JP3863533B2 - 折返しアンテナ - Google Patents

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Description

本発明は、たとえば無線LAN(Local Area Network)などに用いるのに好適な2以上の周波数帯の信号を送受信することができると共に、帯域幅の広い小型で高性能なアンテナに関する。さらに詳しくは、たとえば2.4GHzと5GHzのような2周波数帯で、しかも5GHz帯では1GHz程度の帯域幅を有するような小型のアンテナに関する。
従来、たとえば2倍程度の関係にあるような2以上の周波数帯の信号を送受信するのに好適なアンテナとして、たとえば図10に示されるような折返しアンテナ50が考えられている(たとえば特許文献1参照)。この折返しアンテナ50で、その隣接するエレメント51間の間隔などを調整することにより、共振させる周波数を調整することができ、ほぼ2倍の関係にある2つの周波数帯でも共振させ得ることが知られている。このようなアンテナは、たとえば誘電体などからなる円筒体の表面に形成され、携帯電話機などのアンテナとして筐体上部に取り付けられ、携帯電話機などの筐体を接地面52として、アンテナエレメント51が接地面(地板)52と一定間隔hを介して配置して使用される。
特開平10−13135号公報
前述のような従来の折返しアンテナでは、アンテナの背を低くすることが要求されることから、アンテナエレメント51の底面と地板52との間隔(図10のh)が小さくなり、2つの周波数帯で共振させることができても、それぞれの周波数帯でアンテナの入力インピーダンスを充分に調整することができないと共に、それぞれの周波数帯で帯域幅を充分に広くすることができず、たとえば今日の無線LANに要求されるような2.4GHz/5GHzシステムで、2.4GHz帯と5GHz帯とでそれぞれ4.1%と15.2%の帯域幅を満たすアンテナを確実に実現させることができない。
さらに、前述の構造のアンテナでは、アンテナエレメント51の底面と地板52との距離h(図10参照)があまり近いとアンテナの入力インピーダンスが低下し、所望の特性が得られないため、その距離hを大きくとるように筐体から離して設ける必要があり、装置の小型化の要求を果たせないと共に、とくに2以上の周波数帯で共振させる場合には、距離hが小さいと両方の周波数に対してインピーダンスを調整するのが難しいという問題がある。
一方において、前述のように、今日の無線LANなどでは、2.4GHz/5GHzの2つの周波数帯で共振させながら、2.4GHz帯で100MHzの帯域幅が、5GHz帯では、1GHz程度の帯域幅を有し、5〜6GHzで動作することが要求される状況にある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、たとえば2.4GHz/5GHzのような2以上の周波数帯で共振し、かつ、たとえば5GHzから6GHzのような1GHz程度の帯域幅を有する広帯域化を、1個のアンテナで実現できるような折返しアンテナを提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、アンテナのインピーダンス調整を地板との関係に余り影響されずに、折返し部およびエレメントの幅、エレメント間の間隔の調整だけでインピーダンスや共振周波数を満たすことができる構造の折返しアンテナを提供することにある。
本発明者らは、前述の今日の無線LANに要求されるような2.4GHz/5GHzの2周波数帯で使用し得るアンテナで、5〜6GHzの帯域幅を有するアンテナを得るために鋭意検討を重ねた結果、アンテナエレメントの折返しを地板の一つの面と平行になる方向に、すなわち給電部側のエレメントと垂直方向である接地導体膜(地板)と平行方向に折り返すと共に、その接地導体膜と平行方向のエレメント長を給電部から離れるにつれて、長くなるように形成し、その上で、各折返し部間のエレメント長や、隣接するエレメントの間隔を調整することにより、共振する周波数を調整することができ、しかも、高い共振周波数の2つを近づけることにより、その2つの共振周波数間をほぼ共振させることができ、1GHz程度という広い帯域幅を得ることができ、上述の無線LANで要求される条件を満足するアンテナを実現させることができた。
