JP3754556B2 - 誘電体材料製品の内部品質評価装置および評価方法 - Google Patents

誘電体材料製品の内部品質評価装置および評価方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子デバイスパッケージ製品の誘電体材料を非破壊で検査する内部品質評価装置および評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子デバイスパッケージ製品は、コンピュータ等のエレクトロニクス製品に用いられ、これらエレクトロニクス製品の性能を左右する重要な部品のため、高精度の品質評価が求められる。電子デバイスパッケージ製品は小型化・高密度化が進み、これに伴って品質基準はさらに厳しくなっている。また、量産化のためにオンラインで短時間に検査することが求められる。電子デバイスパッケージ製品の樹脂等の誘電体材料部分の品質劣化の原因は主に、亀裂による空隙や異物の混入等の成型時における欠陥の発生、また成型時に生じた欠陥の成長、さらに材質そのものの劣化、および隣り合う材料間の剥離等である。このような欠陥、特に目視によって確認できない内部の欠陥を評価する方法として、例えばX線探傷法、超音波探傷法、レーザ超音波法、マイクロ波探傷法等が用いられる。
【0003】
X線探傷法は異物の検出には効果的な手法であるが、空隙等の検出に関してはX線の透過に正常な部分との顕著な差が生じないため、空隙の検出には適していない。超音波探傷法では、被検査体である電子デバイスパッケージ製品の内部に超音波を伝搬させるために水を伝達媒介として用いることが必要であるが、電子デバイスパッケージ製品を水と接触させることは製品の劣化を生じる恐れがあり、特にオンライン検査には不適である。レーザ超音波法は、水を使わずに非破壊で内部の検査ができる方法であるが、レーザ超音波の性質上、誘電体材料の欠陥を検査するのには不適である。
【0004】
マイクロ波を用いた検査方法では、例えば導波管を用いてマイクロ波の伝搬が行われる。被検査体は導波管の中に載置され、マイクロ波が透過させられる。導波管は遮断周波数を有し、この遮断周波数以下の周波数を有するマイクロ波は導波管によって伝搬されないため、マイクロ波の使用可能な周波数領域は狭いという欠点がある。この遮断周波数の値を低くしてマイクロ波の使用可能な周波数領域を大きくするために、例えば導波管の寸法を大きくすることがある。しかしこの場合、導波管の寸法が大きくなることにより、空間分解能が低下することが問題となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な点に鑑みてなされたものであり、電子デバイスパッケージ製品の誘電体材料の内部、特に空隙等の検出を容易にし、高精度の品質評価を行う内部品質評価装置および評価方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による内部品質評価装置は、誘電体材料製品である被検査体の内部を非破壊で検査する内部品質評価装置であって、被検査体に向かってマイクロ波を送信し、被検査体側から反射されたあるいは被検査体を透過したマイクロ波を受信する送受信手段と、被検査体および送受信手段を支持する基台と、基台を駆動することにより、被検査体に対する送受信手段の相対位置を制御する制御手段と、送受信手段にマイクロ波を供給する供給手段と、被検査体の内部または裏面の異材によって反射したマイクロ波である反射波あるいは被検査体を透過したマイクロ波である透過波を、送受信手段を介して受信し、これら反射波あるいは透過波の振幅および(または)位相を検出する検出手段と、被検査体に対する送受信手段の相対位置と、振幅および(または)位相のデータに基づいて、被検査体の内部品質の評価を行う評価手段とを備えることを特徴としている。
【0007】
内部品質評価装置において、送受信手段が、一端がケーブルを介して供給手段および検出手段に接続され他端に開口を有する同軸コネクタと、この同軸コネクタの開口端に連結された金属製フランジとを備えていてもよい。
【0008】
