JP3862067B2 - 斜面安定工法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、逆巻き施工による地山斜面の造成において、安全性と作業性が向上した斜面安定工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、地山斜面の地滑り対策、あるいは切土斜面の急勾配化対策などにおいて、それら斜面に対して各種の補強工法が適用されている。この補強工法の代表的なものとしては、地山表面から地山内に向けて多数本の鉄筋、ロックボルトあるいはグラウンドアンカー等のアンカー体を適宜の間隔で打設した後、その打設孔内に適宜のグラウト材を充填してアンカー体を地山に定着させ、その剪断抵抗力をもって斜面全体の安定性を高める工法が広く採用されている。ところで、地山の切取りにより斜面崩壊が想定されるような、特に不安定な地山においては、掘削中に切土面周辺が崩れる危険性がある。このため、例えば特開平11−61840号あるいは特開平11−310925号に開示されるように、地山斜面に対して、上記アンカー体により適宜補強しながら斜面上部から下部に向けて段階的に切り取る、いわゆる「逆巻き施工」が一般的に行われている。
【0003】
上記特開平11−61840号公報に記載の技術は、施工時の短期的な斜面安定を確保するための簡便な構造の1次支圧板と、施工後の長期的な斜面安定を目的とするコンクリート吹付けによる2次支圧板を、ロックボルトとともに使用することを特徴としている。この場合、1次支圧板の斜面抑止効果により、2次支圧板のモルタルまたはコンクリートが硬化途中でその強度が十分に発現しない状態においても、斜面上端部から下端部に向けて下段のロックボルト施工が可能な高さの切土作業を行うことができるものである。また、特開平11−310925号公報に記載の技術では、地山の上方から段階的に掘削するごとに地山にアンカー体を打設して、このアンカー体の地表からの突出部分の周囲に切土面を押さえる受圧パットをコンクリート等の硬化材により形成し、アンカー体と一体になった受圧パットにより、土砂荷重を一時的すなわち仮留めしながら下の段の切土を行う。これらの作業を下方に向けて繰り返し、全ての切土作業が終了した後で、各アンカー体の頭部にプレキャスト製の土留め用ブロックを固定する構成になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、いずれも切土を始める斜面上部の第1段目においては、アンカー体による安定化が図られる前に切土作業を行うため、第1段目の切土に伴う崩落の危険性については何ら改善されていない。さらに、切土面の崩壊を一時的に止めるための前者における1次支圧板、あるいは後者の受圧パットがきちんと設置されるまでは、特に切土した部分の周辺では崩落の危険性がより高くなっている。しかも、いずれの場合にあっても、その使用目的からしてそれほど大きくない設置面の部材で切土面を押さえつけるものであるから、その抑止効果に大きな期待はできない。したがって、このような危険性が残されている条件下での作業は、慎重にならざるを得ず、作業効率を低下させる原因にもなっている。本発明は、これら従来技術の問題点に鑑みなされたもので、安全性と作業性の向上した斜面安定工法の提供を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、地山斜面をアンカー体で補強しながら上方から段階的に切り取る斜面安定工法において、切土予定区域に対して、切土面となる部分の周辺の地盤に予め削孔を介して固結材を浸透させ、その固化に基づき当該地盤の改良を行い、しかる後に切土予定区域を切り取り、その露出した切土面から地山の地盤に向けてアンカー体を打設し、これら一連の作業を下方の切土予定区域に順次繰り返すことにより斜面を造成することを特徴としている。
【0006】
すなわち、上記構成によれば、掘削により崩壊の危険性がある地山斜面に対して、上方から段階的に切り取る逆巻き施工を行う場合において、切土作業に先立ち、予め適宜の固結材の注入により切土予定区域の地盤改良を行うものであるから、第1段目の施工においても斜面の崩落が確実に阻止され、その後の各段における切土作業およびアンカー体の打設作業等を安全に行うことができる。このため、安全性が十分に確保された条件下での作業であるから、その効率が従来の施工方法に比べて大きく向上する。
【0007】
