JP2545974B2 - スペクトラム超音波顕微鏡 - Google Patents

スペクトラム超音波顕微鏡

Info

Publication number
JP2545974B2
JP2545974B2 JP1072959A JP7295989A JP2545974B2 JP 2545974 B2 JP2545974 B2 JP 2545974B2 JP 1072959 A JP1072959 A JP 1072959A JP 7295989 A JP7295989 A JP 7295989A JP 2545974 B2 JP2545974 B2 JP 2545974B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transducer
ultrasonic
frequency
subject
wave
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP1072959A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02251751A (ja
Inventor
教尊 中曽
祐輔 塚原
雅雄 斎藤
克己 大平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toppan Printing Co Ltd filed Critical Toppan Printing Co Ltd
Priority to JP1072959A priority Critical patent/JP2545974B2/ja
Priority to US07/495,961 priority patent/US5079952A/en
Priority to EP90105366A priority patent/EP0389953B1/en
Priority to DE69023792T priority patent/DE69023792T2/de
Priority to CA002012951A priority patent/CA2012951C/en
Priority to KR90004059A priority patent/KR960009763B1/ko
Publication of JPH02251751A publication Critical patent/JPH02251751A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2545974B2 publication Critical patent/JP2545974B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Ultrasonic Waves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、スペクトラム超音波顕微鏡に関するもの
で、特に被検体表面にわたって二次元的に測定して被検
体の物性測定、膜厚測定、密着性判断等の定量計測を、
高い空間分解能で、且つ短時間で行うスペクトラム超音
波顕微鏡に関する。
〔従来の技術〕
近年、圧電体を用いて発信された超音波を音響レンズ
で屈折させ、被検体表面上に収束させながら被検体面を
スキャンさせ、その反射波或いは透過波の出力の値を得
ることで被検体の弾性的性質を画像として表示する超音
波顕微鏡が開発されている。
代表的な超音波顕微鏡の概要を説明すると、第2図に
示すように、数十から数百MHzの一定の周波数を発振す
る高周波発信器9を用いて高周波バースト信号を発生さ
せ、トランスジュウサー圧電体10に印加する。高周波バ
ースト信号は圧電体で超音波に変換され、溶融石英或い
はサファイアよりなる遅延材11の中を伝播し、遅延材と
超音波伝播用液体12の音速の差により、屈折され被検体
表面13上に収束される。被検体の音響的な性質を反映し
た反射波は、再び超音波伝播用液体に放出され、遅延材
11で位相整合されたのち圧電体10で再び電気信号に変換
される。
得られた電気信号を増幅しダイオード検波した後その
出力をビデオ信号として用いる。以上の行程を、被検体
に対して超音波センサーをX−Yスキャンしながら同時
に行い被検体表面二次元にわたる反射強度を画像として
表示する。
今までの超音波顕微鏡はこのように単周波数の音波を
音響レンズによって垂直成分も含めた広い入射角で超音
波を被検体に照射し、その反射波の出力を画像の明暗と
して表示するものが殆どである。
しかし、この従来の超音波顕微鏡は被検体表面の粗
さ、弾性表面波の励起に起因するエネルギーの基板深部
方向への漏洩、エネルギーが弾性表面波として検出不可
能な領域へ逃げてしまうことによる反射波出力の減少
等、多くの現象の影響が重ね合わされた結果としての出