本発明の評価方法は、誘電体材料製品である被検査体の内部を非破壊で検査するために、被検査体に向かってマイクロ波を送信し、被検査体側から反射されたあるいは被検査体を透過したマイクロ波を受信する送受信手段と、被検査体および送受信手段を支持する基台と、基台を駆動することにより、被検査体に対する送受信手段の相対位置を制御する制御手段と、送受信手段にマイクロ波を供給する供給手段と、被検査体の内部または裏面の異材によって反射したマイクロ波である反射波あるいは被検査体を透過したマイクロ波である透過波を、送受信手段を介して受信し、これら反射波あるいは透過波の振幅および(または)位相を検出する検出手段と、被検査体に対する送受信手段の相対位置と、振幅および(または)位相のデータに基づいて、被検査体の内部品質の評価を行う評価手段とを備えることを特徴とする内部品質評価装置を用いる評価方法であって、所定の周波数のマイクロ波を送信し、被検査体と送受信手段との距離を一定にし、反射波あるいは透過波の振幅の測定と被検査体との移動を繰り返すことにより被検査体の内部状態を検出して、振幅と被検査体の移動量とに基づいて、被検査体の内部を画像化することを特徴とする。
【0009】
評価方法において、好ましくは、所定の周波数が、反射波については最低あるいはそれに近い振幅を示し透過波については最高あるいはそれに近い振幅を示す周波数に定められ、かつ被検査体と送受信手段との一定の距離が反射波については最低あるいはそれに近い振幅を示し透過波については最高あるいはそれに近い振幅を示す被検査体と送受信手段との距離に定められる。
【0010】
また本発明の評価方法は、誘電体材料製品である被検査体の内部を非破壊で検査するために、被検査体に向かってマイクロ波を送信し、被検査体側から反射されたあるいは被検査体を透過したマイクロ波を受信する送受信手段と、被検査体および送受信手段を支持する基台と、基台を駆動することにより、被検査体に対する送受信手段の相対位置を制御する制御手段と、送受信手段にマイクロ波を供給する供給手段と、被検査体の内部または裏面の異材によって反射したマイクロ波である反射波あるいは被検査体を透過したマイクロ波である透過波を、送受信手段を介して受信し、これら反射波あるいは透過波の振幅および(または)位相を検出する検出手段と、被検査体に対する送受信手段の相対位置と、振幅および(または)位相のデータに基づいて、被検査体の内部品質の評価を行う評価手段とを備えることを特徴とする内部品質評価装置を用いる評価方法であって、所定の周波数のマイクロ波を送信し、被検査体と送受信手段との距離を一定にし、反射波あるいは透過波の位相の測定と被検査体との移動を繰り返すことにより被検査体の内部状態を検出して、位相と被検査体の移動量とに基づいて、被検査体の内部を画像化することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による内部品質評価装置の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0012】
図1は内部品質評価装置の被検査体である電子デバイスパッケージ製品の一例を示す図である。電子デバイスパッケージ製品、即ち被検査体10は、アイランド18上に固定されたチップ12を有し、このチップ12から金線14を介して複数のリード16がアイランド18の外側に向かって延びている。このチップ12およびアイランド18の周囲は、樹脂20に包まれており、これによりチップ12が保護される。リード16は樹脂20より外側に延びている。
【0013】
図2は実施形態である内部品質評価装置の構成を模式的に示すブロック図である。内部品質評価装置は、被検査体10を載置する第1の基台20を備える。第1の基台20に載置された被検査体10の上方には送受信手段であるセンサ30が設けられ、このセンサ30は第1の基台20に対向する。センサ30は周囲の物体からの反射波によるノイズが大きくならないように、被検査体10の近傍に設けられる。第1の基台20の側方には第2の基台22が設けられる。第2の基台22上にはセンサ支持部材24が固定される。
【0014】
センサ30は、ケーブル32を介してマイクロ波制御装置36に接続され開口端を有する同軸コネクタ35と、同軸コネクタ35の開口端に接続された金属フランジ34とを備える。同軸コネクタ35はセンサ支持部材24に支持される。第2の基台22は図の上下方向(Z方向)にセンサ支持部材24を移動させる駆動手段(図示せず)を有し、センサ支持部材24がZ方向に移動させられることにより、センサ30の被検査体に対する距離dが制御される。