また、上記構成において、削孔を介して切土面周辺に注入する固結材としては、平均粒径6μm以下の微粒子セメントとアルカリ金属珪酸塩を主成分とし、固形分含量10〜50重量%の水性懸濁液が、その使用態様からして特に好適である。すなわち、懸濁液状の固結材は、液中に分散するセメントの粒子径がきわめて小さいため、地山の亀裂部分や砂質地盤内に浸透しやすい特性がある。この場合、アルカリ金属珪酸塩と前記セメント成分とが混合されると、両者の反応により水性懸濁液はゲル化して流動停止に向かうが、その流動停止時間は適宜調節することが可能である。このため、固結材を削孔から所望の範囲内に確実に浸透させることができ、しかも地山から湧水のある場合でも固結材が流されることもない。すなわち、この固結材を使用すれば、必要な区域の地盤に浸透して固化することにより、切土をしたときに確実に斜面の崩落を阻止することができる。なお、水性懸濁液中での固形分含量が多すぎると、削孔内への注入操作が困難であるばかりか削孔周辺部分への浸透が不十分となる。また、少なすぎると固結材の硬化自体が困難となり、より好ましくは15〜40重量%の範囲である。
【0008】
さらに、請求項2に記載の上記固結材について詳述する。まず、微粒子セメントについては、平均粒径が6μm以下のセメントであればよく、例えば普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメントなどの各種セメントを用いることができる。また、必要に応じて石灰、石膏、ドロマイトプラスター、フライアッシュ、高炉水砕スラグ等の添加剤を加えてもよい。なお、粒径を比表面積で表した場合には、5000cm2/g以上であり、好ましくは10000cm2/g以上である。セメント粒子の比表面積が大きいほど浸透性が高まり、より強固に地盤改良を行うことができるが、極端に大きすぎると、アルカリ金属珪酸塩と混合して水性懸濁液としたときに凝集しやすくなり、コスト的な面からも不利であるので、10000cm2/g〜15000cm2/gの範囲が最も好ましい。固結材中での使用量は、地盤改良効果を考慮すると、なるべく多く配合するのが好ましいが、多くなるに伴って水性懸濁液の粘度が増加する。したがって、注入効果と粘度のバランスを考慮したときのセメントの配合量は、固結材水性懸濁液1リットルに対して好ましくは100〜500g、より好ましくは150〜350gの範囲である。
【0009】
次に、アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸カリウム、珪酸ナトリウム等が挙げられるが、コスト面からは珪酸ナトリウムが好ましい。これらのアルカリ金属珪酸塩は、アルカリ金属珪酸塩におけるモル比(SiO2/M2O:但しMはアルカリ金属原子を表す)が、2.0〜4.0の範囲であることが、懸濁液状に調製された固結材の流動停止時間の関係で好ましい。すなわち、この固結材は、地山斜面の表面から切土面周辺に到達する削孔内に注入され、その周囲に拡散浸透するものであるが、流動停止時間が短すぎると固結材が十分に浸透する前に流動を停止し、その注入効果が不十分となることがある。また、それとは反対に流動停止時間が極端に長い場合には、硬化範囲が不明確となって的確な地盤改良ができない場合もある。そこで、懸濁液状に調製された固結材中におけるアルカリ金属珪酸塩中のSiO2分の割合と、アルカリ金属珪酸塩におけるモル比を特定の範囲内とすることにより、流動停止時間がより適切となり、且つ流動停止時点において明確なゲル体となり、地山から湧水のある場合でも固結材が流出することなく的確に地盤改良ができる。
【0010】
上記の特定範囲とは、アルカリ金属珪酸塩におけるモル比(SiO2/M2O:但しMはアルカリ金属原子を表す)をx、固結材懸濁液1リットル中におけるアルカリ金属珪酸塩中のSiO2分の割合をyとしたとき、次式(1)〜(5)で表される関係を満足する範囲である。
(1)y≦200
(2)x≧2.4
(3)x≦4.0
(4)y≧120x−260 (但し、2.4≦x≦3.0の範囲)
(5)y≧100 (但し、3.0<x≦4.0の範囲)
より好ましくは、上記式(1)〜(5)に加え、次式(6)および(7)で表される関係をも満足する範囲である。
(6)y≧120x−230 (但し、2.4≦x≦3.0の範囲)
(7)y≧−10x+160 (但し、3.0<x≦4.0の範囲)
【0011】
そして、固結材の調製は、上記粒径の微粒子セメントを必須成分とする水性懸濁液と、アルカリ金属珪酸塩を必須成分とする水溶液とを予め用意し、施工場所において注入の直前にこれら二液を固形分含量が10〜50重量%となるように混合するものである。ここで、セメント成分とアルカリ金属珪酸塩成分とを混合した後に水を加えて水性懸濁液にしたり、あるいは何れかの成分を水性懸濁液または水溶液とした後に他の成分を混合し、これにさらに水を加えて固形分含量を調節する場合、実用上支障のない程度に均質化するのに時間がかかる。このように混合に時間を費やした状態で注入を行うと、周囲に十分に浸透しないうちに流動停止してしまうことになる。したがって、上記のような調製方法が採用される。
【0012】