力しか得られず、且つ常に一画像内での相対的な出力の
関係しか提供しえない。このように今日の超音波顕微鏡
は、その原理からくる定量計測を行う上での困難さをも
っている。
超音波顕微鏡を用いて定量計測を可能とするものに特
開昭61−20857号に記載のV(z)曲線法を原理とする
ものがある。V(z)曲線法は、第3図に示すように、
音響レンズ19を被検体13表面垂直方向に上下させ、被検
体へ垂直入射し反射してきた成分と、被検体に斜めから
入射し、一旦弾性表面波として伝播し、再放射された成
分の干渉に起因する出力の振動周期から弾性表面波の音
速を測定し、その値から被検体の弾性定数或いは構造パ
ラメータを定量測定することが出来る。しかしこの方法
は、被検体表面で二次元的に測定を行う場合、一点一点
音響レンズを精度良く上下する必要があるため、一つの
被検体の表面を二次元的に測定してその膜厚の分布等の
画像を作成するのに膨大な時間がかかる欠点がある。
超音波を用いて膜厚測定、密着判断を短時間に行う方
法として特開昭61−20803号に記載の膜厚測定法等があ
るが、この方法は第4図Aに示すように、基板23の上に
膜24の形成されている被検体表面に一定の入射角θ1で
超音波を入射し、その反射波を検出して周波数分布29
(第4図B)を得、その分布に於いて強度が極小を起こ
した周波数fの値から膜厚dを求めるものである。この
方法の難点は、1つに、一定の入射角で超音波を入射し
その反射波を採取する必要がある為に、超音波ビームを
絞ることが困難で、高い空間分解能で測定することが困
難であることが挙げられる。第5図に示す如き特願昭63
−202570号公報の実施例に記載されている超音波センサ
ーを用いて高い空間分解能を得ようとすると、反射率の
極小を起こす周波数が入射角に依存していることに起因
して測定精度が低下する。2つめの難点は、超音波を入
射する角度は被検体の構成物質によって変わるため、被
検体を構成する物質が変わるたびに、異なる入射角をも
った超音波センサーに取り替えなければならなかった。
超音波センサーを被検体に対して上下するような機械
的走査をすることなく、被検体の弾性定数、或いは膜の
ある場合ならば膜厚や亀裂の深さ等の構造パラメータを
定量的に被検体表面で二次元にわたって高い空間分解能
をもっての測定が可能となるならば、現在の精密加工工
程等における非破壊検査、あるいは物性研究の分野など
極めてひろい分野で有用な評価装置となる。
〔発明が解決しようとする課題〕 従来の技術では上記に記述されるように、従来の超音
波顕微鏡は2次元測定を短時間で行うことが出来るが定
量計測が困難であり、V(z)曲線法に基づいて超音波
顕微鏡を用いても超音波センサーを精密に上下する操作
が必要で測定に時間がかかると言う欠点を持っている。
さらに超音波を被検体表面に斜めに入射しその反射波を
周波数分析することで構造パラメーターや弾性定数の定
量計測を短時間に測定することは可能であるが、平行ビ
ームを用いるために高い空間分解能での測定が困難で、
さらに、多くの測定点での測定を効率良く短時間に行っ
て、任意のデータ処理によって必要な情報を加工して出
力することは困難である。
本発明は、従来の超音波顕微鏡や膜厚測定装置では困
難であった被検体表面の2次元にわたる構造パラメータ
ーや弾性定数の定量計測を、短時間に高精度の駆動機構
を必要とせず、しかも被検体表面における高い空間分解
能で精度良く測定するものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は以上の課題を解決すべくなされたものであ
り、広帯域の高周波パルスを発振する発振手段と、発振
される高周波パルスを圧電体に印加して超音波を被検体
表面に斜めから照射する送信用トランスジュウサーと、
その超音波の反射波を圧電体を用いて受信する受信用ト
ランスジュウサーとを具備しており、送信用か受信用か
のどちらか一方のトランスジュウサーは、電気信号が印
加されると、平行ビームを発振する平行ビームトランス
ジュウサーであり、他方のトランスジュウサーは、電気
信号が印加されると、被検体表面の一点に音波を集束す
る点集束ビームトランスジュウサーまたは被検体表面に
直線状に音波を集束する直線集束ビームトランスジュウ
サーであり、これらの送受信用のトランスジュウサーで
構成される超音波センサーを用いて超音波の反射波を電
気的に受信して得られる信号を周波数分析する周波数分
析手段と、この周波数分析で得られる周波数分布の特徴
を定量的に抽出して記憶する周波数分布演算記憶手段
と、被検体表面に平行に超音波センサーを移動するかま
たは超音波センサーに対して被検体を移動するかする駆
動手段と、被検体各点における超音波の被検体への入射
角に依存する周波数分布の情報またはそれから求められ
る定量的な被検体の物性情報を画像として出力する画像