【0015】
一方、第1の基台20は図の左右方向(X方向)、および紙面に垂直な方向(Y方向)に移動するための駆動手段(図示せず)を有し、この駆動手段により被検査体10のセンサ30に対するX、Y方向に関する相対位置が変化させられる。第1および第2の基台20、22の駆動手段は、パーソナルコンピュータ40により制御される。即ち、被検査体10に対するセンサ30のX、Y、Z方向に関する相対位置は、パーソナルコンピュータ40により制御される。
【0016】
図3はマイクロ波制御装置36の構成を示すブロック図である。マイクロ波制御装置36はシステムコントローラ361により動作が制御され、マイクロ波を発生させる信号源362と、ケーブル32へ連続したマイクロ波を供給する送信部363と、受信されたマイクロ波をケーブル32から得る受信部364とを備える。連続したマイクロ波はセンサ30から被検査体10に向かって照射され、被検査体10の側面、内部欠陥、境界面等により反射され、または被検査体10を透過して被検査体10の裏面の異材(図示せず)により反射されてセンサ30により受信される。このセンサ30により受信された反射波には、ノイズ電波等が含まれる。マイクロ波制御装置36にはこのノイズ電波等を分離して、被検査体10の内部あるいは裏面の異材により反射された反射波を得るための信号分離器365が設けられる。なお、被検査体10の裏面はマイクロ波が照射される面に対して反対側の面、即ち第1の基台20に当接する面である。
【0017】
なお、図2に示す内部品質評価装置では、送受信手段が送信機能と受信機能とを兼ね備えたセンサ30であるが、特にこれに限定されることはなく、送受信手段は送信器と受信器とが別体に構成されたものでもよい。この場合、例えば送信器が被検査体10の上方に、受信器が被検査体10の裏面側に設けられ、受信器は被検査体10を透過したマイクロ波、即ち透過波を受信する。
【0018】
また、マイクロ波制御装置36は複数の操作スイッチ366を備え、この操作スイッチ366の操作により、被検査体10へ照射されるマイクロ波の周波数の変更等が行われる。マイクロ波制御装置36は2つの測定モード、即ち振幅測定モードと、位相測定モードとが実施可能であり、操作スイッチ366により何れか一つの測定モードに切換えられる。また、操作スイッチ366によりセンサ30の構成に応じて測定因子を反射波あるいは透過波のどちらか一方に設定できる。マイクロ波制御装置36にはこれらの種々の設定または送受信するマイクロ波に関するデータ等を表示するための表示部367が設けられ、これにより操作者がマイクロ波制御装置36の状態を視認できる。
【0019】
マイクロ波制御装置36が振幅測定モードに定められている場合、マイクロ波制御装置36は種々の周波数のマイクロ波を発振したときの反射波(あるいは透過波)の振幅を測定する。マイクロ波制御装置36が位相測定モードに定められている場合、マイクロ波制御装置36は所定の周波数のマイクロ波を発振したときの反射波(透過波)の位相を測定する。マイクロ波制御装置36はパーソナルコンピュータ40に接続され、反射波(透過波)の振幅または位相のデータをパーソナルコンピュータ40に送出する。パーソナルコンピュータ40は図示しないメモリの所定領域にこの反射波(透過波)の振幅または位相のデータを格納する。
【0020】
図4はセンサ30を示す斜視図であり、図5は図4のV−V線における断面図である。センサ30は同軸コネクタ35と金属フランジ34とが一体的に成型されて成る。同軸コネクタ35は導体の芯線31と、この芯線31の周囲を囲む円筒の周縁部33とからなる。周縁部33は例えばテフロン等の高周波特性の良好な誘導体である。芯線31の端面31aと、周縁部33の端面33aとを同軸コネクタ35の開口端面35aとする。
【0021】
金属フランジ34は開口端面35aに平行である。金属フランジ34の中央において、開口端面35a、即ち芯線31の端面31aと周縁部33の端面33aとが露出している。金属フランジ34の外径は、同軸コネクタ35の外径の約10倍が好ましい。マイクロ波は通常広がり角度が大きい(例えば90度)ため発散されやすいが、金属フランジ34を同軸コネクタ35の開口端面35aに設けることにより、マイクロ波を発散させずに効率よく被検査体10に照射することができる。