また、上記組成の固結材に限らず、切土予定区域において、切土面となる部分の周辺の地盤に各種の固結材を浸透させるための削孔は、当該削孔が切土面となる部分の近傍においてその上部から下方に向けて形成すると好都合である。すなわち、このようにすれば、切土により崩落の起こりやすい場所を重点的に地盤改良することができるので、その注入効果が無駄無く発揮され効率的である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明による斜面安定工法は、崩壊の可能性がある地山斜面を上方から段階的に切り取る逆巻き施工を行う場合に、切土作業に先立って適宜の固結材の注入により切土予定区域の地盤改良を予め行い、斜面の崩壊を確実に阻止する措置を施した後に、次工程である切土作業およびアンカー体の打設作業を行うことを技術的特徴としている。これにより、施工現場の安全性が十分に確保され、その後の作業を効率的に行うことができる。固結材の注入は、削岩機で穿孔した削孔内に、ホースを挿入して注入したり、鋼管あるいは合成樹脂管等の適宜の注入用管材を削孔内に挿入した状態で行うこともできる。さらに、注入用管材の挿入に代えて、先端側に穿孔ビットを取り付けた注入用管材を使用すれば、削岩機に取り付けて穿孔しながら打ち込むことができるので好都合である。なお、これらの注入用管材については、そのまま削孔内に残置してもよく、あるいは注入後に引き抜いてもよい。また、本発明において切土面を補強するアンカー体としては、異形鉄筋、ロックボルトあるいはグラウンドアンカー等を施工場所の条件等に応じ、適宜選択して適用すればよい。なお、施工方法の具体的構成に関しては、以下に例示するが、もちろんこれに限定されない。
【0014】
【実施例】
以下、図面に基づき本発明の実施例について説明する。図1ないし図5は、本発明による斜面安定工法において、それぞれ施工手順を段階的に示した各工程での要部断面を示す説明図である。まず、図1に示すように、地山斜面1における第1段目の切土予定区域2Aに対して、切土面3Aとなる部分の上端に近い上方位置から、切土面3Aに沿うように削孔4を掘削し、その内部に注入管5を設置する。次いで、注入管5の基端側から固結材6を注入し、削孔4の内壁面から周囲の地盤に拡散浸透させることにより、切土面3Aの周辺部分の地盤を改良する。
【0015】
この実施例において使用する固結材6は、平均粒径が6μm以下の微粒子セメントを必須成分とする水性懸濁液と、アルカリ金属珪酸塩を必須成分とする水溶液で構成される2液反応型の地盤改良材であり、これら二液を固形分含量が10〜50重量%となるように混合した状態で使用するものである。かかる組成の固結材6は、地盤への浸透性が高く、且つ短時間で反応して固化する特性を有し、軟弱な地盤の表層部分をごく短い時間で固め、補強する効果がある。
【0016】
また、上記実施例の注入管5には、中空状の自穿孔ロックボルトが使用されている。そして、固結材6は基端側に連結した注入アダプター7とホース8を介して中空部内を通過し、先端に取り付けられたビット5aから削孔4の内部に流出する。この際、削孔4の入り口は、空気抜きチューブを挿入した状態で適宜の閉塞材により封止されている。したがって、先端側から押し出された固結材6は、削孔4の全体に行き渡り、さらに削孔4の内壁面から周囲の地盤に浸透して拡散し、そこで固化する。これにより切土面3となる部分の周辺の地盤が確実に改良される。
【0017】
なお、2液で構成される固結材の注入方法については、その組成や地盤の改良条件、作業環境等に応じて適宜選択すればよい。具体的には、例えば通常の地盤注入工法でなどで注入材の混合と注入を行う際に用いられる1ショット法、1.5ショット法および2ショット法などが好適であり、これらはタイムロスが少なく、製造後直ちに注入に利用できる利点がある。
【0018】
1ショット法とは、1本の注入管から注入するもので、微粒子セメントを必須成分とする水性懸濁液と、アルカリ金属珪酸塩を必須成分とする水溶液を合わせてグラウトミキサー等で混合して液状の固結材を調製する。そして、この液状固結材をグラウトポンプの吸入口から吸入し、その吐出口から注入管に圧送する方法である。
【0019】
次に、1.5ショット法とは、2液を別々に圧送して注入の直前で合流させて混合する方式である。すなわち、前記水性懸濁液と前記水溶液をそれぞれグラウトミキサー等で調製しておき、吸入口および吐出口を各2個ずつ備えるグラウトポンプの各吸入口から水性懸濁液および水溶液を吸入する。そして、これら2液をY字状の注入アダプターにそれぞれ吐出し、Y字部でこれらを混合して固結材液とし、注入管へ圧送する方法である。
【0020】
さらに、2ショット法では、二重構造の注入管を使用し、2液を別々の流路を流通させて地盤中で混合するものである。すなわち、前記水性懸濁液と前記水溶液をそれぞれグラウトミキサー等で調製しておき、吸入口および吐出口を各2個ずつ備えるグラウトポンプの各吸入口から水性懸濁液および水溶液を吸入し、その各吐出口からそれぞれの液を前記注入管の各流路内に吐出し、注入管から吐出した時点で両液を混合して使用するものである。