本発明による折返しアンテナは、一端部が給電部とされ、開放端とされる他端部が前記給電部側に設けられる地板の一つの面に対して垂直方向に延びながら、前記地板の一つの面と平行な方向にジグザグ状に折り返されることにより複数個の折返し部が形成されるアンテナエレメントを有し前記アンテナエレメントの折返し部間のエレメント、または隣接する任意の同じ長さのエレメント2個1組のエレメント組の長さが、前記地板側で短く、前記地板から離れるにつれて長くなるように形成され、かつ、前記折返し部間のエレメントの長さまたは隣接する任意の同じ長さのエレメント2個1組のエレメント組の長さおよび隣接するエレメント間の間隔を調整することにより、2以上の周波数帯で共振し、第1周波数帯での共振周波数4%以上の比帯域幅、第2周波数帯での共振周波数15%以上の比帯域幅を有するように前記アンテナエレメントの折返し部が形成され、さらに前記アンテナエレメントと対向する面には地板が設けられない構造に形成されている。
ここに地板の一つの面とは、アンテナの給電部に最も近い地板の主たる面または端面を意味し、たとえば誘電体基板表面にアンテナエレメントと地板(接地導体膜)が導電体膜で並置して形成される場合には、アンテナエレメントの給電部に最も近い接地導体膜の端部における接地導体膜の厚さ方向の面を意味する。また、比帯域幅とは、中心周波数(f 0 )に対して、帯域幅(△f)の占める割合(△f/f 0 )を意味する。
この構造にすることにより、地板と近いアンテナエレメントは短く、地板から離れるにつれて長くなるため、地板とアンテナエレメント間の容量は非常に小さく、アンテナの入力インピーダンスへの影響は小さい。しかも、後述するように、エレメントの長さを順次変えることにより、共振周波数を変えることができ、たとえば低い周波数帯を所望の周波数帯に近づけながら、高い周波数帯の2つの共振周波数を非常に近づけることができ、その2つの共振周波数間を共振状態として使用することができる。その結果、たとえば2.4〜2.5GHzと5〜6GHzの帯域幅を有するアンテナを得ることができた。
前記折り返し部間のエレメントが3個以上形成され、該エレメントの隣接するエレメント間の間隔が複数種類の間隔を有するように調整することにより、すなわち、エレメント間の間隔を異ならせて調整することにより、共振周波数の調整をしやすくすることができる。
具体的には、前記アンテナエレメントが誘電体基体の表面または内部の少なくとも一面に導電体膜により形成され、該誘電体基体の前記一面と垂直な一側面に、接地され得る接地導体膜が前記地板の一つの面として設けられ、該接地導体膜が設けられた一側面側に該接地導体膜と接触しないように前記アンテナエレメントの一端部が設けられ、該アンテナエレメントの前記一端部から延びるエレメントは前記一面上で前記一側面と垂直方向に延びた後に、前記一側面が前記一面と交差する一辺と平行になるように折り曲げられ、該一側面から離れる方向に複数個の前記折返し部が形成される構造にすることができる。
さらに具体的には、前記一辺と平行になるエレメントのうち前記接地導体膜に一番近い第1のエレメントと前記接地導体膜との距離が0.8〜1mmであり、該第1エレメントの長さが4〜4.5mmであり、前記一辺と平行なエレメントまたは前記エレメント組とそれに隣接するエレメントとの長さの割合が1.05〜2倍となるように接地導体膜から離れるにつれて長くなるように形成される。
前記折返し部が、前記アンテナエレメントの一端部側が前記地板の一つの面と垂直方向に延びる方向を中心線として、該中心線に関して左右同じ角度で広がる方向に設けられるか、または前記中心線上、もしくは中心線から一定距離離れた前記中心線と平行な線上に一方の折返し部が存在し、他方の折返し部が該中心線に関して一方側のみに順次広がる方向に設けられてもよい。
前記接地導体膜が、前記誘電体基体の前記一面側まで延びて形成されることにより、たとえば回路基板上に配置された他の部品や携帯電話機の利用者の手による影響を少なくすることができる。
本発明によれば、地板との関係で入力インピーダンスが低下するのを防止すると共に、所望の周波数帯で、かつ、所望の帯域幅で共振するアンテナを得ることができる。その結果、最近の無線LANなどで、たとえば2.4〜2.5GHzと5〜6GHzというような離れた高周波帯で、しかも広帯域の2周波帯の信号を1個で送受信することができるアンテナが得られるという効果がある。