【0022】
次に図2に示す内部品質評価装置を用いて、被検査体10の内部、特に誘電体材料の品質を評価する評価方法について説明する。この評価方法には、 反射波(透過波)の振幅を測定することにより欠陥を検出する振幅測定方法と、反射波(透過波)の位相を測定することにより欠陥を検出する位相測定方法との2つの手法がある。
【0023】
測定因子が反射波の場合の振幅測定方法について説明する。振幅測定方法において、被検査体10に対するセンサ30のX、Y、Z方向に関する相対位置は、所定位置に定められる。このとき被検査体10のセンサ30が対向した所定の部分に関してのみ、反射波の振幅が測定される。
【0024】
図6は、欠陥の有無による振幅の変化の違いを示す図である。図6において曲線A1、A2は同一形状・材質の2つの被検査体の所定部分にマイクロ波を照射したときの反射波の振幅値の変化をそれぞれ示し、実線で示す曲線A1は厚み方向に均一に成型された被検査体を測定したときの振幅値の変化を示し、破線で示す曲線A2は測定された所定部分に空隙即ち欠陥がある被検査体を測定したときの振幅値の変化を示す。図6に示すように、振幅値は周波数の増加に伴っていったん減少し、その後増加する。即ち、振幅値はある周波数(図6では48.50GHz)において最小値をとる。このように曲線A1、A2に最小値が存在するのは、マイクロ波が距離dと被検査体の誘電特性とに応じて共振するためである。
【0025】
欠陥のある被検査体の振幅値は、均一に成型された被検査体の振幅値に比べ急激に変化し、周波数foにおいて欠陥のある被検査体の振幅値は、均一に成型された被検査体の振幅値より小さい。厚み方向に均一であれば、共振による変化は小さいが、空隙等の欠陥が生じていると、被検査体の誘電特性が欠陥との境界部分で変化し、その境界部分でのマイクロ波の反射に関してロスが生じるため、振幅値が小さくなり、変化が大きくなる。このように、振幅の変化を比較することにより、誘電特性の変化を検出し、被検査体の欠陥の有無、および欠陥の生じている部分を検出することができる。
【0026】
振幅測定方法において、まずマイクロ波制御装置36は振幅測定モードに定められる。被検査体10は第1の基台20上に載置される。第1および第2の基台20、22を駆動することにより、被検査体10の測定すべきX、Y方向に関する位置、および被検査体10の表面とセンサ30との距離d、即ちZ方向に関する位置が定められる。センサ30から所定のX、Y、Z位置における被検査体に向かってマイクロ波が照射される。マイクロ波制御装置36により、照射するマイクロ波の周波数が変化させられ、各周波数に対応した振幅値が検出される。周波数毎の振幅測定はZ位置(距離d)を変化させて繰り返し行われる。以上の測定処理における測定データは、パーソナルコンピュータ40の図示しないメモリの所定領域に格納される。
【0027】
パーソナルコンピュータ40は、メモリに格納された測定データに基づいて振幅の最低値が得られる周波数fo(図6参照)および振幅の最低値が得られる被検査体10の表面とセンサ30との距離doとを決定する。次にマイクロ波の周波数をfoに設定し、また第2の基台22を駆動してセンサ30の位置を移動させ、距離dがdoになるようにセンサ30を位置決めする。この状態で第1の基台20を駆動することにより、被検査体10をXおよびY方向に移動させ、所定のX、Y位置における振幅値を測定する。この測定された振幅値はマイクロ波制御装置36からパーソナルコンピュータ40に送出され、パーソナルコンピュータ40において測定されたX、Y位置のデータと共にメモリの所定領域に格納される。このようにして1つの被検査体10においてX、Y方向に関する任意の位置の振幅が測定される。
【0028】
測定因子が反射波の場合、周波数foおよび被検査体10の表面とセンサ30との距離doは、振幅の最低値が得られる時の値が設定されるが、測定因子が透過波の場合、周波数foおよび被検査体10の表面とセンサ30との距離doは、振幅の最高値が得られる時の値に定められる。