【0021】
このようにして、第1段目の切土予定区域2Aにおいて、切土面3Aの周辺部分の地盤を改良した後、図2に示すように切土予定区域2Aの掘削を行う。なお、実施例では、注入管5として自穿孔ロックボルトを使用することにより、アンカー体としての補強効果も併せて期待している。このため、注入管5の頭部に防錆のためのキャップ9を取り付けている。注入管としての機能だけを求めるなら、このようなキャップ9は不要である。なお、固結材6の注入後に注入管5を撤去してもよく、この場合には、削孔4を含めて掘削する際に作業の障害にならない。また、合成樹脂もしくはゴム製のものを使用した場合には、そのまま残置しても同様である。そして、これに続いて、図3に示すように露出した切土面3Aの表面に対して、ラス金網あるいはエキスパンドメタル等の簡易的な保護被覆材10を敷設する。この保護被覆材10は、現場の状況に応じて適宜設置すればよいものであり、前記キャップ9と同様に本発明の必須要件ではない。
【0022】
次に、図4に示すように、切土面3Aから地山に向けてアンカー体11を挿入し、地盤改良に用いた上記固結材6をアンカー体11の周囲に充填して地盤に定着させる。実施例に用いたアンカー体11は、注入管5と同様な自穿孔ロックボルトである。その定着は、地盤改良と同じようにアンカー体11の中空部を介して固結材6を削孔内に注入することにより行われる。アンカー体11の定着材には、上記固結材6がその特性からして好適に使用されるが、一般に使用されている適宜のグラウト材でも何ら支障はない。さらに、アンカー体11の突出部分に適宜の支圧板12を装着し、先に敷設した保護被覆材10を押え込む形で固定する。ここで、アンカー体11の頭部にも防錆のためのキャップ9を取り付ける。これに続いて、切土面3Aの下端部から同様に注入管5を打ち込み、第2段目の切土予定区域2Bにおける切土面3Bとなる部分の周辺を地盤改良する。なお、この第2段目用の注入管5の施工にあたっては、切土面3Aに対して鋭角的に設置されることが多いことから、適宜の角度調整座金13を併用すると好都合である。
【0023】
図5は、図4の状態から第2段目の切土予定区域2Bの切土を行い、切土面3Bを押さえるためのアンカー体11を同様に定着させ、さらに第3段目の切土予定区域2Cにおける切土面3Cの内側に注入管5を設置し、その周辺部分を固結材6により地盤改良した状態を示すものである。
【0024】
以上のように、注入管5による切土予定区域の地盤改良、切土およびアンカー体11の打設の各作業を、掘削予定線の上から下にかけて順次繰り返すことにより、地山斜面1を安全且つ効率的に造成することができる。なお、上記実施例において、地山斜面としては自然斜面に限定されることはなく、各種構造物の構築に伴う地下開削傾斜壁面などに適用することもでき、さらにアンカー体の種類やその定着材を変更するなど、この発明の技術思想内での種々の変更実施はもちろん可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による斜面安定工法は、崩壊の可能性がある地山斜面を上方から段階的に切り取る逆巻き施工において、切土作業に先立ち適宜の固結材の注入により切土予定区域の地盤改良を予め行い、斜面の崩壊を確実に阻止する措置を施した後に、次工程である切土作業およびアンカー体の打設作業とを行うものである。これにより、施工現場での安全性が十分に確保されることになり、それに続くアンカー体の打設作業等の次行程の作業を効率的に行うことができるなど、その実用上の効果はきわめて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による施工手順の最初の工程を示す説明図である。
【図2】 図1の次の工程を示す説明図である。
【図3】 図2の次の工程を示す説明図である。
【図4】 図3の次の工程を示す説明図である。
【図5】 図4の次の工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1…地山斜面、2A,2B,2C…切土予定区域、3A,3B,3C…切土面、4…削孔、5…注入管、6…固結材、7…注入アダプター、9…キャップ、10…保護被覆材、11…アンカー体、12…支圧板、13…角度調整座金
【発明の属する技術分野】