つぎに、図面を参照しながら本発明の折返しアンテナについて説明をする。本発明による折返しアンテナは、図1(a)にその一実施形態の斜視説明図が示されるように、地板の一つの面(接地導体膜)2に対して垂直方向に延びながら、地板の一つの面2と平行な方向にジグザグ状に折り返されることにより複数個の折返し部13、15、17が形成されると共に、その折返し部13、15、17間のエレメント(第1エレメント12、第2エレメント14と第3エレメント16の組、および第4エレメント18)の長さが接地導体膜2側(給電端部4側)で小さく、接地導体膜2から離れるにつれて大きくなるようにアンテナエレメント1が形成されている。このエレメント長さの関係については、第2エレメント14と第3エレメント16のように隣接するエレメントで同じ長さのところは1組にまとめたエレメント組として扱っている。本発明では、さらに折返し部間の各エレメント12、14、16、18の長さL1〜L3および隣接するエレメント間の間隔d1、d2、d3を調整することにより、2以上の周波数帯で共振し、第1周波数帯でその周波数の4%以上の帯域幅、第2周波数帯でその周波数の15%以上の帯域幅を有するように、アンテナエレメント1の折返し部が形成されていることに特徴がある。
図1に示される例は、アンテナエレメント1がセラミックスなどの誘電体基体3の表面に形成され、誘電体基体3としては、長さ(M)×幅(W)×厚さ(t)が7mm×8mm×0.9mm程度の大きさで、比誘電率が20のセラミックスを用い、2.4〜2.5GHz帯と、5〜6GHz帯の2周波数帯で用いられる無線LAN用のアンテナとして形成されている。このアンテナエレメント1は、図1に示されるように誘電体基体3の表面に設けられなくても、たとえば誘電体膜表面にアンテナエレメントの一部または全部が形成され、他の誘電体膜と共に積層して焼結されたり、誘電体基板を貼り合せることにより、その一部または全部が誘電体基体3の内部に形成されてもよいし、空間にアンテナエレメントが折り返されることにより形成されてもよいし、円筒状または円柱状の誘電体表面に形成されてもよいし、さらには可撓性の誘電体フィルムにアンテナエレメントが形成されたものを丸めて円筒状に形成したものでもよい。要は、アンテナエレメント1が地板2の一つの面と平行方向に複数回折り返されると共に、地板2から遠ざかるにつれて地板2と平行なエレメント長が長くなるように折り返され、かつ、所望の周波数帯で所望の帯域幅を有するように折返し部が形成されていればよい。
アンテナエレメント1は、前述のように、セラミック基板などにスパッタリングなどで設けられた導電体膜をパターニングしたり、スクリーン印刷などにより所望のパターンに形成したものでもよく、線材などの金属ワイヤを折り曲げて形成したものでもよい。本発明では、このアンテナエレメント1が、折返し部間のエレメントの長さL1〜L3が地板となる接地導体膜2側で短く、離れるにつれて長くなると共に、前述の各エレメント長L1〜L3およびエレメント間隔d1〜d3、さらには各エレメントの幅を調整することにより、複数の共振周波数f1、f2、f3、f4を調整し、f3およびf4の共振周波数を非常に接近させることによりf3とf4との間で共振させて使用できるようにすると共に、その共振周波数がf1のほぼ2倍となるように調整することにより、2.4〜2.5GHzおよび5〜6GHzで使用できるアンテナとしたことに特徴がある。
すなわち、通常のアンテナでは、たとえば1/4波長の長さのアンテナが3倍の周波数に対しては3/4波長の長さになり、3倍、5倍、7倍のような奇数倍の関係にある周波数は、共振をとりやすい。一方、折返しアンテナにすることにより、以下に述べるように、2倍の周波数帯に対しても共振させることができることが知られている。本発明者らは、前述のように、この折返しアンテナをさらに調整することにより、たとえば任意の関係にあるf1、f2、f3、f4の共振周波数の、たとえばf3とf4とを非常に近づけ、その間を1つの共振周波数帯域とし得ることを見出したものである。
折返しアンテナは、たとえば図3(a)に示されるような、長さL、太さ(幅)がそれぞれρ1、ρ2で間隔がdの折返しアンテナは、図3(b)および(c)に示される両エレメントの電流Irが同方向の偶モード(even mode)と逆方向の電流Ifの奇モード(odd mode)とに分けて考えられる。この(b)および(c)に示される偶モードと奇モードとは、それぞれ給電部4を共通化して簡略にすると、図3(d)および(e)に示される等価回路に置き換えることができる。なお、図3において、は折返しアンテナに給電される電流、は折返しアンテナに給電される電圧、Irは偶モードと奇モードとに分解した場合における偶モードのエレメントに給電される電流、Ifは奇モードの場合における給電電流である。なお、αは、折返し部の結合に関係するもので、後述の(2)式で表される。