出力手段とを具備するスペクトラム超音波顕微鏡であ
る。
かかる本発明のスペクトラム超音波顕微鏡により、一
回の短時間の測定を行うことだけで、被検体の弾性定
数、膜厚等の構造パラメータ、あるいは亀裂の存在や剥
離を選択的にかつ定量的に測定、検出を可能とするもの
である。また特に特許請求の範囲第1項の発明によれば
高い空間分解能をもって測定することが可能となる。
〔作用〕
被検体にある特定の入射角で超音波を入射すると、そ
の反射波の周波数分布に被検体の弾性定数、又構造パラ
メータ対応した変化が観られ、実際の非破壊検査や物性
研究に重要な情報を提供し得ることが明らかとなってい
る。
超音波をある一定の入射角度θで被検体に入射したと
きの反射係数は、完全反射体を対象にしたときの装置の
周波数応答を得ておくならば、次の(1)式によって得
ることが出来る。
Fは照射する超音波の周波数である。P2は全ての周波
数に対して完全反射を行う被検体に於ける反射波出力の
周波数分布であり、P1は被検体に於ける反射波出力の周
波数分布である。
このように得られる反射係数Rは、被検体の物性定数
や膜厚等構造パラメータの関数となっていることから、
逆得られた反射係数R(θ,F)から被検体の物性定数や
膜厚等構造パラメータを測定することが出来る。特に得
られた反射波強度が、弾性表面波の励起等に起因してあ
る周波数fで極小を起こしたときには、その周波数fの
値から、X−Yスキャン時に於ける超音波センサーと被
検体との相対距離の変動などに対して比較的正確に物性
定数或いは膜厚等の構造パラメータを求めることが出来
る。
さらに超音波センサーを、第6図に示すように送信用
トランスジューサーと受信用トランスジューサーのどち
らか一方は平行ビームトランスジューサーで構成し、且
つ他方を点収束トランスジューサー(第6図B)或いは
直線収束ビームトランスジューサー(第6図A)で構成
すると、次に説明するように一つの超音波センサーで意
図した入射角における反射波の採取を可能にし、且つ第
6図Bに示すように点収束トランスジューサーを用いる
と高い空間分解能をもった測定が可能となる。
第1図に示すように超音波を被検体に照射し、その反
射波を採取する超音波顕微鏡レンズにおいて、超音波を
発振する側と受信する側の2つのトランスジューサーで
構成され、一方を点収束ビームトランスジューサーある
いは直線収束ビームトランスジューサーで構成してか
つ、他方を平行ビームトランスジューサーで構成した超
音波顕微鏡レンズの特性原理の説明を行う。
まず第6図Aに示すような直線収束ビームトランスジ
ューサーが被検体表面で焦点を結び、その反射波が平行
ビームトランスジューサーで受信されるように被検体に
対して設置した場合を想定する。
第7図に示すように円柱側面形状の対物面をもったト
ランスジューサー49で発振された超音波ビームは被検体
表面上にそのトランスジューサー49の開口角で決まる入
射角の幅θ4をもって入射、直線収束ビームトランスジ
ューサーの焦点52に相当する極狭い領域に収束する。こ
の入射音波は反射され、再び超音波伝播用液体中へ同じ
く反射角の幅θ4をもって再放射される。ここでフーリ
エ光学の概念に基づくと次のようにこの反射波を表現す
ることが出来る。第8図を使って説明するように、直線
収束ビームトランスジューサーの焦点に相当する領域55
から放射された波(第8図のA)は色々な方向に伝播す
る平面波の重ね合わせとして考えることが出来る。分解
された様々な方向に伝播する平面波成分のうち、第8図
のCに示すように平行ビームトランスジューサー50に垂
直に入射する成分は圧電体面上で位相のずれを起こすこ
となく電気信号に変換されるが、第8図のB、第8図の
Dのように圧電体に垂直な方向からずれて反射された方
向に分解された成分は、音波が圧電体に斜めに入射する
ことから位相ずれを起こす為、これら成分の出力への寄
与は相対的に弱くなる。このことからこの超音波顕微鏡
レンズで受信される電気信号は、被検体表面上の直線収
束ビームトランスジューサーの焦点に相当する微小領域
55に於いての弾性的情報を大きく持ち、且つ平行ビーム
トランスジューサーで定義される入射角で超音波を入射
した場合に相当する信号となる。
第9図Aに示すように、第7図に示されている受信と
発信用のトランスジューサーを逆にした場合も同様に平
行ビームトランスジューサーで定義される入射角で入射
した場合における弾性的情報を、被検体表面上の直線収
束ビームトランスジューサーの焦点に相当する微小領域
について得ることが出来る。第9図Aに示すように、平
行ビームトランスジューサー57で発振された平面波は被
検体59表面に一定の入射角で照射され、被検体59の表面
によって反射される。フーリエ光学の概念にもとずく
と、一般に平面波は被検体59の表面の各点64から放射さ
れる円筒波の重ね合わせと考えることが出来る。被検体