本発明は、逆巻き施工による地山斜面の造成において、安全性と作業性が向上した斜面安定工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、地山斜面の地滑り対策、あるいは切土斜面の急勾配化対策などにおいて、それら斜面に対して各種の補強工法が適用されている。この補強工法の代表的なものとしては、地山表面から地山内に向けて多数本の鉄筋、ロックボルトあるいはグラウンドアンカー等のアンカー体を適宜の間隔で打設した後、その打設孔内に適宜のグラウト材を充填してアンカー体を地山に定着させ、その剪断抵抗力をもって斜面全体の安定性を高める工法が広く採用されている。ところで、地山の切取りにより斜面崩壊が想定されるような、特に不安定な地山においては、掘削中に切土面周辺が崩れる危険性がある。このため、例えば特開平11−61840号あるいは特開平11−310925号に開示されるように、地山斜面に対して、上記アンカー体により適宜補強しながら斜面上部から下部に向けて段階的に切り取る、いわゆる「逆巻き施工」が一般的に行われている。
【0003】
上記特開平11−61840号公報に記載の技術は、施工時の短期的な斜面安定を確保するための簡便な構造の1次支圧板と、施工後の長期的な斜面安定を目的とするコンクリート吹付けによる2次支圧板を、ロックボルトとともに使用することを特徴としている。この場合、1次支圧板の斜面抑止効果により、2次支圧板のモルタルまたはコンクリートが硬化途中でその強度が十分に発現しない状態においても、斜面上端部から下端部に向けて下段のロックボルト施工が可能な高さの切土作業を行うことができるものである。また、特開平11−310925号公報に記載の技術では、地山の上方から段階的に掘削するごとに地山にアンカー体を打設して、このアンカー体の地表からの突出部分の周囲に切土面を押さえる受圧パットをコンクリート等の硬化材により形成し、アンカー体と一体になった受圧パットにより、土砂荷重を一時的すなわち仮留めしながら下の段の切土を行う。これらの作業を下方に向けて繰り返し、全ての切土作業が終了した後で、各アンカー体の頭部にプレキャスト製の土留め用ブロックを固定する構成になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、いずれも切土を始める斜面上部の第1段目においては、アンカー体による安定化が図られる前に切土作業を行うため、第1段目の切土に伴う崩落の危険性については何ら改善されていない。さらに、切土面の崩壊を一時的に止めるための前者における1次支圧板、あるいは後者の受圧パットがきちんと設置されるまでは、特に切土した部分の周辺では崩落の危険性がより高くなっている。しかも、いずれの場合にあっても、その使用目的からしてそれほど大きくない設置面の部材で切土面を押さえつけるものであるから、その抑止効果に大きな期待はできない。したがって、このような危険性が残されている条件下での作業は、慎重にならざるを得ず、作業効率を低下させる原因にもなっている。本発明は、これら従来技術の問題点に鑑みなされたもので、安全性と作業性の向上した斜面安定工法の提供を目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明では、地山斜面をアンカー体で補強しながら上方から段階的に切り取る斜面安定工法において、切土予定区域に対して、切土面となる部分の周辺の地盤に予め削孔を介して固結材を浸透させ、その固化に基づき当該地盤の改良を行い、しかる後に切土予定区域を切り取り、その露出した切土面から地山の地盤に向けてアンカー体を打設し、これら一連の作業を下方の切土予定区域に順次繰り返すことにより斜面を造成することを特徴としている。
【0006】
すなわち、上記構成によれば、掘削により崩壊の危険性がある地山斜面に対して、上方から段階的に切り取る逆巻き施工を行う場合において、切土作業に先立ち、予め適宜の固結材の注入により切土予定区域の地盤改良を行うものであるから、第1段目の施工においても斜面の崩落が確実に阻止され、その後の各段における切土作業およびアンカー体の打設作業等を安全に行うことができる。このため、安全性が十分に確保された条件下での作業であるから、その効率が従来の施工方法に比べて大きく向上する。
【0007】
また、上記構成において、削孔を介して切土面周辺に注入する固結材としては、平均粒径6μm以下の微粒子セメントとアルカリ金属珪酸塩を主成分とし、固形分含量10〜50重量%の水性懸濁液が、その使用態様からして特に好適である。すなわち、懸濁液状の固結材は、液中に分散するセメントの粒子径がきわめて小さいため、地山の亀裂部分や砂質地盤内に浸透しやすい特性がある。この場合、アルカリ金属珪酸塩と前記セメント成分とが混合されると、両者の反応により水性懸濁液はゲル化して流動停止に向かうが、その流動停止時間は適宜調節することが可能である。このため、固結材を削孔から所望の範囲内に確実に浸透させることができ、しかも地山から湧水のある場合でも固結材が流されることもない。すなわち、この固結材を使用すれば、必要な区域の地盤に浸透して固化することにより、切土をしたときに確実に斜面の崩落を阻止することができる。なお、水性懸濁液中での固形分含量が多すぎると、削孔内への注入操作が困難であるばかりか削孔周辺部分への浸透が不十分となる。また、少なすぎると固結材の硬化自体が困難となり、より好ましくは15〜40重量%の範囲である。