図3(d)より、偶モードの場合におけるアンテナの入力インピーダンスZrは、Zr=V/{(1+α) 2 Ir} (1)
ここで、αは、
Figure 0003863533
γ=d/ρ1、μ=ρ2/ρ1、Lは折り返されたアンテナエレメント1全体の電気長をそれぞれ示す。
また、奇モードにおける入力入ピーダンスZfは、図3(e)から明らかなように、Zf=/(2If)=jZ0tan(kL) (3)
ここで、k=2π/λ、λは波長、Z0は平行ワイヤ(レッヘル線)の特性抵抗をそれぞれ示す。
式(1)および(3)を用いて、折返しアンテナの入力インピーダンスZinは、次式(4)で表される。
Figure 0003863533
式(3)において、kL=2πL/λは、折返しによる電気長Lの変化により、共振する周波数、すなわち波長λが変化し、ほぼ一定となる。その結果、式(3)および式(1)の入力インピーダンスは、αすなわちアンテナエレメントの太さ(幅)ρや折返し間隔dを変化させることにより変化するが、共振周波数が変化してもほぼ一定となり、式(4)の入力インピーダンスも共振周波数に対して広帯域になる。
このように、折返し長さおよびその折返しの間隔などを調整し、図1に示される構造のアンテナにすることにより、たとえば共振周波数f1〜f4のうち、f3とf4とを非常に接近させて、f1が2.4〜2.5GHz、f3〜f4が5〜6GHとすることができた。そのアンテナの周波数に対するリターンロスを示したのが図2(a)で、折返し部間の各エレメントの長さを変えないで、一定の長さで折り返した場合の同様の周波数に対するリターンロスを図2(b)に対比して示す。図2から明らかなように、漸次エレメント長を長くする漸変式アンテナにすることにより、所望の2.4〜2.5GHzと、5〜6GHzとが得られたのに対して、同じ長さで形成した折返しアンテナでは、5〜6GHzの共振を得ることができなかった。
このときのアンテナの図1における各寸法は、L1=4mm、L2=6mm、L3=8mm、d1=0.6mm、d2=0.7mm、d3=0.8mm、h=0.8mm、エレメント12の幅=1mm、エレメント14および16の幅=0.8mm、エレメント18の幅=1mmであった。このように、第1エレメント12の長さL1が小さいため、接地導体2との距離hを従来の図10に示される構造の2〜3mm程度から0.8〜1mm程度と小さくすることができる。また、漸次長くするエレメント長の関係は、上述の例に限定されず、所望の周波数帯で所望の帯域幅、および所望の入力インピーダンスが得られるように調整することができるが、隣接するエレメントの1.05〜2倍程度の長さ、たとえば1.5倍程度の長さで漸変させることができる。
さらに、上述の例のように、エレメント間の間隔dは同じ幅ではなく、異なる間隔で形成することにより、周波数調整をしやすく、さらにエレメントの幅も変えることにより、共振周波数の調整をしやすい。すなわち、前述の周波数関係を有すると共に、所望の入力インピーダンスが得られるように調整するには、ただ単に折返しアンテナにするだけではなく、折返し部間のエレメント長を地板から離れるにつれて漸次長くすると共に、そのエレメント幅、隣接するエレメント間隔を2種以上の種々の値で変化させることにより、得ることができる。なお、一旦所望の特性が得られるアンテナエレメントの寸法を設計することができれば、同じ寸法で量産をすることができる。なお、図1に示される例では、接地導体膜2が誘電体基体3の表面にまで設けられているが、側面(底面)だけに設けられていてもよい。
本発明の折返しアンテナによれば、ただ単に折り返されているだけではなく、折返しが、給電部4側の地板(接地導体2)の一つの面と平行になるように折り返されると共に、折り返される各エレメントL1〜L3の長さが、順次長くなるように折り返されている。その結果、地板とエレメント間の容量を小さくすることができ、入力インピーダンスの低下を防止することができ、前述のエレメント間の間隔などを調整することにより、所望の入力インピーダンスを形成することができる。また、各エレメントの長さおよびその間隔を調整することにより、f1〜f4の共振周波数を調整することができ、前述の図2(a)に示されるように、f1は2.4〜2.5GHzの帯域幅(約4%の比帯域幅)で、また、f3とf4とを非常に近づけることで、f1のほぼ2倍となる5GHz帯でほぼ1GHzの帯域幅(約18%の比帯域幅)を有するアンテナを実現することができた。