表面で反射される成分のうち、第9図Dに示すように収
束ビームトランスジューサーの焦点60に相当する領域か
らの反射波の成分のみが円柱側面形状の圧電体面上で位
相ずれを起こすことなく電気信号に変換され、第9図の
C、第9図のEのように収束ビームトランスジューサー
58の焦点60に相当する領域以外からの反射波の成分は圧
電体面上で位相ずれを起こす為、これらの成分の出力に
寄与する電気信号の大きさは相対的に弱く、結果的に直
線収束ビームトランスジューサー58の焦点60に相当する
微小領域の弾性的性質のみが受信信号に現れる。
以上のことは、第10図Aに示される場合は平行ビーム
トランスジューサーで定義される入射角θ7、第10図B
に示される場合も同様に入射角θ8で超音波を被検体に
照射した場合の被検体の超音波に対する応答が得られる
ことを意味し、超音波センサー全体を被検体に対して傾
けるだけで任意の入射角における被検体の物性、或いは
構造を反映した信号が取り出せることになる。
点収束トランスジューサーの場合も以上の直線収束ビ
ームトランスジューサーと同様にフーリエ光学の概念を
用いて説明を行うことが出来るが、特にこの場合は焦点
が点であるため高い空間分解能での測定が可能となる。
超音波の発信、或いは受信用トランスジューサー内の
どちらかを点収束あるいは直線収束ビームトランスジュ
ーサーで構成し、且つ他のトランスジューサーを平行ビ
ームトランスジューサーで構成するものであれば、圧電
体自体を円柱側面形状あるいは凹面形状にして収束ビー
ムトランスジューサーを構成するか、第6図Aや第6図
Bに示すように平面形状の圧電体で超音波を遅延材中に
放射し、遅延材対物面を円柱側面形状或いは凹面形状に
加工することで収束ビームトランスジューサーを構成す
るかによって本発明の技術範囲は制限されるものではな
い。また平行ビームトランスジューサーにおいても同様
に遅延材を用いるか否かによっても制限されない。
〔実施例〕
以下本発明を実施例により図面に基づき詳細に説明す
る。
第1図にスペクトラム超音波顕微鏡のブロックダイア
グラムの例を示した。
1はインパルス高周波発信器であり、超音波センサー
は超音波を被検体に入射し、その反射波を受信するよう
被検体に対して垂直面内に設置する。受信用トランスジ
ューサー3の出力は広帯域用高周波アンプ4に接続さ
れ、増幅された信号はスペクトルアナライザー5に依っ
て周波数分析され、A/D変換される。このスペクトルア
ナライザー5で得られた周波数分布はデジタル演算及び
記憶装置6によって操作者に依ってプログラムされた特
徴抽出が行われて記憶された後、結果がモニター7に表
示される。試料台を移動するX−Yステージ駆動装置8
はインパルス高周波発信器1から出力される信号に同期
して被検体を超音波センサーに対して二次元移動し、こ
の移動により被検体面は超音波センサーによりX−Yス
キャンされる。以上の構成によりなるスペクトラム超音
波顕微鏡装置によってつぎの様な測定が可能であった。
実施例1 基板の上に膜の形成されている被検体に基板、膜、超
音波伝播用液体の組合せで決まるある入射角で超音波を
入射し、その反射率が極小になる周波数があった場合、
膜厚dと反射率極小を起こす周波数fは基板、膜、超音
波伝播用液体の組合せで決定される定数Cを用いてつぎ
の関係があることが知られている。
f×d=C (2) この(2)式を用いて溶融石英上に金のメッキを行っ
たものを被検体として金の膜厚を測定する場合、超音波
を約30degの入射角で入射すると、擬似弾性表面波と呼
ばれる特異な表面波が被検体表面に励起され、基板にエ
ネルギーを漏洩しながら伝播することがわかっている。
第6図Bに示すような点収束ビームトランスジューサー
を用いた超音波センサーを用い、平行ビームトランスジ
ューサーで定義される入射角を30degになるよう設定す
る。送信及び受信用トランスジューサーの円形圧電体の
直径は1mmであり、点収束ビームトランスジューサーの
入射角の幅は30degの超音波センサーである。このよう
に構成した超音波センサーの焦点における50MHzでの6dB
ダウンの空間分解能は50μmであった。この値は送信及
び受信用トランスジューサー双方とも平面トランスジュ
ーサーで構成した場合の空間分解能が550μmであった
ことに比較してかなり向上していることがわかった。
超音波伝播用液体には水を基いた。スペクトル超音波
顕微鏡の周波数分布演算部は、第11図に示すように被検
体で得られた反射波の周波数分布73を特異な極小を示さ
ない被検体に対して採取した周波数分布72で割った値を
求める。得られた新しい分布74に於いて極小値をとった
周波数fを得て(2)式から膜厚dを算出する。第12図
に示すように、同様の演算処理を被検体表面全面に渡る
測定点79において、試料台77をX−Yスキャンしながら
測定を行った。
測定の結果、次に示すように反射波出力の極小現象を