【0029】
なお、同一形状および同一材質で成型された複数の被検査体を連続して測定する場合、最初の被検査体で得られたfoおよびdoは、他の被検査体に適用される。従って、foとdoを求める処理は一度でよく、測定時間が短縮でき、オンライン測定に好適である。
【0030】
パーソナルコンピュータ40において、メモリ内に格納されたX、Y位置と振幅値とのデータに基づいて被検査体10の内部状態の画像化が行われる。例えばX方向を横軸とし、被検査体10のX方向に関する位置に対応した振幅値を縦軸にとったグラフが作成され、このグラフがモニタ(図示せず)上に表示される。これにより、操作者は被検査体の欠陥の有無と、欠陥部分のX位置とが視認できる。
【0031】
次に反射波の位相により欠陥を測定する位相測定方法について説明する。この位相測定方法において、前述した振幅測定方法における測定値が振幅であるのに対し、測定値は位相である。それ以外は振幅測定方法と同様の処理が行われるので、ここでは処理の説明を省略する。
【0032】
均質な被検査体の位相と欠陥のある被検査体の位相との間には、位相値の違い、即ち位相のずれが生じる。この位相のずれは2つの被検査体におけるマイクロ波の反射特性、即ち2つの被検査体の誘電特性が異なっていることを示す。この原因として、例えば剥離、ボイド、配合剤の偏り等の不均一性があげられる。位相を測定することによりどの位置に欠陥が生じているかが容易に視認できる。
【0033】
なお、振幅測定方法、および位相測定方法の何れの方法においても、内部品質評価は可能であるが、振幅測定方法は被検査体の内部の詳細な検査を行うのに適しており、位相測定方法は一定の条件下で被検査体の内部を画像化するのに適している。
【0034】
【実施例】
以下、実施例をあげて、本発明を説明する。
【0035】
〔実施例1〕
図7および図8に示すように、誘電体材料により、縦14mm、横20mm、厚み1.4mmの寸法の被検査体S1、S2を製作した。誘電体材料においてシリカ83重量%、および硬化剤を含むエポキシ樹脂と、有機系添加剤とが17重量%を占める。この誘電体材料を公知のトランスファー成型法により成型する。成型温度は175℃、硬化時間は2分、ポストキュアは175℃、8時間の条件下で成型が行われた。成型後の誘電体材料20の内部には9.5mm四方のICチップ搭載板12が設けられる(被検査体S1)。さらに成型品を85℃、85RH%、168時間の条件下において吸湿処理を行い、次いで240℃、10秒の条件下で半田処理を行い、被検査体S2を得た。
【0036】
被検査体S1、S2に関して予め超音波非破壊検査が行われ、検査結果により被検査体S1は剥離を生じていない正常な部品であり、被検査体S2は剥離を生じていることが既知である。また、被検査体S1、S2は本測定終了後、断面を切断して電子顕微鏡により観察した結果、被検査体S1には剥離層はみられず、被検査体S2には厚み5〜10μmの剥離層が確認された。
【0037】
この2つの被検査体S1、S2を図2に示す内部品質評価装置を用いて、振幅測定方法による測定を行った。測定において、図9に示すように、被検査体S1またはS2の表面をx−y平面とし、表面の中心を原点とする直交3次元座標が設定される。この3次元座標により被検査体S1およびS2に対するセンサの位置が定められる。
【0038】
図10はx方向を横軸にしたときの被検査体S1、S2の振幅の変化をそれぞれ示す図であり、図11はy方向を横軸にしたときの被検査体S1、S2の振幅の変化(単位はdB)をそれぞれ示す図である。図10、11に結果を示す測定において、周波数foは48.5GHz、距離doは0.2mmに設定される。なお、センサ30によりマイクロ波はx−y平面に対して垂直に照射され、図10においてyの値は一定、図11においてxの値は一定とする。
【0039】
図10および図11に示すように、実線で示す被検査体S1の振幅値はほぼ一定である。しかし、破線で示す被検査体S2の振幅値は被検査体S1の振幅値より小さく、特に各被検査体の中央部分において特に振幅値の差が大きい。このように被検査体S1、S2の比較により、S2において誘電特性が大きく変化している、即ち被検査体S2内部で剥離が生じていることが視認できる。
【0040】