このアンテナ20は、たとえば図1(b)に示されるように、無線LANや携帯電話機などに組み込まれる基板21に搭載される。図1(b)では、アンテナ搭載部および給電配線23の部分を除いて、接地導体22が設けられ、アンテナ20の接地導体膜2と接続されている。なお、給電配線23はアンテナ20の給電部4と接続されると共に、その他端部側は基板21の表側に導かれ、表側に形成される送受信回路と接続されている。この例に示されるように、アンテナ20の側面側にも接地導体22bが設けられていることにより、その間隔Dを調整すれば、アンテナ20のインピーダンスをさらに調整することができる。
なお、このような構造にしてもアンテナの延びる方向と地板の一つの面との関係では、誘電体基体3の側面に形成された接地導体膜2が地板の一つの面に該当する。一方、アンテナとして独立して形成されないで誘電体基板上に直接図1(b)に示されるような構造にアンテナエレメント1や接地導体膜22などが形成される場合には、アンテナの延びる方向と地板の一つの面との関係をいう一つの面とは、給電部4に最も近い接地導体膜22の端面22aにおける接地導体膜22の厚さ方向の面(紙面と垂直方向の面)を意味している。
また、無線LANなどの基板に組み込まれる場合、前述の図1に示されるように、アンテナエレメント1が形成された面が外側になるようにアンテナ20が搭載されないで、たとえば図4に示されるように、アンテナエレメント1の形成された面を基板21側に向けて搭載することもできる。なお、図4において、図1と同じ部分は同じ符号を付してその説明を省略する。
さらに、アンテナ20は、図1に示されるように、アンテナエレメント1が表面に露出しないで、図5に斜視およびそのB−B断面説明図が示されるように、誘電体基体3の内部に形成されていてもよい。すなわち、大きなシート状の第1セラミックシート31の表面に、たとえば前述のようなアンテナエレメント1を複数個分形成し、その表面に第2セラミックシート32を重ねて積層構造にし、各アンテナに分割・焼成した後にアンテナエレメント1の端部に給電部4および接地導体2を導電膜の塗布・焼成により形成されている。このような構成にしても、アンテナエレメント1は接地導体2の一つの面と垂直方向に延びながら、前述の関係で形成されている。なお、図5において、35、36はセラミックシート31の裏面側に設けられたランドで、基板21などにハンダ付けなどをするために設けられているものである。
このように、セラミック基体3の中にアンテナエレメント1を形成すると、大きなセラミックシートに多数個を一度に印刷してから各アンテナに切断・焼成することができ、製造効率が非常に向上する。
図1に示される例では、給電部4側(アンテナエレメント1の一端部側)の接地導体膜2と垂直方向に延びるエレメント11の中心線と一定距離の平行な線(セラミック基体3の端面)側を基準に対向する他方の端面側への長さが異なるパターンの例であったが、地板から遠ざかるにつれて、エレメント長が漸次長くなる(等しい部分があることを妨げない)構造であれば、そのエレメント長や幅、間隔を調整することにより、所望の第1および第2の周波数帯で、それぞれ必要な所望の帯域幅が得られるアンテナとすることができる。そのようなパターンの例を以下に例示する。
図6に示される例は、給電部4に接続されるエレメント1aの軸(地板2と垂直な軸)を中心として左右対称に折り曲げられながら、漸次エレメント長が長くなるように折り返された形状のアンテナである。このような形状でも前述の例と同様に、セラミック基板表面に形成されてもよいし、誘電体層を積層することにより誘電体基体中に形成されてもよいし、金属ワイヤにより単独で形成されてもよい。このような対称形であれば、共振周波数などの調整を行い易い。
図7に示される例は、図6に示される例と同様であるが、この例では、折返し部が、地板2と平行なエレメントと垂直方向に折り返されるのではなく、斜めに折り返されるもので、他は図6の例と同じである。このような斜めに折り返されることにより、さらに広帯域なアンテナにしやすいという利点がある。
図8に示される例は、給電部4に接続されるエレメント1aの軸を基準として、その一方側(図8では左側)のみに折り返されるもので、その折返し部間のエレメントの長さが漸次長く形成されるものである。すなわち、図1に示される折返しの基準線が給電部4に接続されるエレメント1aの中心線上にあるだけで、他は図1に示される例と同様であり、広帯域なアンテナを実現しやすい利点がある。