起こす周波数が得られ、各点における膜厚を(2)式を
用いて算出した。(定数Cは280Hzmを用いた。) この結果高い空間分解能で膜厚の分布図80(第13図)
が得られ、後に破壊検査に依って膜厚を測定したとこ
ろ、スペクトラム超音波顕微鏡に依って得られた膜厚分
布図が非常に正確な値を示している事が実証された。
実施例2 超音波伝播用液体及び被検体の組合せで決まるある入
射角で超音波を被検体に入射すると弾性表面波と呼ばれ
る特異な波が被検体表面に強く励起される。このとき、
被検体からの反射波を採取すると、たとえば被検体深部
方向にエネルギーを漏洩しなくとも被検体表面を弾性表
面波が伝播する過程で吸収減衰が起こることによって、
弾性表面波を励起した周波数で反射波の強度が極小をと
る。また、この極小の現われる入射角及び極小を起こす
周波数は被検体の物性定数の関数であることが知られて
いる。
このため、第6図Aに示すような平行ビームトランス
ジューサーと開口角45degの直線収束ビームトランスジ
ューサーで構成された超音波センサーを用い、反射波出
力の周波数分布(第14図A)を超音波センサー全体を傾
けながら測定した。この結果、得られた反射波出力の周
波数分布で極小現象の起きた周波数から、弾性表面波の
励起を起こした超音波の周波数が得られた。このような
直線収束ビームトランスジューサーで定義された入射角
に対して弾性表面波を励起する周波数の関係図(第14図
B)が得られ、この結果をもとに音響工学に基づいてこ
の物質の弾性定数の推定が可能であった。
実施例3 溶融石英製の基板上に金の膜を蒸着して作製された被
検体を塩酸に浸しておくと、膜と基板の境界への塩酸の
侵入によって金の膜が短時間で多くの部分から剥離する
事が知られている。
しかし、今までこの剥離の過程を連続的に観察するこ
とは困難であった。このため第15図のAに示すように、
超音波伝播用液体として塩酸を用い、本発明のスペクト
ラム超音波顕微鏡を用いて測定を行った。超音波センサ
ーは実施例1と同様のものを用いて測定を行った。基板
85から金の膜86が塩酸の境界への浸入した層87によって
剥離すると、膜が密着していたときには基板へのエネル
ギーを漏洩しながら伝播する擬似弾性表面波の励起を原
因として存在していた反射波出力のある周波数での極小
現象(第15図のB)が起きなくなる(第15図のC)た
め、周波数分布の演算部に於いて極小現象の起きた部分
はモニター画面を明に、極小現象の起きなかった点に於
いてはモニター画面を暗として表示しながら、且つ極小
現象の起きた部分に於いては得られた反射波出力の極小
周波数の値を(2)式に代入して膜厚を算出、記憶する
よう設定をおこない、繰り返し被検体表面全面における
観察を行った。
この測定によって金の膜の剥離の様子が時間を追って
観察された。また観察の後スペクトル超音波顕微鏡の記
憶していた膜厚分布を表示し観察したところ、膜厚の薄
い部分からより多くの剥離が発生していたことが判明し
た。
実施例4 物性未知のバルクの被検体に対して次のような実験を
行った。
広帯域パルス発信器は100MHz付近までの周波数成分を
持つ信号を発信するよう設定を行い、超音波センサーは
実施例1と同じものを用いた。出力はカラーモニターで
赤青緑の3原色それぞれの色の輝度を独立に周波数分布
演算部からの命令により表現するように設定を行った。
周波数分布演算部には前もって完全反射体に対して得
られる周波数分布を記憶させておき(1)式を用いて被
検体の反射係数を求め、さらに得られた反射係数の周波
数分布を0MHzから30MHzまでを赤に、30MHzから60MHzま
でを青に、60MHzから100MHzまでを黄に、それぞれの周
波数領域の反射係数の積分値をそれに対応する色の輝度
に変換してカラーモニターに表す信号を送るよう設定を
行った。このように被検体各点における反射係数の周波
数分布の特徴を色に依って表現するようにスペクトル超
音波顕微鏡の演算部の設定を行った。
測定の結果、第16図に示すように被検体はカラーモニ
ター画面で赤色っぽく表される領域90と、青色に表現さ
れる領域91、及び黄色っぽく表される領域92の3つの領
域に大別されて表された。この観察の後、被検体の化学
組成比を化学分析装置を用いて調べたところ、カラーモ
ニター画面で黄色っぽく表される領域は赤色や青色に表
現される領域とは異なった組成をしていることが判明し
た。
〔発明の効果〕
以上説明したように、特許請求の範囲第1項および第
2項の発明によれば、試料面をX−Yスキャンしながら
一定の入射角で広帯域の超音波を被検体に入射しその反
射波を採取し、周波数分布を得て演算することが可能な
ため、被検体表面二次元にわたる音響特性の観察を短時
間に、且つ定量的に測定を容易に行うことが出来、極め
て汎用性の高い測定装置として活用される。
更に特に特許請求の範囲第1項の発明によれば充分な
