数に分割されており、
前記ネットワークアナライザが前記第二の電極板の複数の外側部分の一個にRF電磁波を入力するとともに少なくとも一個に発生するRF電磁波を測定するようにした請求項1記載の基板検査方法。 - 前記ネットワークアナライザがRF電磁波を測定する前記第二の電極板の一個の外側部分を順次切り換え、
前記ネットワークアナライザの測定結果から前記試験基板の不良の分布を前記第二の電極板との相対位置として分析するようにした請求項2記載の基板検査方法。 - 前記ネットワークアナライザがRF電磁波を入力する前記第二の電極板の一個の外側部分を順次切り換え、
前記ネットワークアナライザの測定結果から前記試験基板の不良の分布を前記第二の電極板との相対位置として分析するようにした請求項2または3記載の基板検査方法。 - 前記第二の電極板に対して前記標準基板と前記試験基板とを相対的に回転させ、
前記ネットワークアナライザの測定結果から前記試験基板の不良の分布を前記第二の電極板との相対位置として分析するようにした請求項3記載の基板検査方法。 - 前記ネットワークアナライザが発生するRF電磁波の波長がλ、前記試験基板および前記標準基板の板厚がd、前記試験基板および前記標準基板の平面方向の外寸がaとすると、
a〜λ
d≪λ
なる関係を満足するようにした請求項1ないし5の何れか一記載の基板検査方法。 - 検査対象の多層基板である試験基板と同一構造で良品の多層基板からなる標準基板と、
該標準基板の表面に配置される第一の電極板と、
前記標準基板の裏面と前記試験基板の表面との間隙に配置される第二の電極板と、
前記試験基板の裏面に配置される第三の電極板と、
前記第二の電極板から前記第一の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を標準特性として測定するとともに、前記第二の電極板から前記第三の電極板へのRF電磁波の伝搬特性を試験特性として測定するネットワークアナライザと、
該ネットワークアナライザにより測定された標準特性と試験特性とを比較して前記試験基板の良否を判定する良否判定手段と、
を具備している基板検査装置。 - 前記第二の電極板は、
前記標準/試験基板が配置される中央部分が網目状に形成されており、
前記ネットワークアナライザが接続される外側部分が複数に分割されている請求項7記載の基板検査装置。 - 前記ネットワークアナライザは、前記第二の電極板の複数の外側部分の一個にRF電磁波を入力するとともに少なくとも一個に発生するRF電磁波を測定する請求項8記載の基板検査装置。
- 前記ネットワークアナライザがRF電磁波を測定する前記第二の電極板の一個の外側部分を順次切り換える接続切換手段と、
前記ネットワークアナライザの測定結果から前記試験基板の不良の分布を前記第二の電極板との相対位置として分析する分布分析手段とを、
さらに具備している請求項9記載の基板検査装置。 - 前記ネットワークアナライザがRF電磁波を入力する前記第二の電極板の一個の外側部分を順次切り換える接続切換手段と、
前記ネットワークアナライザの測定結果から前記試験基板の不良の分布を前記第二の電極板との相対位置として分析する分布分析手段とを、
さらに具備している請求項8または9記載の基板検査装置。 - 前記第二の電極板に対して前記標準基板と前記試験基板とを相対的に回転させる相対回転手段と、
前記ネットワークアナライザの測定結果から前記試験基板の不良の分布を前記第二の電極板との相対位置として分析する分布分析手段とを、
さらに具備している請求項9記載の基板検査装置。 - 前記ネットワークアナライザが発生するRF電磁波の波長がλ、前記試験基板および前記標準基板の板厚がd、前記試験基板および前記標準基板の平面方向の外寸がaとすると、
a〜λ
d≪λ
なる関係を満足する請求項7ないし12の何れか一記載の基板検査装置。
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