図9に示される例は、図7に示される例と同様に、図8の構造で、折り返し部を斜め方向に折り曲げたものである。このような折り曲げ方をすることにより、図7および図8の例と同様の利点がある。
前述の例では、2.4GHz/5GHzの2つの周波数帯の例であったが、この周波数帯には限定されず、2以上の多周波数帯で共振し、とくに高い周波数帯での帯域幅の広い共振特性を1個のアンテナで得る場合にとくに効果が大きい。
本発明による折返しアンテナの一実施形態の説明図および基板に取り付けた状態の説明図である。 図1のアンテナの周波数に対するリターンロス特性を、同じエレメント長で折り返したアンテナのリターンロス特性と比較して示す図である。 図1に示される折返しアンテナのインピーダンスや周波数を変化させ得ることを説明する図である。 図1(b)と同様の例で、アンテナを裏返しにして基板に取り付けた例を示す図である。 アンテナエレメントを基体中に作り込んだ例を示す図である。 折返しアンテナの他のパターン例を示す図である。 折返しアンテナの他のパターン例を示す図である。 折返しアンテナの他のパターン例を示す図である。 折返しアンテナの他のパターン例を示す図である。 従来の折返しアンテナの構造例を示す図である。
符号の説明
1 アンテナエレメント
2 地板(接地導体膜)
3 誘電体基体
4 給電部

Claims (7)

  1. 一端部が給電部とされ、開放端とされる他端部が前記給電部側に設けられる地板の一つの面に対して垂直方向に延びながら、前記地板の一つの面と平行な方向にジグザグ状に折り返されることにより複数個の折返し部が形成されるアンテナエレメントを有し前記アンテナエレメントの折返し部間のエレメント、または隣接する任意の同じ長さのエレメント2個1組のエレメント組の長さが、前記地板側で短く、前記地板から離れるにつれて長くなるように形成され、かつ、前記折返し部間のエレメントの長さまたは隣接する任意の同じ長さのエレメント2個1組のエレメント組の長さおよび隣接するエレメント間の間隔を調整することにより、2以上の周波数帯で共振し、第1周波数帯での共振周波数4%以上の比帯域幅、第2周波数帯での共振周波数15%以上の比帯域幅を有するように前記アンテナエレメントの折返し部が形成され、さらに前記アンテナエレメントと対向する面には地板が設けられない構造に形成されてなる折返しアンテナ。
  2. 前記折り返し部間のエレメントが3個以上形成され、該エレメントの隣接するエレメント間の間隔が複数種類の間隔を有する請求項1記載の折返しアンテナ。
  3. 前記第1周波数帯が2.4〜2.5GHzで動作可能であり、前記第2周波数帯が5〜6GHzで動作可能である請求項1または2記載の折返しアンテナ。
  4. 前記アンテナエレメントが誘電体基体の表面または内部の少なくとも一面に導電体膜により形成され、該誘電体基体の前記一面と垂直な一側面に、接地され得る接地導体膜が前記地板の一つの面として設けられ、該接地導体膜が設けられた一側面側に該接地導体膜と接触しないように前記アンテナエレメントの一端部が設けられ、該アンテナエレメントの前記一端部から延びるエレメントは前記一面上で前記一側面と垂直方向に延びた後に、前記一側面が前記一面と交差する一辺と平行になるように折り曲げられ、該一側面から離れる方向に複数個の前記折返し部が形成されてなる請求項1、2または3記載の折返しアンテナ。
  5. 前記一辺と平行になるエレメントのうち前記接地導体膜に一番近い第1のエレメントと前記接地導体膜との距離が0.8〜1mmであり、該第1エレメントの長さが4〜4.5mmであり、前記一辺と平行なエレメントまたは前記エレメント組とそれに隣接するエレメントとの長さの割合が1.05〜2倍となるように接地導体膜から離れるにつれて長くなる請求項4記載の折返しアンテナ。
  6. 前記折返し部が、前記アンテナエレメントの一端部側が前記地板の一つの面と垂直方向に延びる方向を中心線として、該中心線に関して左右同じ角度で広がる方向に設けられるか、または前記中心線上、もしくは中心線から一定距離離れた前記中心線と平行な線上に一方の折返し部が存在し、他方の折返し部が該中心線に関して一方側のみに順次広がる方向に設けられる請求項1ないし5のいずれか1項記載の折返しアンテナ。
  7. 前記接地導体膜が、前記誘電体基体の前記一面側まで延びて形成されてなる請求項4ないし6のいずれか1項記載の折返しアンテナ。
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