空間分解能をもって被検体の二次元にわたるの音響特性
の観察を短時間に、且つ定量的に測定を容易に行うこと
が出来る。
【図面の簡単な説明】
以下図面を簡単に説明する。 第1図は典型的な本発明のスペクトル超音波顕微鏡のブ
ロックダイヤグラムである。第2図〜第5図は従来の技
術を示すもので、第2図は超音波顕微鏡のブロックダイ
ヤグラム、第3図はV(z)曲線法を超音波顕微鏡で行
うときのブロックダイヤグラム、第4図A、Bは反射率
を用いた膜厚測定法を説明するもので、Aは説明図、B
は周波数分布図、第5図は高い空間分解能を得るために
考えられた超音波センサーの説明図である。第6図以下
は本発明を説明するもので、第6図A、Bはいずれも超
音波センサー部の斜視説明図、第7図から第10図はいず
れも超音波センサー部の原理説明図、第11図は反射率の
極小を起こす周波数を求める手順の説明図である。第12
図は点収束トランスジューサーで膜厚測定を行なってい
る実施例の模式図、第13図は測定で得られた被検体の膜
厚分布をモニターに3次元表示した説明図、第14図Aは
入射角を変えながら得られた反射波出力の周波数分布を
示す説明図、第14図Bは入射角を変えながら得られた反
射波出力の周波数分布から得られた、超音波の入射角と
弾性表面波の励起される周波数の関係図、第15図A、
B、Cは剥離検出の実験例を説明するもので、Aは斜視
説明図、B、Cは周波数分布図、第16図はカラーで表示
された被検体の反射波の周波数分布の特性図。 1……広帯域用高周波発信器 2……発信用トランスジューサー 3……受信用トランスジューサー 4……広帯域用増幅器(アンプ) 5……周波数分析器(スペクトルアナライザー) 6……デジタル演算及び記録装置 7……画像出力装置(モニター) 8……X−Yステージ駆動装置 9……高周波発信器 10……圧電体 11……遅延材(レンズ) 12……超音波伝播用液体 13……被検体 14……サーキュレーター 15……増幅器(アンプ) 16……出力検出装置 17……画像出力装置(モニター) 18……X−Yステージ駆動装置 19……音響レンズ 20……出力検出装置 21……V(z)曲線出力及び解析装置(コンピュータ
ー) 22……Zステージ駆動装置 23……基板 24……膜 26……送信用トランスジューサー 27……受信用トランスジューサー 28……超音波伝播用液体 29……受信用トランスジューサーから得られる反射率の
周波数分布 32……送信用収束ビームトランスジューサー 33……受信用収束ビームトランスジューサー 36……被検体 37……超音波伝播用液体 38……直線収束ビームトランスジューサー 39……平行ビームトランスジューサー 40……圧電体 41……円柱側面形状にカットされた遅延材の対物面 42……被検体 43……固定材 44……直線収束ビームトランスジューサーの直線状の焦
点 45……点収束ビームトランスジューサー 46……平行ビームトランスジューサー 47……凹面状にカットされた遅延材の対物面 48……点収束ビームトランスジューサーの点焦点 49……送信用直線収束ビームトランスジューサー 50……受信用平行ビームトランスジューサー 52……送信用直線収束ビームトランスジューサーの焦点 55……送信用直線収束ビームトランスジューサーの焦点
に相当する領域 57……送信用平行ビームトランスジューサー 58……受信用直線収束ビームトランスジューサー 59……被検体 60……受信用直線収束ビームトランスジューサーで定義
された焦点 64……被検体表面に仮定された円筒波の音源 66……平行ビームトランスジューサーの中心線 67……被検体表面の法線 69……直線収束ビームトランスジューサーで定義された
焦点 70……平行ビームトランスジューサーの中心線 72……極小現象を起こしていない反射波の周波数分布 73……極小現象を起こしている反射波の周波数分布 74……極小現象を起こしている周波数を得る為にもとめ
られた周波数分布 76……被検体 77……試料台 78……超音波センサー 79……測定点 80……3次元表示で表された算出された膜厚 81……平行ビームトランスジューサー 82……直線収束ビームトランスジューサー 85……溶融石英製の基板 86……金の膜 87……基板と膜の間に浸入した塩酸の層 88……超音波センサー 89……塩酸(超音波伝播用液体) 90……モニター画面で赤っぽく表示された領域 91……モニター画面で青っぽく表示された領域 92……モニター画面で黄色っぽく表示された領域 θ1……入射角 θ2……入射角の幅 θ3……入射角 θ4……入射角及び反射角の幅 θ5……受信用平行ビームトランスジューサーで定義さ
れた入射角 θ6……送信用平行ビームトランスジューサーで定義さ
れた入射角 θ7……平行ビームトランスジューサーで定義される入
射角 θ8……平行ビームトランスジューサーで定義される入