〔実施例2〕
実施例1において製作した被検査体S1、S2を検査対象とし、図2の内部品質評価装置を用いて位相測定方法による測定を行った。図12はx方向を横軸にしたときの被検査体S1、S2の位相の変化(単位は度)をそれぞれ示す図であり、図13はy方向を横軸にしたときの被検査体S1、S2の位相の変化をそれぞれ示す図である。図12、13に結果を示す測定において、周波数foは20.0GHz、距離doは0.2mmに設定される。なお、センサ30によりマイクロ波はx−y平面に対して垂直に照射され、図10においてyの値は一定、図11においてxの値は一定とする。
【0041】
図12および図13に示すように、破線で示す被検査体S2の位相値は、実線で示す被検査体S1の位相値より小さく、特に各被検査体の中央部分において特に位相のずれが大きい。このように同一の形状および同一の材質で製作された被検査体S1、S2において位相のずれが生じていることは、S1とS2においてマイクロ波の反射特性が異なっている、即ち誘電特性が異なっていることを示し、従って被検査体S2内部で剥離が生じていることが確認できる。
【0042】
実施例1、2で示すように、本実施形態の内部品質評価装置はマイクロ波の振幅あるいは位相の何れかを測定して電子デバイスパッケージ製品のとくに誘電体部分における内部品質が評価できる。
【0043】
なお、実施例1、2において、画像化された結果、即ちグラフは被検査体の測定位置を横軸に、反射波の振幅または位相を縦軸に設定しているが、 特にこれに限定されることはない。例えばx方向を横軸、y方向を縦軸とし、 振幅あるいは位相を濃度マップとしてパーソナルコンピュータ40のモニタに表示してもよく、この場合欠陥の視認がより容易になる。
【0044】
〔実施例3〕
図7および図8に示す被検査体S1、S2と同じ寸法、即ち縦14mm、横20mm、厚み1.4mmの寸法の被検査体S3、S4を誘電体材料により製作した。誘電体材料においてシリカ80.75重量%、および硬化剤を含むエポキシ樹脂と、有機系添加剤とが19.25重量%を占める。この誘電体材料を被検査体S1の製作時の処理と同じ処理を施して成型し、被検査体S3を得る。さらにS2の製作時の処理と同じ処理を施して、被検査体S4を得た。
【0045】
この2つの被検査体S3、S4を図2に示す内部品質評価装置を用いて、位相測定方法による測定を行った。測定範囲は0≦x≦12、0≦y≦12(単位はmm)であり、xおよびyをそれぞれ1mm毎に変化させて13×13個の位相値を得た。パーソナルコンピュータ40において、これらx、yおよび位相値のデータは画像変換ソフトMicroAVS(株式会社ケー・ジー・ティー)のコマンド「面コンター」により画像データに変換され、モニタに表示される。この測定において、周波数foは20.0GHz、距離doは0.2mmに設定される。なお、被検査体S3、S4に関して予め超音波非破壊検査が行われ、検査結果により被検査体S3は剥離を生じていない正常な部品であり、被検査体S4は剥離を生じていることが既知である。
【0046】
図14はx方向を横軸、y方向を縦軸とし、 被検査体S3の位相を濃度マップとして示す図である。また図15はx方向を横軸、y方向を縦軸とし、 被検査体S4の位相を濃度マップとして示す図である。図14および図15において、位相値の範囲は20〜50度であり、この範囲で256階調表示とする。マップの左方には位相値に対応した濃度のチャートが示される。
【0047】
図14および図15において、被検査体S3、S4中の各ICチップに対応する部分を比較すると、図15に示す被検査体S4のほうが明るく表示される。即ち、ICチップの部分はS3の位相値よりS4の位相値が小さく、S4のICチップに対応する部分において剥離が生じていることがわかる。このように、濃度マップとして表示することにより、位相値の違い、即ち剥離状況と位置との関係がより視認しやすくなる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によると、誘電体材料製品の内部品質評価を非破壊でかつ水などの媒介を使用することなく行うことができ、また内部の微細な欠陥や材質の違いをその発生した位置と共に的確に評価できる。従って、本発明による内部品質評価装置および評価方法は、誘電体材料製品を製造する際の品質管理に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による内部品質評価装置の被検査体として用いられる電子デバイスパッケージ製品の一例を示す図である。