【0008】
さらに、請求項2に記載の上記固結材について詳述する。まず、微粒子セメントについては、平均粒径が6μm以下のセメントであればよく、例えば普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメントなどの各種セメントを用いることができる。また、必要に応じて石灰、石膏、ドロマイトプラスター、フライアッシュ、高炉水砕スラグ等の添加剤を加えてもよい。なお、粒径を比表面積で表した場合には、5000cm2/g以上であり、好ましくは10000cm2/g以上である。セメント粒子の比表面積が大きいほど浸透性が高まり、より強固に地盤改良を行うことができるが、極端に大きすぎると、アルカリ金属珪酸塩と混合して水性懸濁液としたときに凝集しやすくなり、コスト的な面からも不利であるので、10000cm2/g〜15000cm2/gの範囲が最も好ましい。固結材中での使用量は、地盤改良効果を考慮すると、なるべく多く配合するのが好ましいが、多くなるに伴って水性懸濁液の粘度が増加する。したがって、注入効果と粘度のバランスを考慮したときのセメントの配合量は、固結材水性懸濁液1リットルに対して好ましくは100〜500g、より好ましくは150〜350gの範囲である。
【0009】
次に、アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸カリウム、珪酸ナトリウム等が挙げられるが、コスト面からは珪酸ナトリウムが好ましい。これらのアルカリ金属珪酸塩は、アルカリ金属珪酸塩におけるモル比(SiO2/M2O:但しMはアルカリ金属原子を表す)が、2.0〜4.0の範囲であることが、懸濁液状に調製された固結材の流動停止時間の関係で好ましい。すなわち、この固結材は、地山斜面の表面から切土面周辺に到達する削孔内に注入され、その周囲に拡散浸透するものであるが、流動停止時間が短すぎると固結材が十分に浸透する前に流動を停止し、その注入効果が不十分となることがある。また、それとは反対に流動停止時間が極端に長い場合には、硬化範囲が不明確となって的確な地盤改良ができない場合もある。そこで、懸濁液状に調製された固結材中におけるアルカリ金属珪酸塩中のSiO2分の割合と、アルカリ金属珪酸塩におけるモル比を特定の範囲内とすることにより、流動停止時間がより適切となり、且つ流動停止時点において明確なゲル体となり、地山から湧水のある場合でも固結材が流出することなく的確に地盤改良ができる。
【0010】
上記の特定範囲とは、アルカリ金属珪酸塩におけるモル比(SiO2/M2O:但しMはアルカリ金属原子を表す)をx、固結材懸濁液1リットル中におけるアルカリ金属珪酸塩中のSiO2分の割合をyとしたとき、次式(1)〜(5)で表される関係を満足する範囲である。
(1)y≦200
(2)x≧2.4
(3)x≦4.0
(4)y≧120x−260 (但し、2.4≦x≦3.0の範囲)
(5)y≧100 (但し、3.0<x≦4.0の範囲)
より好ましくは、上記式(1)〜(5)に加え、次式(6)および(7)で表される関係をも満足する範囲である。
(6)y≧120x−230 (但し、2.4≦x≦3.0の範囲)
(7)y≧−10x+160 (但し、3.0<x≦4.0の範囲)
【0011】
そして、固結材の調製は、上記粒径の微粒子セメントを必須成分とする水性懸濁液と、アルカリ金属珪酸塩を必須成分とする水溶液とを予め用意し、施工場所において注入の直前にこれら二液を固形分含量が10〜50重量%となるように混合するものである。ここで、セメント成分とアルカリ金属珪酸塩成分とを混合した後に水を加えて水性懸濁液にしたり、あるいは何れかの成分を水性懸濁液または水溶液とした後に他の成分を混合し、これにさらに水を加えて固形分含量を調節する場合、実用上支障のない程度に均質化するのに時間がかかる。このように混合に時間を費やした状態で注入を行うと、周囲に十分に浸透しないうちに流動停止してしまうことになる。したがって、上記のような調製方法が採用される。
【0012】