射角 θ9……測定がおこなわれた平行ビームトランスジュー
サーで定義される最小入射角 θ10……測定がおこなわれた平行ビームトランスジュー
サーで定義される最小入射角 d……膜厚 f……極小現象を起こした周波数
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大平 克己 東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版 印刷株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−20857(JP,A) 特開 昭60−97261(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】広帯域の高周波パルスを発振する発振手段
    と、発振される高周波パルスを圧電体に印加して超音波
    を被検体表面に斜めから照射する送信用トランスジュウ
    サーと、その超音波の反射波を圧電体を用いて受信する
    受信用トランスジュウサーとを具備してなり、 送信用か受信用かのどちらか一方のトランスジュウサー
    は、電気信号が印加されると、平行ビームを発振する平
    行ビームトランスジュウサーであり、他方のトランスジ
    ュウサーは、電気信号が印加されると、被検体表面の一
    点に音波を集束する点集束ビームトランスジュウサーで
    あり、 これらの送受信用のトランスジュウサーで構成される超
    音波センサーを用いて超音波の反射波を電気的に受信し
    て得られる信号を周波数分析する周波数分析手段と、 この周波数分析で得られる周波数分布の特徴を定量的に
    抽出して記憶する周波数分布演算記憶手段と、 被検体表面に平行に超音波センサーを移動するかまたは
    超音波センサーに対して被検体を移動するかする駆動手
    段と、 被検体各点における超音波の被検体への入射角に依存す
    る周波数分布の情報またはそれから求められる定量的な
    被検体の物性情報を画像として出力する画像出力手段と を具備することを特徴とするスペクトラム超音波顕微
    鏡。
  2. 【請求項2】広帯域の高周波パルスを発振する発振手段
    と、発振される高周波パルスを圧電体に印加して超音波
    を被検体表面に斜めから照射する送信用トランスジュウ
    サーと、その超音波の反射波を圧電体を用いて受信する
    受信用トランスジュウサーとを具備してなり、 送信用か受信用かのどちらか一方のトランスジュウサー
    は、電気信号が印加されると、平行ビームを発振する平
    行ビームトランスジュウサーであり、他方のトランスジ
    ュウサーは、電気信号が印加されると、被検体表面に直
    線状に音波を集束する直線集束ビームトランスジュウサ
    ーであり、 これらの送受信用のトランスジュウサーで構成される超
    音波センサーを用いて超音波の反射波を電気的に受信し
    て得られる信号を周波数分析する周波数分析手段と、 この周波数分析で得られる周波数分布の特徴を定量的に
    抽出して記憶する周波数分布演算記憶手段と、 被検体表面に平行に超音波センサーを移動するかまたは
    超音波センサーに対して被検体を移動するかする駆動手
    段と、 被検体各点における超音波の被検体への入射角に依存す
    る周波数分布の情報またはそれから求められる定量的な
    被検体の物性情報を画像として出力する画像出力手段と を具備することを特徴とするスペクトラム超音波顕微
    鏡。
JP1072959A 1989-03-25 1989-03-25 スペクトラム超音波顕微鏡 Expired - Fee Related JP2545974B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1072959A JP2545974B2 (ja) 1989-03-25 1989-03-25 スペクトラム超音波顕微鏡
US07/495,961 US5079952A (en) 1989-03-25 1990-03-20 Ultrasonic transducer assembly and ultrasonic acoustic microscope
EP90105366A EP0389953B1 (en) 1989-03-25 1990-03-21 Ultrasound generator assembly and ultrasonic acoustic microscope
DE69023792T DE69023792T2 (de) 1989-03-25 1990-03-21 Ultraschallgenerator und akustisches Mikroskop mit Ultraschall.