【図2】本発明による内部品質評価装置の実施形態を示すブロック図である。
【図3】図2に示すマイクロ波制御装置の主要構成を示すブロック図である。
【図4】図2に示すセンサの構成を示す斜視図である。
【図5】図4のV−V線における断面図である。
【図6】被検査体に照射するマイクロ波の周波数の変化に対応した、反射波の振幅値の変化を示す図である。
【図7】被検査体S1、S2の外形を寸法と共に示す平面図である。
【図8】被検査体S1、S2の外形を寸法と共に示す側面図である。
【図9】被検査体上に設定された直交3次元座標系を模式的に示す図である。
【図10】被検査体S1、S2のx方向における反射波の振幅値の変化をそれぞれ示す図である。
【図11】被検査体S1、S2のy方向における反射波の振幅値の変化をそれぞれ示す図である。
【図12】被検査体S1、S2のx方向における反射波の位相の変化をそれぞれ示す図である。
【図13】被検査体S1、S2のy方向における反射波の位相の変化をそれぞれ示す図である。
【図14】被検査体S3のx−y平面における反射波の位相の変化を濃度として示す図である。
【図15】被検査体S4のx−y平面における反射波の位相の変化を濃度として示す図である。
【符号の説明】
10 被検査体
20 第1の基台
22 第2の基台
24 センサ支持部材
30 センサ
32 ケーブル
34 金属フランジ
35 同軸コネクタ
36 マイクロ波制御装置
40 パーソナルコンピュータ

Claims (3)

  1. 誘電体材料製品である被検査体の内部を非破壊で検査する内部品質評価装置であって、
    一端に開口を有する同軸コネクタと前記同軸コネクタの開口端に連結された金属製フランジとを備え、前記金属製フランジと非接触の状態で前記被検査体に向かってマイクロ波を送信し、前記被検査体側から反射されたあるいは前記被検査体を透過したマイクロ波を受信する送受信手段と、
    前記被検査体および前記送受信手段を支持する基台と、
    前記基台を駆動することにより、前記被検査体に対する前記送受信手段の3次元方向の相対位置を制御する制御手段と、
    前記同軸コネクタの前記開口端の他端にケーブルを介して接続され、前記送受信手段にマイクロ波を供給する供給手段と、
    前記同軸コネクタの前記開口端の他端にケーブルを介して接続され、前記被検査体の内部または裏面の異材によって反射したマイクロ波である反射波あるいは前記被検査体を透過したマイクロ波である透過波を、前記送受信手段を介して受信し、これら反射波あるいは透過波の振幅および位相の少なくとも一方を検出する検出手段と、
    前記被検査体に対する前記送受信手段の3次元方向の相対位置と、前記振幅および前記位相の少なくとも一方のデータに基づいて、前記被検査体の内部品質の評価を行う評価手段とを備え
    前記供給手段から供給されるマイクロ波の周波数を、前記送受信手段から送信されるマイクロ波と前記反射波または前記透過波とが共振する周波数に調整可能である
    ことを特徴とする内部品質評価装置。
  2. 請求項1に記載の内部品質評価装置を用いる評価方法であって、前記送受信手段から送信されるマイクロ波と前記反射波または前記透過波とが共振する周波数のマイクロ波を送信し、前記被検査体と前記送受信手段との距離を一定にし、前記反射波あるいは前記透過波の振幅の測定と前記被検査体との移動を繰り返すことにより前記被検査体の内部状態を検出して、前記振幅と前記被検査体の移動量とに基づいて、前記被検査体の内部を画像化することを特徴とする評価方法。
  3. 前記被検査体と前記送受信手段との距離が、前記反射波については最低あるいはそれに近い振幅を示し前記透過波については最高あるいはそれに近い振幅を示す前記被検査体と前記送受信手段の距離とに定められることを特徴とする請求項に記載の評価方法。
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