また、上記組成の固結材に限らず、切土予定区域において、切土面となる部分の周辺の地盤に各種の固結材を浸透させるための削孔は、当該削孔が切土面となる部分の近傍においてその上部から下方に向けて形成すると好都合である。すなわち、このようにすれば、切土により崩落の起こりやすい場所を重点的に地盤改良することができるので、その注入効果が無駄無く発揮され効率的である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明による斜面安定工法は、崩壊の可能性がある地山斜面を上方から段階的に切り取る逆巻き施工を行う場合に、切土作業に先立って適宜の固結材の注入により切土予定区域の地盤改良を予め行い、斜面の崩壊を確実に阻止する措置を施した後に、次工程である切土作業およびアンカー体の打設作業を行うことを技術的特徴としている。これにより、施工現場の安全性が十分に確保され、その後の作業を効率的に行うことができる。固結材の注入は、削岩機で穿孔した削孔内に、ホースを挿入して注入したり、鋼管あるいは合成樹脂管等の適宜の注入用管材を削孔内に挿入した状態で行うこともできる。さらに、注入用管材の挿入に代えて、先端側に穿孔ビットを取り付けた注入用管材を使用すれば、削岩機に取り付けて穿孔しながら打ち込むことができるので好都合である。なお、これらの注入用管材については、そのまま削孔内に残置してもよく、あるいは注入後に引き抜いてもよい。また、本発明において切土面を補強するアンカー体としては、異形鉄筋、ロックボルトあるいはグラウンドアンカー等を施工場所の条件等に応じ、適宜選択して適用すればよい。なお、施工方法の具体的構成に関しては、以下に例示するが、もちろんこれに限定されない。
【0014】
【実施例】
以下、図面に基づき本発明の実施例について説明する。図1ないし図5は、本発明による斜面安定工法において、それぞれ施工手順を段階的に示した各工程での要部断面を示す説明図である。まず、図1に示すように、地山斜面1における第1段目の切土予定区域2Aに対して、切土面3Aとなる部分の上端に近い上方位置から、切土面3Aに沿うように削孔4を掘削し、その内部に注入管5を設置する。次いで、注入管5の基端側から固結材6を注入し、削孔4の内壁面から周囲の地盤に拡散浸透させることにより、切土面3Aの周辺部分の地盤を改良する。
【0015】
この実施例において使用する固結材6は、平均粒径が6μm以下の微粒子セメントを必須成分とする水性懸濁液と、アルカリ金属珪酸塩を必須成分とする水溶液で構成される2液反応型の地盤改良材であり、これら二液を固形分含量が10〜50重量%となるように混合した状態で使用するものである。かかる組成の固結材6は、地盤への浸透性が高く、且つ短時間で反応して固化する特性を有し、軟弱な地盤の表層部分をごく短い時間で固め、補強する効果がある。
【0016】
また、上記実施例の注入管5には、中空状の自穿孔ロックボルトが使用されている。そして、固結材6は基端側に連結した注入アダプター7とホース8を介して中空部内を通過し、先端に取り付けられたビット5aから削孔4の内部に流出する。この際、削孔4の入り口は、空気抜きチューブを挿入した状態で適宜の閉塞材により封止されている。したがって、先端側から押し出された固結材6は、削孔4の全体に行き渡り、さらに削孔4の内壁面から周囲の地盤に浸透して拡散し、そこで固化する。これにより切土面3となる部分の周辺の地盤が確実に改良される。
【0017】
なお、2液で構成される固結材の注入方法については、その組成や地盤の改良条件、作業環境等に応じて適宜選択すればよい。具体的には、例えば通常の地盤注入工法でなどで注入材の混合と注入を行う際に用いられる1ショット法、1.5ショット法および2ショット法などが好適であり、これらはタイムロスが少なく、製造後直ちに注入に利用できる利点がある。
【0018】
1ショット法とは、1本の注入管から注入するもので、微粒子セメントを必須成分とする水性懸濁液と、アルカリ金属珪酸塩を必須成分とする水溶液を合わせてグラウトミキサー等で混合して液状の固結材を調製する。そして、この液状固結材をグラウトポンプの吸入口から吸入し、その吐出口から注入管に圧送する方法である。
【0019】
次に、1.5ショット法とは、2液を別々に圧送して注入の直前で合流させて混合する方式である。すなわち、前記水性懸濁液と前記水溶液をそれぞれグラウトミキサー等で調製しておき、吸入口および吐出口を各2個ずつ備えるグラウトポンプの各吸入口から水性懸濁液および水溶液を吸入する。そして、これら2液をY字状の注入アダプターにそれぞれ吐出し、Y字部でこれらを混合して固結材液とし、注入管へ圧送する方法である。
【0020】
さらに、2ショット法では、二重構造の注入管を使用し、2液を別々の流路を流通させて地盤中で混合するものである。すなわち、前記水性懸濁液と前記水溶液をそれぞれグラウトミキサー等で調製しておき、吸入口および吐出口を各2個ずつ備えるグラウトポンプの各吸入口から水性懸濁液および水溶液を吸入し、その各吐出口からそれぞれの液を前記注入管の各流路内に吐出し、注入管から吐出した時点で両液を混合して使用するものである。
【0021】
このようにして、第1段目の切土予定区域2Aにおいて、切土面3Aの周辺部分の地盤を改良した後、図2に示すように切土予定区域2Aの掘削を行う。なお、実施例では、注入管5として自穿孔ロックボルトを使用することにより、アンカー体としての補強効果も併せて期待している。このため、注入管5の頭部に防錆のためのキャップ9を取り付けている。注入管としての機能だけを求めるなら、このようなキャップ9は不要である。なお、固結材6の注入後に注入管5を撤去してもよく、この場合には、削孔4を含めて掘削する際に作業の障害にならない。また、合成樹脂もしくはゴム製のものを使用した場合には、そのまま残置しても同様である。そして、これに続いて、図3に示すように露出した切土面3Aの表面に対して、ラス金網あるいはエキスパンドメタル等の簡易的な保護被覆材10を敷設する。この保護被覆材10は、現場の状況に応じて適宜設置すればよいものであり、前記キャップ9と同様に本発明の必須要件ではない。
【0022】
次に、図4に示すように、切土面3Aから地山に向けてアンカー体11を挿入し、地盤改良に用いた上記固結材6をアンカー体11の周囲に充填して地盤に定着させる。実施例に用いたアンカー体11は、注入管5と同様な自穿孔ロックボルトである。その定着は、地盤改良と同じようにアンカー体11の中空部を介して固結材6を削孔内に注入することにより行われる。アンカー体11の定着材には、上記固結材6がその特性からして好適に使用されるが、一般に使用されている適宜のグラウト材でも何ら支障はない。さらに、アンカー体11の突出部分に適宜の支圧板12を装着し、先に敷設した保護被覆材10を押え込む形で固定する。ここで、アンカー体11の頭部にも防錆のためのキャップ9を取り付ける。これに続いて、切土面3Aの下端部から同様に注入管5を打ち込み、第2段目の切土予定区域2Bにおける切土面3Bとなる部分の周辺を地盤改良する。なお、この第2段目用の注入管5の施工にあたっては、切土面3Aに対して鋭角的に設置されることが多いことから、適宜の角度調整座金13を併用すると好都合である。
【0023】
図5は、図4の状態から第2段目の切土予定区域2Bの切土を行い、切土面3Bを押さえるためのアンカー体11を同様に定着させ、さらに第3段目の切土予定区域2Cにおける切土面3Cの内側に注入管5を設置し、その周辺部分を固結材6により地盤改良した状態を示すものである。
【0024】
以上のように、注入管5による切土予定区域の地盤改良、切土およびアンカー体11の打設の各作業を、掘削予定線の上から下にかけて順次繰り返すことにより、地山斜面1を安全且つ効率的に造成することができる。なお、上記実施例において、地山斜面としては自然斜面に限定されることはなく、各種構造物の構築に伴う地下開削傾斜壁面などに適用することもでき、さらにアンカー体の種類やその定着材を変更するなど、この発明の技術思想内での種々の変更実施はもちろん可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による斜面安定工法は、崩壊の可能性がある地山斜面を上方から段階的に切り取る逆巻き施工において、切土作業に先立ち適宜の固結材の注入により切土予定区域の地盤改良を予め行い、斜面の崩壊を確実に阻止する措置を施した後に、次工程である切土作業およびアンカー体の打設作業とを行うものである。これにより、施工現場での安全性が十分に確保されることになり、それに続くアンカー体の打設作業等の次行程の作業を効率的に行うことができるなど、その実用上の効果はきわめて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による施工手順の最初の工程を示す説明図である。
【図2】 図1の次の工程を示す説明図である。
【図3】 図2の次の工程を示す説明図である。
【図4】 図3の次の工程を示す説明図である。
【図5】 図4の次の工程を示す説明図である。
【符号の説明】
1…地山斜面、2A,2B,2C…切土予定区域、3A,3B,3C…切土面、4…削孔、5…注入管、6…固結材、7…注入アダプター、9…キャップ、10…保護被覆材、11…アンカー体、12…支圧板、13…角度調整座金
Claims (3)
- 地山斜面をアンカー体で補強しながら上方から段階的に切り取る斜面安定工法であって、切土予定区域に対して、切土面となる部分の周辺の地盤に予め削孔を介して固結材を浸透させ、その固化に基づき当該地盤の改良を行い、しかる後に切土予定区域を切り取り、その露出した切土面から地山の地盤に向けてアンカー体を打設し、これら一連の作業を下方の切土予定区域に順次繰り返すことにより斜面を造成することを特徴とする斜面安定工法。
- 前記固結材が平均粒径6μm以下の微粒子セメントとアルカリ金属珪酸塩を主成分とし、固形分含量10〜50重量%の水性懸濁液の状態で注入されることを特徴とする請求項1に記載の斜面安定工法。
- 前記削孔が切土面となる部分の近傍においてその上部から下方に向けて形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の斜面安定工法。
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