CA002012951A CA2012951C (en) 1989-03-25 1990-03-23 Ultrasound generator assembly and ultrasonic acoustic microscope
KR90004059A KR960009763B1 (en) 1989-03-25 1990-03-26 Ultrasonic generator assembly and ultrasonic acoustic microscope

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1072959A JP2545974B2 (ja) 1989-03-25 1989-03-25 スペクトラム超音波顕微鏡

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02251751A JPH02251751A (ja) 1990-10-09
JP2545974B2 true JP2545974B2 (ja) 1996-10-23

Family

ID=13504427

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1072959A Expired - Fee Related JP2545974B2 (ja) 1989-03-25 1989-03-25 スペクトラム超音波顕微鏡

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2545974B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113624845A (zh) * 2020-05-06 2021-11-09 明格(上海)信息技术有限公司 超声彩色成像方法、系统、装置、计算设备和可读介质

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02251751A (ja) 1990-10-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Blomme et al. Air-coupled ultrasonic NDE: experiments in the frequency range 750 kHz–2 MHz
JPH0136584B2 (ja)
KR101477607B1 (ko) 필터를 이용한 초음파 선형/비선형 하이브리드 영상 장치 및 그 제어 방법
JPS6281561A (ja) 超音波顕微鏡を用いた計測方法
JP3535417B2 (ja) 超音波による欠陥高さ測定装置及び欠陥高さ測定方法
JPH08210953A (ja) 超音波検査装置評価用標準試料およびその製造方法
JP4196643B2 (ja) 超音波による内部欠陥の映像化方法、及び、装置
JP2007003197A (ja) 超音波材料診断方法及び装置
JPH1078415A (ja) 非接触非破壊の材料評価方法とその装置及び弾性波励起方法と弾性波励起装置
JP2545974B2 (ja) スペクトラム超音波顕微鏡
JP2002214204A (ja) 超音波探傷装置およびその方法
US5046363A (en) Apparatus for rapid non-destructive measurement of die attach quality in packaged integrated circuits
JP2008261889A (ja) 超音波による内部欠陥の映像化方法、及び、装置
US4825423A (en) Method of measuring microcrack depth
KR101963820B1 (ko) 반사모드 비선형 초음파 진단 장치
KR102116051B1 (ko) 배열형 초음파 센서를 이용한 펄스 에코형 비선형 검사 장치
KR101964758B1 (ko) 비접촉식 가진에 의한 비선형 초음파 진단 장치
JPH079418B2 (ja) スペクトラム超音波顕微鏡
JP2002323481A (ja) 超音波探傷方法および装置
Alers et al. Visualization of surface elastic waves on structural materials
RU2397489C1 (ru) Устройство ультразвуковой дефектоскопии и способ ультразвуковой дефектоскопии
JP2001124746A (ja) 超音波検査方法
Titov et al. Measurements of velocity and attenuation of leaky waves using an ultrasonic array
JPH0658917A (ja) 超音波検査方法および装置
JPH06242086A (ja) 超音波検査装置

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070808

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080808

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees